JP5427554B2 - 低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法 - Google Patents

低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、交流損失の低減効果が高いマルチフィラメント型超電導線材及びその製造方法に関する。
イットリウム(Y)系酸化物等の超電導体は、臨界温度、臨界電流、臨界磁界で規定される条件範囲内において、超電導状態が維持される。一方、超電導体は、その状態によっては、通電中に一部の領域が常電導状態となって発熱し、さらに超電導体全体が常電導状態に移転する、所謂クエンチ現象を引き起こすことが知られている。クエンチ現象が発生すると、超電導体が焼損してしまう虞がある。そこで、これを防止するために、熱伝導性および導電性が良好な金属からなる安定化層(金属安定化層)を超電導層に接触配置して複合化することがなされている。安定化層を設けることで、通電中に超電導層の一部領域が常電導状態になっても、安定化層に電流を通す(分流する)ことで、超電導層の特性を安定化することができる。
安定化層を設ける手法としては、スパッタリングや蒸着等の物理的法により、銀(Ag)からなる安定化層(銀安定化層)を形成する方法(特許文献1参照)や、はんだを介して銀安定化層上に安価な銅(Cu)からなる安定化層(銅安定化層)を形成する方法(特許文献2参照)が開示されている。
一方、超電導体をケーブルや変圧器等の実用に供するには、交流損失を低減することが必要である。これに対して、超電導線材を利用したコイルにおいては、金属基材にまで達する溝を超電導層に形成し、超電導層を複数に分割して細線化することにより、分割数に反比例するように交流損失を低減できることが知られている(特許文献3、非特許文献1参照)。細線化の手法としては、レーザ照射、フォトリソグラフィー、エッチング等が通常適用される。
このように、超電導層を安定化させて焼損を防止するために金属安定化層を設けた超電導線材においては、交流損失を低減するために、超電導層を細線化することが重要となる。
特開2006−236652号公報 特開2008−60074号公報 特開2007−141688号公報
Supercond.Soc.Technol.,20,822−826(2007)
しかし、細線化時には、金属安定化層に由来する金属屑が生じやすい。例えば、レーザ照射で細線化する場合には、レーザ照射により、ドロスと呼ばれる金属の溶融屑が生じる。この場合、基板上に成膜した酸化物超電導層は厚さが薄いため、金属安定化層に由来する金属屑が、細線化で分割された複数の超電導層間の溝に詰まり、超電導層間が電気的に接続されてしまい、超電導層間の抵抗をとることが難しくなりカップリング損失が生じるために、交流損失の低減効果が不十分になるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、交流損失の低減効果が高いマルチフィラメント型超電導線材を提供することを第1の目的とする。また、本発明は交流損失の低減効果が高いマルチフィラメント型超電導線材を、生産性良好に製造することのできる製造方法を提供することを第2の目的とする。
上記課題を解決するため、
本発明により得られる低交流損失マルチフィラメント型超電導線材は、長尺の基材上に中間層を介して形成された超電導層と、該超電導層の上に形成された金属安定化層とを具備してなる超電導線材において、
(i)前記基材の長手方向に沿って、前記金属安定化層から前記超電導層を介し前記中間層に達し、前記中間層を露出させた溝が、前記基材の幅方向にわたり、平行に複数形成されており、かつ、
(ii)前記超電導層下部の溝幅d1と前記金属安定化層下部の溝幅d2との差δd(=d1−d2)が10μm以下である、ことを特徴とする。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材は、前記超電導層下部の溝幅d1が10μm以上500μm以下であることが好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材は、複数の前記溝により複数のフィラメント導体に分割された前記超電導層間の抵抗が、10Ω/cm以上であることが好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材は、前記金属安定化層がAg層であることが好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材は、前記金属安定化層が、Ag層上にCu層が積層されてなることも好ましい。
上記課題を解決するため、
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、長尺の基材上に、中間層、超電導層及び金属安定化層をこの順に積層する工程と、
前記金属安定化層の表面にマスキングを施して、マスキングパターンを形成し、このマスキングパターンにより、前記基材の長手方向に沿って前記基材の幅方向に複数平行な細線状に前記金属安定化層を部分的に露出させた露出部を設ける工程と、
前記金属安定化層の前記露出部を、強アルカリ系溶液で腐食させて、前記金属安定化層に前記基材の長手方向に沿って第1の溝を形成して前記超電導層を露出させる工程と、
この露出させた超電導層を強酸系溶液で腐食して、前記基材の長手方向に沿って第2の溝を形成して前記中間層を露出させる工程と、を有し、
前記超電導層下部の溝幅d1と前記金属安定化層下部の溝幅d2との差δd(=d1−d2)を10μm以下とすることを特徴とする。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記金属安定化層がAg層であることが好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記金属安定化層が、Ag層上にCu層を積層させてなることも好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記マスキングは、粘着テープの貼付により行うことが好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記マスキングは、ワニス塗布又はスプレー塗布により行うことも好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記マスキングは、粘着テープを貼付し、この粘着テープ表面にレーザを照射してマスキングパターンを形成することを特徴とする。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記マスキングは、ワニス塗布又はスプレー塗布した塗布面に、レーザを照射してマスキングパターンを形成することも好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記強アルカリ系溶液が、過酸化水素水とアンモニア水の混合溶液であることが好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記強アルカリ系溶液が、過酸化水素:アンモニア=13:1〜1:2(重量比)の過酸化水素水とアンモニア水の混合溶液であることが好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記金属安定化層を構成する金属の種類に応じて、前記強アルカリ系溶液の種類と成分組成の少なくともいずれか一方を選択することが好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記強酸系溶液が、硝酸セリウムアンモニウム溶液であることが好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法は、前記レーザを照射して前記マスキングパターンを形成する工程において、超電導線材の搬送速度である加工線速とレーザの照射出力の少なくともいずれか一方を調整して、前記超電導層下部の溝幅を10μm以上500μm以下とすることが好ましい。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材によれば、基材の長手方向に沿って基材の幅方向に複数形成された溝により複数のフィラメント導体に分離され、超電導層下部の溝幅d1と金属安定化層下部の溝幅d2との差δd(=d1−d2)を10μm以下としたことにより、交流損失の低減効果が高い超電導線材を提供することができる。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法によれば、金属安定化層の表面にマスキングを施して、強アルカリ系溶液で腐食して金属安定化層に第1の溝を形成し、強酸系溶液で腐食して超電導層に第2の溝を形成することにより、短時間で効率よく超電導層を分離しつつAg等の残留物を除去することができるので、交流損失の低減効果が高い超電導線材を生産性良好に製造できる製造方法を提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、金属安定化層の腐食に用いる溶液と、超電導層の腐食に用いる溶液として、それぞれ適切な溶液を選択したことにより、短時間で効率良く溝の形成をしつつ、オーバーエッチと呼ばれる過剰な超電導層の除去を防ぐことが可能となる。
(a)は本発明に係る低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の第1の実施形態の一例を示す概略断面図であり、(b)はその部分拡大断面図であり、(c)はその部分斜視図である。 本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法を説明するための概略図であり、超電導線材の横断面図である。 本発明に係る低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の第2の実施形態の一例を示す概略断面図である。 実施例1のマルチフィラメント型超電導線材の外観写真である。 実施例4のマルチフィラメント型超電導線材の磁束観察写真である。 レーザ照射出力と超電導線材の搬送速度を変化させてマスキングパターンを形成した際に形成される金属安定化層の露出部の幅を示すグラフである。 (a)は過酸化水素水とアンモニア水の混合比(体積比)とその混合溶液のpHの関係を示すグラフであり、(b)は過酸化水素水とアンモニア水の混合比(体積比)と、その混合溶液による金属安定化層のエッチング時間との関係を示すグラフである。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材(以下、本発明の超電導線材ということがある。)は、長尺の基材上に絶縁性の中間層を介して形成された超電導層と、該超電導層の上に形成された金属安定化層とを具備してなる超電導線材において、
(i)前記基材の長手方向に沿って、前記金属安定化層から前記超電導層を介し前記中間層に達し、前記中間層を露出させた溝が、前記基材の幅方向にわたり、平行に複数形成されており、かつ、
(ii)前記超電導層下部の溝幅d1と前記金属安定化層下部の溝幅d2との差δd(=d1−d2)が10μm以下である、ことを特徴とする。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1の実施形態の超電導線材を例示する概略図であり、(a)は横断面図、(b)は同超電導線材の部分拡大断面図、(c)は同超電導線材の部分斜視図である。
本実施形態の超電導線材A(及びA1)においては、基材1上に、中間層2、超電導層3及び金属安定化層4がこの順に積層されている。金属安定化層4と超電導層3には、基材1の長手方向に沿って基材1の幅方向にわたり、平行に複数形成された溝20が中間層2を露出させるように形成されており、この溝20により分割された各フィラメント導体10が基材1の幅方向にわたって複数、所定の間隔で並設されている。
基材1は、通常の超電導線材の基材として使用し得るものであれば良く、長尺のプレート状又はシート状であることが好ましく、耐熱性の金属からなるものが好ましい。耐熱性の金属の中でも、合金が好ましく、ニッケル(Ni)合金又は銅(Cu)合金がより好ましい。なかでも、市販品であればハステロイ(商品名、ヘインズ社製)が好適であり、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等のいずれの種類も使用できる。
金属基材1の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。下限値以上とすることで強度が一層向上し、上限値以下とすることで臨界電流密度を一層向上させることができる。
中間層2は、超電導層3の結晶配向性を制御し、金属基材1中の金属元素の超電導層3への拡散を防止するものである。そして、金属基材1と超電導層3との物理的特性(熱膨張率や格子定数等)の差を緩和するバッファー層として機能し、その材質は、物理的特性が金属基材1と超電導層3との中間的な値を示す金属酸化物が好ましい。中間層2の好ましい材質として具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物が例示できる。
中間層2は、単層でも良いし、複数層でも良い。例えば、前記金属酸化物からなる層(金属酸化物層)は、結晶配向性を有していることが好ましく、複数層である場合には、最外層(最も超電導層3に近い層)が少なくとも結晶配向性を有していることが好ましい。
また中間層2は、前記金属酸化物層の上に、さらにキャップ層が積層された複数層構造でも良い。キャップ層は、超電導層3の配向性を制御する機能を有するとともに、超電導層3を構成する元素の中間層2への拡散や、超電導層3積層時に使用するガスと中間層2との反応を抑制する機能等を有するものである。そして、前記金属酸化物層により配向性が制御される。
キャップ層は、前記金属酸化物層の表面に対してエピタキシャル成長し、その後、横方向(面方向)に粒成長(オーバーグロース)して、結晶粒が面内方向に選択成長するという過程を経て形成されたものが好ましい。このようなキャップ層は、前記金属酸化物層よりも高い面内配向度が得られる。
キャップ層の材質は、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、好ましいものとして具体的には、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等が例示できる。キャップ層の材質がCeOである場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。
中間層2の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、0.1〜5μmである。
中間層2が、前記金属酸化物層の上にキャップ層が積層された複数層構造である場合には、キャップ層の厚さは、通常は、0.1〜1.5μmである。
中間層2は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビームアシストスパッタ法(以下、IBAD法と略記する)、化学気相成長法(CVD法)等の物理的蒸着法;熱塗布分解法(MOD法);溶射等、酸化物薄膜を形成する公知の方法で積層できる。特に、IBAD法で形成された前記金属酸化物層は、結晶配向性が高く、超電導層3やキャップ層の結晶配向性を制御する効果が高い点で好ましい。IBAD法とは、蒸着時に、結晶の蒸着面に対して所定の角度でイオンビームを照射することにより、結晶軸を配向させる方法である。通常は、イオンビームとして、アルゴン(Ar)イオンビームを使用する。例えば、GdZr、MgO又はZrO−Y(YSZ)からなる中間層2は、IBAD法における配向度を表す指標であるΔΦ(FWHM:半値全幅)の値を小さくできるため、特に好適である。
超電導層3は通常知られている組成の超電導体からなるものを広く適用することができ、酸化物超電導体からなるものが好ましい。具体的には、REBaCu(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)なる材質のものが例示できる。
超電導層13は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相成長法(CVD法)等の物理的蒸着法;熱塗布分解法(MOD法)等で積層でき、なかでもレーザ蒸着法が好ましい。
超電導層13の厚さは、0.5〜9μmの範囲とすることができる。
金属安定化層4は、超電導層3の一部領域が常電導状態になった場合に通電することで、超電導層3を安定化させて焼損を防止する、主たる構成要素である。
金属安定化層4は、導電性が良好な金属からなるものが好ましく、具体的には、銀又は銀合金からなるものが例示できる。
金属安定化層4は、公知の方法で積層できるが、なかでもスパッタ法が好ましい。また、金属安定化層4を形成する最終工程で、酸素熱処理を行うことが好ましい。
金属安定化層4の厚さは、3〜10μmの範囲とすることができる。
図1(b)に示す実施形態の超電導線材A1においては、超電導層3及び金属安定化層4には、基材1の長手方向に沿って金属安定化層4から中間層2に達し、中間層2を露出させた溝20が形成されている。この溝20により、超電導層3及び金属安定化層4は、基材1の幅方向に、3つのフィラメント導体10、10、10に分割されている。
溝20により分割された3つの超電導層における、基材1の幅方向の幅W31、W32、W33は、それぞれ互いに同一でも異なっていても良いが、通常はほぼ同一とされる。また、超電導層3を分割する溝20の幅d1、d1は、それぞれ互いに同一でも異なっていても良いが、通常はほぼ同一とされる。超電導層3下部の溝幅d1は10〜500μmとすることが好ましく、100〜250μmとすることがより好ましい。
溝20により分割された3つの金属安定化層4における、基材1の幅方向の幅W41、W42、W43は、それぞれ互いに同一でも異なっていても良いが、通常はほぼ同一とされる。また、金属安定化層4を分割する溝20の金属安定化層4下部の溝幅d2、d2は、それぞれ互いに同一でも異なっていても良いが、通常はほぼ同一とされる。
超電導層3下部の溝幅d1と金属安定化層4下部の溝幅d2は略同等とされ、具体的には、超電導層3下部の溝幅d1と金属安定化層4下部の溝幅d2との差δd(d1−d2)は、10μm以下とすることが好ましい。
このように、金属安定化層4及び超電導層3に、長手方向に沿って溝20が一体に形成され、超電導層3が分割されて細線化されることで、超電導線材A1の交流損失が低減される。
超伝導線材A1は、複数の溝20により複数のフィラメント導体10に分割された各超電導層3間の1cm長あたりのフィラメント抵抗は、10Ω/cm以上であることが好ましく、10Ω/cm以上であることがさらに好ましい。
図3は、本発明の第2の実施形態の超電導線材A10を示すものであり、この例の如く、金属安定化層4として、第1の金属安定化層4a上に第2の金属安定化層4bを積層した構造を採用してもよい。
第1の金属安定化層4aは、超電導層3を安定化するものであり、上述した第1の実施形態における金属安定化層4として例示したものと同様の化合物、成膜法および膜厚とすることができる。
第2の金属安定化層4bは、第1の金属安定化層4aと同様に、超電導層3を安定化するものであるが、必ずしも第1の金属安定化層4aと同様の導電性でなくても良い。第2の金属安定化層4bの好ましいものとしては、銅(Cu);銅−ニッケル(Cu−Ni)合金;ニッケル−クロム(Ni−Cr)合金等のニッケル(Ni)合金;ステンレス;銀合金等のいずれかからなるものが例示できる。第2の金属安定化層4bを、第1の金属安定化層4aよりも安価な材質で形成することで、低コストで高い安定化効果が得られる。
図3に示す第2の実施形態の超電導線材A10においても、第1の実施形態と同様に、第1の金属安定化層4aおよび第2の金属安定化層4bよりなる金属安定化層4と、超電導層3には、基材1の長手方向に沿って金属安定化層4から中間層2に達し、中間層2を露出させた溝20aが形成されている。この溝20aにより、超電導層3及び金属安定化層4は、基材1の幅方向に、3つのフィラメント導体10a、10a、10aに分割されている。溝20aにより分割された3つの超電導層の基材1方向の幅および溝幅は、第1の実施形態と同様とすることが好ましい。また、第1の金属安定化層4aおよび第2の金属安定化層4bよりなる金属安定化層4の基材1の幅方向の幅および金属安定化層4下部の溝幅は、第1の実施形態の金属安定化層4と同様とすることが好ましい。本実施形態においても、超電導層3下部の溝幅は10〜500μmとすることが好ましく、100〜250μmとすることがより好ましい。また、超電導層3下部の溝幅と金属安定化層4下部の溝幅との差は、10μm以下とすることが好ましい。
超伝導線材A1は、複数の溝20により複数のフィラメント導体10に分割された各超電導層3間の1cm長あたりのフィラメント抵抗は、10Ω/cm以上であることが好ましく、10Ω/cm以上であることがさらに好ましい。
このように、第1の金属安定化層4a及び第2の金属安定化層4bよりなる金属安定化層4及び超電導層3に、長手方向に沿って溝20aが一体に形成され、超電導層3が分割されて細線化されることで、超電導線材A10の交流損失が低減される。さらに、第2の金属安定化層4bを、第1の金属安定化層4aよりも安価な材質で形成することで、低コストで高い安定化効果が得られる。
本発明の超電導線材は、さらに、全体が絶縁性の被覆層で被覆されていても良い(図示略)。被覆層で被覆することにより、特に溝加工部分が保護され、安定した性能の超電導線材が得られる。
被覆層は、例えば、超電導線材等の絶縁被覆に通常使用される、各種樹脂や酸化物等の公知の材質からなるもので良い。
前記樹脂として具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂、シリコン樹脂、アルキッド樹脂、ビニル樹脂等が例示できる。また、紫外線硬化性樹脂が好ましい。
前記酸化物としては、CeO、Y、GdZr、Gd、ZrO−Y(YSZ)、Zr、Ho等が例示できる。
被覆層による被覆の厚さは特に限定されず、被覆対象部位等に応じて、適宜調節すれば良い。
被覆層は、その材質に応じて公知の方法で形成すれば良く、例えば、原料を塗布して、これを硬化させれば良い。また、シート状のものが入手できる場合には、これを使用して積層しても良い。
本発明の超電導線材は、これまでに説明したものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、一部構成を変更、追加又は削除したものでも良い、
例えば、金属安定化層4及び超電導層3に形成する溝の数は、特に限定されず、目的に応じて適宜調整すれば良い。
次に、本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法(以下、本発明の超電導線材の製造方法という。)の一例について説明する。
図2は、本発明に係る第1実施形態の超電導線材A1の製造方法を説明するための概略図であり、超電導線材A1の横断面図である。
前記構造の超電導線材A1を製造するには、まず、図2(a)に示す如く基材1の上に中間層2、超電導層3、金属安定化層4を順次成膜して積層体A0を形成する。
次いで、この積層体A0の金属安定化層4の表面に、マスキング材100を積層する。
マスキング材100の積層方法としては、粘着テープの貼付、ワニスの塗布、アクリル樹脂のスプレー塗布などが挙げられる。
粘着テープとしては、粘着剤の付いた樹脂製のテープであれば特に限定されず、ポリエステルテープ、カプトンテープ(ポリイミドテープ)、ポリエチレンテープ、ポリプロピレンテープ、フッ素樹脂テープ等が挙げられ、工業用品として入手が容易、長尺の超電導線材が提供可能等の理由により、ポリエステルテープ、カプトンテープが好ましい。
ワニスとしては、従来公知のもの使用することができ、例えば、ポリアミドイミドなどが好ましいものとして挙げられる。ワニスの塗布方法は、スプレー塗布、ダイス線引き、ドクターブレードなどにより行うことができる。
マスキング材100の厚さは、10〜100μmとするのが好ましく、20〜70μmとするのがより好ましい。この様な範囲の厚さのマスキング材100を用いることにより、後述するレーザ照射によるマスキングパターンの形成時に、金属安定化層4を傷つけすぎることなく、良好な形状のパターンを形成することができる。
次に、マスキング材100にレーザ光線を照射して、図2(b)に示す如く、基材1の長手方向に沿って基材1の幅方向に細線状の露出部102を複数並設してマスキングパターンを形成する。マスキング材100にレーザ光線が照射されると、レーザ照射された部分のマスキング材100は蒸発し、金属安定化層4にわずかに傷が付いた状態で、基材1の幅方向の幅W103を有する露出部102により金属安定化層4を露出させる。また、レーザ照射されない部分のマスキング材100はマスキング部101として金属安定化層4表面に残留する。
マスキング材の各露出部102の幅W103は、それぞれ互いに同一でも異なっていても良いが、通常はほぼ同一とされる。露出部102の幅W103は、金属安定化層4及び超電導層3に形成される溝20の幅d1、d2と略同等とすることが好ましく、具体的には、10〜500μmとすることが好ましく、100〜250μmとすることがより好ましい。
ここで、露出部102の幅W103は、レーザ照射強度とレーザスポット径と超電導線材の搬送速度である加工線速を調整することにより幅をコントロールすることができる。レーザ光源の種類(波長)や、レーザ照射出力は特に限定されるものではなく、例えば1〜10Wとすることができる。また、レーザスポット径は、例えば10〜200μmとすることができる。超電導線材の搬送速度は、所望の露出部102の幅W103となるように、レーザの照射出力を考慮して適宜設定すればよく、例えば1〜20mm/sとすることができる。
また、マスキング材100にレーザ光線を照射する際の、基材1の水平方向に対するレーザ光線の照射角度は特に限定されるものではなく、垂直方向から照射しても良いし、基材1に対する垂直方向から、例えば45度程度傾いていてもよい。
このようにしてマスキングパターンを形成した積層体A0を、不図示の連続エッチング装置等に設置し、マスキング部101に覆われていない部分(露出部102により露出された部分)の金属安定化層4を、強アルカリ系溶液で腐食させてエッチングを行い、第1の溝103を形成する。ここで、金属安定化層4を腐食する強アルカリ系溶液としては、強アルカリ系溶液として従来公知のものを用いることができるが、過酸化水素水とアンモニア水の混合溶液が好ましいものとして挙げられ、過酸化水素の25〜35wt%(重量%)水溶液とアンモニアの28〜30wt%(重量%)水溶液の混合溶液がより好ましく、過酸化水素の30〜35wt%水溶液とアンモニアの28〜30wt%水溶液の混合溶液がさらに好ましく、過酸化水素水(30〜35wt%):アンモニア水(28〜30wt%)=9:1〜1:3(体積比)の混合溶液が好ましく、過酸化水素水(30〜35wt%):アンモニア水(28〜30wt%)=4:1〜1:1(体積比)の混合溶液がより好ましい。なお、この場合、強アルカリ系溶液である過酸化水素水とアンモニア水の混合溶液中における、過酸化水素とアンモニアの重量比は、過酸化水素:アンモニア=13:1〜1:2が好ましく、5.8:1〜1.4:1がより好ましい。このような組成の強アルカリ系溶液をエッチング溶液として用いることにより、金属安定化層4を腐食させて第1の溝103を形成するエッチング時間を短縮させて生産性の向上を図ることができ、また、超電導層3まで腐食されることが無く、所望の形状の第1の溝103を形成することができる。この第1の溝103を形成する工程における強アルカリ系溶液による処理温度は、好ましくは、15〜80℃、より好ましくは20〜60℃であり、処理時間は、超電導線材の長さやエッチング槽の長さによって調整可能であるが、例えば、厚さ20μm金属安定化層4を具備する長さ1cm、幅1cmの超電導線材を処理する場合は、10〜40秒間、より好ましくは10〜20秒間である。このようにして、金属安定化層4を強アルカリ系溶液により腐食させてエッチングを行うことにより、金属安定化層4の溝103の基材1の幅方向の溝幅は、マスキングパターンの露出部102の幅W103と略同等の幅として形成される。
また、第2の実施形態の超電導線材A10のように、金属安定化層4が第1の金属安定化層4aに第2の金属安定化層4bが積層された構造である場合には、エッチングに使用する強アルカリ系溶液の組成および濃度を適宜選択することにより、まず第2の金属安定化層4bを腐食させて溝を形成し、次いで第1の金属安定化層4aを腐食させて2段階で溝を形成することができる。第1の金属安定化層4aのエッチング溶液と、第2の金属安定化層4bのエッチング溶液は、同一でも異なっていてもよいが、第1及び第2の金属安定化層を構成する金属の種類により、適宜異なった組成及び濃度のエッチング液を選択することが、エッチング時間の短縮することができるため好ましい。使用されるエッチング溶液としては、第1の金属安定化層4aがAg(銀)よりなる場合には、上述した過酸化水素水とアンモニア水の混合溶液が好ましく、例えば過酸化水素:アンモニア=2:1の混合溶液(水に対する濃度30wt%)を選択することができる。また、第2の金属安定化層4bがCu(銅)よりなる場合には、上記と同様な組成の過酸化水素水とアンモニア水の混合溶液と酸化剤を使用することが好ましく、酸化剤としては、例えば、塩化第二鉄水溶液(5〜13wt%)を選択することができる。過酸化水素水とアンモニア水の混合溶液と、酸化剤との混合比は、特に制限されるものではなく、例えば1:4〜4:1とすることができ、酸化剤と併用することにより、エッチング効果を高めることができる。この場合、例えば、第2の金属安定化層4bのエッチング温度は15〜80℃、エッチング時間は厚さ10μmの第2の金属安定化層4bを有する長さ1cm、幅1cmの超電導線材をエッチングする場合には、10〜15秒間とし、第1の金属安定化層4aのエッチング温度は15〜90℃、エッチング時間は厚さ20μmの第1の金属安定化層4aを有する長さ1cm、幅1cmの超電導線材をエッチングする場合には、10〜30秒間と設定することができる。エッチング終了後、流水などにより強アルカリ系溶液および腐食された銀を洗い流す。
このようにして金属安定化層4に第1の溝103が形成されると、マスキングパターンに倣った溝幅の第1の溝103により超電導層3の一部が露出される。続いて、この積層体を、マスキングパターンが金属安定化層4上に積層されたままの状態で、金属安定化層4が腐食除去されて露出された部分の超電導層3を、強酸系溶液で腐食させてエッチングを行い、第1の溝103と一体化された第2の溝104を形成する。ここで、超電導層3を腐食する強酸系溶液としては、強酸系溶液として従来公知のものを使用することができ、中でも、硝酸セリウムアンモニウム水溶液が好ましい。このような組成の強酸系溶液をエッチング溶液として用いることにより、超電導層3を腐食させて第2の溝104を形成するエッチング時間を短縮させて生産性の向上を図ることができる。また、従来は1種のエッチング溶液を使用するとオーバーエッチと呼ばれる過剰な超電導層の除去が起こる場合があった。しかし、本発明のマルチフィラメント型超電導線材の製造方法では、第1の溝103の形成工程のエッチング溶液と、第2の溝104の形成工程のエッチング溶液として、それぞれ適切な溶液を選択することにより、第1の溝103の形成工程では、強アルカリ系溶液、好ましくはアンモニア過酸化水素水溶液を用いることで超電導層3に影響を与えずに金属安定化層4のみをエッチングし、第2の溝104の形成工程では、強酸系溶液を用いることにより、金属安定化層4に影響を与えずに超電導層3のみをエッチングすることができる。したがって、超電導層3のオーバーエッチの発生を抑制でき、超電導層3下部の溝幅d1と金属安定化層4下部の溝幅d2との差δd(=d1−d2)を10μm以下とすることが可能となる。
第2の溝104を形成する工程における強酸系溶液による処理温度は、好ましくは15〜40℃、より好ましくは15〜35℃であり、処理時間は、例えば、厚さ20μmの超電導層3を有する長さ1cm、幅1cmの超電導線材をエッチングする場合には、好ましくは5〜30秒間、より好ましくは5〜20秒間である。このようにして、超電導層3を強酸系溶液により腐食させてエッチングを行うことにより、超電導層3には金属安定化層4に形成された第1の溝103の溝幅と略同等、より詳しくは、超電導層3下部の溝幅d1と金属安定化層4下部の溝幅d2との差δd(=d1−d2)を10μm以下とされた第2の溝104が形成される。したがって、マスキング材100に形成したマスキングパターンの露出部102の幅W103と略同等の溝幅の溝104を形成することが可能となる。
第2の溝104が形成された後、流水などにより不要なエッチング溶液を洗い流し、送風等による乾燥、マスキングパターン101の除去を行って、本発明の超電導線材A1を製造することができる。
本発明の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法によれば、金属安定化層の表面にマスキングを施して、マスキングパターンを形成し、強アルカリ系溶液で腐食して金属安定化層に第1の溝を形成し、強酸系溶液で腐食して超電導層に第2の溝を形成することにより、短時間で効率よく超電導層を分離しつつAg等の残留物を除去することができるので、交流損失の低減効果が高い超電導線材を生産性良好に製造できる製造方法を提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、金属安定化層の腐食に用いる溶液と、超電導層の腐食に用いる溶液として、それぞれ適切な溶液を選択したことにより、短時間で効率良く溝の形成をしつつ、オーバーエッチと呼ばれる過剰な超電導層の除去を防ぐことが可能となる。さらに、超電導層のオーバーエッチの発生を抑制することができるので、超電導層下部の溝幅d1と金属安定化層下部の溝幅d2との差δd(=d1−d2)を10μm以下とすることができ、超電導層が過剰に除去されることによる超電導特性の低下を抑制し、交流損失の低減効果が高い超電導線材を提供することができる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
10mm幅のテープ状のハステロイ(登録商標)製の基板の片面に、イオンビームアシストスパッタ法(IBAD法)を用いて0.5μm厚のGdZr(GZO)を形成した上に、レーザ蒸着法(PLD法)により1μm厚のCeOを成膜した。ここで、GZOとCeOは、無配向金属のハステロイと2軸配向した超電導層の間に存在する中間層あるいはバッファ層と呼ばれる層である。この中間層の上にレーザ蒸着法(PLD法)により1.5μm厚のGdBaCu(RE123)超電導層を形成し、さらにスパッタ法により金属安定化層として銀を10μm厚で成膜した。10mm幅であった超電導テープ線材を、使用しやすいようにレーザ切断により5mm幅に切断した。
成膜した銀層(銀安定化層)の上に、粘着材の付いた幅5mm、厚み25μmのポリエステルテープを貼り付けて表面をマスキングした。形成する溝幅を200μmとし、幅方向を5分割できるように端から840μmの場所にレーザを照射して、一番目の溝の場所とした。ここで、線材は8mm/sの速度で移動しながらのレーザ照射とした(レーザ出力5W、パルス周波数10kHz、レーザスポット径80μm)。2番目の溝の場所は溝幅200μmを考慮して、1番目の溝から940μm内側の場所、すなわち、端から1780μmの場所にレーザを照射した。同様に3、4番目の溝となるべき場所にレーザを照射した。レーザが照射された部分はポリエステルテープが蒸発し、銀安定化層に深さ10μm程度の傷が付いた状態となった。
次いで、連続エッチング装置を用いて、過酸化水素水(35wt%)とアンモニア水(30wt%)の1:1(体積比)混合溶液で、室温にてレーザが照射された部分の銀安定化層を腐食除去し、流水により不要なエッチング液を洗い流した。エッチングに要した時間は45秒であった。銀安定化層が取り除かれて露出された超電導層を硝酸セリウムアンモニウム液(30wt%水溶液)で、室温にて腐食除去し、流水により不要なエッチング液を洗い流した。エッチングに要した時間は50秒であった。次いで、送風により乾燥させながらリールに巻き取り、最後にマスキング材の除去を行った。
以上のような工程で得られた5mm幅のハステロイ(登録商標)/GZO/CeO/RE123/Agの積層体がマルチフィラメント型の超電導線材となった外観写真を図4に示す。超電導層下部の溝幅の平均は230μm、銀安定化層下部の溝幅の平均は220μmであった。各フィラメント間の抵抗は1cm長さあたり2MΩ以上という良好な絶縁性を示した。
(実施例2)
10mm幅のテープ状のハステロイ(登録商標)製の基板の片面に、イオンビームアシストスパッタ法(IBAD法)を用いて0.5μm厚のGdZr(GZO)を形成した上に、レーザ蒸着法(PLD法)により1μm厚のCeOを成膜した(中間層の成膜)。ここで使用しやすいようにスリッターにより4.5mm幅に切断した。中間層の上にTFA−MOD法(Trifluoroacetate-metalorganic deposition)により、1.2μm厚のYBaCu(RE123)超電導層を形成し、さらにスパッタ法により金属安定化層として銀を20μmの厚さで成膜した。
成膜した銀層(銀安定化層)の上に、粘着材の付いた幅5mm、厚み12μmのカプトンテープを貼り付けて表面をマスキングした。形成する溝幅を140μmとし、幅方向を3分割できるように端から1477μmの場所にレーザを照射して、一番目の溝の場所とした。ここで、線材は6mm/sの速度で移動しながらのレーザ照射とした(レーザ出力4.5W、パルス周波数10kHz、レーザスポット径70μm)。2番目の溝の場所は溝幅140μmを考慮して、1番目の溝から1547μm内側の場所、すなわち、端から3024μmの場所にレーザを照射した。レーザが照射された部分はカプトンテープが蒸発し、銀安定化層に深さ10μm程度の傷が付いた状態となった。
次いで、連続エッチング装置を用いて、過酸化水素水(35wt%)とアンモニア水(30wt%)の1:1(体積比)の混合溶液で、室温にてレーザ照射された部分の銀安定化層を腐食除去し、流水により不要なエッチング液を洗い流した。エッチングに要した時間は50秒であった。銀安定化層が取り除かれて露出された超電導層を硝酸セリウムアンモニウム液(30wt%水溶液)で、室温にて腐食除去し、流水により不溶なエッチング液を洗い流した。エッチングに要した時間は50秒であった。最後は送風により乾燥させながらリールに巻き取った。
以上のような工程で得られた4.5mm幅のハステロイ(登録商標)/GZO/CeO/RE123/Agマルチフィラメント型の超電導線材の各フィラメントのゼロ磁場中液体窒素温度での臨界電流Icを測定した結果、フィラメント1(一番目の溝により分割形成されたフィラメント)の臨界電流Icは28.8A、フィラメント2(1番目の溝と2番目の溝により分割形成されたフィラメント)の臨界電流Icは27.4A、フィラメント3(2番目の溝により分割形成されたフィラメント)の臨界電流Icは28.0Aであった。細線加工前の臨界電流Icは95Aであったので、臨界電流Icの低下率は11%となった。ちなみに、交流応用では、最小Icが律速となるので、最小Ic×3と細線加工前のIcを比較すると、実質のIcの低下率は14%となる。ここで、溝幅は140μmであるので、面積低下率は9%であり、細線加工による劣化は2%のみという結果であった。各フィラメント間の抵抗は、10cm長さで10.5MΩ(フィラメント1−2間)、5.5MΩ(フィラメント2−3間)、4.8MΩ(フィラメント3−1間)であり、良好な絶縁性を示した。超電導層下部の溝幅の平均は135μm、銀安定化層下部の溝幅の平均は140μmであった。
(実施例3)
10mm幅のテープ状のハステロイ(登録商標)製の基板の片面に、スパッタ法で無配向のGdZr(GZO)ベッド層を0.1μm厚で形成した上に、イオンビームアシストスパッタ法(IBAD法)を用いてMgOを0.01μm厚で2軸配向させ、その上に0.1μm厚のLaMnO(LMO)を、さらにその上に0.5μm厚のCeOをレーザ蒸着法(PLD法)により成膜した。ここで、GZOベッド層からCeO層までが中間層となる。この中間層上にレーザ蒸着法(PLD法)により1.0μm厚のGdBaCu(RE123)超電導層を形成し、さらにスパッタ法により金属安定化層として銀を10μmの厚さで成膜した。10mm幅であった超電導テープ線材を、使用しやすいようにレーザ切断により5mm幅に切断した。
成膜した銀層(銀安定化層)の上に、粘着材の付いた幅5mm、厚み25μmのポリエステルテープを貼り付けて表面をマスキングした。形成する溝幅を220μmとし、幅方向を3分割できるように端から1630μmの場所にレーザを照射して、一番目の溝の場所とした。ここで、線材は8mm/sの速度で移動しながらのレーザ照射とした(レーザ出力4W、レーザ周波数20kHz、レーザスポット径80μm)。2番目の溝の場所は溝幅220μmを考慮して、1番目の溝から1740μm内側の場所、すなわち、端から3070μmの場所にレーザを照射した。レーザが照射された部分はポリエステルテープが蒸発し、銀安定化層に深さ10μm程度の傷が付いた状態となった。
次いで、連続エッチング装置を用いて、過酸化水素水(35wt%)とアンモニア水(30wt%)の2:1(体積比)の混合溶液で、室温にてレーザが照射された部分の銀安定化層を腐食除去し、流水により不要なエッチング液を洗い流した。エッチングに要した時間は60秒であった。銀安定化層が取り除かれて露出された超電導層を硝酸セリウムアンモニウム液(30wt%水溶液)で、室温にて腐食除去し、流水により不溶なエッチング液を洗い流した。エッチングに要した時間は70秒であった。最後は送風により乾燥させながらリールに巻き取った。
以上のような工程で得られた5mm幅のハステロイ(登録商標)/GZO/MgO/LMO/CeO/RE123/Agマルチフィラメント型の超電導線材の各フィラメントのゼロ磁場中液体窒素温度での臨界電流Icを測定した結果、フィラメント1(1番目の溝により分割形成されたフィラメント)の臨界電流Icは54.0A、フィラメント2(1番目の溝と2番目の溝により分割形成されたフィラメント)の臨界電流Icは50.5A、フィラメント3(2番目の溝により分割形成されたフィラメント)の臨界電流Icは44.0Aであった。細線加工前の臨界電流Icは175Aであったので、Icの低下率は15%となった。ちなみに交流応用では、最小Icが律速となるので、最小Ic×3と細線加工前のIcを比較すると、実質のIc低下率は25%となる。ここで、溝幅は220μmであるので、面積低下率は11.5%であり、細線加工による劣化は3.6%のみという結果であった。各フィラメント間の抵抗は、10cm長さで1.0MΩ(フィラメント1−2間)、1.6MΩ(フィラメント2−3間)、2.1MΩ(フィラメント3−1間)であり、良好な絶縁性を示した。超電導層下部の溝幅の平均は220μm、銀安定化層下部の溝幅の平均は225μmであった。
(実施例4)
10mm幅のテープ状のハステロイ(登録商標)製の基板の片面に、イオンビームアシストスパッタ法(IBAD法)を用いて0.5μmのGdZr(GZO)を形成した上に、レーザ蒸着法(PLD法)により1μm厚のCeOを成膜した。ここで、GZOとCeOは、無配向金属のハステロイと2軸配向した超電導層の間に存在するため中間層あるいはバッファ層と呼ばれる層である。この中間層の上にレーザ蒸着法(PLD法)により1.5μm厚のYBaCu(RE123)系超電導層を形成し、さらにスパッタ法により金属安定化層として銀を10μmの厚さでした。10mm幅であった超電導テープ線材を、使用しやすいようにレーザ切断により5mm幅に切断した。
成膜した銀層(銀安定化層)の上に、粘着材の付いた幅5mm、厚み25μmのポリエステルテープを貼り付けて表面をマスキングしてからレーザ照射を行った。分割数は20で、均等になるように照射した(線材移動速度:10mm/s、レーザ出力4W、パルス周波数20kHz、レーザスポット径60μm)。連続エッチング装置を用いて、2段階エッチングにより銀安定化層と超電導層を腐食除去したマルチフィラメント型線材を得た(銀安定化層のエッチング溶液−過酸化水素水(35wt%):アンモニア水(30wt%)=2:1(体積比)の混合溶液、エッチング時間40秒間(室温))、超電導層のエッチング溶液−硝酸セリウムアンモニウム水溶液(30wt%)、エッチング時間40秒間(室温))。超電導層下部の溝幅の平均は85μm、銀安定化層下部の溝幅の平均は80μmであった。
以上のような工程で得られた5mm幅のハステロイ(登録商標)/GZO/CeO/RE123/Agの積層体がマルチフィラメント型の超電導線材となった磁束観察写真を図5に示す。図5は、20mT、40Kにおいて、超電導線材を長手方向に10mmずつ移動させながら撮影したコマ撮り写真を繋げて示したものである。図5において、長手方向に走る明るい場所(白線)が弱結合となった超電導部分を示しており、この白線と平行して走る暗い場所(黒線)が溝であり、超電導層までエッチングされているので、磁束は常電導となった溝に沿って選択的に侵入していることがわかる。
(実施例5)「溝幅の制御試験」
実施例1と同じ構成の超電導線材であるハステロイ(登録商標)/GZO(IBAD)/CeO(PLD)/RE123(PLD)/Ag(スパッタ)線材において、出力5Wで波長355nmのUVレーザ(スポット径20μm)を用いて、レーザ出力と線材の搬送速度(線速)を変化させて幅の異なる溝を形成した。ここで、マスキング材としては厚さ25μmのポリエステル粘着テープを用い、レーザ出力は偏光子を用いたアッテネータによって制御した。図6は、レーザ出力と基材の搬送速度(線速)を変化させてマスキングパターンを形成し、銀安定化層(厚さ:10μm)と超電導層(厚さ:1μm、GdBaCu(RE123))を以下の条件でエッチングして形成される超電導層下部の溝幅の値(単位:μm)を示したものである。図6において、例えばレーザ出力40%(出力2W)、基材の搬送速度(線速)10mm/sの場合には、超電導層下部の溝幅を190μmとすることができることがわかる。図6の結果より、レーザ出力と線速の違いから、40μmから260μmまでの超電導層下部の溝幅のマルチフィラメント型線材を作製することができることがわかる。
<銀安定化層のエッチング条件>
エッチング溶液;過酸化水素水(35wt%):アンモニア水(30wt%)=2:1(体積比)
エッチング時間;15秒、エッチング温度;25℃
<超電導層のエッチング条件>
エッチング溶液;硝酸セリウムアンモニウムアンモニウム水溶液(30wt%)
エッチング時間;15秒、エッチング温度:25℃
(実施例6)「溝幅の制御試験2」
実施例1と同じ構成の超電導線材に対して、金属安定化層と超電導層を異なるエッチング液で腐食除去した場合と、1つのエッチング液のみで腐食除去した場合の二通りのマルチフィラメント線材の比較を行った。1つのエッチング液のみで良好な絶縁性(1cm当り1MΩ)が確保させるまでの時間は15分かかり、かつ断面観察では200μmのオーバーエッチングが観察されたが、2段階のエッチングでは、エッチング時間は合計2分弱(第1段階45秒間、第2段階50秒間)で、超電導層には数μmのオーバーエッチングが観察されたに留まった。なお、エッチング条件は次の通りである。
<金属安定化層と超電導層を異なるエッチング液で腐食除去した場合>
「金属安定化層のエッチング条件」
エッチング溶液;過酸化水素水(35wt%):アンモニア水(30wt%)=2:1(体積比)
エッチング温度;25℃
「金属安定化層のエッチング条件」
エッチング溶液;硝酸セリウムアンモニウム水溶液(30wt%)
エッチング温度;25℃
<金属安定化層と超電導層を1つのエッチング液のみで腐食除去した場合>
エッチング溶液;硝酸水溶液(25wt%)
エッチング温度;25℃
(実施例7)「エッチング時間制御試験」
ハステロイ(登録商標)/GZO(IBAD)/CeO(PLD)/RE123(PLD)(RE=Gd)/Ag(スパッタ)の積層構造である幅1cm、長さ1cmの線材について、厚さ20μmの銀安定化層を強アルカリ系溶液で25℃で腐食してエッチングする場合の、強アルカリ系溶液の組成とエッチング時間の関係を調べた。マスキングパターンの形成は行わず、銀安定化層が完全に消失するまでの時間をエッチング時間とし、強アルカリ系溶液としては、過酸化水素水(35wt%)とアンモニア水(30wt%)の混合比(体積比)を変化させたものを用い、各強アルカリ系溶液のpHおよびエッチングに要する時間をプロットした。結果を図7(a)および(b)に示す。なお、図7において、過酸化水素水とアンモニア水の混合比であるNH/(H+NH)(体積比)およびNH:H(体積比)と、その混合溶液中における過酸化水素とアンモニアの比率であるNH:H(重量比)の関係を以下の表1に示す。
図7および表1の結果より、強アルカリ系溶液のpHを調整することにより、エッチング時間を制御することが可能であり、アンモニア水と過酸化水素水の混合比を変えることにより、エッチング時間を制御可能であることがわかった。また、過酸化水素水(35wt%)とアンモニア水(30wt%)の混合比を、過酸化水素水:アンモニア水=1:3〜9:1(体積比)(過酸化水素:アンモニア=1:2〜13:1(重量比))の範囲とすることにより、エッチング時間を40秒以下に制御することが可能であり、過酸化水素水:アンモニア水=1:1〜4:1(体積比)(過酸化水素:アンモニア=1.4:1〜5.8:1(重量比))の範囲とすることにより、エッチング時間を20秒以下に制御することが可能であることが明らかとなった。
1…基材、2…中間層、3…超電導層、4…金属安定化層、4a…第1の金属安定化層、4b…第2の金属安定化層、10…フィラメント導体、20…溝、100…マスキング材、A、A1、A10…マルチフィラメント型超電導線材、102…露出部、103…第1の溝、104…第2の溝。

Claims (11)

  1. 長尺の基材上に、中間層、超電導層及び金属安定化層をこの順に積層する工程と、
    前記金属安定化層の表面にマスキングを施して、マスキングパターンを形成し、このマスキングパターンにより、前記基材の長手方向に沿って前記基材の幅方向に複数平行な細線状に前記金属安定化層を部分的に露出させた露出部を設ける工程と、
    前記金属安定化層の前記露出部を、強アルカリ系溶液で腐食させて、前記金属安定化層に前記基材の長手方向に沿って第1の溝を形成して前記超電導層を露出させる工程と、 この露出させた超電導層を強酸系溶液で腐食して、前記基材の長手方向に沿って第2の溝を形成して前記中間層を露出させる工程と、を有し、
    前記超電導層下部の溝幅d1と前記金属安定化層下部の溝幅d2との差δd(=d1−d2)を10μm以下とすることを特徴とする低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
  2. 前記金属安定化層がAg層であることを特徴とする請求項に記載の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
  3. 前記金属安定化層が、Ag層上にCu層を積層させてなることを特徴とする請求項に記載の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
  4. 前記マスキングは、粘着テープの貼付により行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
  5. 前記マスキングは、ワニス塗布又はスプレー塗布により行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
  6. 前記マスキングは、粘着テープを貼付し、この粘着テープ表面にレーザを照射してマスキングパターンを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
  7. 前記マスキングは、ワニス塗布又はスプレー塗布した塗布面に、レーザを照射してマスキングパターンを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
  8. 前記強アルカリ系溶液が、過酸化水素水とアンモニア水の混合溶液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
  9. 前記強アルカリ系溶液が、過酸化水素:アンモニア=13:1〜1:2(重量比)の過酸化水素水とアンモニア水の混合溶液であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
  10. 前記強酸系溶液が、硝酸セリウムアンモニウム溶液であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
  11. 前記レーザを照射して前記マスキングパターンを形成する工程において、超電導線材の搬送速度である加工線速とレーザの照射出力の少なくともいずれか一方を調整して、前記超電導層下部の溝の幅を10μm以上500μm以下とすることを特徴とする請求項6または7に記載の低交流損失マルチフィラメント型超電導線材の製造方法。
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