JP5428058B2 - 微粒化エラグ酸化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、重量平均分子量が5,000〜200,000である非イオン性水溶性高分子を含んだ溶媒中で、エラグ酸化合物に剪断力を加える、微粒化エラグ酸化合物の製造方法を提供する。
本発明はまた、上記方法で製造した微粒化エラグ酸化合物を含む組成物を提供する。
本発明はまた、上記方法で製造した微粒化エラグ酸化合物を提供する。
また、本発明の微粒化エラグ酸化合物は、その粒子径が細かいことから、皮膚に対する吸収性に優れている。従って、微粒化エラグ酸化合物を美白効果の求められる美容製品や医薬部外品等に使用して、これら製品に優れた美白効果を付与できる。また、本発明の微粒化エラグ酸化合物は、長期保存しても凝集が抑制されており、安定である。
(1)エラグ酸化合物
本発明で用いるエラグ酸化合物は、エラグ酸又はそのアルカリ金属塩、例えば、エラグ酸、3,4−ジ−o−メチルエラグ酸、3,3'−ジ−o−メチルエラグ酸、3,3'4−トリ−o−メチルエラグ酸、3,3',4,4'−テトラ−o−メチル−5−メトキシエラグ酸、3−o−エチル−4−o−メチル−5−ヒドロキシエラグ酸等、及びこれら化合物のアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩及びカリウム塩)が挙げられる。本発明においては、微粒化物の安定性や変色防止の点から、エラグ酸がより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エラグ酸化合物は、例えば、以下のようにして容易に得られる。即ち、イチゴ、タラ(Caesalupinia Spinosa)、ユーカリ材(Eucalyptus)、リンゴ、毒ウツギ(コリアリア ヤポニカ)、ラジアタ松、クマコケモモ、ザクロ、アンマロク、ウキュウヨウ、エンフヨウ、ガイジチャ、カコウジュヨウ、カシ、キジュ、ケンジン、コウナカ、サンウキュウコン、サンウキュウヨウ、シュウフウボク、センクツサイ、ソウゲンロウカンソウ、ダイヒヨウソウ、ドウモウアンヨウ、ハオウべン、バンセキリュウカン、バンセキリュウヒ、ボウカ、モッショクシ、ヤトウセイカ、ヤトウセイヒ、ユカンコン、ユカンボクヒ、ユカンヨウ、リュウガソウコン、バンセキリュウヨウ、ウキュウボクコンピ、シドコン、チンシュソウ、ゲンノショウコなどの、エラグ酸化合物を含有する天然物の乾燥粉砕品を、通常の酸性亜硫酸塩法によって蒸解後、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液(pH10〜13)に浸漬し、浸漬液を分取後、該浸漬液に、硫酸や酢酸等の酸を加えてpHを2〜8に調整し、エラグ酸化合物を主成分とする沈殿物を得た後、該沈殿物を遠心分離等によって補集し、水洗して不純物を除くことにより、純度の高いエラグ酸化合物が得られる。
通常、上記のようにして得られたエラグ酸化合物は、針状結晶の凝集した塊の状態にあり、凝集状態の塊の粒子径は約10〜100μmの範囲である。本発明の方法は、このような大きさのエラグ酸化合物に剪断力を加えて、微粒化エラグ酸化合物を製造できる。ただし、上記粒子径の範囲にあるエラグ酸化合物に対して前処理を行い、前記範囲よりも小さくしたエラグ酸化合物に対して、本発明の方法を適用することも、当然に本発明の範囲に入ることは言うまでもない。
本発明の方法において、非イオン性水溶性高分子は分散剤として作用する。当該高分子を配合することで、エラグ酸化合物を効率よく分散することを可能とする。また、従来の無機系分散剤(例えばピロリン酸ナトリウム)を使用した場合のように、エラグ酸化合物が激しく変色することがない。
本発明で使用する水溶性高分子は、非イオン性の水溶性高分子を使用する。非イオン性の高分子は、ピロリン酸ナトリウムのようなアルカリ性を示さないので、エラグ酸化合物を変色させることが無く、色調に優れた微粒化エラグ酸化合物を得ることを容易とする。
またここで、“水溶性高分子”とは、25℃の水(100g)に対して1g以上溶解できる高分子を意味する。
また、使用する非イオン性水溶性高分子は、5,000〜200,000、好ましくは5,000〜150,000、さらに好ましくは5,000〜100,000の範囲の重量平均分子量を有する。非イオン性水溶性高分子の重量平均分子量が5,000以上であることにより分散能が発揮される。また、非イオン性水溶性高分子化合物の重量平均分子量が200,000以下であることにより、分散後の再凝集を抑制できる。
非イオン性水溶性高分子の重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)−多角度レーザー光散乱検出装置(MALLS)システムにより測定できる。具体的な測定方法は、例えば、装置として送液ポンプ(製品名:Shodex DS−4、昭和電工製)、デガッサー(製品名:ERC3115、ERC社製)、カラム(製品名:Shodex OHpak SB−805 HQ、昭和電工製)、光散乱検出器(製品名:DOWN、Wyat Technologie社製)及び濃度検出器(製品名:Shodex RI−71、昭和電工製)等を用いて測定できる。操作条件は、例えば、溶離液として0.1M NaNO3/CH3CN=9/1の混合液を30℃において1.0mL/minの流速で、試料0.02〜0.3質量%(溶媒は0.1M NaNO3)を注入量200μLに設定できる。
いかなる理論に拘束されないが、分散後の再凝集を抑制する効果のメカニズムは、以下のように推定される。エラグ酸化合物に含まれる水酸基(親水基)と、水溶性高分子に含まれる水酸基、カルボニル基及びカルボキシル基等の親水基の間における水素結合等の相互作用により、水溶性高分子がエラグ酸化合物に吸着する。この結果、水溶性高分子が、エラグ酸化合物の保護膜として又は立体障害として機能し、微粒化したエラグ酸化合物同士を近づけにくくする。また、このような微粒化したエラグ酸化合物同士が近づくと、その周囲の水溶性高分子濃度が見かけ上高くなることから、濃度を希釈しようとする力、すなわち浸透圧の関係から粒子同士が近づきにくくなることも関係していると考えられる。
また、上記のような高分子の中でも、25℃での10質量%水溶液の粘度が、1〜200mPa・s、好ましくは3〜150mPa・s、より好ましくは5〜100mPa・sである高分子を、好ましく使用できる。粘度が、1mPa・s以上であることにより分散能が向上し、長期保存安定性に優れた微粒化エラグ酸化合物を得ることができる。一方200mPa・s以下であることにより微粒化を速やかに行うことができ、より効率よく微粒化エラグ酸化合物を得ることができる。尚、粘度は、BL型粘度計、例えば株式会社東京計器製「B型粘度計」でNo.2ローターを用いて60rpm、10秒後の測定値である。
溶媒は、微粒化した後のエラグ酸化合物を使用する用途によって適宜選択することができる。ただし、エラグ酸が有する美白作用を発揮させる対象は生物、特に人間が主な対象となるため、人体に対して害の少ない溶媒を選択することが好ましい。また、本発明で使用する高分子化合物が水溶性であることから、親水性の溶媒を使用することが好ましい。
当該親水性の溶媒としては、例えば、水、アルコール、例えばエタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記成分以外に、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、他の成分を添加して本発明の方法を行うことができる。他の成分としては、例えば、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられる。これらの添加量は、各成分ごとに適宜調整可能である。
エラグ酸化合物に対して剪断力を加える手段としては、一般的に物質に剪断力を与えるために用いられる手段のいずれも使用することができ、手動・自動の別を問わない。従って、例えば、上記高分子を含んだ溶媒に添加したエラグ酸化合物を、乳鉢と乳棒を用いて手動で剪断力を加えることも、当然に本発明の範囲に含まれる。
ただし、本発明では、製造効率の観点により、自動の手段、例えばホモジナイザーを使用することが好ましい。本発明においては、ホモジナイザーは、例えば、ビーズミル、回転力を利用したホモジナイザー、圧力を利用したホモジナイザーが挙げられる。本発明では、より小さい粒子径を有する微粒化エラグ酸化合物を得ることができるため、ビーズミルを使用することがより好ましい。
本発明において、ビーズミルとは、金属製、金属酸化物製(ジルコニアやアルミナ等)又はガラス製のビーズにシェアをかけ、当該ビーズ同士がこすれる際に発生する応力で物質をすりつぶす機構を有した装置を指す。処理の方式については、連続式又はバッチ式のいずれの方式でもよい。ビーズミルの大まかな構成は図1に示すような、ベッセル(容器)、回転軸、回転軸に備えられた羽根、回転軸に動力を与えるモーター(図示せず)である。ベッセル中に前記羽根を入れ、モーターを用いて回転軸を回転させる。回転軸と共に回転する羽根によって与えられた応力により、ベッセル中に入れられたビーズ同士が衝突し、衝突時に発生した力により、分散対象である物質に対して剪断力を与えることができる。なお、図1に示すような循環用容器及び循環用ポンプからなる循環装置を同時に使用して、処理を繰り返して行うこともできる。
本発明で使用できるビーズミルの代表的な例は、アシザワ・ファインテック(株)のスターミルナノゲッター、スターミルZRS、スターミルLMZ、アジテータミルLMK、(株)井上製作所のスパイクミル、マイティーミル、マイティーミルマークII、キーミル、寿工業(株)のアペックスミル、スーパーアペックスミル、ウルトラアペックスミル、アイメックス(株)のサンドグラインダー(SLG)、レディーミル(RMV−03)、ナノレディーミル(RMV−03)、ウルトラビスコミル(UVM)、ウルトラ−Xビスコミル(UVX)、ニュービスコミル(NVM)、三井鉱山(株)のSCミル、MSCミル、アトライタ、ファインミル、(株)ユーロテックのアニュラーギャップ型ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズのダイノーミルECM、三菱重工業(株)のファインミル、日本アイリッヒのMicroMediaP1、シンマルのDYNO−MILL NPM-NANO Performance Mill等が挙げられる。
回転力を利用したホモジナイザーとは、回転する2枚以上のディスクの隙間に処理対象である粒子を通過させる機構を有する機器を指し、一般的にはホモミキサーやコロイドミルと呼ばれる機器もこの範疇に含まれる。ホモジナイザーの向き合った2枚のディスクは相対する方向に回転しても良く、2枚いずれかのディスクを固定して、もう一方のディスクを回転させても良い。いずれかのディスク又は全てのディスクが、スリット(隙間)を有しても良い。なお、本明細書で「ディスク」とは、平板のみならず、プロペラのように立体的な形状を有するものも含む概念とする。これら回転力を利用したホモジナイザーのうち、両方のディスクが回転するホモジナイザーとしてエムテクニック社製クレアミックスWモーションCLM-1.7/5.5W、一方のディスクが固定されているホモジナイザーとしてエムテクニック社製クレアSS5-100、プライミクス社製アヂホモミクサー2M型やHV-M等が挙げられる。
(c)圧力を利用したホモジナイザー
圧力を利用したホモジナイザーとは、粉砕対象を高圧または超高圧に加圧し、スリット(隙間)を通過する際に発生する剪断力により粉砕・分散・乳化等を行う機器を指し、一般的には高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーと呼ばれる機器を含む。このような機器としては、例えば、みづほ工業社製マイクロフルイダイザーM-110E/H等が挙げられる。
本発明の微粒化エラグ酸化合物の製造方法においては、上記エラグ酸化合物、水溶性非イオン性高分子及び溶媒の合計質量に基づいて、エラグ酸化合物を0.5から15質量%、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜8質量%加えることが好ましい。エラグ酸化合物の配合量を0.5質量%以上とすることにより短時間で効率よく微粒化できる。一方、15質量%以下とすることにより、微粒化の工程において過度の増粘を避けて、微粒化を効率的に行える。
また、上記エラグ酸化合物、水溶性非イオン性高分子及び溶媒の合計質量に基づいて、非イオン性水溶性高分子を0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%加えることが好ましい。当該高分子の配合量を0.01質量%以上とすることにより分散能を発揮する。一方で、当該高分子の配合量を5質量%以下とすることにより、微粒化をより効率よく行うことができる。
なお、前記成分を添加する順番について特に制限はないが、例えば、水等の溶媒に水溶性高分子を溶解させた後にエラグ酸化合物を添加し、次いで剪断力をかける方法が好ましい。また、さらに好ましくは、剪断力をかける前に、あらかじめ溶媒に対してエラグ酸化合物を分散する工程を行っても良い。例えば、溶媒に非イオン性水溶性高分子を添加して溶解させ、これに対してエラグ酸化合物を添加して、例えば、へらの様な道具を用いて手動で、又は卓上ディスパー等を用いて溶媒を攪拌し、次いでエラグ酸化合物に剪断力をかけることができる。このようにすることで、エラグ酸化合物に対して剪断力をかける際にエラグ酸化合物がダマになることを避け、これにより製造効率を向上させるメリットを有する。
(ビーズミル)
使用するビーズの素材は、ガラス(2〜3)、チタニア(3.9)、窒化ケイ素(3.2)、アルミナ(3.6)、ジルコニア(6.0)、スチール(7.85)、ステンレス(7.95)等が使用できる。尚、括弧内の数値は比重を指す。本発明の方法においては、比重が5以上の素材でできたビーズを使用することが、より大きな剪断力を得ることができる点から好ましい。中でも、ジルコニアビーズは、ジルコニアが人体に対して無害であり、ビーズ同士又はビーズとベッセルが衝突することによりジルコニア粉が発生し、これが微粒化エラグ酸化合物の溶液に混入しても問題とならないため好ましい。
ビーズの粒子径(直径)は、10〜500μm、好ましくは20〜200μm、より好ましくは30〜150μmのものが好ましく使用できる。ビーズの粒子径を10μm以上とすることにより、十分な剪断力を得ることができ、微粒化を促進することができる。一方で500μm以下とすることにより、微粒化を速やかに行える。なお、ビーズの粒子径は、光学顕微鏡を用いて、スケールとの対比により目視で測定できる。
ビーズの充填率は、ベッセルの容積に対して、30〜95容積%、好ましくは35〜90容積%、より好ましくは40〜85容積%の範囲である。充填率を30容積%以上とすることにより、微粒化を短時間で行うことができる。一方で充填率を95容積%以下とすることにより、微粒化エラグ酸化合物の回収率を向上できる。
任意の形状の羽根を用いることができる。羽根の大きさは、ビーズミルのベッセルの内側の直径に対して、50%以上100%未満の直径を有する羽根を使用することが好ましい。50%以上の直径を有する羽根を使用することにより、ビーズに効率良くエネルギーを与えることが出来る。一方で、100%未満の直径を有する羽根を使用することにより、一度に多くの微粒化を行うことができる。
また、上記のような羽根を用いる場合、5〜17m/sec、好ましくは7〜15m/sec、さらに好ましくは9〜13m/secの範囲の羽根先端速度(周速)で回転軸を回転させることが好ましい。周速は5m/sec以上とすることにより微粒化が促進される。周速を17m/sec以下にすることでビーズの破壊を抑制できる。
(i)両方のディスクが回転するホモジナイザー
一のディスクの回転数が、7000〜20000rpm、好ましくは8000〜20000rpmの範囲である。また、もう一方のディスクの回転数は、7000〜20000rpm、好ましくは8000〜20000rpmの範囲である。ディスクの間隔(隙間)は、0.05〜1mm、好ましくは0.05〜0.6mm の範囲である。なお、ディスクがプロペラ形状等の平板以外の立体的な形状である場合には、隣接
する2つのディスクの表面間の最短距離をディスクの間隙とする。
(ii)一方のディスクが固定されたホモジナイザー
回転数を7000〜20000rpm、好ましくは8000〜20000rpmの範囲である。ディスクの間隔(隙間)は、0.001〜1mm、好ましくは0.001〜0.6mmの範囲である。
高圧ホモジナイザーを用いた場合には、圧力を50〜170MPa、好ましくは80〜150MPaの範囲とする。
製造したエラグ酸化合物の粒子径は、メジアン径を測定することにより行う。測定機器は、動的光散乱法を用いた粒度分布を測定する機器を用いる。
本発明の方法を上記のように実施することにより、微粒化エラグ酸化合物が得られる。
微粒化エラグ酸化合物は、粒子径が0.01〜0.7μm、好ましくは0.02〜0.5μm、より好ましくは0.03〜0.3μmの範囲であることが好ましい。上記のような範囲の粒子径を有することにより、エラグ酸の皮膚への経皮吸収性の向上と言う効果を発揮できる。尚、左記粒子径は、2.で記載する方法で測定した値である。
上記方法により得られたエラグ酸化合物は、その周囲に上記高分子がまとわりついた状態で上記溶媒中で存在すると推定される。得られた微粒化エラグ酸化合物は、製造後の溶媒を含んだ状態で使用することも、溶媒を除去して粉末の状態で使用することもできる。溶媒は、例えばエバポレーター等により除去することができる。
また、得られた微粒化エラグ酸化合物は、分光式色差計等を用いて測定したZ値により色調を評価することができる。微粒化エラグ酸化合物の色調は、Z値で55以上のもの、好ましくは60以上のものが好ましい。
上記微粒化エラグ酸化合物は、前記のような優れた効果を有する。従って、例えば、化粧品、例えば化粧水、医薬部外品等の組成物に対して加えることにより、これらの組成物に対して優れた機能を付与することができる。
前記組成物に対して微粒化エラグ酸化合物を添加する場合、当該エラグ酸化合物の配合量は、添加する対象となる組成物の種類により適宜変更することができる。一般的には、水性組成物100質量部に対して、微粒化エラグ酸化合物を0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.2〜1質量部加えることができる。
以下に実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例が本発明の範囲を何ら限定しないことは言うまでもない。
(実施例1)
(ビーズミルを用いた微粒化エラグ酸化合物の製造)
以下の表1に記載する条件及び組成で微粒化エラグ酸化合物の製造を行った。なお、表中使用したポリビニルピロリドンはBASF社製コリドン30(Kollidon30)(重量平均分子量50,000、10質量%粘度(25℃):10mPa・s)を使用した。また、エラグ酸化合物として、エラグ酸(キッコーマン社製商品名「エラグ酸LT」:平均粒子径50μm)を使用した。以下表1〜4においても、上記のものを使用した。
使用したビーズミルは寿工業社製ウルトラアペックスミルUAM015(連続式ビーズミル)である。
表1に記載の1gの水溶性高分子(ポリビニルピロリドン(PVP))を1Lビーカー(100mmφ)に予め用意した486.5gの精製水に投入し、パドル翼(55mmφ)を用いて500rpm、20min攪拌し溶解した。次に12.5gのエラグ酸粉末を投入し、同パドル翼を用いて500rpm、5min攪拌することによりエラグ酸分散液を調製した(総量500g)。該エラグ酸分散液をビーズミルで微粒化するため、50μmのジルコニアビーズを充填率が80%になるようにベッセルに、エラグ酸分散液を外部に備えた循環容器にそれぞれ仕込んだ。羽根の周速が10m/secになるように回転軸を回転させてビーズに対してシェアを加えて、当該ベッセルに対して分散液を供給して処理を行った。分散液を、表1に規定するように200g/minの速度で前記ベッセルに供給し、分散液の全量(500g)が供給されたとき(2.5分)を1パスとして、15パス分(37.5分)前記ベッセルを循環させることにより、エラグ酸分散液(微粒化物)を調製した。なお、調製時の温度を冷却しながら30〜35℃に制御した。
表1に記載された分散剤及び組成%で行った以外は、実施例1と同様に行った。なお、ヒドロキシプロピルセルロースは日本曹達社製HPC-L(重量平均分子量6,500、10質量%粘度(25℃)40mPa・s)を使用した。
(比較例1〜3)
表1に記載された分散剤及び組成%で行った以外は、実施例1と同様に行った。なお、キサンタンガムは伊那食品社製キサンタンガムV-10K(重量平均分子量約200万、10質量%粘度(25℃):10,000mPa・s)及びピロリン酸ナトリウムは関東化学社製二りん酸ナトリウム十水和物(試薬特級)をそれぞれ使用した。
(比較例4)
表1に記載のエラグ酸12.5gを1Lビーカー(100mmφ)に予め用意した432.5gの精製水に投入し、パドル翼(55mmφ)を用いて500rpm、20min攪拌しエラグ酸分散液を調製した(総量445g)。該エラグ酸分散液をビーズミルで微粒化するため、50μmのジルコニアビーズを充填率が80%になるようにベッセルに、エラグ酸分散液を外部に備えた循環容器にそれぞれ仕込んだ。羽根の周速が10m/secになるように回転軸を回転させてビーズに対してシェアを加えて、当該ベッセルに対して分散液を供給して処理を行った。分散液を、表1に規定するように200g/minの速度で前記ベッセルに供給し、分散液の全量(445g)が供給されたとき(2.2分)を1パスとして15パス分(33.4分)前記ベッセルを循環させることにより、エラグ酸剪断処理分散液を調製した。その後、本分散液を1Lビーカーに移し、50gの精製水に溶解したPVP(5g)の水溶液を添加、パドル翼を用いて500rpm、20min攪拌してエラグ酸分散液を調製した。なお、全工程の調製温度を冷却しながら30〜35℃に制御した。
(1)粒子径の測定
日機装社製のマイクロトラックUPA-150EXを用いて行った。分散媒が水(屈折率1.33)及び分散質がエラグ酸(屈折率1.52)である測定サンプルを用いた。具体的な測定方法は、測定サンプルを測定器にセットし、25℃で均一に攪拌し、サンプルローディング値を1〜5になることを確認後、測定を開始した。測定時間は600秒で、測定回数は1回とした。前記条件で測定を行い、体積基準での粒子径の分布を求め、50%の値(メジアン径、d50値)を決定した。
(2)色調
日本電色工業社製の分光式色差計SE2000Tを用いて、30mmφのセルに試料を測定サンプル3mLを投入したものを測定した。測定部の直径は30mmφ、測定光源としては2度視野、C光源を使用し、算出されたZ値により色調を評価した。
評価基準は以下の通りである。Zの値が大きいほど、測定対象がより白いことを意味する。
◎:Z値が60以上
○:Z値が55以上60未満
△:Z値が50以上55未満
×:Z値が50未満
(3)保存安定性
上記実施例、比較例の方法より得られた微粒化エラグ酸を調製後直ぐにサンプル瓶(日電理化硝子製SV-50A)に移し、25℃恒温槽にて静置保存した。調製直後、保存2週間後、及び1ヵ月後に粒子径を測定した。粒子径の測定方法は、(1)に記載した通りである。
さらに実施例1〜4で得られた微粒化エラグ酸は経時で粒子径測定値がほとんど変わらないことから、凝集が長期間抑制されていることがわかる。一方、比較例3では調製直後に比べ経時で粒子径測定値が大きくなることから、分散されたエラグ酸化合物が分散後に凝集していることがわかる。
表1の実施例1のように微粒化時に水溶性高分子を含有させる(図1)ことで凝集が抑制されていることがわかる。一方で、比較例4のように微粒化後に水溶性高分子を添加する(図2)場合、水溶性高分子を配合していない比較例1と同等の粒子径を有することから、比較例4で使用した水溶性高分子は凝集抑制効果がほとんどない事がわかる。
(回転力を利用したホモジナイザーを用いた微粒化エラグ酸化合物の製造)
エムテクニック社製クレアミックスWモーションCLM-3.7/5.5Wを用いて微粒化エラグ酸化合物を製造した。条件は、以下の表2に記載するとおりである。
実施例1と同様にエラグ酸分散液を調製した(総量1000g)。該エラグ酸分散液をWモーションで微粒化するため、外部循環用容器に分散液を投入後、微粒化装置内の上部のディスク(ローター(R2タイプ))を17000rpmで、下部のディスク(スリット(S1.8-24タイプ))を、前記ローターとは逆回転に15500rpmで回転させ、3500g/minの流量で循環しながら10分間剪断を付与し、エラグ酸分散液(微粒化物)を調製した。尚、2枚のディスクの隙間は、0.3mmであった。また、調製温度を冷却しながら30〜35℃に制御した。
(回転力を利用したホモジナイザーを用いた微粒化エラグ酸化合物の製造)
エムテクニック社製クレアSS5-100を用いて微粒化エラグ酸化合物を製造した。条件は、以下の表3に記載するとおりである。
実施例1と同様にエラグ酸分散液を調製した(総量1000g)。該エラグ酸分散液をクレアSS5で微粒化するため、クレアSS5-100の投入口に分散液を投入後、ローターを10000rpmで回転させ、分散液の処理を開始した。処理流量が6.0g/minに安定した後の分散液を、本発明の微粒化エラグ酸化合物を含んだ液として回収した。なお、調製温度を冷却しながら30〜35℃に制御した。
(圧力を利用したホモジナイザーを用いた微粒化エラグ酸化合物の製造)
みづほ工業社製マイクロフルイダイザーM-110E/Hを用いて微粒化エラグ酸化合物を製造した。条件は、以下の表4に記載するとおりである。
実施例1と同様にエラグ酸分散液を調製した(総量500g)。該エラグ酸分散液をマイクロフルイダイザーで微粒化するため、投入口に分散液を投入後、分散液を処理圧力100MPa、処理流量200g/minで10回(パス)マイクロフルイダイザーに導入して剪断力をかけることによりエラグ酸分散液(微粒化物)を調製した。なお、調製温度を冷却しながら30〜35℃に制御した。
表5に記載の実施例8、9、および比較例8の組成に従って、以下の手順で微粒化したエラグ酸配合水性組成物(クリーム)を調製した。
2Lアジホモミキサー(プライミクス社製、商品名T.K.アヂホモミクサーHV-M型)のベッセルに、表5に示す水相成分を約70℃で溶解した後、エラグ酸分散液を水相に添加し均一混合した。次に、ホモミキサーを10000rpmで回転させ、80℃で混合溶解した表6に示す油相を添加して乳化を2分行った。乳化後、掻き取り羽根を100rpmで回転させながらベッセルを冷却し内容物が35℃になるまで冷却することにより、水性組成物を調製した。
製造した水性組成物の色調を目視で観察した。以下の基準で評価を行い、結果を表5に示す。
◎・・・白色
○・・・ごくわずかに灰色
△・・・少し灰色
×・・・灰色
Claims (6)
- 重量平均分子量が5,000〜200,000であるヒドロキシプロピルセルロースを含んだ溶媒中で、エラグ酸化合物に剪断力を加えることを特徴とする、微粒化エラグ酸粒子の製造方法。
- 剪断力を加えるためにホモジナイザーを用いる、請求項1に記載の微粒化エラグ酸粒子の製造方法。
- 剪断力を加えるためにビーズミルを用いる、請求項1又は2に記載の微粒化エラグ酸粒子の製造方法。
- 得られる微粒化エラグ酸粒子の粒子径が、0.01〜0.7μmの範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粒化エラグ酸粒子の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載する方法で製造した微粒化エラグ酸粒子を含む組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載する方法で製造した微粒化エラグ酸粒子。
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