JP4262927B2 - 撥油性、防汚性、吸水性に優れたセルロース系繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
撥油性、防汚性および吸水性に優れ且つその洗濯耐久性に優れたセルロース系繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロース系繊維を汚れにくくするまたは汚れたセルロース系繊維の汚れを落ち易くする、いわゆる防汚性を付与する研究が行われている。
特開平6-313264号公報には、セルロース系繊維に水溶性セルロース誘導体と架橋剤を含む処理液を含浸熱処理したのち低温プラズマ処理を施すセルロース系繊維の防汚加工方法が記載されている。
また、特開平9-324173号公報には、防汚加工用組成物として、フルオロアルキル基含有単量体から誘導される繰返し単位と一般式CH2=CRCOO(CH2CH2O)nHで示される非フッ素系単量体から誘導される繰返し単位を有する共重合体、溶解度パラメータが5.5〜12.0で誘電率が20未満である溶剤、イソシアネート化合物、およびオルガノポリシロキサン化合物を含む組成物を使用するセルロース系繊維製品の防汚加工方法が記載されている。
しかし、いずれもセルロース系繊維の防汚性を改良するだけの方法であって、セルロース系繊維に同時に撥油性を付与し、且つ吸水性を保持するという性能上の特性については考慮されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、撥油性、防汚性および優れた吸水性を付与し、更にそれらの性能の洗濯耐久性に優れたセルロース系繊維およびその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(I)
【化7】
【0005】
〔式中、
R1、R4はそれぞれ独立にHまたはCH3、R2は
【化8】
【0006】
R3は
【化9】
を表し、
xは1〜5000の整数、yは1〜5000の整数であり、
Rfは-CF(CF3)OCF2CF(CF3)OC3F7または-CF(CF3)OC3F7を表す〕
で表されるフッ素含有オリゴマーをセルロース系繊維に付与させた撥油性、防汚性に優れ且つ吸水性を有するセルロース系繊維に関する。
【0007】
更に、本発明は、一般式(I)のフッ素含有オリゴマーのセルロース系繊維に対する付与量が0.1〜20重量%である上記いずれかに記載のセルロース系繊維に関する。
加えて、本発明は、一般式(I)のフッ素含有オリゴマーを0.1〜20重量%溶解した水、アルコールまたはアルコール水溶液をセルロース系繊維に対して40〜100重量%含浸し、風乾または熱処理する上記いずれかに記載のセルロース系繊維の製造方法に関する。
【0008】
更にまた、本発明は、一般式(I)
【化10】
【0009】
〔式中、
R1、R4はそれぞれ独立にHまたはCH3、R2は
【化11】
【0010】
R3は
【化12】
を表し、
xは1〜5000の整数、yは1〜5000の整数であり、
Rfは-CF(CF3)OCF2CF(CF3)OC3F7または-CF(CF3)OC3F7を表す〕
で表されるフッ素含有オリゴマーを架橋剤の存在下でセルロース系繊維に付与させた撥油性、防汚性および吸水性に優れ且つその洗濯耐久性に優れたセルロース系繊維に関する。
【0011】
加えてまた、本発明は、一般式(I)のフッ素含有オリゴマーを0.1〜20重量%および架橋剤を1〜20重量%の濃度で溶解した水、アルコールまたはアルコール水溶液をセルロース系繊維に対して40〜100重量%含浸し、風乾または熱処理する上記のセルロース系繊維の製造方法に関する。
ただし、上記一般式(I)においては、−(CH2−CR1R2)−成分と−(CH2−CR4R3)−成分とは必ずしもブロックとして含まれていることを意味するのではなく、ブロック状であってもよいが、通常はランダム状態で組み込まれている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、セルロース系繊維に一般式(I)のフッ素含有オリゴマーを付与させることによって、セルロース系繊維に、吸水性能を失うことなく、優れた撥油性および防汚性を付与したものであり、加えてその洗濯耐久性を向上したものである。本発明において、セルロース系繊維とは、天然セルロース繊維、再生セルロース繊維、アセテート等のセルロース誘導体を含むセルロース繊維およびこれらセルロース繊維と合成繊維等の他の繊維との混紡糸や複合糸、およびこれらの繊維を含んでなる織物、編物、不織布等およびこれらの織物、編物、不織布等からなる繊維製品をすべて含む。なお、セルロース系繊維は、シルケット加工されたセルロース系繊維および液体アンモニア処理されたセルロース系繊維を含む。
本発明は、上記セルロース系繊維のほか、羊毛等の獣毛繊維への適用が可能である。
【0013】
本発明で用いられるフッ素含有オリゴマーはビニル系モノマーの単独または共重合体のオリゴマーの両末端にのみフッ素含有基を有する化合物である。
両末端のフッ素含有基は、一般式(I)中、Rfで表した-CF(CF3)OCF2CF(CF3)OC3F7または-CF(CF3)OC3F7からなり、片末端のみにRf基を有するオリゴマーを任意の割合に含んでいてもよい。
末端基Rfで挟まれた、ビニル系モノマーの繰り返し単位からなる中央部は、共重合体(A)
【0014】
【化13】
〔式中、R1、R4、R2、R3、xおよびyは上記と同義〕
の構造を有し、
または、xが0である単独重合体(B)
【0015】
【化14】
〔式中、R4、R3およびyは上記と同義〕
からなる。
式(A)においては、xおよびyの好ましい範囲はそれぞれ1〜5000および1〜5000である。式(B)においてはyの好ましい範囲は1〜5000である。
【0016】
本発明で用いられるフッ素含有オリゴマーとして、特に好ましいものは次に挙げる(1)〜(14)のものである:
【化15】
【0017】
【化16】
【0018】
【化17】
【0019】
【化18】
【0020】
【化19】
【0021】
【化20】
【0022】
【化21】
【0023】
【化22】
【0024】
【化23】
【0025】
【化24】
【0026】
【化25】
【0027】
【化26】
【0028】
【化27】
【0029】
【化28】
【0030】
本発明では、一般式(I)のフッ素含有オリゴマーはセルロース系繊維当たり0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の量で付与される。
本発明の撥油性、防汚性に優れ且つ吸水性を有するセルロース系繊維は、一般式(I)のフッ素含有オリゴマーを0.1〜20重量%溶解した水、アルコールまたはアルコール水溶液をセルロース系繊維に対して40〜100重量%含浸し、風乾または熱処理することにより製造することができる。
【0031】
フッ素含有オリゴマーを溶解するために使用するアルコールは水溶性アルコールである。水溶性アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール等が例示できる。特に好ましいものは、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコールである。
【0032】
フッ素含有オリゴマーを溶解した水、アルコールまたはアルコール水溶液をセルロース系繊維に含浸する方法としては特に限定はなく、公知のいかなる方法を利用してもよく、わたの場合はスプレーによる含浸、刷毛による塗布、パディングによる含浸等の方法が好ましく、織物、編物、不織布等またはこれらからなる繊維製品の場合はパディング法が実用的に最も好ましい。パディング法は、加工液を含浸したセルロース系繊維をロール等の絞り機で、有効成分であるフッ素含有オリゴマーがセルロース系繊維に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の付着量となるように絞る。
【0033】
適切な付着量となるように調整したのち、繊維は風乾または加熱処理される。加熱処理は100〜200℃、好ましくは140〜170℃で30秒〜5分行われる。加熱処理の前には、100℃〜150℃で1〜3分予備乾燥してもよい。この処理によってフッ素含有オリゴマーはセルロース系繊維に付与される。
また、上記製造法において、フッ素含有オリゴマーを含む加工液に架橋剤を配合することにより、一般式(I)のフッ素含有オリゴマーをセルロース系繊維により確実強固に付与させることができ、洗濯耐久性を向上することができる。このための架橋剤としては、グリオキザール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート系樹脂等の一般的架橋剤が使用できる。一般式(I)のフッ素含有オリゴマーが置換基としてOH基を有する場合はグリオキザール系の架橋剤、また置換基としてブロックイソシアネート基を有する場合はメラミン系の架橋剤を用いることが特に好ましい。架橋剤の量はセルロース系繊維に対して0.1〜20重量%となるように加工液に添加される。
架橋剤を配合する場合、架橋反応を促進するために金属塩系の触媒、例えば、「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Acceralator)X-80」(住友化学工業(株)製)等、および有機アミン系の触媒、例えば「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)ACX」(住友化学工業(株)製)等を用いるのが好ましい。
【0034】
本発明においては、撥水性、防汚性に優れ且つ吸水性を有するセルロース系繊維を製造するに当たって、更に市販のSR加工剤を併用することもできる。市販のSR加工剤としては、例えば「NKガード SR-108」(日華化学(株)製)、「ユニダインTG-991」(ダイキン工業(株)製)等が例示できる。
【0035】
本発明で用いる一般式(I)のフッ素含有オリゴマーは次のようにして製造することができる。
特開平10-251351号公報に記載されているように、一般式RfC(=O)OO(O=)CRfで表される過酸化フルオロアルカノイルと、一般式CH2=CR1R2で表される1種類のモノマー、またはこのモノマーと一般式CH2=CR4R3で表される第2のモノマーとの混合物とを、例えば有機溶媒、好ましくはハロゲン化脂肪族溶媒またはハロゲン化芳香族溶媒中に0.1〜30重量%濃度の過酸化フルオロアルカノイルに溶解して、例えば−20〜150℃で30分〜20時間反応させることによって得ることができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより詳細に且つ具体的に説明する。
実施例 1
化学式(15)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化29】
【0037】
を濃度6重量%で20%エタノール水溶液に溶解した後、架橋剤としてグリオキザール樹脂「スミテックスレジン(Sumitex Resin)NS-11」 (住友化学工業(株)製)を10重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)X-80」(住友化学工業(株)製)を3重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、本発明製品を得た。
【0038】
実施例 2
実施例1で使用した化学式(15)のフッ素含有オリゴマーを濃度6重量%で20%エタノール水溶液に溶解した後、水酸化ナトリウム(ナカライテスク(株)製)を添加して、上記フッ素含有オリゴマーのカルボキシル基をナトリウム塩に置換した。それから実施例1と同様に、グリオキザール樹脂「スミテックスレジン(Sumitex Resin)NS-11」(住友化学工業(株)製)を10重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)X-80」(住友化学工業(株)製)を3重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、本発明製品を得た。
【0039】
実施例 3、4、5
それぞれ化学式(16)、(17)、(18)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化30】
【0040】
【化31】
【0041】
【化32】
【0042】
をいずれも濃度4重量%で20%エタノール水溶液に溶解した後、グリオキザール樹脂「スミテックスレジン(Sumitex Resin)NS-11」(住友化学工業(株)製)を10重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)X-80」(住友化学工業(株)製)を3重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、実施例3、4、5の本発明製品を得た。
【0043】
実施例 6、7
それぞれ化学式(19)、(20)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化33】
【0044】
【化34】
【0045】
をいずれも濃度4重量%で20%エタノール水溶液に溶解してそれぞれ加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、実施例6、7の本発明製品を得た。
【0046】
比較例 1
水中に、フッ素系SR薬剤「NKガードSR108」(パーフルオロアルキルアクリレート系;日華化学(株)製)を6重量%、「スミテックスレジン(Sumitex Resin)NS-11」(住友化学工業(株)製)を10重量%、「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)X-80」(住友化学工業(株)製)を3重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、比較例1の製品を得た。
【0047】
比較例 2
水中に、「スミテックスレジン(Sumitex Resin)NS-11」(住友化学工業(株)製)を10重量%、「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)X-80」(住友化学工業(株)製)を3重量%となるように溶解して加工液を調製した。この加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、比較例2の製品を得た。
【0048】
実施例1〜7および比較例1、2で製造した加工処理綿布ブロード製品、および未加工の綿ブロードを次に記載する評価方法を用いて吸水性、撥油性および防汚性(汚れ落ち試験)を評価した。
評価結果を表1に示した。
【0049】
〔評価方法〕
・吸水性試験:バイレック法(JIS L 1907)
・撥油性試験:AATCC-118法
・汚れ落ち性試験:ダイヤペースト法(日本化学繊維検査協会規格「織編物の防汚加工性試験方法」JCFA TM-104)
【0050】
【表1】
【0051】
参考例 1、2
それぞれ化学式(21)、(22)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化35】
【0052】
【化36】
【0053】
をいずれも濃度2重量%で水に溶解して加工液を調製した。この加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、室温で乾燥して参考例1、2の製品を得た。
【0054】
参考例 3、4
それぞれ化学式(23)、(24)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化37】
【0055】
【化38】
【0056】
をいずれも濃度1重量%で水に溶解してそれぞれ加工液を調製した。この加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、室温で乾燥して参考例3、4の製品を得た。
【0057】
参考例1〜4および比較例1で製造した加工処理綿布ブロード製品、および未加工の綿布ブロードを次に記載する評価方法を用いて吸水性、撥油性および防汚性(汚れ落ち試験)を評価した。
評価結果を表2に示した。
【0058】
〔評価方法〕
・吸水性試験:滴下法(JIS L 1907)
・撥油性試験:AATCC-118法
・汚れ落ち性試験:ダイヤペースト法(日本化学繊維検査協会規格「織編物の防汚加工性試験方法」JCFA TM-104)
【0059】
【表2】
【0060】
実施例 8
化学式(25)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化39】
【0061】
を濃度8重量%で10%エタノール水溶液に溶解した後、架橋剤としてグリオキザール樹脂「スミテックスレジン(Sumitex Resin)NS-11」 (住友化学工業(株)製)を20重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)X-80」(住友化学工業(株)製)を6重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、本発明製品を得た。
【0062】
実施例 9
化学式(26)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化40】
【0063】
を濃度8重量%で10%エタノール水溶液に溶解した後、架橋剤としてグリオキザール樹脂「スミテックスレジン(Sumitex Resin)NS-11」 (住友化学工業(株)製)を20重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)X-80」(住友化学工業(株)製)を6重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、本発明製品を得た。
【0064】
実施例 10
化学式(27)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化41】
【0065】
を濃度8重量%で10%エタノール水溶液に溶解した後、架橋剤としてメラミン樹脂「スミテックスレジン(Sumitex Resin)MC」 (住友化学工業(株)製)を1重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)ACX」(住友化学工業(株)製)を0.3重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、本発明製品を得た。
【0066】
実施例 11
化学式(28)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化42】
【0067】
を濃度8重量%で10%エタノール水溶液に溶解した後、架橋剤としてメラミン樹脂「スミテックスレジンMC」 (住友化学工業(株)製)を1重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)ACX」(住友化学工業(株)製)を0.3重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、本発明製品を得た。
【0068】
実施例 12
化学式(29)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化43】
【0069】
を濃度4重量%で20%エタノール水溶液に溶解した後、架橋剤としてメラミン樹脂「スミテックスレジン(Sumitex Resin)MC」 (住友化学工業(株)製)を1重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)ACX」(住友化学工業(株)製)を0.3重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、本発明製品を得た。
【0070】
実施例 13
化学式(29)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化44】
【0071】
を濃度4重量%で20%エタノール水溶液に溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、本発明製品を得た。
【0072】
実施例 14
化学式(30)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化45】
【0073】
を濃度8重量%で熱水に溶解した後、架橋剤としてグリオキザール樹脂「スミテックスレジン(Sumitex Resin)NS-11」 (住友化学工業(株)製)を20重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)X-80」(住友化学工業(株)製)を6重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、本発明製品を得た。
【0074】
実施例 15
化学式(31)で表されるフッ素含有オリゴマー
【化46】
【0075】
を濃度8重量%で熱水に溶解した後、架橋剤としてグリオキザール樹脂「スミテックスレジン(Sumitex Resin)NS-11」 (住友化学工業(株)製)を20重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)X-80」(住友化学工業(株)製)を6重量%となるように溶解して加工液を調製した。次に、この調製した加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、本発明製品を得た。
【0076】
比較例 3
水中に、「スミテックスレジン(Sumitex Resin)NS-11」(住友化学工業(株)製)を20重量%、「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)X-80」(住友化学工業(株)製)を6重量%となるように溶解して加工液を調製した。この加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、比較例3の製品を得た。
【0077】
比較例 4
水中に、メラミン樹脂「スミテックスレジン(Sumitex Resin)MC」 (住友化学工業(株)製)を1重量%、触媒として「スミテックス・アクセラレータ(Sumitex Accelerator)ACX」(住友化学工業(株)製)を0.3重量%となるように溶解して加工液を調製した。この加工液に苛性シルケット上がりの綿100%ブロードを浸漬した後、加工液から取り出して、絞り率60%まで加工液を絞り、130℃で1分間乾燥後、165℃で2分間キュアリングを行い、比較例4の製品を得た。
【0078】
実施例8〜15および比較例3、4で製造した加工処理綿布ブロード製品、および未工の綿布ブロードを次に記載する評価方法を用いて吸水性、撥油性、防汚性(汚れ落ち試験)およびそれらの洗濯耐久性を評価した。
洗濯耐久性の評価は、加工上がり生地を次の条件で10回洗濯および乾燥した後の、性能保持性である。
洗濯条件:家庭洗濯に準じたJIS L 0217 103法によって行った。
【0079】
評価結果を表3に示した。
【表3】
【0080】
【発明の効果】
一般式(I)のフッ素含有オリゴマーにより処理された本発明のセルロース系繊維は、優れた撥油性、防汚性および吸水性を備えており、且つその洗濯耐久性にも優れている。このため従来必ずしもセルロース系繊維としては適性が不十分であったユニフォーム、シャツ、乳児用衣服、子供服、スクールシャツ、学生服、靴下、スポーツウェア、シーツ、エプロン、リビング製品等の分野にも好適に使用できる。
Claims (3)
- 一般式(I)のフッ素含有オリゴマーのセルロース系繊維に対する付与量が0.1〜20重量%である請求項1に記載のセルロース系繊維。
- 一般式(I)のフッ素含有オリゴマーを0.1〜20重量%および架橋剤を0.1〜20重量%の濃度で溶解した水、アルコールまたはアルコール水溶液をセルロース系繊維に対して40〜100重量%含浸し、風乾または熱処理する請求項1〜2いずれかに記載のセルロース系繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
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