JP2008302739A - 非空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2008302739A JP2007149415A JP2007149415A JP2008302739A JP 2008302739 A JP2008302739 A JP 2008302739A JP 2007149415 A JP2007149415 A JP 2007149415A JP 2007149415 A JP2007149415 A JP 2007149415A JP 2008302739 A JP2008302739 A JP 2008302739A
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Abstract

【課題】タイヤ内圧の低下、消失等のおそれがなく、タイヤの上下剛性、前後剛性及び横剛性をそれぞれ、所望通りに調整できる非空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ1は、リム2と、その外側に複数のセグメント3とを有し、セグメントとリムとを、複数のリンク機構4によって連結すると共に、セグメントに弾性リング6を接合する非空気入りタイヤであって、リンク機構はそれぞれ、幅方向に沿って間隔を空けて配置される2つのリンクL1,L2を有し、このリンクをそれぞれ、継手10を介して揺動可能に連結されるリンク部材4aと、ヒンジ連結部20を介して揺動可能に連結されるリンク部材4bとで構成し、ヒンジ連結部をそれぞれ、弾性手段5で連結すると共にリンク部材4bをそれぞれ、セグメント側部3bに対して継手30を介して揺動可能に連結し、更に、弾性手段を、圧縮変形させた状態で組み付けてなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、加圧空気を充填不要で、車両の状態に応じた大きさの上下剛性、前後剛性及び横剛性をそれぞれ、簡易に付与することができる非空気入りタイヤに関するものである。
自動車等に使用されるタイヤとしては空気入りタイヤが一般的であるが、空気入りタイヤは、その充填空気圧がパンク等に起因して減少し、又は消失するという問題がある。
このため、空気圧を用いない非空気入りタイヤとして、例えば、中実構造のソリッドタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平6−293203号公報
しかしながら、ソリッドタイヤは、重量及び硬さ共に大きく、空気入りタイヤに比べて、十分な乗心地や操縦性を確保することができない。また、転がり抵抗も大きくなるため、特殊な用途以外では使用されない状況にある。
これに対し、空気入りタイヤは、タイヤにとって重要な特性である、上下剛性、前後剛性及び横剛性をそれぞれ、車種や使用環境又は運転者の要求等に合せてある程度調整できるものの、これらの剛性をそれぞれ、互いに独立した関係の下で、所望の通りに調整することは困難である。なお、本明細書中において、「剛性」とは、ずれ変形に対する弾性の強さを言うものとする。
本発明は、こうした課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、タイヤへの加圧空気その他気体の充填を不要とすることで、タイヤ内圧の低下、消失等のおそれを十分に取り除くと共に、タイヤの上下剛性、前後剛性及び横剛性をそれぞれ、互いに独立させた関係の下で簡易に所望の通りに調整することができる非空気入りタイヤを提供することにある。
本発明である非空気入りタイヤは、回転軸に連結されるリム状部材と、このリム状部材の外側に間隔を空けて配置されるリング状部材又は円周方向に沿って間隔を空けて配置される複数のセグメントとを有し、このリング状部材又はセグメントとリム状部材とを、円周方向に沿って間隔を空けて配置される複数のリンク機構によって連結すると共に、当該リング状部材又はセグメントに弾性リングを接合して円周方向及び子午線方向への変形及び復元を可能とした非空気入りタイヤであって、前記リンク機構はそれぞれ、幅方向に沿って間隔を空けて配置される2つのリンクを有し、このリンクをそれぞれ、リム状部材に対して揺動可能に連結される第一リンク部材と、この第一リンク部材に揺動可能に連結される第二リンク部材とで構成し、第一リンク部材と第二リンク部材との連結部をそれぞれ、変形及び復元の可能な弾性手段で連結すると共に、第二リンク部材をそれぞれ、リング状部材又はセグメントに対して揺動可能に連結し、更に、前記弾性手段を、圧縮変形させた状態又は引張り変形させた状態で組み付けてなることを特徴とするものである。
本発明において、「円周」、「幅」及び「半径」とは、タイヤの「円周」、「幅」及び「半径」をいい(リム状部材又は弾性リングについても同義)、「子午線」方向とは、タイヤをその円周方向に対して直交する断面で見たときに表れる外観形状に沿った線をいう。
また、本発明において、「第一リンク部材がリム状部材に対して揺動可能に連結される」とは、少なくとも、第一リンク部材が、リム状部材に対して連結される一端を有し当該一端を基点に円周方向及び幅方向に揺動可能であればよいことを意味する。
このため、リム状部材と第一リンク部材との連結には、少なくとも円周方向及び幅方向の揺動を許容するユニバーサルジョイント(自在継手)を採用することが好ましい。
また本発明において、「第二リンク部材が第一リンク部材に揺動可能に連結される」とは、少なくとも、第二リンク部材が、第一リンク部材の他端に連結される一端を有し当該一端を基点に幅方向に揺動可能であればよいことを意味する。
このため、第一リンク部材と第二リンク部材との連結には、ピン等を用いて回転可能に連結するヒンジ連結部を採用できるが、自在継手を採用してもよい。
また本発明において、「第二リンク部材をそれぞれ、リング状部材又はセグメントに対して揺動可能なセグメントで一体に連結し、」とは、少なくとも、第二リンク部材の自由端(他端)をそれぞれ、当該他端を基点に回転して円周方向に揺動すると共に幅方向に揺動可能なリング状部材又はセグメントで一体に連結すればよいことを意味する。
このため、第二リンク部材とセグメントとの連結には、少なくともリング状部材又はセグメントが第二リンク部材に対して回転して円周方向に揺動すると共に幅方向に揺動することを許容する自在継手を採用することが好ましい。
また、本発明に係る弾性手段には、負荷を与えない状態での長さを自然長とし、圧縮変形に対しては自然長に復元させるべく圧縮反力を生じ、引張り変形に対しても自然長に復元させるべく引張り反力を生じさせる弾性部材や装置、例えば、ゴム弾性体、ゴム弾性体を繊維補強したもの、コイルスプリング、空気ばね等が挙げられる。
本発明によれば、前記弾性リングは、単層構造又は積層構造のいずれであってもよいが、積層構造の場合には、そのうちの少なくとも一層として補強層を有することが好ましい。また、この場合、前記補強層は、周方向に沿った環状をしてなる複数のコードを有し、当該コードをゴム等の樹脂で被覆してなることが好ましい。
本発明によれば、弾性リングとリム状部材との相互間に円周方向に沿って間隔を空けて複数のリンク機構を設けたことで、加圧空気その他気体の充填が不要となることにより、タイヤ内圧の低下、消失等のおそれを十分に取り除くことができる。また、本発明によれば、第一リンク部材と第二リンク部材との連結部をそれぞれ弾性手段で連結することにより、タイヤの上下剛性、前後剛性及び横剛性をそれぞれ、互いに独立させた関係の下で簡易に所望の通りに調整することができる。
加えて、本発明では、第一リンク部材と第二リンク部材との連結部をそれぞれ、圧縮変形させた状態の弾性手段又は引張り変形させた状態の弾性手段で連結したことから、弾性手段を圧縮変形又は引張り変形させない定常状態で組み付けた場合に比べて、タイヤの上下剛性、前後剛性及び横剛性を増加させつつ、互いを独立させた関係の下で簡易に所望の通りに調整できる。
また、この場合、リンク機構は、弾性リングとの接合にあたり、リム状部材の外側に間隔を空けて配置されるリング状部材又は円周方向に沿って間隔を空けて配置される複数のセグメントを採用できるが、セグメントを採用する場合、円周方向に沿って間隔を空けて配置された各リンク機構を互いに独立して機能させつつも、タイヤ全体としては一体ものとして機能するため、より大きな接地面積が確保されることでグリップ力が向上し、その場合の接地圧分布についても、より均一なものとすることができる。
ところで、本発明によれば、リム状部材の外側に円周方向に沿って間隔を空けて複数のセグメントを配置する場合、セグメントとセグメントとの間に形成された隙間では、タイヤの前後剛性(円周方向における剛性)が弾性リングの張力に依存してしまう。
これは言い換えれば、セグメントとセグメントとの隙間の部分(セグメントの存在しない部分)では、セグメントの存在する部分に比べて、タイヤの前後剛性(円周方向における剛性)が小さくなることに他ならない。このため、走行条件によっては、セグメントの存在する部分での接地圧に比べて、セグメントの存在しない部分での接地圧が小さくなってしまうことがある。
こうした接地圧の差は、例え微小なものであっても、本発明の目的とするところが、接地圧分布をより均一なものにすることにあることを考慮すれば、改善の余地がある。
そこで、本発明の構成を採用すれば、弾性手段を圧縮変形又は引張り変形させない定常状態で組み付けた場合に比べて、タイヤの前後剛性が増加することで、セグメントの存在しない部分での剛性も確保され、均一な接地圧分布の改善に有効である。
加えて、本発明において、前記弾性リングが、少なくとも一層の補強層を有するものであれば、この補強層により弾性リングの初期張力(タイヤに荷重が加わっていない弾性リングのみの張力)が増加するため、セグメントの存在しない部分での剛性も増大し、均一な接地圧分布の改善により一層有効である。
特に、前記補強層が、周方向に沿った環状をしてなる複数のコードを有し、当該コードをゴム等の樹脂で被覆してなるものであれば、弾性リングの初期張力が更に増加するため、均一な接地圧分布の改善に更に一層有効である。
以下、図面を参照して、本発明に従う非空気入りタイヤを詳細に説明する。
図1(a),(b)はそれぞれ、本発明の一形態であるメカニカルタイヤ(以下、「タイヤ」という)1を模式的に示す斜視図及び、同図(a)のタイヤ1から後述の弾性リング6を取り除いた状態を模式的に示す斜視図である。また、図2(a),(b)はそれぞれ、図1(a)のA−A断面を模式的に示した図と、その弾性手段の組み付け状態を図1(a)のA−A断面にて、一部スケルトンとして模式的に示した図である。
図1において、符号2は、車軸(回転軸)に連結されるアルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料からなるリム状部材(以下、「リム」という。)である。リム2は、図2に示すように、円筒形状のリム本体2aを有し、このリム本体2aに、(タイヤ1の)幅方向Wに沿って間隔を空けて2つの環状リブ2bが一体に設けられている。
符号3は、リム2の外側に間隔を空けて、(タイヤ1の)円周方向Sに沿って間隔を空けて複数配置されるセグメントである。セグメント3も、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料からなり、図2(a)に示すように、幅方向Wに延在するプレート部3aを有し、このプレート部3aに、その延在方向に沿って間隔を空けて2つのブラケット部(軸受部)3bが一体に設けられている。
符号4は、リム2とセグメント3とを連結し、円周方向Sに沿って間隔を空けて配置される複数のリンク機構である。リンク機構4はそれぞれ、幅方向Wに沿って間隔を空けて配置される2つのリンクL1,L2を有する。
リンクL1は、リム2の一方の側に設けられた環状リブ2bに対し、その内側にて、自在継手10を介して連結される一端部を有し当該一端部の自在継手10を基点に揺動可能な第一リンク部材4aと、この第一リンク部材4aの他端部にヒンジ連結部20を介して連結される一端部を有し当該一端部のヒンジ連結部20を基点に揺動可能な第二リンク部材4bとを有し、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料により構成されている。
リンクL2も、同様に、リム2の他方の側に設けられた環状リブ2bに対し、その内側にて、自在継手10を介して連結される第一リンク部材4aと、この第一リンク部材4aにヒンジ連結部20を介して揺動可能に連結される第二リンク部材4bとを有し、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料により構成されている。
自在継手10は、少なくとも、第一リンク部材4aが円周方向S及び幅方向Wに揺動することを許容するようにリム2と第一リンク部材4aとを連結し、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料により構成されている。具体例としては、本形態のように、リム2の環状リブ2bに、第一ピン部材11を回転可能に連結すると共に、この第一ピン部材11に、第二ピン部材12を介して第一リンク部材4aの一端を回転可能に連結する。
また、ヒンジ連結部20は、例えば、第一リンク部材4aと第二リンク部材4bとをピン部材を用いて回転可能に連結するものであり、その回転方向は、第一リンク部材4aと第二リンク部材4bとを幅方向Wに揺動させる方向である。なお、ヒンジ連結部20も、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料により構成されており、自在継手10に置き換えてもよい。
符号5は、リンクL1のヒンジ連結部20とリンクL2のヒンジ連結部20とを連結する変形及び復元の可能な弾性手段である。弾性手段5は、リム2とセグメント3とを一体物としてみたときの、円周方向S、幅方向W及び半径方向Rそれぞれの相対変位に対して所要の剛性(例えば、車種や使用環境又は運転者の要求等により決定される剛性)をもたらすものである。
弾性手段5は、負荷を与えない状態(無負荷の状態)での長さを自然長Lとし、圧縮変形に対しては自然長Lに復元させるべく圧縮反力を生じ、引張り変形に対しても自然長Lに復元させるべく引張り反力を生じさせる。
タイヤ1において、2つのヒンジ連結部20に組み付けるにあたっては、弾性手段5は、図2(b)に示すように、自然長Lよりも縮めた状態で、即ち、2つのヒンジ連結部20に対して圧縮変形させた状態で組み付けられている。これにより、完成形のタイヤ1には、同図に示すように、幅方向Wに対して弾性手段5の圧縮変形させたことに伴う復元力Fwが生じ、併せて、円周方向Sには、タイヤ径を拡大させようとする力Fsが生じる。
こうした弾性手段5には、タイヤ1に対して無負荷の状態で、圧縮反力も引張り反力も生じない自然長Lを有する弾性部材や装置、例えば、ゴム弾性体、ゴム弾性体を繊維補強したもの、コイルスプリング、空気ばね等が挙げられ、これらの内から一つを単独で、又は、これらのうちから二以上組み合わせてなる。
第二リンク部材4bの他端部はそれぞれ、セグメント3の両側部にそれぞれ設けられたブラケット部3bに対し、その内側にて、自在継手30を介して揺動可能に連結される。
自在継手30は、少なくとも、セグメント3が第二リンク部材4bに対して回転して円周方向Sに揺動すると共に幅方向Wに揺動することを許容するように、第二リンク部材4bとブラケット部3bとを連結する。具体例としては、自在継手10と同様のものであって、セグメント3のブラケット部3bに、第一ピン部材11を回転可能に連結すると共に、この第一ピン部材11に、第二ピン部材12を介して第二リンク部材4bの他端を回転可能に連結する。
即ち、リンク機構4は、リム2に繋がるリンクL1,l2、これらリンクL1,l2を関連付ける弾性手段5及びセグメント3からなり、このセグメント3のプレート部材3aの外面に、図1(a)に示すように、弾性リング6が接合される。
弾性リング6は、その外表面に複数のトレッド部6aを有し、本来の意味でのタイヤに相当する。なお、本形態に係る弾性リング6は、クラウン部のみからなる平面的な形状であるが、本来の意味でのタイヤと同様、ショルダ部やサイド部を設けてリム2の内側に巻き込ませてもよい。
弾性リング6にセグメント3を接合させるにあたっては、図1(b)に示すように、隣り合うセグメント3が円周方向Sに沿って少許の間隔(隙間)Cを形成するように、セグメント3の大きさ、又は、リンク機構4の配置を決定する。
これにより、リンク機構4はそれぞれ、そのセグメント3により、弾性リング6を円周方向Sに沿って少許の間隔Cを空けて保持する。なお、少許の間隔は、車種や使用環境、又は、運転者の要求等に応じて適宜設定することができる。
ここで、図3(a)〜(c) はそれぞれ、無負荷の状態から直下に荷重を負荷したときに、タイヤ1に発生する上下剛性、前後剛性、左右剛性を説明するスケルトン図である。
次に、図面を参照して、タイヤ1の作用・効果を説明する。なお、図3において、セグメント3は弾性リング6と一体であるとして省略する。
例えば、図3(a)の実線に示すような状態から、荷重直下で、仮想線で示す如く、リム2と弾性リング6とが半径方向Rに沿って互いに接近するように変位すると、リンクL1,L2はそれぞれヒンジ連結部20を基点に互いに接近するように屈曲し、弾性手段5を幅方向Wに圧縮変形させる。
しかしながら、弾性手段5の圧縮変形は、同時に、リンクL1,L2を離間させる反力をヒンジ連結部20に作用させる。即ち、リンク機構4はそれぞれ、弾性手段5の存在により、リム2と弾性リング6とが半径方向Rに接近するときに、所要の上下剛性(半径方向における剛性)を生じさせることができる。
また、図3(b) の実線に示すような状態から、仮想線で示す如く、リム2と弾性リング6とが円周方向Sに沿って相対変位すると、リンク機構4全体が伸長することで、直接的には、リンクL1,L2の全長が長くなることで、弾性手段5に引張り変形を生じさせる。
しかしながら、弾性手段5の引張り変形は、同時に、リンクL1,L2を円周方向Sに接近させる反力をヒンジ連結部20に作用させる。即ち、リンク機構4はそれぞれ、弾性手段5の存在により、リム2と弾性リング6とが円周方向Sに相対変位するときに、所要の前後剛性(円周方向における剛性)を生じさせることができる。
また、図3(c) の実線に示すような状態から、仮想線で示す如く、リム2と弾性リング6とが幅方向Wに相対変位すると、リンク機構4全体が揺動変位することで、直接的には、リンクL1,L2が自在継手10,30及びヒンジ連結部20を基点に揺動変位することで、弾性手段5に引張り変形を生じさせる。
しかしながら、弾性手段5の引張り変形は、同時に、リンクL1,L2を幅方向Wに接近させる反力をヒンジ連結部20に作用させる。即ち、リンク機構4はそれぞれ、弾性手段5の存在により、リム2と弾性リング6とが幅方向に相対変位するときに、所要の横剛性(幅方向における剛性)を生じさせることができる。
加えて、上述した各状況では、複数のリンク機構4がそれぞれ、弾性リング5を円周方向に沿って少許の間隔Cを空けて保持しつつ、個々のリンク機構4は互いに独立して機能することから、タイヤ1の負荷転動等により、弾性リング6に大きな荷重が作用すると、その部分における複数のリンク機構4を中心として、個々のリンク機構4が揺動・変位するので、接地圧分布の偏りを抑えつつ、接地面積をより大きく確保できる。
なお、上述したところでは、リム2と弾性リング6との間に、円周方向S、幅方向W及び半径方向Rの変位がそれぞれ、互いに独立して生じる場合について説明したが、この発明に係るタイヤでは、それらの相対変位の二種類以上が同時に発生する場合にあっても、所要の剛性を複合的なものとして、同時にもたらし得ることは勿論である。
即ち、タイヤ1によれば、リム2と弾性リング6との相互間に円周方向Sに沿って間隔を空けて複数のリンク機構4を設けたことで、加圧空気その他気体の充填が不要となることにより、タイヤ内圧の低下、消失等のおそれを十分に取り除くことができる。また、タイヤ1によれば、ヒンジ連結部20をそれぞれ弾性手段5で連結することにより、タイヤ1の上下剛性、前後剛性及び横剛性をそれぞれ、互いに独立させた関係の下で簡易に所望の通りに調整することができる。
加えて、タイヤ1では、2つのヒンジ連結部20をそれぞれ、圧縮変形させた状態の弾性手段5で連結したことから、弾性手段5を圧縮変形させない定常状態で組み付けた場合に比べて、タイヤ1の上下剛性、前後剛性及び横剛性を増加させつつ、互いを独立させた関係の下で簡易に所望の通りに調整できる。
更に、タイヤ1によれば、第二リンク部材4bの他端をそれぞれ、当該他端を、自在継手30を基点に回転して円周方向に揺動すると共に幅方向に揺動可能なセグメント3で一体に連結し、更に、当該セグメント3を弾性リング6に接合することで、円周方向Sに沿って間隔を空けて配置された各リンク機構4を互いに独立して機能させつつも、タイヤ1全体としては一体ものとして機能するため、より大きな接地面積が確保されることでグリップ力が向上し、その場合の接地圧分布についても、より均一なものとすることができる。
ところで、本形態のように、リム2の外側に円周方向に沿って間隔を空けて複数のセグメント3を配置する場合、セグメント3とセグメント3との間に形成された図1(b)に示す隙間Cでは、タイヤの前後剛性が弾性リング6の張力に依存してしまう。
これは言い換えれば、隙間Cの部分(セグメント3の存在しない部分)では、セグメント3の存在する部分に比べて、タイヤ1の前後剛性が小さくなることに他ならない。このため、走行条件によっては、セグメント3の存在する部分での接地圧に比べて、セグメント3の存在しない部分での接地圧が小さくなってしまうことがある。
こうした接地圧の差は、例え微小なものであっても、本発明の目的とするところが、接地圧分布をより均一なものにすることにあることを考慮すれば、改善の余地がある。
これに対し、本形態によれば、2つのヒンジ連結部20をそれぞれ、圧縮変形させた状態の弾性手段5で連結したことにより、弾性手段5を圧縮変形させない定常状態で組み付けた場合に比べて、タイヤ1の前後剛性が増加することで、セグメント3の存在しない部分での剛性も確保され、均一な接地圧分布の改善に有効である。
ところで、リンク機構4は、図4の符号4´で示すように、リンクL1,L2のヒンジ連結部20がそれぞれ、図2に示す形態とは逆に、幅方向Wの外側に突出する構成とすることもできる。
ここで、図4(a),(b)はそれぞれ、図1に示すタイヤの変形例であって、この本発明に従う他のタイヤを図1(a)のA−A断面から模式的に示した図と、その弾性手段の組み付け状態を図1(a)のA−A断面にて、一部スケルトンとして模式的に示した図である。
このリンク機構4´では、第一リンク部材4aが、リム2の環状リブ2bの外側にて、自在継手10を介して連結されていると共に、第二リンク部材4bが、セグメント3のブラケット部3bの外側にて、自在継手30を介して連結されている。加えて、ヒンジ連結部20は、自在継手10又は自在継手30と同一方向側(幅方向Wの外側)であって、自在継手10及び自在継手20よりも同方向側(幅方向Wの外側)に配置されている。
また、本形態において、2つのヒンジ連結部20に組み付けるにあたっては、弾性手段5は、図4(b)に示すように、自然長Lよりも伸長させた状態で、即ち、2つのヒンジ連結部20に対して引張り変形させた状態で組み付けられている。これにより、完成形のタイヤ1には、同図に示すように、幅方向Wに対して弾性手段5を引張り変形させたことに伴う復元力Fwが生じ、併せて、円周方向Sには、タイヤ径を拡大させようとする力Fsが生じる。
この場合、リム2とセグメント3(弾性リング6)が半径方向Rに沿って互いに接近するように変位すると、リンクL1,L2はそれぞれヒンジ連結部20を基点に互いに遠離するように屈曲し、弾性手段5を幅方向Wに引張り変形させるが、この引張り変形は、同時に、リンクL1,L2を接近させる反力をヒンジ連結部20に作用させる。このため、同リンク機構4´もそれぞれ、リム2と弾性リング6とが半径方向Rに接近するときに、所要の上下剛性を生じさせることができる。
また、リム2と弾性リング6とが円周方向Sに相対変位すると、リンク機構4´全体が伸長することで、弾性手段5に圧縮変形を生じさせるが、この圧縮変形は、同時に、リンクL1,L2を円周方向Sに遠離させる反力をヒンジ連結部20に作用させる。このため、同リンク機構4´もそれぞれ、リム2と弾性リング6とが円周方向Sに相対変位するときに、所要の前後剛性を生じさせることができる。
そして、リム2と弾性リング6とが幅方向Wに相対変位すると、リンク機構4´全体が揺動変位することで、弾性手段5に圧縮変形を生じさせるが、この圧縮変形は、同時に、リンクL1,L2を幅方向Wに遠離させる反力をヒンジ連結部20に作用させる。このため、同リンク機構4´もそれぞれ、リム2と弾性リング6とが幅方向Wに相対変位するときに、所要の横剛性を生じさせることができる。
即ち、図4のような構成をとっても、タイヤ1の上下剛性、前後剛性及び横剛性をそれぞれ、互いに独立させた関係の下で簡易に所望の通りに調整することができる。
そして、この場合も、2つのヒンジ連結部20をそれぞれ、引張り変形させた状態の弾性手段5で連結したことにより、弾性手段5を引張り変形させない定常状態で組み付けた場合に比べて、タイヤ1の上下剛性、前後剛性及び横剛性を増加させつつ、互いを独立させた関係の下で簡易に所望の通りに調整できる。
即ち、本形態によっても、弾性手段5を引張り変形させない定常状態で組み付けた場合に比べて、タイヤ1の前後剛性が増加することで、セグメント3の存在しない部分での剛性も確保され、均一な接地圧分布の改善に有効である。
ここで、図5は、タイヤ1から、セグメント3及び弾性リング6のみを取り出して側面から示す要部側面図である。なお、符号Bは、ブラケット部3bに取り付けられ、このブラケット部3bに対してピン部材11を回転可能に保持するベアリングである。
同図に示すように、弾性リング6は、その内部に、補強層としてのカーカス層6aとバンド層6bとを有した積層構造体である。カーカス層6aは、周方向に沿った環状をしてなる複数のコードを有し、当該コードをゴム等の樹脂で被覆してなる。また、バンド層6bは、クッションゴム層の内部に粗めのコード層を介在させてなる。
このように弾性リング6が補強層6a,6bを有していれば、この補強層6a,6bにより弾性リング6の初期張力(タイヤ1に荷重が加わっていない弾性リング6のみの張力)が増加するため、セグメント3の存在しない部分での剛性も増大し、均一な接地圧分布の改善により一層有効である。
特に、本形態では、補強層6a,6bが、周方向Sに沿った環状をしてなる複数のコードを有し、当該コードをゴム等の樹脂で被覆してなるものであるから、弾性リング6の初期張力が更に増加するため、均一な接地圧分布の改善に更に一層有効である。
なお、本発明に従えば、補強層は、弾性リング6を構成する複数の層のうちの少なくとも、一層であればよい。即ち、補強層は、1層だけであっても、三層以上であってもよい。
更に、本発明によれば、図6(a)に示すように、複数のセグメント3に代えて、リム2の外側に間隔を空けて配置されるリング状部材8を採用してもよい。
この場合、リング状部材8は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料からなり、図6(b)に示すような円筒部8aを有し、この円筒部8aに、図1の形態と同様、その延在方向に沿って間隔を空けて2つの環状リブ8bが一体に設けられている。
第二リンク部材4bの他端部はそれぞれ、リング状部材8の両側部にそれぞれ設けられた環状リブ8bに対し、その内側にて、自在継手30を介して揺動可能に連結される。
これにより、本形態も、複数のリンク機構4によってリング状部材8とリム2とが連結されると共に、当該リング状部材8の円筒部8aに弾性リング6が接合できる。
この場合も、弾性手段5を圧縮変形させない定常状態で組み付けた場合に比べて、タイヤ1の上下剛性、前後剛性及び横剛性を増加させつつ、互いを独立させた関係の下で簡易に所望の通りに調整できる。また、本形態のように、複数のセグメント3に代えて、リング状部材8を採用した場合においても、図4で説明したリンク機構4´の構成を適用させることができる。
上述したところは本発明の好適な形態を説明したものであるが、請求の範囲内で種々の変更を加えることができる。例えば、リム2の環状リブ2b又はリング状部材8の環状リブ8bは断続的に設けても、別体のブラケットとしてもよい。また、弾性リング6の接地面は、複数のトレッド部6aを設けない平坦面であってもよい。上述した各形態及びそれに含まれる様々な構成は、車種や使用環境又は運転者の要求等に合せて、適宜組み合わせることができる。
サイズが225/55ZR17の従来の空気入りタイヤ(充填空気圧230kPa)に、荷重4.0kNを負荷した状態を比較例1、図1の基本構成を有し弾性手段5を自然長Lで組み付けると共に弾性リング6の内部に補強層を介在させない同サイズのメカニカルタイヤを比較例2として、本発明に係る同サイズのメカニカルタイヤの各実施例につき、荷重4.0kNを負荷した状態での接地面積及び接地圧標準偏差を求めたところ表1に示す結果を得た。
Figure 2008302739
ここで、実施例1は、図1の本発明に従う同サイズのメカニカルタイヤであって、弾性手段5を自然長Lよりも圧縮させた状態で組み付けると共に弾性リング6の内部に補強層を介在させないタイヤであり、また、実施例2は、図1の本発明に従う同サイズのメカニカルタイヤであって、弾性手段5を自然長Lよりも圧縮させた状態で組み付けると共に弾性リング6の内部に1つの補強層を介在させたタイヤである。
また、表1に示す接地面積及び接地圧標準偏差は、比較例1での値を100としたときの比で表され、接地面積にあっては、数値が大きいほど接地面積が広く確保される良好な状態と評価し、接地圧標準偏差にあっては、数値が小さいほど接地圧分布が均一化される良好な状態と評価する。
比較例1と比較例2とを比べると、図1の基本構成を有し弾性手段5を自然長Lで組み付けると共に弾性リング6の内部に補強層を介在させないメカニカルタイヤによれば、従来の空気入りタイヤよりも接地面積は増加させることができる。
しかしながら、比較例2のメカニカルタイヤは、接地圧分布が一定水準まで均一化されているものの、比較例1の空気入りタイヤに比べて、接地圧標準偏差が大きく、接地圧分布の均一化という点で改善の余地がある。
これに対し、本発明に従う実施例1のメカニカルタイヤは、弾性手段5を圧縮変形させた状態で組み付けたことから、比較例2のメカニカルタイヤよりも接地面積を増加させることができている。しかも、実施例1のメカニカルタイヤは、比較例2のメカニカルタイヤよりも、接地圧標準偏差が小さくなり、空気入りタイヤの接地圧分布に対して近い値に改善されている。
即ち、実施例1のメカニカルタイヤは、比較例2のメカニカルタイヤに比べて接地面積を増加させることができる一方で、接地圧分布は、比較例1の空気入りタイヤに近い値に維持されている。
更に、本発明に従う実施例2のメカニカルタイヤは、弾性手段5を圧縮変形させた状態で組み付けると共に、弾性リング6の内部に1つの補強層を介在させたことから、実施例1のメカニカルタイヤよりも接地面積を増加させることができている。しかも、実施例2のメカニカルタイヤは、実施例1のメカニカルタイヤよりも、更に接地圧標準偏差が小さくなり、空気入りタイヤの接地圧分布に対して更に近い値に改善されている。
即ち、実施例2のメカニカルタイヤは、実施例1のメカニカルタイヤに比べて接地面積を増加させることができる一方で、接地圧分布は、比較例1の空気入りタイヤにより近い値に維持されている。
従って、表1を参照すれば明らかなように、本発明に係るタイヤによれば、空気入りタイヤに比べて接地面積を広く確保できると共に、接地圧分布を均一化できる。また、セグメントを環状に連結した場合と比べた場合も、ほぼ均一な接地圧分布を維持しつつ、接地面積を広く確保できることが明らかである。
本発明は、乗用車、トラック、クレーンやパワーショベル等の作業車、又は、荷物等を積載する台車の車輪等として適用することができる。
(a),(b)はそれぞれ、本発明の一形態であるメカニカルタイヤを模式的に示す斜視図及び、同形態のタイヤから弾性リングを取り除いた状態を模式的に示す斜視図である。 (a),(b)はそれぞれ、図1(a)のA−A断面を模式的に示した図と、その弾性手段の組み付け状態を図1(a)のA−A断面にて、一部スケルトンとして模式的に示した図である。 (a)〜(c)はそれぞれ、無負荷の状態から直下に荷重を負荷したときに、同形態のタイヤに発生する上下剛性を説明するスケルトン図、同形態のタイヤに発生する前後剛性を説明するスケルトン図及び、同形態のタイヤに発生する左右剛性を説明するスケルトン図である。 (a),(b)はそれぞれ、図1に示すタイヤの変形例であって、この本発明に従う他のタイヤを図1(a)のA−A断面から模式的に示した図と、その弾性手段の組み付け状態を図1(a)のA−A断面にて、一部スケルトンとして模式的に示した図である。 本発明に従うタイヤから、セグメント及び弾性リングのみを取り出して側面から示す要部側面図である。 (a),(b)はそれぞれ、本発明に従う更に他のタイヤを模式的に示す斜視図及び、同形態のタイヤから弾性リングを取り除いた状態を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1 メカニカルタイヤ(非空気入りタイヤ)
2 リム(リム状部材)
2a リム本体
2b 環状リブ
3 セグメント
3a プレート部材
3b ブラケット部
4 リンク機構
4´ リンク機構
4a 第一リンク部材
4b 第二リンク部材
5 弾性手段
6 弾性リング
6a トレッド
8 リング状部材
8a プレート部材
8b 環状リブ
10 自在継手
11 第一ピン部材
12 第二ピン部材
20 ヒンジ連結部
30 自在継手
L1,L2 リンク

Claims (3)

  1. 回転軸に連結されるリム状部材と、このリム状部材の外側に間隔を空けて配置されるリング状部材又は円周方向に沿って間隔を空けて配置される複数のセグメントとを有し、このリング状部材又はセグメントとリム状部材とを、円周方向に沿って間隔を空けて配置される複数のリンク機構によって連結すると共に、当該リング状部材又はセグメントに弾性リングを接合して円周方向及び子午線方向への変形及び復元を可能とした非空気入りタイヤであって、
    前記リンク機構はそれぞれ、幅方向に沿って間隔を空けて配置される2つのリンクを有し、
    このリンクをそれぞれ、リム状部材に対して揺動可能に連結される第一リンク部材と、この第一リンク部材に揺動可能に連結される第二リンク部材とで構成し、
    第一リンク部材と第二リンク部材との連結部をそれぞれ、変形及び復元の可能な弾性手段で連結すると共に、
    第二リンク部材をそれぞれ、リング状部材又はセグメントに対して揺動可能に連結し、更に、
    前記弾性手段を、圧縮変形させた状態又は引張り変形させた状態で組み付けてなることを特徴とする非空気入りタイヤ。
  2. 請求項1において、前記弾性リングは、少なくとも一層の補強層を有することを特徴とする非空気入りタイヤ。
  3. 請求項2において、前記補強層は、周方向に沿った環状をしてなる複数のコードを有し、当該コードをゴム等の樹脂で被覆してなることを特徴とする非空気入りタイヤ。
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