JP5420204B2 - 携帯型の物質検出装置 - Google Patents
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Description
このようなセンサにおいて、確実に検出対象物質を検出するためには、センサの劣化を自己診断して、センサを交換するのが好ましい(例えば、特許文献8参照)。
携帯型の物質検出装置において、
持ち運び可能な筐体と、
2次元又は3次元マトリックス状に配置された複数のセンサ部と、前記複数のセンサ部それぞれを外部から遮断する封止部と、を有し、前記筐体に着脱自在なマトリックスセンサと、
前記複数のセンサ部のうちの、所定のセンサ部を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定されたセンサ部に対応する前記封止部を除去する除去手段と、
前記指定手段により指定されたセンサ部による検出データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された検出データに基づいて、検出対象物質の濃度を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された検出対象物質の濃度が所定の閾値以上であるか否か判断する濃度判断手段と、
前記濃度判断手段により検出対象物質の濃度が所定の閾値以上であると判断された場合に、当該検出対象物質が検出された旨を報知する検出報知手段と、
前記マトリックスセンサを交換するよう報知する交換報知手段と、
前記センサ部が劣化しているか否か判断する劣化判断手段と、
を備え、
前記指定手段は、前記劣化判断手段によりセンサ部が劣化していると判断された場合に、未指定のセンサ部を指定し、
前記交換報知手段は、前記指定手段により前記複数のセンサ部の全てが指定された場合に、前記マトリックスセンサを交換するよう報知し、
前記センサ部は、所定の検出素子と、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、前記検出素子と前記透過膜との間に形成された検出層と、を有し、
前記複数のセンサ部のうちの少なくとも一のセンサ部における前記検出素子と前記透過膜との間の距離を、他のセンサ部における前記検出素子と前記透過膜との間の距離と異ならせることによって、検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部を備えるものとなるよう構成したことを特徴とする。
請求項1に記載の携帯型の物質検出装置において、
前記マトリックスセンサは、基板と、前記基板上に、2次元又は3次元マトリックス状に配置された前記複数のセンサ部と、前記基板上に配置され、前記センサ部同士を隔てる隔壁部と、前記センサ部の前記基板と対向する側の面を封止することによって、前記複数のセンサ部それぞれを外部から遮断する前記封止部と、を備え、
前記センサ部は、前記基板上に配置された前記検出素子と、前記検出素子上に配置され、少なくとも前記基板に対して略垂直方向に貫通する細孔を有する多孔体と、前記多孔体の細孔の内部に担持され、検出対象物質と選択的に反応する反応物質と、を有し、前記検出素子により前記反応に伴う所定の変化を検出することを特徴とする。
請求項1又は2に記載の携帯型の物質検出装置において、
前記センサ部により検出可能な検出対象物質の種類を記憶する種類記憶手段を備え、
前記検出報知手段は、前記検出対象物質が検出された旨を報知するとともに、前記種類記憶手段に記憶された当該検出対象物質の種類を報知することを特徴とする。
請求項1〜3の何れか一項に記載の携帯型の物質検出装置において、
前記検出対象物質の濃度レベルを判定するための判定データを記憶する判定データ記憶手段と、
前記濃度判断手段により検出対象物質の濃度が所定の閾値以上であると判断された場合に、前記算出手段により算出された当該検出対象物質の濃度と、前記判定データ記憶手段に記憶された判定データと、に基づいて、当該検出対象物質の濃度レベルを判定する判定手段と、
を備え、
前記検出報知手段は、前記検出対象物質が検出された旨を報知するとともに、前記判定手段により判定された当該検出対象物質の濃度レベルを報知することを特徴とする。
請求項1〜4の何れか一項に記載の携帯型の物質検出装置において、
当該物質検出装置は、携帯電話機であることを特徴とする。
すなわち、封止部によりセンサ部が外部から遮断されているため、指定されて封止部が除去されるまでは大気等への曝露に伴うセンサ部の劣化を防止することができるとともに、複数のセンサ部のうちの指定されたセンサ部のみを使用するため、指定されて使用されるまでは使用に伴うセンサ部の劣化を防止することができる。さらに、マトリックスセンサが備える複数のセンサ部全てを同時に使用するのではなく、複数のセンサ部のうちの指定されたセンサ部のみを使用(封止部を除去して使用)するため、複数のセンサ部全てを使い切るまでは、マトリックスセンサは使用可能である。したがって、個々のセンサ部の寿命が短いものであっても、マトリックスセンサのセンサとしての寿命を長くすることができ、センサ(マトリックスセンサ)を長期間交換する必要がない。
すなわち、複数のセンサ部のうちの指定されたセンサ部を使用(封止部を除去して使用)し、そのセンサ部が劣化すると、次に使用するセンサ部(封止部が除去されていない未指定のセンサ部)を指定するようになっているとともに、マトリックスセンサが備える全てのセンサ部が指定されると、マトリックスセンサを交換するよう報知するようになっているため、マトリックスセンサを長寿命化することができるとともに、マトリックスセンサのセンサとしての信頼性を高めることができる。
本実施の形態では、物質検出装置として、携帯電話機を例示するとともに、マトリックスセンサとして、酵素センサとして機能するセンサ部を有するマトリックスセンサを例示して説明することとする。
図1は本発明の携帯電話機1の正面図、図2は本発明の携帯電話機1の背面図、図3は本発明の携帯電話機1の側面図、図4は本発明の携帯電話機1の機能的構成を示すブロック図である。
収容部4a1の一側面(例えば、図1における右側面)は開口面となっており、その開口面から検出部2を挿入したり取り出したりできるようになっている。すなわち、検出部2は、本体部4の筐体4aに着脱自在となっている。
検出部2の筐体2a内には、検出対象物質を検出するマトリックスセンサ10が収容されている。例えば、図2に示すように、検出部2の筐体2aの一面には、例えば、マトリックスセンサ10の上方を覆う気体試料が透過可能なフィルタ2a1が設けられているとともに、本体部4の筐体4aの背面における収容部4a1に対応する位置には、例えば、気体試料が透過可能なガス透過口4a2が設けられている。そして、本体部4の筐体4aに検出部2が収容された状態において、ガス透過口4a2は、内側からフィルタ2a1で塞がれるようになっている。
図5は検出部2を模式的に示す図である。
具体的には、検出部2は、例えば、図4及び図5に示すように、マトリックスセンサ10と、封止除去部30と、検出データ取得部40と、検出側メモリ部51と、検出側接続部52と、などを備えて構成される。
なお、検出部2において、マトリックスセンサ10と、封止除去部30や検出データ取得部40、制御部50、メモリ部60などとは、別々に構成しても良いし、封止除去部30や検出データ取得部40、制御部50、メモリ部60などをマトリックスセンサ10と同一の基礎基板11上に形成して、集積化して構成(ワンチップ化)しても良い。また、ワンチップ化する場合は、マトリックスセンサ10と、封止除去部30や検出データ取得部40、制御部50、メモリ部60などが配置された基板と、を積み重ねることによって、多層型に構成しても良い。
図6はマトリックスセンサ10の平面斜視図、図7は図6のVII−VII線における断面図、図8は電極12が形成された基礎基板11の平面図、図9はセンサ部20の特定の仕方を説明するための図である。
また、例えば、図9に示すように、各行(X)に、上から順に「1」〜「5」の番号を割り当てるとともに、各列(Y)に、左から順に「1」〜「5」の番号を割り当てて、センサ部20を特定する際、センサ部(X,Y)と呼ぶこととする。
検出層21は、電解液(導電性のゲル状物質等であっても良い。)で満たされている。検出素子としての電極12は、検出層21に配置されており、検出対象物質と選択的に反応する反応物質(生体物質)としての酵素Eは、多孔体13に担持(固定)された状態で検出層21に含有されている。そして、供給層23の透過層22と対向する側の面(すなわち、センサ部20の基礎基板11と対向する側の面)は、除去可能な封止部17により封止されている。
すなわち、センサ部20は、検出層21に電解液と酵素Eとを含有した状態で、封止部17により外部から遮断されている。
すなわち、例えば、検出対象物質をアルコール、酵素Eをアルコールデヒドロゲナーゼとした場合、アルコールデヒドロゲナーゼが補酵素(NAD+)の存在下でアルコールを酸化する反応(アルコール+NAD+ ―(酵素E)→ アルデヒド又はケトン+NADH+H+)により生成される還元型酵素の量の変化を、作用電極121と対向電極123との間に流れる電流量の変化として電極12で検出することによって、検出対象物質を検出するようになっている。具体的には、酸化型のアルコールデヒドロゲナーゼがアルコールを酸化する反応に伴い、酸化型のアルコールデヒドロゲナーゼ(酸化型酵素)は還元型のアルコールデヒドロゲナーゼ(還元型酵素)となり、その還元型酵素は、直接的に又は電子伝達体を介して間接的に電子(e−)を作用電極121に渡して酸化型酵素に戻る。この際、作用電極121と対向電極123との間に流れる還元型酵素又は還元型電子伝達体を再酸化するための電流量を電極12で検出することによって、検出対象物質を検出するようになっている。
基礎基板11は、例えば、平面視略矩形状に形成されている。基礎基板11は、例えば、基礎基板11上面に、5×5の2次元マトリックス状に並んだ平面視略円形状の分析部111を有している。
ここで、半導体基板としては、例えば、シリコン基板等を用いることができる。
また、絶縁基板としては、例えば、ガラス基板、セラミックス基板、紙基板、木材基板等を用いることができる。
また、高分子基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのエステル類、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))などのフッ素ポリマー類、ポリエーテル類、ポリスチレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリイミド類等を用いることができる。
電極12(作用電極121、参照電極122及び対向電極123)は、例えば、図8に示すように、基礎基板11上面における分析部111の内部に形成されており、作用電極121、参照電極122及び対向電極123に対応して設けられたパッド124,124,124と配線を介して接続されている。
パッド124は、例えば、図8に示すように、基礎基板11上面における基礎基板11の縁部に形成されている。
電極用薄膜の材質としては、例えば、Al、Cr、Mo、Ta、Ti、W、Nb、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Ru、RuO2、C等及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1つを用いることができる。
また、参照電極122は銀/塩化銀電極であるのが好ましい。銀/塩化銀電極である参照電極122は、例えば、参照電極122となる電極用薄膜上に、銀/塩化銀インクを塗布してベーキングすることにより作成しても良いし、スクリーン印刷法や蒸着法、スパッタリング法などによって一旦銀電極を形成させた後に、一定電流を電解したり、塩化第2銀水溶液中に浸漬したりすることにより作成しても良い。
また、コンタクト特性や電気導電性の向上という観点から、異なる種類の金属膜を積層したものを電極用薄膜としても良い。
多孔体13は、例えば、作用電極121上に直接形成されており、基礎基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13aを有している。
多孔体13は、例えば、平面視略円形状に形成されている。多孔体13の平面視におけるサイズ(径)は、分析部111のサイズ(径)と同一又はそれ以下となるよう設定されており、多孔体13の厚み(上下方向の長さ)は、電極12と透過膜15との間の距離と同一又はそれ以下となるよう設定されている。
シリカ系メソ多孔体は、例えば、ケイ酸やアルミナなどの各種金属酸化物、ケイ酸と他種の金属との複合酸化物等によって構成することができる。
例えば、ケイ酸により構成されるシリカ系メソ多孔体の作製においては、例えば、カネマイトのような層状シリケート、アルコキシシラン、シリカゲル、水ガラス、ケイ酸ソーダ等を好ましく用いることができる。
また、多孔体13は、作用電極121上に直接形成されたシリカ系メソ多孔体に限ることはなく、例えば、シート状、バルク状、膜状、粉末状等のシリカ系メソ多孔体を個別に形成して、少なくとも作用電極121に対応する位置に細孔13a(基礎基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13a)が配置されるよう加工して、電極12(作用電極121)上に設置したものであっても良い。
また、シリカ系メソ多孔体の作製において、水ガラス等のケイ素含有物質を出発材料とする場合には、例えば、ミセルの周囲にシリケート分子を集合させて重合させることによりシリカを形成し、その後、ミセルを除去することによって細孔13aを形成することができる。この場合、通常、ミセルの形状は柱状となり、その結果、シリカ系メソ多孔体に、柱状の細孔13aが形成されることになる。
シリカ系メソ多孔体の細孔13aのサイズ(細孔13aの径)は、固定する酵素Eのサイズ(酵素Eの径)に応じて決定される。すなわち、例えば、ミセルのサイズ(ミセルの径)が、酵素Eのサイズの0.5〜2.0倍となる界面活性剤を用いてシリカ系メソ多孔体を作製することによって、細孔13aのサイズが、固定する酵素Eのサイズの0.5〜2.0倍となるシリカ系メソ多孔体を得ることができる。
また、シリカ系メソ多孔体における細孔13aの貫通方向は、少なくとも基礎基板11に対して略垂直方向を含むのであれば任意であり、ランダムであっても良い。
具体的には、シリカ系メソ多孔体の細孔13aのサイズは、例えば、固定される酵素E(酵素分子又は活性部位を含む酵素の断片)のサイズの0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される酵素Eのサイズの0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される酵素Eのサイズとほぼ同一であることが最も好ましい。すなわち、シリカ系メソ多孔体における細孔13aの直径(中心細孔直径)は、固定される酵素Eの直径の0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される酵素Eの直径の0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される酵素Eの直径とほぼ同一であることが最も好ましい。なお、具体的な中心細孔直径の値は、酵素Eの直径との関係で決定されるので一律には規定できないが、例えば、1〜50nm程度とすることができる。
ここで、酵素Eが多量体を形成する場合には、固定される酵素Eのサイズ(直径)は、多量体のサイズ(直径)とすることができる。ここで、多量体とは、2以上の酵素(タンパク質)が、直接に、又は水などの低分子を介して結合してなる化合物をいい、結合には、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合が含まれる。しかし、これらの結合の種類は、特に制限されない。
さらに、シリカ系メソ多孔体の比表面積は、例えば、200〜1500m2程度であるため、酵素Eをシリカ系メソ多孔体に固定することによって、酵素Eを電極12の表面に直接固定する場合と比較して、検出層21に多量の酵素Eを含有させることができるため、センサ部20による検出対象物質の検出を高感度化することができる。
また、シリカ系メソ多孔体の細孔13aには、基礎基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13aが含まれるため、基礎基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13aを含まない場合と比較して、酵素Eの活性中心と電極12(作用電極121)との電子移動がスムーズになるため、センサ部20による検出対象物質の検出を高速化することができる。
また、個別に形成した多孔体13を用いる場合には、上記の方法で個別に作成したメソポーラス金属やメソポーラスカーボンなどを用いる他にも、例えば、多孔質アルミナ等の多孔体、親水性テフロン膜、ナイロン膜やその他の材質(例えば、セルロース混合エステル、ポリビニリデンジフロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタートなど)からなる親水性膜、ナイロンメッシュ等のメッシュ体などであっても良い。また、酵素Eを固定するための担体は、多孔体13に限ることはなく、多孔体13と同等の機能を有するもの(電極12(作用電極121)よりも比表面積が大きく、かつ、基礎基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13a(流路)を持つもの)であれば任意であり、例えば、カーボンナノチューブ等の繊維状集合体などであっても良い。
酵素Eは、検出対象物質と選択的に反応する酵素であれば任意であり、検出対象物質の種類によって適宜変更可能である。
具体的には、酵素Eは、例えば、酸化還元酵素、加水分解酵素、転移酵素、異性化酵素などの酵素(酵素タンパク質)である。
また、酵素Eは、例えば、生来の酵素分子であっても、活性部位を含む酵素の断片であっても良い。当該酵素分子又は当該活性部位を含む酵素の断片は、例えば、動植物や微生物から抽出したものであっても良いし、所望によりそれを切断したものであっても良いし、遺伝子工学的に又は化学的に合成したものであっても良い。
具体的には、多孔体13に固定する酵素Eは、例えば、1種類の酵素であっても、分子量及び/又はサイズ(径)が略同一の2種類以上の酵素であっても、分子量及び/又はサイズが異なる2種類以上の酵素であっても良い。また、多孔体13に固定する酵素Eが2種類以上である場合、酵素Eは、例えば、同種の検出対象物質(基質)に作用する2種類以上の酵素であっても、異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても、同種及び/又は異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても良い。
ここで、特に、多孔体13に固定する酵素Eが2種類以上であって、その2種類以上の酵素が異種の検出対象物質に作用する場合、センサ部20は、その異種の検出対象物質(2種類以上の検出対象物質)を同時に検出することができる。
さらに、必要に応じて、公知の酵素固定化法(例えば、導電性高分子、グルタルアルデヒド、光架橋性樹脂等を用いる固定化法等)と併用することもできる。
また、酵素Eを多孔体13に固定した後、その多孔体13を電極12上に配置しても良いし、電極12上に多孔体13を配置した後、その多孔体13に酵素Eを固定するようにしても良い。
なお、電子伝達体は、検出層21に含有されていれば任意であり、例えば、検出層21を満たす電解液に溶解した状態で検出層21に含有されていても良いし、例えば、多孔体13の細孔13aの内部に導入(固定)された状態で検出層21に含有されていても良いし、例えば、電極12(作用電極121)に直接固定された状態で検出層21に含有されていても良い。
具体的には、電子伝達体としては、例えば、ポリアニリンなどの導電性高分子、キノンやキノン誘導体(ナフトキノンやベンゾキノンなど)などのキノン系化合物、フェロセンやフェロセン誘導体などのフェロセン系化合物、フェリシアン化カリウム、オスミウム錯体、各種ビタミン、ビオロゲン等が挙げられる。
なお、補酵素は、検出層21に含有されていれば任意であり、例えば、検出層21を満たす電解液に溶解した状態で検出層21に含有されていても良いし、例えば、多孔体13の細孔13aの内部に導入(固定)された状態で検出層21に含有されていても良いし、例えば、電極12(作用電極121)に直接固定された状態で検出層21に含有されていても良い。
また、補酵素300は、例えば、補因子としての各種金属原子や金属イオン、金属錯体、各種色素など(例えば、Fe2+、Mn2+、Cu2+、Zn2+、Co3+等)とともに検出部10に含有されていても良い。
隔壁部14は、例えば、平面視略矩形状に形成されており、分析部111に対応する領域に、上下方向に貫通する開口部を有している。分析部111内及び隔壁部14の開口部内が、センサ部20の検出層21となる。すなわち、センサ部20,20同士は、隔壁部14によって隔てられている。
また、隔壁部14は、例えば、陽極酸化アルミナ等の、基礎基板11に対して略垂直方向に貫通する貫通孔を有する構造体であっても良い。
透過膜15は、例えば、平面視略矩形状に形成されており、例えば、基礎基板11の上面に熱圧着、熱融着又は接着されることによって、基礎基板11上に固定されている。
ここで、ガス透過膜としては、例えば、通気性を有するポリエチレン膜やテフロン膜などを用いることができる。
スペーサ16は、例えば、平面視略矩形状に形成されており、分析部111に対応する領域に、上下方向に貫通する開口部を有している。
スペーサ16の開口部内が、センサ部20の供給層23となる。
封止部17は、例えば、平面視略矩形状に形成されており、例えば、スペーサ16の上面に熱圧着されたり接着されたりして、スペーサ16上に形成されている。
貼り合わせによる封止部17の形成には、例えば、STP法を用いることができる。すなわち、まず、シートフィルムに予め塗布形成した樹脂膜を、真空中でスペーサ16に熱圧着する。次いで、シートフィルムを樹脂膜から剥離し、スペーサ16に貼り付けられた樹脂膜を、300℃程度の温度で1時間程度保持する熱処理により硬化する。これにより、封止膜が形成される。樹脂膜は、例えば、ポリアミド、ポリアミド酸、ポリベンゾオキサゾール(若しくはこの前駆体)などのベース樹脂(ポリイミド)を使用することができる。
ここで、ガス不透過性の膜状部材としては、例えば、塩化ビニル膜などの高分子材料製の膜状部材、アルミ薄膜、これらに高分子材料をラミネートしたもの、特性の異なる高分子材料同士をラミネートしたもの、SiN膜、SiO2 膜、TEOS膜又はこれらの複合膜等を用いることができる。
透過膜15上に直接、封止部17を形成する場合、封止部17の形成に、例えば、STP法を用いるのであれば、シートフィルムに予め塗布形成した樹脂膜を、真空中で透過膜15に熱圧着すればよい。
カバー部18は、各センサ部20に気体試料や液体試料を供給するための上下方向に貫通する供給口を有しており、当該供給口が分析部111に対応するように、封止部17の上面に形成または配置されている。カバー部18は、例えば、封止部17上に絶縁性の光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などを用いてフォトリソグラフィー、スクリーン印刷等により形成することもできるし、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁物をスパッタ法により堆積形成することもできるし、例えば、半導体製の板状部材、絶縁体製の板状部材、高分子材料製の板状部材等に、エッチング等によって開口部を形成することにより予め作成したものを封止部15の上面に熱圧着、熱融着又は接着することによって、透過膜15上に固定して形成することもできる。
封止除去部30は、例えば、検出側接続部52を介して本体部4の制御部70から入力される制御信号に従って、除去手段として、指定されたセンサ部20に対応する封止部17を除去する。
具体的には、封止除去部30は、例えば、図5に示すように、封止部17を機械的に除去する除去部材31と、除去部材31を移動させる移動部32と、移動部32を移動させる駆動部33と、などを備えて構成される。
また、封止除去部30は、例えば、封止部17の上部に一体化して設けることもできる。封止除去部30を封止部17の上部に一体化して設けることができる場合とは、例えば、透過膜15として耐熱性の高い膜を用いるとともに、封止部17を耐熱性の低い部材で形成し、封止部17に封止除去部30として抵抗部を配置して、電圧印加等の熱で封止部17を焼き切ることにより封止部17を除去する場合等である。この場合、機械的な除去手段を必要としないため、移動部32及び駆動部33は必要ではない。
図10は検出データ取得部40の駆動回路を示す図、図11は作用電極121に接続されたアドレシング可能な能動素子(AC)を示す回路図であり、図12〜図14は図11に示す能動素子(AC)の一例を示す回路図である。
すなわち、検出データ取得部40は、例えば、指定されたセンサ部20について、参照電極122に対して作用電極121に所定の電圧値の電圧を印加し、その際に作用電極121から出力される電流の電流値(応答電流値)を取得して、検出側接続部52を介して制御部70に出力する。
具体的には、セレクト回路41は、例えば、図10に示すように、作用電極121とポテンショスタット回路42との接続をON/OFFするセレクタスイッチ411と、検出側接続部52を介して制御部70から入力される制御信号に従ってセレクタスイッチ411を制御する回路412(ドライブ回路(能動素子)及びシフトレジスタ回路)と、などを備えて構成される。
能動素子(AC)は、例えば、図11に示すように、マトリックスセンサ10が有する作用電極121それぞれに対応して設けられており、信号線AXと信号線BYとに接続されてアドレシング可能となっている。
能動素子(AC)としては、例えば、図12に示すような、2つのダイオードで構成された能動素子、図13に示すような、コンデンサと接続した抵抗を持つダイオードで構成された能動素子、図14に示すような、MOSトランジスタで構成された能動素子などを用いることができる。図11図14
具体的には、シフトレジスタを含む回路41は、例えば、制御部70から行(X)と列(Y)が指定されると、対応する信号線AX及び信号線BYに信号を供給して、センサ部(X,Y)が備える作用電極121(WXY)と、ポテンショスタット回路42と、の接続をONする。
より具体的には、シフトレジスタを含む回路41は、例えば、制御部70から「行(X)=2、列(Y)=5」を選択する旨のデータが送付されると、信号線A2及び信号線B5に信号を供給して、センサ部(2,5)が備える作用電極121(W25)と、ポテンショスタット回路42と、の接続をONする。
ポテンショスタット回路42は、制御部50からの信号及びデータにより、順次、D/A変換器412、制御アンプ422、電位計測回路423へ電圧を設定・出力、及びそれに同期させてセレクタスイッチ411を切り替えて対応する作用電極121を選択して順次連続的に電流値を取り込むことにより、シングルチャンネルで複数のセンサの出力を取り込むことができ、マルチチャンネル回路の役割を果たすことができる。したがって、コスト及び面積を大幅に削減することができる。
具体的には、ポテンショスタット回路42は、例えば、図10に示すように、D/A変換器421と、制御アンプ422と、電位計測回路423と、電流電圧変換回路424と、A/D変換器425と、などを備えて構成される。
対向電極123の制御アンプ422は、例えば、参照電極122の電位を計測する電位計測回路423と接続されており、参照電極122の電位を基準にして、D/A変換器421から入力された電圧データに相当する電圧値を、対向電極123に印加する。
そして、その際に作用電極121から出力される応答電流は、例えば、電流電圧変換回路424で電圧信号(アナログ信号)に変換され、A/D変換器425でデジタル信号に変換されて、検出側接続部52を介して制御部70に出力されるようになっている。
検出側メモリ部51は、例えば、磁気的記録媒体、光学的記録媒体、或いは、半導体メモリで構成されている。
ここで、マトリックスセンサ情報とは、例えば、マトリックスセンサ10を識別するためのマトリックスセンサ識別情報と、マトリックスセンサ10(マトリックスセンサ10が有するセンサ部20)により検出可能な検出対象物質の種類と、検出対象物質の濃度レベルを判定するための判定データと、などの情報である。
なお、マトリックスセンサ情報は、例えば、本体部4の筐体4aに検出部2が収容されて、検出側接続部52と本体側接続部86とが接触すると、制御部70が、検出側メモリ部51から取得して、本体側メモリ部85に記憶させるようにしても良い。
無論、各濃度レベルに対応する検出対象物質の濃度の範囲は、検出対象物質の種類によって適宜変更可能である。
なお、濃度レベルの個数は、濃度レベル1〜濃度レベル4の4つに限ることはなく、複数であれば任意である。
具体的には、検出側接続部52は、例えば、図4に示すように、封止除去部30や検出データ取得部40、検出側メモリ部51などと接続しており、本体部4の筐体4aに検出部2が収容されて、検出側接続部52と本体側接続部86とが接触すると、封止除去部30や検出データ取得部40、検出側メモリ部51などは、検出側接続部52及び本体側接続部86を介して、本体部4の制御部70と接続できるようになっている。
また、マトリックスセンサ10の上方は、検出部2の筐体2aに設けられたフィルタ2a1で覆われているため、気体試料は、例えば、本体部4の筐体4aに設けられたガス透過口4a2を透過して、フィルタ2a1を透過し、そして、マトリックスセンサ10が備えるセンサ部20のうちの、封止部17が除去されたセンサ部20の供給層23に供給されるようになっている。
本体部4は、例えば、携帯電話機として機能するとともに、検出部2による検出データに基づいて、検出対象物質の濃度を算出して、必要であれば所定の警告を行う装置である。
具体的には、本体部4は、例えば、図4に示すように、制御部70と、操作部81と、表示部82と、スピーカ部83と、バイブレータ部84と、本体側メモリ部85と、本体側接続部86と、などを備えて構成されている。
なお、本体部4の携帯電話機としての構成は、公知の携帯電話機と略同一であるため、詳細な説明は省略する。
制御部70は、例えば、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)71と、RAM(Random Access Memory)72と、記憶部73と、などを備えている。
CPU71は、かかる劣化判断プログラム731を実行することによって、劣化判断手段として機能する。
CPU71は、かかるセンサ部指定プログラム732を実行することによって、指定手段として機能する。
なお、CPU71は、検出データ取得部40から入力された検出データを、例えば、検出側メモリ部51及び/又は本体側メモリ部85に記憶させたり、表示部82に表示させたりするようになっている。
なお、CPU71は、算出された検出対象物質の濃度を、例えば、検出側メモリ部51及び/又は本体側メモリ部85に記憶させたり、表示部82に表示させたりするようになっている。
また、CPU71は、検量線と、検出データと、に基づいて、検出対象物質の濃度を算出できない場合、例えば、所定のエラー表示を表示部82に表示させるようになっている。
CPU71は、かかる濃度算出プログラム735を実行することによって、算出手段として機能する。
より具体的には、判定データが、例えば、「濃度レベル1:100ppb以上500ppb未満」、「濃度レベル2:500ppb以上800ppb未満」、「濃度レベル3:800ppb以上1000ppb未満」、「濃度レベル4:1000ppb以上」である場合、CPU71は、例えば、最も低い濃度レベル“濃度レベル1”に対応する濃度範囲“100ppb以上500ppb未満”の下限“100ppb”を所定の閾値として取得して、算出された濃度が、その所定の閾値以上であるか否かを判断する。
CPU71は、かかる濃度判断プログラム736を実行することによって、濃度判断手段として機能する。
より具体的には、判定データが、例えば、「濃度レベル1:100ppb以上500ppb未満」、「濃度レベル2:500ppb以上800ppb未満」、「濃度レベル3:800ppb以上1000ppb未満」、「濃度レベル4:1000ppb以上」であり、算出された濃度が、例えば、700ppbである場合、CPU71は、例えば、“濃度レベル2”を検出対象物質の濃度レベルとして判定する。
CPU71は、かかる濃度レベル判定プログラム737を実行することによって、判定手段として機能する。
操作部81は、例えば、図1に示す本体部4の筐体4aの正面側に配置された操作キーなどから構成され、ユーザにより操作されると、当該操作信号を制御部70に出力する。
表示部82は、例えば、図1に示す本体部4の筐体4aの正面側に配置されたLCD(Liquid Crystal Display)パネルなどから構成され、例えば、制御部70から入力される制御信号に従って、所与の表示処理を行う。
より具体的には、例えば、マトリックスセンサ10により検出可能な検出対象物質の種類が「一酸化炭素」である場合、検出対象物質の濃度レベルが“濃度レベル1”のときは、例えば、「低濃度の一酸化炭素を検出しました。念のため注意してください」等の表示が表示部82に表示され、検出対象物質の濃度レベルが“濃度レベル2”のときは、例えば、「中濃度の一酸化炭素を検出しました。注意してください」等の表示が表示部82に表示され、検出対象物質の濃度レベルが“濃度レベル3”のときは、例えば、「やや高濃度の一酸化炭素を検出しました。注意してください」等の表示が表示部82に表示され、検出対象物質の濃度レベルが“濃度レベル4”のときは、例えば、「高濃度の一酸化炭素を検出しました。注意してください」等の表示が表示部82に表示される。
スピーカ部83は、例えば、図2に示すように、本体部4の筐体4aの背面側から音を出力できるように配置され、例えば、制御部70から入力される制御信号に従って、所与の音出力処理を行う。
ここで、制御部70は、例えば、スピーカ部83から出力される音の音パターンや音量を使い分けることによって、検出対象物質の種類や濃度レベルを報知するようになっている。
バイブレータ部84は、例えば、制御部70から入力される制御信号に従って、所与の振動発生処理を行い、本体部4の筐体4aを振動させる。
ここで、制御部70は、例えば、バイブレータ部84から発生される振動の振動パターンや振動の大きさを使い分けることによって、検出対象物質の種類や濃度レベルを報知するようになっている。
本体側メモリ部85は、例えば、磁気的記録媒体、光学的記録媒体、或いは、半導体メモリで構成され、例えば、制御部70から入力される制御信号に従って、所定のデータを記憶する。
携帯電話機1による検出対象物質の濃度の測定に関する処理の一例について、図15及び図16のフローチャートを参照して説明する。
具体的には、例えば、検出する検出対象物質の種類を変更する方法としては、例えば、この設定画面において、携帯電話機1(マトリックスセンサ10)で検出可能な検出対象物質の種類の中から少なくとも1つを選択して変更する方法等が挙げられる。
また、現在設定されている判定データ(各濃度レベルに対応する検出対象物質の濃度の範囲)を変更する方法としては、例えば、この設定画面において、各濃度レベルに対応する検出対象物質の濃度の範囲を選択して変更する方法等が挙げられる。
また、現在設定されている報知濃度レベルを変更する方法としては、例えば、この設定画面において、「濃度レベル1以上で報知」、「濃度レベル2以上で報知」、「濃度レベル3以上で報知」及び「濃度レベル4で報知」のうちの何れか1つを選択して変更する方法等が挙げられる。
また、現在設定されている報知の仕方を変更する方法としては、例えば、この設定画面において、「表示部82に表示して報知」、「スピーカ部83から音を出力して報知」及び「バイブレータ部84から振動を発生して報知」のうちの少なくとも1つを選択して変更する方法等が挙げられる。
具体的には、ユーザは、設定画面に表示されている設定内容に同意する場合、例えば、操作部81を操作して、設定画面上に表示されている「設定OK」ボタンを選択するようになっている。
具体的には、CPU71は、例えば、本体部4に取り付けられた検出部2に内蔵されているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10が未使用のマトリックスセンサであるか否か判断する。
ここで、使用履歴とは、例えば、本体部4に取り付けられた検出部2に内蔵されているマトリックスセンサ10を識別するためのマトリックスセンサ識別情報と、封止部17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報と、その封止部17が除去された日時と、などが対応付けられた情報であり、例えば、検出側メモリ部51及び/又は本体側メモリ部85に記憶されている。
具体的には、CPU71は、例えば、本体部4に取り付けられた検出部2に内蔵されているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部17が除去された日時)”に基づいて、前回の検出に使用したセンサ部20が劣化しているか否か判断する。
具体的には、CPU71は、例えば、本体部4に取り付けられた検出部2に内蔵されているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部17が除去されたセンサ部20を識別するためのセンサ部識別情報)”に基づいて、そのマトリックスセンサ10が備えるセンサ部20の中に封止部17が除去されていない未指定のセンサ部20があるか否か判断する。
ここで、この表示部82、スピーカ部83及び/又はバイブレータ部84による報知は、例えば、ユーザによる操作部81の操作によって、その警告(報知)を終了するよう指示された場合等に終了することとする。
具体的には、例えば、指定されたセンサ部20が備える作用電極121への電圧印加を開始する。
ここで、この表示部82、スピーカ部83及び/又はバイブレータ部84による報知は、例えば、ユーザによる操作部81の操作によって、その警告(報知)を終了するよう指示された場合等に終了することとする。
具体的には、CPU71は、例えば、本体部4に取り付けられた検出部2に内蔵されているマトリックスセンサ10の“使用履歴(例えば、封止部17が除去された日時)”に基づいて、使用中のセンサ部20が劣化したか否かを判断する。
無論、ステップS11〜ステップS26の間に、ユーザによる操作部81の操作等によって、検出対象物質の濃度の測定を中止するよう指示されると、CPU71は、その時点で、自己プロテクト機能をOFFにして、本処理を終了する。
なお、携帯電話機1による検出対象物質濃度測定処理は、携帯電話機1のその他の機能(通話、メール受信、インターネット接続等)がONされている場合であっても、実行可能である。
すなわち、封止部17によりセンサ部20が外部から遮断されているため、指定されて封止部17が除去されるまでは大気等への曝露に伴うセンサ部20の劣化を防止することができるとともに、複数のセンサ部20のうちの指定されたセンサ部20のみを使用するため、指定されて使用されるまでは使用に伴うセンサ部20の劣化を防止することができる。さらに、マトリックスセンサ10が備える複数のセンサ部20全てを同時に使用するのではなく、複数のセンサ部20のうちの指定されたセンサ部20のみを使用(封止部17を除去して使用)するため、複数のセンサ部20全てを使い切るまでは、検出部2(マトリックスセンサ10)は使用可能である。したがって、個々のセンサ部20の寿命が短いものであっても、マトリックスセンサ10のセンサとしての寿命を大幅に増加することができ、検出部2(マトリックスセンサ10)を長期間交換する必要がない。そのため、センサ交換に要する時間や煩わしさ、さらには、コストを抑えることができる。また、個々のセンサ部20が小さいため、動作時の消費電力を小さくすることができる。
特に、センサ部20が高温で動作させるセンサである場合は、使用による電極劣化が顕著であるが、マトリックスセンサ10にすることでセンサとしての寿命を大幅に延ばすことができる。
すなわち、複数のセンサ部20のうちの指定されたセンサ部20のみを使用(封止部17を除去して使用)し、そのセンサ部20が劣化すると、次に使用するセンサ部20(封止部17が除去されていない未指定のセンサ部20)を指定するとともに、マトリックスセンサ10が備える全てのセンサ部20が指定されると、検出部2(マトリックスセンサ10)を交換するよう報知するようになっているため、マトリックスセンサ10のセンサとしての寿命を大幅に増加することができるとともに、マトリックスセンサ10のセンサとしての信頼性を高めることができる。
すなわち、検出対象物質と選択的に反応する酵素Eを多孔体13に固定しているため、酵素Eを電極12上に直接固定する場合と比較して、センサ部20が備える酵素Eの量が増加し、マトリックスセンサ10を小型化しても、センサ部20が高感度となる。
したがって、酵素Eを電極12上に直接固定する場合と比較して、より小型の高感度検出部2(マトリックスセンサ10)の提供が可能となるため、好適である。
さらに、多孔体13は、基礎基板11に対して略垂直方向に貫通する細孔13aを有する多孔体であるため、反応物質(酵素E)を適度に分散でき、しかも、基質や生成物の拡散性が良いので、センサ感度の向上が期待できる。
したがって、ユーザに、検出対象物質が検出された旨とともに、その検出対象物質の種類を知らせることができるため、好適である。
したがって、ユーザに、検出対象物質が検出された旨とともに、検出対象物質の濃度レベルを知らせることができるため、好適である。
なお、実施の形態において、電極12の対向電極123は、図8及び図10に示すようなセンサ部20それぞれに対応して個別に形成されたものに限ることはなく、例えば、図17及び図18に示す電極12Aの対向電極123Aのように、一体的に形成されていても良い。ここで、図17においても、図8と同様、ドットパターンで塗りつぶした部分が電極12A(作用電極121A、参照電極122A及び対向電極123A)である。
この場合、電極12A(作用電極121A、参照電極122A及び対向電極123A)は、公知の方法により、ビアホールを介して、基礎基板11背面の配線パターンと電気的に接続されている。
なお、実施の形態において、マトリックスセンサ10は、図6及び図7に示すような、酵素Eの特性を利用した電流値検出型センサとして機能するセンサ部20を有するものに限ることはなく、例えば、図19及び図20に示すマトリックスセンサ10Bのように、酸化物半導体粒子等の触媒Cの特性を利用した抵抗値検出型センサとして機能するセンサ部20Bを有するものであっても良い。
図19はマトリックスセンサ10Bの平面斜視図、図20は図19のXX−XX線における断面図、図21は電極12Bが形成された基礎基板11Bの平面図である。
検出層21は、所定の気体で満たされている。検出素子としての電極12Bは、検出層21に配置されており、検出対象物質と選択的に反応する反応物質としての触媒Cは、多孔体13Bに担持(固定)された状態で検出層21に含有されている。以下、多孔体13Bと、多孔体13Bに担持された触媒Cと、により構成される層を「感応層L」と呼ぶ。そして、供給層23の透過層22と対向する側の面(すなわち、センサ部20Bの基礎基板11Bと対向する側の面)は、除去可能な封止部17Bにより封止されている。
すなわち、センサ部20Bは、検出層21に所定の気体と感応層Lとを含有した状態で、封止部17Bにより外部から遮断されている。
すなわち、例えば、検出対象物質を一酸化炭素(CO)、触媒Cを酸化スズ(SnO2)等のn型半導体微粒子とした場合、触媒C(半導体)の表面に吸着している酸素がCOと反応することによって変化する触媒Cの電気抵抗を、電極12Bで検出することにより、検出対象物質を検出するようになっている。具体的には、酸化スズ(SnO2)等のn型半導体微粒子は、空気中では、表面に酸素が吸着して、その酸素に半導体中の電子が引き寄せられるため、半導体表面に電気伝導度が低い電子欠損層が存在し、電気抵抗が高い状態となるが、還元性ガスであるCOを供給すると、吸着している酸素がCOと反応してCO2を生成して半導体表面から脱離し、その酸素に引き寄せられていた電子が半導体中に戻るため、電気伝導度が高くなり、電気抵抗が低下する。触媒Cを含む感応層Lの電気抵抗の変化率は、検出対象物質の濃度に依存するため、電気抵抗値の変化量を電圧値に変換して電極12Bで検出することによって、検出対象物質を検出するようになっている。
基礎基板11Bは、例えば、平面視略矩形状に形成されている。基礎基板11Bの材質は、絶縁体であれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、アルミナ、シリカ、ガラス等を用いることができる。
電極12B(櫛型の第1検出電極125B及び第2検出電極126B)は、例えば、図21に示すように、基礎基板11B上面における分析部111の内部に形成されている。
電極12B(第1検出電極125B及び第2検出電極126B)は、例えば、公知の方法により、ビアホールを介して、基礎基板11B背面の配線パターンと電気的に接続されている。
電極用薄膜の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、白金、金、白金パラジウム合金等、従来の基板型半導体式ガスセンサと同様の材質を用いることができる。特に、白金は、耐久性に優れた材料であり、好ましく適用することができる。
感応層Lは、例えば、多孔体13Bと、多孔体13Bに担持された触媒Cと、により構成されている。
多孔体13Bは、例えば、第1検出電極125B及び第2検出電極126Bの一部を覆うように、例えば、平面視略長方形状に形成されている。
金属多孔体としては、公知の方法で作成したメソポーラス金属やメソポーラスカーボンなどが挙げられる。金属多孔体は、ハードテンプレート法(メソポーラスシリカを鋳型として用いそのレプリカを合成する手法)やソフトテンプレート法(リオトロピック液晶を直接鋳型とする手法)などにより、第1検出電極125B及び第2検出電極126B上に(並びに、第1検出電極125Bと第2検出電極126Bとの間の領域の基礎基板11B上に)直接、基礎基板11Bに対して略垂直方向に合成することができる。
また、触媒Cを含んだ構造(例えば、Pt−SnO2)として、電極12B上又は基礎基板11B上に多孔体13Bを直接合成し、かつ、メソポーラス多孔体の骨格はナノ粒子の連結により形成することができる。この場合、表面積の増大に加え、触媒活性の向上により、さらに検出対象物質の検出感度を高めることができる。
カーボンナノチューブを使用する場合、単層、多層の何れのカーボンナノチューブでも適用可能であるが、特に単層のカーボンナノチューブで半導体的性質を有するものが好ましい。
隔壁部14Bは、例えば、基礎基板11B上に電極12Bを形成する前に、基礎基板11B上面にエッチング加工等して形成されており、隔壁部14Bの開口部内には、一対の検出電極(第1検出電極125B及び第2電極126B)が対向して配置されている。
透過膜15Bは、例えば、基礎基板11CB上面に熱融着されたり接着されたりして、基礎基板11B上に固定されている。
なお、マトリックスセンサ10Bにおいては、透過膜15Bは、必ずしも備える必要はないが、封止部17Bが除去された後のセンサ部20B未使用時に湿気や空気中の浮遊物などが触媒Cや電極12Bに吸着して触媒Cや電極12Bが劣化してしまうのを防ぐ等の観点から、備えている方が望ましい。また、透過膜の特性(厚み、細孔径、材質等)を変えることで、センサ部20Bの検出濃度範囲の調整することができるので、この点でも、透過膜15Bは備えている方が望ましい。
スペーサ16Bは、例えば、スパッタやプラズマCVD法を用いてシリコン酸化膜や窒化膜のような絶縁層を堆積することにより形成する。或いは、例えば、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などを用いてフォトリソグラフィー法等により透過膜15B上に直接形成しても良い。
封止部17Bは、例えば、STP法を用いて形成することができる。すなわち、まず、シートフィルムに予め塗布形成した樹脂膜を、真空中でスペーサ16Bに熱圧着する。次いで、シートフィルムを樹脂膜から剥離し、スペーサ16Bに貼り付けられた樹脂膜を、300℃程度の温度で1時間程度保持する熱処理により硬化する。これにより、封止膜が形成される。樹脂膜は、例えば、ポリアミド、ポリアミド酸、ポリベンゾオキサゾール(若しくはこの前駆体)などのベース樹脂(ポリイミド)を使用することができる。
カバー部18Bは、例えば、封止部17B上面における分析部111に対応する領域以外の部分に、シリコン酸化膜をスパッタ法により堆積して形成することができる。
この場合、複数のセンサ部20それぞれによる検出データを統計処理した結果に基づいて、検出対象物質の濃度を算出するため、携帯電話機1の濃度測定精度を高めることができる。
ここで、各検出データを加算する処理とは、例えば、検出対象物質が異なるセンサ部20を複数用意して、各センサ部20による検出データの和を取る処理である。具体的には、センサ部Aの検出対象物質がホルムアルデヒドであり、センサ部Bの検出対象物質がベンゼンであり、センサ部Cの検出対象物質がキシレンであり、センサ部Dの検出対象物質がトルエンである場合、各センサ部20による検出データの和をVOC(揮発性有機化合物)と定義して、この和に基づいて、VOCの濃度を算出することができる。
また、各検出データの差分を取る処理とは、例えば、検出対象物質が異なるセンサ部20を複数用意して、各センサ部20による検出データの差を取る処理である。具体的には、センサ部Aの検出対象物質が水素化合物及び硫黄系物質であり、センサ部Bの検出対象物質が硫黄系物質のみである場合、各センサ部20の検出データの差に基づいて、水素化合物の濃度を算出することができる。
この場合、差分用センサ部は、検出対象物質と酵素Eとの反応に伴う所定の変化を検出する際に観測されるドリフトのみを検出することができる。したがって、差分を取ることにより、検出対象物質と酵素Eとの反応に伴う所定の変化のみを検出することができるため、携帯電話機1の濃度測定精度を高めることができるとともに、ドリフトが収束(バックグラウンドが安定)するまで待機する必要がないため、携帯電話機1による濃度測定を高速化することができる。
この場合、検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部20を備えるという簡易な構成で、携帯電話機1(マトリックスセンサ10)全体では、広範な検出濃度範囲を有することができるとともに、複数種類のセンサ部20のうちの最適な検出濃度範囲を有するセンサ部20で検出対象物質を検出することができるため、検出対象物質の濃度が未知であっても、適切な検出濃度範囲で当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を算出することができる。
また、例えば、センサ部20の供給層23に対する気体試料の供給速度を変化させることによって、センサ部20の検出濃度範囲を調整することもできる。この場合、供給速度が速いほど、検出濃度範囲は低濃度側となり、供給速度が遅いほど、検出濃度範囲は高濃度側となる。
透過膜15も、一体的に形成されたものに限ることはなく、例えば、各センサ部20それぞれに対応して個別に形成されていても良い。
また、検出対象物質の濃度を測定する前に、標準試料(検出対象物質の濃度が一定の気体試料)中の検出対象物質を検出し、その際の感度(検出データ(応答電流値))に基づいて、キャリブレーションを行うようにしても良い。この場合、センサ部20が劣化等して、センサ部20の感度が低下していても、そのセンサ部20が検出対象物質を検出できない状態になるまでは、そのセンサ部20を使用して検出対象物質の濃度を測定できるため、本発明のマトリックスセンサを長寿命化することができるとともに、本発明のマトリックスセンサのセンサとしての信頼性を高めることができ、好適である。ここで、センサ部20が検出対象物質を検出できない状態とは、例えば、検出対象物質を供給しても応答電流が上昇しない状態等である。
また、最初の劣化判断をせずに、同時に複数のセンサ部20を動作させ、検出データの平均から極端に値がずれたものを“故障したセンサ部”として除外することにより劣化を検出する(そのセンサ部20はそれ以降、使用しない)こともできる。
さらに、実施の形態において、酵素Eは、多孔体13に固定された状態で検出層21に含有されていなくても良く、例えば、多孔体13以外の担体(例えば、カーボンナノチューブやシリカナノチューブなど)に固定された状態で検出層21に含有されていても良いし、電極12に直接固定された状態で検出層21に含有されていても良いし、検出層21を満たす電解液に溶解した状態(遊離酵素の状態)で検出層21に含有されても良い。
さらに、実施の形態において、酵素Eは、予め検出層21に含有されていなくても良く、例えば、封止部17が除去された後に検出層21に導入されても良い。
なお、電解液も酵素Eも予め検出層21に含有されない場合には、センサ部20は、封止部17で封止されていなくても良い。この場合、電解液や酵素Eなどの検出層21への導入は、公知のMEMS等の微細加工技術やフォトリソ等の半導体技術などを利用して、マイクロ流路やマイクロポンプをチップ上に直接、或いは、個別に形成して、これらを用いて導入することもできる。
具体的には、検出層21に含有される生体物質は、酵素Eに限るものではなく、検出対象物質と選択的に反応する生体物質であれば任意である。具体的には、検出対象物質と選択的に反応する生体物質としては、例えば、酵素E等の生体触媒、抗原、抗体、脂質、細胞、菌、DNA、糖鎖等を用いることができる。
さらに、検出層21に含有される反応物質は、生体物質に限ることはなく、検出対象物質と選択的に反応する物質であれば任意である。具体的には、検出対象物質と選択的に反応する物質としては、例えば、上記生体物質、金属触媒、有機触媒、無機触媒、各種ポリマー、ポリマーコンプレックス、ポリイオンコンプレックス、吸光物質、蛍光物質等を用いることができる。特に、金属触媒としては、白金、パラジウム、ニオブ、イリジウム、タンタル、ニッケル、鉄、コバルト、ベリリウム、タングステン、ロジウム、ジルコニウム、銅、モリブデン、チタン、ルテニウム、タリウムなどの金属又はこれらの合金、さらには、酸化スズSnO2、酸化亜鉛ZnO、酸化第二鉄Fe2O3、四三酸化鉄Fe3O4、アルミナAl2O3、酸化マグネシウムMgO、酸化チタンTiO2、ニ酸化モリブデンMnO2、三酸化モリブデンMnO3、酸化ニッケルNi2O3、酸化クロムCr2O3などのいずれかの酸化物或いは多孔質金属酸化物、又はこれらの複合酸化物を用いることができる。検出層21に含有される反応物質の種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
なお、検出層21を満たす電解液は、検出層21に含有される反応物質の種類に応じて、適宜変更可能である。具体的には、検出層21に含有される反応物質が金属触媒(金属酸化物等)である場合は、金属酸化物半導体式センサなど、センサの検出方法によっては、電解液を入れてはいけない。また、検出層21及び供給層23(透過膜15と封止部17との間の部分)を窒素等の気体で満たすと良い場合もある。
さらに、センサ部20は検出素子を備えていなくても良い。この場合の検出法としては、例えば、センサ部20(マトリックスセンサ10)の外部から、光学的検出法等によって、化学発光、吸光、蛍光、プラズモン現象等を検出することにより、検出対象物質を検出する方法等を用いることができる。
同様に、カンチレバー式センサは、例えば、検出対象物質とカンチレバー表面との相互作用により生じる表面応力の変化を、カンチレバーのたわみ量(変位量)により検出するというものであるが、カンチレバーが検出対象物質に接触させる前後において、カンチレバーの変位量を測定することにより、検出対象物質を検出するセンサである。
ここで、電極式センサのうち、電極と酵素(生体物質)とを組み合わせたものが、実施の形態のセンサ部20(電極式の酵素センサ)に対応する。
また、センサ部20が触媒燃焼式センサや金属酸化物半導体式センサなどとして機能する場合は、必ずしも隔壁部14を備える必要はないが、電気的なクロストークの防止や使用部周辺への熱拡散の防止などの観点から、隔壁部14を備えるのが好ましい。
なお、触媒燃焼式センサや金属酸化物半導体式センサなどは素子を高温で使用するため、小型にすると使用による電極劣化或いは触媒の剥離や亀裂などの発生が顕著である。したがって、これらを本発明のマトリックスセンサにすることで、センサとしての寿命を大幅に増加することができる。
検出部2がマトリックスセンサ10のみを備える場合は、本体部4に、封止除去部30や検出データ取得部40を備える必要がある。
検出部2が制御部70を備える場合は、本体部4に、制御部70を備えなくても良い。検出部2に封止除去部30、検出データ取得部40、検出側メモリ部51、操作部81、表示部82、スピーカ部83又はバイブレータ部84を備える場合も同様である。
また、検出部2が、マトリックスセンサ10に加えて、封止除去部30、検出データ取得部40、検出側メモリ部51、制御部70、操作部81、表示部82、スピーカ部83及びバイブレータ部84を備える場合、本発明の筐体(筐体4a)は、例えば、携帯可能な電子機器の筐体に限ることはなく、所定の携帯物(例えば、文房具や財布、カードホルダーなど)であっても良い。
また、検出報知手段及び交換報知手段は、表示部82、スピーカ部83及びバイブレータ部84のうちの少なくとも1つであれば良い。
4a 筐体
10 マトリックスセンサ
11 基礎基板(基板)
12 電極(検出素子)
13 多孔体
13a 細孔
14 隔壁部
17 封止部
20 センサ部
30 封止除去部(除去手段)
40 検出データ取得部(取得手段)
51 検出側メモリ部(種類記憶手段、判定データ記憶手段)
82 表示部(検出報知手段、交換報知手段)
83 スピーカ部(検出報知手段、交換報知手段)
84 バイブレータ部(検出報知手段、交換報知手段)
71 CPU(劣化判断手段、指定手段、算出手段、濃度判断手段、判定手段)
731 劣化判断プログラム(劣化判断手段)
732 センサ部指定プログラム(指定手段)
735 濃度算出プログラム(算出手段)
736 濃度判断プログラム(濃度判断手段)
737 濃度レベル判定プログラム(判定手段)
E 酵素(反応物質(生体物質))
Claims (5)
- 持ち運び可能な筐体と、
2次元又は3次元マトリックス状に配置された複数のセンサ部と、前記複数のセンサ部それぞれを外部から遮断する封止部と、を有し、前記筐体に着脱自在なマトリックスセンサと、
前記複数のセンサ部のうちの、所定のセンサ部を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定されたセンサ部に対応する前記封止部を除去する除去手段と、
前記指定手段により指定されたセンサ部による検出データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された検出データに基づいて、検出対象物質の濃度を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された検出対象物質の濃度が所定の閾値以上であるか否か判断する濃度判断手段と、
前記濃度判断手段により検出対象物質の濃度が所定の閾値以上であると判断された場合に、当該検出対象物質が検出された旨を報知する検出報知手段と、
前記マトリックスセンサを交換するよう報知する交換報知手段と、
前記センサ部が劣化しているか否か判断する劣化判断手段と、
を備え、
前記指定手段は、前記劣化判断手段によりセンサ部が劣化していると判断された場合に、未指定のセンサ部を指定し、
前記交換報知手段は、前記指定手段により前記複数のセンサ部の全てが指定された場合に、前記マトリックスセンサを交換するよう報知し、
前記センサ部は、所定の検出素子と、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、前記検出素子と前記透過膜との間に形成された検出層と、を有し、
前記複数のセンサ部のうちの少なくとも一のセンサ部における前記検出素子と前記透過膜との間の距離を、他のセンサ部における前記検出素子と前記透過膜との間の距離と異ならせることによって、検出濃度範囲が異なる複数種類のセンサ部を備えるものとなるよう構成したことを特徴とする携帯型の物質検出装置。 - 請求項1に記載の携帯型の物質検出装置において、
前記マトリックスセンサは、基板と、前記基板上に、2次元又は3次元マトリックス状に配置された前記複数のセンサ部と、前記基板上に配置され、前記センサ部同士を隔てる隔壁部と、前記センサ部の前記基板と対向する側の面を封止することによって、前記複数のセンサ部それぞれを外部から遮断する前記封止部と、を備え、
前記センサ部は、前記基板上に配置された前記検出素子と、前記検出素子上に配置され、少なくとも前記基板に対して略垂直方向に貫通する細孔を有する多孔体と、前記多孔体の細孔の内部に担持され、検出対象物質と選択的に反応する反応物質と、を有し、前記検出素子により前記反応に伴う所定の変化を検出することを特徴とする携帯型の物質検出装置。 - 請求項1又は2に記載の携帯型の物質検出装置において、
前記センサ部により検出可能な検出対象物質の種類を記憶する種類記憶手段を備え、
前記検出報知手段は、前記検出対象物質が検出された旨を報知するとともに、前記種類記憶手段に記憶された当該検出対象物質の種類を報知することを特徴とする携帯型の物質検出装置。 - 請求項1〜3の何れか一項に記載の携帯型の物質検出装置において、
前記検出対象物質の濃度レベルを判定するための判定データを記憶する判定データ記憶手段と、
前記濃度判断手段により検出対象物質の濃度が所定の閾値以上であると判断された場合に、前記算出手段により算出された当該検出対象物質の濃度と、前記判定データ記憶手段に記憶された判定データと、に基づいて、当該検出対象物質の濃度レベルを判定する判定手段と、
を備え、
前記検出報知手段は、前記検出対象物質が検出された旨を報知するとともに、前記判定手段により判定された当該検出対象物質の濃度レベルを報知することを特徴とする携帯型の物質検出装置。 - 請求項1〜4の何れか一項に記載の携帯型の物質検出装置において、
当該物質検出装置は、携帯電話機であることを特徴とする携帯型の物質検出装置。
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