JP5424010B2 - 上塗り塗料組成物及び上塗り塗膜 - Google Patents
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Description
当該オリゴマーは、塗膜中において、含水液滴と接触しない基底状態では、その疎水基が塗膜表面に配向するのに対し、含水液滴と接触した接液状態では、その親水基が塗膜表面に配向する。
一方、図1(b)に示すような接液状態では、オリゴマーの親水基Xが塗膜の表面側に配向することによって、塗膜が親水性を示す。
一方、ある程度の量の雨滴や長時間の降雨に対しては親水性を発揮するので、雨滴に含まれる汚れ成分の一部は塗膜表面を流れ落ち、塗膜表面は比較的清浄な状態を保持する。
なお、雨滴付着量の多少や降雨時間の長短に拘わらず、雨滴が飛散・消失した後に塗膜表面に残存する汚れ成分は、シャワーリングなどにより水洗すれば、塗膜表面が親水性に変化して有効に流れ落ちるので、塗膜表面の洗浄作業を簡単に行うことができる。
すなわち、上記オリゴマーの添加量が0.05%に満たない場合には、撥水性−親水性のスイッチング機能が十分に発現せず、逆に50%を超えた場合には、添加されたオリゴマーの凝集によって、塗膜の凝集力が損なわれ、塗膜としての密着性が低下することがある。
また、このようにして得られた塗膜の硬化乾燥方法としては、例えば常温硬化乾燥、焼付け硬化乾燥、紫外線硬化乾燥、電子線硬化乾燥などを採用することができる。
すなわち、塗料中に有機・無機の顔料や染料を添加することによってエナメル塗膜や濁りクリヤー塗膜とすることができ、シリカ,樹脂ビーズなどのマット剤を添加することによって艶消しクリヤー塗膜を得ることができる。また、透明性を失わない程度に顔料を添加することによって、着色透明クリヤー塗膜とすることも可能である。
そして、本発明の上塗り塗料組成物は、種々の基材、例えば金属やプラスチック、ガラス、木材、等から成る各種の成型品に適用することができ、自動車を始めとする車両や各種機械、家庭電化製品、食器、建築用の塗料として広く適用することができる。
式(1)に相当する構造を有し、その鎖状オリゴマー部位の分子量が異なる3種類のオリゴマーを用意し、ふっ素アルコール(TFP)とイソプロピルアルコールを3:1に混合して成る溶媒中に、各オリゴマーがそれぞれ10%となるように溶解した。
次いで、BASF社製顔料抜き水系ベース塗料(アクアBC−3:固形分比率24%)に、上記により得られた各オリゴマー溶液を、各オリゴマーの塗料固形分に対する割合が表1に示す値となるように撹拌しながら混合し、都合7種類の上塗りクリヤー塗料を調整した。
りん酸亜鉛処理した幅70mm×長さ150mm×厚さ0.8mmのダル鋼板に、カチオン電着塗料(日本ペイント社製商品名「パワートップU600M」)を用いて、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装した後、160℃で30分間焼き付け処理した。その後、BASF社製水系白色中塗り塗料(アクアBC−3 N8.2)を用いて、乾燥塗膜が20μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた。
次に、日本ペイント社製の白色ベースコート(商品名「OG−75」)を用いて、乾燥塗膜が10μmとなるようにスプレー塗装し、80℃で10分間フラッシュオフした後、上記により調整した本発明の上塗りクリヤー塗料を乾燥膜厚が30μmになるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた。
上記によって得られた上塗り塗膜について、その密着性、撥水−親水スイッチング性及び防汚性を下記要領によって評価した。この結果を表1に併せて示す。なお、表中の比較例としては、上記オリゴマーを添加することなく、BASF社製顔料抜き水系ベース塗料(アクアBC−3)により得られた塗膜についての結果を示した。
カッタナイフを用いて、試験片の表面に形成された塗膜に素地に達し、縦横11本ずつの直交する平行線を2mmの間隔で引き、合計100個の正方形の碁盤目を形成した。次に、この上にセロハンテープを密着させ、上方に一気に引き剥す作業を3回繰り返し、碁盤目に分割された塗膜の欠損率を求めた。
そして、当該欠損率が0%の場合を「○」、0%を超え15%未満の場合を「△」、15%以上の場合を「×」と評価した。
5μLのイオン交換水を静的に試験片の塗膜上に滴下し、接触角測定機(株式会社アタゴ製「DR−M4/1550」)によって水滴の接触角θを1分毎に、20分まで測定した。さらに、水滴周囲を油性マジックでマーキングした後、80℃×5分間乾燥させた後、マーキング内側に、再度、同様に水滴を滴下し、水滴接触角θを同様に1分毎に20分まで測定した。
そして、乾燥前における最初の測定結果について、イオン交換水を滴下して30秒後の接触角θが70°以上であって、20分後の接触角θが5°以下の場合を「◎」、5°を超え20°以下の場合を「○」、20°を超え40°以下の場合を「△」、40°を超える場合を「×」と評価した。
カーボンブラックに代表される泥成分を含んだ試験水を試験片表面の塗膜上にスプレー噴霧した後、乾燥させるサイクルを繰り返して汚れを付着させた後、スチーム洗浄機による高圧温水を試験片に噴霧し、汚れを除去した。そして、洗浄前後の明度差を色差計(村上色彩技術研究所製「ゴニオスペクトルメーターGSP−2」)にて測定した。
測定結果については、洗浄前後の明度差が3に満たない場合を「◎」、3以上10未満の場合を「○」、10以上15未満の場合を「△」、15を超える場合を「×」と評価した。
なお、図2は、代表例として発明例1の上塗り塗料による塗膜の撥水−親水スイッチング機能、言い換えると、塗膜上に滴下された水滴の接触角の時間的推移を上記比較例と対比して示すグラフである。
実施例1に用いた上記3種類のオリゴマーが、同様の混合溶媒中に同様の濃度で溶解されたオリゴマー溶液を調整し、当該オリゴマー溶液6.0gを撹拌しながら、これに日産化学製コロイダルシリカ(粒径10nm)70%メタノール溶液4.0gを加えた。さらに関東化学製テトラエトキシシラン(TEOS)1.5gを添加して撹拌し、その後0.2Nアンモニア水1.0gを添加し、式(2)で示す構造を有するオリゴマー複合体の溶液を得た。
次いで、BASF社製顔料抜き水系ベース塗料(アクアBC−3:固形分比率24%)に、上記により得られた各オリゴマー複合体溶液を、各オリゴマー複合体の塗料固形分に対する割合が表2に示す値となるように撹拌しながら混合し、都合7種類(発明例8〜14)の上塗りクリヤー塗料を調整した。
Claims (4)
- 請求項1に記載のオリゴマーを含む上塗り塗膜であって、
上記オリゴマーは、含水液滴と接触しない基底状態において、その疎水基が塗膜表面に配向する一方、含水液滴と接触した接液状態においては、その親水基が上記塗膜表面に配向し、上記基底状態と接液状態とに可逆的に切り替わることを特徴とする上塗り塗膜。 - クリヤー塗膜、濁りクリヤー塗膜、艶消しクリヤー塗膜又はエナメル塗膜であることを特徴とする請求項2に記載の上塗り塗膜。
- 少なくとも1層の下層塗膜を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の上塗り塗膜。
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