JP5427713B2 - 統合失調症の陽性症状のための治療薬 - Google Patents

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Description

本発明は、ハロペリドール適応症治療薬および該ハロペリドール適応症治療薬が添加された飲食品に関する。
現代社会に生活している人類は、好むと好まざるとに係わらず、不可避的に精神的あるいは物理的な種々のストレスに暴露されざるを得ない状況にあり、かつ社会構造の変化や文化的変容などによりその機会も増加している。このような少なからぬストレス暴露を受ける社会環境下では、心身症が増加し、また、不安、うつ状態、不眠など、種々の精神疾患(精神障害)や神経疾患が誘発されやすくなっている。
精神疾患とは、脳の機能的及び器質的障害によって惹き起こされる疾患をいい、その治療には、精神療法や電気痙攣療法、ハロペリドール等の向精神薬を用いた薬物療法等が採用されている。
ハロペリドールは、ヤンセンらによって鎮痛薬メペリジンから誘導され、覚醒剤のアンフェタミンにより誘発された運動量増加を抑制する薬物として発見されたブチロフェノン系の抗精神病薬である。ハロペリドールには、クロルプロマジンとほぼ同様の中枢神経抑制作用が見られ、動物実験での神経遮断作用、アポモルヒネ誘発嘔吐に対する拮抗作用などについてはクロルプロマジンよりも強力である。また、馴化作用や条件回避反応の抑制なども示す。臨床的には、統合失調症の陽性症状(興奮状態等)に有効で、特にフェノチアジン系薬物の無効な例に良いと言われている。統合失調症のほか、双極性障害、譫妄、運動異常症、ハンチントン病、テゥレット障害、アンフェタミン中毒、偏執症、重篤な混乱や興奮、難治性吃逆、悪心や嘔吐などにも使用されている。
一方、ラクトフェリンは、涙、唾液、抹消血、乳汁等に含まれている無害、かつ天然の鉄結合蛋白質(1分子当たり2個の鉄イオンを結合可能)であり、分子量は、ウシ−ラクトフェリンが86000ダルトン、ヒト−ラクトフェリンが88000ダルトンである(非特許文献1〜3)。
ラクトフェリンについては、現在までに、様々な作用を有することが報告されている。たとえばラクトフェリンは、特に、生体が外界と直接接触する眼や口腔、消化管粘膜、鼻腔、気管支等を覆う粘液中に存在することから、従来、病原微生物やウイルスの感染を防御する最初の防壁としての役割が注目されており、たとえば大腸菌、カンジダ菌、クロストリジウム菌等の有害微生物に対する抗菌作用(非特許文献4)、ヒト及び動物の腸内にビフィズス菌等の有用細菌の定着を促進する作用(特許文献1)、ビフィズス菌増殖因子としての作用(特許文献2)、サイトメガロウイルス、ヒト免疫不全ウイルスに対する抗ウイルス作用(非特許文献5)等が報告されている。また、これらの他、免疫復活作用(特許文献3)、細胞増殖作用(特許文献4)、抗腫瘍作用(非特許文献6)、抗リュウマチ作用(特許文献5)、薬剤に起因する慢性肝障害に対する肝機能改善作用(特許文献6)、抗ストレス作用(特許文献7)、鎮痛作用(特許文献8)、糖尿病患者などにおける血糖値を調節する作用(特許文献9)等が報告されている。しかし、ラクトフェリンが有する薬理作用として、統合失調症のようなハロペリドール適応症を予防または治療する作用は報告されていない。
今掘和友,山川民夫監修.生化学辞典(第4版).東京科学同人;2007: p.1412 山内邦男,横山健吉編.ミルク総合辞典.朝倉書店;1992: p.37 Masson PL, et al. Clin Chim Acta. 1966; 14: 735-739 Welsh JK, May JT. J Pediat. 1979; 94: 1-9 Valenti P, et al. Adv Exp Med Biol. 1998; 443: 199-203 Bezault J, et al. Cancer Res. 1994; 54: 2310-2312
特開平1−221319号公報 特開平2−225419号公報 特開平7−179355号公報 特開平6−48955号公報 特開平5−186368号公報 国際公開第00/06192号パンフレット 特開2001−354583号公報 国際公開第03/061688号パンフレット 国際公開第06/096515号パンフレット
ハロペリドールは、上述したように、統合失調症の陽性症状の治療薬として使用されている。また、その他の精神疾患として、双極性障害、譫妄、運動異常症、ハンチントン病、テゥレット障害、アンフェタミン中毒、偏執症、重篤な混乱や興奮等の治療薬としても使用されている。また、難治性吃逆、悪心や嘔吐にも有効であるとされている。
しかしながら、ハロペリドールには、無視し得ない副作用がある等の理由から、使用に当たっては、医師等の監督の下、充分な注意を払う必要がある。
また、統合失調症患者は喫煙率が非常に高いことなどから、喫煙により統合失調症の症状が一時的にせよ緩和される可能性があるとの考えも成り立つ。しかし、喫煙は、従来の治療薬と異なり、医師等の監督の下に使用する必要はないものの、発ガンを初め様々な悪影響が知られていることから、喫煙は推奨されない。
したがって、ハロペリドールと同様の薬理作用(ハロペリドール様作用)を有し、しかも安全で、簡便に使用できる物質がハロペリドール適応症治療薬として望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、安全で、簡便に使用できるハロペリドール適応症治療薬を提供することを目的とする。
向精神薬の開発において、候補物質の選別や治療効果の予測等を行う上で重要になるのが評価方法である。従来、向精神薬の評価方法としては、治療対象の精神疾患の症状に対応した行動変容や行動異常を誘発させた実験的病態動物を作成し、その一般行動の観察や自発運動量の測定などにより向精神作用を評価する方法が一般的である。しかし、実験的病態動物を使用した評価方法には様々な問題がある。まず、妥当性の高い実験的病態動物を作成することが難しいことが挙げられる。精神疾患は、その他の一般的な疾患に比べて、その原因についてわからないことが多く、同じ精神疾患に分類されていても複数の精神疾患や病因が含まれていたり、別の精神疾患に分類されていても同じ病因に基づいている可能性がある。そのため、上述の実験的病態動物は、ある種の精神疾患の一端を捉えている可能性はあるが、その全体像を捉えているとは言い難い。このように妥当性の低い実験的病態動物を用いた評価方法では、得られる結果がその向精神作用を正確に反映しているとはいい難い。また、動物の行動を観察して評価する場合、安定した実験結果を得るには熟練が必要である。また、覚醒剤等の投与や、遺伝子改変動物等の特殊な動物が必要であったり、コンフリクト実験装置のように高価な実験装置が必要であるなど、費用や手間がかかる問題もある。
さらに、従来の評価方法では、ある候補物質について、多数存在する精神疾患の各病態に対する効果を評価するには、それぞれ、全く異なった評価系(たとえば個々の精神疾患に対応した実験的病態動物)で評価する必要がある。つまり、開発の初期には、多数の候補物質が存在しており、各候補物質がどのような向精神作用を有するのかが不明であるため、各々の評価系を用いてそれぞれの精神疾患における効果を評価する必要がある。そのため、開発の初期段階で候補物質の絞り込みを行う際に、有用な候補物質を漏らしてしまう恐れがある。
このような問題に対し、本発明者は、種々の範疇の向精神薬について鋭意検討を行った結果、投与する薬物によって、持続的な保定により誘発された血糖上昇反応に対する影響が異なり、また、同じ薬物であっても実験条件の違い(負荷した先行刺激が異なる等)によって、前記血糖上昇反応に対する影響が異なることを見出した。かかる知見に基づき、物質が有する向精神作用を、精神疾患の分類に囚われず、簡便かつ再現性良く評価できる評価方法を特許出願している(特願2009−178313)。
該評価方法は、具体的には、物質が投与された被験動物を持続的に保定し、その状態下における血糖値を経時的に測定する工程を、前記保定を行う前の実験条件を変更して2回以上実施し、該物質が前記保定により誘発される血糖上昇反応に与える影響から、その向精神作用を評価するものである。この実験条件は、好ましくは、物質の投与方法と、物質の投与前および/または後に前記被験動物に施される処置とを組み合わせて設定される。たとえば(1)〜(6)からなる群から選択される。
(1)測定当日に、被験動物を飼育室から実験室に移動させて物質を投与する。
(2)測定当日に、被験動物を飼育室から実験室に移動させ、物質を投与する前または後に、新奇場面への曝露、電気刺激および保定のいずれかの刺激を一時的に負荷する。
(3)測定前日に、被験動物を飼育室から実験室に移動させ、馴化させた後、飼育室に戻し、測定当日に、再度実験室に移動させて物質を投与する。
(4)測定前日に、被験動物を飼育室から実験室に移動させ、馴化させた後、飼育室に戻し、測定当日に、再度実験室に移動させ、物質を投与する前または後に、新奇場面への曝露、電気刺激および保定のいずれかの刺激を一時的に負荷する。
(5)測定前日まで物質を反復投与する。
(6)測定前日まで物質を反復投与し、測定当日に、新奇場面への曝露、電気刺激および保定のいずれかの刺激を一時的に負荷する。
上記評価方法において、被験動物に対して持続的保定を行うと、該持続的保定により血糖上昇反応が誘発される。具体的には、持続的保定の開始直後から血糖値が上昇しはじめ、最大値に達した後、低下する反応が見られる。
該血糖上昇反応は、持続的保定を行う前の実験条件に影響される。たとえば同じ薬物であっても、投与方法や先行刺激を変化させると、血糖上昇反応にも違いが生じる。そのため、該違いから向精神作用を評価できる。具体的には、ある実験条件下では血糖上昇反応に明確な変化が見られず、別の実験条件下では血糖上昇反応が増強または減弱された場合は、該薬物が何らかの向精神作用を有する可能性があると判断できる。この血糖上昇反応の増強または減弱の有無や、その増強または減弱の程度は、たとえば、対照(溶媒のみ投与する以外は同じ実験条件で前記工程を実施した場合に観測される血糖上昇反応)との比較により判定できる。また、ある実験条件下では血糖上昇反応に明確な変化が見られず、別の実験条件下では血糖上昇反応が促進または遅延された場合も、該薬物が何らかの向精神作用を有する可能性があると判断できる。この血糖上昇反応の促進または遅延の有無や、その促進または遅延の程度は、前記と同様、対照との比較により判断でき、たとえば持続的保定下血糖値が最大となる時間にずれがあった場合は、血糖上昇反応が促進または遅延されたと判定できる。また、そのずれの大きさによって、促進または遅延の程度が判定できる。
また、同じ実験条件であっても、投与する薬物の種類を換えると、該血糖上昇反応に違いが生じる。たとえば、ある薬物を投与した場合に血糖上昇反応に明確な変化が見られなくても、別の薬物を投与した場合には、血糖上昇反応が増強または減弱されたり、その増強または減弱の強さに違いが見られる。
そのため、前記工程を、実験条件を変更して2回以上実施し、各工程での血糖上昇反応の違いを比較することで、複数の実験条件下での血糖上昇反応への薬物の影響(以下、作用態度ということがある。)がわかる。
この作用態度は、薬物が有する向精神作用によって異なることから、該評価方法は、複数の薬物間の向精神作用を比較するのにも有用である。具体的には、本発明者は、該評価方法において前記保定により誘発される血糖上昇反応に与える影響が、同じ向精神薬であっても、ハロペリドールとジアゼパムとクロザピンとクロミプラミンとメチルフェニデートとリチウムでは全く異なることを確認している。
そして、この違いを利用して、種々の物質について上記血糖上昇反応に与える影響を観察した結果、後述する試験例1に示すとおり、ラクトフェリンがハロペリドールと同様の向精神作用を有することを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、以下の態様を有する。
[1]ラクトフェリンを有効成分とする、統合失調症の陽性症状のための治療薬。
[2]前記統合失調症の陽性症状が、幻覚、妄想、減弱思考、緊張症状、および奇異な行動からなる群から選択される症状である[1]に記載の統合失調症の陽性症状のための治療薬


本発明によれば、安全で、簡便に使用できるハロペリドール適応症治療薬を提供できる。
本発明のハロペリドール適応症治療薬は、ラクトフェリンを有効成分とする。
ラクトフェリンは、ハロペリドール様作用、つまりハロペリドールと同様の薬理作用を有しており、ラクトフェリンを有効量摂取することで、ハロペリドール適応症の治療が可能である。
ここで、「ハロペリドール適応症」は、その治療にハロペリドールが有効とされている症状を意味し、好適には統合失調症の陽性症状が挙げられる。また、その他、双極性障害、譫妄、運動異常症、ハンチントン病、トゥレット障害、アンフェタミン中毒、偏執症、混乱、興奮等が挙げられる。また、難治性吃逆、悪心や嘔吐も挙げられる。
「治療」は、ハロペリドール適応症の症状を改善(緩和、軽減を含む)することを意味する。
統合失調症は、人口の0.7−1.0%の人に発症し、日本でも数十万人に及んでいる。治療された患者のおよそ75%は、全快せず、長期入院患者を生み出している極めて重大な慢性疾患である。本疾患の主な症状は、妄想、幻覚、幻聴と言った陽性症状に加えて、知覚異常といった認知障害や引きこもりやうつ症状と言った陰性症状に至るまで、多様な精神的異常を伴うものである。青年期から壮年期にかけて知覚、思考、感情、行動面に特徴的な、症状で発病し、多くは、慢性に経過し、社会適応にさまざまな困難を生じる。精神症状について、陽性症状(幻覚、妄想、減弱思考、緊張症状、奇異な行動など)と陰性症状(感情の平板化、意欲定下、社会的引きこもりなど)の分類がある。本疾患の病態の特殊性から早期発見、治療、社会復帰活動、再発予防と言った一貫した包括的治療体系の確立が望まれている。統合失調症は、素質的要因を主因とする機能性精神病であり、遺伝的素因が関係することが多いとされている。しかし、現在のところ、その発症原因の解明はおろか、生物学的な病態の理解さえ明快ではない。
統合失調症の陽性症状を改善する治療薬として、従来、神経伝達物質、ドパミンやセロトニンと拮抗する薬物が有用だとされており、多くは、年余にわたるこれらの薬物の長期投与が不可欠である。具体的には、ハロペリドール等のブチロフェノン系化合物、フェノチアジン系化合物、チオキサンチン系化合物、ベンザアミド系化合物が多用されている。しかし、これらの薬物には、副作用として錐体外路障害が知られている。
より新しい統合失調症の治療薬としては、陰性症状にも有効であるクロザピン等のセロトニン−ドパミン受容体拮抗薬が知られている。しかしセロトニン−ドパミン受容体拮抗薬は、しばしば体重増加及び糖尿病の増悪等の副作用を伴う。
一方、本発明のハロペリドール適応症治療薬の有効成分であるラクトフェリンは、安全性にも優れており、ハロペリドール適応症の治療効果を奏するのに充分な有効量のラクトフェリンを、ハロペリドール投与の際に見られる副作用(錐体外路障害等)を生じることなく、日常的に、必要であれば長期的に、摂取させることができる。
本発明に使用されるラクトフェリンとしては、特に限定されず、たとえば哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等)の乳(初乳、移行乳、常乳、末期乳等)又はこれらの乳の処理物(脱脂乳、ホエー等)から常法(例えば、イオン交換クロマトグラフィー等)により分離したラクトフェリン(以下、分離ラクトフェリンということがある。);該分離ラクトフェリンを塩酸、クエン酸等により脱鉄したアポラクトフェリン;該分離ラクトフェリンを鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさせた金属飽和ラクトフェリン;各種飽和度で金属を飽和したラクトフェリン;遺伝子操作により、微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等で生産した各種ラクトフェリン;等を使用できる。これらのラクトフェリンは、いずれか1種を用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクトフェリンは、市販品を用いてもよく、乳等の原料から調製して用いてもよい。入手の容易さの点では、市販のラクトフェリン(例えば、森永乳業社製等)が好ましい。
以下に分離ラクトフェリンの調製(乳等の原料からのラクトフェリンの分離、精製)方法の一例を示す。
まず、イオン交換体(例えば、商品名:CM−セファロースFF、アマシャムファルマシア社製)をカラムに充填し、塩酸を通液し、水洗してイオン交換体を平衡化した後、4℃に冷却したpH6.9の脱脂牛乳をカラムに通液し、透過液を回収し、再度同様にカラムに通液する。次いで、蒸留水をカラムに通液し、食塩水を通液し、イオン交換体に吸着した塩基性蛋白質の溶出液を得る。
この溶出液に、飽和度80%の硫酸アンモニウム水溶液を添加し、蛋白質を沈殿させ、遠心分離して沈殿を回収する。回収された沈殿物を、飽和度80%の硫酸アンモニウム水溶液で洗浄し、脱イオン水を添加して溶解し、得られた溶液を限外濾過膜モジュール(例えば、商品名:SLP0053、旭化成社製)を用いて限外濾過する。その後、水を添加し、同装置を用いてダイアフィルトレーションを行い、脱塩し、凍結乾燥することによって、粉末状のウシラクトフェリンが得られる。
以上の方法によれば、純度が95質量%以上のウシラクトフェリンが得られる。
ラクトフェリンの純度は、液体クロマトグラフ法、電気泳動法等の公知の方法により測定できる。
なお、凍結乾燥前の各精製工程におけるラクトフェリン含有液を本発明に使用できることは言うまでもない。
本発明のハロペリドール適応症治療薬は、ラクトフェリンのみからなるものであってもよく、ラクトフェリンと、ラクトフェリン以外の他の成分とを配合した組成物であってもよい。該他の成分としては、薬学的に許容し得るものであれば特に限定されず、たとえば、ラクトフェリン以外の有効成分を配合してもよく、また、従来、医薬組成物に配合されている添加剤(たとえば後述する製剤担体等)を配合できる。
ラクトフェリン以外の有効成分としては、ハロペリドール適応症治療薬の有効成分として公知のものが利用でき、当該ハロペリドール適応症治療薬が治療対象とするハロペルドール適応症に応じて公知の有効成分のなかから適宜選択できる。具体例として、ハロペリドール、スピロペロペリドール、クロルプロマジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、トリフロペラジン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、テトラベナジン、リチウム塩、アリピプラゾール、クロザピン、クエチアピン、リスペリドン、メトクロプラミド、スコポラミン、ジフェンヒドラミン、アトロピン、キニーネ等が挙げられる。
本発明のハロペリドール適応症治療薬の投与経路は、経口、非経口のいずれでもよく、好ましくは経口である。非経口の投与経路としては、経直腸、吸入等が挙げられる。
本発明のハロペリドール適応症治療薬の投与量は、投与経路、期待する治療効果等に応じて適宜設定すればよい。経口にて投与する場合、1日投与量は、通常、体重1kgあたり、ラクトフェリンの固形分量に換算して、2〜1000mg/kg体重が好ましく、10〜500mg/kg体重がより好ましい。
本発明のハロペリドール適応症治療薬は、上記1日投与量の全量を1回で投与してもよく、数回に分けて投与してもよい。
本発明のハロペリドール適応症治療薬は、投与方法に応じ、適宜所定の剤形に製剤化することができる。
本発明のハロペリドール適応症治療薬の剤形としては、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤などの液剤;等が挙げられる。また、非経口投与の場合、座剤、噴霧剤等が挙げられる。
製剤化は、剤形に応じ、適宜公知の方法により実施できる。
製剤化に際しては、有効成分のみを製剤化してもよく、適宜、製剤担体を配合して製剤化してもよい。
製剤担体を配合する場合、本発明のハロペリドール適応症治療薬中の有効成分の配合量は、特に制限はなく、剤形に合わせて適宜決定すればよい。
前記製剤担体としては、剤形に応じ、慣用の各種有機または無機の担体を用いることができる。
たとえば固形製剤の場合の担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
賦形剤としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
結合剤としては、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マグロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
滑沢剤としては、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸類塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
安定剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
経口投与用の液剤の場合の担体としては、水などの溶剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
本発明のハロペリドール適応症治療薬は、各種医薬品、飲食品、栄養剤等に添加して用いることができる。
本発明のハロペリドール適応症治療薬がハロペリドール適応症治療効果を奏することから、医薬品、飲食品または栄養剤に該ハロペリドール適応症治療薬を添加することにより、該医薬品、飲食品または栄養剤を、ハロペリドール適応症治療用の医薬品、飲食品または栄養剤とすることができる。
<飲食品>
本発明の飲食品は、上述した本発明のハロペリドール適応症治療薬が添加されたものである。該飲食品を摂取することにより、本発明のハロペリドール適応症治療薬を投与する場合と同様の効果が得られる。
ハロペリドール適応症治療薬の添加量は、添加する飲食品に応じて適宜調節でき、特に限定されない。効果的なハロペリドール適応症治療効果を得るためには、ラクトフェリンの配合量が、上述した1日投与量を無理なく摂取できる程度の量となるように添加することが好ましい。通常、飲食品中のラクトフェリンの固形分濃度が、0.1〜99%(w/w)となる量が好ましく、1〜95%(w/w)がより好ましい。
本発明の飲食品は、本発明のハロペリドール適応症治療薬を、他の成分を含む既存の飲食品に添加することにより調製できる。
飲食品に含まれる他の成分としては、食品衛生法などの食品規定で飲食品への使用が認められているものであれば、ハロペリドール適応症治療効果を損なわない限り特に制限なく用いることができる。たとえば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等を含有させることができる。
本発明の飲食品の形態は特に制限されず、ラクトフェリンと、飲食品として許容される担体とからなる可食性組成物のいかなる形態ものも含む。例えば、パン、チューインガム、ガムドロップ(グミ)、クッキー、チョコレート、菓子、シリアル類等の固形食品、ジャム、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー等のジャム状、クリーム状またはゲル状食品、緑茶、紅茶、ウーロン茶等の茶類、ジュース、コーヒー、ココア等の飲料等のあらゆる飲食品形態にすることが可能である。また、調味料、食品添加剤等に配合することもできる。
本発明の飲食品は、ハロペリドール適応症治療用との用途が表示された飲食品として販売することが好ましい。
なお、以上のような表示を行うために使用する文言は、例えば「ハロペリドール適応症治療用」という文言のみに限られるわけではなく、それ以外の文言であっても、ハロペリドール適応症治療効果を表す文言であれば、本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。例えば、ハロペリドール適応症改善用との文言であってもよく、ハロペリドール適応症として特定のもの、たとえば統合失調症の陽性症状を表示してもよい。
前記「表示」の行為(表示行為)には、需要者に対して上記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、上記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、すべて本発明の「表示」の行為に該当する。しかしながら、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により表示することが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に上記用途を記載する行為を表示行為として挙げることができ、さらに商品又は商品の包装に上記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為、等を例示できる。
一方、表示される内容(表示内容)としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましく、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示を例示することができる。特に、厚生労働省によって認可される表示、例えば、特定保健用食品制度、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示等を例示することができ、詳細にいえば、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、及びこれに類する表示が、典型的な例として列挙することが可能である。
次に、試験例および実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
[1.試験動物]
6週令のddY系雄性マウス(日本エスエルシー)を購入し、飼育室にて、12時間明暗周期(午前8時より午後8時まで点灯)のほぼ一定した環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)で1週間以上予備飼育して用いた。予備飼育中、水及び餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
ハロペリドール:和光純薬工業社製。
オボアルブミン:シグマ社製。
ラクトパーオキシダーゼ:森永乳業社製、ウシ乳汁より抽出したもの。
ラクトフェリン:森永乳業社製、ウシ乳汁より抽出したもの。
ハロペリドールは、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用し、その他の物質は、注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.血糖値の測定および統計解析]
物質投与30分後にマウスをアクリル樹脂製保定器(夏目製作所社製)で持続的保定を開始した。保定開始から0時間後(保定開始直後)、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後にそれぞれ尾静脈より血液を採取した。該血液中のグルコース濃度を、血糖測定器(グルテストセンサー、三和化学研究所社製)を用い、酵素電極法で測定した。
血糖値の測定結果の表示には、平均値±標準誤差を用いた。また、有意差検定には、マン・ホイットニーのU検定を用いた。
[4.試験方法]
(1−1.実験室に馴化当日の血糖上昇反応に対するハロペリドール単回投与の効果)
飼育室で予備飼育したマウスを、測定当日に実験室に移し(前日処置なし)、1ケージに2匹ずつ群分けした後、体重測定を行った。このマウスに対し、ハロペリドールを表1に示す用量で経口投与(単回投与)し、その30分後、アクリル樹脂製保定器(夏目製作所)で保定し、その状態を維持しつつ、血糖値の測定を行った。
対照として、薬物の代わりに注射用水を10mL/kgの割合で経口投与した以外は同様の測定を行った。
測定結果を表1に示す。
(1−2.実験室に馴化当日の血糖上昇反応に対する被験物質単回投与の効果)
ハロペリドールの代わりに、表2に示す被験物質を表2に示す用量で経口投与した以外は前記(1−1.実験室に馴化当日の血糖上昇反応に対するハロペリドール単回投与の効果)と同様の測定を行った。
測定結果を表2に示す。
(2−1.実験室に馴化1日後の血糖上昇反応に対するハロペリドール単回投与の効果)
飼育室で予備飼育したマウスを実験室に移し、1ケージに2匹ずつ群分けした後、体重測定を行った。その後、6時間実験室に馴化させ、再び体重測定を行った後、ケージに入れたまま飼育室に戻した。飼育室に戻してから1日後、マウスをケージに入れたまま実験室に移し、体重測定を行った。このマウスに対し、ハロペリドールを表3に示す用量で経口投与(単回投与)し、その30分後、アクリル樹脂製保定器(夏目製作所)で保定し、その状態を維持しつつ、血糖値の測定を行った。
対照として、薬物の代わりに注射用水を10mL/kgの割合で経口投与した以外は同様の測定を行った。
測定結果を表3に示す。
(2−2.実験室に馴化1日後の血糖上昇反応に対する被験物質単回投与の効果)
ハロペリドールの代わりに、表4に示す被験物質を表4に示す用量で経口投与した以外は前記(2−1.実験室に馴化1日後の血糖上昇反応に対するハロペリドール単回投与の効果)と同様の測定を行った。
測定結果を表4に示す。
(3−1.実験室に馴化1日後において5秒間明箱に放置した後に測定した血糖上昇反応に対するハロペリドール単回経口投与の効果)
飼育室で予備飼育したマウスを実験室に移し、1ケージに2匹ずつ群分けした後、体重測定を行った。その後、6時間実験室に馴化させ、再び体重測定を行った後、ケージに入れたまま飼育室に戻した。飼育室に戻してから1日後、マウスをケージに入れたまま実験室に移し、体重測定を行った。このマウスを、明暗実験箱(小原製作所)の明箱に5秒間放置し、その30分後、表5に示す薬物を表5に示す用量で経口投与した。その30分後、アクリル樹脂製保定器(夏目製作所)で保定し、その状態を維持しつつ、血糖値の測定を行った。
対照として、薬物の代わりに注射用水を10mL/kgの割合で経口投与した以外は同様の測定を行った。
測定結果を表5に示す。
(3−2.実験室に馴化1日後において5秒間明箱に放置した後に測定した血糖上昇反応に対する被験物質単回経口投与の効果)
ハロペリドールの代わりに、表6に示す被験物質を表6に示す用量で経口投与した以外は前記(3−1.実験室に馴化1日後において5秒間明箱に放置した後に測定した血糖上昇反応に対するハロペリドール単回経口投与の効果)と同様の測定を行った。
測定結果を表6に示す。
Figure 0005427713
Figure 0005427713
Figure 0005427713
Figure 0005427713
Figure 0005427713
Figure 0005427713
[5.試験結果及び考察]
実験室に馴化当日の血糖上昇反応に及ぼすハロペリドールの影響を検討したところ、表1に示すとおり、明確な影響は認められなかった。また、該血糖上昇反応に及ぼす被験物質の影響を検討したところ、表2に示すとおり、オボアルブミン、ラクトパーオキシダーゼ、ラクトフェリンのいずれを投与しても顕著な影響は認められなかった。
実験室に馴化1日後の血糖上昇反応に及ぼすハロペリドールの影響を検討したところ、表3に示すとおり、血糖上昇反応は顕著に減弱した。また、該血糖上昇反応に及ぼす被験物質の影響を検討したところ、表4に示すとおり、オボアルブミン(1000mg/kg、2000mg/kg)やラクトパーオキシダーゼ(2000mg/kg)を投与しても顕著な影響は認められなかったが、ラクトフェリン(1000mg/kg、2000mg/kg)を投与すると用量依存的に血糖上昇反応が減弱した。
実験室に馴化1日後において5秒間明箱に放置した後に測定した血糖上昇反応に及ぼすハロペリドールの影響を検討したところ、表5に示すとおり、投与直後にのみ血糖上昇反応は顕著に増強したが、極大値を示した投与1時間後においては減弱傾向が認められ、明瞭な影響は観察されなかった。また、該血糖上昇反応に及ぼす被験物質の影響を検討したところ、表6に示すとおり、オボアルブミン、ラクトパーオキシダーゼ、ラクトフェリンのいずれを投与しても顕著な影響は認められなかった。
上記各実験条件での持続的保定下における血糖上昇反応に対する各物質の効果を表7に示す。表7中の各符号はそれぞれ以下の意味を有する。
↑↑:血糖上昇反応を強く増強する。
↑:血糖上昇反応を増強する。
→:血糖上昇反応への影響は小さい、あるいは不明確。
↓:血糖上昇反応を減弱する。
↓↓:血糖上昇反応を強く減弱する。
Figure 0005427713
これらの結果に示すとおり、血糖上昇反応に対するラクトフェリンの作用態度は、統合失調症治療薬のハロペリドールと同様であったので、ラクトフェリンが、ハロペリドールと類似の向精神作用を有することが示唆された。
<試験例2−1>
本試験では、アポモルヒネの投与と立ち上がり行動との相関性について検討した。
[1.試験動物]
日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水及び餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
アポモルヒネ:シグマ社製。生理食塩液(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群4〜6匹とする5群に分け、アポモルヒネの投与量を0.2mg/kgから2mg/kgの4通りとして皮下投与した。コントロールとして、生理食塩液(大塚製薬社製)を皮下投与した。
アポモルヒネを投与して10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後から、それぞれ1分間に起こった立ち上がり行動の回数を測定した。
[4.試験結果及び考察]
表8に結果を示す。マウスにアポモルヒネを皮下投与したところ、用量依存的に立ち上がり行動の増加が認められた。
Figure 0005427713
<試験例2−2>
本試験では、ハロペリドールが有する、前記立ち上がり行動に対する抑制効果を確認した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水及び餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
アポモルヒネ:シグマ社製。生理食塩液(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
ハロペリドール:和光純薬工業社製。カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群6匹とする4群に分け、ハロペリドールの投与量を0.2mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kgの3通りとして経口投与した。対照として注射用水(大塚製薬社製)を経口投与した。
ハロペリドール投与から1時間後、アポモルヒネ2mg/kgを皮下投与した。
アポモルヒネの投与から10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後から、それぞれ1分間に起こった立ち上がり行動の回数を測定した。有意差の検定には、マン・ホイットニーのU検定を用いた。
[4.試験結果及び考察]
表9に結果を示す。アポモルヒネにより誘発された立ち上がり行動は、ハロペリドールの投与により用量依存的に減少した。
そして、ハロペリドール1mg/kg投与群において、立ち上がり行動の総数も有意に減少した。
Figure 0005427713
<試験例2−3>
本試験では、ラクトフェリンが有する、前記立ち上がり行動に対する抑制効果を確認した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水及び餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
アポモルヒネ:シグマ社製。生理食塩液(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
ラクトフェリン:森永乳業社製、ウシ乳汁より抽出したもの。注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群6匹又は8匹とする4群に分けた。
試験試料としてラクトフェリンを2000mg/kgに調製し、マウスに経口投与した。対照試料として、注射用水(大塚製薬社製)を経口投与した。
試験試料または対照試料の投与から1時間後、アポモルヒネ2mg/kgを皮下投与した。
アポモルヒネの投与から10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後を起点として、それぞれ1分間に起こった立ち上がり行動の回数を測定した。有意差の検定には、マン・ホイットニーのU検定を用いた。
[4.試験結果及び考察]
表10に結果を示す。アポモルヒネにより誘発された立ち上がり行動は、ラクトフェリンの投与50分後においてその回数が有意に減少した。
Figure 0005427713
<試験例2−4>
本試験では、ラクトフェリンとハロペリドールを併用した場合のアポモルヒネ誘発立ち上がり行動に対する抑制効果を検討した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水及び餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
アポモルヒネ:シグマ社製。生理食塩液(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
ハロペリドール:和光純薬工業社製。カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用した。
ラクトフェリン:森永乳業社製、ウシ乳汁より抽出したもの。注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、1群を8匹とする2群に分け、各群のマウスにハロペリドール0.2mg/kgを経口投与した。30分後、実験群にはラクトフェリンを2000mg/kgとなるようにマウスに経口投与し、対照群には注射用水(大塚製薬社製)を経口投与した。
さらに、試験試料または注射用水の投与から1時間後、アポモルヒネ2mg/kgを皮下投与した。
そして、アポモルヒネの投与から10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後を起点として、1分間に起こった立ち上がり行動の回数を測定した。有意差の検定には、マン・ホイットニーのU検定を用いた。
[4.試験結果及び考察]
表11に結果を示す。アポモルヒネにより誘発された立ち上がり行動に対し、ハロペリドールは、0.2mg/kgの単独投与では顕著な影響を及ぼさなかったが(試験例2−2、表9参照)、ラクトフェリンと組み合わせた場合、立ち上がり行動の総数も有意に減少した。
Figure 0005427713
<試験例3−1>
本試験では、ハロペリドールと、その副作用として知られているカタレプシー(強硬症状)との相関性について検討した。また、ラクトフェリンを単独投与してもカタレプシーが生じないことを確認した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水及び餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
ハロペリドール:和光純薬工業社製。カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用した。
ラクトフェリン:森永乳業社製、ウシ乳汁より抽出したもの。注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群4匹〜7匹とする4群に分け、ハロペリドール又はラクトフェリンを経口投与した。対照群には注射用水を経口投与した。
カタレプシー誘発作用の測定として、マウスへの試験試料の投与30分後、60分後、90分後、120分後、180分後、240分後、300分後にマウスを6.5cmの高さに張った針金に掴り立ちさせ、姿勢を60秒以上維持した場合にカタレプシー陽性と判定した。
[4.試験結果及び考察]
結果を表12に示す。ハロペリドール0.5mg/kgを経口投与してもカタレプシーは認められなかったが、ハロペリドール1.0mg/kgを経口投与したところ、投与60分後乃至300分後において5例中2例乃至4例にカタレプシーが認められた。
一方、ラクトフェリン投与群においては、カタレプシーは認められなかった。
Figure 0005427713
<試験例3−2>
本試験では、ハロペリドール(0.5mg/kg)とラクトフェリンとを併用投与しても、ハロペリドールに起因するカタレプシーが増強されないことを確認した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水及び餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
ハロペリドール:和光純薬工業社製。カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用した。
ラクトフェリン:森永乳業社製、ウシ乳汁より抽出したもの。注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群を7匹とする2群に分け、それぞれハロペリドール0.5mg/kgを経口投与した。
さらに30分後、実験群にラクトフェリンを経口投与し、対照群に注射用水を経口投与した。
カタレプシー誘発作用の測定として、マウスへのハロペリドールの投与30、60、90、120、180、240、300分後にマウスを6.5cmの高さに張った針金に掴り立ちさせ、姿勢を60秒以上維持した場合にカタレプシー陽性と判定した。
[4.試験結果及び考察]
結果を表13に示す。
単独投与(試験例3−1参照)でカタレプシーの発生が認められなかったハロペリドール0.5mg/kg投与後に注射用水を投与した群、ハロペリドール0.5mg/kg投与後にラクトフェリンを投与した群、いずれにおいてもカタレプシーの発生がわずかに認められたが、その発生率の差は、ほとんど認められなかった。
Figure 0005427713

Claims (2)

  1. ラクトフェリンを有効成分とする、統合失調症の陽性症状のための治療薬。
  2. 前記統合失調症の陽性症状が、幻覚、妄想、減弱思考、緊張症状、および奇異な行動からなる群から選択される症状である請求項1に記載の統合失調症の陽性症状のための治療薬。
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