JP5429147B2 - ポンプ固定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、管部材を介して車室側の熱交換器に接続されるポンプを固定するためのポンプ固定装置に関する。
従来から、車両に搭載されるポンプをブラケットを介して車両に固定する場合、ポンプの振動を抑えて、車室内で騒音が発生しないようにすることが要望されている。このため、ポンプの振動を抑制する装置は種々提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
例えば、特許文献1には、ウォーターポンプがボルトとブラケットに固定されたナットとにより、3個のグロメットを介してブラケットに固定される構造が記載されている。グロメットは、防振ゴムにより形成された筒状体である。このグロメットによれば、ブラケットのポンプ側取付部に対するセンタリングが正確に行え、ブラケットがポンプ側取付部に対して片当たりすることを防止してポンプ本体からブラケットに伝わる振動を小さくすることができる。
また、特許文献2には、ポンプ本体の底部から下方に突出する略台形の脚部の端縁をクッションゴム部材の脚部保持部内に保持し、車体上に固定されるブラケットの保持部内に挿通保持する構造が記載されている。ポンプ本体の脚部をクッションゴム部材を介して防振支持することにより、ポンプの作動による振動を吸収し、伝達音を低減することができる。
特開2005−36762号公報 特開2001−304339号公報
特許文献1に記載の技術は、ポンプ本体からの振動をブラケットに伝えにくい防振構造であるが、ブラケットに伝達されない分の振動エネルギーの多くは、ポンプの振動として残るため、ポンプ本体をさらに揺らすことになる。また、特許文献2に記載の技術においても同様に、ブラケットに伝達されない振動エネルギーが生じるため、ポンプ自身の振動が低減されない。
このようにポンプ自身の振動が大きくなると、車室側に位置するヒータコア等の熱交換器とポンプとを接続する配管やホースにポンプの振動が伝達しやすくなる。したがって、配管等を介して熱交換器への振動伝達が促進されるようになり、車室内騒音の原因になるという問題がある。
逆に、配管等に伝達する振動を小さくするために、ブラケット等における防振構造を簡素な構造にしてポンプの保持力を高めることで、ポンプ自身の振動を抑制できるが、一方で、ブラケットへの振動伝達が増加してブラケットを介して車両側のボディが振動するようになり、この振動が車室内騒音に原因になることがある。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、車室内へのポンプの振動伝搬を抑制して車室内騒音を低減できるポンプ固定装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載のポンプ固定装置に係る発明は、車両のエンジンルーム(40)に配置され、羽根車(17)の回転に伴い発生する差圧によって流体を流動させるポンプ(10)と、エンジンルームと車室内側空間(41)を仕切るようにポンプよりも車室内側空間寄りに設けられるパネル(30)と、ポンプをパネルに対して固定するために、金属またはその他硬質材料により構成されて、パネルに形成され、または別体で固定されてパネルに一体であるとともに、ポンプを支持するブラケット(20)と、ポンプと管部材(4)を介して接続され、車室内側空間(41)に配置されている熱交換器(2)と、を備え、
ブラケット及びパネルが一体となる部位におけるパネル表面(31)と羽根車の回転の中心軸である回転軸(13)とがなす角度は、70度から90度の範囲に含まれるように設定されていることを特徴とする。
この発明によれば、羽根車の回転軸とパネル表面の角度が90度近辺の70度から90度の範囲に含まれるように設定されることにより、当該回転軸を中心として周方向に作用するトルク反力に基づくポンプの振動の方向がパネル表面に平行に近い向きになる。よって、パネル表面に対して平行な方向にポンプの振動を伝搬させることができる。この伝搬により、剛性の劣るパネルの厚み方向についての振動を低減できるため、パネルに対する振動抑制効果が得られ、車室内騒音の要因である車室内への振動伝搬を低減できる。さらに、ポンプはブラケットによってパネルに対して強固に固定され、従来技術のような防振ゴム等を主たるポンプ振動抑制の部材として活用しない構造であるため、ポンプ自身が揺れにくいように支持する効果が優れている。したがって、車室内へのポンプの振動伝搬を抑制して車室内騒音を低減できるポンプ固定装置を提供できる。
請求項2に記載の発明によると、ブラケット(20)は、パネルとは別体の部材であって金属により構成され、パネル及びポンプのそれぞれは螺合手段(23,24)によってブラケットに締結固定されていることを特徴とする。
この発明によれば、ポンプ等をブラケットに螺合手段によって締結固定することにより、ブラケットを含めたポンプ全体の振動がパネルに伝達することを抑制する効果の高い固定構造を提供できる。
請求項3に記載のポンプ固定装置に係る発明は、車両のエンジンルーム(40)に配置され、羽根車(17)の回転に伴い発生する差圧によって流体を流動させるポンプ(10)と、エンジンルームと車室内側空間(41)を仕切るようにポンプよりも車室内側空間寄りに設けられ、ポンプが直接固定されているパネル(30)と、ポンプと管部材(4)を介して接続され、車室内側空間(41)に配置されている熱交換器(2)と、を備え、
ポンプが固定されている部位におけるパネル表面(31)と羽根車の回転の中心軸である回転軸(13)とがなす角度は、70度から90度の範囲に含まれるように設定されていることを特徴とする。
この発明によれば、羽根車の回転軸とパネル表面の角度が90度近辺の70度から90度の範囲に含まれるように設定されることにより、当該回転軸を中心として周方向に作用するトルク反力に基づくポンプの振動の方向がパネル表面に平行に近い向きになるため、パネル表面に対して平行な方向にポンプの振動が伝搬させることができる。この伝搬により、パネル面に沿う方向に対して剛性の劣るパネルの厚み方向についての振動を低減できるため、パネルに対する振動抑制効果が得られ、車室内騒音の要因である車室内への振動伝搬を低減できる。さらに、ポンプはパネルに対して直接強固に固定され、従来技術のような防振ゴム等を主たるポンプ振動抑制の部材として活用しない構造であるため、ポンプ自身が揺れにくいように支持する効果が優れている。したがって、車室内へのポンプの振動伝搬を抑制して車室内騒音を低減できるポンプ固定装置を提供できる。
請求項4によると、上記のパネル表面(31)と羽根車の回転軸(13)とがなす角度は、80度から90度の範囲に含まれるように設定されていることを特徴とする。この発明によれば、ポンプの振動のパネルへの伝達を低減させる効果をより向上させることができ、より高いパネルの振動抑制が図れる。
請求項5によると、上記のパネル表面(31)と羽根車の回転軸(13)とがなす角度は、90度に設定されていることを特徴とする。この発明によれば、ポンプの振動のパネルへの伝達を低減させる最も優れた効果が得られ、パネルの優れた振動抑制が一層期待できる。
請求項6によると、管部材(4)の少なくとも一部は、ゴム製のホース部材(4)で構成されていることを特徴とする。この発明によれば、管部材の少なくとも一部にゴム製のホース部材を採用し、ゴムの高い振動減衰効果を活用することにより、ポンプ自身の振動を熱交換器側に伝えることを低減でき、車室内の騒音抑制効果をさらに向上できる。
上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本発明を適用する第1実施形態に係るポンプ固定装置を説明するための平面図である。 ポンプの固定姿勢を示した平面図である。 ポンプのロータ部の回転方向とポンプに働く最大振動方向との関係を示した模式的断面図である。 ポンプにおけるモータのトルク変動曲線である。 本発明に係るポンプ固定装置の効果を検証するために用いた実験装置を説明するための平面図である。 図5の実験装置に使用したブラケットの構成を示す正面図である。 ポンプの回転軸の角度と熱交換器の入口パイプの振動との関係を示した実験結果である。 ポンプの回転軸の角度とパネルの振動との関係を示した実験結果である。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である第1実施形態について図1〜図8を参照して説明する、図1は第1実施形態に係るポンプ固定装置を説明するための平面図である。図2はポンプ10の固定姿勢を示した平面図である。図3は、図2のIII−III断面を矢印方向に見たときの断面図であり、ポンプ10のロータ部の回転方向とポンプに働く最大振動方向との関係を示した模式的断面図である。
本実施形態のポンプ10は、車両に搭載され、エンジンの冷却水循環回路に冷却水を強制的に循環させる電動ウォーターポンプとして用いられ、図1に示すように、ブラケット20を介して車両側の構造体の一つであるパネル30に対して固定されている。パネル30は、エンジンが収容されているエンジンルーム40と乗員が在席する車室内等の車室内側空間41を仕切る壁部材であり、ポンプ10よりも車室内側空間41寄りに設けられている。パネル30は、例えば車両側のダッシュパネルであり、鉄、アルミニウム等の金属、例えば炭素系樹脂等の硬質樹脂等で形成されている。なお、パネル30は、全体的に平板状であるが、強度を増すため、複数個所の曲げ部を備えている。
ポンプ10は、ステータコア16に巻回された巻線部15と、巻線部15に通電されることにより回転するロータ部18、回転軸13を介してロータ部18と一体に設けられるインペラ17と、巻線部15、ロータ部18及びインペラ17等を収容し、ポンプ10の外殻をなすハウジング14と、を備えている。
ロータ部18は、例えば永久磁石が埋め込まれたもの、または磁性体で形成した後に着磁したもので筒状に形成されているものであって、回転の中心軸である回転軸13に対して回転できるように組み付けられている。ロータ部18は、ステータコア16から発生される変動磁界に基づいて、回転軸とともに回転する。ステータコア16は、ハウジング14内においてロータ部18に対して径方向外周側に配置されている。ステータコア16は、その軸線方向が回転軸13の軸線方向に一致する筒状に形成されている。ステータコア16は、ロータ部18との間に隙間を形成している。ステータコア16は、鉄系の素材及び樹脂等からなるもので、ハウジング14に対して動かないように固定されている。巻線部15は、回転磁界を発生する。
ハウジング14は、巻線部15及びロータ部18等を内包するモータハウジングと、インペラ17等を内包するポンプハウジングと、モータハウジングの内部空間とポンプハウジングの内部空間とを隔絶する隔壁とを備えた略円筒状の容器である。ポンプハウジングの内部空間に吸入された冷却水は、この隔壁によってモータハウジングの内部空間に漏れ出ることはない。
ロータ部18の回転軸13は、車両の前後方向に延びるシャフトであり、ポンプ10のインペラ17に接続されている。ハウジング14には、車両の右方向または左方向に突出する一対の管状部が形成され、当該管状部は外部から冷却水を吸入する吸入部11と外部へ冷却水を吐出する吐出部12を構成する。吸入部11は、接続されているパイプ5を介してエンジン側につながっている。吐出部12は、接続されている管部材としてのゴム製のホース部材4を介してヒータコア2につながっている。パイプ5は、金属管、樹脂管等で構成されている。
ヒータコア2は、車室内の空調するための空調風を送風する空調ユニット1内に形成された空気通路の下流側に配置される空気加熱用の熱交換器であり、インストルメントパネル42とパネル30との間に形成される車室内側空間41に空調ユニット1とともに配置されている。ヒータコア2は、エンジンの冷却水を熱源として車室内に送風される空気を加熱する。
ブラケット20は、鉄、アルミニウム等の金属またはその他硬質材料で構成されており、例えば、ポンプ10の振動によっては容易に弾性変形しない剛性を備えた材料であり、金属の他、硬質樹脂であってもよい。硬質樹脂は、例えば硬質の塩化ビニール樹脂、フィラーやタルク入りのABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、炭素系樹脂等である。ブラケット20は、例えば平板状であり、形成されているボルト穴にボルトを挿通してナット締めする螺合手段によって、ポンプ10及びパネル30に締結固定される。
ブラケット20には、一方端側にハウジング14の底面に沿うように接触する取付け脚部21が形成され、他方端側にパネル30の表面に沿うように接触する取付け脚部22が形成されている。取付け脚部21及び22のそれぞれには、ボルト穴が形成されている。ハウジング14側から延びるボルトを一方端側の取付け脚部21のボルト穴に挿通してナットを締めると、ブラケット20はハウジング14に強固に固定される。さらに、パネル30から延びるボルトを他方端側の取付け脚部22のボルト穴に挿通してナットを締めると、ポンプ10と一体になったブラケット20はパネル30に強固に固定されることになる。
このように第1実施形態では、硬質材料からなるブラケット20は、ゴム製の防振部材等を介さずに、ポンプ10やパネル30に直接固定されるのである。図1及び図2に図示するように、ブラケット20及びパネル30が一体となっている部位におけるパネル表面31とインペラ17の回転軸13とがなす角度θは、90度に設定されている。
ハウジング14に装着されたコネクタ部(図示せず)から巻線部15に給電が行われると、ロータ部18とともに羽根車としてのインペラ17が回転し、ポンプ10は駆動される。エンジン側から流れてくる冷却水は、パイプ5を通って吸入部11から吸入され、インペラ17に対して回転軸13の方向に流入し遠心方向に方向を変えて吐出部12から吐出され、ホース部材4を通ってヒータコア2に向けて流れる。ヒータコア2に流入した冷却水は、空調ユニット1内で車室内へ送風される空気を加熱した後、ヒータコア2の出口部に接続されたパイプ3を通ってエンジン側に流れ出る。なお、パイプ3やポンプ10及びヒータコア2間の管部材は、金属管、樹脂管等で構成され、パネル30を貫通するように配されている。
次に、ポンプ10が振動するメカニズムについて説明する。モータに給電が行われると、ロータ部18及びインペラ17は、図4に図示するトルクを受ける。なお、ポンプ10のトルクは、図4に図示するような2相半波駆動方式モータのトルク変動曲線である。
図4に示す波形のトルクは、回転するロータ部18及びインペラ17には、図3に示す内側矢印の回転方向のトルクが働く。このトルクの発生によって、ハウジング14に対して固定されているステータコア16及び巻線部15には、トルクの反力、すなわち、図3に示す外側矢印の反回転方向のトルク反力が作用するようになる。このトルク反力は、ハウジング14にも伝達するため、ハウジング14にも同様の方向に作用し、ポンプ10を加振させる主な振動源になる。したがって、ロータ部18及びインペラ17が回転軸13を中心に回転すると、図3のようにトルク反力がハウジング14に対してトルク(図3の内側矢印)と反対向きの矢印方向(図3の外側矢印)に作用し、このトルク反力の方向はポンプ10における主要な振動方向を形成することになる。
次に、本発明に係るポンプ固定装置の効果を検証した実験結果を図5〜図8を参照して説明する。図5は、ポンプ固定装置の効果を検証するために用いた実験装置を説明するための平面図である。図6は、図5の実験装置に使用したブラケット50の構成を示す正面図である。
図5に示す実験装置は、基本構造については上記説明した実施形態のポンプ固定装置と同様であるが、回転軸13とパネル30とがなす角度を調整自在にするため、ブラケット50の構成が相違している。なお、図5(a)は、パネル表面31に対する回転軸13の角度を90度に設定した状態を示しており、図5(b)は、パネル表面31に対する回転軸13の角度をθ(=70度以上90度未満の範囲の角度)に設定した状態を示している。
このブラケット50は、図6に詳細を示したように、パネル取付部51とポンプ保持部52とから構成されている。パネル取付部51は、一端側に位置しパネル30にナット24とボルトの螺合手段により固定される取付脚部51aと、他端側に位置しポンプ保持部52にナット54とボルト53の螺合手段により固定される支持部51bと、を備えている。ポンプ保持部52は、ポンプ10のハウジング14の円筒面を包むように巻きつく環状部52aと、環状部52aを閉じるように端部が合わさり外方に突出する形状で、支持部51bと上記の螺合手段により所定の角度に固定される角度可変部52bと、を備えている。
取付脚部51aは、パネル表面31に沿う形状であり、形成されているボルト穴にパネルから延びるボルトを挿通してナット24により締結することによって、パネル30に固定される。角度可変部52bは、ハウジング14を環状部52aでホールドし、かつパネル30に対して回転軸13が所定の角度θに設定された状態で、支持部51bと角度可変部52bの両方に形成されている2つのボルト穴にボルト53を挿通してナット54により締結することによって、支持部51bに固定される。つまり、角度θは、環状部52aを支持部51bに対してボルト53を中心として回転させることにより、所定の角度に設定することができるのである。角度θを所定の角度に設定した状態でナット54とボルト53を締め付ければ、回転軸13はパネル30に対して所定の角度を保って固定される。
なお、取付脚部51aの長さ寸法L2は30mm、パネル表面31からポンプ保持部52の他端部までのパネル取付部51の長さ寸法L1は70mm、パネル取付部51の板厚寸法t1は2mmに設定されている。また、環状部52aの内径寸法はφ55mm、ポンプ保持部52の板厚寸法t2は1.5mmに設定されている。
以下に実験結果を図7及び図8を参照して説明する。図7は、ポンプ10の回転軸13の角度と熱交換器(ヒータコア)の入口パイプの振動との関係を示した実験結果である。図8は、ポンプ10の回転軸13の角度とパネル30の振動との関係を示した実験結果である。各図において、横軸には角度θを、回転軸13がパネル表面31に平行な状態である0度から、垂直な状態である90度に至るまで10度刻みに設定し、縦軸には各角度のときの振動加速度の3軸値を棒グラフ状に示した。3軸値とは、パネル表面31に対して平行な上下方向及び左右方向と垂直な方向とについて計測された振動加速度を二乗平均した値である。
熱交換器の入口パイプの振動加速度は、図7に示すように、90度設定で最も小さく、70度〜90度の範囲の設定で、他の角度に比較して好ましい振動抑制効果が得られることがわかる。パネル30の振動加速度は、図8に示すように、90度設定で最も小さく、70度〜90度の範囲の設定で、他の角度に比較して良好な振動抑制効果が得られることがわかる。さらに、熱交換器の入口パイプ及びパネル30の両者の振動が、車室内への騒音に大きく影響することから、両者を合わせた振動抑制効果は、70度〜90度の範囲の設定で良好であり、パネル振動抑制の良好な結果から80度〜90度の範囲の設定でより好ましく、90度設定で最も大きいという結果が得られることがわかった。
このように角度θが90度設定に近づくほど振動抑制効果が高いという結果は、以下に説明する振動のメカニズムからも理解できる。上記したようにポンプ10の振動する方向は、トルク反力がハウジング14に伝達することにより、回転軸13を中心とした周方向となる。このため、回転軸13をパネル表面31に対して平行になるようにポンプ10を設置した場合には、当該振動方向はパネル表面31に対して垂直なパネル30の面直方向に一致する。つまり、ポンプ10の振動は、主にパネル30の面直方向に伝わることになる。
一方、パネル30は、板状部材であるため、厚み方向に垂直な方向(面に対して平行な方向)には高い剛性を有するが、厚み方向、すなわち面直方向は剛性が低く、外力を受けると撓み易く変位しやすい。したがって、振動がパネル30の面直方向に繰り返し加わると、パネル30は面直方向の前後に撓み、この繰り返し撓みによる振動が車室内に騒音として伝搬するのである。このように角度θの設定を0度から90度に近づけることでパネルの振動が起因する車室内騒音の低減が図れるのである。
また、本実施形態及び実験装置の構成により、ポンプ10は、例えば従来のゴム等の緩衝部材を介した防振構造を主力とする固定装置ではなく、パネル30に対して強固に固定されるため、ポンプ10自身の動く自由度が抑制されて、ポンプ10が揺れにくい構造となっている。これにより、ポンプ10から熱交換器側に伝搬する騒音についても、従来品に比べて抑制でき、熱交換器の入口パイプを制振することに高い効果を発揮する。
次に、第1実施形態のポンプ固定装置がもたらす作用効果について述べる。ポンプ固定装置は、エンジンルーム40に配置され、インペラ17の回転に伴い発生する駆動力によって流体を流動させるポンプ10と、エンジンルーム40と車室内側空間41を仕切るようにポンプ10よりも車室内側空間寄りに設けられるパネル30と、ポンプ10をパネル30に対して固定するために、金属またはその他硬質材料により構成されてパネル30に形成され、または別体で固定されてパネル30に一体であるとともに、ポンプ10を支持するブラケット20と、ポンプ10とホース部材4を含む管部材を介して接続され、車室内側空間41に配置されるヒータコア2と、を備える。ブラケット20及びパネル30が一体となる部位におけるパネル表面31とインペラ17の回転軸13とがなす角度θは、70度から90度の範囲に含まれるように設定されている。
この構成によれば、インペラ17の回転軸13とパネル表面31のなす角度が90度近辺の70度から90度の範囲に含まれるように設定されることにより、回転軸13を中心として周方向に作用するトルク反力に基づくポンプ10の振動する方向がパネル表面31に対して平行に近い向きになる。このため、パネル表面31に対して平行な方向にポンプ10の振動を伝搬させるように設定できる。この振動伝搬経路の設定により、パネル30を振動させやすい面直方向の振動伝搬経路を改善し、振動しにくいパネル表面31に沿う方向に振動方向を向けることができる。これにより、パネル30の厚み方向についての振動を低減できるため、パネル30がスピーカ効果により騒音源となることを解消して、車室内騒音の要因である車室内への振動伝搬を低減できる。
さらに、本実施形態によれば、ポンプ10はブラケット20によってパネル30に対して強固に固定され、従来技術のような防振ゴム等を主たるポンプ振動抑制の部材として活用しない構造であるため、ポンプ10自身が揺れにくいように支持する高い効果を発揮する。したがって、車室内へのポンプ10の振動伝搬を抑制して車室内騒音を低減できるポンプ固定装置を提供できる。
さらに、パネル表面31とインペラ17の回転軸13とがなす角度θは、80度から90度の範囲に含まれるように設定されていることが好ましい。これによれば、ポンプ10の振動のパネル30への伝達を低減させる効果をさらに向上させることができる。したがって、さらなるパネル30の振動抑制が実現できる。
さらに、パネル表面31とインペラ17の回転軸13とがなす角度θは、90度に設定されていることが好ましい。これによれば、ポンプ10の振動のパネル30への伝達を低減させる最も優れた効果が得られる。したがって、パネル30の振動抑制が最も高いポンプ固定装置が得られる。
また、ブラケット20は、パネル30とは別体の部材であって金属により構成されており、パネル30及びポンプ10のそれぞれは螺合手段によってブラケット20に締結固定されている。この固定構造によれば、ポンプ10等をブラケット20に螺合手段によって締結固定することにより、パネル30とポンプ10との固定状態が強固なものとなり、振動を抑制する高い効果が得られる。
また、ハウジング14、ブラケット20及びパネル30は、金属で形成する場合には、電食、すなわち電気的に高電位の金属がイオン化して腐食しないような同種金属により形成するのが好ましい。
また、ポンプ10とヒータコア2とを接続する管部材の少なくとも一部にゴム製のホース部材4を採用する。この構成によれば、ホース部材4の高い振動減衰効果を活用することにより、ポンプ10自身の振動をヒータコア2側に伝わることが低減でき、車室内の騒音抑制効果を高めることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
本発明に係るポンプ固定装置においてポンプ10は、ブラケット20を介さずにパネル30に直接固定されている構成でもよい。この構成を採用することにより、ポンプ10はパネル30に対して直接強固に固定され、従来技術のような防振ゴム等を主たるポンプ10の振動抑制のための部材として活用しない構造であるため、上記実施形態と同様に、ポンプ10自身が揺れにくいように支持する優れた効果を発揮できる。
上記実施形態においてブラケット20は、パネル30に対してボルト、ナット24等からなる螺合手段によって締結固定される別体の部材であるが、このような形態に限定するものではない。例えば、ブラケット20は、パネル30に予め形成された一体の部材であってもよい。この場合には、ブラケット20はプレス成形等によりパネル30の一部として形成されている。また、ブラケット20は、元々パネル30とは別体の部材であっても、容易に取り外しできないように溶接によってパネル30に一体に接合される形態であってもよい。
上記実施形態においてポンプ10は、エンジンを冷却する冷却水を回路に循環させる電動ウォーターポンプとして用いられるが、このような使用形態に限定されるものではない。例えばポンプ10は、インバータ装置を構成する電子部品を冷却するための流体を循環させるポンプとして使用することもできるし、過給器を備えた車両における過給器、インタークーラ等を冷却するための流体を循環させるポンプとして使用することもできる。
また、ブラケット20は、ポンプ10のハウジング14やパネル30に対して、溶接、ろう付け等により強固に固定するようにしてもよい。また、ブラケット20は、ポンプ10のハウジング14やパネル30に対して、かしめにより固定してもよい。この場合、ハウジング14やパネル30は、少なくとも、かしめに関わる部分を金属により形成することができる。
また、ブラケット20及びポンプ10のハウジング14のいずれか一方に爪部を設け、他方に当該爪部が嵌まりこむ爪嵌合部を設け、両者の嵌め合いにより固定するようにしてもよい。また、この嵌め合い構造は、ブラケット20とパネル30の関係にも適用できる。
また、ポンプ10のハウジング14とパネル30の固定は以下の構造を採用することができる。ハウジング14を樹脂製の枠体に嵌めこみ、溶着し、または螺合手段により固定して、当該枠体と一体にし、この枠体をパネル30に対して、螺合手段により固定してもよい。
また、ポンプ10のハウジング14とパネル30の固定は以下の構造を採用することができる。ハウジング14を硬いゴム成形部材に嵌めこみ、このゴム成形部材をパネル30に対して螺合手段により固定してもよい。ゴム成形部材のゴム硬度は、A60度以上、または、ハウジング14に100Nの外力を加えたときに、ハウジング14とパネル30の取付け部位と、ハウジング14との相対変位が10mm以下になるような硬度に設定する。このA型硬度は、ISO(国際標準化機構)やデュロメータ(ショア)などに準拠した硬度に関する基準である。
また、ポンプ10のハウジング14とブラケットの固定は以下の構造を採用することができる。ハウジング14にゴム板、ドーナツ状のゴム成形部材、またはCの字状のゴム成形部材を巻きつけ、さらにその外周に巻きつけるブラケットにてポンプ10を固定する。これらのゴム部材の硬さは、上記と同様にA60度以上、または、ハウジング14に100Nの外力を加えたときに、ハウジング14とブラケット20の取付け部位と、ハウジング14との相対変位が10mm以下になるような硬度に設定する。
2…ヒータコア(熱交換器)
4…ホース部材(管部材)
10…ポンプ
13…回転軸
14…ハウジング
17…インぺラ(羽根車)
23…ナット(螺合手段)
20…ブラケット
30…パネル
31…パネル表面
40…エンジンルーム
41…車室内側空間

Claims (6)

  1. 車両のエンジンルーム(40)に配置され、羽根車(17)の回転に伴い発生する差圧によって流体を流動させるポンプ(10)と、
    前記エンジンルームと車室内側空間(41)を仕切るように前記ポンプよりも前記車室内側空間寄りに設けられるパネル(30)と、
    前記ポンプを前記パネルに対して固定するために、金属またはその他硬質材料により構成されて、前記パネルに形成され、または別体で固定されて前記パネルに一体であるとともに、前記ポンプを支持するブラケット(20)と、
    前記ポンプと管部材(4)を介して接続され、前記車室内側空間(41)に配置されている熱交換器(2)と、
    を備え、
    前記ブラケット及び前記パネルが前記一体となる部位におけるパネル表面(31)と前記羽根車の回転の中心軸である回転軸(13)とがなす角度は、70度から90度の範囲に含まれるように設定されていることを特徴とするポンプ固定装置。
  2. 前記ブラケット(20)は、前記パネルとは別体の部材であって金属により構成され、前記パネル及び前記ポンプのそれぞれは螺合手段(23,24)によって前記ブラケットに締結固定されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ固定装置。
  3. 車両のエンジンルーム(40)に配置され、羽根車(17)の回転に伴い発生する差圧によって流体を流動させるポンプ(10)と、
    前記エンジンルームと車室内側空間(41)を仕切るように前記ポンプよりも前記車室内側空間寄りに設けられ、前記ポンプが直接固定されているパネル(30)と、
    前記ポンプと管部材(4)を介して接続され、前記車室内側空間(41)に配置されている熱交換器(2)と、
    を備え、
    前記ポンプが固定されている部位におけるパネル表面(31)と前記羽根車の回転の中心軸である回転軸(13)とがなす角度は、70度から90度の範囲に含まれるように設定されていることを特徴とするポンプ固定装置。
  4. 前記パネル表面(31)と前記回転軸(13)とがなす角度は、80度から90度の範囲に含まれるように設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポンプ固定装置。
  5. 前記パネル表面(31)と前記回転軸(13)とがなす角度は、90度に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポンプ固定装置。
  6. 前記管部材(4)の少なくとも一部は、ゴム製のホース部材(4)で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポンプ固定装置。
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