JP5382604B2 - ワックス及びワックス膜 - Google Patents

ワックス及びワックス膜 Download PDF

Info

Publication number
JP5382604B2
JP5382604B2 JP2008134026A JP2008134026A JP5382604B2 JP 5382604 B2 JP5382604 B2 JP 5382604B2 JP 2008134026 A JP2008134026 A JP 2008134026A JP 2008134026 A JP2008134026 A JP 2008134026A JP 5382604 B2 JP5382604 B2 JP 5382604B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
wax
integer
oligomer
amino
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008134026A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009280696A (ja
Inventor
宏典 筒井
雅彦 山中
健太郎 渡邉
英明 八重樫
英夫 澤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2008134026A priority Critical patent/JP5382604B2/ja
Publication of JP2009280696A publication Critical patent/JP2009280696A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5382604B2 publication Critical patent/JP5382604B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Description

本発明は、例えば自動車ボディに施された塗膜の保護や艶出しに用いられるワックスに係わり、さらに詳しくは、撥水性と防汚性を兼ね備えたワックス膜と、このような膜を得ることができるワックスに関するものである。
上記したような塗膜の保護や艶出しを目的としたワックスには、洗車や降雨時の水はじきを目的とした撥水性ワックスと、防汚を目的とした親水性ワックスがある。
また、例えば、特許文献1には、親水性の低いワックス性微粉末の表面に親水性の高いシリカサイトを沈積させることによって、表面層の親水−疎水のバランスを変化させることが記載されている。
特公平6−6532号公報
しかしながら、現在市販されているワックスは、疎水性及び親水性のいずれかを示すものであって、撥水性と防汚性を兼ね備えたものは見当たらない。
また、上記特許文献1に記載の変性ワックス性微粉末にしても、表面層の親水−疎水のバランスを変化できても、疎水性及び親水性のいずれかを示すに過ぎなく、疎水性に基づく撥水性と、親水性に基づく防汚性とを両立することはできない。
本発明は、従来のワックスにおける上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、疎水性と親水性とを兼ね備えた膜を形成することができ、撥水性と防汚性との両立が可能なワックスを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため、ワックスを構成する成分や添加成分などについて鋭意検討を重ねた結果、ワックス中に親水基と疎水基の両方を併せ持つ所定のオリゴマー、このような所定のオリゴマーにシリカネットワークを付加した所定のオリゴマー複合体を配合し、ワックス膜中にこのような所定のオリゴマーや所定のオリゴマー複合体を含有させることによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明のワックスは、親水基と疎水基を併有するオリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を含み、該オリゴマー及び/又はオリゴマー複合体が、下記式(1)で表される構造を有するオリゴマー及び下記式(2)〜(4)のいずれか1つで表される構造を有するオリゴマー複合体からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
Figure 0005382604
(式中のR は炭素数2〜10個で分子量119〜1000の含酸素フルオロアルキル基又はフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、Xはそれぞれ独立してOH基、NCO基、NH 基、NHR基(R:アルキル基)、COY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)又はO=C−OY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)から成る親水基、nは1〜10の整数、mはn以下の整数を示す)
Figure 0005382604
(式中のR は炭素数2〜10個で分子量119〜1000の含酸素フルオロアルキル基又はフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、XはOH基、NCO基、NH 基、NHR基(R:アルキル基)、COY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)又はO=C−OY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)から成る親水基、Bは酸素原子、O=C−O基、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、nは1〜10の整数、mはn以下の整数を示す)
Figure 0005382604
(式中のR は炭素数2〜10個で分子量119〜1000の含酸素フルオロアルキル基又はフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、XはOH基、NCO基、NH 基、NHR基(R:アルキル基)、COY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)又はO=C−OY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)から成る親水基、Bは酸素原子、O=C−O基、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、EはBと同一でも異なっていてもよくそれぞれ独立して酸素原子、O=C−O基、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、Gは[(CH O) −[Si(CH O] −(CH O) ]、(CF 又は(CF O) 、nは1〜10の整数、mはn以下の整数、kは1〜500の整数、lは0〜10の整数、jは0〜20の整数、hは1〜20の整数を示す)
Figure 0005382604
(式中のR は炭素数2〜10個で分子量119〜1000の含酸素フルオロアルキル基又はフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、XはOH基、NCO基、NH 基、NHR基(R:アルキル基)、COY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)又はO=C−OY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)から成る親水基、Bは酸素原子、O=C−O基、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、EはBと同一でも異なっていてもよく酸素原子、O=C−O基、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、Lは[(CH O) −[Si(CH O] −(CH O) ]−α、(CF −α又は(CF O) −αを示し、この場合、αはXと同一でも異なっていてもよくCOY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)、NCO基、NH 基、NHR基(R:アルキル基)、R基(アルキル基)、OH基又は水素原子、nは1〜10の整数、mはn以下の整数、kは1〜500の整数、lは0〜10の整数、jは0〜20の整数、hは1〜20の整数を示す)
また、本発明のワックス膜は、上記本発明のワックスを用いて形成したワックス膜であって、記オリゴマー及び/又はオリゴマー複合体は、含水液滴と接触しない基底状態において、疎水基がワックス膜の表面に配向する一方、含水液滴と接触した接液状態においては、親水基が上記ワックス膜の表面に配向し、上記基底状態と接液状態とに可逆的に切り替わることを特徴としている。
本発明によれば、ワックス中に親水基と疎水基の双方を併有する上記式(1)で表される構造を有するオリゴマー及び上記式(2)〜(4)で表される構造を有するオリゴマー複合体からなる群より選ばれた少なくとも1種を含有させたため、これによって得られるワックス膜の表面状態が親水性と疎水性とに切り替わり、親水性下における防汚・易洗浄性と、疎水性下における撥水性(水はじき)とを両立させることができる。
以下に、本発明のワックス及びワックス膜について、さらに詳細、かつ具体的に説明する。なお、本明細書中において、「%」は特記しない限り質量百分率を表わすものとする。
本発明のワックスは、上記したように、親水基と疎水基とを併せ持つオリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を含有している。
当該オリゴマーやオリゴマー複合体は、ワックス膜中において、含水液滴と接触しない基底状態では、その疎水基がワックス膜の表面に配向するのに対し、含水液滴と接触した接液状態では、その親水基がワックス膜の表面に配向する。
すなわち、図1は、当該オリゴマーの挙動を模式図として表したものであって、例えば、フルオロアルキル基から成る疎水基Rと、スルホン酸基、カルボキシル基などの親水基Xを備えたオリゴマーは、含水液滴と接触しない基底状態(乾燥状態)では、その疎水基R がワックス膜の表面側に配向する。したがって、この状態で膜表面に水滴が付着したとしても、図1(a)に示すように、撥水性を発揮することになる。
一方、図1(b)に示すような接液状態では、オリゴマーの親水基Xがワックス膜の表面側に配向することによって、この膜が親水性を示すようになる。
なお、含水液滴とは、水分を含有する液滴を意味し、雨滴を初めてとして、水に加えて泥や煤塵などを含有する液滴の外、油分や界面活性剤などを含有する液滴もこれに含まれる。
その結果、含水液滴との接触状況に応じてワックス膜の表面が親水性と疎水性とに切り替わることになり、当該ワックス膜は、通常の基底状態においては疎水性を示し、少量の雨滴や短時間の降雨に対しては撥水性を発揮する。よって、少量の雨滴は風などによって吹き飛ばされるか又は乾燥して飛散するが、雨滴が吹き飛ばされた場合には、雨滴に含まれる汚れ成分はワックス膜の表面には殆ど残存せず、ワックス膜表面の清浄性が持続する。
一方、ある程度の量の雨滴や長時間の降雨に対しては親水性を発揮するので、雨滴に含まれる汚れ成分の一部はワックス膜の表面を流れ落ち、ワックス膜表面は比較的清浄な状態を保持する。
なお、雨滴付着量の多少や降雨時間の長短に拘わらず、雨滴が飛散・消失した後にワックス膜の表面に残存する汚れ成分は、シャワーリングなどにより水洗すれば、膜表面が親水性に変化して有効に流れ落ちるので、ワックス膜表面の洗浄作業を簡単に行うことができる。
本発明において、親水基と疎水基を併有するオリゴマーやオリゴマー複合体としては、例えば次式(1)によって表される構造のオリゴマーや、次式(2)〜(4)によって表される構造を備えたオリゴマー複合体を用いることができる。なお、これら4種類のオリゴマーやオリゴマー複合体は、それぞれ単独で使用することも、2種以上のものを任意に組み合わせて使用するようにすることも可能である。
Figure 0005382604
Figure 0005382604
Figure 0005382604
Figure 0005382604
上記各式(1)〜(4)において、鎖状オリゴマー部位の両末端に位置するRは、疎水基であって、2〜10個の炭素数と、119〜1000の分子量を有する修飾又は非修飾のフルオロアルキル基である。
なお、疎水基としての上記フルオロアルキル基の炭素数が2個に満たない場合には、フッ素による撥水効果が出なくなる一方、10個を超えると溶解性の低下という不具合が生じる可能性がある。また、当該フルオロアルキル基の分子量が119に満たないと、フッ素による撥水効果が出なくなり、1000を超えた場合には、溶解性が悪化する傾向がある。
このようなフルオロアルキル基としては、パーフルオロアルキル基(CF(CF 基(gは1〜9の整数を示す))を代表例として挙げることができるが、これに限定されないことは言うまでもない。
例えば、主骨格をフルオロアルキル基とし、フッ素原子、炭素原子、水素原子以外の他の原子、代表的には、酸素原子のようなヘテロ原子を含む官能基を含む修飾フルオロアルキル基とすることもできる。具体的には、エーテル結合を含むような含酸素フルオロアルキル基であるフルオロエーテル基(C(OCF(CF)CF OC(CF)F基(fは0〜3の整数を示す))などを挙げることができる。
また、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を示し、XはOH基、NCO基、NH基、NHR基(R:アルキル基)、COY基(Y:親水基)又は=C−OY(Y:親水基)から成る親水基を示す。
なお、上記において、Yで示される親水基としては、例えば修飾又は非修飾のカルボキシル基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、アミノ基(一級〜三級)、四級アンモニウム塩基、イソシアネート、ヒドロキシル基(OH基)、モルホリ基(CON基)、ジメチルアミノ基((CHN基)、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基(CHC(O)CHC(CHNH基)、スルホン基(SOH基)などを挙げることができる。
そして、nは1〜10の整数を示し、mはn以下の整数を示す。
上記式(2)〜(4)中におけるBは、酸素原子、O=C−O基、NH−C=O又はNR−C=O(R:アルキル基)を表し、式(3)及び(4)中におけるEは、Bと同一でも異なっていてもよく酸素原子、O=C−O、NH−C=O又はNR−C=O(R:アルキル基)を示す。
また、上記式(3)中におけるGは、[(CHO) −[Si(CHO] −(CHO) ]、(CF 又は(CFO) を示し、ここでkは、1〜500の整数、lは、0〜10の整数、j及びhはそれぞれ1〜20の整数を表す。
そして、式(4)中におけるLは、[(CHO) −[Si(CHO] −(CHO) ]−α、(CF −α又は(CFO) −αを示し、この場合、αはXと同一でも異なっていてもよくCOY基(Y:親水基)、NCO基、NH基、NHR基(R:アルキル基)、R基(アルキル基)、OH基又は水素原子を表す。また、k、l、j及びhは、式(3)と同様の整数を意味する。
上記各式(1)〜(4)で示されるオリゴマーやオリゴマー複合体においては、その鎖状オリゴマー部位、すなわちXやBを含み、シリカネットワーク部位を含まない直鎖状部分の分子量が252〜100,000の範囲であることが望ましい。すなわち、当該鎖状オリゴマー部位の分子量が252未満、あるいは100,000を超えた場合には、当該オリゴマーやオリゴマー複合体による撥水性−親水性のスイッチング作用が十分に得られないことがあることによる。
本発明のワックスにおいては、親水基と疎水基とを併せ持つ上記オリゴマーやオリゴマー複合体をワックス固形分に対して、質量比で0.05〜50%の割合、より好ましくは1〜15%、さらに好ましくは3〜10%の割合で含有していることが望ましい。
すなわち、上記オリゴマーやオリゴマー複合体の添加量が0.05%に満たない場合には、撥水性−親水性のスイッチング機能が十分に発現せず、逆に50%を超えた場合には、添加されたオリゴマーやオリゴマー複合体の凝集によって、ワックス膜の平滑性が損なわれ、外観が低下する可能性があることによる。
本発明のワックスは、透明ワックス、あるいは顔料を含んだ着色ワックスであって、固体タイプ、半練りタイプ、液体タイプとすることができ、天然ワックスであっても、合成ワックスであっても良い。例えば、カルナバワックス、木ろう、蜜蝋、アミド系ワックスなどを挙げることができる。
このとき、ふっ素系溶剤を用い、上記オリゴマーやオリゴマー複合体を予めこのふっ素系溶剤で溶解することによって、当該オリゴマーやオリゴマー複合体をワックス中に高度に分散させることができ、より平滑なワックス膜を形成することができるようになる。
このようにして得られた本発明のワックス膜においては、親水基と疎水基とを併せ持つオリゴマーやオリゴマー複合体が含まれており、含水液滴と接触しない基底状態においては、その疎水基がワックス膜の表面側に配向する。一方、含水液滴と接触した接液状態では、これらオリゴマーやオリゴマー複合体の親水基がワックス膜の表面側に配向する結果、ワックス膜の表面が親水性と疎水性とに切り替わることになり、当該ワックス膜は、疎水性による撥水性と、親水性による防汚・易洗浄性を兼ね備えたものとなる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
式(1)に相当する構造を有し、その鎖状オリゴマー部位の分子量が異なる3種類のオリゴマーを用意し、IPA(イソプロピルアルコール)中に、各オリゴマーがそれぞれ10%となるように溶解した。
次いで、クリンビュー製液体ワックス(ニューボディークリン、ホワイトリキッド)に、上記により得られた各オリゴマー溶液を、各オリゴマーのワックス固形分に対する割合が表1に示す値となるように撹拌しながら混合し、都合7種類のワックスを調整した。
なお、上記オリゴマーの具体的構造としては、次の(5)式に示すものとし、nを変化させることによって3種類の分子量となるように調整した。
Figure 0005382604
〔ワックス膜の形成〕
りん酸亜鉛処理した幅70mm×長さ150mm×厚さ0.8mmのダル鋼板に、カチオン電着塗料(日本ペイント製商品名「パワートップU600M」)を用いて、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装した後、160℃で30分間焼き付け処理した。その後、日本ペイント製白色中塗り塗料(OP61M)を20μm塗装し、140℃で30分間焼き付けた。
次に、日本ペイント製白色ベースコート(スーパーラックM180)を10μmスプレー塗装したのち、ウエットオンウエットで、日本ペイント製クリヤー塗料(スーパーラックO−80)を30μmスプレー塗装したのち、140℃で30分間焼き付けた。
このようにして得られた積層塗膜の表面上に、上記によって調整した本発明のワックス1.0gを乗せ、このワックスが均一になるようにネル布で数回引き伸ばしたのち、乾いたネル布によって拭取った。
〔ワックス膜の評価方法〕
上記によって得られたワックス膜について、ワックス拭取り性、撥水−親水スイッチング性及び防汚性を下記要領によって評価した。この結果を表1に併せて示す。なお、表中の比較例としては、上記のようなオリゴマーを添加することなく、上記のクリンビュー製液体ワックスをそのまま、同様に塗布することによってられたワックス膜についての結果を示した。
〔1〕ワックス拭取り性
上記積層塗膜の表面上に引き伸ばしたワックスを乾いたネル布で拭取るに際して、通常のワックスより容易に拭取り可能なものを「○」、通常のワックスと同等なものを「△」、通常のワックスよりも拭取りが困難なものを「×」と評価した。
〔2〕撥水−親水スイッチング性
5μLのイオン交換水を静的に積層塗膜上のワックス膜上に滴下し、接触角測定機(株式会社アタゴ製「DR−M4/1550」)によって水滴の接触角θを1分毎に、20分まで測定した。さらに、水滴周囲を油性マジックでマーキングした後、80℃×5分間乾燥させた後、マーキング内側に、再度、同様に水滴を滴下し、水滴接触角θを同様に1分毎に20分まで測定した。
そして、乾燥前における最初の測定結果について、イオン交換水を滴下して30秒後の接触角θが70°以上であって、20分後の接触角θが5°以下の場合を「◎」、5°を超え20°以下の場合を「○」、20°を超え40°以下の場合を「△」、40°を超える場合を「×」と評価した。
〔3〕防汚性
カーボンブラックに代表される泥成分を含んだ試験水を積層塗膜表面のワックス膜上にスプレー噴霧した後、乾燥させるサイクルを繰り返して汚れを付着させた後、スチーム洗浄機による高圧温水を試験片に噴霧し、汚れを除去した。そして、洗浄前後の明度差を色差計(村上色彩技術研究所製「ゴニオスペクトルメーターGSP−2」)にて測定した。
測定結果については、洗浄前後の明度差が3に満たない場合を「◎」、3以上10未満の場合を「○」、10以上15未満の場合を「△」、15を超える場合を「×」と評価した。
Figure 0005382604
表1の結果から明らかなように、式(1)に示すように疎水基と親水基とを併せ持つオリゴマーを含有する発明例のワックスにより得られたワックス膜においては、撥水−親水スイッチング機能が発現し、このようなオリゴマーを含有しない比較例ワックスによる膜に較べて、優れた防汚性能を示すことが確認された。
なお、図2は、代表例として発明例1のワックスによるワックス膜上に滴下された水滴の接触角の時間的推移、すなわち撥水−親水スイッチング機能を上記比較例と対比して示すグラフである。
(実施例2)
実施例1に用いた上記3種類のオリゴマーが、同様の混合溶液中に同様の濃度で溶解されたオリゴマー溶液を調整し、当該オリゴマー溶液1.83gを撹拌しながら、これに日産化学製コロイダルシリカ(粒径10nm)70%メタノール溶液1.22gを加えた。さらに関東化学製テトラエトキシシラン(TEOS)0.46gを添加して撹拌し、その後0.2Nアンモニア水0.31gを添加し、式(2)で示す構造を有するオリゴマー複合体の溶液を得た。
次いで、こうして得られた各オリゴマー溶液を、クリンビュー製液体ワックス(ニューボディークリン、ホワイトリキッド)に、各オリゴマーのワックス固形分に対する割合が表2に示す値となるように撹拌しながら混合し、都合7種類(発明例8〜14)のワックスを調整した。
次に、りん酸亜鉛処理した上記ダル鋼板に、上記実施例と同様に、電着塗装、白色中塗り塗装、白色ベースコート、クリヤー塗装を施して成る積層塗膜の表面に、各ワックスを塗布したのち、同様に拭取り、得られたワックス膜について、ワックス拭取り性、撥水−親水スイッチング性及び防汚性を上記同様の方法によって評価した。この結果を表2に併せて示す。
Figure 0005382604
表2の結果から明らかなように、疎水基と親水基とを併せ持つオリゴマー複合体を含有する各発明例のワックスにより得られたワックス膜においては、上記実施例1による結果と同様に、撥水−親水スイッチング機能を示し、優れた防汚性能を発揮することが確認された。
疎水基と親水基を併有するオリゴマーのワックス膜中における挙動を説明する模式図である。 本発明のワックスによるワックス膜上に滴下された水滴の接触角の時間的推移を比較例と対比して示すグラフである。

Claims (6)

  1. 親水基と疎水基を併有するオリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を含み、
    上記オリゴマー及び/又はオリゴマー複合体が、次式(1)で表される構造を有するオリゴマー及び次式(2)〜(4)のいずれか1つで表される構造を有するオリゴマー複合体からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とするワックス。
    Figure 0005382604
    (式中のR は炭素数2〜10個で分子量119〜1000の含酸素フルオロアルキル基又はフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、Xはそれぞれ独立してOH基、NCO基、NH 基、NHR基(R:アルキル基)、COY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)又はO=C−OY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)から成る親水基、nは1〜10の整数、mはn以下の整数を示す)
    Figure 0005382604
    (式中のR は炭素数2〜10個で分子量119〜1000の含酸素フルオロアルキル基又はフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、XはOH基、NCO基、NH 基、NHR基(R:アルキル基)、COY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)又はO=C−OY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)から成る親水基、Bは酸素原子、O=C−O基、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、nは1〜10の整数、mはn以下の整数を示す)
    Figure 0005382604
    (式中のR は炭素数2〜10個で分子量119〜1000の含酸素フルオロアルキル基又はフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、XはOH基、NCO基、NH 基、NHR基(R:アルキル基)、COY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)又はO=C−OY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)から成る親水基、Bは酸素原子、O=C−O基、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、EはBと同一でも異なっていてもよくそれぞれ独立して酸素原子、O=C−O基、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、Gは[(CH O) −[Si(CH O] −(CH O) ]、(CF 又は(CF O) 、nは1〜10の整数、mはn以下の整数、kは1〜500の整数、lは0〜10の整数、jは0〜20の整数、hは1〜20の整数を示す)
    Figure 0005382604
    (式中のR は炭素数2〜10個で分子量119〜1000の含酸素フルオロアルキル基又はフロオロアルキル基から成る疎水基、R’はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基、XはOH基、NCO基、NH 基、NHR基(R:アルキル基)、COY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)又はO=C−OY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)から成る親水基、Bは酸素原子、O=C−O基、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、EはBと同一でも異なっていてもよく酸素原子、O=C−O基、NH−C=O基又はNR−C=O基(R:アルキル基)、Lは[(CH O) −[Si(CH O] −(CH O) ]−α、(CF −α又は(CF O) −αを示し、この場合、αはXと同一でも異なっていてもよくCOY基(Yはカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、モルホリノ基、ジメチルアミノ基、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アミノ基又はスルホン基を示す)、NCO基、NH 基、NHR基(R:アルキル基)、R基(アルキル基)、OH基又は水素原子、nは1〜10の整数、mはn以下の整数、kは1〜500の整数、lは0〜10の整数、jは0〜20の整数、hは1〜20の整数を示す)
  2. 上記(1)〜(4)のいずれか1つの式で表されるオリゴマー又はオリゴマー複合体において、鎖状オリゴマー部位の分子量が252〜100,000であることを特徴とする請求項1に記載のワックス。
  3. 上記オリゴマー及び/又はオリゴマー複合体を、ワックス固形分に対して0.05〜50質量%の割合で含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のワックス。
  4. 固体、液体、半練り、又はエマルションタイプであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のワックス。
  5. 透明ワックス又は顔料を含んだ着色ワックスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のワックス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のワックスを用いて形成したワックス膜であって、
    上記オリゴマー及び/又はオリゴマー複合体は、含水液滴と接触しない基底状態において、その疎水基がワックス膜表面に配向する一方、含水液滴と接触した接液状態においては、その親水基が上記ワックス膜表面に配向し、上記基底状態と接液状態とに可逆的に切り替わることを特徴とするワックス膜。
JP2008134026A 2008-05-22 2008-05-22 ワックス及びワックス膜 Expired - Fee Related JP5382604B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008134026A JP5382604B2 (ja) 2008-05-22 2008-05-22 ワックス及びワックス膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008134026A JP5382604B2 (ja) 2008-05-22 2008-05-22 ワックス及びワックス膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009280696A JP2009280696A (ja) 2009-12-03
JP5382604B2 true JP5382604B2 (ja) 2014-01-08

Family

ID=41451491

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008134026A Expired - Fee Related JP5382604B2 (ja) 2008-05-22 2008-05-22 ワックス及びワックス膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5382604B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09241324A (ja) * 1996-03-11 1997-09-16 Showa Denko Kk フルオロアルキル基含有オリゴマー及びその製造方法
JPH107742A (ja) * 1996-06-20 1998-01-13 Showa Denko Kk フルオロシリコーン系機能性付与剤
JPH107738A (ja) * 1996-06-20 1998-01-13 Showa Denko Kk フルオロアルキル基を有する機能性付与剤
JPH10251351A (ja) * 1997-03-12 1998-09-22 Showa Denko Kk フルオロアルキル基含有化合物、その製造方法および高分子電解質
JP4248073B2 (ja) * 1999-03-11 2009-04-02 石原薬品株式会社 新規アクリル又はメタクリルアミド誘導体及びその用途
JP5182738B2 (ja) * 2006-09-13 2013-04-17 日産自動車株式会社 ナノ粒子複合体
JP4919745B2 (ja) * 2006-09-13 2012-04-18 日産自動車株式会社 ナノ粒子及びナノ粒子複合体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009280696A (ja) 2009-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6461537B1 (en) Water repellent glass treatment for automotive applications
EP2890772B1 (en) Multi-functional compositions and methods of use
US8178004B2 (en) Compositions for providing hydrophobic layers to metallic substrates
RU2519258C2 (ru) Покрытие на основе двуокиси кремния для повышенной гидрофильности
EP0825241A1 (en) Water repellent coating composition, method for preparing the same, and coating films and coated articles using the same
CN101528756B (zh) 用于涂料和印刷油墨组合物的无氟三硅氧烷表面活性剂组合物
KR100573350B1 (ko) 친수화 왁스 조성물
JP2009167429A (ja) フッ素化シランを水性送達するための組成物
CN105482604B (zh) 一种水性防涂鸦涂料及其制备方法
US8043421B2 (en) Durable automotive windshield coating and the use thereof
JP5631640B2 (ja) 防曇剤組成物
CA2632361C (en) Spray wax composition
CN117659865A (zh) 用于涂覆基材的组合物、方法及其用途
CN111393926B (zh) 一种水性镀膜液
US6599634B2 (en) Fluorine-containing organic silicon compound, water repellent composition containing it, and surface-treated substrate and process for its production
JP5801088B2 (ja) 塗料組成物
JP5382604B2 (ja) ワックス及びワックス膜
JP2006206765A (ja) 撥水性組成物、撥水層を有する基材、その製造方法および輸送機器用物品
JP5967804B2 (ja) 車両車体の塗装表面用コーティング剤
KR20190142533A (ko) 방오 코팅제 조성물 및 이들의 제조방법
US20200056113A1 (en) Hydrophobic xerogel film and method of use thereof for reducing drag
JP2001205747A (ja) 表面処理層を有する基材およびその製造方法
JP5424010B2 (ja) 上塗り塗料組成物及び上塗り塗膜
EP2313221A1 (en) Durable coating composition
JP2009126926A (ja) 上塗り塗膜の耐汚れ処理剤及び上塗り塗膜の耐汚れ処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130627

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130909

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130922

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees