JP5413766B2 - レプチン測定方法 - Google Patents

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この発明は、小動物、特にネコのレプチンの測定方法に関するものであり、さらに詳細には、かかるレプチン測定のために、ネコなどの小動物の検体の前処理方法および前処理検体中のレプチンの測定方法およびそのネコレプチン測定方法に使用するためのネコレプチン測定キットに関するものである。
小動物、特にネコやイヌなどにとっても、ヒト同様、肥満は、最も共通する栄養障害であって、糖尿病、心血管疾患、間接障害などの種々の疾患を引き起こす原因ともなっている(非特許文献1)。かかる疾患の予防、診断ならびに治療のためにも、ヒトばかりでなく、ネコやイヌなどの小動物の肥満の定量的評価は必要不可欠である。ヒトの肥満を診断するためには種々の方法が採用されているが、それらのほとんどは小動物の肥満診断に対して有効に適用することができないのが現状である。例えば、ボデイ・マス指数(Body Mass Index: BMI)は、人に対しては簡単で信頼できる肥満の指標であるが、ネコやイヌなどに対しては、その体重などが千差万別であるところから肥満の指標としては適当であるとはいえない。これに対して、ネコやイヌの栄養状態を評価するために、ボデイ・コンデイション・スコア (Body Condition Score: BCS) や相対体重 (Relative Body Weight: RBW) などが幅広く適用されているが、それらの評価方法は主観的評価に基づいているところから、客観的な評価方法が望まれている(非特許文献2)。
最近の肥満マウスによる研究で、肥満にも遺伝子が関わっていることが明らかにされてきた。つまり、肥満マウスでは、肥満を防ぐ物質を生成する肥満遺伝子に異常があることから、その自動調節機構が作用せずに食餌し続けて肥満するとの考えに基づいて、その肥満防止物質の解析が進められた結果、最近の遺伝子組み換え技術の一つであるポジショナルクローニング法によって、その肥満の原因となる肥満遺伝子 (ob 遺伝子) の存在する染色体DNA 上の場所が特定され、この遺伝子がこれまで知られていなかった全く新しいタンパク質である OB タンパク質を生成することが確認され、この OB タンパク質は「レプチン」と命名された(非特許文献3)。
この OB タンパク質レプチンは、動物の身体中に必要以上の脂肪が蓄積すると、脂肪細胞中で合成・分泌され、このレプチンの情報が脳に伝達されて、食餌の摂取量を減少させたりまたは消費エネルギーを増大させたりして、脂肪の蓄積量を調節していることが示された(非特許文献3)。反対に、脂肪の量が足りなくなると、このレプチンの生成量が減少して、食餌の摂取量を増やすと共に消費エネルギーを減少させて、脂肪の蓄積量を増加するようになっている。しかし、肥満マウスでは、上記したようにこの仕組みに異常をきたしているので、レプチンを適切に生成することができず、身体中に必要以上の脂肪が蓄積しても、その情報が脳に適切に伝達されずに、食餌を摂取し続けて、身体中に脂肪を蓄え続けて肥満になることが示されている。したがって、レプチンは身体全体のエネルギーバランスを調節する鍵となる物質であると言える(非特許文献4)。
小動物だけでなく、ヒトにおいても、レプチンの血中濃度は、体脂肪の内容と明確に関係していることが知られている(非特許文献5)。したがって、血漿レプチン濃度は、代謝条件と密接に関係しているので、肥満ならびに肥満関連疾患の研究にとって強力なツールになると考えられる。
イヌのレプチン遺伝子はクローン化され、遺伝子組替えタンパク質のイヌレプチンが生成されている(非特許文献6、特許文献1)。更に、イヌレプチンに特異的な ELISA 法も確定されている(非特許文献7)。
イヌレプチン遺伝子とイヌレプチンに加えて、ネコレプチン遺伝子も同様にクローン化され、遺伝子組替えタンパク質のネコレプチンも生成されている(特許文献2)。しかし、ネコ血液などの試料中のネコレプチンをそのまま測定することができるネコレプチン測定方法が確定されていないのが現状である。なお、本発明者らは、ネコインスリンを測定するために、ネコ検体を前処理することについての特許出願を既に行っている(特許文献3)。
Lund, E. M., et al., J. Am. Vet. Med. Assoc. 214: 1336-1341, 1999 Laflamme, D., Canine Practice 22: 10-15, 1997 Zhang, Y., et al., Nature 372: 425-431, 1994 Shibata, H., et al., J. Vet. Med. Sci. 65(11): 1207-1211, 2003 Maffei, H., et al., Nature Medicine 1: 1155-1161, 1995 Iwase, M., et al., Res. Vet. Sci. 68: 109-114, 2000 Iwase, M., et al., Res. Vet. Sci. 62: 207-209, 2000 特開2000−279171号公報 特開2003−38187号公報 特開2007−10418号公報
したがって、本発明者らは、ネコレプチン測定方法を鋭意研究した結果、測定対象試料であるネコ検体を前処理することによってネコ検体中のネコレプチンを測定することができることを見出して、この発明を完成した。
この発明は、その1つの形態として、ネコ検体中のネコレプチンを測定するために、ネコ検体を酸性にしてネコレプチンに結合する自己抗体(ネコレプチン結合自己抗体)を分離除去することからなるネコ検体の前処理方法を提供することを目的としている。
また、この発明は、別の態様として、ネコ検体にタンパク質沈殿剤を添加してネコレプチンに結合していない自己抗体(ネコレプチン非結合自己抗体)を沈殿・分離して除去することからなる試料の前処理方法を提供することを目的としている。
この発明は、さらに別の形態として、上記前処理をしたネコ検体を用いてネコレプチンを測定することからなるネコレプチン測定方法を提供することを目的としている。
この発明は、これら形態の好ましい態様として、ネコレプチン結合自己抗体の抗体価を測定して該ネコレプチン結合自己抗体の存在を検出することからなるネコレプチン測定方法を提供することを目的としている。
さらに、この発明は、別の形態として、上記ネコレプチン測定方法に使用するネコレプチン測定キットであって、該キットが、標準イヌもしくはラットレプチン溶液、抗レプチン抗体ならびにビオチン結合抗レプチン抗体、ペルオキシダーゼ・アビジン結合物、発色液および反応停止液からなるネコレプチン測定キットを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、この発明は、その1つの形態として、ネコ検体中のネコレプチンを測定するために、ネコ検体を前処理してネコレプチン結合自己抗体を分離除去することからなる試料の前処理方法を提供する。
また、この発明は、別の態様として、ネコ検体をタンパク質沈殿剤を添加してネコレプチン非結合自己抗体を沈殿・分離して除去することからなる試料の前処理方法を提供する。
この発明は、さらに別の形態として、上記前処理をしたネコ検体を用いてネコレプチンを測定することからなるネコレプチン測定方法を提供する。
この発明は、これら形態の好ましい態様として、ネコレプチン結合自己抗体の抗体価を測定して該ネコレプチン結合自己抗体の存在を検出することからなるネコレプチン測定方法を提供する。
さらに、この発明は、さらに別の形態として、上記ネコレプチン測定方法に使用するネコレプチン測定キットであって、該キットが、標準イヌもしくはラットレプチン溶液、抗レプチン抗体ならびにビオチン結合抗レプチン抗体、ペルオキシダーゼペルオキシダーゼ・アビジン結合物、発色液および反応停止液からなるネコレプチン測定キットを提供する。
この発明に係るレプチン測定方法は、検体中から自己抗体を除去する前処理を施していることから、ネコレプチンを迅速にかつ正確に測定することができるという大きな効果がある。
この発明に係るネコレプチン測定方法は、ネコの肥満に関与するネコレプチンを迅速にかつ高精度で測定する方法であって、まず、測定対象試料であるネコ検体を酸性にしてネコレプチンに結合している自己抗体(ネコレプチン結合自己抗体)を分離し、またタンパク質沈殿剤を添加してネコレプチンに結合していない自己抗体(ネコレプチン非結合自己抗体)を分離した後、ネコ検体中に存在するネコレプチンを測定することからなっている。
血液などのネコ検体には、自己抗体が産生されていて、その自己抗体の1部は、検体中に、ネコレプチンに結合している状態、つまりネコレプチン結合自己抗体の形で存在している。したがって、この発明においては、ネコ検体中のネコレプチンを高精度に測定するためには、特にネコレプチン結合自己抗体がネコ検体中に存在しているかどうかを確認するのがよい。このネコレプチン結合自己抗体が存在しているかどうかの確認はネコ検体中のネコレプチン結合自己抗体価を測定することによって行うことができる。この結合自己抗体価を測定する方法としては、当該技術分野で慣用されている自己抗体価測定方法を使用することができる。
かかるレプチン結合自己抗体の自己抗体価を測定する方法としては、例えば、酵素免疫吸着法 (ELISA) 等の酵素免疫測定法などの公知の免疫測定法を使用するのがよい。ネコ血清検体中のレプチン結合自己抗体の自己抗体価は、例えば、ネコ血清検体を、抗レプチン抗体を固相化した担体、例えば、マイクロタイタープレート、マイクロビーズなどの担体と接触させ検体中に含まれるネコレプチン結合自己抗体と抗原抗体反応により反応させ、更に酵素結合抗ネコIgG (H + L) などと反応させた後、酵素基質を発色させ、抗原抗体反応を停止させた後、特定の吸光度を測定することによって行うことができる。使用する酵素としては、例えば、HRP(ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、エステラーゼ、β−D−グルクロニダーゼなどが挙げられる。これらの酵素のうち、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが好ましい。発色剤としての酵素基質は、使用する酵素によって適宜選択するのが好ましい。例えば、酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合は、3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン (TMB) を使用するのが好ましく、また酵素としてアルカリホスファターゼを使用する場合は、パラニトロフェニルリン酸ナトリウムを使用するのが好ましい。
上記のようにしてネコレプチン結合自己抗体が検体中に存在することが確認された場合、ネコ検体中のネコレプチンを高精度に測定するためには、ネコレプチン結合自己抗体はネコ検体中で分離する必要がある。そのためには、この発明では、まず、ネコ検体を前処理するのがよい。ネコ検体としては、例えば、ネコの血液(血清、血漿等)などの体液や組織のホモジネートなどであってもよい。
この発明において、ネコ検体の前処理としては、まず、ネコ検体を酸性にしてネコレプチンと自己抗体との抗原抗体反応を停止し、それによってネコレプチンに結合している自己抗体(ネコレプチン結合自己抗体)を分離するのがよい。ネコ検体を酸性にするには、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸または酢酸等の有機酸などを使用することができるが、無機酸が好ましい。無機酸としては、例えば、0.5M〜2M塩酸または0.25M〜1M塩酸を使用するのが好ましい。添加する酸の量は、検体の量にもよるが特に限定されるものではなく、例えば、検体量に対して1/50倍〜10倍程度、好ましくは1/20倍〜1倍程度の量を使用するのがよい。
次に、上記のようにしてネコレプチン結合自己抗体を分離した後のネコ検体中には、ネコレプチンに結合していない自己抗体が存在している場合がある。そこで、検体中のネコレプチンを高精度に測定するには、かかるネコレプチン非結合自己抗体も分離除去するのがよい。そのためには、上記ネコレプチン結合自己抗体を分離した後のネコ検体にタンパク質沈殿剤を添加してネコレプチン非結合自己抗体を沈殿させて分離するのがよい。かかるタンパク質沈殿剤としては、例えば、飽和硫酸アンモニウム、飽和硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。かかるタンパク質沈殿剤を使用する場合には、約30%〜60%、約33%〜55%の飽和硫酸アンモニウムを使用するのがよい。またポリエチレングリコールを使用する場合には、0.5〜20%ポリエチレングリコール3000〜6000を使用するのがよい。なお、かかるタンパク質沈殿剤の添加量は、上記タンパク質の沈殿を生起させることができるのであれば、その量には特に制限はないが、その最終濃度が約30%〜70%、好ましくは約40%〜60%になるように添加するのがよく、また試料は約pH3.0〜pH2.0程度の酸性にするのがよい。
上記のようにしてネコレプチン非結合自己抗体を分離した検体にアルコール溶液を添加することによって共沈しているネコレプチンを回収することができる。このようにネコレプチンを回収することによって、同時に検体中の自己抗体を分離することができることになる。アルコールとしてはエタノールが好ましく、エタノールとしては、例えば、約60%〜95%濃度、好ましくは約65%〜80%濃度であるのがよい。またエタノールの最終濃度は、例えば、約60%〜80%、好ましくは65%〜75%程度であるのがよい。この場合、エタノール溶液は、塩酸などの酸との混合溶液として添加するのが好ましい。
このように調整したネコ検体からネコレプチン結合自己抗体を含む自己抗体などの不溶解物を除去する。ネコ検体からの不溶解物除去は、遠心分離やろ過などの常法に従って行うことができる。このように不溶解物を除去したネコ検体は、自己抗体が残存していないかを確認するのがよい。残存自己抗体が残存しているかどうかの確認は、上記した自己抗体の抗体価測定方法に従って行うことができる。この自己抗体測定法にて残存自己抗体の存在が確認された場合には、上記前処理を繰り返して行うのがよい。
このように前処理して得られたネコ検体は、ネコレプチンを測定するための測定用検体として使用することができる。この発明において、かかるネコ検体中のネコレプチンは、当該技術分野において公知の測定方法、例えば酵素免疫法等の免疫学的測定法などによって測定することができる。
この発明に係るネコレプチン測定方法は、例えば、抗体固相化担体としてのマイクロタイタープレートに抗レプチン抗体を固相化し、標準レプチン溶液と、前処理ネコ検体とを上記抗レプチン抗体を固相化したマイクロタイタープレートのウエルに添加する。さらに標識化抗レプチン抗体を各ウエルに添加して抗原抗体反応させて抗体−抗原複合体を形成させる。上記抗レプチン抗体を標識化する標識化物質としては、例えば、ビオチンなどが好ましい。また、かかる標識化抗レプチン抗体としては、例えば、ヤギ抗レプチン抗体などが使用できる。
このようにして抗体ー抗原複合体を形成させた後、酵素結合アビジンなどを添加し、さらに酵素基質を用いて発色させ、特定の吸光度を測定することによって測定対象のネコレプチンを測定することができる。このように前処理をしたネコ検体を測定検体として使用することによって、測定対象のネコレプチンを高精度にかつ迅速に測定することができる。なお、使用する酵素としては、例えば、HRP(ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、エステラーゼ、β−D−グルクロニダーゼなどが挙げられる。これらの酵素のうち、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが好ましい。発色剤としての酵素基質は、使用する酵素によって適宜選択するのが好ましい。例えば、酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合は、3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン (TMB) を使用するのが好ましく、また酵素としてアルカリホスファターゼを使用する場合は、パラニトロフェニルリン酸ナトリウムを使用するのが好ましい。このように発色剤を添加した後、塩酸、硫酸などの酸を添加して発色反応を停止した後、ネコ検体中のネコレプチンを所定の吸光度で測定する。吸光度は、使用する酵素基質により適宜選択するのがよく、酵素基質として TMB を使用する場合は、450 nm/620 nm であるのがよい。このようにして、この発明はネコ検体中のネコレプチンを迅速にかつ高精度で定量測定することができる。
この発明において使用する標準レプチン溶液としては、例えば、標準ネコレプチンならびに標準イヌレプチンまたは標準ラットレプチンなどを挙げることができるが、標準ネコレプチンならびに標準イヌレプチンを使用するのがより好ましい。レプチンのアミノ酸配列は、いずれも167個のアミノ酸から構成されていて、それらのアミノ酸配列は配列表にそれぞれ示すとおりである。このうち、ネコレプチン(配列番号1)とイヌレプチン(配列番号2)とのアミノ酸相同性は91.6%であり、またネコレプチン(配列番号1)とラットレプチン(配列番号3)とのアミノ酸相同性は82.6%であつた。参考までに、ヒトレプチン(配列番号4)およびマウスレプチン(配列番号5)も配列表に記載する。なお、ネコレプチンーヒトレプチンのアミノ酸相同性は85%、ネコレプチンーマウスレプチンのアミノ酸相同性は80.8%、ヒトレプチンーマウスレプチンのアミノ酸相同性は83.8%、ヒトレプチンーラットレプチンのアミノ酸相同性は85.0%、マウスレプチンーラットレプチンのアミノ酸相同性は97.0であった。
ネコレプチン、イヌレプチンおよびラットレプチンのアミノ酸配列を比較すると図1−1および図1−2に示すとおりである。図中、イヌレプチンおよびラットレプチンのアミノ酸配列のうち、ネコレプチンのアミノ酸配列と異なるアミノ酸を枠(□)で囲って示している。
また、この発明は、ネコレプチン測定キットであって、標準イヌもしくはラットレプチン溶液、抗レプチン抗体ならびに標識物質結合抗レプチン抗体、酵素・アビジン結合物、発色剤としての酵素基質および反応停止液からなるネコレプチン測定キットに関する。この発明のネコレプチン測定キットでは、標準イヌレプチン溶液が好ましい。標識化物質としては、例えば、HRP(ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、D−グルコース−6−リン酸脱水素酵素などが挙げられる。これらの酵素のうち、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが好ましい。発色剤としての酵素基質は、使用する酵素によって適宜選択するのが好ましい。例えば、酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合は、3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン (TMB) を使用するのが好ましく、また酵素としてアルカリホスファターゼを使用する場合は、パラニトロフェニルリン酸ナトリウムを使用するのが好ましい。反応停止液としては、硫酸、塩酸等の酸などが使用できる。
この発明に係るネコレプチン測定用キットには、上記の他に、例えば、抗体固相化96穴マイクロタイタープレート、洗浄液、緩衝液などが追加されていてもよい。
(ネコ血清中のIgG-レプチン複合体の測定法)
抗レプチン抗体固相化96ウエルプレートの各ウエルに、ネコ血清検体を10倍から7段階希釈して50μlづつ添加して室温で1時間反応させ、0.05%ツイーン(登録商標)20−10mMPBSで洗浄した。このように調製したプレートの各ウエルに対して、HRP標識結合ヤギ抗ネコIgG50μlづつを添加して室温で1時間反応させ、0.05%ツイーン(登録商標)20−10mMPBSで洗浄した。この各ウエルに、発色剤としてTMBをそれぞれ50μlづつを添加して室温で10分間反応させて、1M硫酸50μlづつを添加して反応を停止させた。各ウエルの450nm(Δ620nm)吸光度を測定した結果を表1および図2に示す。
Figure 0005413766
(ネコ検体の前処理)
ネコ検体(血清または血漿)に、1/10 (v/v) 量の1M 塩酸を添加し攪拌した後、最終濃度が 50% になるように飽和硫酸アンモニウム溶液(pH 2.5) を添加した。得られた溶液を室温で10分間攪拌した後、最終濃度が 70% になるようにエタノール−10 mM 塩酸を添加して室温で10分間攪拌した。このように処理した溶液を遠心分離 (2800 rpm, 15 min, 4 ℃) またはフィルターで不溶解物を除去し、得られた上清またはろ液を測定用検体として使用した。
ネコ血清検体に組換えイヌレプチンを添加後、上記のように前処理してイヌレプチンの回収率を調べた。その結果を下表2に示す。
Figure 0005413766
なお、測定値は液量換算済みの値であり、回収率の平均値は 90.3% であった。
また、ネコ検体に組換えイヌレプチンを添加した場合でも、添加しない場合でも、前処理を施さなかったときには、いずれの場合も測定不能であった。
(検体の調整)
ラット血清(血漿):10μl/ウエル
検体量は10〜50μl/ウェルの範囲でウェルに添加し、総液量は緩衝液(リン酸系緩衝液)で調整して50μlとした。
(標準溶液の希釈例)
標準溶液を緩衝液にて希釈した割合を下表3に示すとおりである。
Figure 0005413766
(測定方法)
あらかじめ調製した洗浄液(0.05% ツイーン20(登録商標) 10 mM PBS)を抗体固相化96ウエルプレート(乾燥プレートタイプ)の各ウエルに満たし4回洗浄した後、ウエルに残った洗浄液を取り除いた。次に、検体測定ウェルに緩衝液(リン酸系緩衝液)を40μlずつ分注し、さらに検体を10μl添加した。なお、検体量は10〜50μlの範囲で調整した。ただし、各ウェルの総液量は50μlにした。上記のように調整した各濃度の標準溶液を標準品測定ウエルに50μlずつ分注し、マイクロプレート振とう器などを用いて撹拌した。さらに、各ウエルにビオチン結合抗レプチン抗体を50μlずつ分注し、マイクロプレート振とう器などを用いて撹拌した後、室温(20〜25℃)で2時間静置して反応させた。反応終了後、反応液を捨て洗浄液を各ウエルに満たし4回洗浄した。洗浄後、各ウエルに残った液を取り除いた。その後、各ウエルに、ペルオキシダーゼ・アビジン結合物を100μlずつ分注し、マイクロプレート振とう器などを用いて軽く撹拌して、室温(20〜25℃)で30分間静置して反応させた。反応終了後、反応液を捨て洗浄液を各ウエルに満たし4回洗浄し、各ウエルに残った液を取り除いた。次に、各ウエルに、発色液を100μlずつ分注します。マイクロプレート振とう器などを用いて軽く撹拌した後、室温(20〜25℃)で30分間静置した。その後、各ウエルに反応停止液を100μlずつ分注し撹拌して発色反応を停止させた。次に、マイクロプレート用分光光度計で450nm(副波長620nm)での吸光度を測定した。
(測定結果の判定方法)
標準曲線を作成します。片対数を使用し、X 軸 (Log 側) を標準溶液濃度 (pg/ml)、Y軸を吸光度の標準曲線グラフを作成した(図3参照)。次に、希釈検体の吸光度が標準曲線範囲内に入る希釈検体を選択し、標準曲線より、選択した希釈検体の吸光度に対応する濃度 (pg/ml) を読み取った。読み取った濃度に検体希釈率(標準測定法では5倍)を乗じ測定値とした(表4)。なお、検体の吸光度が標準曲線吸光度より外れた場合は、検体を緩衝液にて適当倍率に調整し再度測定を実施するのがよい。
Figure 0005413766
キット構成は次の通りである。
(A)抗体固相化96ウエルプレート(乾燥プレートタイプ)・・・1枚
(B)標準イヌレプチン溶液 (5000pg/ml)・・・・・・500μl/1本
(C)緩衝液・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60ml/1本
(D)ビオチン結合抗レプチン抗体・・・・・・・・・・200μl/1本
(E)ペルオキシダーゼ・アビジン結合物・・・・・・・200μl/1本
(F)発色液 (TMB) ・・・・・・・・・・・・・・・12ml/1本
(H)反応停止液 (1M H2SO4)・・・・・・・・・・・・12ml/1本
(I)濃縮洗浄液(10x)・・・・・・・・・・・・・・・100ml/1本
キット構成は次の通りである。
(A)抗体固相化96ウエルプレート(乾燥プレートタイプ)・・・・・・1枚
(B)標準ラットレプチン溶液 (5000pg/ml)・・・・・・・・500μl/1本
(C)緩衝液・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60ml/1本
(D)ビオチン結合抗レプチン抗体・・・・・・・・・・・・200μl/1本
(E)ペルオキシダーゼ・アビジン結合物・・・・・・・・・200μl/1本
(F)発色液 (TMB) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・12ml/1本
(H)反応停止液 (1 M H2SO4)・・・・・・・・・・・・・・・12ml/1本
(I)濃縮洗浄液(10x)・・・・・・・・・・・・・・・・・100ml/1本
(キット構成試薬の調製の1例)
洗浄液は、濃縮洗浄液(0.5% ツイーン20(登録商標) 100 mM PB、1.5 M NaCl)を精製水で10倍に希釈した。
ビオチン結合抗レプチン抗体は緩衝液を用いて100倍に希釈した。
ペルオキシダーゼ・アビジン結合物は緩衝液を用いて100倍に希釈した。
その他の試薬はそのまま使用した。
キットの試薬類は室温(20℃〜25℃)に戻してから使用した。
キット構成中の標準ラットレプチンについての抗体情報は次のとおりである。
プレート固相化抗体としてはウサギ由来ポリクローナル抗体を使用し、検出抗体としてはヤギ由来ポリクローナル抗体を使用した。いずれのポリクローナル抗体の免疫原としてはレプチンを使用し、いずれもレプチンに対して特異性を有していた。また、濃度が3000 pg/ml での交差反応性は表5に示す通りであった。なお、表中、+は交差反応性あり、−は交差反応性無しを意味する。
Figure 0005413766
実施例5のレプチン−ラットキットを使用したイヌレプチンおよびラットレプチンに対する反応性を実施例3に従って調べた。その結果を表6(イヌレプチン)および表7(ラットレプチン)に示す。また、これらのデータに基づいて標準曲線を作成した結果を図4に示す。
Figure 0005413766
Figure 0005413766
この発明に係るネコレプチンの測定方法は、ネコ検体中に存在するネコネプチンを高精度にかつ迅速に測定することができるので、ネコの肥満の度合いを調べることができる。したがって、ネコの肥満の診断ならびに治療に有用である。
ネコレプチン、イヌレプチンおよびラットレプチンのアミノ酸配列を示す図。 ネコレプチン、イヌレプチンおよびラットレプチンのアミノ酸配列(続)を示す図。 ネコ血清中のIgG-レプチン複合体のELISA測定結果を示すグラフ。 標準曲線を示す図。

Claims (4)

  1. ネコ検体を酸性にしてネコレプチンに結合している自己抗体を分離し、かつ、タンパク質沈殿剤を添加してネコレプチンに結合していない自己抗体を分離し、該ネコ検体から自己抗体を除去した後、ネコ検体中に存在するネコレプチンを測定することを特徴とするネコレプチン測定方法。
  2. 請求項1に記載のネコレプチン測定方法であって、無機酸または有機酸を使用して前記ネコ検体を酸性にすることを特徴とするネコレプチン測定方法。
  3. 請求項1または2に記載のネコレプチン測定方法であって、前記タンパク質沈殿剤が飽和硫酸アンモニウム、飽和硫酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールから選ばれることを特徴とするネコレプチン測定方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のネコレプチン測定方法であって、アルコールをさらに添加してネコレプチンを分離することを特徴とするネコレプチン測定方法。
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