JP5422584B2 - インペラの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、遠心圧縮機、その他の回転機械に用いられるインペラ(回転翼)の製造方法に関する。
例えば遠心圧縮機のインペラ10は、図5に示すように、図示しない遠心圧縮機の回転主軸に内周側に設けられる軸孔16を介して固着され、片面が先薄に湾曲するディスク11と、ディスク11の湾曲面と対峙する形状のカバー12と、ディスク11とカバー12の湾曲面間を渦形に仕切るように設けられる多数のブレード13とにより構成されている。
このインペラ10は、ディスク11と、カバー12と、ブレード13とを、個別に製作し相互に接合し組付ける3ピース型と呼ばれるもの、カバー12とブレード13(または、ディスク11とブレード13)とを一体に作製し、これとは個別に作製されたディスク11(または、カバー12)とを接合する2ピース型と呼ばれるものがある。3ピース型及び2ピース型のいずれのインペラ10も、接合は溶接又はろう付けにより行われる。接合を溶接又はろう付けのいずれかで行うかは、インペラ10のサイズ、強度等によって定められる。なお、図4に示すインペラ10は、2ピース型を示しており、ディスク11と、ブレード13と一体に作製されたカバー12とが、ろう付け部14により接合されている例を示している。
ろう付けによる接合は、接合すべき部材間(例えば、ディスク11とブレード13の間)に、例えばAu−Ni合金からなるろう材を介在させた状態で、ろう材の溶融温度以上のろう付け温度まで昇温し、定められた時間の保持を経て冷却する、という熱サイクルを有している。
ろう付けによる接合には以下の利点がある。
ろう付け温度とインペラ10を構成する材料(析出硬化型ステンレス鋼)の固溶化熱処理の温度を同温度域とすることができるので、ろう付けのための熱処理と固溶化熱処理とを兼ねることができる。
また、溶接により作製されるインペラ10に比較し、変形が少なく、アンバランスも少ない。
さらに、真空下でろう付け処理がなされるため、処理後のインペラ10の表面は清浄化され、後に酸化皮膜を除去する工程を削減できるとともに、要求される寸法精度を確保しやすい。
このような利点を有するろう付けによるインペラの製造方法が、特許文献1に開示されている。
ろう材の液相よりもわずかに低い温度で焼入れ処理を始めていたが、これではろう付け接合部の強度が不十分であり、その結果、ろう付け接合部にクラックが入ることがある、というそれまでのろう付け方法の問題を解消することを、特許文献1は目的としている。
特許文献1は、その図1に代表例が示されるろう付け熱サイクルを提案している。当該図1において、ろう材の液相または液相線温度、約華氏1850度(1010℃)まで約6時間かけてろう付けされる組付け体を加熱し、その温度で約1時間保持する。この昇温の過程の華氏1200度(650℃)の温度で約1時間の保持を行っている。さらに、ろう付け組付け体を約2時間かけて約華氏1300度(704.4℃)まで冷却し、その後、組付け体を約華氏350度(176.7℃)の温度まで1時間かけて下げてガス焼入れする。この熱サイクルにより、回転翼組付け体は熱誘導歪みを示さず、ろう付け接合部すべてが堅固であり、クラックが生じなかったことを、特許文献1は述べている。なお、特許文献1は、インペラの各部材を構成するステンレス鋼としてJIS SUS630を、また、ろう材として80%〜85%の金(Au)と15%〜20%のニッケル(Ni)とを含有する合金(以下、Ni−Au合金と略記することがある)を推奨している。本願明細書において、%は質量を意味する。
特表2003−531731号公報
以上のように、特許文献1によると、クラックを生じさせることなくインペラをろう付け法により作製できるとされている。
ところが、特許文献1の熱サイクルによるろう付けを行った場合に、ろう材を介して接合されているはずのディスク11とブレード13の間に熱処理中の発生温度差によりギャップが生じる可能性があることが判明した。このギャップが生じている部分はろう材を介した接合がなされていない(ろう付け不良)ことになるので、ギャップの発生が顕著なインペラは不良品として扱われるか、改めてろう付けが行われる。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、ろう付け不良を低減できる、インペラの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らはろう付け不良の原因を究明するために、いくつかの方向から検討を行った。そうしたところ、ろう付け熱サイクルの過程において、インペラに温度分布が生じていることが確認された。インペラ内に温度分布が生じると、それに応じて生じた熱変形量の差異によって接合界面の間隔が拡張されることがある。熱サイクルで溶融したろう材は毛細管現象により当該間隙に保持されるが、この間隙が拡がりすぎると、保持がかなわなくなったろう材が外部に漏れ出てしまう。
そこで本発明者らは、当該間隙の拡張を抑えることに着目してさらに検討を加えた。インペラの温度分布は、主にインペラの内周側と外周側とで生じていることがわかった。具体的には、インペラの内周側の温度が、外周側の温度よりも低くなっている。これは、通常、インペラをろう付けする加熱炉には加熱炉の内側壁にのみヒータが備えられているため、ヒータから遠いインペラの内周側はヒータから近い外周側に比べて温度が上昇しにくいためである。そこで、本発明者は、インペラ(組付け体)の内周側の温度上昇を補完するべく以下の通りの本発明を着想した。
本発明は、少なくとも2つのインペラ構成部材の接合部分にろう材を配置した組付け体に、保持温度まで温度を上げる昇温過程Iと、ろう材の溶融温度以上の温度域の保持温度で保持を行う保持過程IIと、保持温度から室温まで温度を下げる降温過程IIIとを備える熱サイクルを施して接合するインペラの製造方法に関するものであり、組付け体の内周側から組付け体を加熱する第1加熱体を配置した状態で熱サイクルを施すことに特徴を有している。
組付け体の内周側から組付け体を加熱する第1加熱体を配置することで、組付け体の内周側と外周側の温度分布が低減され、接合界面の間隙の拡張を抑えることができる。したがって本発明によると、ろう付けを良好に行うことが可能となる。
本発明の第1加熱体は、組付け体を鉛直方向の下方から支持する第2加熱体と一体的に設けられていることが好ましい。
組付け体の内周側に加えて、熱サイクルの過程でヒータからの熱を受けにくい組付け体の下面側へ積極的に熱を供給するための第2加熱体を用いることが好ましいが、この第2加熱体と第1加熱体とを一体的に構成することにより、組付け体に対して第1加熱体及び第2加熱体を配置する作業が容易になる。
組付け体に対して第1加熱体の高さが低ければ、第1加熱体から組付け体に与えられる熱量が少ないために、温度分布低減の効果が十分に得られなくなるおそれがある。一方、組付け体に対して第1加熱体の高さが高すぎても、温度分布低減の効果をそれ以上得ることができない。そこで、本発明の第1加熱体は、0.5h≦h≦20hを満足することが好ましい。但し、hは第1加熱体の高さ、hは組付け体の高さとする。
本発明によれば、インペラの構成部材からなる組付け体にろう付け熱サイクルを施す際にに、組付け体を内周側から加熱する加熱体を配置しておくことで、構成部材の熱変形によりろう付け界面の間隔が拡がるのを抑え、ろう材不良を抑制する。
本実施の形態におけるインペラの製造工程を示すフローチャートである。 加熱炉内に収容された組付け体と加熱治具を示す断面図である。 本実施の形態におけるろう付け(固溶化熱処理)時の熱サイクルの1パターンを示す図である。 ろう付け(固溶化熱処理)時の第1加熱部の高さおよび熱サイクルを変動させて得た試料のろう付け状況の観察結果を表す表である。 遠心圧縮機のインペラの一例を示し、(a)は平面図、(b)はインペラのブレード沿いの半断面図である。
以下、実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。なお、以下説明する一連の工程を図1に示しているので、参照願いたい。
本実施の形態は、図5に示す2ピース型のインペラを例にして説明する。ただし、ブレード13をディスク11と一体に形成される2ピース型のインペラ、あるいは3ピース型のインペラを製造する場合にも本発明を適用できることは言うまでもない。
<カバー用、ディスク用の素材>
ディスク11用、カバー12用の素材が各々用意される。この素材は、棒状の鋼材として提供される。この素材は、基本的にはSUS630で規定される以下の化学組成(質量%)を有している。SUS630は、固溶化熱処理によりCuを基地中に固溶させ、その後の時効硬化熱処理により微細なCu−Ni金属間化合物を析出させることにより鋼の強度を向上させる析出硬化型のステンレス鋼である。なお、以下の元素以外に、SUS630の特性を向上させ得る元素を含んでいてもよい。
<SUS630 化学組成(参考値)>
Cr;15.5%〜17.5%(好ましくは15.5%〜17.0%)
Ni;3.0%〜5.0%(好ましくは3.5%〜4.5%)
Cu;3.0%〜5.0%(好ましくは3.0%〜4.0%)
Nb+Ta;0.15%〜0.40%(好ましくは0.3%〜0.40%)
C;0.07%以下
Si;1.0%以下
Mn;1.0%以下
P;0.004%以下
S;0.03%以下
残部;Feおよび不可避不純物
<鍛造−切削>
ディスク11用、カバー12用の素材は、各々鍛造、切削により、ディスク11、カバー12の形状に加工される。ディスク11の径方向の中心には、軸孔16が形成される。例えば遠心圧縮機の回転主軸がこの軸孔16に嵌合される。カバー12はブレード13を一体的に備えているものであるから、ブレード13を形成するために切削加工が施される。
<組付け>
各々作製されたディスク11と、ブレード13が一体のカバー12と、を各々の接合面側を突き合わせて組み付ける。なお、カバー12はブレード13側をディスク11の接合面側に対向させる。この突合せ面には、ろう材を配置させる。この際、ろう付け後のろう材の厚さを確保するために、ディスク11とカバー12の突合せ面における間隔を保持するように治具を用いることができる。
<ろう材>
本実施の形態で用いられるろう材は、AuをベースとしてNiを含む合金である。この金ろう材は、15〜20%のNiを含み、残部がAu及び不可避不純物からなる。この組成範囲とすることにより、母材(ディスク11及びブレード13)に対する濡れ性が良好であり、かつ、高い接合強度を得ることができる。この金ろう材は、融点(液相線温度)がSUS630の固溶化熱処理の保持温度よりも低い900〜1050℃のものを用いる。この金ろう材は、好ましくは16〜19%Ni−81〜84%Au、より好ましくは17.5〜18.5%Ni−81.5〜82.5%Auの化学組成を有する。この金ろう材は、典型的には18%のNi−Auの組成を有し、900〜1000℃の融点を有している。
ディスク11とカバー12の突合せ面に介在されるろう材の形態は任意である。例えば、薄片、薄帯、線状材、粉末、ペーストの形態など、ろう付けにおいて公知のいずれのものであってもよい。ただし、継手部分の靭性を確保するために設定されるろう付け後のろう材の厚さを満足できるものである必要がある。
<組付け体と加熱治具>
ディスク11とカバー12(ブレード13)をろう材を介して組み付けて組付け体15を得る。組付け体15は、図2に示すように、加熱治具20に配置された状態で、熱処理を行う加熱炉1に収容される。なお、本実施の形態において、以下に記載される組付け体15の軸孔16は、ディスク11の軸孔16と同じものである。また、組付け体15の軸孔16に近い側が組付け体15における内周側であり、遠い側が外周側である。
加熱治具20は、図2に示すように、組付け体15の軸孔16に挿入される円筒状の第1加熱部(第1加熱体)21と、第1加熱部21と一体的に設けられ、組付け体15を鉛直方向の下方から支持する円盤状の第2加熱部(第2加熱体)22と、からなる。
加熱治具20は、熱伝導率の高いカーボンにより構成され、後述する熱サイクルの際に加熱炉1の内側炉壁2に設けられたヒータ(図示無し)から発せられる熱により加熱される。加熱された第1加熱部21は、組付け体15を内周側から加熱する。
加熱治具20は、第1加熱部21と第2加熱部22をそれぞれ別個に作製しておき、後にこれらを接合して一体化することもできるし、第1加熱部21と第2加熱部22とを当初から一体として作製することもできる。
また、加熱治具20を構成する材料として、カーボンの他に1000℃以上の耐熱性を有する金属材料を用いることもできる。
加熱治具20のサイズは、配置される組付け体15のサイズによって適宜調整されるが、第1加熱部21の高さ(h)が、組付け体15の鉛直方向高さ(h)の0.5倍以上であることが好ましい。hがhの0.5h未満であると、加熱炉1のヒータの熱が組付け体15に遮られ第1加熱部21の温度が上昇しにくく、組付け体15を内周側から十分に加熱することができない。
これに対して、hを高くして、例えば、図2に示すように、第1加熱部21を組付け体15の軸孔16から突出するように構成すると、加熱炉1のヒータから熱を直接的に受けるため、第1加熱部21がより高温に加熱される。加熱された第1加熱部21は、組付け体15を内周側から加熱する。このように、第1加熱部21が組付け体15の内周側を加熱することにより、組付け体15の内周側と、加熱炉1のヒータにより加熱される組付け体15の外周側との温度分布をより均一なものとすることができる。温度分布がより均一となることで、組付け体15における熱変形量の差異が低減され、ディスク11とカバー12の接合界面の間隙の拡張が抑制される。その結果、ろう材をその接合界面に維持することが可能となり、ディスク11とカバー12を良好にろう付けすることができる。また、第1加熱部21より組付け体15を内周側から加熱するため、熱サイクルの昇温速度を速くしても、組付け体15に温度分布が生じにくい。したがって、熱サイクルの昇温速度を速めることができ、熱サイクル全体の所要時間が短縮されるため、製造コストを削減することができる。
ただし、第1加熱部21が高すぎても、温度分布低減の効果をそれ以上得ることができない。また、組付け体15を加熱治具20に配置する作業が容易でなくなるとともに、加熱治具20自体の製造コストも上昇する。したがって、第1加熱部21の高さは、0.5h≦h≦20h、より好ましくはh≦h≦10hを満たすように構成するのがよい。
また、第1加熱部21は、組付け体15の軸孔16に挿入されたときに、組付け体15に接触しないように構成することが好ましい。第1加熱部21が組付け体15に接触すると、第1加熱部21を構成するカーボンなどの材料が組付け体15の表層に移動して、組付け体15に組成変化が生じる恐れがあるためである。一方で、第1加熱部21の径が小さすぎると、加熱炉1のヒータに露出される第1加熱部21の表面積も小さくなり、組付け体15を内周側から十分に加熱することができない。したがって、第1加熱部21の径方向のサイズは、第1加熱部21の径をR、軸孔16の径をRとすると、0.4R≦R<R、より好ましくは、0.8R≦R<0.95Rを満たすように構成するのがよい。
第2加熱部22は、組付け体15の外径と同じか、それ以上の径を有するように構成することが好ましい。これにより、組付け体15を安定的に支持するとともに、組付け体15の外周側の熱変形(反り)を一定程度抑えることが可能となる。第2加熱部22の厚さは、第1加熱部21の高さ(h)および加熱炉1のサイズに応じて適宜調整される。
<組付け体の加熱治具への配置>
組付け体15の軸孔16に加熱治具20の第1加熱部21を挿入し、組付け体15を加熱治具20に配置する。このとき、第2加熱部22と組付け体15との間には、後述する保持温度で安定的なセラミック等からなるスペーサ(図示無し)を介在させることができる。組付け体15を第2加熱部22に直接載置すると、第2加熱部22を構成するカーボンなどの材料が組付け体15の表層に移動して、組付け体15に組成変化が生じる恐れがあるためである。
なお、組付け体15は、ディスク11側が上方に位置するように加熱治具20に配置されるが、カバー12側が上方に位置するようにしてもよい。
<熱処理(ろう付け熱サイクル)>
このように加熱治具20に配置された組付け体15を加熱炉1内に挿入し、熱処理を開始する。熱処理は、図1にも示されるように、固溶化熱処理と時効硬化熱処理の2段からなり、固溶化熱処理は真空下、時効硬化熱処理は真空または大気圧相当で行われる。ろう付け熱サイクルは、この固溶化熱処理と兼ねて行われる。以下では、ろう付け熱サイクルと総称する。時効硬化熱処理は、ろう付け熱サイクル(固溶化熱処理)が終了した後に行うことができる。以下、一連の熱処理の好適な条件を説明する。
[ろう付け熱サイクル]
ろう付け熱サイクルは、図3に示すように、昇温過程(I)、保持過程(II)及び降温過程(III)に区分することができる。
昇温過程は、通常、室温から開始され、保持温度まで炉内(組付け体15および加熱治具20)の温度を上げる。
[昇温過程]
本実施の形態は、加熱治具20を用いることにより、昇温過程の昇温速度を100〜400℃/hr.の範囲で設定しても、昇温過程に組付け体15の中に温度分布を生じさせないか、生じたとしてもろう材が接合界面から漏れ出さない程度に抑えることができる。また、昇温過程の昇温速度は、好ましくは120〜380℃/hr.、さらに好ましくは140〜360℃/hr.とすることができる。
昇温過程に要する時間は、昇温速度、次に説明する中間保持に要する時間、あるいはインペラ10のサイズに起因するので一義的に定めることはできないが、インペラ10の製造コストをも考慮すると、30時間以下にすることが望まれる。
以上の昇温速度は、昇温過程の全域に適用されるものである。つまり、昇温を開始した時点から、保持温度(保持過程)に達するまでの間に適用される。ただし、この昇温速度は、次に説明する中間保持の間は適用されない。また、昇温速度は一定である必要はなく、100〜400℃/hr.の範囲で変動させることができる。典型的には、950℃を超える温度域では、それ以下の温度域よりも遅い昇温速度を選択すること、が掲げられる。
[中間保持]
昇温過程において、温度を維持する、中間保持を設けることができる。中間保持を設けることにより、組付け体15の温度分布をより均一に近づけることができる。中間保持は500〜950℃の温度域で行うことができる。
また、本実施の形態では、中間保持を2段に分けて行うことを許容する(以下、1段目の中間保持を第1の中間保持、2段目の中間保持を第2の中間保持と記載する)。
第1の中間保持は、500〜850℃の温度域で行うことができる。ろう材が溶融する温度域(950℃前後)の手前で行うことで、相対的に低い温度でのギャップ低減の効果が得られる。第1の中間保持は、好ましくは550〜750℃の温度域で行い、さらに好ましくは550〜700℃の温度域で行うことができる。
第2の中間保持は、850〜950℃(ただし、850℃を含まず)の温度域で行うことができる。昇温過程において、相対的に温度が高くなるほど組付け体15に生じる温度分布は大きくなるため、高い温度域に第2の中間保持を設けることで、組付け体15の温度をさらに均一化することができる。第2の中間保持は、好ましくは860〜940℃の温度域で行い、さらに好ましくは880〜920℃の温度域で行うことができる。
第1の中間保持における保持時間は、組付け体15のサイズなどに応じて定められるべきであるが、短時間では温度均一化の効果が不十分であり、また、温度均一化は一定の時間で達成されることから、1〜10時間とするのが好ましい。より好ましい保持時間は、2〜8時間である。この保持時間は、第2の中間保持についても同様である。
[徐加熱]
第1の中間保持の後から保持過程に移行するまでは、昇温速度を、第1の中間保持より前の昇温速度よりも遅くすることができる。第2の中間保持の後はろう材が溶融し始めているので、組付け体15に温度分布を生じさせないために、できるだけ昇温速度を抑えるのである。ただし、この場合の昇温速度も100〜400℃/hr.の範囲から選択されることが好ましい。なお、第2の中間保持の後から保持過程に移行するまでの昇温速度についても、同様とすることができる。
[保持過程(固溶化熱処理)]
保持過程は、母材(インペラ10)を固溶化熱処理の保持としての機能とともに、ろう材を溶融させる機能を備えている。
保持過程における保持温度は、1000〜1050℃の範囲から選択することができる。この保持温度の範囲は、基本的には、SUS630の熱処理を規定するJIS G4303に準じている。この温度の保持時間は、好ましくは0.5〜3時間の範囲から選択することができる。
[降温過程]
保持過程の後の降温過程は、昇温過程と同様に組付け体15の温度分布を抑えるために、20〜100℃/hr.の範囲の速度とすることが好ましい。また、この降温速度であれば、SUS630においてCuを基地中に固溶させるという固溶化熱処理の目的を達成できる。
この降温過程において、保持温度から950℃までは、それ以下の降温速度よりも遅い速度で降温されることが好ましい。これは、昇温過程において、950℃を超える温度域でそれ以前よりも遅い速度で昇温することと同じ趣旨である。この趣旨をより明確にするために、950℃近傍、具体的には930〜970℃の範囲で0.5〜2時間の保持を設けることもできる。
また、降温過程において、600℃以下まで温度が下がった後には、冷却用のガスを供給するなどして、降温速度を100℃/hr.以上にすることもできる。
上述した金ろう材は、融点が900〜1050℃であるから、降温過程も含めた固溶化熱処理の過程で、溶融・凝固してディスク11とカバー12をろう付けする。なお、組織をマルテンサイト化するためにはMf点(マルテンサイト変態終了温度)まで低下させる必要があり、その温度は組成及び冷却速度に依存するが100〜140℃であり、保持後はこの温度以下に冷却する必要がある。
[保持過程(時効硬化熱処理)]
以上で、ろう付け(固溶化熱処理)が終わると、次いで、時効硬化熱処理を行う。
時効硬化熱処理は、JIS G4303に準じて行う。JIS G4303は、得たい引張強度、耐力に応じて時効硬化熱処理の温度を区分しているが、本発明はいずれの温度も採用できるし、JIS G4303で規定される温度域の間の温度を採用することもできる。
<実験例>
図5に示す形態のディスク11と、ブレード13が一体的に形成されたカバー12とを用意し、ディスク11とブレード13との間にろう材(厚さ:100μm)を介在させて組付け体15を得た。組付け体15をカーボン製の加熱治具20に配置した状態で、種々の条件でろう付け(固溶化熱処理)を行い、その後、ろう付けの状態を水深超音波探傷で確認し、以下の基準で評価した。
○:ろう付け不良観察されず △:ろう付け不良が点在
×:ろう付け不良が散在
用いたディスク11、カバー12(ブレード13)を構成する鋼材の化学組成及びろう材の組成は以下の通りである。また、加熱治具20の第1加熱部21の高さ(h)およびろう付け(真空下)の条件は、図4に示すとおりである。
鋼材の化学組成(JIS SUS630準拠):
Cr;15.5%、Ni;4.3%、Cu;3.5%、Nb+Ta;0.35%
C;0.05% Si;0.25%、 Mn;0.8%、P;0.0035%、S;0.007%
残部;Feおよび不可避不純物
ろう材の組成:18%Ni−82%Au
図4に示すように、試料No.1〜9により、第1加熱部21を設けて熱処理を行うことにより、ろう付けが良好に行われることが明らかとなった。また、試料No.10および11により、昇温速度を速めた場合、第1加熱部21の高さ(h)がより高い方が、ろう付けがより良好に行われることが判明した。
なお、上記実施の形態では、加熱炉1のヒータから生じた熱により第1加熱部21の温度を上昇させ、組付け体15の内周側を加熱していたが、この構成に限られない。例えば、第1加熱部21としてそれ自体が発熱する円筒状のカーボンヒータを用いることができる。または、第1加熱部21だけではなく、第2加熱部22も含む加熱治具20全体をそれ自体が発熱するヒータとすることができる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
1…加熱炉、2…内側炉壁、10…インペラ、11…ディスク、12…カバー、13…ブレード、14…ろう付け部、15…組付け体、16…軸孔、20…加熱治具、21…第1加熱部(第1加熱体)、22…第2加熱部(第2加熱体)

Claims (3)

  1. 少なくとも2つのインペラ構成部材の接合部分にろう材を配置した組付け体に、
    保持温度まで温度を上げる昇温過程と、
    前記ろう材の溶融温度以上の温度域の保持温度で保持を行う保持過程と、
    前記保持温度から室温まで温度を下げる降温過程と、を備える熱サイクルを施して接合するインペラの製造方法であって、
    前記熱サイクルは、
    前記組付け体の内周側から前記組付け体を加熱する第1加熱体に前記組付け体を配置して施されることを特徴とするインペラの製造方法。
  2. 前記第1加熱体は、前記組付け体を鉛直方向の下方から支持する第2加熱体と一体的に設けられる、
    請求項1に記載のインペラの製造方法。
  3. 前記第1加熱体は、
    0.5h≦h≦20h
    を満足する、
    請求項1又は2に記載のインペラの製造方法。
    但し、hは前記第1加熱体の高さ、hは前記組付け体の高さとする。
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