JP2011097807A - 発電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多方向の外部振動を効率的に発電に利用できる発電装置並びにこの発電装置を搭載した電気機器及び通信装置を得られるようにする。
【解決手段】発電装置は、第1の部材22に設けられた第1の電極12と、第2の部材23に設けられた第2の電極13及び第3の電極15と、第3の部材24に設けられた第4の電極17とを有し、第1の電極12と第2の電極13とは、間隔を隔てて対向するように設けられ、第3の電極15と第4の電極17とは、間隔を隔てて対向するように設けられており、第2の部材23は、第1の部材22に対して相対的に平面方向に回転する。
【選択図】図1
【解決手段】発電装置は、第1の部材22に設けられた第1の電極12と、第2の部材23に設けられた第2の電極13及び第3の電極15と、第3の部材24に設けられた第4の電極17とを有し、第1の電極12と第2の電極13とは、間隔を隔てて対向するように設けられ、第3の電極15と第4の電極17とは、間隔を隔てて対向するように設けられており、第2の部材23は、第1の部材22に対して相対的に平面方向に回転する。
【選択図】図1
Description
本発明は、発電装置及び発電装置を搭載する電気機器に関し、特に、エレクトレット材料を用いた静電誘導型発電装置及びこの発電装置を搭載する電気機器に関する。
従来、小型の静電誘導型発電装置が知られている。静電誘導型発電装置は、可変容量の電極に電荷を与え、その電荷により対向電極間にクーロン引力を働かせ、このクーロン引力に抗して振動子が振動することにより発生した振動エネルギーを電気エネルギーに変換することによって、発電を行う(例えば、特許文献1を参照。)。
図11(a)は特許文献1に開示された従来の静電誘導型発電装置の概略上面図であり、図11(b)は図11(a)の発電装置の2A−2A線に沿った概略断面図であり、図11(c)は図11(a)の発電装置の2B−2B線に沿った概略断面図である。
図11(a)〜(c)に示すように、この静電誘導型発電装置は、いわゆるエレクトレット発電装置であり、櫛形のエレクトレット材料電極102と可動電極105とが互いに所定の間隔を隔てて配置されている。可動電極105及び可動基板104は、不動基板101の上に設けられた固定構造体103a、103bにバネ駆動体106a、106bのような弾性部材を介して連結されている。2種類のバネ駆動体106a、106bを組み合わせることにより、可動基板104はXY平面内の任意の方向に運動できる。このバネがX軸方向又はY軸方向に振動することにより、電荷を保持しているエレクトレット材料電極102と、エレクトレット材料電極102に対向する可動電極105との重なり面積の増減が生じ、可動電極105に電荷の変化が生じる。静電誘導型発電装置は、この電荷の変化を電気エネルギーとして取り出すことにより発電を行う。
また、他の発電装置を説明する例として、例えば、特許文献2及び特許文献3等が挙げられる。
しかしながら、従来の静電誘導型発電装置では、可動基板はX軸方向又はY軸方向にのみ振動する。そのため、この静電誘導型発電装置は、X軸方向又はY軸方向以外の方向への外部振動を発電に利用することができなかった。
本発明は、前記従来の問題に鑑み、その目的は、多方向の外部振動を効率的に発電に利用できる発電装置並びにこの発電装置を搭載した電気機器及び通信装置を得られるようにすることにある。
前記の目的を達成するために、本発明の発電装置は、第1の部材に設けられた第1の電極と、第2の部材に設けられた第2の電極及び第3の電極と、第3の部材に設けられた第4の電極とを有し、第1の電極と第2の電極とは、間隔を隔てて対向するように設けられ、第3の電極と第4の電極とは、間隔を隔てて対向するように設けられており、第2の部材は、第1の部材に対して相対的に、平面方向に回転することを特徴とする。
本発明に係る発電装置によると、多方向の外部振動を効率的に発電に利用可能な発電装置並びにこのような発電装置を搭載した電気機器及び通信装置を得ることができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る発電装置について、図1及び図2を参照しながら説明する。また、本発明の以下の実施形態において、用いている材料及び数値は、好ましい例を例示しているだけであり、この形態に限定されることはない。また、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲において、便宜変更は可能である。
本発明の第1の実施形態に係る発電装置について、図1及び図2を参照しながら説明する。また、本発明の以下の実施形態において、用いている材料及び数値は、好ましい例を例示しているだけであり、この形態に限定されることはない。また、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲において、便宜変更は可能である。
図1(a)及び(b)並びに図2(a)及び(b)に示すように、第1の部材22は、第1の基板1、第2の基板2及び第1のスペーサー3から構成されている。また、第2の部材23は、第3の基板5、第4の基板6及び第5の基板7から構成されている。また、第3の部材24は、第6の基板8、第7の基板9及び第2のスペーサー10から構成されている。第1の部材22、第2の部材23及び第3の部材24の詳細については後述する。
図1(a)及び(b)並びに図2(a)に示すように、第1の部材22と第3の部材24を上から見た形状は、それぞれ略円形であり、第2の部材23を上から見た形状は、第1の部材22又は第3の部材24から一部を取り除いたような形状をしており、略扇形である。なお、図2(a)は第3の部材24を省略した図である。
また、図1(a)及び(b)に示すように、第1の部材22、第2の部材23及び第3の部材24は、第1の部材22及び第3の部材24の中心付近において軸18と軸受け19とによって接続されている。ここで、第2の部材23は、軸18を中心として、第2の部材23の面方向に、第1の部材22及び第3の部材24に対して相対的に平行に回転可能な構造となっている。
ここで、第2の部材23は、扇形に限定されるものではない。例えば、半円形でもよい。また、第2の部材23が回転錘であってもよい。第2の部材23が回転錘であることによって微小な振動でも振れやすくなり、発電効率が向上する。回転錘とは、回転軸から重心の位置がずれているものを指し、回転軸からずれる距離が遠くなるほど、遠心力による影響を受けやすく、振動のエネルギーを吸収しやすくなる。
次に、第1の部材22、第2の部材23及び第3の部材24の詳細を説明する。
図2(b)に示すように、第1の部材22は、例えば、クロム及びニッケルを含むステンレス合金等からなる第1の基板1と、例えばプリント基板である第2の基板2と、例えば、クロム及びニッケルを含むステンレス合金等からなり、溝部を有する第1のスペーサー3とを組み合わせた構造から構成されている。第1のスペーサー3は、第1の部材22と第2の部材23とが対向する面上で、且つ、第1の部材22の外縁部に設置されている。また、第1のスペーサー3の溝部には、部材4がその溝部と接触するように設置されている。なお、部材4は、回転可能な略球状の部材であることが好ましい。また、部材4は、耐摩耗性材料又は超硬合金材料から形成されていることが好ましく、通常、Al2O3、Si3N4、ZrO2又はタングステンカーバイド等の材料から構成される。部材4が略球状であることにより、第2の部材23は回転による摩擦が低減され、発電効率を向上させることができる。また、部材4が耐摩耗性材料又は超硬合金材料であることによって、より摩擦に強い耐久性のある構造とすることができる。
また、第1のスペーサー3に形成される溝部は、上側から見た場合に、第1の部材22の外縁に沿ってある範囲分の長さを有し、部材4が略球状の部材である場合には、その範囲の間において回転しながら移動可能であることが好ましい。また、このような溝部は部材4の数に応じて複数あることが好ましい。ここで、第1の部材22を上から見た形状が円状であれば、第1のスペーサー3に形成された溝部は、円弧状である。また、このように第1のスペーサー3の溝部に略球状の部材4を組み合わせた構造は、ベアリング構造と呼ぶことも可能であり、ベアリング構造は略球状の部材4が回転できればよく、例えば円柱でもよいし、本実施形態の構成に限定されない。また、溝部に部材4が設置された第1のスペーサー3は、第2の部材23に形成されていてもよい。
なお、溝部は必ずしも第1のスペーサー3に形成されている必要はなく、第1の部材22のうち第2の部材23と対向する面に形成されていればよい。
また、第1のスペーサー3は第1の部材22と第2の部材23の間にあればよく、必ずしも外縁部でなくともよい。また、部材4は略球状に限られるわけではなく、突起であってもよい。すなわち、第1の部材22と第2の部材23との間に、第1の部材22又は第2の部材23に接触する突起を有する構造であってもよい。
また、図2(b)に示すように、第2の部材23は、例えば、クロム及びニッケルを含むステンレス合金等からなる第3の基板5と、例えば、シリコン基板等からなる第4の基板6と、例えば、シリコン基板等からなる第5の基板7とを組み合わせた構造から構成されている。ここで、第4の基板6は、第3の基板5の面上で、且つ、第1の部材22と対向する側に設置されている。また、第5の基板7は、第3の基板5の面上で、且つ、第3の部材24と対向する側に設置されている。また、第4の基板6と第5の基板7とはそれぞれ、略扇形をした第3の基板5における図1(b)及び図2(a)の領域Bとして示す部分の下方に設置されている。
また、図2(b)に示すように、第3の部材24は、例えば、クロム及びニッケルを含むステンレス合金等からなる第6の基板8と、例えばプリント基板である第7の基板9と、例えば、クロム及びニッケルを含むステンレス合金等からなり、溝部を有する第2のスペーサー10とを組み合わせた構造から構成されている。第2のスペーサー10は、第2の部材23と第3の部材24とが対向する面上で、且つ、第3の部材24の外縁部に設置されている。また、第2のスペーサー10の溝部には、部材11が溝部と接触するように設置されている。なお、部材11は、回転可能な略球状の部材であることが好ましい。また、部材11は耐摩耗性材料又は超硬合金材料から形成されていることが好ましく、通常、Al2O3、Si3N4、ZrO2又はタングステンカーバイド等の材料から構成される。部材11が略球状であることにより、第2の部材23は回転による摩擦が低減され、発電効率を向上させることができる。また、部材11が耐摩耗性材料又は超硬合金材料であることによって、より摩擦に強い耐久性のある構造とすることができる。
また、第2のスペーサー10に形成される溝部は、上側から見た場合に、第3の部材24の外縁に沿ってある範囲分の長さを有し、部材11が略球状の部材である場合にはその範囲の間において回転しながら移動可能であることが好ましい。また、このような溝部は部材11の数に応じて複数あることが好ましい。ここで、第3の部材24を上から見た形状が円状であれば、第2のスペーサー10に形成された溝部は、円弧状である。また、このように第2のスペーサー10の溝部に略球状の部材11を組み合わせた構造は、ベアリング構造と呼ぶことも可能であり、ベアリング構造は略球状の部材11が回転できればよく、例えば円柱でもよいし、本実施形態の構成に限定されない。また、溝部に部材11が設置された第2のスペーサー10は第2の部材23に形成されていてもよい。
なお、溝部は必ずしも第2のスペーサー10に形成されている必要はなく、第3の部材24のうち第2の部材23と対向する面に形成されていればよい。
また、第2のスペーサー10は第2の部材23と第3の部材24の間にあればよく、必ずしも外縁部でなくともよい。また、部材11は略球状に限られるわけではなく、突起であってもよい。すなわち、第2の部材23と第3の部材24との間に、第2の部材23又は第3の部材24に接触する突起を有する構造であってもよい。
第1の部材22の一部である第2の基板2の、第2の部材23に対向する面には、図1(b)及び図2(a)に示すように、中心近傍から外周方向に向かって延びるような略扇形の第1の電極12が一定の回転角度分の間隔を空けて複数形成されている。なお、略扇形の第1の電極12は発電効率の点から複数個形成されていることが好ましいが、1つでもよい。
第2の部材23の一部である第4の基板6の、第1の部材22に対向する面には、第1の電極12と同様の回転角度分の間隔を空けて第2の電極13が形成されている。そして、第1の電極12と第2の電極13との間における第2の電極13側には、第1のエレクトレット材14が形成されている。第2の電極13とその上に形成されている第1のエレクトレット材14とは、第1の電極12のような略扇形のストライプ構造のうち、一部を切り取ったような形状であり、第1の部材22に形成された第1の電極12とちょうど重なるように第2の電極13と第1のエレクトレット材14とが形成されている。図2(a)における符号13、14が第2の電極13と第1のエレクトレット材14とが形成されている部分であり、実際には第1の部材22に対向する面に形成されている。
第2の部材23の一部である第5の基板7の、第3の部材24に対向する面には、後述する第4の電極17と同様の回転角度分の間隔を空けて第3の電極15が形成されている。また、第3の電極15と後述する第3の部材24に配置された第4の電極17との間における第3の電極15側には、第2のエレクトレット材16が形成されている。第3の電極15とその上に形成されている第2のエレクトレット材16とは、後述する第4の電極17のような略扇形のストライプ構造のうち、一部を切り取ったような形状であり、第3の部材24に形成された第4の電極17とちょうど重なるように第3の電極15と第2のエレクトレット材16とが形成されている。図2(a)における符号15、16が第3の電極15と第2のエレクトレット材16とが形成されている部分であり、実際には第3の部材24に対向する面に形成されている。
第3の部材24の一部である第7の基板9の、第2の部材23に対向する面には、第1の電極12と同様の形状となるように、第4の電極17が形成されている。ここで、第1の電極12と同様の回転角度分の間隔を空けて第4の電極17が複数形成されていた方が好ましいが、第3の電極15と同様の回転角度分の間隔を空けて形成されていれば、構わない。
なお、第2の部材23が軸18を中心に回転することによって、第1の電極12の形成部及び第4の電極17の形成部と第1のエレクトレット材14の形成部及び第2のエレクトレット材16の形成部との重なり部分はずれていき、一定の回転角分ずれると再び重なるようになっている。
なお、本実施形態では第1の部材22が第1の基板1、第2の基板2及び第1のスペーサー3から構成されている例を示したが、第1の部材22の構成はこれに限定されない。すなわち、一つの基板により構成されていてもよいし、2以上の基板又はスペーサー等から構成されていてもよい。同様に、第2の部材23は一つの基板により構成されていてもよいし、2以上の基板又はスペーサー等から構成されていてもよい。同様に、第3の部材24も一つの基板により構成されていてもよいし、2以上の基板又はスペーサー等から構成されていてもよい。
また、本実施形態では部材4、11はそれぞれ、第1の部材22と第3の部材24に形成されているが、第2の部材23に形成されていてもよい。
次に、第1の実施形態に係る発電装置に外部振動が与えられたときの第2の部材23の動きを、図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、第1の部材22及び第3の部材24を上側から見た形状は略円形であり、第2の部材23を上側から見た形状は、第1の部材22又は第3の部材24から一部を取り除いたような形状をしている。第2の部材23は、軸18を中心軸として第1の回転方向20及び第2の回転方向21に回転可能である。第2の部材23は回転錘であってもよい。第2の部材23が錘であることによって、小さな力でも効率的に振動することができる。
ここで、外部からの振動が小さい場合には、第2の部材23は、重力方向(Y軸方向)を中心に、第1の回転方向20に向かい、あるところから第2の回転方向21に向かうというような振り子運動をすることとなる。一方、外部からの振動が大きい場合には、第2の部材23は、第1の回転方向20又は第2の回転方向21に回転し続けるような運動をすることとなる。
また、第1の部材22及び第3の部材24は固定されているため、第2の部材23のように、外部振動に呼応した回転運動は生じない。
次に、第1の実施形態に係る発電装置に外部振動が与えられたときの、発電のメカニズムについて説明する。
まず、外部振動が発電装置に加わると、第2の部材23の振動に呼応して、第2の電極13も軸18を中心軸として第1の回転方向20又は第2の回転方向21に回転する。すると、固定されている第1の部材22に配置されている第1の電極12及び第3の部材24に配置されている第4の電極17と、第1の回転方向20又は第2の回転方向21に振動する第1のエレクトレット材14及び第2のエレクトレット材16との重なり面積に増減が生じるため、第1の電極12及び第4の電極17に誘起される電荷に変化が生じることとなる。この電荷の変化による電流を電気エネルギーとして外部に取り出すことにより発電を行う。
第1の実施形態に係る発電装置によると、第2の部材23の回転に呼応する第1の電極12及び第4の電極17に生じる電荷の変化を、電気エネルギーとして取り出すことが可能となる。そのため、従来技術と比較して、平面内のあらゆる方向の振動を効率よく発電に利用することができる効果がある。
また、第1の実施形態に係る発電装置によると、第2の部材23の片面だけでなく両面に電極及びエレクトレット材を配置しているので、第2の部材23の片面だけに電極又はエレクトレット材が形成されているときに比べて発電量を増加させることができる効果がある。
また、第1の実施形態に係る発電装置によると、第1のスペーサー3及び第2のスペーサー10に形成された部材4、11によって、第1の電極12と、それに対向する第1のエレクトレット材14との間のギャップ(空間)の変動を制御することができる。同様に、第4の電極17と、それに対向する第2のエレクトレット材16との間のギャップの変動を制御することができる。小型で、且つ発電量を大きくするためには、第1の電極12と第1のエレクトレット材14との距離又は第4の電極17と第2のエレクトレット材16との距離を縮めることが必要となる。しかし、一方で、距離を縮め過ぎると、電極とエレクトレット材との間において生じるクーロン力の影響により、電極とエレクトレット材とが互いに引っ張り合って動きづらくなったり、張り付いてしまう等のおそれがある。ここで、第1のスペーサー3及び第2のスペーサー10に形成された部材4、11により、電極とエレクトレット材との間のギャップの変動を抑制し、電極とエレクトレット材とが張り付くことを防止することが可能となる。
また、第1の実施形態に係る発電装置によると、第1の電極12と第1のエレクトレット材14との間において生じるクーロン力と、第4の電極17と第2のエレクトレット材16との間において生じるクーロン力とがつりあう。従って、第1の電極12と第1のエレクトレット材14とが張り付いてしまうこと、及び第4の電極17と第2のエレクトレット材16とが張り付いてしまうことを防止することができる。
また、第1の実施形態に係る発電装置によると、第1のスペーサー3及び第2のスペーサー10に形成された部材4、11によって、第2の部材23が滑らかに回転することが可能となる。そのため、より多くの発電量を得ることができる効果がある。本実施形態では、スペーサー部に形成された溝部に、略球状の部材を配置したベアリング構造により、第2の部材23と第1の部材22との間又は第2の部材23と第3の部材24との間に発生する回転摩擦を小さくし、発電効率を向上させることが可能となる。なお、電極とエレクトレット材との接触を防ぐためには、スペーサーとして、耐磨耗性材料又は超硬材料からなる突起部を形成してもよい。また、この突起部は第2の部材23に形成されていてもよい。
ここで、第1のエレクトレット材14及び第2のエレクトレット材16は、例えばシリコン酸化膜等の絶縁膜からなり、シリコン窒化膜等のエレクトレット材よりも引張り応力の大きい絶縁膜により覆われていることが好ましい。シリコン酸化膜をシリコン窒化膜により覆うことによって、シリコン酸化膜部に注入される電荷を抜けにくくすることができ、発電効率を高めることができる。なお、電荷を抜けにくくするためには、エレクトレット材の側面、下面及び上面が完全にシリコン窒化膜により覆われていることが好ましい。
また、第1のエレクトレット材14及び第2のエレクトレット材16は、例えばシリコン酸化膜ではなく、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)膜により形成してもよい。PZTは強誘電特性を有するため、分極すれば、エレクトレット材となる。PZT膜の最表面に電荷が存在するので、対向する電極に対して電荷の中心が最も近くなる。これによって静電誘導により得られる電荷量が増え、発電効率を向上させることができる。
ここで、本実施形態では第2の部材23に第1のエレクトレット材14及び第2のエレクトレット材16を配置したが、第1の部材22及び第3の部材24に第1のエレクトレット材14及び第2のエレクトレット材16を配置しても構わない。
なお、エレクトレット材は、絶縁体の中に電荷を保持したものであるが、材料の持つ絶縁耐圧を超えて電荷を保持することはできない。従って必要な電荷量に対応して厚さを制御する必要がある。絶縁耐圧の低い材料では相対的に厚みが増し、電荷の中心と、対向電極との距離が相対的に遠くなるため、発電効率が低下する傾向にある。そのため、絶縁耐圧の高いシリコン酸化膜等が有効であり、発電効率が大きくなる。
また、発電量を増加させるためには、第1の電極12及び第4の電極17と第1のエレクトレット材14及び第2のエレクトレット材16との距離は短いほうがよく、50μm以下程度であることが好ましい。また、そのためには、厚さがそれぞれ0.5μm程度であり、材料がそれぞれ金及びポリシリコン等からなる第1の電極12と第2の電極13との距離と、厚さがそれぞれ0.5μm程度であり、材料がそれぞれ金及びポリシリコン等からなる第3の電極15と第4の電極17との距離が50μm以下程度であることが好ましい。ここで、本実施形態では、例えば、第1の電極12が形成される第2の基板2を500μm程度の厚さとし、第4の電極17が形成される第7の基板9を500μm程度の厚さとし、略球状の部材4、11の直径を、200μm〜300μm程度とし、第1の電極12と厚さが2μm〜3μm程度である第1のエレクトレット材14との距離を50μm程度とし、第4の電極17と厚さが2μm〜3μm程度である第2のエレクトレット材16との距離を50μm程度とすることが好ましい。特に本発明による構造によると、電極とエレクトレット材との距離を精度よく制御することができる。そのため、電極とエレクトレット材との距離が50μm以下程度と小さい領域でも両者の張り付きを防止することができる。ただし、これらの数値は好ましい値を例示したにすぎず、この数値に限定されるものではない。
次に、本発明の第1の実施形態に係る発電装置の製造方法について図4〜図7を参照しながら説明する。
まず、図4(a)及び図4(b)に示すように、第1の部材22を形成する。第2の基板2に第1の電極12を形成し、第1の基板1に設置する。ここで、第1の基板1の一部に溝部を形成し、第2の基板2をはめ込むように形成することが好ましい。また、第1のスペーサー3の溝部に例えば耐摩耗性材料又は超硬材料からなる略球状の部材4を組み込んだものを、第1の基板1の外縁部に設置する。
同様に、図5(a)及び図5(b)に示すように、第3の部材24を形成する。第7の基板9に第4の電極17を形成し、第6の基板8に設置する。ここで、第6の基板8の一部に溝部を形成し、第7の基板9をはめ込むように形成することが好ましい。また、第2のスペーサー10の溝部に例えば耐磨耗性材料又は超硬材料からなる略球状の部材11を組み込んだものを、第6の基板8の外縁部に設置する。
また、図6(a)及び図6(b)に示すように、第2の部材23を形成する。第2の部材23は、第3の基板5の一部に、第4の基板6を設置した構造になっている。また、第3の基板5の、第4の基板6を設置した面と反対側の面には、第5の基板7が設置されている。
ここで、第4の基板6は、図6(a)の領域Bとして表す部分と同様の形状をしている。第4の基板6には第2の電極13が図2(a)に示したように形成されており、第2の電極13の上には第1のエレクトレット材14が形成されている。同様に、第5の基板7には、第3の電極15及び第2のエレクトレット材16が順次形成されている。また、第4の基板6に形成される電極と第5の基板7に形成される電極の形状はほぼ等しい。
次に、図7(a)及び図7(b)に示すように、軸18と軸受け19とを用いて、第1の部材22と第2の部材23と第3の部材24とを接続する。前述した第1の部材22における電極が形成されている面及び第3の部材24の電極が形成されている面を、それぞれ第2の部材23と対向させる。また、第1の部材22と第3の部材24とにより第2の部材23をはさむようにして、軸18と軸受け19とにより第1の部材22と第2の部材23と第3の部材24とを接続する。このとき、第2の部材23は、第1の部材22及び第3の部材24に対して相対的に平行に回転可能であるように接続されている。
(第1の実施形態の第1の変形例)
本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る発電装置について図8を参照しながら説明する。
本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る発電装置について図8を参照しながら説明する。
第1の実施形態の第1の変形例に係る発電装置は、第1の実施形態に係る発電装置と比較して、電極の配置及びエレクトレット材の配置が異なり、それ以外の構成は同様である。
第1の部材22の面上には、図2(a)に示したような略扇形の第1の電極12が一定の回転角度分の間隔をあけてストライプ状に形成されている。また、第3の部材24の、第2の部材23に対向する面上には、第1の電極12と同様に略扇形の第4の電極17が一定の回転角度分の間隔をあけてストライプ状に形成されている。第1の部材22及び第3の部材24はそれぞれ固定されており、第2の部材23は、第1の部材22及び第3の部材24に対して相対的に平面方向に回転可能である。
ここで、図8に示すように、第1の部材22と第3の部材24とにおいて、第1の電極12と第4の電極17とがちょうど重ならないように一定の回転角度分ずらして固定する。さらに説明すると、第1の電極12、第2の電極13、第3の電極15、第1のエレクトレット材14及び第2のエレクトレット材16は重なって配置されるが、第4の電極17だけは、これらとずれるように配置される。
以上のように電極とエレクトレット材とが配置されると、図8に示すように、第1の電極12と第2の電極13とがちょうど重なって対向しているときは、第3の電極15と第4の電極17とが一定の回転角度分ずれている状態となる。逆に、第3の電極15と第4の電極17とがちょうど重なって対向しているときには、第1の電極12と第2の電極13とが一定の回転角度分ずれた状態となる。
第1の実施形態の第1の変形例によると、第1の電極12と第2の電極13とがちょうど重なっているときは、第1の電極12と第2の電極13との間に働く力は垂直方向となり、安定する。一方で、第3の電極15と第4の電極17とは一定の回転角度分ずれているため、第4の電極17のうちの一つの電極に対向する面の左右には、それぞれ第2のエレクトレット材16が存在することになる。このため、第4の電極17のうちの一つの電極と第2のエレクトレット材16との間に働く力は垂直方向とはならず、不安定な状態となる。従って、微弱な振動を与えるだけで左右どちらかに引かれるため、回転運動を助けることとなり、発電効率を向上させることが可能となる。
なお、図8においては、第4の電極17の位置と第3の電極15及び第2のエレクトレット材16の位置とが完全にずれる状態を示しているが、一部重なるようにしてずれても構わない。
なお、本変形例では第4の電極17の位置と第3の電極15及び第2のエレクトレット材16の位置とがずれるように配置したが、第1の電極12の位置と、第2の電極13及び第1のエレクトレット材14との位置をずらしても構わない。
(第1の実施形態の第2の変形例)
本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る発電装置について図9を参照しながら説明する。
本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る発電装置について図9を参照しながら説明する。
第1の実施形態の第2の変形例に係る発電装置は、第1の実施形態に係る発電装置と比較して、電極及びエレクトレット材を上から見たときの形状が異なり、それ以外の構造は同様である。
具体的には、図9に示すように、電極及びエレクトレット材の形状をそれぞれブロック形状として、千鳥状に配置してもよい。
言い換えれば、第1の部材22と第2の部材23との関係において、ブロック形状の第1の電極12、ブロック形状の第2の電極13及びブロック形状の第1のエレクトレット材14がそれぞれ、第1の部材22の中心(回転軸)近傍から外周方向に向かって延びるように複数配置されることとなる。また、第2の電極13及び第1のエレクトレット材14は重なるように配置され、第1の電極12はそれらと重なるように対向して配置される。
また、第2の部材23と第3の部材24との関係において、ブロック形状の第3の電極15、ブロック形状の第4の電極17及びブロック形状の第2のエレクトレット材16がそれぞれ、第3の部材24の中心(回転軸)近傍から外周方向に向かって延びるように複数配置されることとなる。また、第3の電極15及び第2のエレクトレット材16は重なるように配置され、第4の電極17はそれらと重なるように対向して配置される。図9は第3の部材24を省略した略上面図である。
(第1の実施形態の第3の変形例)
本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る発電装置について図10を参照しながら説明する。
本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る発電装置について図10を参照しながら説明する。
第1の実施形態の第3の変形例に係る発電装置は、第1の実施形態に係る発電装置と比較して、電極及びエレクトレット材を上から見たときの形状が異なり、それ以外の構成は、同様である。
具体的には、図10に示すように、電極及びエレクトレット材の形状をそれぞれ渦巻き形状とする。図10においては、簡略化のために、渦巻き形状を線状にて記載しているが、発電効率の観点から、電極及びエレクトレット材は、それぞれある程度の幅を持っている。
以上のように電極及びエレクトレット材を配置することにより、電極が渦巻き状に一続きになっているため、それぞれの電極ブロック間の接続が必要なく、最外周部で容易に外部配線と接続することができる効果がある。
なお、本発明は第1の実施形態及びその変形例に限定されるものではない。さらに、それぞれの実施形態及び変形例を適宜組み合わせることも可能である。
また、第1の実施形態及びその変形例においては、第1のエレクトレット材14が第1の電極12と第2の電極13との間に配置され、第2のエレクトレット材16が第3の電極15と第4の電極17との間に配置される構成について説明したが、第1の電極12と第2の電極13との間、又は、第3の電極15と第4の電極17との間に、外部から電荷を供給できるような電荷供給機構があれば、必ずしも必要ではない。しかしながら、それぞれの電極間には多くの電荷が供給される必要がある。従って、その観点からは、エレクトレット材がそれぞれの電極間に配置される方が好ましい。
本発明に係る発電装置は、多方向の外部振動を効率的に発電に利用可能な発電装置並びにこのような発電装置を搭載した電気機器及び通信装置を得ることができ、特に、エレクトレット材料を用いた静電誘導型発電装置及びこの発電装置を搭載する電気機器等に有用である。
1 第1の基板
2 第2の基板
3 第1のスペーサー
4 部材
5 第3の基板
6 第4の基板
7 第5の基板
8 第6の基板
9 第7の基板
10 第2のスペーサー
11 部材
12 第1の電極
13 第2の電極
14 第1のエレクトレット材
15 第3の電極
16 第2のエレクトレット材
17 第4の電極
18 軸
19 軸受け
20 第1の回転方向
21 第2の回転方向
22 第1の部材
23 第2の部材
24 第3の部材
2 第2の基板
3 第1のスペーサー
4 部材
5 第3の基板
6 第4の基板
7 第5の基板
8 第6の基板
9 第7の基板
10 第2のスペーサー
11 部材
12 第1の電極
13 第2の電極
14 第1のエレクトレット材
15 第3の電極
16 第2のエレクトレット材
17 第4の電極
18 軸
19 軸受け
20 第1の回転方向
21 第2の回転方向
22 第1の部材
23 第2の部材
24 第3の部材
Claims (15)
- 第1の部材に設けられた第1の電極と、
第2の部材に設けられた第2の電極及び第3の電極と、
第3の部材に設けられた第4の電極とを有し、
前記第1の電極と前記第2の電極とは、間隔を隔てて対向するように設けられ、
前記第3の電極と前記第4の電極とは、間隔を隔てて対向するように設けられており、
前記第2の部材は、前記第1の部材に対して相対的に、平面方向に回転することを特徴とする発電装置。 - 前記第2の部材は回転錘であることを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
- 前記第2の部材は前記第1の部材及び第3の部材に対して相対的に平面方向に回転することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の発電装置。
- 前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、前記第1の電極又は第2の電極に設けられた第1のエレクトレット材と、
前記第3の電極と前記第4の電極との間に設けられ、前記第3の電極又は第4の電極に設けられた第2のエレクトレット材とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発電装置。 - 前記第1の部材と前記第2の部材との間又は前記第2の部材と前記第3の部材との間に設けられ、前記第1の部材、第2の部材又は第3の部材のいずれかの面と接触する複数の第4の部材を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発電装置。
- 前記第1の部材と前記第2の部材との間又は前記第2の部材と前記第3の部材との間に設けられ、前記第1の部材、第2の部材又は第3の部材のいずれかに形成された溝部に接触する複数の第4の部材を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発電装置。
- 前記第4の部材は略球状をしていることを特徴とする請求項5又は6のいずれか1項に記載の発電装置。
- 前記第4の部材は、耐磨耗性材料からなることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の発電装置。
- 前記第4の部材は、超硬材料からなることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の発電装置。
- 前記第1の部材には軸が形成されており、
前記軸は、前記第1の部材の平面方向に対して垂直方向に伸びており、
前記第1の部材と前記第2の部材と前記第3の部材とは前記軸により接続されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の発電装置。 - 前記第1の電極は、前記第1の部材の中心近傍から外周方向に向かって延びるように形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の発電装置。
- 前記第1の電極は、ブロック状の電極が前記第1の部材の中心近傍から外周方向に向かって複数形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の発電装置。
- 前記第1の電極は、ブロック状の電極が千鳥配置となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の発電装置。
- 前記第1の電極は、前記第1の部材の中心近傍から外周方向に渦巻き状に形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の発電装置。
- 前記第1の電極と前記第2の電極との間の間隔は、50μm以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の発電装置。
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-
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