JP5115530B2 - 神経新生促進剤を含有する飴、グミまたは飲料 - Google Patents
神経新生促進剤を含有する飴、グミまたは飲料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5115530B2 JP5115530B2 JP2009217675A JP2009217675A JP5115530B2 JP 5115530 B2 JP5115530 B2 JP 5115530B2 JP 2009217675 A JP2009217675 A JP 2009217675A JP 2009217675 A JP2009217675 A JP 2009217675A JP 5115530 B2 JP5115530 B2 JP 5115530B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gly
- pro
- ala
- seq
- neurogenesis
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Confectionery (AREA)
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
- Non-Alcoholic Beverages (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Description
を促進する作用であり、ヒアルロン酸産生促進剤(特許文献9)はヒアルロン酸の産生を促進する作用である。つまり全て脳における神経新生とは全く関連性のないものである。
〔1〕 コラーゲンまたはゼラチンをコラゲナーゼ処理した分解物であって、
前記コラゲナーゼ処理した分解物を含む水溶液と合成吸着剤SEPABEADS SP850とを混合し、非吸着成分を回収してなり、
Gly−Pro−Arg、
Gly−Pro−Ser−Gly−Asn−Ala(配列番号1)、
Gly−Pro−Val−Gly−Ala−Arg(配列番号2)、
Gly−Pro−Ala−Gly−Pro−Ala(配列番号3)、
Gly−Pro−Hyp、
Gly−Pro−Ile−Gly−Ser−Ala(配列番号4)、
Gly−Pro−Val−Gly−Pro−Ala(配列番号5)、
Gly−Pro−Ser−Gly−Glu−Arg−Gly−Pro−Hyp(配列番号6)、及び
Gly−Leu−Ala−Gly−Pro−Hyp(配列番号7)
で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを含有する神経新生促進剤を配合することを特徴とする飲食品、
〔2〕前記神経新生促進剤が、分子量1,500以下のペプチドを50重量%以上含有する前記〔1〕 記載の飲食品、
〔3〕前記神経新生促進剤が哺乳動物の脳の海馬において神経新生を促進する前記〔1〕または〔2〕記載の飲食品、
〔4〕前記神経新生促進剤が脳の発達促進作用を有する前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の飲食品、
〔5〕前記神経新生促進剤が脳機能改善効果を有する前記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の飲食品、
〔6〕脳機能改善効果が、抗不安作用、抗うつ作用であることを特徴とする前記〔5〕記載の飲食品、
〔7〕前記非吸着成分を回収した合成吸着剤SEPABEADS SP850と20%(v/v)エタノール水溶液とを混合して、非吸着成分をさらに回収してなる前記〔1〕〜〔6〕いずれか記載の飲食品
に関する。
「神経」には神経中枢(例えば、脳、脊髄等)及び末梢神経(例えば、尺骨神経、橈骨神経、腓骨神経)を含む。単純に生体外での実験においての株細胞(例えばPC12など)に対しての神経突起伸展作用、神経細胞への分化促進作用及び増殖促進作用に留まらない。
本発明は、食品として広く一般的に利用されているコラーゲンやゼラチンを分解したペプチドの中でも、特定の規則を有したアミノ酸配列からなるペプチドが哺乳動物の脳の海馬において神経新生を促進する活性を有し、脳の発達促進作用をも有し、抗不安作用、抗うつ作用などの脳機能改善効果を有することを初めて見出し、完成させたものである。
Gly−Pro−Ser−Gly−Asn−Ala(配列番号1)、
Gly−Pro−Val−Gly−Ala−Arg(配列番号2)、
Gly−Pro−Ala−Gly−Pro−Ala(配列番号3)、
Gly−Pro−Hyp、
Gly−Pro−Ile−Gly−Ser−Ala(配列番号4)、
Gly−Pro−Val−Gly−Pro−Ala(配列番号5)、
Gly−Pro−Ser−Gly−Glu−Arg−Gly−Pro−Hyp(配列番号6)
Gly−Leu−Ala−Gly−Pro−Hyp(配列番号7)
等が挙げられる。
これに対して、前記神経新生促進剤は、天然物であるコラーゲンを構成するペプチドであり、食品として利用されていることからも、副作用の点で安全性に優れるという利点がある。
各種実験を行うにあたり、被験試料と対照試料の2種類を用意した。双方ともに、共通のゼラチンを用いた。
(被験試料の作製と分析)
豚皮ゼラチン(ルスロ社製)2.0kgに水20Lを加え、加温溶解した。コラゲナーゼタイプI(ワシントン社製)20gを加え、37℃で1時間酵素反応を行った。反応終
了後、反応液を100℃で5分間加熱し、酵素を失活させ、0.45μmのフィルターでろ過した。このろ液を合成吸着剤SEPABEADS SP850(三菱化学社製)を用いて分画した。合成吸着剤5kgとろ液5Lを混合し、1時間撹拌した後、静置して上清をろ過および回収した。その後、10Lの水を加えて撹拌した後、静置して上清をろ過および回収した。この操作を計3回行った。その後、前記合成吸着剤に20%(v/v)エタノール水溶液を加えて撹拌した後、静置して上清をろ過および回収した。この操作を計3回行った。回収したろ液を減圧下のロータリーエバポレーターで濃縮し、エタノールを除去した後、凍結乾燥を行ってペプチド粉末を得た。これを被験試料とした。
得られた被験試料の分子量分布を調べた。AKTApurifierおよびSuperdex Peptide 10/300 GL(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにより検出を行なった。その結果、分子量1500以下のペプチドが50重量%以上含まれていることが確認できた。
さらに、被験試料中に含まれる複数のペプチドの一部を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により単離し、プロテインシーケンサー(アプライドバイオシステムズ社製)により構造決定したところ、
Gly−Pro−Arg、
Gly−Pro−Ser−Gly−Asn−Ala(配列番号1)、
Gly−Pro−Val−Gly−Ala−Arg(配列番号2)、
Gly−Pro−Ala−Gly−Pro−Ala(配列番号3)、
Gly−Pro−Hyp、
Gly−Pro−Ile−Gly−Ser−Ala(配列番号4)、
Gly−Pro−Val−Gly−Pro−Ala(配列番号5)、
Gly−Pro−Ser−Gly−Glu−Arg−Gly−Pro−Hyp(配列番号6)
Gly−Leu−Ala−Gly−Pro−Hyp(配列番号7)
であり、確かに(Gly−X−Y)nの構造を有していた。また、被験試料中に最も含量の高いペプチドは、Gly−Pro−Hypであり、被験試料中に8.0重量%含まれていた。
豚皮ゼラチン2.0kgに水20Lを加え、加温溶解した。プロテアーゼN「アマノ」G(天野エンザイム社製)20gを加え、55℃で1時間酵素反応を行った。反応終了後、反応液を100℃で10分間加熱し、酵素を失活させ、0.45μmのフィルターでろ過した。このろ液をについてエタノールを用いた沈殿法により分画した。ろ液:エタノールを体積比3:2の割合でよく混合し、4℃で一晩静置した後、10,000rpm、4℃で15分間遠心した。上清を回収し、減圧下のロータリーエバポレーターで濃縮し、エタノールを除去した後、凍結乾燥してペプチド粉末を得た。これを対照試料とした。
得られた被験試料の分子量分布を調べた。AKTApurifierおよびSuperdex Peptide 10/300 GL(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いたゲルろ過クロマトグラフィー(溶媒:1×PBS)により検出を行なった。その結果、分子量1500以下のペプチドは僅かで、この対照試料の平均分子量は5000前後であることが確認された。使用した酵素は微生物由来の混合物であり、基質特異性が低いことから、ペプチドのN末端アミノ酸はGlyに特定されないものである。
5週齢のC57BL/6J雄マウス32匹を2群に分け、各16匹ずつに被験試料、対照試料を飲用水に5重量%となるように混合させて、自由摂取させた。3週間摂取させ、8週齢より実験を開始した。実験開始後も摂取は継続させた。摂食量、摂水量、体重には、2群間で有意な差は見られなかった。これらの結果を図1〜3に示す。図1はマウス各群の餌の摂取量、図2はマウス各群の水溶液の摂取量、図3はマウス各群の体重をそれぞれ示す。
不安に対する被験試料の効果を調査するため、オープンフィールド試験を行った。
(実験設計)
測定機器:小原医科産業社製 ImageJ OF2 for Open field test
オープンフィールド試験では、30cmの高さの壁に囲まれた50×50cmの広く明るい開かれた場所(オープンフィールド)にマウスを置き、マウスの動いた軌跡や滞在時間を記録し、その行動を観察する。マウスは、広い場所や明るい場所を忌避し、周囲の壁に沿って移動する性質(接触走性)を示す。接触走性は、不安様行動として捉えられ、不安感が低下したマウスは、オープンフィールドの中央に滞在する時間が長くなる。解析には、Image Jをもとに作られたImage J XX(O’Hara & Co.,Ltd.)を使用した。Image Jは米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)において作製されたフリーウエアhttp://rsb.info.nih.gov/ijより入手可能である。
各データは、平均値±標準偏差(means±SD)で表した。各群のデータには、SPSS 15.0J for Windows(登録商標、以下同じ)を使用し、2群間の平均値の比較には対応のないt検定を行った。また、被験試料と対照試料、それぞれについての測定時間内の行動の変化についての比較には、二元配置の分散分析を用い、各時点において対応のないt検定によって2群間の比較を実施し、いずれも5%未満をもって有意と判定した。
8週齢の雄マウスをオープンフィールドに入れ、その行動を10分間観察した。被験試料摂取マウス、対照試料摂取マウスについてそれぞれ12匹を試験した。中央領域に滞在した時間に有意な差は見られず、移動距離も2群間で差はなかったが、図4に示すように、試験時間(10分)内に移動した回数は、有意に被験試料摂取マウスが多かった。被験試料摂取マウスは、活発で活動的であり、不安様行動が減少していることを示している。この結果から、被験試料には抗不安作用があることが明らかになった。
不安に対する被験試料の効果を調査するため、明暗選択試験を行った。
(実験設計)
測定機器:小原医科産業社製 ImageJ LD1 for Light / dark transition test
明暗選択試験では、連結した2つの白・黒の装置内にマウスを入れ、マウスが明暗の箱を往来した回数や軌跡を記録し、活動量や情動性を測定する。マウスは、暗い場所を好む性質を示すが、明箱と暗箱を自由に行き来できるようにした装置内でのマウスの活動量や往来回数などにより、不安感を評価する。不安感が低下したマウスは、明箱に滞在する時間が長くなる。解析には、Image Jをもとに作られたImage J XX(O’Hara & Co.,Ltd.)を使用した。Image Jは米国国立衛生研究所において作製されたフリーウエアhttp://rsb.info.nih.gov/ijより入手可能である。
各データは、平均値±標準偏差(means±SD)で表した。各群のデータには、SPSS 15.0J for Windowsを使用し、2群間の平均値の比較には対応のないt検定を行った。また、被験試料と対照試料、それぞれについての測定時間内の行動の変化についての比較には、二元配置の分散分析を用い、各時点において対応のないt検定によって2群間の比較を実施し、いずれも5%未満をもって有意と判定した。
(結果)
明箱を500luxに調整し、8週齢の雄マウスを暗箱に入れ実験を開始し、その行動を10分間観察した。被験試料摂取マウス、対照試料摂取マウスについてそれぞれ12匹を試験した。図5に示すように、被験試料摂取マウスは、対照試料摂取マウスと比較し、全体の試験時間(10分)内を通して、明箱内での移動距離が長く、6〜7分の間では有意差が見られた。よって、オープンフィールド試験同様に、被験試料摂取マウスは、活発で活動的であり、また、不安様行動が減少していることを示している。この結果からも、被験試料には抗不安作用があることが明らかになった。
不安に対する被験試料の効果を調査するため、高架式十字迷路試験を行なった。
(実験設計)
測定機器:小原医科産業社製 ImageJ EP1 for Elevated plus maze
高架式十字迷路試験では、高い場所に設置された十字状のステージに実験動物を置いてその行動を観察する。十字状のステージの対称的な位置にある2つのプラットフォームには壁が装着されており(クローズドアーム)、残り2つの対照的な位置にあるプラットフォームには壁がない(オープンアーム)つくりとなっている。アームの長さは一辺45cm、幅5cmで、クローズドアームの壁の高さは15cmである。マウスは、高所における恐怖と狭い場所を好む性質から、通常は、ほとんどの時間をより安全なクローズドアームで過ごすが、不安感の低下したマウスは、オープンアームに滞在している時間が長くなる傾向を示す。それぞれのアームにマウスが行った回数や滞在期間を記録し、不安感を定量的に比較する。解析には、Image Jをもとに作られたImage J XX(O’Hara & Co.,Ltd.)を使用した。Image Jは米国国立衛生研究所において作製されたフリーウエアhttp://rsb.info.nih.gov/ijより入手可能である。
各データは、平均値±標準偏差(means±SD)で表した。各群のデータには、SPSS 15.0J for Windowsを使用し、2群間の平均値の比較には対応のないt検定を行った。また、被験試料と対照試料、それぞれについての測定時間内の行動の変化についての比較には、二元配置の分散分析を用い、各時点において対応のないt検定によって2群間の比較を実施し、いずれも5%未満をもって有意と判定した。
照明を300luxに調整し、8週齢の雄マウスを高架式十字迷路のプラットフォームの中央に置いて実験を開始し、その行動を10分観察した。被験試料摂取マウス、対照試料摂取マウスについてそれぞれ12匹を試験した。図6に示すように、被験試料摂取マウスは対照試料摂取マウスと比較し、クローズドアームに滞在した時間が有意に少なかった。また、図7に示すように、被験試料摂取マウスは対照試料摂取マウスと比較し、クローズドアームに滞在した時間の割合も有意に少なかった。よって、オープンフィールド試験、明暗選択試験同様に、被験試料摂取マウスは、不安様行動が減少していることを示している。この結果からも、被験試料には抗不安作用があることが明らかになった。
うつ様行動に対する被験試料の効果を調査するため、テールサスペンション試験を行った。
(実験設計)
測定機器:小原医科産業社製ImageJ TS1 for Tail suspension test
テールサスペンション試験では、天井のフックにマウスの尻尾を引っ掛け、マウスを逆さ吊りにし、マウスが手を動かさない状態(無気力状態)の回数と時間を記録し、うつの度合いを評価する。装置はマウスが逃げられない構造になっているため、時間が経つとマウスは逃避行動を止めてしまう。これには、あきらめの心理的背景が反映されているものと考えられている。従って、不動時間を測定することによって、うつ状態の程度を定量的に比較することができる。解析には、Image Jをもとに作られたImage J XX(O’Hara & Co.,Ltd.)を使用した。Image Jは米国国立衛生研究所において作製されたフリーウエアhttp://rsb.info.nih.gov/ijより入手可能である。
各データは、平均値±標準偏差(means±SD)で表した。各群のデータには、SPSS 15.0J for Windowsを使用し、2群間の平均値の比較には対応のないt検定を行った。また、被験試料と対照試料、それぞれについての測定時間内の行動の変化についての比較には、二元配置の分散分析を用い、各時点において対応のないt検定によって2群間の比較を実施し、いずれも5%未満をもって有意と判定した。
照明を20luxに調整し、8週齢の雄マウスを天井のフックに尻尾を引っ掛けて実験を開始し、その行動を5分観察した。被験試料摂取マウス11匹、対照試料摂取マウス12匹を試験した。不動時間の割合に差は見られなかったものの、図8に示すように、被験試料摂取マウスは、対照試料摂取マウスと比較し、時間を追うごとに、中心点からの移動距離が有意に大きくなっており、すなわち、対照試料摂取マウスの方が、より早く逃避行動をあきらめていると言え、被験試料摂取マウスは、うつに対して耐性が高いことを示している。この結果から、被験試料には抗うつ作用があることが明らかになった。
脳の発達に対する被験試料の効果を調査するため、脳重量測定を行った。
(実験設定)
被験試料摂取マウスおよび対照試料摂取マウスの脳を取り出して、重量を比較した。また、体重を測定し、体重に対する脳重量比を比較した。
各データは、平均値±標準偏差(means±SD)で表した。各群のデータには、SPSS 15.0J for Windowsを使用し、2群間の平均値の比較には対応のないt検定を行い、5%未満をもって有意と判定した。
9週齢の被験試料摂取マウスおよび対照試料摂取マウスから脳組織を摘出し、脳重量と体重について比較した。被験試料摂取マウス、対照試料摂取マウスについてそれぞれ8匹を試験した。図9に示すように、対照試料摂取マウスと比較し、被験試料摂取マウスは、有意に脳重量が増加した。また、体重においては、2群間で差は見られず、体重に対する脳重量の比を見ても、被験試料摂取マウスの方が大きい値を示した。この結果から、被験試料摂取マウスの脳は、対照試料摂取マウスに対し有意に大きくなっていると言えた。
よって、被験試料には、脳の発達促進作用があることが明らかになった。
被験試料の、神経新生に対する効果を検討した。海馬は神経細胞の新生(神経新生)が特に盛んな領域であり、顆粒細胞層(海馬歯状回の神経細胞層)の拡大は神経新生の増大によるものと考えられている。そこで、5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(5−bromo−2’−deoxyuridine;BrdU)を用いて、分裂細胞を特異的に検出し、その細胞密度を定量的に比較した。
細胞分裂を分裂細胞では、DNAの複製が盛んに行われているが、化学標識された核酸をマウスに投与することによって、インビボ(in vivo)で体内のすべての分裂細胞を標識することができる。核酸類似物質としては、BrdUを用いることにより、DNA合成時にチミジンと間違えて取り込まれ、分裂細胞の染色体DNAが特異的に標識される。BrdUを体重あたり100g/kgとして腹腔内投与し、2時間後にマウスをPBS液で還流、パラホルムアルデヒド溶液を用いて固定した。この操作によって、2時間の間で分裂した細胞がin vivo標識される。海馬領域について200μmおきに厚さ40μmの冠状切片を作製し、抗BrdU抗体を用いた免疫染色を行う。BrdU陽性細胞である分裂細胞は蛍光により同定する。同時にsyto13greenを用いて細胞核を染色し、海馬歯状回の顆粒細胞層を可視化する。神経前駆細胞は顆粒細胞下層(subgranular zone,SGZ)に多く存在することから、BrdU陽性細胞はこの領域で見出される。そのため、顆粒細胞層に沿って、BrdU陽性細胞数を計測することによって、分裂細胞の密度を求めることができる。分裂細胞の密度としては、顆粒細胞下層の単位長さあたりのBrdU陽性細胞の数とし(細胞数/mmSGZ)、これは同一固体の海馬のどの部分においてもほぼ一定である。また、ダブルコルチン(Doublecortin;Dcx)を用いて、未熟神経細胞の免疫組織染色も同時に行った。実験は、飼育9週齢目の雄マウスを用いて行った。
各データは、平均値±標準偏差(means±SD)で表した。各群のデータには、SPSS 15.0J for Windowsを使用し、2群間の平均値の比較には対応のないt検定を行い、5%未満をもって有意と判定した。
被験試料摂取マウス、対照試料摂取マウスについてそれぞれ8、6匹を使用した。マウスの海馬を含む領域を200μmおきに冠状切片を得て(領域:海馬の吻側末端から600μmの位置に始まって1400μmの位置まで)、1個体あたり4切片を実験に用いた。抗BrdU抗体による免疫組織染色とsyto13greenによる核染色、Dcx免疫染色の3重染色を施し、各切片の左右の海馬歯状回について写真を撮った(一片あたり8枚の画像)。LSM Image Browser(Carl Zeiss MicroImaging社製)を使用し、取得した画像から顆粒下細胞層(SGZ)の距離を測定し、その後、ImageJソフトを使用して画像解析を行い、可視にてBrdU陽性細胞数をカウントした。図10に、被験試料摂取マウスおよび対照試料摂取マウスの海馬歯状回におけるBrdU陽性細胞の免疫染色画像(白黒)を示す。各画像の右上に挿入された図は、同一領域の核染色画像(緑色)である。緑色示された顆粒細胞層より下の細胞層が顆粒細胞下層(SGZ)であり、神経前駆細胞が多く存在している。被験試料摂取マウス、対照試料摂取マウス共にBrdU陽性細胞の多くが顆粒細胞下層に存在しているが、被験試料摂取マウスの方が、対照試料摂取マウスよりBrdU陽性細胞が一定の領域に集中して存在していることが分かる。画像解析ソフトを使用して、細胞数をカウントする場合、光量の閾値、面積を設定して、その閾値・面積以上のものカウントする仕組みとなっているが、被験試料摂取マウスの画像のようにBrdU陽性細胞が一箇所に集中して存在する場合、複数の細胞があったとしても、画像解析ソフトのカウントは「1」となってしまい、正確性を欠くことから、今回は可視にて陽性細胞をカウントした。これらの画像を元に、各個体からBrdU陽性細胞の密度(BrdU陽性細胞数/mmSGZ)の平均を求めたのが、図11である。この解析によって、被験試料摂取マウスは対照試料摂取マウスと比較して、海馬歯状回の顆粒細胞下層における分裂細胞の密度が有意に高いことが判明した。このことから、被験試料は、海馬において神経細胞増殖を有意に亢進していることが明らかになった。また、顆粒細胞下層における分裂細胞のほとんどは神経前駆細胞であることから、神経新生が盛んになっていると考えられる。すなわち、被験試料は、神経新生を促進することが明らかとなった。
Claims (7)
- コラーゲンまたはゼラチンをコラゲナーゼ処理した分解物であって、
前記コラゲナーゼ処理した分解物を含む水溶液と、回収した画分の脱塩処理工程が不要でありかつ低分子ペプチドの濃度を高めることができる合成吸着剤とを混合し、
Gly−Pro−Arg、
Gly−Pro−Ser−Gly−Asn−Ala(配列番号1)、
Gly−Pro−Val−Gly−Ala−Arg(配列番号2)、
Gly−Pro−Ala−Gly−Pro−Ala(配列番号3)、
Gly−Pro−Hyp、
Gly−Pro−Ile−Gly−Ser−Ala(配列番号4)、
Gly−Pro−Val−Gly−Pro−Ala(配列番号5)、
Gly−Pro−Ser−Gly−Glu−Arg−Gly−Pro−Hyp(配列番号6)、及び
Gly−Leu−Ala−Gly−Pro−Hyp(配列番号7)
で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを含む非吸着成分を回収してなり、
前記のアミノ酸配列からなる9種類のペプチドを含有する神経新生促進剤を配合することを特徴とする飴、グミまたは飲料。 - 前記神経新生促進剤が、分子量1,500以下のペプチドを50重量%以上含有する請求項1記載の飴、グミまたは飲料。
- 前記神経新生促進剤が哺乳動物の脳の海馬において神経新生を促進する請求項1または2記載の飴、グミまたは飲料。
- 前記神経新生促進剤が脳の発達促進作用を有する請求項1〜3いずれか記載の飴、グミまたは飲料。
- 前記神経新生促進剤が脳機能改善効果を有する請求項1〜4のいずれか記載の飴、グミまたは飲料。
- 脳機能改善効果が、抗不安作用、抗うつ作用であることを特徴とする請求項5記載の飴、グミまたは飲料。
- 前記非吸着成分を回収した合成吸着剤と20%(v/v)エタノール水溶液とを混合して、Gly−Pro−Arg、
Gly−Pro−Ser−Gly−Asn−Ala(配列番号1)、
Gly−Pro−Val−Gly−Ala−Arg(配列番号2)、
Gly−Pro−Ala−Gly−Pro−Ala(配列番号3)、
Gly−Pro−Hyp、
Gly−Pro−Ile−Gly−Ser−Ala(配列番号4)、
Gly−Pro−Val−Gly−Pro−Ala(配列番号5)、
Gly−Pro−Ser−Gly−Glu−Arg−Gly−Pro−Hyp(配列番号6)、及び
Gly−Leu−Ala−Gly−Pro−Hyp(配列番号7)
で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを含む非吸着成分をさらに回収してなる請求項1〜6いずれか記載の飴、グミまたは飲料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009217675A JP5115530B2 (ja) | 2009-09-18 | 2009-09-18 | 神経新生促進剤を含有する飴、グミまたは飲料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009217675A JP5115530B2 (ja) | 2009-09-18 | 2009-09-18 | 神経新生促進剤を含有する飴、グミまたは飲料 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008282405A Division JP4433082B1 (ja) | 2008-10-31 | 2008-10-31 | 神経新生促進剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010104364A JP2010104364A (ja) | 2010-05-13 |
JP5115530B2 true JP5115530B2 (ja) | 2013-01-09 |
Family
ID=42294442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009217675A Active JP5115530B2 (ja) | 2009-09-18 | 2009-09-18 | 神経新生促進剤を含有する飴、グミまたは飲料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5115530B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6161183B1 (ja) * | 2017-02-14 | 2017-07-12 | 株式会社日本生物製剤 | 記憶改善用ペプチド |
JPWO2021100614A1 (ja) * | 2019-11-19 | 2021-05-27 | ||
JP7095925B1 (ja) * | 2021-07-13 | 2022-07-05 | 株式会社東洋新薬 | ストレス軽減用経口組成物 |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2324591A1 (en) * | 1998-04-09 | 1999-10-21 | Bresagen Limited | Cell differentiation/proliferation and maintenance factor and uses thereof |
JP3802721B2 (ja) * | 1999-11-05 | 2006-07-26 | 株式会社ファンケル | 生体コラーゲン合成促進剤 |
JP2001302690A (ja) * | 2000-04-19 | 2001-10-31 | Miyagi Kagaku Kogyo Kk | 皮膚浸透性トリペプチド、皮膚浸透性コラーゲンペプチド、皮膚浸透性外用剤および高吸収性食品 |
JP2003137807A (ja) * | 2001-11-01 | 2003-05-14 | Miyagi Kagaku Kogyo Kk | コラーゲン産生促進剤、それを含む化粧品、食品および医薬品ならびに皮膚疾患の予防または改善用外用剤 |
JP4336486B2 (ja) * | 2002-10-04 | 2009-09-30 | 一丸ファルコス株式会社 | ヒアルロン酸産生促進剤 |
EP1684783A4 (en) * | 2003-10-23 | 2009-07-08 | Neuren Pharmaceuticals Ltd | NEUROPROTECTIVE EFFECTS OF GLY-PRO-GLU AFTER INTRAVENOUS INFUSION |
JP2005333813A (ja) * | 2004-05-24 | 2005-12-08 | Masashi Osada | 機能性食材およびその製造方法 |
JP4033877B2 (ja) * | 2005-09-29 | 2008-01-16 | 株式会社ファンケル | I型コラーゲン産生促進用組成物 |
JP5122147B2 (ja) * | 2007-01-16 | 2013-01-16 | アサヒグループホールディングス株式会社 | 抗酸化作用を有する2−(2−メチルプロパノイル)フロログルシノール−1,5−ジ−O−β−D−グルコピラノシド |
JP4433082B1 (ja) * | 2008-10-31 | 2010-03-17 | ユーハ味覚糖株式会社 | 神経新生促進剤 |
-
2009
- 2009-09-18 JP JP2009217675A patent/JP5115530B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010104364A (ja) | 2010-05-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6828054B2 (ja) | ウォールナットオリゴペプチド粉、その調製方法と使用 | |
JP4433082B1 (ja) | 神経新生促進剤 | |
JP6016363B2 (ja) | 脳神経細胞新生剤 | |
EP2725105A1 (en) | Enzymatic production method for brain-function-improving peptides | |
JPWO2015194447A1 (ja) | 糖代謝改善剤 | |
WO2018021471A1 (ja) | 脳機能改善するための食品組成物 | |
JP5459826B2 (ja) | 皮膚線維芽細胞におけるエラスチン産生促進剤及び血管内皮細胞の増殖促進剤 | |
JP5115530B2 (ja) | 神経新生促進剤を含有する飴、グミまたは飲料 | |
CN106174494A (zh) | 一种组合物及其在制备健脑益智的产品中的应用 | |
KR20090129489A (ko) | 간질환의 예방 또는 치료용 조성물 | |
JP6667194B2 (ja) | 脳神経疾患の予防又は脳機能改善用食品を製造するための食品添加物 | |
JP2004002231A (ja) | ルブロフサリン配糖体含有組成物 | |
US20220305090A1 (en) | Hair growing agent and food or beverage product comprising same | |
WO2013098415A1 (en) | Preparation for improving memory and learning and use thereof | |
KR20210131039A (ko) | 뇌기능 개선용 영양전달체 조성물 | |
JP2013018731A (ja) | 脳機能改善剤及び脳機能改善用飲食品 | |
JP6098929B2 (ja) | 抗うつ剤又は抗不安剤 | |
JP2011111440A (ja) | 神経細胞分化促進剤 | |
JP2006348049A (ja) | 血管拡張による血流促進性医薬及び健康食品組成物 | |
JP5409808B2 (ja) | 治療薬および治療方法 | |
JP5427713B2 (ja) | 統合失調症の陽性症状のための治療薬 | |
JP2023160769A (ja) | 神経突起伸長促進剤 | |
JP7383412B2 (ja) | Agiq含有組成物の記憶に関する新たな用途 | |
JP7392474B2 (ja) | 脳機能を改善するための食品組成物 | |
JP6863362B2 (ja) | 神経栄養因子の脳内分泌促進するための食品添加用組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110908 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120612 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120619 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120820 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120918 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121001 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5115530 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151026 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151026 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |