JP5423694B2 - 炭素繊維束 - Google Patents

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本発明は、チョップド繊維への加工性、チョップド繊維の取扱い性に適した集束性、および抄紙プロセスに代表される水を媒体とするプロセスに適した開繊性を有する炭素繊維束に関する。
炭素繊維をマトリックス樹脂と複合させた炭素繊維強化複合材料は、軽量性、力学特性、導電性および寸法安定性等に優れることから、自動車、航空機、電気・電子機器、光学機器、スポーツ用品、建築材料などの幅広い分野で活用されている。
炭素繊維複合材料には多くの成形方法が知られているが、成形に用いられる基材を得る方法の一つとして、炭素繊維を湿式抄紙プロセスに代表される水系プロセスで加工する方法がある。例えば、チョップド繊維を水系媒体中に分散させて紙や不織布に加工した後、各種樹脂を母材として複合材料基材とするものである。燃料電池の電極基材等が、この抄紙プロセスにより製造される。
湿式抄紙プロセスでは、チョップド繊維を水系分散媒に分散させて抄紙する。抄紙品の品質を高めるには、炭素繊維の集束性と水系分散媒中での開繊性が要求される。集束性は、カット時の繊維長の均一化や、チョップド繊維をフィードする際のプロセス性において重要である。開繊性は繊維束が単繊維レベルで分散するための特性であり、抄紙品質に直接的に影響する。炭素繊維束の集束性と開繊性が優れるほど、炭素繊維強化複合材料の力学特性や導電特性が向上する。
このような背景から、水系プロセスに用いる炭素繊維束では、通常特定の樹脂をサイジング剤として付着させ、集束性および開繊性の改善を図っている。
特許文献1では、界面活性剤を主成分とするサイジング剤を付着させた水系プロセス用炭素繊維が開示されている。また、特許文献2では、ポリオキシアルキレンと脂肪族炭化水素からなる親水性化合物をサイジング剤として付着させた抄紙用炭素繊維が開示されている。さらに、特許文献3には、HLB値9〜17の界面活性剤およびポリビニルアルコール系水溶性熱可塑樹脂からなるサイジング剤を付着させた炭素繊維が開示されている。
しかしながら、集束性と開繊性の両立は容易ではなく、特に水系分散媒中の炭素繊維濃度を上げて目付の高い抄紙を得ようとすると、繊維の開繊性が不十分であったり、再凝集したりして基材の品位が落ち、成形品の力学特性が十分に発揮できない問題があった。
ところで、ウレタン樹脂は、弾性、強靭性、接着性等に優れることから、繊維のサイジング剤にしばしば用いられる。例えば、特許文献4には、ポリエーテルポリウレタンあるいはポリエステルポリウレタン樹脂をサイジング剤として使用した炭素繊維束が開示されている。
この繊維束では、破断伸度が400%以下のポリエステル系ポリウレタン樹脂を付着させることで、熱可塑樹脂との接着性向上を図っているものの、水系プロセスで優れた性質を示すことは開示も示唆もされていない。
また、特許文献5には、芳香族ポリウレタンと非芳香族ポリウレタンの混合物をサイジング剤として用い、取り扱い性、複合材料の機械特性および導電性に優れる炭素繊維チョップドストランドが開示されている。
しかしながら、特許文献5に記載される炭素繊維チョップドストランドが水系プロセスで優れた性質を示す事は、開示も示唆もされていない。
国際公開第2006/019139号パンフレット 特開2006−219808号公報 特開2000−54269号公報 特開2007−231441号公報 特開2003−247127号公報
このように、集束性と水系分散媒での開繊性を両立した炭素繊維束が要求されている。炭素繊維強化複合材料の場合、炭素繊維の割合が多いほど力学特性や導電性に優れるため、高い炭素繊維濃度で加工できれば、より優れた基材を得ることができる。また、繊維束を製造、加工する際の取り扱い性も重要であり、ボビンへの巻取りや加工時のプロセス性は、繊維束に常に要求される特性である。
本発明の目的は、繊維束を製造、加工する際の取り扱い性が良好であり、集束性に優れ、かつ高濃度でも水系分散媒中の開繊性に優れる炭素繊維束を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、上記課題を達成することができる、次の炭素繊維束を見出した。すなわち、本発明は、炭素繊維とサイジング剤を有してなる炭素繊維束において、前記サイジング剤は、ポリオキシアルキレンユニット78〜98質量%、テレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)またはイソフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)からなる芳香族エステルユニット0.5〜11質量%、脂肪族ウレタンユニット1.5〜11質量%を含んでなるものであり、該サイジング剤が前記炭素繊維に0.5〜7質量%の割合で付着している炭素繊維束である。
本発明の炭素繊維束は、繊維束を製造、加工する際の取り扱い性に優れ、さらに繊維の集束性と水系分散媒中の開繊性を両立したものであり、炭素繊維濃度を上げた場合でも単繊維レベルの均一分散が可能であり、力学特性および導電性に優れた抄紙基材を得ることができる。
炭素繊維束のドレープ値の測定法を説明する概略図である。
本発明の炭素繊維束は、炭素繊維にポリオキシアルキレンユニット、芳香族エステルユニットおよび脂肪族ウレタンユニットからなるサイジング剤が付着されたものである。まず、これらの構成要素について説明する。
炭素繊維は、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などが使用できるが、得られる成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。これらは、市販品として入手可能である。また、サイジング剤への付着性を高め均一な皮膜を形成させるために、炭素繊維には表面処理が施されていても良い。表面処理としては、液相中での薬液酸化や電解酸化、あるいは気相酸化が挙げられるが、電解質水溶液中で炭素繊維を陽極として酸化処理する電解酸化が、簡便かつ強度低下が抑えられるために好ましい。電解処理液は特に限定されないが、硫酸、硝酸等の無機酸や、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基、あるいは硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等の無機塩が挙げられる。
炭素繊維束とは、炭素繊維の単繊維(フィラメント)が集束された形態であり、通常フィラメント数は1,000〜60,000本程度である。炭素繊維の取り扱い性および開繊性の観点から、3,000〜40,000本が好ましい。より好ましくは6,000〜24,000である。
炭素繊維束を構成する炭素繊維(フィラメント)の直径は、3〜15μmが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。
また、本発明の炭素繊維束には、発明の目的を損なわない範囲で少量の他の繊維種が含まれていても良い。他の繊維種としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維などの高強度高弾性率繊維が挙げられ、これらを1種以上含有してもよい。
本発明のサイジング剤は、脂肪族ジイソシアネートに、ポリアルキレングリコールおよび芳香族エステルを含有するポリオールを縮合して得ることができる。ここで、芳香族エステルを含有するポリオールとは、グリコール成分と芳香族ジカルボン酸成分を脱水縮合して得られるものである。脂肪族ジイソシアネートと、ポリアルキレングリコールおよび芳香族エステルを含有するポリオールが縮合することで、脂肪族ジイソシアネートは脂肪族ウレタンユニットを、ポリアルキレングリコールはポリオキシアルキレンユニットを、芳香族エステルを有するポリオールは芳香族エステルユニットを構成する。
イソシアネートとアルコールの縮合は重付加(付加重合)反応であり、低分子の生成・分離を伴わないため、本発明のサイジング剤を構成するポリオキシアルキレンユニット、芳香族エステルユニットおよび脂肪族ウレタンユニットの質量比には、それぞれのユニットを構成する原料の質量比が反映される。すなわち、本発明における各ユニットの質量%は、上記3種の原料の合計質量に対する、各原料の質量%である。
本発明のサイジング剤を得る際に使用できるポリアルキレングリコールは、水系分散媒中で炭素繊維束が高い開繊性を示すために、親水性である必要があり、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PEG/PPGブロック重合体、PEG/PPGランダム重合体等が挙げられる。なかでも、ポリエチレングリコールが好ましい。
また、サイジング剤の取り扱い性、集束性および開繊性を損なわない範囲で、水を除く他のヒドロキシル基を有する化合物を含有することができる。このような化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、カテコール、ビスフェノールA等が挙げられる。
なお、上述のとおり、本発明において、サイジング剤に用いるポリウレタン樹脂を構成するポリオキシアルキレンユニットは、ポリエチレングリコールから構成されることが好ましいが、ここで説明される「ポリエチレングリコールからなる」とは、ポリエチレングリコールが全アルキレングリコール成分の90質量%以上であることを意味する。
炭素繊維束の取り扱い性、集束性および水系分散媒での開繊性のバランスの観点から、ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は、6,000を越えて21,000以下が好ましい。ポリアルキレングリコール成分は分子量により親水性や皮膜の柔軟性が変化する。分子量が適切な範囲にあることで、高い開繊性を示しつつ、より集束性や取り扱い性に優れたサイジング剤を得る事ができる。
なお、ポリアルキレングリコール成分は、異なる重量平均分子量を持つ複数種を混ぜ合わせて使用することもできる。その場合のポリアルキレングリコールの重量平均分子量は、以下の式で求めることができる。
Figure 0005423694
ここで、Mwは重量平均分子量を表し、Wはポリアルキレングリコール成分の質量%を表す。
芳香族エステルを含有するポリオールは、グリコールと芳香族カルボン酸の脱水縮合により得ることができる。脱水縮合に使用できるグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェン酸、ウビド酸、2−メチルテレフタル酸、4−メチルフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
集束性と開繊性のバランスに優れたサイジング剤を得られることから、グリコール成分としてはエチレングリコールが好ましく、芳香族ジカルボン酸成分としてはテレフタル酸あるいはイソフタル酸が好ましい。従って、芳香族エステルを含有するポリオールとしては、これらの縮合体であるテレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)あるいはイソフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)が好ましい。
また、サイジング剤の取り扱い性、集束性および開繊性を損なわない範囲で、他のグリコール、芳香族カルボン酸およびその脱水縮合体を含有することができる。このような化合物としては、たとえば芳香族エステルを含有するポリオールを得るために使用できる上記グリコールおよび芳香族カルボン酸成分が挙げられる。
なお、上述のとおり、本発明を構成する芳香族エステルユニットは、テレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)あるいはイソフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)から構成されることが重要であるが、ここで説明される「テレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)あるいはイソフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)からなる」とは、当該芳香族エステル成分が全芳香族エステル成分の90質量%以上であることを意味し、縮合により脂肪族ウレタンユニットを構成する。
本発明における脂肪族ジイソシアネートは、直鎖または分岐アルキル、またはシクロアルキルを主骨格とするジイソシアネートを意味する。脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。皮膜の柔軟性と強靭性の観点から、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
このように、本発明を構成する脂肪族ウレタンユニットは、イソホロンジイソシアネートから構成されることが好ましいが、ここで説明される「イソホロンジイソシアネートからなる」とは、イソホロンジイソシアネートが全脂肪族ジイソシアネート成分の90質量%以上であることを意味する。
炭素繊維束の集束性と開繊性の両立には、ポリオキシアルキレンユニット、芳香族エステルユニットおよび脂肪族ウレタンユニットの構成比が重要である。ポリオキシアルキレンユニットは、サイジング剤に親水性を付与し、炭素繊維束の水系分散媒への開繊性を向上させる。ポリオキシアルキレンユニットは、各ユニットの合計質量に対し、78〜98質量%含まれる必要がある。この下限値未満の場合、サイジング剤の親水性が不足するため、サイジング剤の分散液自体が製造できなかったり、水系分散媒中で十分な開繊性を示さなかったりする。また、この上限値を越える場合は、取り扱い性や集束性が不足する。好ましくは83〜97質量%であり、より好ましくは88〜92質量%である。
芳香族エステルユニットは、炭素繊維束の耐熱性および集束性を向上させる。芳香族エステルユニットは、各ユニットの合計質量に対し、0.5〜11質量%含む必要がある。この下限値未満であると、炭素繊維束の耐熱性が低下して工程通過性に影響を生じたり、集束性が低下したりする。また、この上限値を超えるとサイジング剤の親水性が不足するために、十分な開繊性を示さない。好ましくは2.5〜9質量%であり、より好ましくは3〜6質量%である。
脂肪族ウレタンユニットは、炭素繊維表面に形成される皮膜を強靭なものとし、取り扱い性および集束性を向上させる。脂肪族ウレタンユニットは、各ユニットの合計質量に対し、1.5〜11質量%含む必要がある。この下限値未満であると、サイジング剤の柔軟性および強靭性が失われて皮膜が脆くなり、取り扱い性および集束性が低下する。この上限値を超えると、サイジング剤の親水性が不足するために、十分な開繊性を示さない。好ましくは4.5〜8.5質量%であり、より好ましくは4.5〜6.5質量%である。
このように、炭素繊維束が良好な取り扱い性、集束性および開繊性を示すためには、ポリオキシアルキレンユニット、芳香族エステルユニットおよび脂肪族ウレタンユニットが、特定の割合で含まれることが重要である。これらのユニットの構成比については、原料の重量比以外にも、例えばIRスペクトルの吸収波長と強度から測定することができる。例えば、ポリオキシアルキレンユニットは1070〜1150cm−1(C−O−C伸縮)に、芳香族エステルユニットは1717〜1750cm−1(エステルC=O伸縮)に、脂肪族ウレタンユニットは1690〜1720cm−1(ウレタンC=O伸縮)に特徴的な吸収を示すため、これらの吸収率等からポリオキシアルキレンユニット、芳香族エステルユニットおよび脂肪族ウレタンユニットの構成割合を知ることができる。
本発明のサイジング剤に用いるポリウレタン樹脂の構成成分には、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の他のユニットを含んでいてもよい。他のユニットとしては、例えば低分子量アルキレングリコール、シクロヘキサンジオール、ヘキサメチレンジアミン等のポリアミン等が挙げられる。
本発明におけるサイジング剤は、例えば、以下の方法で製造することができる。すなわち、ジカルボン酸とアルキレングリコールを、減圧下で加熱して脱水縮合させて芳香族エステルを含有するポリオールを生成させ、これにポリアルキレングリコールを加えて適当な温度まで冷却した後、ジイソシアネートを加えて重付加(付加重合)反応を進めることで得ることができる。
本発明において、サイジング剤の炭素繊維への付着量は、集束性と開繊性のバランスの観点から、炭素繊維束100質量%に対し、に0.5〜7質量%の範囲であることが重要である。。付着量がこの下限値未満であると、皮膜形成が不十分となり、炭素繊維束の集束性および開繊性が不足する。また、この上限値を超えると、繊維束が硬く取扱い性が不十分となるし、コスト面でも不利となる。好ましくは1〜5質量%であり、より好ましくは1.2〜3質量%である。
本発明のサイジング剤には、本発明の目的を損なわない範囲で、消泡剤、乳化剤、防腐剤、スライム防止剤、架橋剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、エポキシ樹脂、アクリル樹脂や種々の熱可塑性樹脂などの成分を含有してもよい。また、公知のサイジング剤を添加することもできる。
炭素繊維のサイジング処理は、通常サイジング剤の水系媒体に対する溶液または分散液(サイジング液)に連続炭素繊維束を浸漬したり、サイジング液を炭素繊維に滴下、散布あるいは噴霧した後、分散媒を乾燥・除去することで行う。
本発明の炭素繊維束を抄紙プロセスに用いる場合には、前記サイジング剤が付着した連続繊維であるロービングを、ギロチンカッターなどの公知の切断機でカットしたチョップド繊維とする。このチョップド繊維の長さは特に限定されないが、1〜20mm程度にカットすることが好ましい。カット長をこの範囲にすることで、抄紙のプロセス性と、力学特性および導電特性のバランスに優れた基材を得ることができる。
本発明の炭素繊維束は、ロービングのボビンへの巻取りを容易とし、かつカット時の毛羽発生を抑制する観点から、トレープ値(束硬さ)が5〜20cmであることが好ましい。ドレープ値がこの範囲にあることで、ロービングのボビンへの巻取りが容易になる。また、カット時の毛羽の発生、カッターへの巻きつき、およびカット面がずれる事によるミスカットの誘発を防止できる。
また、本発明において用いるサイジング剤は、水系分散媒中の炭素繊維を高濃度にした場合でも開繊性が維持され、かついったん分散した単繊維の再凝集を防ぐことができる。優れた開繊性は、サイジング剤が水系分散媒に高い親和性を示すと同時に、炭素繊維への親和性にも優れているため優れた開繊性が発現したと考えられる。すなわち、親水性であるポリオキシアルキレンユニットと、疎水性である芳香族エステルユニットおよび脂肪族ウレタンユニットが適切な割合でポリウレタン樹脂を構成することで、ポリオキシアルキレンユニットの親水性と、芳香族エステルおよび脂肪族ウレタンユニットの炭素繊維への親和性のバランスが良好に制御され、優れた開繊性が発現したと考えられる。
本発明のサイジング剤が付着した炭素繊維束は、集束性および水系分散媒中での開繊性に優れているため、抄紙工程により単繊維レベルで均一に分散した炭素繊維シートを得ることができる。本炭素繊維シートは、電極材、面状発熱体、静電気除去シート等に好適に利用することができる。また、公知の樹脂を母材として、力学特性および導電特性に優れた炭素繊維複合材料を作ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではない。
本発明の説明で用いられた炭素繊維の諸特性の測定手法は、以下のとおりである。
(1)サイジング剤の付着量
サイジング剤が付着している炭素繊維を約5g採取し、耐熱製の容器に投入した。次にこの容器を120℃で3時間乾燥し、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却後、秤量した炭素繊維の重量をW(g)とし、続いて容器ごと、窒素雰囲気中、450℃で15分間加熱後、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却し、秤量した炭素繊維の重量をW(g)とした。以上の処理を経て、炭素繊維へのサイジング剤の付着量を次式により求めた。
付着量(重量%)=100×{(W−W)/W}。
(2)集束性評価
炭素繊維束をカットし、チョップド繊維約70g[秤量値M(g)]を採取し、500mlメスシリンダーに投入し、次に、このメスシリンダーを、厚さ4mmのゴムシートの上で、高さ2.54cmから60回タッピング処理した後に、メスシリンダー内のチョップド繊維の容量V(mL)を読み取った。この処理を経て、充填嵩密度を次式により求めた。
D:充填嵩密度 D=M/V
測定回数は3回とし、充填嵩密度を測定回数で除した平均嵩密度をA〜Dの4段階で評価した。A〜Cが合格、Dが不合格である。
A:平均嵩密度が0.35以上である。
B:平均嵩密度が0.25以上、0.35未満である。
C:平均嵩密度が0.2以上、0.25未満である。
D:平均嵩密度が0.2未満である。
(3)開繊性評価
(A)開繊性評価(通常)
6mm長にカットしたチョップド繊維0.05gを水300mLに投入し、20秒間ゆっくりと撹拌した後、20秒間静置する。炭素繊維の分散状態を目視で観察し、開繊性をA〜Dの4段階で評価した。A〜Bが合格、C〜Dが不合格である。
A:未開繊束数が2個未満である。
B:未開繊束数が2個以上5個未満である。
C:未開繊束数が5個以上10個未満である。
D:未開繊束数が10個以上である。
(B)開繊評価(高濃度)
6mm長にカットしたチョップド繊維2gを、水1000mLの入った直径150mmの容器に投入し、60秒間ゆっくり撹拌した後、60秒間静置する。水をろ別して除き、得られたシート状の炭素繊維から2cm×2cmの小片を3つ切り出し、顕微鏡観察により未開繊束数を測定した。観察は小片の表裏両面について行い、未開繊束数の合計から、開繊性をA〜Dの4段階で評価した。A〜Cが合格、Dが不合格である。
A:未開繊束数が5個未満である。
B:未開繊束数が6個以上9個未満である。
C:未開繊束数が10個以上19個未満である。
D:未開繊束数が20個以上である。
(4)ドレープ値の測定
23±5℃の雰囲気下、直方体の台の端に、30cmに切断した炭素繊維束を固定し、この時、炭素繊維束は台の端から25cm突き出るように固定した。すなわち、図1に示すように、炭素繊維束の端から5cmの部分が、台の端に来るようにした。この状態で30分間静置した後、台に固定していない方の炭素繊維の先端と、台の側面との最短距離を測定し、ドレープ値とした。測定本数はn=5とし、平均値を採用した。
参考例1 サイジング剤水溶液(a−1)の調製
エチレングリコール2モルとテレフタル酸1モルを180℃で加熱撹拌し、酸価が1以下になるまで脱水縮合し、テレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)(BHET)を得た。
ポリエチレングリコール(PEG)(平均分子量6200)95.2重量部、BHET 0.98重量部を120℃に加熱し、イソホロンジイソシアネート(IPDI)3.84重量部を加えて撹拌し、アルキレングリコール/芳香族エステル/脂肪族ウレタン重付加体を得た。
得られた重付加体を水で濃度10%に薄めて、サイジング剤水溶液(a−1)を得た。
参考例2 サイジング剤水溶液(a−2)の調製
PEG(重量平均分子量6200)92.5重量部、BHET 2.53重量部、IPDI 4.97重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−2)を得た。
参考例3 サイジング剤水溶液(a−3)の調製
PEG(重量平均分子量6200)87.6重量部、BHET 5.39重量部、IPDI 7.06重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−3)を得た。
参考例4 サイジング剤水溶液(a−4)の調製
PEG(重量平均分子量6200)83.1重量部、BHET 7.95重量部、IPDI 8.94重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−4)を得た。
参考例5 サイジング剤水溶液(a−5)の調製
PEG(重量平均分子量7000)95.7重量部、BHET 0.87重量部、IPDI 3.42重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−5)を得た。
参考例6 サイジング剤水溶液(a−6)の調製
PEG(重量平均分子量7000)88.8重量部、BHET 4.84重量部、IPDI 6.35重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−6)を得た。
参考例7 サイジング剤水溶液(a−7)の調製
PEG(重量平均分子量10000)97.0重量部、BHET 0.62重量部、IPDI 2.42重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−7)を得た。
参考例8 サイジング剤水溶液(a−8)の調製
PEG(重量平均分子量10000)91.9重量部、BHET 3.50重量部、IPDI 4.60重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−8)を得た。
参考例9 サイジング剤水溶液(a−9)の調製
PEG(重量平均分子量10000)88.8重量部、BHET 5.27重量部、IPDI 5.92重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−9)を得た。
参考例10 サイジング剤水溶液(a−10)の調製
PEG(重量平均分子量10000)83.2重量部、BHET 8.46重量部、IPDI 8.32重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−10)を得た。
参考例11 サイジング剤水溶液(a−11)の調製
PEG(重量平均分子量20000)95.8重量部、BHET 1.83重量部、IPDI 2.40重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−11)を得た。
参考例12 サイジング剤水溶液(a−12)の調製
PEG(重量平均分子量20000)90.8重量部、BHET 4.62重量部、IPDI 4.54重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−12)を得た。
参考例13 サイジング剤水溶液(a−13)の調製
PEG(重量平均分子量2000)86.4重量部、BHET 2.75重量部、IPDI 10.81重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−13)を得た。
参考例14 サイジング剤水溶液(a−14)の調製
PEG(重量平均分子量4000)92.7重量部とIPDI 1.47重量部を用い、IPDI 5.80重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−14)を得た。
参考例15 サイジング剤水溶液(a−15)の調製
PEG(重量平均分子量4000)88.8重量部、BHET 3.76重量部、IPDI 7.40重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−15)を得た。
参考例16 サイジング剤水溶液(a−16)の調製
PEG(重量平均分子量25750)92.7重量部、BHET 3.66重量部、IPDI 3.60重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−16)を得た。
参考例17 サイジング剤水溶液(a−17)の調製
PEG(重量平均分子量25750)85.7重量部、BHET 7.62重量部、IPDI 6.66重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−17)を得た。
参考例18 サイジング剤水溶液(a−18)の調製
PEG(重量平均分子量31500)94.0重量部、BHET 3.03重量部、IPDI 2.98重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−18)を得た。
参考例19 サイジング剤水溶液(a−19)の調製
PEG(重量平均分子量31500)88.0重量部、BHET 6.39重量部、IPDI 5.59重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−19)を得た。
参考例20 サイジング剤水溶液(a−20)の調製
IPDIの代わりに、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)3.81重量部を用い、PEG(重量平均分子量6200)93.6重量部、BHET 2.56重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−20)を得た。
参考例21 サイジング剤水溶液(a−21)の調製
PEG(重量平均分子量7000)90.2重量部、BHET 4.91重量部、HDI 4.87重量部を用いた以外は、参考例20と同様にしてサイジング剤水溶液(a−21)を得た。
参考例22 サイジング剤水溶液(a−22)の調製
PEG(平均分子10000)90.1重量部、BHET 5.35重量部、HDI 4.54重量部を用いた以外は、参考例20と同様にしてサイジング剤水溶液(a−22)を得た。
参考例23 サイジング剤水溶液(a−23)の調製
PEGの代わりにポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量10000)88.8重量部を用い、BHET 5.27重量部、IPDI 5.92重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−23)を得た。
参考例24 サイジング剤水溶液(a−24)の調製
エチレングリコール2モルとイソフタル酸1モルを180℃で加熱撹拌し、酸価が1以下になるまで脱水縮合し、イソフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)(mBHET)を得た。
ポリエチレングリコール(PEG)(重量平均分子量10000)88.8重量部、mBHET 5.27重量部を120℃に加熱し、イソホロンジイソシアネート(IPDI)5.92重量部を加えて撹拌し、アルキレングリコール/芳香族エステル/脂肪族ウレタン重付加体を得た。
得られた重付加体を水で濃度10%に薄めて、サイジング剤水溶液(a−24)を得た。
参考例25 サイジング剤水溶液(a−25)の調製
PEG(重量平均分子量6200)96.9重量部とIPDI 3.13重量部を用い、BHETを使用せずに、参考例1と同様の条件で重付加してサイジング剤水溶液(a−25)を得た。
参考例26 サイジング剤水溶液(a−26)の調製
PEG(重量平均分子量10000)97.6重量部、BHET 0.28重量部、IPDI 2.17重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−26)を得た。
参考例27 サイジング剤水溶液(a−27)の調製
PEG(重量平均分子量20000)98.5重量部、BHET 0.31重量部、IPDI 1.23重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−27)を得た。
参考例28 サイジング剤水溶液(a−28)の調製
PEG(重量平均分子量7000)77.6重量部、BHET 11.28重量部、IPDI 11.09重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液(a−28)を得た。
参考例29 サイジング剤水溶液(a−29)の調整
特許文献1(国際公開第2006/019139号パンフレット)の参考例1に従い、下記化学式(I)で表される数平均分子量600、HLB11.3のポリオキシエチレンオレイルエーテル80重量部と、下記化学式(II)で表される数平均分子量1300、HLB17のポリオキシエチレンアルキルエーテル20重量部とを混合した界面活性剤(A)を、濃度20重量%水溶液に調製し、サイジング剤水溶液(a−29)を得た。
1835O−(CHCHO)−H (I)
1225O−(CHCHO)25−H (II)。
実施例1
参考例1のサイジング剤水溶液(a−1)を濃度3.5%に調整した水溶液に炭素繊維連続束(東レ(株)製T700S−12K)を浸漬してサイジング剤を付着させ、熱風乾燥機により170℃で2分間乾燥した。得られたサイジング剤を付着した炭素繊維束を6mm長にカットし、チョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例2
サイジング剤水溶液として、参考例2のサイジング剤(a−2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例3
サイジング剤水溶液として、参考例3のサイジング剤(a−3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例4
サイジング剤水溶液として、参考例4のサイジング剤(a−4)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例5
サイジング剤水溶液として、参考例5のサイジング剤(a−5)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例6
サイジング剤水溶液として、参考例6のサイジング剤(a−6)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例7
サイジング剤水溶液として、参考例7のサイジング剤(a−7)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例8
サイジング剤水溶液として、参考例8のサイジング剤(a−8)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例9
サイジング剤水溶液として、参考例9のサイジング剤(a−9)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例10
サイジング剤水溶液として、参考例10のサイジング剤(a−10)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例11
サイジング剤水溶液として、参考例11のサイジング剤(a−11)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例12
サイジング剤水溶液として、参考例12のサイジング剤(a−12)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例13
サイジング剤水溶液として、参考例13のサイジング剤(a−13)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例14
サイジング剤水溶液として、参考例14のサイジング剤(a−14)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例15
サイジング剤水溶液として、参考例15のサイジング剤(a−15)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例16
サイジング剤水溶液として、参考例16のサイジング剤(a−16)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例17
サイジング剤水溶液として、参考例17のサイジング剤(a−17)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例18
サイジング剤水溶液として、参考例18のサイジング剤(a−18)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例19
サイジング剤水溶液として、参考例19のサイジング剤(a−19)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例20
参考例9のサイジング剤水溶液(a−9)を濃度2.0%に調整した以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。サイジング剤の付着量は、1.6質量%であった。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例21
参考例9のサイジング剤水溶液(a−9)を濃度1.2%に調整した以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。サイジング剤の付着量は、0.7質量%であった。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例22
サイジング剤水溶液として、参考例20のサイジング剤(a−20)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例23
サイジング剤水溶液として、参考例21のサイジング剤(a−21)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例24
サイジング剤水溶液として、参考例22のサイジング剤(a−22)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例25
サイジング剤水溶液として、参考例23のサイジング剤(a−23)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
実施例26
サイジング剤水溶液として、参考例24のサイジング剤(a−24)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表1に示した。
比較例1
サイジング剤水溶液として、参考例25のサイジング剤(a−25)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表2に示した。BHETが存在しないことで、炭素繊維束の嵩密度が不足した。
比較例2
サイジング剤水溶液として、参考例26のサイジング剤(a−26)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表2に示した。芳香族エステルユニットの量が不足することで、嵩密度が不足した。
比較例3
サイジング剤水溶液として、参考例27のサイジング剤(a−27)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表2に示した。芳香族エステルユニットおよび脂肪族ウレタンユニットの量が不足することで、嵩密度が不足した。
比較例4
サイジング剤水溶液として、参考例28のサイジング剤(a−28)を用いた以外は、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表2に示した。芳香族エステルユニットおよび脂肪族ウレタンユニットの量が多すぎることで、開繊性が低下した。
比較例5
参考例29のサイジング剤水溶液(a−29)を濃度3.5%に調整した水溶液に炭素繊維連続束(東レ(株)製T700S)を浸漬してサイジング剤を付着させ、熱風乾燥機により200℃で2分間乾燥した。得られたサイジング剤付着炭素繊維束を6mm長にカットし、チョップド繊維を得た。この時、得られたチョップド繊維に付着しているサイジング剤の付着量は2.2質量%であった。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表2に示した。得られた炭素繊維束の開繊性は劣っており、特に高濃度での開繊不足が顕著であった。
比較例6
特許文献4(特開2007−231441号公報)の実施例1に従い、サイジング剤にハイドランAP−40(DIC社製、22.5%懸濁液)を用い、実施例1と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表2に示した。得られた炭素繊維束は、ほとんど開繊性を示さなかった。
比較例7
特許文献4(特開2007−231441号公報)の実施例2に従い、サイジング剤にハイドランAP−30F(DIC社製、20%懸濁液)を用いた以外は、比較例6と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表2に示した。得られた炭素繊維束は、ほとんど開繊性を示さなかった。
比較例8
特許文献4(特開2007−231441号公報)の実施例3に従い、サイジング剤にハイドランAP−20(DIC社製、29.5%懸濁液)を用いた以外は、比較例6と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表2に示した。得られた炭素繊維束は、ほとんど開繊性を示さなかった。
比較例9
特許文献4(特開2007−231441号公報)の実施例4に従い、サイジング剤にハイドランHW−140SF(DIC社製、25%懸濁液)を用いた以外は、比較例6と同様にしてチョップド繊維を得た。得られた炭素繊維束の特性評価はまとめて表2に示した。得られた炭素繊維束は、ほとんど開繊性を示さなかった。
比較例10
PEG(重量平均分子量6200)75.5重量部、BHET 12.4重量部、IPDI 12.2重量部を用いた以外は、参考例1と同様にしてサイジング剤水溶液を調製した。しかし、サイジング剤が水に溶解せず、サイジング剤が相分離し、水溶液が調製できなかった。
Figure 0005423694
Figure 0005423694
表1の実施例および表2の比較例より、以下のことが明らかである。
すなわち、実施例に示される、ポリアルキレンオキシユニット、芳香族エステルユニットおよび脂肪族ウレタンユニットが適切に配合されたサイジング剤では、炭素繊維束の嵩密度と開繊性が両立しており、特に炭素繊維束の濃度を上げた場合でも、良好な開繊性を示す。また、ドレープ値も適切な範囲に制御できているため、ボビンへの巻取りが容易で毛羽の少ない、取り扱い性に優れた炭素繊維束が得られていると言える。
1 炭素繊維束
2 直方体の台
3 ドレープ値

Claims (7)

  1. 炭素繊維とサイジング剤を有してなる炭素繊維束において、前記サイジング剤は、ポリオキシアルキレンユニット78〜98質量%、テレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)またはイソフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)からなる芳香族エステルユニット0.5〜11質量%、脂肪族ウレタンユニット1.5〜11質量%を含んでなるものであり、該サイジング剤が前記炭素繊維に0.5〜7質量%の割合で付着している炭素繊維束。
  2. 前記脂肪族ウレタンユニットがイソホロンジイソシアネートからなる、請求項1に記載の炭素繊維束。
  3. ドレープ値が5〜20cmである、請求項1または2に記載の炭素繊維束。
  4. 前記ポリオキシアルキレンユニットは、重量平均分子量が6,000を超えて21,000以下のポリエチレンオキシドである、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維束。
  5. 前記ポリオキシアルキレンユニットがポリエチレングリコールからなる、請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維束。
  6. 前記炭素繊維束が1,000〜60,000本の単繊維からなる、請求項1〜のいずれかに記載の炭素繊維束。
  7. 前記炭素繊維束が繊維長1〜20mmのチョップド繊維である、請求項1〜のいずれかに記載の炭素繊維束。
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