まず、図1A〜図1Cを参照して、本発明の第1実施例による振動発電装置の構造及び動作について説明する。
図1Aは、第1実施例の振動発電装置EG1、及び発電装置EG1が回転体50に取り付けられている状態の概略正面図を示す。図1Bは、図1Aの一点鎖線BBに沿った振動発電装置EG1の概略上面断面図(上から見た断面図)を示すとともに、発電装置EG1が回転体50に取り付けられている状態の概略上面図を示す。図1Cは、図1Aの一点鎖線CCに沿った振動発電装置EG1の概略側面断面図(横から見た断面図)を示す。なお、図1Aで、断面を示す一点鎖線BB、CCは、図の煩雑さを避けるため端部のみ示す。
図1A及び図1Bに示すように、振動発電装置EG1は、回転体50の回転軸50aに垂直な表面50p上に取り付けられている。回転体50の回転軸50aは、水平方向を向いており、表面50pは垂直面(鉛直面)をなす。回転体50は、動力源60(例えばエンジン)の動力を伝える回転部材であり、その回転運動から電力を取り出したい振動源である。
回転体50が静止した状態として説明を続ける。振動発電装置EG1は、複数の発電用カンチレバー1を有する。発電用カンチレバーを、単にカンチレバーと呼ぶこととする。各カンチレバー1は、長さ方向が、回転軸50aの方向に沿った水平方向を向き、幅方向が、回転軸50aの方向と交差した水平方向を向いており、振動方向が鉛直上下方向となる。振動方向を揃えた複数のカンチレバー1が、同一水平面上に平行に並んで配置されて、カンチレバー群CLが形成されている。
図示の実施例では、カンチレバー群CLが、7本のカンチレバー1a〜1gで形成される。中央のカンチレバー1dが最も長い。中央のカンチレバー1dの左右に配置された残りのカンチレバー1a〜1c、1e〜1gは、中央のカンチレバー1dから離れるほど短くなるように、中央のカンチレバー1dに対して左右対称な形状で配置されている。
なお、カンチレバー群CLは、複数のカンチレバー1が根元の部分でつながって、一体的に形成されている。複数のカンチレバー1が一体的に形成された発電構造体100の製造方法について、図2を参照して後述する。図1Bは、カンチレバー1の高さでの上面断面図を示すが、理解を容易にするため、発電構造体100の部分は断面図でなく上面図で示している。
図1Cは、中央のカンチレバー1dを通る側面断面図である。中央のカンチレバー1dを代表として、カンチレバー1の構造と、発電の仕組みについて説明する(他のカンチレバーについても同様である)。
カンチレバー1は、支持層1sと、圧電体層1pと、上下電極層1eu、1edを含む。支持層1sは、例えばシリコンを用いて形成され、カンチレバー先端部で厚くなり錘部1swを形成する。圧電体層1pは、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)により、支持層1s上に形成される。
下側電極1edが、支持層1s上に、支持層1sと圧電体層1pの間に介在して配置され、上側電極1euが、下側電極1edに対向して圧電体層1p上に配置され、上下電極層1eu、1edが、圧電体層1pを挟む。カンチレバー1が上下方向(電極の対向方向)に振動することにより、圧電体層1pが歪んで、上下電極1eu、1ed間に交流電圧が発生する。なお、錘部がなくとも、カンチレバーの自重により、振動発電を行うことは可能である。
特に図1Aに示されるように、振動発電装置EG1は、複数のリング電極2を含むリング電極群REを有する。各リング電極2は、例えばステンレス製であり、リング形状を有する。カンチレバー群CLが、リング電極群REに取り付けられており、各カンチレバー1が、対応するリング電極2に電気的に接続されている。なお、電気的な接続を、以下単に接続と呼ぶこともある。
特に図1Cに示されるように、カンチレバー1の根元で、上側電極1euが、対応するリング電極2に接続されている。下側電極1edは、リング電極2から離れて配置されて、リング電極2と絶縁されており、基準電位を与える。
支持層1sの根元部分1srは、すべてのカンチレバー1でつながっている。特に図1Bに示されるように、左右両端のカンチレバー1a、1gのさらに外側の根元部分1srに、下側電極1edの露出部10dが形成されており、基準電位が外部に取り出される。
図示の実施例では、リング電極群REが、同心に配置された4つのリング電極2a〜2dで形成される。ただし、最も中心側の(中央の)リング電極2aは、中心に穴の開いたリング形状ではなく、中心のふさがった円板形状であるが、他のリング電極2b〜2dと共通の名称で呼ぶこととする。
中央のリング電極2aに、中央のカンチレバー1dが接続される。中央のリング電極2aから1つ外側のリング電極2bに、中央のカンチレバー1dから1つ左右外側に配置されたカンチレバー1c、1eが共通に接続される。リング電極2bから1つ外側のリング電極2cに、カンチレバー1c、1eからそれぞれ1つ左右外側に配置されたカンチレバー1b、1fが共通に接続される。最も外側のリング電極2dに、最も左右外側に配置されたカンチレバー1a、1gが共通に接続される。つまり、左右対称に配置され、長さの等しい2本のカンチレバー1が、共通のリング電極2に接続されている。
最も外側のリング電極2dを囲む枠状の内側ケーシング部材3が、リング電極群RE及びカンチレバー群CLを保持する。内側ケーシング部材3が、ベアリングボール5を用いたボールベアリング機構により、外側ケーシング部材4に回動自在に保持される。
左右対称な形状で配置されたカンチレバー1が、重力に対するバランス構造を形成することにより、内側ケーシング部材3に取り付けられたカンチレバー群CLは、水平な姿勢を保つことができる。
外側ケーシング部材4が、回転体50の表面50pの縁近傍に(回転軸50aから離れた位置に)取り付けられている。回転体50が回転すると、振動発電装置EG1も、全体として回転軸50aの周りに回転する。
しかし、ボールベアリング機構による保持と、バランス構造により、回転体50が回転しても、カンチレバー群CLは、水平な姿勢を保つことができる。従って、回転体50の回転中も振動方向を鉛直上下方向に保ったまま、各カンチレバー1を、回転の周波数で振動させることができる。
回転体50として、所望の回転数(周波数)範囲内で、回転数を変化させるものを想定している。回転数が、あるカンチレバー1の共振周波数に等しいとき、最も効果的にこのカンチレバー1を振動させることができて、良好な振動発電が行われる。回転体50の回転数範囲内に含まれる複数の異なる周波数が、共振周波数となるように、各カンチレバー1の長さ等が選択されている。カンチレバー1が長いほど、共振周波数は低くなる。最も長いカンチレバー1d〜最も短いカンチレバー1a及び1gの、それぞれの共振周波数を、F1〜F4とする。
振動発電装置EG1は、さらに、引出電極機構EEを有する。引出電極機構EEは、引出電極6とバネ機構7を含む。リング電極群REの裏面(カンチレバー群取付側と反対側の面)と、それに対向する外側ケーシング部材4の内面との間に、引出電極6が、リング電極2と接触可能に配置されている。
引出電極6は、外側ケーシング部材4に、導電性のバネ7sを含むバネ機構7を介して、移動可能に取り付けられている。バネ7sは、引出電極6に対して、回転体50の回転軸50a側に取り付けられている。バネ機構7は、引出電極6の移動方向を回転体50の半径方向に制限するガイド構造を含んでもよい。なお、回転体50の半径方向を、以下単に、半径方向と呼ぶこともある。
回転体50が回転すると、引出電極6は遠心力を受け、バネ7sの弾性力と釣り合う位置まで、半径方向に移動する。リング電極群REの中心を、引出電極6の移動方向が通るように、リング電極群REが配置されている(引出電極6は、回転体50の回転の中心とリング電極2の中心を結ぶ半径方向に沿って、遠心力により移動する)。
回転体50が、周波数F1で回転するとき、リング電極2aに接触する位置に引出電極6が配置される。回転の周波数がF2に上昇したとき、引出電極6は、半径方向外側に移動して、リング電極2aの外側に隣接するリング電極2bに接触する位置に配置される。同様にして、回転の周波数F3、F4のとき、それぞれ、リング電極2c、2dに接触する位置に引出電極6が配置される。周波数F1〜F4で、それぞれ、リング電極2a〜2dに接触する位置に引出電極6が配置されるように、バネ7のバネ定数、リング電極2の幅、及び隣接リング電極2同士の間隔が選択されている。なお、バネそのものを使わなくとも、同等なバネ定数に相当する弾性係数を持った弾性材料を、バネ部材として利用することもできる。
このようにして、あるカンチレバー1の共振周波数の回転数のとき、このカンチレバー1に接続されたリング電極2に引出電極6を接触させて、このカンチレバー1の出力電圧を引出電極6に取り出すことができる。出力電圧を取り出すカンチレバー1の切り替えは、回転体50の回転数変化に応じた遠心力の変化により自動的に行われるので、カンチレバー切り替え制御のための電源を必要としない。
上述のように、外側ケーシング部材4は、回転体50に固定されて回転するのに対し、内側ケーシング部材3は、カンチレバー群CLの水平な姿勢を保つ。つまり、内側ケーシング部材3(及びそれに取り付けられた部材)は、回転体50、外側ケーシング部材4(及びそれに取り付けられた部材)に対して相対的に、回転体50の回転方向と反対向きに、回転体50の回転の周波数で回転する。
一方、回転体50、外側ケーシング部材4(及びそれに取り付けられた部材)は、内側ケーシング部3(及びそれに取り付けられた部材)に対して相対的に、回転体50の回転方向に、回転体50の回転の周波数で回転する。
外側ケーシング部材4(及びそれに取り付けられた部材)と内側ケーシング部3(及びそれに取り付けられた部材)との相対的な回転動作の中心が、リング電極群REの中心と揃うように、リング電極群REが配置されている。
従って、回転体50の回転中、あるリング電極2に接触している引出電極6は、接触状態を保ったまま、このリング電極2上を、周方向に、回転体50の回転と同じ向きで移動する(引出電極6の配置された半径方向位置に、リング電極2の存在する状態が保たれる)。なお、中央のリング電極2aは、引出電極6のリング電極群REに対する相対的な回転の中心に位置するので、引出電極6は、中央のリング電極2aに接触している場合は移動しない。このように、リング電極2をリング形状としたことにより、回転体50の回転に伴い引出電極6が移動しても、リング電極2との接触を保って、出力電圧を取り出すことができる。
以上説明したように、回転体50に対する相対的な回転動作の中心にリング電極群REの中心が配置され、引出電極が、回転体50の回転中心とリング電極2の中心を結ぶ半径方向に沿って移動することにより、リング電極2の切り替えが良好に行われるとともに、引出電極6のリング電極2への接触状態が、回転中良好に維持される。
リング電極2b〜2dには、それぞれ、共振周波数の等しい2本ずつのカンチレバー1c及び1e、1b及び1f、1a及び1gが接続されている。共通の周波数で2本のカンチレバー1が共振するので、1本のカンチレバー1だけが振動する場合に比べて、発電電力を増やせる。
カンチレバー群CLにおける、カンチレバー1の左右対称な配置は、水平なバランスを取るのに寄与するのみならず、共振周波数の等しいカンチレバー1が左右に2本配置されることで、発電電力の増加に寄与する。
なお、回転の周波数がF1より低い状態では、引出電極6が、中央のリング電極2aよりも半径方向内側に配置され、例えば、リング電極2bに接触する。しかし、周波数がF1より低い状態では、リング電極2bに接続されたカンチレバー1c、1eの共振は起こらず、出力電圧は共振時に比べて少ない。
本実施例の振動発電装置EG1は、特に、周波数F1〜F4程度の回転数範囲において、異なる複数の周波数でカンチレバー1の共振が利用できることにより、1本のカンチレバーのみ用いる場合に比べて、この範囲の平均出力電圧を高めることができる。
バネ7sのバネ部分と外側ケーシング部材4の取付部との間に、補助引出電極8が配置されている。補助引出電極8は、半径方向の位置が固定されている。
内側ケーシング部材3の、補助引出電極8と接触する位置に、補助リング電極9が配置されている。補助引出電極8は、回転体50の回転により、補助リング電極9との接触を保ったまま、補助リング電極9上を周方向に移動する。補助リング電極9が、内側ケーシング部材3の表側(カンチレバー群側)の面上に配置された端子電極10uに接続されている。
カンチレバー1の上側電極1euの電位は、リング電極2、引出電極6、バネ7、補助引出電極8、及び補助リング電極9を経て、端子電極10uから取り出されて、配線11uを介して制御ユニット12に供給される。一方、下側電極1edの電位は、下側電極1edの露出部10dから取り出されて、配線11dを介して制御ユニット12に供給される。
制御ユニット12は、生成された交流の整流回路、蓄電池、各種センサ等、必要に応じて各種の電気回路を含む。制御ユニット12は、カンチレバー群CLの下方で、リング電極群REに取り付けられており、リング電極群RE及びカンチレバー群CLとともに、内側ケーシング部材3に保持される。カンチレバー群CLで発電した電力を、内側ケーシング部材3に保持された制御ユニット12内で利用することにより、内側ケーシング部材3の外部に電力を取り出す配線を形成する煩雑さが避けられる。
制御ユニット12は、また、カンチレバー群CLの水平な姿勢を維持するための錘も兼ね、バランス構造の一部として機能する(このように、内側ケーシング部材3に取り付けられた部材、及び内側ケーシング部材3が、全体として、カンチレバー振動方向を鉛直上下方向とするような、重力に対するバランス構造を形成する)。
次に、図2を参照して、発電構造体100の製造方法について説明する。なお、図示の単純化のため、左側から右側に順に短くなる4本のカンチレバー1で形成されたカンチレバー群CLの製造方法を例示するが、図1A〜図1Cを参照して説明した形状のカンチレバー群CLも、同様にして製造することができる。
図2A〜図2Dについて、上面図に「p」を付し、正面断面図(正面方向から見た断面図)に「f」を付す。正面断面図は、図2Apに一点鎖線FFで示すように、カンチレバー1の上側電極1euの途中の長さで切った断面図である。図2Dpは、完成した発電構造体100の上面図を示す。
図2Ap及び図2Afを参照する。酸化シリコン層61、シリコン層62、酸化シリコン層63、シリコン層64、及び酸化シリコン層65が積層されたSOI基板60を準備する。SOI基板60の酸化シリコン層65上に、Tiをスパッタリングで例えば厚さ10nm堆積し、その上にPtをスパッタリングで例えば厚さ100nm堆積する。Pt/Ti層をエッチングでパターニングして、下側電極1edを形成する。
下側電極1euは、すべてのカンチレバー1に共通で、カンチレバー1の幅方向について、左右両端のカンチレバー1の両端にはみ出す長さで形成される。カンチレバー1の長さ方向について、カンチレバー先端側の端は、上側電極1euと対向するように、例えば、上側電極1euの端と同程度の位置に形成される(これ以上長くてもよい)。ただし、下側電極1edのカンチレバー根元側の端は、図1Cを参照して説明したように、リング電極との接触を避けるため、カンチレバー根元に露出しない位置に形成される。
次に、下側電極1edを覆って、酸化シリコン層65上に、PZTをスパッタリングで例えば厚さ2μm堆積して、圧電体層1pを形成する。次に、SOI基板60の裏面側の酸化シリコン膜61を、エッチングで全面除去する。なお、酸化シリコン膜61を除去した後のSOI基板60も、SOI基板60と呼ぶこととする。
次に、圧電体層1p上に、各カンチレバー1の上側電極1euに対応した開口形状を持つレジストパターンを形成し、Ptをスパッタリングで例えば厚さ100nm堆積し、リフトオフにより、上側電極1euを形成する。上側電極1euのカンチレバー根元側の端は、図1Cを参照して説明したように、リング電極と接触させるため、カンチレバー根元に達するように形成される。
図2Bp及び図2Bfを参照する。次に、圧電体層1p上に、発電構造体100の外形に沿った溝状の開口、及び、下側電極1edの露出部10dに対応する開口を有するレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとし、圧電体層1pをエッチングして、圧電体層1pに、発電構造体100の外形に沿った溝(破線で示す)を形成するとともに、下側電極1edの露出部10dを形成する。下側電極1edの露出部10dは、左右両端のカンチレバー1のさらに外側に配置される。エッチング後、レジストパターンを除去する。
図2Cp及び図2Cfを参照する。次に、SOI基板60の裏面上に、カンチレバー先端の錘部1sw、カンチレバー根元部1sr、及び、発電構造体100の外側の不要部分を覆うレジストパターン(斜線で示す)を形成する。このレジストパターンをマスクとし、エッチングにより露出部のシリコン層62を除去して、シリコン層64によるカンチレバー支持層1sを残す。エッチングされないシリコン層62が、錘部1swと根元部1srを形成する。エッチング後、レジストパターンを除去する。
図2Dp及び図2Dfを参照する。次に、レーザ加工機により、不要部分を切断して、発電構造体100を分離する。隣接するカンチレバー1の間は、根元部1srを残して分離される。なお、圧電体層1pには、レーザ切断による熱の影響を抑えるため既にエッチングで溝を形成している。SOI基板60と下側電極1edが、レーザにより切断される。
図2Dsは、図2Dpに一点鎖線SSで示すように、カンチレバー1の幅方向の途中を通る側面断面図である。このようにして、カンチレバー群CLを一体的に形成した発電構造体100が形成される。
次に、第1実施例の振動発電装置を用いた第1応用例について検討する。第1応用例は、回転体として、自動車のエンジンの動力を伝える回転部材を想定し、実施例の振動発電装置を、エンジン部の異常発熱を検知する検知装置の電源として利用することを想定している。制御ユニットは、熱センサ及び無線機を含み、熱センサで検知した温度の情報を、無線機で外部の制御回路に送信する。
第1応用例では、カンチレバーの幅を0.5mm、(錘のない部分の)厚さを0.02mmとし、錘の長さを4mm、錘の厚さを0.5mmとし、表面電極の長さを2mmとした。カンチレバーの長さを変えて、共振周波数を構造解析で計算した。
図3は、第1応用例のカンチレバーの長さに対する共振周波数の関係を示すグラフである。カンチレバーの長さが約16mmで共振周波数が約39Hzとなり、カンチレバーの長さが約10mmで共振周波数が約77Hzとなる。
カンチレバー群として、10mm、12mm、14mm、及び16mmの4種類の長さのものを用いることとする。各カンチレバーの幅を0.5mmとし、共振周波数が約39Hzで長さが16mmのカンチレバーから、共振周波数が約77Hzで長さが10mmのカンチレバーまでを、0.2mm間隔で並べるとする。
各カンチレバーに対応するリング電極も、カンチレバーと等しい幅、間隔で並べるとする。長さ16mmのカンチレバーに対応するリング電極の幅方向中心から、長さ10mmのカンチレバーに対応するリング電極の幅方向中心までの距離は、2.1mmとなる。
回転体上の振動発電装置の取付位置を回転軸から5cmとし、引出電極の重さを5gとすると、回転の周波数が約39Hzのとき、引出電極に掛かる遠心力は約15.0Nとなり、回転の周波数が約77Hzのとき、引出電極に掛かる遠心力は約58.5Nとなる。
周波数約39Hzでの遠心力15.0Nと、周波数77Hzでの遠心力58.5Nとの差である43.5N当たり、長さ16mmのカンチレバーのリング電極から、長さ10mmのカンチレバーのリング電極までの距離2.1mmを、引出電極が移動すればよい。従って、引出電極を取り付けるバネのバネ定数は、約20.7N/mmと見積もられる。
第1応用例のカンチレバー群による発生電圧を圧電解析で計算し、回転の周波数と発生電圧との関係について調べた。
図4は、回転の周波数と発生電圧との関係を示すグラフである。各カンチレバーの共振周波数(39Hz、47Hz、59Hz、77Hz)で、出力電圧のピークが得られている。例えば、静止状態から回転の周波数を上げていくと、まず、長さ16mmのカンチレバーの共振周波数約39Hzで出力電圧のピークが得られる。さらに周波数が上がると、長さ16mmのカンチレバーによる出力電圧は急激に減少するが、長さ14mmのカンチレバーによる出力電圧が徐々に上昇し、その共振周波数約47Hzで再び出力電圧のピークが得られる。
周波数変化に応じてカンチレバーが切り替わり、複数の異なる共振周波数が利用できることにより、1つのカンチレバーのみ用いる場合に比べて、広い周波数範囲での平均出力電圧を上げることができる。
最低の共振周波数より少し低い30Hz(1800rpm)程度から、最高の共振周波数より少し高い80Hz(4800rpm)程度までの範囲で、常に1V以上の出力電圧が得られている。この範囲は、自動車の高速走行時のエンジン回転数をほとんどカバーでき、振動発電装置で得られた電力を、例えば、エンジン部の異常発熱を検知する熱センサ(及びデータを送信する無線機)の電源に利用することができる。
以上第1応用例で説明したように、振動発電装置で得られる電力を、振動発電装置に組み込まれた各種機器の電源に利用することができる。
なお、長さの異なるカンチレバーの数を増やして、利用できる共振周波数を増やすことにより、平均出力電圧を上げることができる。また、回転体に取り付ける振動発電装置の数を増やすことによって、全体の発電電力を増加させることもできる。
次に、第1実施例の振動発電装置を用いた第2応用例について検討する。第2応用例は、回転体として、掃除機のモータの回転を伝える回転部材を想定し、実施例の振動発電装置を、モータの回転数異常を検知する異常検知センサとして利用することを想定している。
第2応用例では、カンチレバーの幅を0.5mm、(錘のない部分の)厚さを0.02mmとし、錘の長さを1mm、錘の厚さを0.5mmとし、表面電極の長さを1mmとした。カンチレバーの長さを変えて、共振周波数を構造解析で計算した。
図5は、第2応用例のカンチレバーの長さに対する共振周波数の関係を示すグラフである。カンチレバーの長さが約3.5mmで共振周波数が約616Hzとなり、カンチレバーの長さが約2.5mmで共振周波数が約1050Hzとなる。
カンチレバー群として、2.5mm、2.75mm、3.0mm、及び3.5mmの4種類の長さのものを用いることとする。これらのカンチレバーを、幅0.5mmとし、0.2mm間隔で並べるとする。
各カンチレバーに対応するリング電極も、カンチレバーと等しい幅、間隔で並べる。長さ3.5mmのカンチレバーに対応するリング電極の幅方向中心から、長さ2.5mmのカンチレバーに対応するリング電極の幅方向中心までの距離は、2.1mmとなる。
回転体上の振動発電装置の取付位置を回転軸から3cmとし、引出電極の重さを5gとすると、回転の周波数が約616Hzのとき、引出電極に掛かる遠心力は約2.25kNとなり、回転の周波数が約1050Hzのとき、引出電極に掛かる遠心力は約6.53kNとなる。周波数616Hzと周波数約1050Hzでの遠心力の差である4.28kN当たり、距離2.1mmを、引出電極が移動すればよい。従って、引出電極を取り付けるバネのバネ定数は、約2.04kN/mmと見積もられる。
第2応用例のカンチレバー群による発生電圧を圧電解析で計算し、回転の周波数と発生電圧との関係について調べた。
図6は、回転の周波数と発生電圧との関係を示すグラフである。各カンチレバーの共振周波数(616Hz、784Hz、902Hz、1050Hz)で、出力電圧のピークが得られている。第1応用例と同様に、複数の異なる共振周波数を利用することにより、広い周波数範囲での平均出力電圧の増加が図られる。
掃除機のモータが、正常な動作時に、例えば40000rpm(667Hz)〜60000rpm(1000Hz)で回転するとする。この回転数範囲で、出力電圧は、常に0.1V以上となっている。従って、例えば0.1Vを閾値電圧に設定しておき、正常な動作が期待される期間に、出力電圧が閾値0.1V未満となったら、回転数が高すぎるか低すぎるかの異常が生じていると判定できる。このような比較判定を行う回転数センサと、回転数センサで検知した回転数異常の情報を外部の制御回路に送信する無線機を、制御ユニットに含めることができる。
以上第2応用例で説明したように、振動発電装置の出力電圧を、回転状態(振動状態)を検出するセンサに利用することもできる。なお、必要に応じて、出力電圧を、電源とセンサの両方に用いることも可能である。
なお、第1応用例と同様に、長さの異なるカンチレバーの数を増やして、平均出力電圧を上げることができる。また、異常を検出したい回転数範囲を分割して、複数の振動発電装置(センサ)を用いれば、全回転数範囲を網羅する1つの振動発電装置(センサ)を用いる場合に比べて、個々の振動発電装置(センサ)の小型化が図られる。
次に、図7A及び図7Bを参照して、第1実施例の変形例の振動発電装置について説明する。図7A及び図7Bは、それぞれ、第1実施例の変形例の振動発電装置を示す概略正面図及び概略上面断面図である。図1A〜図1Cを参照して説明した第1実施例の振動発電装置は、外部ケーシング部材4に内部ケーシング部材3を回動自在に保持する構造として、ボールベアリング機構を採用したが、回動自在な保持構造として他のものを採用してもよい。本変形例の振動発電装置は、磁気浮上機構に対応したケーシング部材を用いて、外部ケーシング部材4Vに対し非接触的に、内部ケーシング部材3Vを回動自在に保持する。
次に、図8A及び図8Bを参照して、第2実施例による振動発電装置の構造及び動作について説明する。図8A及び図8Bは、それぞれ、第2実施例の振動発電装置EG2と発電装置EG2が取り付けられた回転体50の、概略正面図及び概略上面図を示す。なお、第1実施例と対応する構造には、参照符号付与の煩雑さを避けるため、同様の参照符号を流用する。例えばカンチレバーに「1」を付し、個々のカンチレバーを「a」等のアルファベットを付して区別している。
第1実施例及びその変形例では、外側ケーシング部材に対し内側ケーシング部材を回動自在に保持することにより、回転体の回転中の振動方向が鉛直上下方向に維持されるように、カンチレバーの姿勢を保った。ただし、この構造では、回転状態によっては、カンチレバーの姿勢が一定に保たれない可能性がある。第2実施例では、以下説明するように、ギア機構を用いることにより、回転中のカンチレバーの姿勢を保つ。
回転体50は、第1実施例と同様に、回転軸50aの周りに回転し、回転軸50aに垂直な表面50p上に、振動発電装置EG2が取り付けられる。ただし、第2実施例では、取付機構IMを介して、振動発電装置EG2が回転体50上に取り付けられる。
なお、後述のように、第2実施例ではギア23に振動発電装置EG2が取り付けられ、振動発電装置EG2は、カンチレバー群CLとリング電極群REを含む。引出電極機構EEは、取付機構IM側に取り付けられる。
取付機構IMは、固定台20、固定歯車21、中間歯車22、取付歯車23、歯車取付板24、及び、支持アーム25を含む。なお、図示を容易にするため、図8Bの回転体50を示す図で、中間歯車24と支持アーム25を太線で示す。
固定台20が、地面(あるいは、回転体50の外部の装置)に対して固定されている。回転体50の回転軸50aと同軸の固定歯車21が、固定台20に取り付けられている。固定歯車21は、回転体50が回転しても、静止状態を保つ。
回転体50の表面50pに、歯車取付板24が固定されており、歯車取付板24に、中間歯車22と取付歯車23が取り付けられている。中間歯車22と取付歯車23は、固定歯車21と、径も歯数も等しい。
中間歯車22は、固定歯車21と噛み合っており、回転体50の回転に伴い、全体として回転体50と一緒に回転するとともに、回転体50に対して相対的に、回転体50の回転方向と同じ方向に回転体50と同じ回転数で回転する。取付歯車23は、中間歯車22と噛み合っており、回転体50の回転に伴い、全体として回転体50と一緒に回転するとともに、回転体50に対して相対的に、回転体50の回転方向と反対方向に回転体50と同じ回転数で回転する。
取付歯車23に、振動発電装置EG2が取り付けられている。第2実施例では、取付歯車23が、回転体50上で回転体50の回転方向と反対方向に回転体50と同じ回転数で回転することにより、カンチレバー群CLの姿勢を一定に維持することができる。
第1実施例では、重力を利用したバランスにより、カンチレバー群の姿勢を一定に保った。従って、カンチレバーの姿勢は水平に(振動方向は鉛直上下方向に)に制限された。一方、第2実施例では、ギア機構により積極的に、カンチレバー群CLを所望の取付姿勢に保つことができる。従って、カンチレバー1の振動方向は、回転体50の回転軸に直交する所望の方向を選択することができ、上下方向に制限されない。また、回転体50の回転軸50aも、水平方向に制限されない。
回転体50に、中心から半径方向に延びた支持アーム25が取り付けられており、支持アーム25に、引出電極機構EEが取り付けられている。支持アーム25のバネ取付部25aに取り付けられたバネ機構7を介して、引出電極6が保持される。回転体50の回転に伴い、支持アーム25とともに、バネ機構7及び引出電極6が回転する。
特に図8Bに示すように、取付歯車23の軸部材23aが、歯車部材23bよりも手前側(歯車部材23に対し回転体50と反対側)に突出している。歯車部材23bは、中心部に手前側に突出する鞘部23cを有し、鞘部23cを軸部材23aが貫通する。鞘部23cに、発電構造体取付板23dが嵌め込まれている。
発電構造体取付板23dの表側(手前側)に、発電構造体100a及び100bが取り付けられており、発電構造体取付板23dの裏側に、リング電極2a〜2cが取り付けられている。第2実施例のリング電極群REを形成するリング電極2は、中心を鞘部23cが貫通し、すべてリング形状となっている。また、第2実施例のカンチレバー群CLを形成する発電構造体は、軸部材23a及び鞘部23cを挟んで左右に配置された発電構造体100aと100bの組で形成されている。
発電構造体100aと100bは、取付歯車23の軸を通る面を挟んで対称な形状で配置されている。発電構造体100aは、取付歯車23の軸に対して左方外側に、順に長くなるように、カンチレバー1a〜1cを含む。発電構造体100bは、取付歯車23の軸に対して右方外側に、順に長くなるように、カンチレバー1d〜1fを含む。カンチレバー群CLを形成するカンチレバー1a〜1fが、振動方向を揃えて平行に並んでいる。
最も短く、等しい長さのカンチレバー1a及び1dが、最も内側のリング電極2aに接続され、次に短く、等しい長さのカンチレバー1b及び1eが、中間のリング電極2bに接続され、最も長く、等しい長さのカンチレバー1c及び1fが、最も外側のリング電極2cに接続されている。なお、第2実施例では、カンチレバー1とリング電極2との間に介在する発電構造体取付板23dに、各カンチレバー1から対応するリング電極2に接続される配線が形成されている。
リング電極群REの裏面と、それに対向する歯車部材23bとの間に、引出電極6が配置されている。引出電極6の移動方向上に、リング電極群REの中心が配置されている。第1実施例と同様に、回転数に応じた遠心力で、引出電極6の半径方向位置を変化させて、接触するリング電極2を切り替えることができる。
第1実施例では(図1B参照)、リング電極群の中心に、最も長い、つまり最も共振周波数の低いカンチレバーを配置した。しかし、第2実施例では、リング電極群REの中心は取付歯車23の軸部分(以下単に軸部分と呼ぶこともある)が存在するので、軸部分により、引出電極6の半径方向外側への移動が制限される。
従って、第2実施例では、最も外側のリング電極2cに、最も長い(共振周波数の低い)カンチレバー1c及び1fを配置し、最も内側のリング電極2aに、最も短い(共振周波数の高い)カンチレバー1a及び1dを配置している。回転数が増えるに従って、半径方向内側から、軸部分に向かって引出電極が移動し、より高い共振周波数のカンチレバー1による出力電力が取り出される。なお、このようなカンチレバーの配列を、第1実施例の振動発電装置に採用することも可能である。
また、第2実施例では、歯車部材23bを導電材料で形成し、引出電極6を歯車部材23bに接触させて、歯車部材23bを、上側電極1euからの電圧取り出し配線部材として用いる。特に図8Aに示すように、発電構造体取付板23dの嵌め込み部分に露出した、歯車部材23bの鞘部23cから、配線11uが制御ユニット12に接続される。なお、下側電極1edについては、第1実施例と同様に、下側電極1edの露出部10dに接続された配線11dが、制御ユニット12に接続される。
なお、ギアが回転体の直径外側にはみ出すことが問題となる場合は、各ギアの直径を小さくしチェーンや歯付きベルトを介して噛み合わせて接続したり、あるいは滑車とベルトを用いて接続したりする等の対応をすることができる。
なお、振動発電装置EG2を回転体50に取り付ける取付機構IMも含めた全体を、振動発電装置と捉えることもできる。
以上第1及び第2実施例で説明したように、共振周波数の異なる複数のカンチレバーを発電源として回転体上に保持した振動発電装置を用いることで、回転体の回転数が変化しても、単一のカンチレバーを用いる場合に比べて、平均の出力電圧の向上を図ることができる。
出力電圧を取り出すカンチレバーの切り替えは、回転体の回転に伴う遠心力で引出電極を移動させることにより行うことができる。
回転体上のカンチレバーの姿勢を、例えばボールベアリング機構やギア機構等を用いて一定に保つことにより、カンチレバーの振動方向を一定に保つことができる。
回転体上のカンチレバーの姿勢を保つことに伴い、引出電極とカンチレバーとが相対的に回転する。リング形状のリング電極を介すことにより、カンチレバーからの出力電圧を引出電極に取り出すことが容易となる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
以上説明した第1及び第2の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
それぞれ圧電体を対向電極で挟んだ構造を有し、共振周波数が互いに異なり、振動方向を揃えて配置された第1及び第2のカンチレバーと、
前記第1及び第2のカンチレバーを、回転体に保持する保持機構と、
前記回転体の回転に伴う遠心力により移動して、前記第1のカンチレバーの有する電極に電気的に接続する状態と、前記第2のカンチレバーの有する電極に電気的に接続する状態とが切り替わる引出電極と
を有する振動発電装置。
(付記2)
前記引出電極は、前記回転体の回転に伴う遠心力に抗して前記引出電極を前記回転体の中心方向に引っ張るバネ部材に取り付けられている付記1に記載の振動発電装置。
(付記3)
前記保持機構は、前記振動方向が前記回転体の回転軸に直交する第1の方向となる姿勢で、前記第1及び第2のカンチレバーを保持するとともに、前記回転体の回転中に、前記第1及び第2のカンチレバーを前記回転体に対して相対的に、前記回転体の回転方向と反対の方向に回転させて、前記振動方向を前記第1の方向に保つ付記1または2に記載の振動発電装置。
(付記4)
さらに、それぞれ前記第1のカンチレバーの有する電極、前記第2のカンチレバーの有する電極が電気的に接続され、同心に配置されたリング形状の第1及び第2のリング電極を有し、
前記回転体の回転中に前記保持機構により前記第1及び第2のカンチレバーが回転する回転動作の中心と、前記第1及び第2のリング電極の中心とが揃っており、
前記引出電極は、前記回転体の回転の中心と前記リング電極の中心を結ぶ前記回転体の半径方向に沿って、前記回転体の回転に伴う遠心力により移動して、前記第1のリング電極に接触する状態と、前記第2のリング電極に接触する状態とが切り替わる付記3に記載の振動発電装置。
(付記5)
さらに、圧電体を対向電極で挟んだ構造を有し、前記第1のカンチレバーと等しい共振周波数を持ち、前記第1及び第2のカンチレバーと振動方向を揃えて配置され、その電極が前記第1のリング電極に電気的に接続された第3のカンチレバーを有する付記4に記載の振動発電装置。
(付記6)
前記保持機構は、外側ケーシング部材が内側ケーシング部材を回動自在に保持する機構を含み、前記内側ケーシング部材に前記第1及び第2のカンチレバーが取り付けられ、また、前記内側ケーシング部材に取り付けられた部材及び前記内側ケーシング部材が、全体として、前記振動方向が鉛直上下方向となるようなバランス構造を形成し、前記外側ケーシング部材が、前記回転体に取り付けられる付記3または4に記載の振動発電装置。
(付記7)
さらに、それぞれ圧電体を対向電極で挟んだ構造を有し、前記第1及び第2のカンチレバーと振動方向を揃えて配置され、前記第1のカンチレバーと等しい共振周波数を持つ第3のカンチレバー、及び、前記第2のカンチレバーと等しい共振周波数を持つ第4のカンチレバーを有し、前記第3及び第4のカンチレバーは、前記内側ケーシング部材に取り付けられており、前記第1〜第4のカンチレバーが、前記バランス構造を形成するように左右対称な形状で配置されている付記6に記載の振動発電装置。
(付記8)
さらに、前記第1及び第2のカンチレバーから出力された電圧が供給される制御ユニットを有し、前記制御ユニットは、前記内側ケーシング部材に取り付けられており、前記制御ユニットは、前記バランス構造を形成するための錘として機能する付記6に記載の振動発電装置。
(付記9)
前記保持機構は、前記回転体の軸と同軸で、回転せずに静止した第1のギアと、前記回転体上に取り付けられ、前記第1のギアに噛み合い、前記回転体に対して相対的に前記回転体の回転方向と同じ方向に回転する第2のギアと、前記回転体上に取り付けられ、前記第2のギアに噛み合い、前記回転体に対して相対的に前記回転体の回転方向と反対方向に回転する第3のギアとを含み、前記第3のギアに前記第1及び第2のカンチレバーが取り付けられる付記3または4に記載の振動発電装置。
(付記10)
さらに、前記引出電極を介して取り出された前記第1及び第2のカンチレバーの出力電圧を、予め定められた閾値電圧と比較する回路を有する付記1に記載の振動発電装置。