JP5421131B2 - 共重合ポリエステル組成物の製造方法 - Google Patents
共重合ポリエステル組成物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5421131B2 JP5421131B2 JP2010000413A JP2010000413A JP5421131B2 JP 5421131 B2 JP5421131 B2 JP 5421131B2 JP 2010000413 A JP2010000413 A JP 2010000413A JP 2010000413 A JP2010000413 A JP 2010000413A JP 5421131 B2 JP5421131 B2 JP 5421131B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- compound
- acid
- copolyester
- polyester
- salt
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
Description
すなわち本発明は、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートより構成される共重合ポリエステル組成物の製造方法に関し、該ポリエステルはテレフタル酸(A)およびエチレングリコールをエステル化反応させ次いで重縮合反応をさせて製造され、スルホイソフタル酸の金属塩のビスヒドロキシアルキルエステルである5−ナトリウムスルホイソフタル酸のジヒドロキシエチルエステル(B)、及び下記化学式(I)で表される化合物(C)
が前記ポリエステルに共重合されたポリエステルであり、下記(1)〜(6)を同時に満足することを特徴とする共重合ポリエステル組成物の製造方法である。
(1)テレフタル酸(PTA)とエチレングリコール(EG)を、EG/PTAモル比=1.0〜1.5となる比率でスラリー化させること
(2)化合物(B)と化合物(C)が下記式(い)及び(ろ)を同時に満足するように配合すること
3.0≦b+c≦5.0 ・・・(い)
0.2≦c/(b+c)≦0.7 ・・・(ろ)
[上記数式中、bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とする化合物(B)の共重合量(モル%)、cは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とする上記化学式(I)で表される化合物(C)の共重合量(モル%)を表す。]
(3)化合物(B)をエステル化反応終了後に添加すること
(4)化合物(C)をエステル化反応終了後に添加すること
(5)共重合ポリエステルを構成する全酸成分に対し、50〜300mmol%のナトリウム化合物を、エステル化反応終了後に添加すること
(6)共重合ポリエステルに対し、フェノール系化合物(Y)及び/又はチオエーテル系化合物(Z)を下記式(は)及び(に)を同時に満足するように配合すること。
0.2≦y+z≦4.0 ・・・(は)
0.3≦y/(y+z)≦1.0 ・・・(に)
[上記式中、yは共重合ポリエステル重量を基準とするフェノール系化合物(Y)の配合量(重量%)、zは共重合ポリエステル重量を基準とするチオエーテル系化合物(Z)の配合量(重量%)を表す。]
(共重合ポリエステルについて)
本発明における共重合ポリエステルとはエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであり、主たる繰り返し単位とは共重合ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分あたり80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることを指している。好ましくは90モル%以上が、より好ましくは95モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることである。共重合ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分あたり他の20モル%以下の範囲内で他の成分が共重合されていても良い。その他の共重合成分としては、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸を挙げる事ができ、グリコール成分として1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビス(トリメチレングリコール)、ビス(テトラメチレングリコール)、トリエチレングリコール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジメタノールを挙げる事ができ、これらの1種以上のジカルボン酸と1種以上のグリコール成分を反応させて得られる成分を繰り返し単位として共重合されていても良い。
本発明で使用されるスルホイソフタル酸の金属塩若しくはスルホイソフタル酸の金属塩のビスヒドロキシアルキルエステル(B)(以下スルホイソフタル酸の金属塩等と称する。)としては、5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩)や、スルホイソフタル酸の金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩)の炭素数1〜6のビスヒドロキシアルキルエステルが例示される。ビスヒドロキシアルキル基の例としてはヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基を挙げることができる。
また、下記式(I)で表される化合物(C)としては、5−スルホイソフタル酸又はその低級アルキルエステルの4級ホスホニウム塩又は4級アンモニウム塩である。
これらの条件を満たす化合物である場合に、ポリエステル繊維とした場合の充分なカチオン可染性と充分な繊維強度の両立が可能となる。
本発明において、テレフタル酸(PTA)とエチレングリコール(EG)を主な原料としてポリエステルを製造するに際し、テレフタル酸とエチレングリコールを、EG/PTAモル比が1.0〜1.5の範囲となるように調整し、スラリー化することが必要である。モル比が1.0未満では、EG/PTAスラリーの粘度が上昇し、ハンドリング性が著しく低下すること、及びエステル化反応速度が著しく低下するため好ましくない。1.5よりも大きい場合、副反応として生成するジエチレングリコール含有量が増加するため好ましくない。EG/PTAモル比は1.1〜1.3の範囲が特に好ましい。
本発明において、ポリエステルに共重合させる上記のスルホイソフタル酸の金属塩等(B)と上記の化合物(C)の量の合計は共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準として、(B)成分と(C)成分の和b+cが3.0〜5.0モル%の範囲である必要がある。3.0モル%より少ないと、常圧下でのカチオン染色では十分な染着を得ることができない。一方、5.0モル%より多くなると、得られるポリエステル糸の強度が低下するため実用に適さない。さらに染料を過剰に消費するため、コスト面でも不利である。このb+cの値は好ましくは3.2〜4.8モル%であり、より好ましくは3.3〜4.7モル%である。
また、スルホイソフタル酸の金属塩(B)と化合物(C)の成分比は上記のモル%の値にて、c/(b+c)が0.2〜0.7の範囲にある必要がある。0.2未満、つまり化合物(B)の割合が多い状態では、スルホイソフタル酸金属塩による増粘効果により、得られる共重合ポリエステルの重合度を上げることが困難になる。一方、0.7を超えるとき、つまり化合物(C)の割合が多い状態では、共重合ポリエステル製造工程における重縮合反応が遅くなり、さらに化合物(C)の比率が多くなると熱分解反応が進むため重合度を上げることが困難となる。さらに、化合物(C)の比率が多くなると共重合ポリエステルの熱安定性が悪化し、溶融紡糸段階で再溶融した際の熱分解反応による分子量の低下が大きくなるため、得られるポリエステル糸の強度が低下するため、好ましくない。このc/(b+c)の値は好ましくは0.23〜0.65であり、より好ましくは0.25〜0.60である。
本発明において、共重合ポリエステルを構成する全酸成分に対し、50〜300mmol%のナトリウム化合物をエステル化反応の終了後に反応槽に添加し、ナトリウム化合物の存在下で重縮合反応を行って製造することが好ましい。ナトリウム化合物としては、ナトリウム金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
本発明で使用されるフェノール系化合物(Y)は、下記一般式(II)で表される単位構造を分子内に1個以上有するものが挙げられ、更に好ましくは下記一般式(II)で表される単位構造を分子内に2個以上有するものが挙げられ、一次酸化防止剤として有効な化合物である。中でも下記一般式(II)で表される単位構造を分子内に1個又は2個有する化合物が好ましい。
本発明で使用されるチオエーテル系化合物(Z)は、下記一般式(III)で表される単位構造を分子内に1個以上含有するものが挙げられ、二次酸化防止剤として有効な化合物である。中でも下記一般式(III)で表される単位構造を分子内に1個又は2個有する化合物が好ましい。
本発明により共重合ポリエステルは、前述の化合物(C)の耐熱性が低く、高温下での熱分解の影響により、溶融重合段階の後半で重合度が上がりにくくなる現象が発生する。そのため、所望の重合度のポリエステルを得るためには、反応時間を長くする、若しくは重縮合反応触媒を多量に添加する必要があるが、反応時間が長くなると、ポリエステルを長時間高温化で保持する事となりポリマーの色相が悪化すると共に、生産性が低下するなどの問題が発生する。また重縮合反応触媒の添加量を上げると、得られるポリエステルの色相が悪くなる上、ポリエステルの耐熱性が低下するために溶融紡糸時に再溶融する際の熱分解が大きくなるなどの問題が発生する。
本発明における常圧カチオン可染性を有する共重合ポリエステル組成物に含有されるジエチレングリコールは、2.5重量%以下であることが好ましい。より好ましくは2.2重量%以下、更により好ましくは1.50〜2.2重量%である。一般にカチオン可染性ポリエステルを製造する際には、共重合ポリエステルの製造工程において副生するジエチレングリコール(DEG)量を抑制するために、DEG抑制剤として少量のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、水酸化テトラアルキルホスホニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルアミンなどの少なくとも1種類を、使用するカチオン可染性モノマー(本発明の場合はスルホイソフタル酸の金属塩等(B)及び化合物(C)の全モル量)に対して、1〜20モル%程度を添加すること、又は上述のようにナトリウム化合物を添加することが好ましい。
本発明の共重合ポリエステル組成物を構成する共重合ポリエステルの固有粘度(溶媒:オルトクロロフェノール、測定温度:35℃)は0.55〜1.00dL/gの範囲であることが好ましい。固有粘度が0.55dL/g未満である場合、得られるポリエステル繊維の強度が不足し、一方、1.00dL/gを超える場合、溶融粘度が高くなりすぎて溶融成型が困難になるため好ましくなく、また、溶融重合法に引続いて固相重合法により共重合ポリエステル組成物の重縮合工程での生産コストが大幅に増大するため好ましくない。常圧カチオン可染性ポリエステルの固有粘度としては、0.60〜0.90dL/gの範囲が更に好ましい。共重合ポリエステルの固有粘度を0.55〜1.00dL/gの範囲するためには、溶融重合を行う際の最終の重合温度、重合時間を調整したり、溶融重合法のみでは困難な場合には固相重合を行って適宜調整することができる。本発明においては、スルホイソフタル酸の金属塩等(B)及び化合物(C)を上記数式(い)及び(ろ)を満たすようにポリエチレンテレフタレートに対して共重合を行うことで上述のような手法により固有粘度を0.55〜1.00dL/gにすることが可能となる。
本発明においては、上記の組成を有する共重合ポリエステルは、テレフタル酸を含むジカルボン酸成分とエチレングリコールを直接エステル化法を用いてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応物を重縮合反応する方法により製造される。また、本発明においては、蒸留塔を有する1個の加圧エステル化反応槽と、真空発生装置を有する2個の重縮合反応槽を用い、回分式で共重合ポリエステルを製造する事が好ましい。この加圧エステル化反応槽と真空発生装置を有する重縮合装置はそれぞれ下記の温度、圧力を供給することができる装置であれば特段の制限はない。
(1)エステル化反応槽に、テレフタル酸のエチレングリコール溶液又はエチレングリコールのスラリーを仕込む。
(2)上記の混合溶液又はスラリーを攪拌しながら、トリエチルアミンと三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を加える。
(3)次いで、エステル化反応槽内を窒素で加圧し熱媒体でエステル化反応槽を昇温して、塔頂温度を140〜160℃に制御しながら、エチレングリコールを反応槽内に還流し、0.2〜0.5MPaの圧力(ゲージ圧)下で、230〜250℃でエステル化反応を行う。エステル化反応で生成する水、過剰量のエチレングリコールはエステル化反応槽に設置されている蒸留塔の塔頂からエステル化反応槽外に留去する。以下、エステル化反応物をオリゴマーと称することがある。
(4)エステル化反応生成物を重縮合反応槽に移送する。
(5)前述の化合物(B)及び化合物(C)、ナトリウム化合物、フェノール系化合物(Y)及び/又はチオエーテル系化合物(Z)を順次重縮合反応槽に添加する。この際、スルホイソフタル酸の金属塩(B)及び化合物(C)は、ジカルボン酸及び/又はジヒドロキシエチルエステルとして添加することが好ましい。これらの化合物はこの時期に添加させる事で、これらの化合物の熱分解反応を抑制しつつ、ポリエステルにランダムに共重合される又は共重合ポリエステル中に分散させることができる。この時期より前に添加されると長時間熱にさらされる事で熱分解反応が起こり、この時期より後に添加されるとランダムに共重合されたり、共重合ポリエステル中への分散が好ましくない状態となることがある。
(6)重縮合反応槽の圧力を段階的に0.3〜0.01kPaまで減圧し、併せて温度を段階的に240〜290℃に昇温して重縮合反応を行う。
(7)攪拌に必要な電力などにより重縮合反応の進行状態を観察し、所定の溶融粘度(又は重合度、平均分子量、固有粘度など)になったことを確認する。その後重縮合反応槽を常圧に戻し、重縮合反応槽から共重合ポリエステルを吐出し冷却後、チップカッターにてチップ状にカットする。
また、本発明における共重合ポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば前述のヒンダードフェノール系化合物、チオエーテル系化合物以外の酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤又は艶消し剤などを含んでいても良い。特に艶消し剤などは特に好ましく添加される。さらに、本発明の製造方法においては、ジエチレングリコールの副生などの副反応抑制のため、トリエチルアミン等のアミン類を添加してもよい。
本発明における共重合ポリエステルの製糸方法は、特に制限は無く、従来公知の方法が採用される。すなわち、乾燥した共重合ポリエステルを270℃〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の引取り速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られるポリエステル繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻取りを行うこともできる。さらに、上述の方法で得られた未延伸糸若しくは部分延伸糸を、延伸工程にて1.2倍〜6.0倍程度の範囲で延伸することが好ましい。この延伸は未延伸ポリエステル繊維を一旦巻き取ってから行ってもよく、一旦巻き取ることなく連続的に行ってもよい。また、紡糸時に使用する口金の形状についても特に制限は無く、円形、三角形・四角形等の多角形、3以上の多葉形、C型断面、H型断面、X型断面、又はこれらの形状に更に中空を有する断面のいずれであってもよい。
共重合ポリエステル試料を100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ型粘度計を用いて測定した値から求めた。
粒状のポリマーサンプルを160℃×90分乾燥機中で熱処理し、結晶化させた後、カラーマシン社製CM−7500型カラーマシンで測定した。Col−Lは73以上を可、Col−bは8以下を可とした。
ヒドラジンヒドラート(抱水ヒドラジン)を用いてポリエステル試料チップを分解し、この分解生成物中のジエチレングリコールの含有量をガスクロマトグラフィー(ヒューレットパッカード社製(HP6850型))を用いて測定した。
JIS L 1013記載の方法に準拠して測定した。
得られたポリエステル延伸繊維から常法により丸編みのサンプルを作成し、その編物をカチオン可染CATHILON BLUE CD−FRLH)0.2g/L、CD−FBLH0.2g/L(いずれも保土ヶ谷化学株式会社製カチオン可染性染料)、硫酸ナトリウム3g/L、酢酸0.3g/Lの染色液中にて98℃で1時間、浴比1:50で染色し、次式により染着率を求めた。
染着率=(OD0−OD1)/OD0 ×100(%)
OD0:染色前の染液の576nmの吸光度
OD1:染色後の染液の576nmの吸光度
本発明では、染着率98%以上のものを可染性良好と判断した。
ポリマーサンプルをトリフルオロ酢酸/重水素化クロロホルム=1/1混合溶媒に溶解後、日本電子(株)製JEOL A−600 超伝導FT−NMRを用いて核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定して、そのスペクトルパターンから常法に従って、各プロトン量により定量した。特にイソフタル酸骨格由来の水素原子に着目した。また下記のエネルギー分散型X線マイクロアナライザーを用いた測定による硫黄元素含有量、リン元素含有量も参考にした。
乾燥した共重合ポリエステル組成物サンプルを走査型電子顕微鏡(日立計測器サービス株式会社製S570型)にセットし、これに連結したエネルギー分散型X線マイクロアナライザー(XMA、株式会社堀場製作所製EMAX−7000)を用いてポリエステル組成物中の各元素の濃度を求めた。また後述の共重合量の定量方法でも実施するNMR測定結果も併用して含有量を定量した。
予めオリゴマー225部が滞留するエステル化反応槽内に、攪拌下、窒素雰囲気で255℃に維持された条件下に、179部の高純度テレフタル酸と95部のエチレングリコールとを混合して調整されたスラリーを一定速度で供給し、反応で発生する水とエチレングリコールを系外に留去しながらエステル化反応を4時間実施し、反応を完結させた。このエステル化反応で得られたオリゴマー225部を重縮合反応槽に移し、重縮合触媒として三酸化アンチモンをテレフタル酸成分に対して40mmol%になる量にて、酢酸ナトリウム・三水和物をテレフタル酸成分に対して150mmol%になる量にて、それぞれを投入した。さらに、5−スルホイソフタル酸ジエスエル・ナトリウム塩のエチレングリコール溶液(竹本油脂株式会社製:商品名:IPGS)を、スルホイソフタル酸ジエステル・ナトリウム塩として、テレフタル酸成分に対して2.5mol%となる量、5−スルホイソフタル酸・n−ブトキシホスホニウム塩(竹本油脂株式会社製:商品名:K31)をテレフタル酸成分に対して1.5mol%となる量を添加した。さらにペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製:商品名:Irganox1010)を、テレフタル酸成分に対し0.5wt%となる量を添加した後、285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、重合槽の攪拌機電力が所定電力に到達した段階若しくは所定時間を経過した段階で反応を終了させた。さらに常法に従いチップ化して共重合ポリエステルを得た。得られたポリエステルの反応条件、品質結果を表1に示す。
実施例1において、各触媒組成などを表1の通り変更して共重合ポリエステルを得た。結果を表1に示す。なお、重合反応時間は210分を最大とし、210分以内に所定の拡販電力に到達しなかったものは、210分で強制的に反応終了とし、実施例1と同様にチップ化させた。
テレフタル酸ジメチル180部、エチレングリコール108部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルとして、テレフタル酸ジメチルに対して2.5mol%、5−スルホイソフタル酸n−ブトキシホスホネート塩として、テレフタル酸ジメチルに対して1.0mol%となるように添加した混合物に対し、酢酸ナトリウム・三水和物をテレフタル酸ジメチルに対して150mmol%、酢酸マグネシウムをテレフタル酸成分に対して30mmol%を攪拌機、精留塔等を備えたエステル交換反応槽に添加し、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールをエステル交換反応槽外に留出させながらエステル交換反応を行った。所定量のメタノールを留出した時点でエステル交換反応を終了させた。
Claims (8)
- 主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートより構成される共重合ポリエステル組成物の製造方法に関し、該ポリエステルはテレフタル酸(A)およびエチレングリコールをエステル化反応させ次いで重縮合反応をさせて製造され、スルホイソフタル酸の金属塩のビスヒドロキシアルキルエステルである5−ナトリウムスルホイソフタル酸のジヒドロキシエチルエステル(B)、及び下記化学式(I)で表される化合物(C)
が前記ポリエステルに共重合されたポリエステルであり、下記(1)〜(6)を同時に満足することを特徴とする共重合ポリエステル組成物の製造方法。
(1)テレフタル酸(PTA)とエチレングリコール(EG)を、EG/PTAモル比=1.0〜1.5となる比率でスラリー化させること
(2)化合物(B)と化合物(C)が下記式(い)及び(ろ)を同時に満足するように配合すること
3.0≦b+c≦5.0 ・・・(い)
0.2≦c/(b+c)≦0.7 ・・・(ろ)
[上記数式中、bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とする化合物(B)の共重合量(モル%)、cは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とする上記化学式(I)で表される化合物(C)の共重合量(モル%)を表す。]
(3)化合物(B)をエステル化反応終了後に添加すること
(4)化合物(C)をエステル化反応終了後に添加すること
(5)共重合ポリエステルを構成する全酸成分に対し、50〜300mmol%のナトリウム化合物を、エステル化反応終了後に添加すること
(6)共重合ポリエステルに対し、フェノール系化合物(Y)及び/又はチオエーテル系化合物(Z)を下記式(は)及び(に)を同時に満足するように配合すること。
0.2≦y+z≦4.0 ・・・(は)
0.3≦y/(y+z)≦1.0 ・・・(に)
[上記式中、yは共重合ポリエステル重量を基準とするフェノール系化合物(Y)の配合量(重量%)、zは共重合ポリエステル重量を基準とするチオエーテル系化合物(Z)の配合量(重量%)を表す。] - 共重合ポリエステルを、蒸留塔を有する1個のエステル化反応槽と、真空発生装置を有する1個の重縮合反応槽を用いて回分式で製造することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の共重合ポリエステル組成物の製造方法。
- 該共重合ポリエステル組成物中のジエチレングリコール含有量が2.5重量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合ポリエステル組成物の製造方法。
- 該共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.00dL/gの範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載の共重合ポリエステル組成物の製造方法。
- 上記化合物(C)が、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム塩である請求項1〜6のいずれか1項に記載の共重合ポリエステル組成物の製造方法。
- ナトリウム化合物が、酢酸ナトリウムである請求項1〜7のいずれか1項に記載の共重合ポリエステル組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010000413A JP5421131B2 (ja) | 2010-01-05 | 2010-01-05 | 共重合ポリエステル組成物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010000413A JP5421131B2 (ja) | 2010-01-05 | 2010-01-05 | 共重合ポリエステル組成物の製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011140528A JP2011140528A (ja) | 2011-07-21 |
JP2011140528A5 JP2011140528A5 (ja) | 2012-11-01 |
JP5421131B2 true JP5421131B2 (ja) | 2014-02-19 |
Family
ID=44456626
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010000413A Expired - Fee Related JP5421131B2 (ja) | 2010-01-05 | 2010-01-05 | 共重合ポリエステル組成物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5421131B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107604463B (zh) * | 2017-09-07 | 2020-10-02 | 江苏恒科新材料有限公司 | 一种阳离子可染聚酯纤维的制备方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09151306A (ja) * | 1995-11-30 | 1997-06-10 | Teijin Ltd | ポリエステル組成物およびその製造方法 |
JP3745872B2 (ja) * | 1997-03-05 | 2006-02-15 | 帝人ファイバー株式会社 | 防汚性共重合ポリエステルおよびそれからなるポリエステル繊維 |
MX2010007284A (es) * | 2008-01-08 | 2010-08-11 | Teijin Fibers Ltd | Fibra y poliester que se pueden teñir cationicamente a presion normal. |
JP2009249767A (ja) * | 2008-04-07 | 2009-10-29 | Teijin Fibers Ltd | ポリエステル繊維 |
-
2010
- 2010-01-05 JP JP2010000413A patent/JP5421131B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011140528A (ja) | 2011-07-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2005320533A (ja) | カチオン染料可染性及び難燃性のポリエステル重合体及びその製造方法 | |
JP4817654B2 (ja) | カチオン可染性ポリエステル及び高強力カチオン可染性ポリエステル繊維 | |
JP5480473B2 (ja) | 常圧カチオン可染性ポリエステル | |
JP2009161694A (ja) | 常圧カチオン可染性ポリエステル | |
JP5421131B2 (ja) | 共重合ポリエステル組成物の製造方法 | |
JPH07166039A (ja) | ポリエステル組成物およびその繊維 | |
JP2020111721A (ja) | 低融点及び高結晶度を有するコポリエステル | |
JP5218887B2 (ja) | 常圧カチオン可染性ポリエステル組成物及びそれからなるポリエステル繊維 | |
JP2010180273A (ja) | 常圧カチオン可染性共重合ポリエステル組成物 | |
JP2010059572A (ja) | 常圧カチオン可染性ポリエステル複合繊維 | |
US3310532A (en) | Method for preparation of modified polyesters having fiber- and film-forming properties | |
KR20040095380A (ko) | 복합사용 알칼리 이용성 코폴리에스터 중합물과 이의제조방법 및 이를 사용한 폴리에스터 복합섬유 | |
JP5216972B2 (ja) | 常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の製造方法 | |
JP2012251011A (ja) | 共重合ポリエステル組成物及びポリエステル繊維 | |
JP4361387B2 (ja) | 分割型ポリエステル複合繊維 | |
JP2013170251A (ja) | 共重合ポリエステルおよびポリエステル繊維 | |
JP5216971B2 (ja) | カチオン可染性ポリエステル繊維の製造方法 | |
JP2010180274A (ja) | 常圧カチオン可染性共重合ポリエステル組成物 | |
JP2013170250A (ja) | 共重合ポリエステル組成物およびポリエステル繊維 | |
JPH01103650A (ja) | 改質ポリエステル組成物 | |
JP3022037B2 (ja) | 改質ポリエステル組成物 | |
JP5373357B2 (ja) | 常圧カチオン可染性共重合ポリエステル及び繊維 | |
JP2009174063A (ja) | 常圧カチオン可染性ポリエステル糸条及びそれからなる仮撚加工糸 | |
JP2009161670A (ja) | カチオン可染性ポリエステル | |
JP4496030B2 (ja) | 改質ポリエステル組成物及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20110630 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20110630 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120913 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120913 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20130213 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130214 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130521 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130626 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130716 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131001 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20131009 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131029 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131121 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |