JP5416993B2 - 非空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
そこで、このパンクの発生を防止できる非空気入りタイヤとして、従来では例えば下記特許文献1に示されるような、内部がゴム材料で満たされた中実構造のいわゆるソリッドタイヤが提案されている。
この発明では、非空気入りタイヤが、取り付け体とリング状体とがタイヤ周方向に沿って複数設けられた連結部材で連結されて構成され、内部がゴム材料で満たされた中実構造となっていないので、その重量、硬さおよび転がり抵抗の増大を抑えて良好な乗り心地性や操縦性を確保しつつ、パンクの発生を防ぐことができる。
また、連結部材が、前記タイヤ側面視で、タイヤ周方向における一方側に向けて凸となるように湾曲した第1連結板と、他方側に向けて凸となるように湾曲した第2連結板と、を備えているので、この非空気入りタイヤに外力が作用して取り付け体とリング状体とが相対的にタイヤ径方向、タイヤ周方向、若しくはタイヤ幅方向に変位したときに、この変位に応じて第1連結板および第2連結板を弾性変形させ易くすることが可能になり、当該非空気入りタイヤに柔軟性を具備させることができ、車両への振動の伝達が抑えられ良好な乗り心地性を確実に確保することができる。
さらに、各連結部材が、前記タイヤ側面視で前記仮想線に対して線対称となっているので、この非空気入りタイヤにおけるタイヤ周方向の一方側に沿うばね定数と他方側に沿うばね定数とで差が生ずるのを抑えることが可能になる。したがって、この非空気入りタイヤを接地させた状態で、当該タイヤの接地部分における進行方向に沿うばね定数と制動方向に沿うばね定数との差を抑えることが可能になり、良好な操縦性を確実に確保することができる。
さらにまた、リング状体が内周リング、外周リングおよび連結リングを備えて弾性変形可能に形成されているので、非空気入りタイヤに外力が作用したときに、第1連結板および第2連結板のみならずリング状体をも弾性変形させることが可能になり、このタイヤの柔軟性をより一層高めて乗り心地性を向上させることができる。
またこのように、リング状体を弾性変形させることが可能になることから、前述の両連結板自体にかかる負荷のみならず、両連結板においてリング状体に連結される各一端部および取り付け体に連結される各他端部、つまり両連結板の接続部分にかかる負荷も大きく緩和することが可能になり、この接続部分を含めた連結部材全体の耐久性を高めることができる。
さらに、リング状体において内周リングの内周面側に両連結板の各一端部が連結され、かつ外周リングの外周面側にトレッドゴムが配設され、両連結板の各一端部は、内周リングにおいて連結リングが連結された部分からタイヤ幅方向に離れた部分に連結されているので、接地時に、内周リングにおいて前記両連結板の各一端部が連結された部分に局部的に大きな力が作用しても、この力を直接トレッドゴムに伝えることなく、連結リングを介して外周リング上に分散させた状態でトレッドゴムに伝えることができる。したがって、トレッドゴムに作用する接地圧を局部的に集中させることなく広い範囲に分散させることが可能になり、前述のようにリング状体が弾性変形可能に形成されてトレッドゴムに作用する接地圧が低減されることと相俟って、このトレッドゴムの耐摩耗性を高めることもできる。
また、リング状体がタイヤ周方向に沿って多数個の分割体に分割されているので、この非空気入りタイヤを容易に形成することが可能になるとともに、例えばリング状体の一部が破損したときに、リング状体の全体を交換せずにこの破損箇所のみを交換すれば足り、メンテナンス性を向上させることも可能になる。
さらに、このようにリング状体がタイヤ周方向に沿って多数個の分割体に分割されていることから、リング状体の柔軟性が高められ、非空気入りタイヤに作用する外力に応じてこのリング状体を変形させ易くすることが可能になり、良好な乗り心地性をより一層確実に確保することができる。
この場合、両連結板における各一端部および各他端部のうちの少なくとも一方が、タイヤ幅方向に沿って平行に延びる回転軸線回りに回転自在に支持されているので、非空気入りタイヤに外力が作用して取り付け体とリング状体とが相対的に前述のように変位したときに、前記少なくとも一方を前記回転軸線回りに回転させることにより、この少なくとも一方が局所的に大きく変形させられるのを抑制することが可能になる。したがって、前記両連結板の全体を偏り少なく均等に変形させて前記少なくとも一方にかかる負荷を緩和することが可能になり、乗り心地性、および連結部材全体の耐久性をより一層高めることができる。
この場合、1つの連結部材における両連結板の各一端部が、タイヤ周方向で互いに隣接する複数個の分割体に跨って連結されているので、乗り心地性、および連結部材全体の耐久性を確実に高めることができるとともに、トレッドゴムに作用する接地圧をさらにタイヤ周方向に分散させ易くすることも可能になり、トレッドゴムの耐摩耗性をより一層高めることができる。
この場合、1つの連結部材における両連結板の各一端部が、リング状体の内周面側においてタイヤ周方向における同一の位置にタイヤ幅方向の位置を互いに異ならせて各別に連結されて、連結部材が、第1連結板が一のタイヤ幅方向位置にタイヤ周方向に沿って複数配置され、かつ第2連結板が他のタイヤ幅方向位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されるように、タイヤ周方向に沿って複数設けられているので、タイヤ周方向で隣り合う連結部材同士の干渉を抑えることが可能になり、その配設個数に制限が生ずるのを抑制することができるとともに、トレッドゴムに作用する接地圧をさらにタイヤ幅方向に分散させ易くすることも可能になり、トレッドゴムの耐摩耗性を確実に向上させることができる。
この場合、ヒステリシスロスの発生をほぼなくすことが可能になり、転がり抵抗を空気入りタイヤよりも低減することができる。
この非空気入りタイヤ1は、図示されない車軸に取り付けられる取り付け体11と、取り付け体11をタイヤ径方向の外側から囲繞するリング状体12と、タイヤ周方向に沿って複数設けられ取り付け体11の外周面側とリング状体12の内周面12b側とを連結する連結部材13と、リング状体12の外周面側にその全周にわたって配設されたトレッドゴム14と、リング状体12とトレッドゴム14との間に配設された補強層15と、が備えられている。
補強層15は、円筒状に形成されたゴムシートの内部にスチールコードが複数本並べられて埋設された構成となっている。なお、この補強層15は、トレッドゴム14の内部にスチールコードを複数本並べた状態で埋設することによって、トレッドゴム14と一体に形成してもよい。
すなわち、両連結板21、22の各長さは互いに同等とされるとともに、両連結板21、22の各他端部21b、22bは、前記タイヤ側面視で、取り付け体11の外周面において前記各一端部21a、22aとタイヤ径方向で対向する位置から前記軸線Oを中心にタイヤ周方向における一方側および他方側にそれぞれ同じ角度(例えば45°以上135°以下、好ましくは90°以上120°以下)ずつ離れた各位置に各別に連結されている。
なお、第1連結板21および第2連結板22を、例えば鉄鋼、ステンレス鋼若しくはアルミニウム合金等の金属材料で形成した場合には、第1連結板21および第2連結板22それぞれの両端部21a、21bおよび22a、22bは、取り付け体11の外周面および前記ブロック状体19b(リング状体12の内周面12b側)に溶接若しくは締結部材で締結されて連結される。
また、第1連結板21および第2連結板22を樹脂材料で形成した場合には、第1連結板21および第2連結板22それぞれの両端部21a、21bおよび22a、22bは、取り付け体11の外周面および前記ブロック状体19b(リング状体12の内周面12b側)に当該樹脂材料を接着させる若しくは締結部材で締結されることによって連結される。
またこのように、リング状体12を弾性変形させることが可能になることから、両連結板21、22自体にかかる負荷のみならず、両連結板21、22においてリング状体12に連結される各一端部21a、22aおよび取り付け体11に連結される各他端部21b、22b、つまり両連結板21、22の接続部分にかかる負荷も大きく緩和することが可能になり、この接続部分を含めた連結部材13全体の耐久性を高めることができる。
さらに、このようにリング状体12がタイヤ周方向に沿って多数個の分割体12aに分割されていることから、リング状体12の柔軟性が高められ、非空気入りタイヤ1に作用する外力に応じてこのリング状体12を変形させ易くすることが可能になり、良好な乗り心地性をより一層確実に確保することができる。
さらに本実施形態では、内周リング16および外周リング17の各タイヤ幅方向Hの一端部同士が連結リング18で連結され、かつ前記取付け部材19が、内周リング16のタイヤ幅方向Hの他端部に接合されているので、連結リング18を支持部として内周リング16と外周リング17とを相対的に柔軟かつ滑らかに弾性変位させることが可能になり、前述の作用効果が確実に奏功されることになる。
取り付け体31の外周面においてタイヤ幅方向Hの両端には、タイヤ径方向外方に向けて突出する第1支持突部32が、タイヤ周方向に等間隔をあけて複数設けられるとともに、各第1支持突部32にはタイヤ幅方向Hに貫通する第1軸受孔32aが形成されている。
そして、取り付け体31の外周面においてタイヤ幅方向Hの両端に位置する各第1支持突部32は、タイヤ幅方向Hで互いに対向しており、これらの第1支持突部32に形成された第1軸受孔32aは回転軸線Rと同軸に位置している。
そして、第1軸部35の両端部が第1軸受孔32aに回転自在に挿入され、かつ第2軸部36の両端部が前記第2軸受孔に回転自在に挿入されている。
例えば、前記実施形態では、連結部材13として第1連結板21および第2連結板22をそれぞれ1つずつ備えた構成を示したが、これに代えて、1つの連結部材13に第1連結板21および第2連結板22がそれぞれ複数ずつ、互いのタイヤ幅方向Hの位置を異ならせて備えられた構成を採用してもよい。
また、連結部材13を、取り付け体11とリング状体12との間にタイヤ幅方向Hに沿って複数設けてもよい。
さらに、取り付け体11、31として円盤状体を示したが、これに代えて例えばリング状体等を採用してもよい。
さらに、第1連結板21および第2連結板22を形成する材質は前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。
また、第1連結板21および第2連結板22それぞれの他端部21b、22bは、前記実施形態に代えて例えば、取り付け体11、31の外周面において前記軸線Oをタイヤ径方向で挟んで互いに反対となる位置に各別に連結してもよいし、あるいは、取り付け体11、31の外周面において、第1連結板21および第2連結板22の各一端部21a、22aにタイヤ径方向で対向する位置等に連結してもよい。
また、前記実施形態では、連結リング18として、タイヤ幅方向Hの外側に向けて突の曲面状に形成された構成を示したが、これに限らず例えば、タイヤ径方向に沿って平行に延びる平坦面に形成する等、適宜変更してもよい。
また、前記実施形態に代えて、両連結板21、22の各一端部21a、22aを、リング状体12の内周面12b側にタイヤ周方向位置を互いに異ならせて連結してもよい。
実施例1として図1から図3で示した非空気入りタイヤ1を採用し、実施例2として図4から図6で示した非空気入りタイヤ2を採用した。また、比較例として、実施例1の非空気入りタイヤ1において、リング状体12が外周リング17および連結リング18を有さず内周リング16のみを有し、この内周リング16の外周面に補強層15およびトレッドゴム14を直接配設した構成を採用した。そして、この比較例を評価基準(100)として、実施例1および実施例2それぞれの非空気入りタイヤについて、重量、転がり抵抗、接地圧標準偏差、乗り心地性および操縦性、さらに耐久性を指数で評価した。
また、比較例および実施例1では、両連結板21、22におけるタイヤ幅方向Hの大きさおよび厚さをそれぞれ18mm、3.0mmとし、リング状体12の分割体12aにおけるタイヤ周方向の大きさおよび厚さをそれぞれ16mm、3.5mmとした。
実施例2では、両連結板21、22におけるタイヤ幅方向Hの大きさおよび厚さをそれぞれ18mm、2.0mmとし、リング状体12の分割体12aにおけるタイヤ周方向の大きさおよび厚さをそれぞれ16mm、3.5mmとした。
さらに、比較例、実施例1および実施例2の全てについて、両連結板21、22はステンレス鋼で形成し、リング状体12はアルミニウム合金で形成した。
接地圧標準偏差については、比較例、実施例1および実施例2の各非空気入りタイヤを、感圧紙を介して平板上に4.0kNの力で押し付けることで接地形状を得て、この接地形状を画像処理して計測した。
乗り心地性および操縦性については、比較例、実施例1および実施例2の各タイヤを車両に装着し、この車両に2名乗車させて当該車両を走行させたときのドライバーによるフィーリングで評価した。
耐久性については、比較例、実施例1および実施例2の各非空気入りタイヤを、ドラム試験機のドラム上に5.2kNの力で押し付けた状態で81km/hの速度で回転させ、故障が発生したときの時間で評価した。
この表において、重量、転がり抵抗および接地圧標準偏差は数値が小さいほど良好であることを示しており、また、乗り心地性、操縦性および耐久性は数値が大きいほど良好であることを示している。
11、31 取り付け体
12 リング状体
12a 分割体
12b リング状体の内周面
13 連結部材
14 トレッドゴム
16 内周リング
17 外周リング
18 連結リング
21 第1連結板
22 第2連結板
21a、22a 一端部
21b、22b 他端部
H タイヤ幅方向
L 仮想線
O 軸線
R 回転軸線
Claims (5)
- 車軸に取り付けられる取り付け体と、
該取り付け体をタイヤ径方向の外側から囲繞するリング状体と、
タイヤ周方向に沿って複数設けられ前記取り付け体と前記リング状体とを連結する連結部材と、
前記リング状体の外周面側にその全周にわたって配設されたトレッドゴムと、が備えられた非空気入りタイヤであって、
前記連結部材は、このタイヤをその軸線方向から見たタイヤ側面視において、タイヤ周方向における一方側に向けて凸となるように湾曲した第1連結板と、他方側に向けて凸となるように湾曲した第2連結板と、を備えるとともに、タイヤ径方向に沿って延びる仮想線に対して線対称に形成され、
前記リング状体は、第1連結板および第2連結板の各一端部が連結される内周リングと、この内周リングをタイヤ径方向の外側から囲繞する外周リングと、これらの両リングをつなぐ連結リングと、を備えて弾性変形可能に形成され、
前記リング状体は、タイヤ周方向に沿って多数個の分割体に分割され、
第1連結板および第2連結板の各一端部は、内周リングにおいて連結リングが連結された部分からタイヤ幅方向に離れた部分に連結されていることを特徴とする非空気入りタイヤ。 - 請求項1記載の非空気入りタイヤであって、
第1連結板および第2連結板の各一端部、および取り付け体の外周面側に連結される第1連結板および第2連結板の各他端部のうちの少なくとも一方は、タイヤ幅方向に沿って平行に延びる回転軸線回りに回転自在に支持されていることを特徴とする非空気入りタイヤ。 - 請求項1または2に記載の非空気入りタイヤであって、
1つの連結部材における第1連結板および第2連結板の各一端部は、タイヤ周方向で互いに隣接する複数個の分割体に跨って連結され、
一の連結部材の前記各一端部は、この一の連結部材に前記一方側から隣り合う連結部材の前記各一端部が連結された複数個の分割体と、この一の連結部材に前記他方側から隣り合う連結部材の前記各一端部が連結された複数個の分割体と、の間にタイヤ周方向に挟まれる複数個の分割体に連結されていることを特徴とする非空気入りタイヤ。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の非空気入りタイヤであって、
1つの連結部材における第1連結板および第2連結板の各一端部は、前記リング状体の内周面側においてタイヤ周方向における同一の位置にタイヤ幅方向の位置を互いに異ならせて各別に連結され、
前記連結部材は、前記第1連結板が一のタイヤ幅方向位置にタイヤ周方向に沿って複数配置され、かつ前記第2連結板が他のタイヤ幅方向位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されるように、タイヤ周方向に沿って複数設けられていることを特徴とする非空気入りタイヤ。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の非空気入りタイヤであって、
前記第1連結板および第2連結板はそれぞれ、金属材料若しくは樹脂材料で形成されていることを特徴とする非空気入りタイヤ。
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