JP5421659B2 - ウレタン組成物及びそれを用いた塗料、接着剤 - Google Patents
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Description
しかし、塗料の塗布時のハジキ現象により、塗装むらが生じて美しい塗装面が得られないことや、被塗装物との密着性が悪く、ピッチングにより簡単に剥がれるなどの課題がある。
また、プラスチック材料と金属材料等の異種材料の接着、シーリングにおいても双方の材料に対して充分な密着性が得られず、簡単に剥がれるなどの課題がある。
これらに関連する技術として、例えば、特許文献1に非プロン性溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)等を用いることが記載されているが、ポットライフの延長、耐溶剤性に優れる効果が得られるのみで、塗布面へのハジキ性、密着性についての効果に関する記載はない。
また、特許文献2には、インキジェット用のインキとして特定構造を有する溶剤を使用する事により非吸収基材であるポリ塩化ビニル樹脂シートに対して、印刷安定性が向上する技術が開示されている。特許文献2は、基材に対してインキが僅かに溶解することにより、基材との濡れ性や密着性を向上する発明であって、塗料においては塗装の剥がれ、接着剤、シーリング剤においては接着強度を向上せしめた本発明とは異なるものである。
これは、式(1)のアミド系溶剤の分子構造には、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン等の難溶解性樹脂の溶解に有効なNMP、又はジエチレングリコールモノアルキルエーテール等のグリコールエーテール系溶剤の部分構造であるアミド基とエーテル基の両方を分子内に持ちながら、非極性物質への親和性の高いアルキル基も有することにより、幅広い物質に対しての溶解性、親和性が高い溶剤であることよると考えられる。
また、被塗装物が鋼鉄等の金属材料だけでなく、ポリエチレンやプリプロピレン樹脂等のプラスチック材料に対しても効果が得られる。すなわち、性質が異なる被塗装物に対して有用であり、各種材料との相性が良い。
さらに、本発明のウレタン組成物は、接着剤、特に、異種材料の接着剤の他、シーリング剤としても有用である。
本発明で言うウレタン樹脂とは、ウレタン結合がポリマーの状態になっているもの、及びポリオールとイソシアネートを加えてプレポリマー(ウレタン結合が少ししかできていない中間生成物)の状態になったものも言う。
本発明においては、ウレタン樹脂は、ポリオールとイソシアネートプレポリマーとを含有すると好ましい。
本発明で使用できるポリオールは主剤であり、一般的に使用可能なものであれば特に限定されず、1分子内に水酸基が2個以上有する化合物であって、植物油系及び、主鎖骨格がポリエーテール、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、不飽和結合を有しても良い炭化水素、又はこれらの2種以上が主鎖骨格となるポリオール等が挙げられ、好ましくは主骨格がポリアクリル酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルであるポリオールが挙げられる。
また、イソシアネートプレポリマーは硬化剤として用いられ、一般的に使用可能なものであれば特に限定されず、先に示したポリオールと過剰量のトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族系イソシアネート又は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂肪族イソシアネートとの反応生成物が挙げられる。
また、ポリオールとプレポリマーの比率は、特に限定されないが、ポリオール100g中のOH基の含有モル数とプレポリマー100g中のNCO基の含有モル数の比(NCO/OH)が0.5〜2.0が好ましく、0.7〜1.5がより好ましい。
通常、このNCO/OH比が高いと架橋密度が高くなり硬い硬化体が得られるが、2.0以上となっても硬化体の硬さは殆ど変化しない。また、逆にNCO/OH比が低いとやわらかい硬化体が得られ、0.5未満であれば、弱い接触でも傷がつくなど硬化体として不十分である。
式(1)において、R1は炭素数1〜6の直鎖状,分岐状又は環状のアルキル基であり、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のエーテル結合を有してもよい直鎖状又は分岐状のアルキル基、R4は水素原子又はメチル基、nは0〜3、mは0又は1の整数である。
R1の示す炭素数1〜6の直鎖状,分岐状又は環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等が挙げられる。
R2及びR3の示す炭素数1〜3のエーテル結合を有してもよい直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−イソプロポキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−sec-ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ペンチルオキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−シクロペンチルオキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−へキシルオキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−シクロヘキシルオキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、
3−メトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−イソプロポキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−sec-ブトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−ペンチルオキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−シクロペンチルオキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−へキシルオキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−シクロヘキシルオキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、
3−メトキシ−N,N−ジプロピルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−ジプロピルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−ジプロピルプロピオンアミド、3−イソプロポキシ−N,N−ジプロピルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−ジプロピルプロピオンアミド、3−sec-ブトキシ−N,N−ジプロピルプロピオンアミド、3−ペンチルオキシ−N,N−ジプロピルプロピオンアミド、3−シクロペンチルオキシ−N,N−ジプロピルプロピオンアミド、3−へキシルオキシ−N,N−ジプロピルプロピオンアミド、3−シクロヘキシルオキシ−N,N−ジプロピルプロピオンアミド、
3−メトキシ−2−メチル−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−エトキシ−2−メチル−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−2−メチル−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−イソプロポキシ−2−メチル−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−2−メチル−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−sec-ブトキシ−2−メチル−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−ペンチルオキシ−2−メチル−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−シクロペンチルオキシ−2−メチル−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−へキシルオキシ−2−メチル−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−シクロヘキシルオキシ−2−メチル−N,N−ジエチルプロピオンアミド、
2−メトキシ−N,N−ジメチル酢酸アミド、2−エトキシ−N,N−ジメチル酢酸アミド、2−n−プロポキシ−N,N−ジメチル酢酸アミド、2−イソプロポキシ−N,N−ジメチル酢酸アミド、2−n−ブトキシ−N,N−ジメチル酢酸アミド、2−sec-ブトキシ−N,N−ジメチル酢酸アミド、2−ペンチルオキシ−N,N−ジメチル酢酸アミド、2−シクロペンチルオキシ−N,N−ジメチル酢酸アミド、2−へキシルオキシ−N,N−ジメチル酢酸アミド、2−シクロヘキシルオキシ−N,N−ジメチル酢酸アミド、
2−メトキシ−N,N−ジエチル酢酸アミド、2−エトキシ−N,N−ジエチル酢酸アミド、2−n−プロポキシ−N,N−ジエチル酢酸アミド、2−イソプロポキシ−N,N−ジエチル酢酸アミド、2−n−ブトキシ−N,N−ジエチル酢酸アミド、2−sec-ブトキシ−N,N−ジエチル酢酸アミド、2−ペンチルオキシ−N,N−ジエチル酢酸アミド、2−シクロペンチルオキシ−N,N−ジエチル酢酸アミド、2−へキシルオキシ−N,N−ジエチル酢酸アミド、2−シクロヘキシルオキシ−N,N−ジエチル酢酸アミド、
1−メトキシ−N,N−ジメチル蟻酸アミド、1−エトキシ−N,N−ジメチル蟻酸アミド、1−n−プロポキシ−N,N−ジメチル蟻酸アミド、1−イソプロポキシ−N,N−ジメチル蟻酸アミド、1−n−ブトキシ−N,N−ジメチル蟻酸アミド、1−sec-ブトキシ−N,N−ジメチル蟻酸アミド、1−ペンチルオキシ−N,N−ジメチル蟻酸アミド、1−シクロペンチルオキシ−N,N−ジメチル蟻酸アミド、1−へキシルオキシ−N,N−ジメチル蟻酸アミド、1−シクロヘキシルオキシ−N,N−ジメチル蟻酸アミド、
1−メトキシ−N,N−ジエチル蟻酸アミド、1−エトキシ−N,N−ジエチル蟻酸アミド、1−n−プロポキシ−N,N−ジエチル蟻酸アミド、1−イソプロポキシ−N,N−ジエチル蟻酸アミド、1−n−ブトキシ−N,N−ジエチル蟻酸アミド、1−sec-ブトキシ−N,N−ジエチル蟻酸アミド、1−ペンチルオキシ−N,N−ジエチル蟻酸アミド、1−シクロペンチルオキシ−N,N−ジエチル蟻酸アミド、1−へキシルオキシ−N,N−ジエチル蟻酸アミド、1−シクロヘキシルオキシ−N,N−ジエチル蟻酸アミド、
これらの中でも3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドが好ましい。
(B)成分が、式(1)において、R1がメチル基又はn−ブチル基、R2、R3がメチル基、R4が水素原子、nが1、mが1であるアミド系溶剤を含有すると好ましい。
式(1)のアミド系溶剤以外非プロトン溶媒としては、例えば、NMP、ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶剤、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン等の炭化水素系溶剤、テトラヒドロフラン(THF)、メチルシクロペンチルエーテール、エチレングリコールジアルキルエーテール、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテール、ジプロピレングリコールジアルキルエーテール等のエーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、式(2)に示すグリコールエーテルエステル系溶剤が挙げられる。これらの1種若しくは2種以上の混合溶剤としても良い。
また、本発明のウレタン組成物には、必要に応じ、顔料、表面調整剤等の添加剤を含有しても良い。
また、式(1)で表されるアミド系溶剤を含有する非プロトン溶剤は、5〜20質量%であると好ましい。また5〜10質量%の時は非プロトン溶剤中に含有するアミド系溶剤の量が非プロトン溶剤中に占める割合が80質量%以上であることが好ましい。
本発明のウレタン組成物の製造方法は特に限定されず、常法によれば良い。
また、本発明のウレタン組成物は、プラスチック材料と金属材料、プラスチック材料同士、又は金属材料同士の接着に用いる接着剤としても有用である。
また、本発明塗装方法は、前記本発明のウレタン組成物からなる塗料を用いたものであれば、具体的な塗装手段は限定されず、公知の方法によれば良く、例えば、エアーガン式の塗布装置、エアゾール管等のような噴霧式の塗布装置或いは、刷毛により塗装することができる。
実施例及び比較例で用いた資材は以下1.の通りである。また、得られたウレタン組成物について、以下2.の通りに評価した。
[ポリオール]
デスモフェンA−365(住友バイエル(株)製:商品名)
アジトールXL−122(ヘキスト(株)製:商品名)
[イソシアネートプレポリマー]
デュラネートTPA−100(旭化成(株)製:商品名)
[硬化触媒]
ジブチル錫ジラウレート
[溶剤]
NMP:N−メチルピロリドン
DMSO:ジメチルスルフォキシド
MeO体:3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド
BuO体:3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド
(i)塗装方法(試験片の作製)
100×100mmの試験片の表面をイソプロピルアルコールで脱脂。
(試験片としては鋼鉄製、ポリエチレン、ポリプロピレンを用いた。)
エアーガン式の塗布装置で試験片に塗料を塗布。
塗布後、80℃×30分焼付けを実施。
(ii)密着性評価
試験片の塗装面にセロハン粘着テープ[ニチバン(株)]を貼り付け、角度60度で急速に剥がした後の塗膜の外観を観測し、以下の基準で評価した。
◎:塗膜の95%以上が試験片側に残る。
○:塗膜の80%以上95%未満が試験片側に残る。
△:塗膜の50%以上80%未満が試験片側に残る。
×:塗膜の50%未満しか試験片側に残らない。
(iii)ハジキの評価
試験片を目視により塗装外観の評価を行った。
○:塗装ムラなし
△:粒状物が一部あり、塗装ムラあり
×:粒状物が多く、塗装外観悪い。
表1に示す配合割合で、資材をポリエチレン製の容器に入れ、ヘラを用い十分混合して、組成物を調製した。
得られた組成物に対し、上記塗布方法で試験片を作成し評価した。その結果を表1に示す。
また、本実施例、評価では2液ウレタン塗料を例に示したが、塗料は物質の表面と塗料成分であるウレタン樹脂が接着することにより表明をコーティングすると考えられるため、1液タイプのウレタン塗料、接着剤、シーラント及び、2液タイプの塗料、接着剤、シーラントにおいても適用可能である。
Claims (9)
- 前記(A)ウレタン樹脂がポリオールとイソシアネート基含有プレポリマーとを含み、[プレポリマーのイソシアネート基]/[ポリオールの水酸基]のモル比が0.7〜1.5であることを特徴とする請求項1に記載のウレタン組成物。
- (A)成分がポリオールとイソシアネートプレポリマーとを含有するウレタン樹脂である請求項1又は2に記載のウレタン組成物。
- (B)成分が、式(1)において、R1がメチル基又はn−ブチル基、R2、R3がメチル基、R4が水素原子、nが1、mが1であるアミド系溶剤を含有する非プロトン溶剤である請求項1〜3のいずれかに記載のウレタン組成物。
- 前記非プロトン溶剤に含まれる式(1)で示すアミド系溶剤の量が50〜100質量%である請求項1〜4のいずれかに記載のウレタン組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のウレタン組成物からなる塗料。
- 被塗装物が金属材料又はプラスチック材料である請求項6記載の塗料。
- プラスチック材料と金属材料、プラスチック材料同士、又は金属材料同士の接着に用いる請求項1〜5のいずれかに記載のウレタン組成物からなる接着剤。
- 請求項6又は7記載の塗料を用いた塗装方法。
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