JP2009280697A - 上塗り塗料組成物及び上塗り塗膜 - Google Patents

上塗り塗料組成物及び上塗り塗膜 Download PDF

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Abstract

【課題】撥水性と防汚・易洗浄性を兼ね備えた上塗り塗膜と、限定された塗装条件に縛られることなく、通常の塗装と同等の作業性のもとに、撥水性と防汚・易洗浄性を兼ね備えた塗膜を形成することができる上塗り塗料組成物を提供する。
【解決手段】塗料ベース中に、親水基Xと疎水基Rを併せ持つオリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を、望ましくは塗料固形分に対して0.05〜50%の割合で含有させる。これらオリゴマーやオリゴマー複合体は、塗膜中において、含水液滴と接触しない基底状態においては疎水基Rが塗膜表面に配向する一方、含水液滴と接触した接液状態においては親水基Xが上記塗膜表面に配向し、塗膜表面が撥水性と親水性とに可逆的に切り替わる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車、家庭用電化製品、建築用など、各種用途に好適な塗料組成物に係り、さらに詳しくは、撥水性と防汚・易洗浄性を兼ね備えた上塗り塗膜と、このような塗膜を得るための上塗り塗料組成物に関するものである。
防汚性塗膜は、一般的にカルボキシル基、水酸基、アミノ基などの親水基を有する樹脂や粒子が含有された塗料を塗布することにより形成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−106972号公報
しかしながら、上記のような親水性塗膜は、防汚性には優れるものの、当然のことながら撥水性に劣り、洗車時や降雨時の水はじき感の低下という問題がある。
本発明は、従来の親水性塗膜における上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、撥水性と防汚・易洗浄性を兼ね備えた上塗り塗膜を提供することにある。また、狭い塗装条件に限定されることなく、通常の塗装と同等の作業性のもとに、撥水性と防汚・易洗浄性を兼ね備えた上記のような上塗り塗膜を形成することができる上塗り塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため、塗料組成物を構成する樹脂成分や添加物成分などについて鋭意検討を重ねた結果、塗料組成物中に親水基と疎水基の両方を併せ持つオリゴマーや、このようなオリゴマーにシリカネットワークを付加したオリゴマー複合体を添加し、上塗り塗膜中にこのようなオリゴマーやオリゴマー複合体を含有させることによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の上塗り塗料組成物は、親水基と疎水基を併有するオリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を含むことを特徴とする。
また、本発明の上塗り塗膜は、上記オリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を含み、該オリゴマー及び/又はオリゴマー複合体は、含水液滴と接触しない基底状態において、疎水基が塗膜表面に配向する一方、含水液滴と接触した接液状態においては、親水基が上記塗膜表面に配向し、上記基底状態と接液状態とに可逆的に切り替わることを特徴としている。
本発明によれば、上塗り塗料組成物中に親水基と疎水基の双方を併せ持つオリゴマーやオリゴマー複合体を含有させたため、これによって得られる上塗り塗膜の表面状態が親水性と疎水性とに切り替わり、親水性下における防汚・易洗浄性と、疎水性下における撥水性(水はじき)とを両立させることができる。
以下に、本発明の上塗り塗料組成物及び上塗り塗膜について、さらに詳細、かつ具体的に説明する。なお、本明細書中において、「%」は特記しない限り質量百分率を表わすものとする。
本発明の上塗り塗料組成物は、上記したように、親水基と疎水基を併有するオリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を含有している。
当該オリゴマーやオリゴマー複合体は、塗膜中において、含水液滴と接触しない基底状態では、その疎水基が塗膜表面に配向するのに対し、含水液滴と接触した接液状態では、その親水基が塗膜表面に配向する。
すなわち、図1は、上記したオリゴマーの挙動を模式図として表したものであって、例えば、フルオロアルキル基から成る疎水基Rと、スルホン酸基、カルボキシル基などの親水基Xを備えたオリゴマーは、含水液滴と接触しない基底状態(乾燥状態)では、その疎水基R が塗膜表面側に配向する。したがって、この状態で塗膜に水滴が付着したとしても、図1(a)に示すように、撥水性を発揮することになる。
一方、図1(b)に示すような接液状態では、オリゴマーの親水基Xが塗膜の表面側に配向することによって、塗膜が親水性を示す。
ここで、含水液滴とは、水分を含有する液滴を意味し、雨滴を初めてとして、水に加えて泥や煤塵などを含有する液滴の外、油分や界面活性剤などを含有する液滴もこれに含まれる。
その結果、含水液滴との接触状況に応じて塗膜表面が親水性と疎水性とに切り替わることになり、当該上塗り塗膜は、通常の基底状態においては疎水性を示し、少量の雨滴や短時間の降雨に対しては撥水性を発揮する。よって、少量の雨滴は風などによって吹き飛ばされるか又は乾燥して飛散するが、雨滴が吹き飛ばされた場合には、雨滴に含まれる汚れ成分は塗膜表面には殆ど残存せず、塗膜表面の清浄性が持続する。
一方、ある程度の量の雨滴や長時間の降雨に対しては親水性を発揮するので、雨滴に含まれる汚れ成分の一部は塗膜表面を流れ落ち、塗膜表面は比較的清浄な状態を保持する。
なお、雨滴付着量の多少や降雨時間の長短に拘わらず、雨滴が飛散・消失した後に塗膜表面に残存する汚れ成分は、シャワーリングなどにより水洗すれば、塗膜表面が親水性に変化して有効に流れ落ちるので、塗膜表面の洗浄作業を簡単に行うことができる。
本発明において、親水基と疎水基を併有するオリゴマーやオリゴマー複合体として、例えば次式(1)によって表される構造を備えたオリゴマーや、次式(2)〜(4)によって表される構造を備えたオリゴマー複合体を用いることができる。なお、これら4種類のオリゴマー及びオリゴマー複合体は、それぞれ単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせて使用するようにしてもよい。
Figure 2009280697
Figure 2009280697
Figure 2009280697
Figure 2009280697
上記各式(1)〜(4)において、鎖状オリゴマー部位の両末端に位置するRは、疎水基であって、2〜10個の炭素数と、119〜1000の分子量を有する修飾又は非修飾のフルオロアルキル基である。
なお、疎水基としての上記フルオロアルキル基の炭素数が2個に満たない場合には、フッ素による撥水効果が出なくなる一方、10個を超えると溶解性の低下という不具合が生じる可能性がある。また、当該フルオロアルキル基の分子量が119に満たないと、フッ素による撥水効果が出なくなり、1000を超えた場合には、溶解性が悪化する傾向がある。
このようなフルオロアルキル基としては、パーフルオロアルキル基(CF(CF)g基(gは1〜9の整数を示す))を代表例として挙げることができるが、これに限定されないことは言うまでもない。
例えば、主骨格をフルオロアルキル基とし、フッ素原子、炭素原子、水素原子以外の他の原子、代表的には、酸素原子のようなヘテロ原子を含む官能基を含む修飾フルオロアルキル基とすることもできる。具体的には、エーテル結合を含むような含酸素フルオロアルキル基であるフルオロエーテル基(C(OCF(CF)CF)fOC(CF)F基(fは0〜3の整数を示す))などを挙げることができる。
また、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を示し、XはOH基、NCO基、NH基、NHR基(R:アルキル基)、COY基(Y:親水基)又はO=C−OY(Y:親水基)から成る親水基を示す。
なお、上記において、Yで示される親水基としては、例えば修飾又は非修飾のカルボキシル基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、アミノ基(一級〜三級)、四級アンモニウム塩基、イソシアネート、ヒドロキシル基(OH基)、モルホリン基(CON基)、ジメチルアミノ基((CHN基)、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基(CHC(O)CHC(CHNH基)、スルホン基(SOH基)などを挙げることができる。
そして、nは1〜10の整数を示し、mはn以下の整数を示す。
上記式(2)〜(4)中におけるBは、酸素原子、O=C−O、O=C−OY(Y:親水基)、NH−C=O又はNR−C=O(R:アルキル基)を表し、式(3)及び(4)中におけるEは、Bと同一でも異なっていてもよく酸素原子、O=C−O、NH−C=O又はNR−C=O(R:アルキル基)を示す。
また、上記式(3)中におけるGは、[(CHO)l−[Si(CHO]k−(CHO)l]、(CF)j又は(CFO)hを示し、ここでkは1〜500の整数、lは0〜10の整数、jは0〜20の整数、hは1〜20の整数を表す。
そして、式(4)中におけるLは、[(CHO)l−[Si(CHO]k−(CHO)l]−α、(CF)j−α又は(CFO)h−αを示し、この場合、αはXと同一でも異なっていてもよくCOY基(Y:親水基)、NCO基、NH基、NHR基(R:アルキル基)、R基(アルキル基)、OH基又は水素原子を表す。また、k、l、j及びhは、式(3)と同様の整数を意味する。
上記各式(1)〜(4)で示されるオリゴマーやオリゴマー複合体においては、その鎖状オリゴマー部位の分子量が252〜100,000の範囲であることが望ましい。すなわち、鎖状オリゴマー部位の分子量が252未満、あるいは100,000を超えた場合には、これらオリゴマーやオリゴマー複合体による撥水性−親水性のスイッチング作用が十分に得られないことがあることによる。
なお、鎖状オリゴマー部位とは、XやBを含み、シリカネットワーク部位を含まない部分を意味する。
本発明の上塗り塗料組成物においては、親水基と疎水基とを併せ持つ上記オリゴマーやオリゴマー複合体を塗料固形分に対して、質量比で0.05〜50%の割合、より好ましくは1〜15%、さらに好ましくは3〜10%の割合で含有していることが望ましい。
すなわち、上記オリゴマーやオリゴマー複合体の添加量が0.05%に満たない場合には、撥水性−親水性のスイッチング機能が十分に発現せず、逆に50%を超えた場合には、添加されたオリゴマーやオリゴマー複合体の凝集によって、塗膜の凝集力が損なわれ、塗膜としての密着性が低下することがある。
本発明の上塗り塗料組成物は、顔料、樹脂、各種添加剤などを含有する一般的な溶剤系塗料や水系塗料に適用することができる。このとき、ふっ素系溶剤を用い、上記したオリゴマーやオリゴマー複合体を予めこのふっ素系溶剤で溶解することによって、これらオリゴマーや複合体を塗料中に高度に分散させることができ、より平滑な塗膜を形成することができるようになる。
このような塗料組成物を用いた塗装方法としては、例えばスプレー塗装やディッピングコート、スピンコート、フローコート、ロールコートなどを適用することができる。
また、このようにして得られた塗膜の硬化乾燥方法としては、例えば常温硬化乾燥、焼付け硬化乾燥、紫外線硬化乾燥、電子線硬化乾燥などを採用することができる。
このようにして得られた本発明の上塗り塗膜においては、親水基と疎水基とを併せ持つオリゴマーやオリゴマー複合体が含まれており、含水液滴と接触しない基底状態においては、その疎水基が塗膜表面に配向する。一方、含水液滴と接触した接液状態では、これらオリゴマーやオリゴマー複合体の親水基が塗膜表面に配向する結果、塗膜表面が親水性と疎水性とに切り替わることになり、当該上塗り塗膜は、疎水性による撥水性と、親水性による防汚・易洗浄性を兼ね備えたものとなる。
本発明の上塗り塗膜としては、透明クリヤー塗膜や、濁りクリヤー塗膜、艶消しクリヤー塗膜、さらにはエナメル塗膜とすることができる。
すなわち、塗料中に有機・無機の顔料や染料を添加することによってエナメル塗膜や濁りクリヤー塗膜とすることができ、シリカ,樹脂ビーズなどのマット剤を添加することによって艶消しクリヤー塗膜を得ることができる。また、透明性を失わない程度に顔料を添加することによって、着色透明クリヤー塗膜とすることも可能である。
本発明の上塗り塗膜は、少なくとも1層の下層塗膜を備えた多層塗膜とすることもでき、塗装品質、被覆性、防食性、外観意匠性を向上させることができる。
そして、本発明の上塗り塗料組成物は、種々の基材、例えば金属やプラスチック、ガラス、木材、等から成る各種の成型品に適用することができ、自動車を始めとする車両や各種機械、家庭電化製品、食器、建築用の塗料として広く適用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
式(1)に相当する構造を有し、その鎖状オリゴマー部位の分子量が異なる3種類のオリゴマーを用意し、ふっ素アルコール(TFP)とイソプロピルアルコールを3:1に混合して成る溶媒中に、各オリゴマーがそれぞれ10%となるように溶解した。
次いで、BASF社製顔料抜き水系ベース塗料(アクアBC−3:固形分比率24%)に、上記により得られた各オリゴマー溶液を、各オリゴマーの塗料固形分に対する割合が表1に示す値となるように撹拌しながら混合し、都合7種類の上塗りクリヤー塗料を調整した。
なお、上記オリゴマーの具体的構造としては、次の(5)式に示すものとし、nを変化させることによって3種類の分子量となるように調整した。
Figure 2009280697
〔塗膜の形成〕
りん酸亜鉛処理した幅70mm×長さ150mm×厚さ0.8mmのダル鋼板に、カチオン電着塗料(日本ペイント社製商品名「パワートップU600M」)を用いて、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装した後、160℃で30分間焼き付け処理した。その後、BASF社製水系白色中塗り塗料(アクアBC−3 N8.2)を用いて、乾燥塗膜が20μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた。
次に、日本ペイント社製の白色ベースコート(商品名「OG−75」)を用いて、乾燥塗膜が10μmとなるようにスプレー塗装し、80℃で10分間フラッシュオフした後、上記により調整した本発明の上塗りクリヤー塗料を乾燥膜厚が30μmになるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた。
〔塗膜の評価方法〕
上記によって得られた上塗り塗膜について、その密着性、撥水−親水スイッチング性及び防汚性を下記要領によって評価した。この結果を表1に併せて示す。なお、表中の比較例としては、上記オリゴマーを添加することなく、BASF社製顔料抜き水系ベース塗料(アクアBC−3)により得られた塗膜についての結果を示した。
〔1〕密着性
カッタナイフを用いて、試験片の表面に形成された塗膜に素地に達し、縦横11本ずつの直交する平行線を2mmの間隔で引き、合計100個の正方形の碁盤目を形成した。次に、この上にセロハンテープを密着させ、上方に一気に引き剥す作業を3回繰り返し、碁盤目に分割された塗膜の欠損率を求めた。
そして、当該欠損率が0%の場合を「○」、0%を超え15%未満の場合を「△」、15%以上の場合を「×」と評価した。
〔2〕撥水−親水スイッチング性
5μLのイオン交換水を静的に試験片の塗膜上に滴下し、接触角測定機(株式会社アタゴ製「DR−M4/1550」)によって水滴の接触角θを1分毎に、20分まで測定した。さらに、水滴周囲を油性マジックでマーキングした後、80℃×5分間乾燥させた後、マーキング内側に、再度、同様に水滴を滴下し、水滴接触角θを同様に1分毎に20分まで測定した。
そして、乾燥前における最初の測定結果について、イオン交換水を滴下して30秒後の接触角θが70°以上であって、20分後の接触角θが5°以下の場合を「◎」、5°を超え20°以下の場合を「○」、20°を超え40°以下の場合を「△」、40°を超える場合を「×」と評価した。
〔3〕防汚性
カーボンブラックに代表される泥成分を含んだ試験水を試験片表面の塗膜上にスプレー噴霧した後、乾燥させるサイクルを繰り返して汚れを付着させた後、スチーム洗浄機による高圧温水を試験片に噴霧し、汚れを除去した。そして、洗浄前後の明度差を色差計(村上色彩技術研究所製「ゴニオスペクトルメーターGSP−2」)にて測定した。
測定結果については、洗浄前後の明度差が3に満たない場合を「◎」、3以上10未満の場合を「○」、10以上15未満の場合を「△」、15を超える場合を「×」と評価した。
Figure 2009280697
表1の結果から明らかなように、式(1)に示すように疎水基と親水基とを併せ持つオリゴマーを含有する発明例の塗料により得られた上塗り塗膜においては、撥水−親水スイッチング機能が発現し、このようなオリゴマーを含有しない比較例塗膜に較べて、優れた防汚性能を示すことが確認された。
なお、図2は、代表例として発明例1の上塗り塗料による塗膜の撥水−親水スイッチング機能、言い換えると、塗膜上に滴下された水滴の接触角の時間的推移を上記比較例と対比して示すグラフである。
(実施例2)
実施例1に用いた上記3種類のオリゴマーが、同様の混合溶媒中に同様の濃度で溶解されたオリゴマー溶液を調整し、当該オリゴマー溶液6.0gを撹拌しながら、これに日産化学製コロイダルシリカ(粒径10nm)70%メタノール溶液4.0gを加えた。さらに関東化学製テトラエトキシシラン(TEOS)1.5gを添加して撹拌し、その後0.2Nアンモニア水1.0gを添加し、式(2)で示す構造を有するオリゴマー複合体の溶液を得た。
次いで、BASF社製顔料抜き水系ベース塗料(アクアBC−3:固形分比率24%)に、上記により得られた各オリゴマー複合体溶液を、各オリゴマー複合体の塗料固形分に対する割合が表2に示す値となるように撹拌しながら混合し、都合7種類(発明例8〜14)の上塗りクリヤー塗料を調整した。
次に、りん酸亜鉛処理した上記ダル鋼板に、上記実施例と同様に、電着塗装、白色中塗り塗装、白色ベースコートを施したのち、上記により調整した本発明の上塗りクリヤー塗料を乾燥膜厚が30μmになるようにスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けることによって、最上層に上塗り塗膜を形成した。
そして、こうして得られた上塗り塗膜について、その密着性、撥水−親水スイッチング性及び防汚性を上記同様の方法によって評価した。この結果を表2に併せて示す。
Figure 2009280697
表2の結果から明らかなように、疎水基と親水基とを併せ持つオリゴマー複合体を含有する発明例の塗料により得られた上塗り塗膜においては、上記実施例1による結果と同様に、撥水−親水スイッチング機能を示し、優れた防汚性能を発揮することが確認された。
疎水基と親水基を併有するオリゴマーの塗膜中における挙動を説明する模式図である。 本発明の上塗り塗料による塗膜上に滴下された水滴の接触角の時間的推移を比較例と対比して示すグラフである。

Claims (10)

  1. 親水基と疎水基を併有するオリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を含むことを特徴とする上塗り塗料組成物。
  2. 上記オリゴマーが、次式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の上塗り塗料組成物。
    Figure 2009280697
    (式中のRは炭素数2〜10個で分子量119〜1000の修飾又は非修飾のフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、Xはそれぞれ独立してOH基、NCO基、NH基、NHR基(R:アルキル基)COY基(Y:親水基)又はO=C−OY(Y:親水基)から成る親水基、nは1〜10の整数、mはn以下の整数を示す)
  3. 上記オリゴマー複合体が、次式(2)で表される構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の上塗り塗料組成物。
    Figure 2009280697
    (式中のRは炭素数2〜10個で分子量119〜1000の修飾又は非修飾のフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、XはOH基、NCO基、NH基、NHR基(R:アルキル基)COY基(Y:親水基)又はO=C−OY(Y:親水基)から成る親水基、Bは酸素原子、O=C−O基、O=C−OY(Y:親水基)、NH−C=O基又はR−C=O基(R:アルキル基)、nは1〜10の整数、mはn以下の整数を示す)
  4. 上記オリゴマー複合体が、次式(3)で表される構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の上塗り塗料組成物。
    Figure 2009280697
    (式中のRは炭素数2〜10個で分子量119〜1000の修飾又は非修飾のフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、XはOH基、NCO基、NH基、NHR基(R:アルキル基)COY基(Y:親水基)又はO=C−OY(Y:親水基)から成る親水基、Bは酸素原子、O=C−O基、O=C−OY(Y:親水基)、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、EはBと同一でも異なっていてもよくそれぞれ独立して酸素原子、O=C−O、NH−C=O又はNR−C=O(R:アルキル基)、Gは[(CHO)l−[Si(CHO]k−(CHO)l]、(CF)j又は(CFO)h、nは1〜10の整数、mはn以下の整数、kは1〜500の整数、lは0〜10の整数、jは0〜20の整数、hは1〜20の整数を示す)
  5. 上記オリゴマー複合体が、次式(4)で表される構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の上塗り塗料組成物。
    Figure 2009280697
    (式中のRは炭素数2〜10個で分子量119〜1000の修飾又は非修飾のフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、XはOH基、NCO基、NH基、NHR基(R:アルキル基)COY基(Y:親水基)又はO=C−OY(Y:親水基)から成る親水基、Bは酸素原子、O=C−O、O=C−OY(Y:親水基)、NH−C=O又はNR−C=O(R:アルキル基)、EはBと同一でも異なっていてもよく酸素原子、O=C−O、NH−C=O又はNR−C=O(R:アルキル基)、Lは[(CHO)l−[Si(CHO]k−(CHO)l]−α、(CF)j−α又は(CFO)h−αを示し、この場合、αはXと同一でも異なっていてもよくCOY基(親水基)、NCO基、NH基、NHR基(R:アルキル基)、R基(アルキル基)、OH基又は水素原子、nは1〜10の整数、mはn以下の整数、kは1〜500の整数、lは0〜10の整数、jは0〜20の整数、hは1〜20の整数を示す)
  6. 上記(1)〜(4)のいずれか1つの式で表されるオリゴマー又はオリゴマー複合体において、鎖状オリゴマー部位の分子量が252〜100,000であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つの項に記載の上塗り塗料組成物。
  7. 上記オリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を、塗料固形分に対して0.05〜50質量%の割合で含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の上塗り塗料組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1つの項に記載のオリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を含む上塗り塗膜であって、
    上記オリゴマー及び/又はオリゴマー複合体は、含水液滴と接触しない基底状態において、その疎水基が塗膜表面に配向する一方、含水液滴と接触した接液状態においては、その親水基が上記塗膜表面に配向し、上記基底状態と接液状態とに可逆的に切り替わることを特徴とする上塗り塗膜。
  9. クリヤー塗膜、濁りクリヤー塗膜、艶消しクリヤー塗膜又はエナメル塗膜であることを特徴とする請求項8に記載の上塗り塗膜。
  10. 少なくとも1層の下層塗膜を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の上塗り塗膜。
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