JP5414025B2 - 水系撥水性塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、架空電線や建築外装材等に使用されるアルミニウム合金製品への着雪防止対策として、表面に塗布するだけで難着雪性を付与することができ、付着性、耐候性に優れた水系撥水性塗料に関する。
従来から架空電線や建築外装材等に使用されるアルミニウム合金製品への着雪防止対策として、様々な方法が提案されている。たとえば、架空電線の場合、難着雪リングを取付けた電線や、電線表面の着雪を円周方向に滑らせるようにヒレを取付けた電線が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、電線の表面に撥水性塗料を塗布した難着雪電線も知られている(例えば、特許文献3参照)。また、建築外装材等の場合、フッ素樹脂塗料など撥水性塗料を塗布したプレコート材が用いられている。
しかし、上述した技術は何れも、ある程度の着雪防止効果は有しているが、例えば難着雪リングやヒレ電線では、雪質によっては電線自体が回転して電線に筒状に着雪してしまう、という様な各種の問題を依然として残している。
また、電線の表面に撥水性塗料を塗布した従来の難着雪電線(特許文献3)では、撥水性塗料の付着性や耐候性の低下に伴い、塗膜の割れや剥がれが発生して、着雪を逆に促進させてしまうことがある。
また、建築外装材等に利用される塗料は、熱硬化性塗料が殆どであるため、乾燥炉を備えた塗装工場等でしか生産することができない。
それに加えて、撥水性塗料の多くは、有機溶剤を多量に含む溶剤型塗料で、VOCによる環境負担は大きい。
また、撥水性能を発揮させるために多くの粉末状の撥水剤が大量に混合されるため、直接素材に塗布するには付着力が弱く、専用プライマー、二液混合型など、塗布方法が限定されてしまうという問題も存在する。
さらに、撥水剤が多量に含まれることにより、膜の厚さ寸法が大きく(厚く)なり、僅かな衝撃、変形等によって塗膜の割れや剥がれが発生してしまう。そして、屋外や寒暖差の激しい環境では、撥水性や付着性が低下して、長期の耐久性に問題がある。
特開平5−120919号公報 特開平9−274813号公報 特開2004−362988号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、アルミニウム合金に対する付着性、耐候性が良好で、且つ、難着雪性に優れた水系撥水性塗料の提供を目的としている。
本発明の水系撥水性塗料組成物は、78〜94重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、1〜20重量部の混合ワックスエマルジョンと、5〜8重量部の造膜助剤と、0.2〜0.6重量部の増粘剤とをそれぞれ含有しており、前記シリコーン含有アクリルラテックスは40重量%のシリコーン変性アクリル系共重合体ラテックス、2重量%のメタノール、58重量%の水から成り、混合ワックスエマルジョンは不揮発分30重量%を含み変性パラフィンワックスを混合したアニオン系エマルジョンであり、造膜助剤はポリプロプレングリコールモノメチルエーテルであり、増粘剤はノニオン系ポリウレタンのブチルトリグリコール水溶液であることを特徴としている(請求項1)。
ここで、本発明の水系撥水性塗料を塗布する塗装対象のアルミニウム合金としては、電線材、屋根材、板建材、アルミサッシ材、車両構造材に用いられる材料であって、例えば、JIS−H−1070の純アルミ系、JIS−H−2110のAl−Cu系、JIS−H−3003のAl−Mn系、JIS−H−5005のAl−Mg系、JIS−H−6061のAl−Mg−Si系等が利用可能である。
本発明において、シリコーン含有アクリルラテックスとしては、シリコーン変性アクリル系共重合体ラテックス、例えば旭化成ケミカルズ(株)の商品名「ポリデュレックスH7000」を選択することが出来る。
また、混合ワックスエマルジョンとしては、例えばビックケミー・ジャパン(株)の商品名「AQUACER 537」を選択することが出来る。
そして、造膜助剤としては、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、例えば花王(株)の商品名「SMACK MP−40」を選択することが出来る。
さらに、増粘剤としては、ノニオン系ポリウレタンのブチルトリグリコール水溶液、例えば楠本化成(株)の商品名「TAFIGEL PUR40」を選択することが出来る。
上述する組成を具備する本発明の水系撥水性塗料組成物によれば、既存の架空電線や建築外装材等に使用されるアルミニウム合金に対し、塗布するだけで適用することが出来て、着雪し難くなる。
また、本発明の水系撥水性塗料組成物を塗布した電線や建築外装材等には難着雪性を付与することができるので、仮に着雪したとしても、落雪が早くなり、着雪被害を防止することができる。
さらに、本発明の水系撥水性塗料組成物は水系塗料であるため、有機溶剤を多量に含む溶剤型塗料の様にVOCによる環境負担を強いる恐れが無い。すなわち、本発明の水系撥水性塗料組成物は環境負荷が少ない。
そして、本発明の水系撥水性塗料組成物は付着性や耐候性等に優れており、長期の耐久性にも優れているため、本発明を塗布した素材の長寿命化を図ることができる。
本出願人は、前述した従来技術の問題点に鑑み、架空電線等に使用されるアルミニウム合金に対して付着性が良く、環境負荷が少なく、難着雪性、耐久性に優れた撥水性塗料について種々の実験を行なってきた。
そして、様々な検討を加え、本発明に係る塗料を創造するに至った。
図示の実施形態、実施例、実験例、比較例等において、シリコーン含有アクリルラテックスとして、旭化成ケミカルズ(株)の商品名「ポリデュレックスH7000」を選択した。
また、混合ワックスエマルジョンとして、ビックケミー・ジャパン(株)の商品名「AQUACER 537」を選択した。
そして、造膜助剤であるポリプロプレングリコールモノメチルエーテルとして、花王(株)の商品名「SMACK MP−40」を選択した。
さらに、増粘剤であるノニオン系ポリウレタンのブチルトリグリコール水溶液としては、楠本化成(株)の商品名「TAFIGEL PUR40」を選択した。
第1実施形態
第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物は、78〜94重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、混合ワックスエマルジョンと、5〜8重量部の造膜助剤と、0.2〜0.6重量部の増粘剤とをそれぞれ含有している。第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物では、混合ワックスエマルジョンの含有量は20重量部以下に設定されている。
換言すれば、第1実施形態は、撥水性を向上させる添加剤である混合ワックスエマルジョンを包含する水系撥水性塗料組成物に係る実施形態である。
ここで、シリコーン含有アクリルラテックスはベースとなる組成物であり、混合ワックスエマルジョンは撥水性を向上させる添加剤であり、造膜助剤は低温時の造膜性を向上させる添加剤であり、増粘剤は塗装時における「タレ」を防止する効果を向上させる添加剤である。
上述したように、第1実施形態に係る塗料(水系撥水性塗料組成物)は、シリコーン含有アクリルラテックスを78〜94重量部包含しているが、シリコーン含有アクリルラテックスが78重量部よりも少ないと、ベースとなる組成物の含有量が少なくなり過ぎて、塗料としての基本的な性質である粘着性と、時間の経過と共に硬化する性質(硬化性)とを十分に発揮する事が出来ない。
一方、シリコーン含有アクリルラテックスが94重量部よりも多いと、造膜助剤、増粘剤の塗料のベース組成物に対する相対的な配合比が小さくなり、後述する造膜助剤、増粘剤の含有量が少ない場合における不都合が顕在してしまう。
また、第1実施形態に係る塗料は、混合ワックスエマルジョンを含有しており、その含有量は20重量部以下、好ましくは1〜20重量部に設定する。
混合ワックスエマルジョンの含有量が20重量部以下に設定することは、後述の実験例(例えば、第3の実験)から明らかである。
この場合、ワックスエマルジョンが1重量部より少ないと、撥水性を向上させることができない。
また、第1実施形態に係る塗料は、5〜8重量部の造膜助剤を混合している。
造膜助剤が5重量部よりも少ないと、塗料が対象物(電線等)に塗布された際に、塗膜を形成し難くなってしまい不都合である。
一方、造膜助剤が8重量部よりも多いと、硬化乾燥が極端に遅くなってしまうので不都合である。
そして第1実施形態に係る塗料は、0.2〜0.6重量部の増粘剤を包含している。
ここで、増粘剤が0.2重量部よりも少ないと、塗料が硬化して塗膜を形成する以前に、塗布対象物から塗料が落下してしまい、塗膜を形成することが出来なくなる可能性がある。
一方、増粘剤が0.6重量部よりも多いと、塗料の粘度が高くなり過ぎて、塗布作業に多大な労力が必要となってしまう恐れがある。
以下、各実施形態に係る塗料に関する実験の詳細及び結果について説明する。
後述する実験において、実施形態に係る塗料を塗布する試験片の素材としては、架空電線表面のアルミニウム合金の1種であるJIS−H−1070を選択した。
以下、本明細書において、JIS−H−1070のアルミニウム合金は、「JIS1070」と略記する。
本発明の第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の具体例(実施例1〜7)と、一部の組成が本発明の実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の組成から外れている(すなわち、第1実施形態の組成から外れている)比較例1〜7とを比較した実験(実験1〜実験6)について説明する。
実施例1として、78重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、7重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例2として、94重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、7重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例1に対応する比較例(比較例1)として、77重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、7重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例2に対応する比較例(比較例2)として、95重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、7重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
比較例1、比較例2は、シリコーン含有アクリルラテックスの組成が、第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲(78重量部〜94重量部)から外れている。その他の組成については、第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲内である。
実施例3として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、20重量部の混合ワックスエマルジョンと、7重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例3に対応する比較例(比較例3)として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、21重量部の混合ワックスエマルジョンと、7重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
比較例3は、混合ワックスエマルジョンの含有量が、第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲から外れた数値である21重量部に設定されている。その他の組成については、第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲内である。
実施例4として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、5重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例5として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、8重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例4に対応する比較例(比較例4)として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、4重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例5に対応する比較例(比較例5)として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、9重量部の造膜助剤と、0.4重量部の造膜助剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
比較例4、比較例5は、増膜助剤の組成が、第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲(5重量部〜8重量部)から外れている。その他の組成については、第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲内である。
実施例6として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、7重量部の造膜助剤と、0.2重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例7として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、7重量部の造膜助剤と、0.6重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例6に対応する比較例(比較例6)として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、7重量部の造膜助剤と、0.1重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例7に対応する比較例(比較例7)として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、10重量部の混合ワックスエマルジョンと、7重量部の造膜助剤と、0.7重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
比較例6、比較例7は、増粘剤の組成が、第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲(0.2重量部〜0.6重量部)から外れている。その他の組成については、第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲内である。
実施例1〜実施例3と、比較例1〜比較例3の各々の組成を表1に示す。
表1
Figure 0005414025
また、実施例4〜実施例7と、比較例4〜比較例7の各々の組成を表2に示す。
表2
Figure 0005414025
実験1
実験1では、実施例1〜7及び比較例1〜7の各々について、造膜性の視認、付着性試験、耐衝撃性試験を行なった。
造膜性を視認するために、温度20℃条件下で、JIS1070アルミニウム合金板に対して、150ミクロンアプリケータを用いて、実施例1〜実施例7と、比較例1〜比較例7の各々を塗布して、視認によって塗膜外観を調べた。
後出の表3、表4における「造膜性」の欄において、「○」で示す実施例又は比較例では、視認の結果、塗膜外観に異常が見られなかった。一方、「×」で示す実施例又は比較例では、視認の結果として、塗膜にクラック、しわ、ハジキ等の異常が見られた。
付着性試験は、「JIS K5400 8.5.2ごばん目テープ法」に沿って行なわれた。
後出の表3、表4における「付着性試験」の欄において、「○」で示す実施例又は比較例では、塗膜に異常が認められなかった。一方、「×」で示す実施例又は比較例では、塗膜の剥離が認められた。
耐衝撃性試験は、「JIS K5400 8.3.2デュポン式」に沿って行なわれた。
後出の表3、表4における「耐衝撃性試験」の欄において、「○」で示す実施例又は比較例では、塗膜の「割れ」や「剥がれ」は認められなかった。一方、「×」で示す実施例又は比較例では、塗膜の「割れ」や「剥がれ」が認められた。
なお、表3、表4において、「−」は「試験をしなかった」旨を示している。
実施例1〜実施例3と、比較例1〜比較例3の各々について、視認による造膜性のチェックの結果、付着性試験の結果、耐衝撃性試験の結果を、表3に示す。
表3
Figure 0005414025
また、実施例4〜実施例7と、比較例4〜比較例7の各々について、視認による造膜性のチェックの結果、付着性試験の結果、耐衝撃性試験の結果を、表4に示す。
表4
Figure 0005414025
表3における実施例1、実施例2と、比較例1、比較例2から、シリコーン含有アクリルラテックスの組成は、78〜94重量部とするべきことが分かった。
また、表3における実施例3、比較例3から、混合ワックスエマルジョンの含有量は、20重量部以下とするべきことが明らかになった。
そして、表4における実施例4、実施例5と、比較例4、比較例5から、増膜助剤は、5〜8重量部とすべきことが分かった。
さらに表4における実施例6、実施例7と、比較例6、比較例7から、増粘剤は、0.2〜0.6重量部とすべきことが分かった。
実験2
JIS1070アルミニウム合金板に対して、実施例1〜実施例7と、比較例1〜比較例7の各々を塗布して、400時間の促進耐候性試験を行ない、その後、接触角の測定、付着性試験、耐衝撃性試験を行なった。
ここで、促進耐候性試験は、「JIS−K5600(1999)塗料一般試験法、第7部塗膜の長期耐久性、第7節促進耐候性(キセノンランプ法)」に準じて行ない、放射照度は180W/mを用いた。
表5に促進耐候性試験における試験条件を示す。ここで促進耐候性試験は、試験機(例えば、スガ試験機歌株式会社製の商品名「スーパーキセノンウェザーメーターSX2D−75」)を用いて行なわれた。
表5
Figure 0005414025
また、付着性試験は、「JIS−K5400(1990)塗料一般試験法、8.5.2ごばん目テープ法」により行ない、耐衝撃性試験は「JIS−K−5400(1990)塗料一般試験法、8.3耐衝撃性、8.3.2デュポン式」によって行なった。
なお、耐衝撃性試験で用いられる「撃ち型」及び「受け台」の寸法は半径6.35mm、おもりの質量は500g、おもりの落下高さは50cmである。
実施例1〜実施例3と、比較例1〜比較例3の各々について、400時間の耐候性試験後における接触角の測定結果、400時間の耐候性試験後における付着性試験結果、400時間の耐候性試験後における耐衝撃性試験の結果の各々を、表6に示す。
また、実施例4〜実施例7と、比較例4〜比較例7の各々について、400時間の耐候性試験後における接触角の測定結果、400時間の耐候性試験後における付着性試験の結果、400時間の耐候性試験後における耐衝撃性試験の結果を、表7に示す。
表6、表7において、400時間の耐候性試験後における付着性試験の結果、「○」で示す実施例又は比較例では、塗膜に異常が認められなかった。一方、「×」で示す実施例又は比較例では、塗膜の剥離が認められた。
400時間の耐候性試験後における耐衝撃性試験の結果、「○」で示す実施例又は比較例では、塗膜の「割れ」や「剥がれ」は、肉眼による観察では認められなかった。一方、「×」で示す実施例又は比較例では、塗膜の「割れ」や「剥がれ」が視認された。
なお、表6、表7において、「−」は「試験をしなかった」旨を示している。
表6
Figure 0005414025
表7
Figure 0005414025
表6、表7において、実施例1〜7における接触角は、97°〜102°であり、必要な撥水性を呈するために必要な接触角である90°よりも大きい数値である。また、実施例1〜7では、400時間の耐候性試験後における付着性試験の結果、耐衝撃性試験の結果も良好である。
実験2の結果から、第1実施形態は耐候性に優れていることが分かる。そして、外気の気候変動に晒された場合における接触角、付着性、耐衝撃性の点からも、第1実施形態における水系撥水性塗料組成物の組成は、シリコーン含有アクリルラテックスは78〜94重量部、混合ワックスエマルジョンは20重量部以下、増膜助剤は5〜8重量部、増粘剤は0.2〜0.6重量部が妥当であることが理解できる。
実験3
実験3では、実施例1〜実施例7と、比較例1〜比較例7の各々を、長さ3m、直径20mmの未使用電線ACSR160(以下、「ACSR160」と略記する)に塗布して、電線の降雪試験を行ない、自然降雪による電線への積雪状態をチェックした。
実験3を行なうに際しては、(地独)岩手県工業技術センターの屋外暴露場に、実施例1〜7及び比較例1〜7の塗料を塗布した電線を、気温0℃以下、地面に積雪が確認できる状態で、12時間に亘って配置した。
そして、ACSR160電線の10cm毎に積雪量の計測ポイントを設定し、積雪ポイントにおける積雪量(mm)の平均値を求めた。
実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例3の実験3の結果を表8で示す。
実施例4〜実施例7、比較例4〜比較例7の実験3の結果を表9で示す。
表8
Figure 0005414025
表9
Figure 0005414025
表8及び表9から、実施例1〜7を塗装した電線における積雪量は、比較例1〜7を塗装した電線の積雪量に比較して、明らかに少ないことが分かった。
係る結果から、自然降雪による電線への積雪という観点からも、第1実施形態に係る水系撥水性塗料物の組成は、シリコーン含有アクリルラテックスは78〜94重量部、混合ワックスエマルジョンは20重量部以下、増膜助剤は5〜8重量部、増粘剤は0.2〜0.6重量部であるのが好適であることが確認出来た。
実験4
実験4では、JIS1070アルミニウム合金板に対して、実施例1〜実施例7と、比較例1〜比較例7の各々を塗布したサンプル(全14種類)を用意し、全てのサンプルについて寒熱サイクル試験を行なった後に、付着性試験を行なった。
寒熱サイクル試験は、「JIS−K−5400(1990)塗料一般試験法、9.3耐冷熱繰り返し性」に準じ、低温及び高温のサイクル試験を60サイクル行ない、カラーマイクロスコープによる表面観察を行なった。
表10に寒熱サイクル試験の試験条件を示す。なお、試験時間はそれぞれの試験条件への移行時間を含まないものとする。試験機は、温度差劣化試験機(例えば、スガ試験機株式会社製の商品名BP−FM−1)を用いた。
表10
Figure 0005414025
実施例1〜実施例3と、比較例1〜比較例3の各々について、寒熱サイクル試験を行なった後に、付着性試験(JIS K5400 8.5.2ごばん目テープ法)を行なった結果を、表11に示す。
また、実施例4〜実施例7と、比較例4〜比較例7の各々について、寒熱サイクル試験を行なった後に、付着性試験(JIS K5400 8.5.2ごばん目テープ法)を行なった結果を、表12に示す。
表11及び表12において、「○」で示す実施例又は比較例では、塗膜に異常が認められなかった。一方、「×」で示す実施例又は比較例では、塗膜の剥離が認められた。
なお、「−」は「試験をしなかった」旨を示している。
表11
Figure 0005414025
表12
Figure 0005414025
表11、表12から、寒熱が繰り返される環境に晒された場合における付着性について、実施例1〜7は比較例1〜7よりも良好な結果を示していることが明らかである。すなわち、第1実施形態に係る塗料は、寒暖が長期間に亘って繰り返された場合の耐久性に優れている。
この点からも、第1実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の組成は、シリコーン含有アクリルラテックスは78〜94重量部、混合ワックスエマルジョンは20重量部以下、増膜助剤は5〜8重量部、増粘剤は0.2〜0.6重量部であるのが好適であることが確認出来た。
実験5
実験5では、アルミニウム合金のサンプルの複合腐食サイクルを繰り返した後の付着性試験と耐衝撃性試験を行なった。
実験5では、アルミニウム合金のサンプルに対して、「JIS−K−5600(2006)塗料一般試験法の第7部塗膜の長期耐久性、9節サイクル腐食試験方法」に準じて、複合腐食サイクル試験を行なった。そして、係る複合腐食サイクル試験を行なったサンプルに対して、前述と同様の態様で、付着性試験を行なった。
ここで、複合腐食サイクル試験では、塩水噴霧、乾燥、湿潤で1サイクルとして、60サイクルを行なった。
表13に複合腐食サイクル試験の条件を示す。
表13
Figure 0005414025
複合腐食サイクル試験を行なった後、水道水でサンプルを洗浄し、さらに蒸留水で洗浄した。そして水滴を除去した後、55℃±2℃で1時間乾燥し、さらに2時間室温で放置し、カラーマイクロスコープによる表面観察を行なった。
係る複合腐食サイクル試験は、複合サイクル試験機(例えばPRODUCTS社製、商品名「Q−FOG ModelCCT1100」)を用いて行なわれた。
複合腐食サイクル試験を行なった後、すなわち、上述した内容の複合腐食サイクルを受けた後、付着性試験と耐衝撃性試験を行なった。
付着性試験は、「JIS K5400 8.5.2ごばん目テープ法」に沿って行なわれた。
耐衝撃性試験は、「JIS K5400 8.3.2デュポン式」沿って行なわれた。
実施例1〜実施例3と、比較例1〜比較例3の各々について、付着性試験の結果、耐衝撃性試験の結果を、表14に示す。
また、実施例4〜実施例7と、比較例4〜比較例7の各々について、付着性試験の結果、耐衝撃性試験の結果を、表15に示す。
表14、表15における「付着性試験」の欄において、「○」で示す実施例又は比較例では、塗膜に異常が認められなかった。一方、「×」で示す実施例又は比較例では、塗膜の剥離が認められた。
表14、表15における「耐衝撃性試験」の欄において、「○」で示す実施例又は比較例では、塗膜の「割れ」や「剥がれ」は認められなかった。一方、「×」で示す実施例又は比較例では、塗膜の「割れ」や「剥がれ」が認められた。
なお、「−」は「試験をしなかった」旨を示している。
表14、表15から、第1実施形態に係る塗料は耐食性に優れていることが理解出来る。
表14
Figure 0005414025
表15
Figure 0005414025
実験5
実験6では、ドライアイスブラストによる塗装前処理の有効性について確認した。
実験6では、塗料を塗装する前段階である塗装前処理として、ドライアイスブラスト処理を行なったACSR330電線に対して、第1実施例に係る塗料を塗布した。それと共に、ドライアイスブラスト処理を行なっていないACSR330電線に対して、第1実施例に係る塗料を塗布して、ドライアイスブラスト処理を行なった場合と比較した。
実験6では、電線のドライアイスブラスト処理で用いられたドライアイスブラスト装置は、市販の装置(例えば、サングリーンシステムズ社製の商品番号SD−001)を用い、ガイド付きノズル(φ7mm:岩手県工業技術センターで製造)を用いた。また、ドライアイスペレットは内径1mmのものを用いた。
実験6において、ドライアイスブラスト処理を行なったACSR330電線に第1実施例に係る塗料を塗布した試料を、3ヶ月間に亘って屋外に設置したサンプル(試料α)を用意した。それと共に、ドライアイスブラスト処理を行なったACSR330電線に第1実施例に係る塗料を塗布した直後に係るサンプルも用意した(試料β)。
同様に、ドライアイスブラスト処理を行なっていないACSR330電線に第1実施例に係る塗料を塗布した試料についても、3ヶ月間に亘って屋外に設置したサンプル(試料γ)を用意した。それと共に、ドライアイスブラスト処理を行なっていないACSR330電線に第1実施例に係る塗料を塗布した直後に係るサンプルも用意した(試料δ)。
そして、上述した4種類のサンプル(試料α〜試料δ)について、実験3と同じ要領で、電線の降雪試験を行なった。
係る降雪試験の結果が、表16に示されている。
表16
Figure 0005414025
表16から明らかなように、第1実施例に係る塗料を塗布した直後に係るサンプルについては(試料βと試料δ)、有意な差異は存在しない。
しかし、3ヶ月間に亘って屋外に設置したサンプル(試料αと試料γ)同士を比較すると、ドライアイスブラスト処理を行なったサンプル(試料α)の方が、ドライアイスブラスト処理を行なっていないサンプル(試料γ)に比較して、良好な結果を得た。
ドライアイスブラスト処理前のサンプルでは、より線の隙間に土埃が侵入し、表面には白錆や汚れ、傷等が存在する。これに対して、ドライアイスブラスト処理後のサンプルでは、隙間の土埃や、表面の白錆及び汚れは除去され、素材は均一な金属光沢を持った表面になる。その結果、長期に亘って屋外に設置した後において、積雪量が少なくなったと思われる。
また、ドライアイスブラスト処理を施すことにより、ACSR330電線の表面における傷や、傷周辺のエッジ部が少なくなり、塗装に際して、均一な塗膜厚を得られることも、ドライアイスブラスト処理により、積雪量が少なくなった要因の一つであると思われる。
第2実施形態
発明者の実験によれば、上述した第1実施形態の第1実施例〜第7実施例に係る水系撥水性塗料組成物の組成において、撥水性を向上させる添加剤(混合ワックスエマルジョン)を包含しなくても、水系撥水性塗料組成物として良好な性質を発揮することが確認された。
第2実施形態は、撥水性を向上させる添加剤である混合ワックスエマルジョンを包含していない水系撥水性塗料組成物に係る実施形態である。
第2実施形態に係る水系撥水性塗料組成物(第2実施形態に係る塗料)では、78〜94重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、5〜8重量部の造膜助剤と、0.2〜0.6重量部の増粘剤とをそれぞれ含有している。しかし、混合ワックスエマルジョンは包有していない。
第2実施形態は、混合ワックスエマルジョンの有無以外については、第1実施形態において述べたのと同様である。
本発明の第2実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の具体例(実施例8〜13)と、一部の組成が本発明の実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の組成から外れている(すなわち、第2実施形態の組成から外れている)比較例8〜13とを比較した実験(実験7〜実験12)について説明する。
実施例8として、78重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、7重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例9として、94重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、7重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例8に対応する比較例(比較例8)として、77重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、7重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例9に対応する比較例(比較例9)として、95重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、7重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
比較例8、比較例9は、シリコーン含有アクリルラテックスの組成が、第2実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲(78重量部〜94重量部)から外れている。その他の組成については、第2実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲内である。
実施例10として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、5重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例11として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、8重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例10に対応する比較例(比較例10)として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、4重量部の造膜助剤と、0.4重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例11に対応する比較例(比較例11)として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、9重量部の造膜助剤と、0.4重量部の造膜助剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
比較例10、比較例11は、増膜助剤の組成が、第2実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲(5重量部〜8重量部)から外れている。その他の組成については、第2実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲内である。
実施例12として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、7重量部の造膜助剤と、0.2重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例13として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、7重量部の造膜助剤と、0.6重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例12に対応する比較例(比較例12)として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、7重量部の造膜助剤と、0.1重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
実施例13に対応する比較例(比較例13)として、86重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、7重量部の造膜助剤と、0.7重量部の増粘剤とをそれぞれ含有する水系撥水性塗料組成物を製造した。
比較例12、比較例13は、増粘剤の組成が、第2実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲(0.2重量部〜0.6重量部)から外れている。その他の組成については、第2実施形態に係る水系撥水性塗料組成物の範囲内である。
実施例8、実施例9と、比較例8、比較例9の各々の組成を表17に示す。
表17
Figure 0005414025
また、実施例9〜実施例13と、比較例9〜比較例13の各々の組成を表18に示す。
表18
Figure 0005414025
実験7
実験7では、第1実施形態における実験1と同様に、実施例8〜13及び比較例8〜13の各々について、造膜性の視認、付着性試験、耐衝撃性試験を行なった。
実験7における造膜性の視認、付着性試験、耐衝撃性試験については、第1実施形態における実験1と同じ要領で行なわれた。
実験7の結果は、表19、表20で示されている。
表19
Figure 0005414025
表20
Figure 0005414025
表19における実施例8、実施例9と、比較例8、比較例9から、シリコーン含有アクリルラテックスの組成は、78〜94重量部とするべきことが分かった。
また、表20における実施例10、実施例11と、比較例10、比較例11から、増膜助剤は、5〜8重量部とすべきことが分かった。
さらに表20における実施例12、実施例13と、比較例12、比較例13から、増粘剤は、0.2〜0.6重量部とすべきことが分かった。
実験8
実験8では、実験2と同一の要領で、実施例8〜実施例13と、比較例8〜比較例13の各々を塗布して、400時間の促進耐候性試験を行ない、その後、接触角の測定、付着性試験、耐衝撃性試験を行なった。
実施例8、実施例9と、比較例8、比較例9の各々について、400時間の耐候性試験後における接触角の測定結果、付着性試験の結果、耐衝撃性試験の結果の各々を、表21に示す。
また、実施例10〜実施例13と、比較例10〜比較例13の各々について、400時間の耐候性試験後における接触角の測定結果、付着性試験の結果、耐衝撃性試験の結果を、表22に示す。
表21
Figure 0005414025
表22
Figure 0005414025
表21、表22において、実施例8〜13における接触角は、97°〜101°であり、必要な撥水性を呈するために必要な接触角である90°よりも大きい数値である。また、実施例8〜13では、400時間の耐候性試験後における付着性試験の結果、耐衝撃性試験の結果も良好である。
実験8の結果から、第2実施形態に係る塗料が耐候性に優れていることと、シリコーン含有アクリルラテックスは78〜94重量部、増膜助剤は5〜8重量部、増粘剤は0.2〜0.6重量部という第2実施形態に係る組成が妥当であることが理解できる。
実験9
実験9では、実施例8〜実施例13と、比較例8〜比較例13の各々について、実験3と同じ要領で電線の降雪試験を行ない、自然降雪による電線への積雪状態をチェックした。
実施例8、実施例9、比較例8、比較例9について、実験9の結果を表23で示す。
実施例10〜実施例13、比較例10〜比較例13について、実験9の結果を表24で示す。
表23
Figure 0005414025
表24
Figure 0005414025
表23及び表24から明らかな様に、実施例8〜13を塗装した電線における積雪量は、比較例8〜13を塗装した電線の積雪量に比較して少ない。
係る結果から、自然降雪による電線への積雪(難着雪性)という観点からも、シリコーン含有アクリルラテックスは78〜94重量部、増膜助剤は5〜8重量部、増粘剤は0.2〜0.6重量部という第2実施形態に係る組成が好適であることが確認出来た。
実験10
実験10では、実験4と同じ要領で、実施例8〜実施例13と、比較例8〜比較例13の各々について、寒熱サイクル試験を行なった後に付着性試験を行なった。
実施例8、実施例9、比較例8、比較例9の各々について、寒熱サイクル試験を行なった後に、付着性試験を行なった結果を、表25に示す。
また、実施例10〜実施例13と、比較例10〜比較例13の各々について、寒熱サイクル試験を行なった後に、付着性試験を行なった結果を、表26に示す。
表25
Figure 0005414025
表26
Figure 0005414025
表25、表26から、寒熱が繰り返される環境に晒された場合における付着性について、実施例8〜13は比較例8〜13よりも、明らかに良好な結果を示している。すなわち、第2実施形態に係る塗料は、寒暖が長期間に亘って繰り返された場合の耐久性に優れている。
そして実験10の結果から、シリコーン含有アクリルラテックスは78〜94重量部、増膜助剤は5〜8重量部、増粘剤は0.2〜0.6重量部という第2実施形態の組成が好適であることが確認出来た。
実験11
実験11では、実験5と同じ要領で、実施例8〜実施例13と、比較例8〜比較例13の各々について、複合腐食サイクルを繰り返した後、付着性試験と耐衝撃性試験を行なった。
実施例8、実施例9、比較例8、比較例9の各々について、実験11の結果を、表27に示す。
また、実施例10〜実施例13と、比較例10〜比較例13の各々について、付着性試験の結果、耐衝撃性試験の結果を、表28に示す。
表27、表28から、第2実施形態に係る塗料は耐食性が優れていることと、第2実施形態に係る配合が良好であることとが理解出来る。
表27
Figure 0005414025
表28
Figure 0005414025
実験12
実験12では、第2実施形態について、ドライアイスブラストによる塗装前処理の有効性をチェックした。
実験12は、実験6と同一の要領で行なわれた。
すなわち、ドライアイスブラスト処理を行なったACSR330電線に第8実施例に係る塗料を塗布した試料を、3ヶ月間に亘って屋外に設置したサンプル(試料α2)を用意した。それと共に、ドライアイスブラスト処理を行なったACSR330電線に第8実施例に係る塗料を塗布した直後に係るサンプルも用意した(試料β2)。
同様に、ドライアイスブラスト処理を行なっていないACSR330電線に第8実施例に係る塗料を塗布した試料についても、3ヶ月間に亘って屋外に設置したサンプル(試料γ2)を用意した。それと共に、ドライアイスブラスト処理を行なっていないACSR330電線に第8実施例に係る塗料を塗布した直後に係るサンプルも用意した(試料δ2)。
そして、上述した4種類のサンプル(試料α2、β2、γ2、δ2)について、実験3及び実験9と同じ要領で、電線の降雪試験を行なった。
係る降雪試験の結果を表29に示す。
表29
Figure 0005414025
表29から明らかなように、第8実施例に係る塗料を塗布した直後に係るサンプルについては(試料β2と試料δ2)、有意な差異は存在しない。
しかし、3ヶ月間に亘って屋外に設置したサンプル(試料α2と試料γ2)同士を比較すると、ドライアイスブラスト処理を行なったサンプル(試料α2)の方が、ドライアイスブラスト処理を行なっていないサンプル(試料γ2)に比較して、良好な結果を得た。
すなわち、第2実施形態に係る塗料においても、ドライアイスブラスト処理は積雪量を減少する効果があることが明らかとなった。
上述した実施形態に係る塗料は、以下に列挙する優れた作用効果を奏する。
(1) 塗布された場合には、良好な付着性、耐久性を示す。
(2) 塗布することにより、当該電線が着雪し難くなり、たとえ着雪しても落雪が早くなり、難着雪性を備えることができる。
(3) 電線に塗布することにより、着雪による災害防止(落雪の防止)が期待できる。
(4) 水系塗装であるため環境への負荷が少ない。
(5) また、耐候性、耐食性、寒暖が長期間に亘って繰り返された場合の耐久性にも優れており、素材の長寿命化を図ることができる。
(6) 既存電線の塗装前処理手段として、ドライアイスブラスト処理を行なうと、難着雪性が向上する。
第1及び第2実施形態や、実施例1〜13は、あくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。

Claims (1)

  1. アルミニウム合金に塗布される水系撥水性塗料であって、78〜94重量部のシリコーン含有アクリルラテックスと、1〜20重量部の混合ワックスエマルジョンと、5〜8重量部の造膜助剤と、0.2〜0.6重量部の増粘剤とをそれぞれ含有しており、前記シリコーン含有アクリルラテックスは40重量%のシリコーン変性アクリル系共重合体ラテックス、2重量%のメタノール、58重量%の水から成り、混合ワックスエマルジョンは不揮発分30重量%を含み変性パラフィンワックスを混合したアニオン系エマルジョンであり、造膜助剤はポリプロプレングリコールモノメチルエーテルであり、増粘剤はノニオン系ポリウレタンのブチルトリグリコール水溶液であることを特徴とする水系撥水性塗料組成物。
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