JP5423818B2 - アンテナ及び通信システム - Google Patents

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Description

本発明は、アンテナ及び通信システム、より特定的には、UHF帯やSHF帯の高周波信号の無線通信に用いられるアンテナ及び通信システムに関する。
従来のアンテナとしては、例えば、特許文献1に記載の通信システムに用いられているアンテナが知られている。以下に、図面を参照しながら、特許文献1に記載のアンテナについて説明する。図17は、特許文献1に記載の通信システム500のブロック図である。図18は、図17の通信システム500に用いられているアンテナ520,550の透視図である。図19は、図18のアンテナ520の等価回路図である。
特許文献1に記載の通信システム500は、高周波信号を電界結合により伝送することによって、大容量伝送が可能なシステムである。具体的には、UWB(Ultra Wide Band)通信のように高周波、広帯域を使用する通信方式を電界結合に適用することで、微弱無線であると共に、大容量データ通信を実現している。該通信システム500は、図17に示すように、送信側の電子機器501及び受信側の電子機器511により構成されている。
電子機器501は、送信回路部502、共振部504及び発信用電極506を備えている。送信回路部502は、UWB信号などの高周波信号を生成する回路である。発信用電極506は、送信回路部502が生成した高周波信号を電波として放射する。共振部504は、送信回路部502と発信用電極506との間のインピーダンスマッチングをとるための回路である。
一方、電子機器511は、受信回路部512、共振部514及び受信用電極516を備えている。受信用電極516は、発信用電極506と電界結合しており、発信用電極506が放射した電波を受信する。受信回路部512は、受信用電極516が受信した電波を復調及び復号処理する。共振部514は、受信回路部512と受信用電極516とのインピーダンスマッチングをとるための回路である。
ここで、上記発信用電極506についてより詳細に説明する。発信用電極506は、図18に示すように、アンテナ520の一部を構成している。なお、図17では、アンテナ520は示されておらず、発信用電極506のみが示されている。アンテナ520は、図18に示すように、発信用電極506、基板522、グランド電極524、スタブ526、基板528及びビアホール導体530,532を備えている。
基板522は、絶縁材料により構成されている。グランド電極524は、基板522の裏面全面に設けられており、接地電位が印加される。スタブ526は、基板522の表面上に設けられている線状電極であり、通信システム500にて送受信される高周波信号の半波長(λ/2)に略等しい長さを有している。基板528は、絶縁材料により構成され、基板522の表面上であって、スタブ526の一部を覆い隠すように設けられている。発信用電極506は、基板528の表面に設けられている矩形状の電極である。ビアホール導体530は、発信用電極506とスタブ526とを接続している。ビアホール導体532は、スタブ526とグランド電極524とを接続している。ここで、ビアホール導体530は、図19に示すように、ビアホール導体532から通信システムにて送受信される高周波信号の4分の1波長(λ/4)だけ離れた位置においてスタブ526に接続されている。
一方、受信用電極516も、発信用電極506と同様に、図18に示すようなアンテナ550の一部を構成している。アンテナ550は、図18に示すように、受信用電極516、基板552、グランド電極554、スタブ556、基板558及びビアホール導体560,562を備えている。ただし、アンテナ550の構成は、アンテナ520の構成と同じであるので、説明を省略する。
以上のような構成を有するアンテナ520,550は、発信用電極506と受信用電極516との距離が所定距離(例えば、3cm程度)となるように接近させられた状態で用いられる。より詳細には、発信用電極506と受信用電極516との距離が所定距離となったときに、発信用電極506と受信用電極516との間に所定の容量が発生し、アンテナ520の入力インピーダンスが送信回路部502の出力インピーダンス(例えば、50Ω)と一致する(すなわち、インピーダンスマッチングする)ように設計されている。同様に、発信用電極506と受信用電極516との距離が所定距離となったときに、発信用電極506と受信用電極516との間に所定の容量が発生し、アンテナ550側の出力インピーダンスが受信回路部512の入力インピーダンスと一致する(すなわち、インピーダンスマッチングする)ように設計されている。これにより、送信回路部502から出力される高周波信号が、低反射でアンテナ520へと入力するようになる。そして、スタブ526が高周波信号の半波長に略等しい長さを有しているので、図19に示すように、スタブ526において定在波が発生する。なお、アンテナ550及び受信回路部512においても、同様の現象が発生しているが、説明を省略する。
ここで、ビアホール導体530は、前記の通り、ビアホール導体532から高周波信号の4分の1波長(λ/4)だけ離れた位置においてスタブ526に接続されている。この位置は、図19に示すように、定在波の腹に相当する。すなわち、ビアホール導体530は、電位の変動が最も大きい位置においてスタブ526に接続されている。その結果、発信用電極506の電位の変動は最大となる。よって、大きな振幅を有する電界が電波として発信用電極506から放射される。一方、アンテナ550では、アンテナ520と逆方向に高周波信号が流れる。ただし、アンテナ550の動作は、アンテナ520の動作と基本的に同じであるので、説明を省略する。以上のような通信システムでは、発信用電極506と受信用電極516とが電界結合し、発信用電極506が放射する電界の変動を受信用電極516が受信することにより、高周波信号の伝送が行われる。
ところで、特許文献1に記載の通信システム500は、設計の自由度が低いという問題を有している。より詳細には、図19に示すように、スタブ526では、定在波が発生している。この定在波は、送信回路部502から出力されてくる高周波信号がスタブ526に入力し、更に、スタブ526の両端にて反射を繰り返すことにより発生する。
しかしながら、スタブ526の入力側の端部と定在波の節とが完全に一致してしまうと、スタブ526の入力インピーダンスが0Ωとなる。そのため、スタブ526に接続されているコネクタ540とスタブ526との間のインピーダンスマッチングが崩れてしまう。その結果、高周波信号は、スタブ526に入力できない。そこで、アンテナ520では、図19に示すように、スタブ526の入力側の端部は、定在波の節から僅かにずらされている。具体的には、スタブ526の入力インピーダンスがコネクタ540の出力インピーダンスと一致するように、コネクタ540がスタブ526に接続されている。すなわち、スタブ526の入力側の端部は、図19に示すように、スタブ526とビアホール導体532との接続位置から高周波信号の半波長よりも僅かに短い位置に設けられている。これにより、スタブ526の入力インピーダンスとコネクタ540の出力インピーダンスとが一致し、高周波信号はコネクタ540からスタブ526へと低反射で入力するようになる。
ただし、上記のような設計条件を満たそうとすると、精度よくコネクタ540をスタブ526に対して接続する必要がある。より詳細には、一端が終端されているスタブ526の入力インピーダンスは、定在波と同様に、両端で低く、中央で高くなっている。更に、一端が終端されているスタブ526の入力インピーダンスの変化率は、定在波と同様に、両端で大きく、中央で小さくなっている。コネクタ540はスタブ526の端部に接続されるので、コネクタ540のスタブ526に対する接続位置が本来の位置から僅かでもずれると、スタブ526の入力インピーダンスがコネクタ540の出力インピーダンスから大きくずれてしまう。その結果、高周波信号は、コネクタ540からスタブ526へと低反射で入力できなくなる。以上の理由により、アンテナ520は、コネクタ540をスタブ526に対して精度よく接続する必要があるため、設計の自由度が低いという問題を有している。またコネクタ540がRFケーブル等に変更となり、例えば特性インピーダンスが50Ωから35Ωに変化した場合は、アンテナ520に対するコネクタ540の接続位置の再設計が必要である。実使用においてコネクタやケーブルの特性インピーダンスは、製造品により異なるので、このアンテナ520を特定のコネクタに対して設計した後に、別のコネクタやケーブルへ変更することは非常に困難である。なお、アンテナ550においても同様の問題が発生する。
特開2008−99234号公報
そこで、本発明の目的は、設計の自由度の高いアンテナ及び通信システムを提供することである。
本発明の一形態に係るアンテナは、接地電位が印加されるグランド導体と、高周波信号が伝送される線状導体と、一端部が前記線状導体に、他端部が前記グランド導体にそれぞれ直接的に接続されていて、電界を放射する放射導体と、を備え、前記線状導体のインダクタンスをL1、前記放射導体のインダクタンスをL2、前記線状導体と前記グランド導体との間に形成される容量をC1、前記放射導体と前記グランド導体との間に形成される容量をC2としたとき、|L2/C2|は|L1/C1|よりも大きい、ことを特徴とする。
本発明の一形態に係る通信システムは、送信回路部または受信回路部と、前記送信回路部または前記受信回路部に接続されるアンテナと、を備える通信システムにおいて、前記アンテナは、接地電位が印加されるグランド導体と、高周波信号が伝送される線状導体と、一端部が前記線状導体に、他端部が前記グランド導体にそれぞれ直接的に接続されていて、電界を放射する放射導体と、を備え、前記線状導体のインダクタンスをL1、前記放射導体のインダクタンスをL2、前記線状導体と前記グランド導体との間に形成される容量をC1、前記放射導体と前記グランド導体との間に形成される容量をC2としたとき、|L2/C2|は|L1/C1|よりも大きい、ことを特徴とする。
本発明によれば、設計の自由度の高いアンテナを提供することができる。
第1の実施形態に係るアンテナの透視図である。 図1のアンテナの分解図である。 図1のアンテナの等価回路図である。 第1の変形例に係るアンテナの透視図である。 第2の変形例に係るアンテナの透視図である。 第3の変形例に係るアンテナの透視図である。 図6のアンテナの等価回路図である。 第4の変形例に係るアンテナの透視図である。 図8のアンテナの等価回路図である。 第5の変形例に係るアンテナの透視図である。 第2の実施形態に係るアンテナの透視図である。 図11のアンテナの分解図である。 第3の実施形態に係るアンテナの透視図である。 図13のアンテナの分解図である。 第1の変形例に係るアンテナの透視図である。 第2の変形例に係るアンテナの透視図である。 特許文献1に記載の通信システムのブロック図である。 図17の通信システムに用いられているアンテナの透視図である。 図18のアンテナの等価回路図である。
以下に、本発明の実施形態に係るアンテナ及び通信システムについて図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
(アンテナの構造)
以下に、第1の実施形態に係るアンテナの構造について図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施形態に係るアンテナ10aの透視図である。図2は、図1のアンテナ10aの分解図である。図3は、図1のアンテナ10aの等価回路図である。図1及び図2において、絶縁体層の積層方向をz軸方向と定義する。また、z軸方向から平面視したときのアンテナ10aの各辺に沿った方向をx軸方向及びy軸方向と定義する。x軸方向、y軸方向及びz軸方向は、互いに直交している。
アンテナ10aは、例えば、図17の通信システム500に用いられ、具体的には、共振部504及び発信用電極506、又は、共振部514及び受信用電極516の代わりに用いられる。以下では、アンテナ10aが共振部504及び発信用電極506として用いられる場合について説明する。アンテナ10aは、図1に示すように、本体12a、放射導体16、端子導体18,20、接続導体22、線状導体24、グランド導体26及びビアホール導体b1〜b8を備えている。
本体12aは、図2に示すように、複数の絶縁体層14(14a〜14c)がz軸方向の正方向側からこの順に積層されることにより構成されている。絶縁体層14は、可撓性材料(例えば、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂)からなり、長方形状をなしている。以下では、絶縁体層14のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、絶縁体層14のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
端子導体18は、図2(a)に示すように、絶縁体層14aの表面において、x軸方向の負方向側の辺近傍に設けられており、正方形状をなしている。これにより、端子導体18は、図1に示すように、本体12aのz軸方向の正方向側の主面に露出している。端子導体18には、図17の送信回路部502にて生成された高周波信号(例えば、4.48GHz)が印加される。すなわち、端子導体18には、アンテナ10aに接続されるコネクタ(図示せず)の信号端子が接続される。ビアホール導体b5は、図2(a)に示すように、絶縁体層14aをz軸方向に貫通しており、端子導体18に接続されている。
端子導体20は、図2(a)に示すように、絶縁体層14aの表面において、x軸方向の負方向側の辺近傍に設けられており、端子導体18を三方から囲んでいる。具体的には、端子導体20は、x軸方向の正方向側が開口したコ字型をなしている。これにより、端子導体20は、図1に示すように、本体12aのz軸方向の正方向側の主面に露出している。端子導体20には、接地電位が印加される。すなわち、端子導体20には、アンテナ10aに接続されるコネクタ(図示せず)のグランド端子が接続される。ビアホール導体b3,b4は、図2(a)に示すように、絶縁体層14aをz軸方向に貫通しており、端子導体20に接続されている。なお、ビアホール導体b3〜b5は、z軸方向の正方向側から平面視したときに、y軸方向に一直線に並んでいる。
放射導体16は、図2(a)に示すように、絶縁体層14aの表面において、端子導体18,20よりもx軸方向の正方向側に設けられており、長方形状をなしている。また、放射導体16は、図2(a)に示すように、y軸方向に線幅W2を有している。ビアホール導体b1,b2は、図2(a)に示すように、絶縁体層14aをz軸方向に貫通しており、放射導体16に接続されている。ビアホール導体b1は、放射導体16のx軸方向の正方向側の長辺の中点近傍に接続されている。また、ビアホール導体b2は、放射導体16のx軸方向の負方向側の長辺の中点近傍に接続されている。よって、ビアホール導体b1,b2は、x軸方向に一直線に並んでいる。
線状導体24は、図2(b)に示すように、絶縁体層14bの表面に設けられている。線状導体24は、x軸方向に延在し、線幅W2よりも狭い線幅W1を有している。線状導体24のx軸方向の負方向側の端部は、図1に示すように、z軸方向から平面視したときに、端子導体18に重なっている。これにより、端子導体18は、ビアホール導体b5により、線状導体24に接続されている。一方、線状導体24のx軸方向の正方向側の端部は、図1に示すように、z軸方向から平面視したときに、放射導体16に重なっている。これにより、端子導体20は、ビアホール導体b2により、放射導体16に接続されている。
接続導体22は、図2(b)に示すように、絶縁体層14bの表面に設けられており、x軸方向に延在する線状導体である。接続導体22のx軸方向の負方向側の端部は、図1に示すように、z軸方向から平面視したときに、放射導体16に重なっている。これにより、接続導体22は、ビアホール導体b1を介して、放射導体16に接続されている。一方、接続導体22のx軸方向の正方向側の端部は、z軸方向から平面視したときに、放射導体16と重なっていない。
ビアホール導体b6は、絶縁体層14bをz軸方向に貫通しており、接続導体22のx軸方向の正方向側の端部に接続されている。ビアホール導体b7,b8はそれぞれ、絶縁体層14bをz軸方向に貫通しており、ビアホール導体b3,b4に接続されている。
グランド導体26は、図2(c)に示すように、絶縁体層14cの表面の略全面を覆うように設けられている。ただし、短絡を防止するために、グランド導体26は、本体12aの側面から露出しないように、絶縁体層14cの各辺には接していない。また、グランド導体26は、ビアホール導体b6により、接続導体22に接続されている。これにより、接続導体22は、グランド導体26と放射導体16との間に接続されている。更に、グランド導体26は、ビアホール導体b3,b4,b7,b8により、端子導体20に接続されている。よって、グランド導体26には、接地電位が印加される。
以上のように構成された絶縁体層14a〜14cが積層されると、線状導体24とグランド導体26とが絶縁体層14bにより絶縁されている。ただし、線状導体24は、z軸方向から平面視したときに、絶縁体層14bを介して、グランド導体26と対向している。これにより、線状導体24とグランド導体26とはマイクロストリップライン構造をなしている。
更に、放射導体16とグランド導体26とは、絶縁体層14a,14bにより直接に接続されないように絶縁されている。ただし、放射導体16は、z軸方向から平面視したときに、絶縁体層14a,14bを介して、グランド導体26と対向している。
また、放射導体16とグランド導体26との間に設けられている絶縁体層14a,14bの数(2層)は、線状導体24とグランド導体26との間に設けられている絶縁体層14bの数(1層)よりも多い。これにより、放射導体16とグランド導体26との間のz軸方向の距離d2は、線状導体24とグランド導体26との間のz軸方向の距離d1よりも大きくなっている。
また、放射導体16は、絶縁体層14a〜14cが積層されると、図1に示すように、線状導体24とグランド導体26との間に接続されるようになる。そして、放射導体16は、線状導体24が接続されている点(すなわち、ビアホール導体b2の接続点)とグランド導体26が接続されている点(すなわち、ビアホール導体b1の接続点)との間において、線状導体24の線幅W1よりも広い線幅W2を有している。また、放射導体16は、図1及び図2に示すように、線状導体24よりも広い面積を有している。
以上のような構成によれば、アンテナ10aは、図3に示す等価回路を有するようになる。具体的には、端子導体18と端子導体20との間に、線状導体24、放射導体16及びグランド導体26がこの順に直列に接続されている。そして、線状導体24とグランド導体26との間において、容量C1が発生している。また、放射導体16とグランド導体26との間において、容量C2が発生している。更に、線状導体24は、インダクタンスL1を発生している。また、放射導体16は、インダクタンスL2を発生している。すなわち、アンテナ10aでは、容量C1,C2及びインダクタンスL1,L2からなる共振回路が構成されている。
ここで、容量C1,C2及びインダクタンスL1,L2が、以下に説明する条件に適合するように、アンテナ10aは設計される。より詳細には、容量C1,C2及びインダクタンスL1,L2と、アンテナ10aにおいて送信される高周波信号の中心周波数fとの間には、式(1)の関係が成立する。
f=2π/√{(L1+L2)×(C1+C2)}・・・(1)
(ただし、C2は、略0である。)
また、アンテナ10aの入力インピーダンスZは、図17の送信回路部502の出力インピーダンス(例えば、50Ω)と一致している必要がある。そして、容量C1,C2及びインダクタンスL1,L2と、入力インピーダンスZとの間には、式(2)の関係が成立する。
Z=√{(L1+L2)/(C1+C2)}・・・(2)
(ただし、C2は、略0である。)
アンテナ10aでは、以上の式(1)及び式(2)を満足するような容量C1,C2及びインダクタンスL1,L2を有するように、線状導体24及び放射導体16を設計すればよい。ただし、放射導体16が有しているリアクタンスX1(|L2/C2|)が、線状導体24が有しているリアクタンスX2(|L1/C1|)よりも大きくなるように、線状導体24及び放射導体16は、設計されることが望ましい。
以上のように構成されたアンテナ10aは、例えば、図17の通信システム500に用いられ、具体的には、共振部504及び発信用電極506、又は、共振部514及び受信用電極516の代わりに用いられる。この場合、2つのアンテナ10a同士は、2つの放射導体16同士の距離が数cmとなるように近接させられる。そして、共振部504及び発信用電極506の代わりに用いられるアンテナ10aでは、端子導体18に高周波信号が印加され、端子導体20に接地電位が印加される。これにより、高周波信号は、線状導体24を伝送され、放射導体16に入力するようになる。そして、放射導体16からは、高周波信号に従って変動する電界がz軸方向の正方向側へと放射される。
一方、共振部514及び受信用電極516として用いられるアンテナ10aでは、放射導体16が、放射された電界を吸収する。この後、高周波信号は、線状導体24を伝送され、端子導体18を介して、アンテナ10a外へと出力する。
(アンテナの製造方法)
以下に、アンテナ10aの製造方法について図2を参照しながら説明する。以下では、一つのアンテナ10aが作製される場合を例にとって説明するが、実際には、大判の絶縁体層が積層及びカットされることにより、同時に複数のアンテナ10aが作製される。
まず、表面の全面に銅箔が形成された液晶ポリマーからなる絶縁体層14を準備する。次に、フォトリソグラフィ工程により、図2(a)に示す放射導体16及び端子導体18,20を絶縁体層14aの表面に形成する。具体的には、絶縁体層14aの銅箔上に、図2(a)に示す放射導体16及び端子導体18,20と同じ形状のレジストを印刷する。そして、銅箔に対してエッチング処理を施すことにより、レジストにより覆われていない部分の銅箔を除去する。その後、レジストを除去する。これにより、図2に示すような、放射導体16及び端子導体18,20が絶縁体層14aの表面に形成される。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図2(b)に示す接続導体22及び線状導体24を絶縁体層14bの表面に形成する。また、フォトリソグラフィ工程により、図2(c)に示すグランド導体26を絶縁体層14cの表面に形成する。なお、これらのフォトリソグラフィ工程は、放射導体16及び端子導体18,20を形成する際のフォトリソグラフィ工程と同様であるので、説明を省略する。
次に、絶縁体層14a,14bのビアホール導体b1〜b8が形成される位置に対して、裏面側からレーザービームを照射して、ビアホールを形成する。その後、絶縁体層14a,14bに形成したビアホールに対して、銅を主成分とする導電性ペーストを充填し、図2に示すビアホール導体b1〜b8を形成する。
次に、絶縁体層14a〜14cをこの順に積み重ねる。そして、絶縁体層14a〜14cに対してz軸方向の正方向側及び負方向側から力を加えることにより、絶縁体層14a〜14cを圧着する。これにより、図1に示すアンテナ10aが得られる。
(効果)
以上のように構成されたアンテナ10aでは、以下に説明するように、設計の自由度が高い。より詳細には、特許文献1の通信システム500のアンテナ520では、スタブ526にて定在波を発生させ、該定在波を用いて発信用電極506から電界を放射させている。このような定在波を発生させるためには、スタブ526の入力インピーダンスとコネクタ540の出力インピーダンスとが整合するように、コネクタ540をスタブ526に対して精度よく接続する必要がある。そのため、アンテナ520は、設計の自由度が低いという問題を有している。
一方、アンテナ10aは、定在波を利用して電界を放射しているのではなく、アンテナ10a中にLC共振回路を構成して、LC共振回路の中心周波数fを有する高周波信号のみを線状導体24中及び放射導体16中を伝送している。そして、放射導体16の線幅W2を線状導体24の線幅W1よりも広くして、放射導体16の面積を線状導体24の面積よりも大きくしている。これにより、放射導体16は、高周波信号に従って変動する電界を放射するようになる。すなわち、アンテナ520,550と同様に、2つのアンテナ10a間において近距離無線通信を行うことができる。
ここで、アンテナ10aでは、線状導体24と放射導体16とグランド導体26とを直列に接続し、端子導体18,20間で、LC共振回路を構成している。よって、アンテナ10a内を伝送される高周波信号の中心周波数fは、前記の通り、線状導体24及び放射導体16の容量C1,C2及びインダクタンスL1,L2により定まる。容量C1,C2及びインダクタンスL1,L2の調整は、線状導体24及び放射導体16の形状(線幅や長さ等)を調整することにより行うことができる。すなわち、アンテナ10aでは、複数の設計要素の中から任意のものを調整することにより、インピーダンスマッチングを取ることができる。一方、アンテナ520では、スタブ526の長さが所望の長さとなるように、コネクタ540をスタブ526に精度よく接続する必要がある。すなわち、アンテナ520では、スタブ526の長さのみによりインピーダンスマッチングを取らなくてはならない。以上より、アンテナ10aは、アンテナ520に比べて、高い設計の自由度を有している。また、線状導体24の線幅や線長の変更や長さ方向に対するスリット部の有無などを変更することで、容量C1及びインダクタンスL1を複数段のLC共振回路にして、放射周波数が広帯域なLC共振回路を構成することもできる。
また、アンテナ10aでは、z軸方向の高さを低減できる(以下、低背化と称す)。より詳細には、図18に示すアンテナ520では、両端ショート型のダイポールアンテナを構成している。すなわち、アンテナ520では、ビアホール導体530をスタブ526から上側へと延在させると共に、ビアホール導体530の先端にて水平方向に広がる発信用電極506を設けている。そのため、ビアホール導体530の分だけ、アンテナ520の高さが高くなってしまう。
一方、アンテナ10aでは、LC共振回路に設けられている放射導体16から電界が放射されているに過ぎない。よって、アンテナ10aは、アンテナ520のように両端ショート型のダイポールアンテナの構成をとる必要がない。その結果、アンテナ10aの低背化が図られる。
また、アンテナ10aでは、以下に説明するように、放射導体16がより強い電界を放射できる。より詳細には、放射導体16がグランド導体26と近接していると、放射導体16から放射される電界は、その大半がグランド導体26側(すなわち、z軸方向の負方向側)へと放射され、グランド導体26にて消費されてしまう。そのため、強い電界が、放射導体16からz軸方向の正方向側に放射されにくい。
そこで、アンテナ10aでは、放射導体16とグランド導体26との間のz軸方向の距離d2を、線状導体24とグランド導体26との間のz軸方向の距離d1よりも大きくしている。これにより、放射導体16は、グランド導体26から引き離されるようになる。その結果、放射導体16から放射される電界の大半は、z軸方向の正方向側に放射されるようになる。すなわち、アンテナ10aでは、放射導体16がより強い電界を放射できる。
また、グランド導体26と線状導体24とがマイクロストリップラインを構成することにより、線状導体24の特性インピーダンス(入力インピーダンス及び出力インピーダンス)を、放射導体16やその他の構成の特性インピーダンスと整合させやすくなる。
また、アンテナ10aでは、2つの放射導体16間の距離が変動しても、高周波信号の伝送特性が悪化しにくい。より詳細には、アンテナ520,550では、発信用電極506と受信用電極516との距離が所定距離(例えば、3cm)となったときに、発信用電極506と受信用電極516との間に所定の容量が発生し、アンテナ520の入力インピーダンスが送信回路部502の出力インピーダンス(例えば、50Ω)と一致する(すなわち、インピーダンスマッチングする)ように設計されている。同様に、発信用電極506と受信用電極516との距離が所定距離となったときに、発信用電極506と受信用電極516との間に所定の容量が発生し、アンテナ550側の出力インピーダンスが受信回路部512の入力インピーダンスと一致する(すなわち、インピーダンスマッチングする)ように設計されている。そのため、発信用電極506と受信用電極516との距離が所定距離から少しでもずれてしまうと、インピーダンスマッチングが崩れてしまう。その結果、アンテナ520,550では、高周波信号の伝送を行うことができなくなってしまう。
一方、アンテナ10aでは、線状導体24、グランド導体26及び放射導体16からなるLC共振回路により、送信回路部502又は受信回路部512とのインピーダンスマッチングがとられている。そして、前記の通り、グランド導体26と放射導体16との間の容量C2は、略0であるために、LC共振回路のインピーダンスは、容量C2には依存しない。つまり、インピーダンスは、線状導体24のインダクタンスL1、放射導体16のインダクタンスL2、及び、線状導体24とグランド導体26との間の容量C2により実質的に定まる。よって、放射導体16間の距離が変動しても、アンテナ10aと送信回路部502又は受信回路部512との間のインピーダンスマッチングが崩れることはない。よって、アンテナ10aでは、放射導体16間の距離が変動しても、高周波信号の伝送特性が悪化しにくい。
(変形例)
以下に、アンテナ10aの変形例に係るアンテナについて図面を参照しながら説明する。図4は、第1の変形例に係るアンテナ10bの透視図である。アンテナ10bは、蛇行した線状導体24'を有している点において、アンテナ10aと相違している。アンテナ10bのそれ以外の点は、アンテナ10aと同じであるので説明を省略する。
線状導体24'が蛇行することにより、線状導体24'のインダクタンスL1を大きくすることができる。すなわち、アンテナ10bでは、インダクタンスL1の調整幅を大きくすることができる。これにより、アンテナ10bの共振周波数の調整や、送信回路部502又は受信回路部512とのインピーダンスマッチング等を容易に行うことが可能となる。
図5は、第2の変形例に係るアンテナ10cの透視図である。アンテナ10cは、線状導体24に加えて線状導体24aを更に備えている点において、アンテナ10aと相違している。アンテナ10cのそれ以外の点は、アンテナ10aと同じであるので説明を省略する。
線状導体24aは、線状導体24に対して並列に接続されている。このように、アンテナ10cにおいて、並列接続された複数本の線状導体24,24aが設けられていてもよい。これにより、複共振化でき、例えば、4.48GHz±200MHzに広帯域化できる。なお、線状導体24,24aの線幅は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、線状導体24,24aのいずれか一方の先端を開放することによって、オープンスタブ型としてもよい。
図6は、第3の変形例に係るアンテナ10dの透視図である。図7は、図6のアンテナ10dの等価回路図である。アンテナ10dでは、アンテナ10aよりも、ビアホール導体b1が放射導体16の中心に近い位置に設けられている。アンテナ10dのそれ以外の点は、アンテナ10aと同じであるので説明を省略する。
アンテナ10dでは、アンテナ10aよりも,放射導体16とグランド導体26とがビアホール導体b1により放射導体16の中心に近い位置において接続されている。よって、ビアホール導体b1は、アンテナ10aよりもアンテナ10dにおいて、放射導体16のx軸方向の正方向側の辺から離れた位置に設けられている。これにより、図7に示すように、放射導体16には先端部60が形成される。その結果、放射導体16の先端部60がオープンスタブとして機能するようになり、利得が向上する。
図8は、第4の変形例に係るアンテナ10eの透視図である。図9は、図8のアンテナ10eの等価回路図である。アンテナ10eは、接続導体22'がミアンダ状をなしている点において、アンテナ10aと相違している。また、アンテナ10eは、接続導体22'のx軸方向の負方向側の端部とグランド導体26とがビアホール導体b30により接続されている点においても、アンテナ10aと相違している。アンテナ10eのそれ以外の点は、アンテナ10aと同じであるので説明を省略する。
アンテナ10eでは、接続導体22'は、ミアンダ状をなしているので、誘導性線路として機能する。また、ビアホール導体b30が設けられているので、図9に示すように、放射導体16とグランド導体26とは、2つに枝分かれした線路により接続されるようになる。これにより、利得を制御できるようになる。なお、ビアホール導体b30は設けられていなくてもよい。
図10は、第5の変形例に係るアンテナ10fの透視図である。アンテナ10fは、開口Oが設けられたグランド導体26'を有している点において、アンテナ10aと相違している。アンテナ10fのそれ以外の点は、アンテナ10aと同じであるので説明を省略する。
グランド導体26'は、z軸方向から平面視したときに、放射導体16と重なる部分において、導体が設けられていない開口Oを有している。これにより、放射導体16は、z軸方向(放射導体16の法線方向)から平面視したときに、グランド導体26'と重ならなくなる。これにより、グランド導体26'にて消費される電界が殆どなくなる。よって、アンテナ10fでは、アンテナ10aに比べて、放射導体16がより強い電界を放射できる。
また、アンテナ10fでは、放射導体16とグランド導体26'とは対向していないので、これらの間に発生している容量C2は、略0である。すなわち、アンテナ10fにおける容量が低減される。つまり、入力ポートから見てアンテナ10fの入力インピーダンスは、実質的にインダクタンスに見え、アンテナ10fから見て入力ポートの出力インピーダンスは、50Ωに見える。この部分のインピーダンス整合をとることにより、入力インピーダンスの反射特性が深くなり、広帯域な反射特性となる。よって、アンテナ10fにおける容量が小さくなれば、アンテナ10fの広帯域化を図ることができる。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態に係るアンテナの構造について図面を参照しながら説明する。図11は、第2の実施形態に係るアンテナ10gの透視図である。図12は、図11のアンテナ10gの分解図である。図11及び図12において、絶縁体層の積層方向をz軸方向と定義する。また、z軸方向から平面視したときのアンテナ10gの各辺に沿った方向をx軸方向及びy軸方向と定義する。x軸方向、y軸方向及びz軸方向は、互いに直交している。
アンテナ10gは、図11に示すように、本体12g、導体35、グランド導体38、端子導体40,42及びビアホール導体b11〜b15を備えている。
本体12gは、図12に示すように、複数の絶縁体層34(34a,34b)がz軸方向の正方向側からこの順に積層されることにより構成されている。絶縁体層34は、可撓性材料(例えば、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂)からなり、長方形状をなしている。以下では、絶縁体層34のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、絶縁体層34のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
グランド導体38は、図12(b)に示すように、絶縁体層34bの表面に設けられている。グランド導体38には、導体が設けられていない開口O1,O2が形成されている。
端子導体42は、図12(b)に示すように、絶縁体層34bの裏面において、x軸方向の負方向側の辺近傍に設けられており、正方形状をなしている。これにより、端子導体42は、図11に示すように、本体12gのz軸方向の負方向側の主面に露出している。また、端子導体42は、z軸方向から平面視したときに、開口O2内に収まるように設けられている。端子導体42には、図17の送信回路部502にて生成された高周波信号が印加される。
ビアホール導体b13は、図12(b)に示すように、開口O2内において絶縁体層34bをz軸方向に貫通しており、端子導体42に接続されている。これにより、ビアホール導体b13は、グランド導体38と絶縁されている。
端子導体40は、図12(b)に示すように、絶縁体層34bの裏面において、x軸方向の負方向側の辺近傍に設けられており、端子導体42を三方から囲んでいる。具体的には、端子導体40は、x軸方向の正方向側が開口したコ字型をなしている。これにより、端子導体40は、図11に示すように、本体12gのz軸方向の負方向側の主面に露出している。端子導体40には、接地電位が印加される。ビアホール導体b14,b15は、図12(b)に示すように、絶縁体層34bをz軸方向に貫通しており、端子導体40及びグランド導体38に接続されている。なお、ビアホール導体b13〜b15は、z軸方向の正方向側から平面視したときに、y軸方向に一直線に並んでいる。
導体35は、放射導体36a、接続導体36b及び線状導体36cを含んでいる。放射導体36aは、図12(a)に示すように、絶縁体層34aの表面に設けられ、長方形状をなしている。放射導体36aは、図11に示すように、z軸方向から平面視したときに、開口O1内に収まるように設けられている。すなわち、放射導体36aとグランド導体38とは対向していない。また、放射導体36aは、図12(a)に示すように、y軸方向に線幅W2を有している。
接続導体36bは、図12(a)に示すように、絶縁体層34aの表面に設けられ、放射導体36aのx軸方向の正方向側の長辺の中点から、x軸方向の正方向側に向かって延在している線状導体である。ビアホール導体b11は、絶縁体層34aをz軸方向に貫通しており、接続導体36bとグランド導体38とを接続している。
線状導体36cは、図12(a)に示すように、絶縁体層34aの表面に設けられ、放射導体36aのx軸方向の負方向側の長辺の中点から、x軸方向の負方向側に向かって延在している。線状導体36cは、線幅W2よりも狭い線幅W1を有している。線状導体36cのx軸方向の負方向側の端部は、図11に示すように、z軸方向から平面視したときに、端子導体42に重なっている。ビアホール導体b12は、絶縁体層34aをz軸方向に貫通しており、線状導体36c及びビアホール導体b13に接続されている。これにより、線状導体36cと端子導体42とは、ビアホール導体b12,b13により接続されている。
以上のように構成されたアンテナ10gも、アンテナ10aと同じ作用効果を奏することができる。
更に、アンテナ10gでは、低背化を図ることができる。より詳細には、放射導体36aとグランド導体38とが対向していない。これにより、放射導体36aとグランド導体38とのz軸方向の距離が小さくなっても、放射導体36aが放射した電界は、グランド導体38にて殆ど消費されない。よって、アンテナ10gでは、放射導体36aとグランド導体38との間に設けられる絶縁体層34は、1層分の絶縁体層34aのみで済む。その結果、アンテナ10gの低背化が図られる。
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態に係るアンテナの構造について図面を参照しながら説明する。図13は、第3の実施形態に係るアンテナ10hの透視図である。図14は、図13のアンテナ10hの分解図である。図13及び図14において、絶縁体層の積層方向をz軸方向と定義する。また、z軸方向から平面視したときのアンテナ10hの各辺に沿った方向をx軸方向及びy軸方向と定義する。x軸方向、y軸方向及びz軸方向は、互いに直交している。
アンテナ10hは、図13に示すように、本体12h、放射導体46、グランド導体48、接続導体50、線状導体52、端子導体53,54及びビアホール導体b21〜b23を備えている。
本体12hは、図14に示すように、複数の絶縁体層44(44a,44b)がz軸方向の正方向側からこの順に積層されることにより構成されている。絶縁体層44は、可撓性材料(例えば、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂)からなり、長方形状をなしている。以下では、絶縁体層44のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、絶縁体層44のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
端子導体53は、図14(a)に示すように、絶縁体層44aの表面において、x軸方向の負方向側の辺近傍に設けられており、正方形状をなしている。これにより、端子導体53は、図13に示すように、本体12hのz軸方向の正方向側の主面に露出している。端子導体53には、図17の送信回路部502にて生成された高周波信号が印加される。
端子導体54は、図14(a)に示すように、絶縁体層44aの表面において、x軸方向の負方向側の辺近傍に設けられており、端子導体53を三方から囲んでいる。具体的には、端子導体54は、x軸方向の正方向側が開口したコ字型をなしている。これにより、端子導体54は、図13に示すように、本体12hのz軸方向の正方向側の主面に露出している。端子導体54には、接地電位が印加される。ビアホール導体b22,b23は、図14(a)に示すように、絶縁体層44aをz軸方向に貫通しており、端子導体54に接続されている。
グランド導体48は、図14(b)に示すように、絶縁体層44bの表面に設けられている。グランド導体48には、導体が設けられていない開口Oが設けられている。グランド導体48は、z軸方向から平面視したときに、端子導体54と重なっている。これにより、グランド導体48と端子導体54とは、ビアホール導体b22,b23により接続されている。
線状導体52は、図14(a)に示すように、絶縁体層44aの表面に設けられており、端子導体53からx軸方向の正方向側に向かってに延在している。線状導体52のx軸方向の正方向側の端部は、図13に示すように、z軸方向から平面視したときに、開口O内に位置している。
接続導体50は、図14(a)に示すように、絶縁体層44aの表面に設けられており、x軸方向に延在する線状導体である。接続導体50のx軸方向の負方向側の端部は、図13に示すように、z軸方向から平面視したときに、開口Oに重なっている。一方、接続導体50のx軸方向の正方向側の端部は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体48と重なっている。ビアホール導体b21は、絶縁体層44aをz軸方向に貫通しており、接続導体50とグランド導体48とを接続している。
放射導体46は、図13に示すように、例えば、1枚の金属板が折り曲げられることにより作製されている。具体的には、放射導体46は、放射部46a及び脚部46b〜46gにより構成されている。放射部46aは、長方形状の金属板であり、電界を放射する。
脚部46bは、放射部46aにおけるx軸方向の負方向側の長辺の中点からx軸方向の負方向側に突出する突起を、z軸方向の負方向側に折り曲げられて形成されている。脚部46cは、放射部46aにおけるx軸方向の正方向側の長辺の中点からx軸方向の正方向側に突出する突起を、z軸方向の負方向側に折り曲げられて形成されている。脚部46dは、放射部46aのx軸方向の負方向側であってy軸方向の正方向側の角からx軸方向の負方向側に突出する突起を、z軸方向の負方向側に折り曲げられて形成されている。脚部46eは、放射部46aのx軸方向の正方向側であってy軸方向の正方向側の角からx軸方向の正方向側に突出する突起を、z軸方向の負方向側に折り曲げられて形成されている。脚部46fは、放射部46aのx軸方向の負方向側であってy軸方向の負方向側の角からx軸方向の負方向側に突出する突起を、z軸方向の負方向側に折り曲げられて形成されている。脚部46gは、放射部46aのx軸方向の正方向側であってy軸方向の負方向側の角からx軸方向の正方向側に突出する突起を、z軸方向の負方向側に折り曲げられて形成されている。
以上のような放射導体46は、図13に示すように、脚部46bが線状導体52のx軸方向の正方向側の端部に接続され、かつ、脚部46cが接続導体50のx軸方向の負方向側の端部に接続されるように、本体12hに取り付けられる。このとき、放射部46aは、z軸方向から平面視したときに、開口O内に収まっている。すなわち、放射部46aは、グランド導体48と対向していない。
以上のように構成されたアンテナ10hも、アンテナ10aと同じ作用効果を奏することができる。
また、アンテナ10hでは、放射導体46は、銅箔ではなく金属板により構成されている。これにより、アンテナ10hでは、脚部46b〜46gの長さを調整することにより、放射導体46の容量C2及びインダクタンスL2を調整することができる。
(変形例)
以下に、アンテナ10hの変形例に係るアンテナについて図面を参照しながら説明する。図15は、第1の変形例に係るアンテナ10iの透視図である。アンテナ10iは、脚部46h、接続導体56及びビアホール導体b24を更に備えている点において、アンテナ10hと相違している。アンテナ10hのそれ以外の点は、アンテナ10aと同じであるので説明を省略する。
接続導体56は、絶縁体層44aの表面に設けられており、y軸方向に延在する線状導体である。接続導体56のy軸方向の負方向側の端部は、図15に示すように、z軸方向から平面視したときに、開口Oに重なっている。一方、接続導体56のy軸方向の正方向側の端部は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体48と重なっている。ビアホール導体b24は、絶縁体層44aをz軸方向に貫通しており、接続導体56とグランド導体48とを接続している。
放射導体46は、脚部46hを更に有している。脚部46hは、放射部46aのy軸方向の正方向側の短辺の中点からy軸方向の正方向側に突出する突起を、z軸方向の負方向側に折り曲げて形成されている。そして、脚部46hは、接続導体56に対して接続されている。
以上のように、アンテナ10iでは、グランド導体48と放射導体46とは、2箇所において接続されている。これにより、放射導体46の容量C2及びインダクタンスL2を調整することができる。
図16は、第2の変形例に係るアンテナ10jの透視図である。アンテナ10jは、グランド導体48'に開口Oが設けられていない点において、アンテナ10iと相違している。アンテナ10jのそれ以外の点は、アンテナ10iと同じであるので説明を省略する。
本発明は、アンテナ及び通信システムに有用であり、特に、設計の自由度が高い点において優れている。
C1,C2 容量
L1,L2 インダクタンス
b1〜b8,b11〜b15,b21〜b24,b30 ビアホール導体
10a〜10j アンテナ
12a〜12j 本体
14a〜14c,34a,34b,44a,44b 絶縁体層
16,36a,46 放射導体
18,20,40,42,53,54 端子導体
22,22',36b,50,56 接続導体
24,24',24a,36c,52 線状導体
26,26',38,48,48' グランド導体
35 導体
46a 放射部
46b〜46h 脚部

Claims (8)

  1. 接地電位が印加されるグランド導体と、
    高周波信号が伝送される線状導体と、
    一端部が前記線状導体に、他端部が前記グランド導体にそれぞれ直接的に接続されていて、電界を放射する放射導体と、
    を備え、
    前記線状導体のインダクタンスをL1、前記放射導体のインダクタンスをL2、前記線状導体と前記グランド導体との間に形成される容量をC1、前記放射導体と前記グランド導体との間に形成される容量をC2としたとき、|L2/C2|は|L1/C1|よりも大きい、
    ことを特徴とするアンテナ。
  2. 前記線状導体及び前記放射導体は、絶縁体層を介して前記グランド導体に対向しており、
    前記放射導体と前記グランド導体との間の距離は、前記線状導体と該グランド導体との間の距離よりも大きいこと、
    を特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  3. 前記グランド導体は、前記放射導体の法線方向から平面視したときに、該放射導体と重なる部分には設けられていないこと、
    を特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  4. 前記線状導体に接続されている第1の端子と、
    前記グランド導体に接続されている第2の端子と、
    を更に備えていること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のアンテナ。
  5. 前記グランド導体と前記線状導体とは、マイクロストリップライン構造をなしていること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のアンテナ。
  6. 前記放射導体は、前記線状導体よりも広い面積を有していること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のアンテナ。
  7. 前記線状導体は、複数本で並列に接続されていること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のアンテナ。
  8. 送信回路部または受信回路部と、
    前記送信回路部または前記受信回路部に接続されるアンテナと、
    を備える通信システムにおいて、前記アンテナは、
    接地電位が印加されるグランド導体と、
    高周波信号が伝送される線状導体と、
    一端部が前記線状導体に、他端部が前記グランド導体にそれぞれ直接的に接続されていて、電界を放射する放射導体と、
    を備え、
    前記線状導体のインダクタンスをL1、前記放射導体のインダクタンスをL2、前記線状導体と前記グランド導体との間に形成される容量をC1、前記放射導体と前記グランド導体との間に形成される容量をC2としたとき、|L2/C2|は|L1/C1|よりも大きい、
    ことを特徴とする通信システム。
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