JP5413541B2 - 組合せ鋼矢板、地中連続壁、及び組合せ鋼矢板の再利用方法 - Google Patents

組合せ鋼矢板、地中連続壁、及び組合せ鋼矢板の再利用方法 Download PDF

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Description

本発明は、土木建築分野における土留め壁、擁壁、基礎構造等を構築するのに用いられる組合せ鋼矢板、地中連続壁、及び組合せ鋼矢板の再利用方法に関するものである。
本願は、2011年7月14日に、日本に出願された特願2011−155710号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
一般に、地盤を掘削して地下構造物を構築するための工法として様々なものが提案されている。この工法としては、例えば、仮設用の地中連続壁を地中に打設してその片面側を掘削した後に本設用の本体壁を構築する工法や、仮設用と本設用とを兼用するソイルセメント壁や場所打ち鉄筋コンクリート壁を地中に構築する工法が知られている。
しかしながら、仮設用地中連続壁を用いる工法のうち、仮設用地中連続壁としてソイルセメント壁や場所打ち鉄筋コンクリート壁のようなコンクリート系壁体を用いる工法では、地下構造物の構築後に仮設用地中連続壁を撤去できず、既設の仮設用地中連続壁の周辺に新たな地下構造物を構築するときの影響が問題となる。
また、引き抜き撤去が可能である鋼材系壁体を仮設用地中連続壁として用いる工法としては、親杭横矢板工法や鋼矢板工法が知られている。しかしながら、これらの工法では、掘削深度が10m程度より深くなる場合、断面剛性が不足することが多くなるため適用が困難となるうえ、タイロッドやアンカー等の余分な付帯構造が必要となってしまう点が問題となる。
このような課題に対応できる断面剛性に優れた地中連続壁用鋼材として、例えば、特許文献1に、大径の鋼管に小径の鋼管を継手として取り付けた鋼管矢板が開示されている。
また、この他の断面剛性に優れた地中連続壁用鋼材としては、鋼矢板とH形鋼とを組み合わせた組合せ鋼矢板が知られている。
この組合せ鋼矢板の例として、特許文献2においては、左右の継手の形状が非対称な直線形鋼矢板にH形鋼を溶接により接合した組合せ鋼矢板が開示されている。
また、特許文献3においては、図26A〜図27Bに示すように、左右の継手111の形状が非対称の断面ハット形の鋼矢板110にH形鋼130を接合した組合せ鋼矢板101が開示されている。この組合せ鋼矢板101は、鋼矢板110にH形鋼130を接合するうえで、図26A、図27Aに示すように溶接部Wを用いたり、図26B、図27Bに示すように接合ボルト141と接合ナット145とを用いたりしている。
日本国特開2005−105726号公報 日本国特開平11−140864号公報 日本国特開2002−212943号公報
ところで、上述の組合せ鋼矢板101は、薄肉大断面となり易い鋼矢板110が用いられているため、組合せ鋼矢板101の打設作業、及び引き抜き作業時に、鋼矢板110全体や継手111が変形、損傷し易く、その鋼矢板110の全幅W1や継手111の開口幅W2に変状が生じやすい。
このため、仮設用地中連続壁を構築するために組合せ鋼矢板101を繰り返し利用すると、組合せ鋼矢板101の継手111や鋼矢板110全体が大きく変形、損傷してしまう。こうなると、先行して打設された鋼矢板110の継手111に、後行して打設される鋼矢板110の継手111を嵌合させる作業をするときに、継手部での打設抵抗が増大したり、継手111が互いに離脱してしまい、組合せ鋼矢板101の打設作業が困難になってしまう。
このような問題点を解決するため、繰り返し利用しようとする組合せ鋼矢板101について、変形、損傷し難い既設のH形鋼130から変形し易い既設の鋼矢板110を取り外し、新しい鋼矢板110をその既設のH形鋼130に接合するという鋼矢板110の着け外し作業をすることによって、組合せ鋼矢板101の鋼矢板110を交換するという考え方がある。
しかしながら、従来の組合せ鋼矢板101は、図26A、図26Bに示すように、それぞれの長手方向の長さがほぼ同じ長さである鋼矢板110とH形鋼130とを接合して構成されている。このため、従来の組合せ鋼矢板101では、変形、損傷が比較的少なく再利用できる部分も含めて鋼矢板110を全長に亘り交換する必要がある。このように、経済性の観点から改善の余地があった。
特に、図26Aに示すように、鋼矢板110とH形鋼130とを長手方向の全長に亘り溶接部Wにより接合する場合、鋼矢板110をH形鋼130から取り外すうえで、溶接ビード(溶接部W)等をグラインダー処理等により除去する必要がある。つまり、組合せ鋼矢板101の全長が長くなるほど、鋼矢板110の交換作業時の作業時間、作業工数が増大し、経済性、作業性の低下を招く。また、新しい鋼矢板110を既設のH形鋼130に接合するときに、溶接ビード(溶接部W)等を完全に除去して鋼材の表面を整える必要があり、一層、作業時間、作業工数が増大してしまう。
また、図26Bに示すように、鋼矢板110とH形鋼130とを全長に亘りボルト接合する場合、ボルト挿通孔の穿孔作業や接合ボルト141及び接合ナット145の締め付け作業をするための作業時間、作業コストの増大を招いてしまう。この場合でも、経済性、作業性の低下を招く。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、鋼矢板を交換することにより組合せ鋼矢板を再利用する場合に、その鋼矢板の着け外し作業時の作業性や経済性の向上を図ることを可能とする組合せ鋼矢板、地中連続壁、及び組合せ鋼矢板の再利用方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決してかかる目的を達成するために以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様は、鋼矢板とH形鋼とを備える組合せ鋼矢板であって、前記鋼矢板が、長手方向に対して垂直に分割される複数の矢板部材を有し、前記長手方向の少なくとも一方の端部の前記矢板部材が、前記H形鋼に対して着脱可能な交換用矢板部材である。
(2)上記(1)に記載の組合わせ鋼矢板では、前記長手方向に垂直な断面で見た場合に、前記鋼矢板が、ウェブ部の両端に設けられた一対の鋼矢板フランジ部と、前記鋼矢板フランジ部の先端に設けられたアーム部と、そのアーム部の先端に設けられた継手とを有し、形状がハット形のハット形鋼矢板であってもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載の組合わせ鋼矢板では、前記交換用矢板部材の前記長手方向の長さが、50cm以上であり、かつ前記鋼矢板の前記長手方向の長さに対して0.2倍以下であってもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の組合わせ鋼矢板では、前記H形鋼及び前記交換用矢板部材間を接合する接合ボルトをさらに備えてもよい。
(5)上記に記載の組合わせ鋼矢板では、前記接合ボルトを複数有し、前記H形鋼が、H形鋼フランジ部に前記交換用矢板部材を接合する前記接合ボルトが挿通される複数のボルト挿通孔を有し、前記接合ボルトの数が前記ボルト挿通孔の数以下であってもよい。
(6)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の組合わせ鋼矢板では、前記H形鋼及び前記交換用矢板部材間を接合する溶接部をさらに備えてもよい。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の組合わせ鋼矢板では、前記交換用矢板部材と前記矢板部材との間に、膨潤性止水材を含む止水層が設けられてもよい。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の組合わせ鋼矢板が用いられる地中連続壁は、組合せ鋼矢板を複数有し、互いに隣り合う前記各組合せ鋼矢板の前記継手を互いに連結して構築されてもよい。
(9)上記(8)に記載の地中連続壁を構成する組合わせ鋼矢板の再利用方法は、地中連続壁を構成する前記組合せ鋼矢板を地中から引き抜く工程と、前記組合せ鋼矢板から前記交換用矢板部材を取り外す工程と、前記交換用矢板部材を取り外した前記組合せ鋼矢板に対し、他の前記交換用矢板部材を取り付ける工程とを有してもよい。
上記(1)〜(9)に記載の態様によれば、鋼矢板の特に変形、損傷し易い箇所のみを交換することが可能となる。そのため、組合せ鋼矢板を再利用して地中連続壁を構築する場合に、鋼材使用量を抑えることにより構築コストの低減を図ることが可能となる。また、鋼矢板を部分的に交換するのみで組合せ鋼矢板を再利用することが可能となる。そのため、交換用矢板部材の着け外し作業に要する作業時間の短縮を図ることが可能となる。
上記(3)に記載の態様によれば、鋼矢板の変形、損傷が起き難い箇所は極力残しつつ、変形、損傷し易い箇所のみを交換することが可能となる。そのため、組合せ鋼矢板を再利用する場合に、鋼材使用量をより効果的に抑えることが可能となる。
上記(4)に記載の態様によれば、接合ボルト及び接合ナットの着け外し作業をするのみで交換用矢板部材を交換できる。そのため、交換用矢板部材の着け外し作業に要する作業時間の短縮が可能となる。
上記(5)に記載の態様によれば、新たな交換用矢板部材をH形鋼に対してボルト接合するときに、H形鋼に対して新たにボルト挿通孔を穿孔することなく必要な接合強度を確保することが可能となる。
上記(6)に記載の態様によれば、溶接部を切断するのみで交換用矢板部材を交換できる。そのため、交換用矢板部材及びH形鋼に対するボルト挿通孔の穿孔作業や接合ボルト及び接合ナットの締め付け作業に要する作業時間の短縮が可能となる。
上記(7)に記載の態様によれば、地中連続壁の構築時に、複数の矢板部材間の境界部より上側に地下水位がある場合でも、その境界部からの漏水を止水層により防止することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る組合せ鋼矢板の平面図である。 図1Aの一部を拡大した部分断面平面図である。 第1実施形態に係る組合せ鋼矢板の正面図である。 図2Aの部分断面背面図である。 第1実施形態に係る組合せ鋼矢板の上端部の正面図である。 図3Aの上端部の部分断面背面図である。 第1実施形態に係る組合せ鋼矢板の交換用矢板部材の正面図である。 図4Aの交換用矢板部材をH形鋼から取り外した状態を示す組合せ鋼矢板の上端部の正面図である。 第1実施形態に係る組合せ鋼矢板を用いて構築された地中連続壁の平面図である。 図5Aの地中連続壁の正面図である。 第1実施形態に係る組合せ鋼矢板を用いて構築された地中連続壁を概略的に示す側面図である。 第1実施形態に係る組合せ鋼矢板の鋼矢板としてU形鋼矢板を用いて構築された地中連続壁を概略的に示す平面図である。 鋼矢板のウエブ部と一対のフランジ部とがなす凹部側の片面にH形鋼のフランジ部を重ね合わせて接合された組合せ鋼矢板の平面図である。 第1実施形態の変形例に係る組合せ鋼矢板を用いて構築された地中連続壁の平面図である。 図9Aの地中連続壁の正面図である。 鋼矢板の下端部のみに交換用矢板部材を設けた組合せ鋼矢板を用いて構築された地中連続壁を概略的に示す側面図である。 鋼矢板の上端部のみに交換用矢板部材を設けた組合せ鋼矢板を用いて構築された地中連続壁を概略的に示す側面図である。 第1実施形態の変形形態に係る組合せ鋼矢板の平面図である。 図11Aの一部を拡大した部分断面平面図である。 第1実施形態に係る組合せ鋼矢板を用いて構築された地下構造物を概略的に示す図である。 第1実施形態に係る組合せ鋼矢板を地面上に載置させた状態を概略的に示す側面図である。 図13Aの組合せ鋼矢板から交換用矢板部材を取り外した状態を概略的に示す分解側面図である。 第1実施形態に係る組合せ鋼矢板の接合ボルトから接合ナットを取り外した状態を示す図である。 確認試験により求められた鋼矢板の全幅とその鋼矢板の上端からの距離との関係を示す図である。 確認試験により求められた鋼矢板の全幅とその鋼矢板の上端からの距離との関係を示す図である。 確認試験により求められた鋼矢板の継手開口幅とその鋼矢板の上端からの距離との関係を示す図である。 確認試験により求められた鋼矢板の継手開口幅とその鋼矢板の上端からの距離との関係を示す図である。 H形鋼と交換用矢板部材との接合に8本の接合ボルトを用いたときの状態を示す部分断面背面図である。 H形鋼と交換用矢板部材との接合に6本の接合ボルトを用いたときの状態を示す部分断面背面図である。 組合せ鋼矢板の交換用矢板部材とこれに隣り合う矢板部材との間に亘って補強板が架設されたときの状態を示す平面図である。 図18Aの組合せ鋼矢板の上端部の正面図である。 図18Aの組合せ鋼矢板の上端部の背面図である。 第2実施形態に係る組合せ鋼矢板を用いて構築された地中連続壁を概略的に示す側面図である。 第2実施形態に係る組合せ鋼矢板の上端部の正面図である。 第2実施形態に係る組合せ鋼矢板の交換用矢板部材の正面図である。 図21Aの交換用矢板部材をH形鋼から取り外した状態を示す組合せ鋼矢板の上端部の正面図である。 第3実施形態に係る組合せ鋼矢板で用いられる固定治具を示す部分断面平面図である。 第4実施形態に係る組合せ鋼矢板の平面図である。 図23Aの組合せ鋼矢板の上端部の背面図である。 第5実施形態に係る組合せ鋼矢板を用いて構築された地中連続壁の平面図である。 図24Aの地中連続壁の正面図である。 第6実施形態に係る組合せ鋼矢板を用いて構築された地中連続壁の平面図である。 図25Aに示す地中連続壁に用いられている組合せ鋼矢板を拡大した平面図である。 従来の組合せ鋼矢板の一例を示す平面断面図である。 従来の組合せ鋼矢板の他の例を示す平面断面図である。 従来の一例としての組合せ鋼矢板を用いて構築された地中連続壁を概略的に示す側面図である。 従来の他の例としての組合せ鋼矢板を用いて構築された地中連続壁を概略的に示す側面図である。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る組合せ鋼矢板について説明する。
組合せ鋼矢板1は、図1A〜図4Bに示すように、鋼矢板10と、鋼矢板10に接合されたH形鋼30とを備えている。組合せ鋼矢板1は地中に地中連続壁3を構築するために用いられる。地中連続壁3は、図5A〜図6に示すように、複数の組合せ鋼矢板1がその鋼矢板10に設けられた継手11を介して互いに連結された状態で地中に打設されることにより構築される。具体的には、地中連続壁3は、組合せ鋼矢板1を複数有し、互いに隣り合う各組合せ鋼矢板1の継手11を互いに連結して構築される。このとき、組合せ鋼矢板1は、油圧式圧入器、バイブロハンマー等の公知の駆動装置により地中に打設される。
鋼矢板10は、図1A〜図4Bに示すように、長手方向に垂直な断面で見た場合に、板幅方向の両端部に設けられた継手11と、板幅方向の中央部に設けられたウエブ部13とを有している。
鋼矢板10は、本実施形態で、板幅方向の中央部に設けられたウエブ部13(鋼矢板ウエブ部)と、ウエブ部13の両端からウエブ部13の片面側に向けて傾斜して設けられた一対のフランジ部15(鋼矢板フランジ部)と、フランジ部15の先端からウエブ部13と平行になるように設けられたアーム部17と、アーム部17の先端に設けられた継手11とを有するハット形鋼矢板として構成されている。一対のフランジ部15は、ウエブ部13から離間するにつれて互いに離間するように傾斜して設けられている。
鋼矢板10は、ハット形鋼矢板の他にも、図7に示すように、上記断面で見た場合に、板幅方向の中央部に設けられたウエブ部13と、ウエブ部13の両端からウエブ部13の片面側に向けて傾斜して設けられた一対のフランジ部15とを有するU形鋼矢板として構成されていてもよい。また、鋼矢板10は、この他にも、直線形鋼矢板等から構成されていてもよい。
継手11は、他の鋼矢板10の継手11に対して互いに嵌合可能となるようにその形状が調整されている。また、継手11は、他の鋼矢板10の継手11との間で嵌合状態にあるときに、互いに離脱しないようにその形状が調整されている。隣り合う鋼矢板10は、それぞれの継手11が互いに嵌合されることにより連結される。
H形鋼30は、ウエブ部31(H形鋼ウエブ部)と、ウエブ部31の両端に設けられた一対のフランジ部33(H形鋼フランジ部)とを有する。H形鋼30は、鋼矢板10のウエブ部13(鋼矢板ウエブ部)の片面に一方のフランジ部33(H形鋼フランジ部)を重ね合わせて接合されている。H形鋼30は、本実施形態で、鋼矢板10のウエブ部13(鋼矢板ウエブ部)と一対のフランジ部15(鋼矢板フランジ部)とがなす凹部16とは反対側の片面に一方のフランジ部33(H形鋼フランジ部)を重ね合わせて接合されている。H形鋼30は、この他にも、図8に示すように、鋼矢板10のウエブ部13と一対のフランジ部15とがなす凹部16側の片面に一方のフランジ部33を重ね合わせて接合されていてもよい。
ここで、本実施形態に係る鋼矢板10は、図2A等に示すように、その鋼矢板10を長手方向に対して垂直に分割される形状の複数の矢板部材21、23から構成されている。本実施形態に係る鋼矢板10では、三つの矢板部材21、23から構成されている。矢板部材21、23は鋼製材料から構成される。複数の矢板部材21、23は、H形鋼30の長手方向に同じに向きに揃えて連続して配置された状態でH形鋼30に接合されることで、一つの鋼矢板10として機能する。
鋼矢板10の長手方向の両側における上端部10a及び下端部10bの少なくとも一方の矢板部材21は、H形鋼30に対して着脱可能な交換用矢板部材23として構成される。具体的には、長手方向に垂直な断面で見た場合に、板幅方向の両端部に設けられた継手11及び板幅方向の中央部に設けられたウエブ部13を有する鋼矢板10と、この鋼矢板10のウエブ部13にフランジ部33を重ね合わせて接合されたH形鋼30と、を備える組合せ鋼矢板1であって、上記鋼矢板10が、上記長手方向に対して垂直に分割される複数の矢板部材21を有し、上記長手方向の少なくとも一方の端部の矢板部材21が、H形鋼30に対して着脱可能な交換用矢板部材23である。本実施形態では、鋼矢板10の上端部10a及び下端部10bの両方の矢板部材21が交換用矢板部材23として構成されている場合を例示している。しかし、図10A、図10Bに示すように、少なくとも何れか一方が交換用矢板部材23として構成されていればよい。
交換用矢板部材23は、組合せ鋼矢板1を再利用するうえで、既設の交換用矢板部材23が変形等したときに新しい交換用矢板部材23に交換することを目的として設けられたものである。交換用矢板部材23は、その交換のための着け外し作業時の作業性の向上を図るため、H形鋼30に対して着脱が可能であるように接合されている。本実施形態では、交換用矢板部材23が、接合ボルト41に対して接合ナット45が螺合されることにより、H形鋼30に対してボルト接合されている場合を例示している。具体的には、組合せ鋼矢板1が、H形鋼30及び交換用矢板部材23間を接合する接合ボルト41と接合ナット45とをさらに備える場合を例示している。しかし、この他に、溶接部Wを切断することで交換用矢板部材23をH形鋼30から着脱することが可能である溶接部Wによる接合としてもよい。
組合せ鋼矢板1の鋼矢板10は、その上端部10a及び下端部10bが特に変形、損傷し易い箇所となる。これは、鋼矢板10の下端部10bは、組合せ鋼矢板1の打設作業時に、地中の玉石等の埋設物に接触し易く、その接触により変形、損傷し易いためである。また、鋼矢板10の上端部10aは、バイブロハンマー等で組合せ鋼矢板1を打設作業、または引き抜き作業するときに駆動装置により把持等されて、駆動装置からの駆動力が伝達される箇所である。そのため、その打設作業等の時の駆動装置からの荷重等により変形、損傷し易い。また、この他にも、鋼矢板10の上端部10a及び下端部10bは、土圧等の種々の荷重の影響により、他の部位と比較して変形、損傷し易い。このような観点から、鋼矢板10の上端部10a及び下端部10bの少なくとも一方の矢板部材21を交換用矢板部材23として設ける。なお、ここでいう変形とは、鋼矢板10の長手方向の軸が上記板幅方向にずれるような曲がり、その長手方向軸が板厚方向にずれるような反り、鋼矢板10の板幅方向への広がりや縮み、鋼矢板10の継手11の開き等のことをいう。また、ここでいう損傷とは、鋼矢板10の継手11の削れ、焼きつきや、鋼矢板10の部分的な割れ、切断等をいう。
本実施形態では、交換用矢板部材23が、鋼矢板10の長手方向の中間部10eに配置された矢板部材21よりも長手方向の長さが短い短尺の矢板部材21として構成されている。換言すると、複数の矢板部材21は、交換用矢板部材23としての短尺矢板部材と、短尺矢板部材よりも長手方向の長さが長い長尺矢板部材とから構成されている。図1A〜図6、図10A、及び図10Bに示す例では、交換用矢板部材23が、全て短尺矢板部材として構成され、交換用矢板部材23以外が長尺矢板部材として構成されている。
交換用矢板部材23以外の矢板部材21は、交換用矢板部材23と異なり、H形鋼30に対する接合手段について特に限定するものではない。この接合手段としては、例えば、本実施形態のように隅肉溶接等の溶接部Wによる接合が用いられる他に、ボルト、ドリルねじ等が用いられる。
交換用矢板部材23は、作用する曲げモーメントやせん断力が小さい鋼矢板10の上端部10aや下端部10bに配置されている。そのため、地中連続壁3を構築するうえで隣り合う組合せ鋼矢板1と連結する機能と、地中連続壁3として構築されたときに鋼矢板10の片面側から他面側に向けて土砂が漏れるのを防止する機能が発揮できればよい。そして、地中連続壁3としての剛性を負担する機能をもつ必要はない。これに対して、H形鋼30は、地中連続壁3としての剛性を確保できるように、その板厚等の寸法について調整されている必要がある。
ただ、本実施形態の変形例として図9A及び図9Bに示す構成の連続地中壁3では、切断面74より端部側での剛性が向上するので好ましい。この変形例では、交換用矢板部材23が鋼矢板10の上端部10aや下端部10bに配置されていることや、交換用矢板部材23が全て短尺矢板部材、そして交換用矢板部材23以外が長尺矢板部材として構成されていることなどが、上記と同じである。しかし、連続地中壁3を構築する際に、交換用矢板部材23の上記長手方向の長さが異なる組合せ鋼矢板1を交互に配置していることが上記と異なる。具体的には、図9A及び図9Bに示すように、連続地中壁3が、長手方向の長さが異なる交換用矢板部材23xと23yとを有する組合せ鋼矢板1を複数有し、これらの長手方向の長さが異なる交換用矢板部材23xと23yとを有する組合せ鋼矢板1が互いに隣り合い、これらの互いに隣り合う各組合せ鋼矢板1の継手11を互いに連結して構築されてもよい。例えば、図9Bに示す構成の連続地中壁3では、交換用矢板部材23xよりも長手方向の長さが短い交換用矢板部材23yを有する組合せ鋼矢板1が、交換用矢板部材23xを有する組合せ鋼矢板1に隣り合って連結されている。矢板部材21と交換用矢板部材23x及び23yとの境界部74は応力集中が発生する可能性があり、加えて組合せ鋼矢板1の上端部10aや下端部10bでの剛性が低下する主な原因となる。(上端部10aや下端部10bでは交換用矢板部材23と矢板部材21との間で力が伝達されないため、ハット形鋼矢板を構造部材として考慮することができない。)図9A及び図9Bに示す連続地中壁3では、隣り合う組合せ鋼矢板1間で境界部74が連続することがない。そして、境界部74が隣り合う組合せ鋼矢板1の継手11と篏合されているので、応力集中が生じにくい。また、例えば交換用矢板部材23yのように、境界部74を端部よりに配置した鋼矢板10は、ハット形鋼矢板の断面を考慮できる部分が長くなり、上端部10aや下端部10bでの剛性が好ましく向上する。
本実施形態では、接合ボルト41が、交換用矢板部材23の外面23a側にボルト頭部42が位置するように配置されている。これにより、後述のように、交換用矢板部材23の着け外し作業時における作業性の向上を図ることが可能となる。接合ボルト41は、この他にも、交換用矢板部材23の内面23b側にボルト頭部42が位置するように配置されていてもよい。
本実施形態では、接合ボルト41が、交換用矢板部材23の外面23aに対して固定されている。このように接合ボルト41を固定するための手段としては、例えば、以下に説明するような固定治具51や溶接部W等が用いられる。
固定治具51は、交換用矢板部材23の外面23aに対して重ね合わせられて設けられている。固定治具51は、鋼製材料等の金属材料の他、樹脂材料等から構成されるものである。
固定治具51は、接合ボルト41のボルト頭部42に応じた形状の嵌合孔53が形成されている。接合ボルト41は、そのボルト頭部42が固定治具51の嵌合孔53に嵌合されるように配置される。固定治具51の嵌合孔53は、接合ボルト41が回転しようとしたときに、その接合ボルト41の外周面が嵌合孔53の内周面に係合可能な形状に形成されている。本実施形態では、接合ボルト41のボルト頭部42が六角柱状に形成されていることから、固定治具51の嵌合孔53が六角形状に形成されている。
また、固定治具51の嵌合孔53は、その内側に嵌合された接合ボルト41の軸方向の動きが、ボルト頭部42の外周面と嵌合孔53の内周面との摩擦により拘束されるように、そのボルト頭部42の外周面と嵌合孔53の内周面とが接触した状態になっている。接合ボルト41の軸方向の動きを拘束するうえでは、この他にも、固定治具51の嵌合孔53を外側から閉塞するキャップ等を設置することとしてもよい。
これらにより、接合ボルト41は、その回転や軸方向の動きが拘束されるように交換用矢板部材23の外面23aに対して固定される。本実施形態の固定治具51は、接合ボルト41とともに一体的に回転しないように、自身に形成された複数の嵌合孔53のそれぞれに異なる接合ボルト41のボルト頭部42が嵌合される。固定治具51が接合ボルト41とともに一体的に回転しないようにするうえでは、この他にも、固定治具51を交換用矢板部材23の外面23aに対して溶接等により接合することとしてもよい。
この他に、接合ボルト41をその回転が拘束された状態で固定する手段としては、図11A、及び図11Bに示すように、接合ボルト41を交換用矢板部材23の外面23aに対して溶接部Wにより固定する手段が挙げられる。
接合ボルト41は、交換用矢板部材23の外面23aに対して固定された構成とされることにより、後述のように、交換用矢板部材23の着け外し作業時における作業性の向上を図ることが可能となる。
次に、本実施形態に係る組合せ鋼矢板1を用いて地中連続壁3を構築する方法や、その組合せ鋼矢板1の再利用方法について説明する。
まず、作業現場となる箇所まで組合せ鋼矢板1を運搬する。このとき、交換用矢板部材23と、交換用矢板部材23を取り外した組合せ鋼矢板1とは、それぞれ別々に現地まで運搬してもよいし、予め工場等で一体化したものを現地まで運搬してもよい。
次に、複数の組合せ鋼矢板1を用いて地中に地中連続壁3を構築する。この地中連続壁3の構築方法については、特に限定するものではなく、公知の方法を適宜用いればよい。この地中連続壁3の構築方法の一例を説明する。まず、地中に先行して組合せ鋼矢板1を打設する。続いて、先行の組合せ鋼矢板1の鋼矢板10の継手11と後行の組合せ鋼矢板1の鋼矢板10の継手11とを互いに嵌合させて連結させた状態で、後行の組合せ鋼矢板1を地中に打設する。この作業を繰り返すことにより、図5A、図5B、及び図6に示すように、地中連続壁3が構築される。
地中連続壁3を構築した後は、地中連続壁3の用途に応じて必要となる後工程を行う。以下では、本実施形態に係る地中連続壁3を仮設用土留め壁として用いて地下構造物を構築する場合を例に、その後工程について説明する。この場合、図12に示すように、地下構造物5の構築位置を取り囲むように予め地中連続壁3を打設する。そして、複数の地中連続壁3により囲まれた範囲内の地盤を開削した後、相対向する地中連続壁3間に上下方向に複数段に亘り切梁7を架設し、その後に地下構造物5を構築して作業が完了する。
地下構造物5を構築した後は、地中連続壁3を構成する複数の組合せ鋼矢板1を地中から引き抜いて撤去する。組合せ鋼矢板1の引き抜き作業は、バイブロハンマー等の公知の駆動装置により行なわれる。地中連続壁3を上述のように仮設用土留め壁として用いた場合は、組合せ鋼矢板1を引き抜くうえで、まず、切梁7を撤去し、その後に地中連続壁3と地下構造物5との間を掘削土等により埋め戻してから、組合せ鋼矢板1を地中から引き抜く。
組合せ鋼矢板1を引き抜いた後は、その引き抜いた組合せ鋼矢板1から既設の交換用矢板部材23を取り外す。既設の交換用矢板部材23を取り外す場合、既設の交換用矢板部材23のうち、変形、損傷が大きい既設の交換用矢板部材23のみを取り外すこととしてもよい。例えば図5Aに示す組合せ鋼矢板1では、既設の交換用矢板部材23の取り外しを、H形鋼30に対して交換用矢板部材23をボルト接合している接合ボルト41及び接合ナット45を互いに緩めて取り外すことにより行う。この他、H形鋼30と交換用矢板部材23とが溶接部Wにより接合される場合、溶接部Wを切断することで交換用矢板部材23をH形鋼30から取り外してもよい。
このように交換用矢板部材23を着け外しする着け外し作業時に、図13A、図13B、及び図14に示すように、交換用矢板部材23の外面23aが下向きとなるようにした状態で、組合せ鋼矢板1を地面8上に載置させることが好ましい。これにより、組合せ鋼矢板1を地面8上に安定した状態で載置させて、その変形を抑えることが可能となる。
また、一般には、接合ボルト41及び接合ナット45を互いに緩めて取り外す場合、それらの一方を固定した状態のまま、トルクレンチのような工具等を用いて他方を回転させることにより緩めることになる。しかしながら、上述のように交換用矢板部材23の着け外し作業をする場合、鋼矢板10と地面8との間の空間9に手を差し込んで、接合ボルト41及び接合ナット45の一方を固定する作業を行うことが困難となる。このため、この場合、地面8上に載置させた組合せ鋼矢板1の上側にある接合ボルト41及び接合ナット45の一方を仮止め溶接等により固定する固定作業をしてから、その組合せ鋼矢板1を上下逆にする反転作業を行う必要が生じる。また、通常、地中から組合せ鋼矢板1を引き抜いた後に付着したままとなっている土砂を、接合ボルト41及び接合ナット45の周囲から取り除く作業が必要となる。上記の反転作業を行う場合は、その土砂の取り除き作業を接合ボルト41及び接合ナット45の両方について行う必要が生じる。
このような問題の解決を図る観点から、本実施形態に係る組合せ鋼矢板1は、接合ボルト41が交換用矢板部材23の外面23aに対して固定されている。これにより、交換用矢板部材23の着け外し作業をする場合に、組合せ鋼矢板1の反転作業を行うことなく交換用矢板部材23の内面23b側から作業を行うのみでよい。つまり、接合ボルト41及び接合ナット45の一方を他方から緩めて取り外すことが可能となり、その着け外し作業時の作業性の向上を図ることが可能となる。また、土砂の取り除き作業についても、接合ボルト41及び接合ナット45の一方について行うのみで足りるので、その点からも作業性の向上を図ることが可能となる。なお、交換用矢板部材23の外面23aに対しては接合ボルト41ではなく接合ナット45を配置し、その接合ナット45を交換用矢板部材23の外面23aに溶接等により固定してもよい。
また、交換用矢板部材23の外面23a側にボルト頭部42が位置するように配置されていれば、図示のように組合せ鋼矢板1を配置した場合に、接合ボルト41より小さい接合ナット45の着け外し作業を行うのみで交換用矢板部材23の着け外し作業を行うことが可能となる。そのため、その着け外し作業時の更なる作業性の向上を図ることが可能となる。
組合せ鋼矢板1から既設の交換用矢板部材23を取り外した後は、交換用矢板部材23以外の既設の矢板部材21を既設のH形鋼30に対して取り付けたまま、その組合せ鋼矢板1を再利用する。組合せ鋼矢板1を再利用するうえでは、例えば、交換用矢板部材23を取り外した状態の組合せ鋼矢板1を保管しておく。そして、地中連続壁3の構築が必要となったときに、その現地まで組合せ鋼矢板1を運搬し、その組合せ鋼矢板1に新しい交換用矢板部材23を取り付ける等して再利用する。このとき、新しい交換用矢板部材23を再利用する組合せ鋼矢板1に取り付ける必要があるが、その取り付けるタイミングは、組合せ鋼矢板1の保管時であってもよいし、組合せ鋼矢板1を現地まで運搬した後であってもよい。また、この他にも、組合せ鋼矢板1から交換用矢板部材23を取り外した後、その作業現場で新しい交換用矢板部材23を取り付けて組合せ鋼矢板1を再利用してもよい。
上記した、本実施形態に係る組合せ鋼矢板1の再利用方法についてまとめる。本実施形態に係る組合せ鋼矢板1の再利用方法は、地中連続壁3を構成する組合せ鋼矢板1を地中から引き抜く工程と、この組合せ鋼矢板1から交換用矢板部材23を取り外す工程と、この交換用矢板部材23を取り外した上記組合せ鋼矢板1に対し、他の交換用矢板部材23を取り付ける工程とを有する。
以上の本実施形態によれば、鋼矢板10の特に変形、損傷し易い箇所のみを交換することが可能となり、組合せ鋼矢板1を再利用して地中連続壁を構築する場合に、鋼材使用量を抑えることにより構築コストの低減を図ることが可能となる。
また、鋼矢板10を部分的に交換するのみで組合せ鋼矢板1を再利用することが可能となるので、交換用矢板部材23の着け外し作業に要する作業時間の短縮を図ることが可能となる。また、接合ボルト41及び接合ナット45の着け外し作業をするのみで交換用矢板部材23を交換できるので、交換用矢板部材23の着け外し作業に要する作業時間の短縮を図ることが可能となる。
また、新しい交換用矢板部材23を組合せ鋼矢板1の保管場所や作業現場に運搬するのみで、組合せ鋼矢板1を再利用することが可能となる。この交換用矢板部材23は、組合せ鋼矢板1の全長に対して短尺であるうえ、積み重ねて運搬等することが可能であるため、その運搬作業時の作業性の向上を図ることが可能となる。
次に、本実施形態に係る交換用矢板部材23の好ましい寸法条件について説明する。
本発明者は、実際に、例えば図26A、図27Aに示すような従来の組合せ鋼矢板101を用いて地中連続壁103を構築し、その後に地中連続壁103を構成する組合せ鋼矢板101を引き抜き、引き抜いた組合せ鋼矢板101の鋼矢板110がどの程度変形しているか確認する確認試験を行うこととした。確認試験では、組合せ鋼矢板101の嵌合性、打設性に最も影響する鋼矢板110の全幅W1と、鋼矢板110の継手111の開口幅W2とを測定対象とした。これらの測定対象については、組合せ鋼矢板101の地中への打設前と、地中からの引き抜き後とのそれぞれの全幅W1、開口幅W2を測定した。確認試験では、組合せ鋼矢板101の鋼矢板110として、全幅936mm(有効幅900mm)、有効高さ230mm、板厚さ10.8mmである型式10Hのハット形鋼矢板を用いた。また、確認試験では、組合せ鋼矢板101のH形鋼130として、桁高700mm、桁幅200mm、ウエブ厚9mm、フランジ厚16mmのものを用いた試験体Iと、桁高900mm、桁幅250mm、ウエブ厚16mm、フランジ厚19mmのものを用いた試験体IIとについて、確認試験を行なうこととした。試験体I、試験体IIのそれぞれの鋼矢板10は、その長手方向の長さLがそれぞれ15m、14.5mのものを用いた。
図15A、図15Bは、その確認試験により求められた全幅W1と鋼矢板110の上端からの距離との関係を示す図である。図16A、図16Bは、継手開口幅W2と鋼矢板110の上端からの距離との関係を示す図である。なお、全幅W1については、引き抜き後に、+10mmかつ−5mmの範囲、つまり931mm〜946mmの範囲内であることを許容できる基準とした。その許容値についても図15A及び図15Bに示す。
図15A及び図15Bに示すように、組合せ鋼矢板101の地中への打設、引き抜きをすることによって、鋼矢板110の長手方向の上端110fや下端110dでの全幅W1が、上記許容値を上回るほど変形が大きくなることが確認できた。また、図16A及び図16Bに示すように、鋼矢板110の継手開口幅W2については、鋼矢板110の長手方向の下端110dで変形が著しく大きくなることが確認できた。また、これらの変形は、上端110fについては施工位置や傾斜の調整を目的にバイブロハンマ等の施工機械で把持したまま水平方向に動かすために生じるものであり、下端110dについては鋼矢板110の凹部に入り込む土の土圧によって広がるために生じるものであり、鋼矢板110の長手方向の長さLに対して、上端110f、下端110dのそれぞれから0.2×Lの位置よりも端部側で発生する傾向がある。このため、地盤条件等にも影響するが、その上端110f、下端110dのそれぞれから0.2×Lの範囲で、主に上記許容値を上回る変形が発生すると考えられる。
これらの結果から、交換用矢板部材23の好ましい長さ寸法について以下に示す条件を設定した。具体的には、交換用矢板部材23は、図2A及び図2Bに示すように、その長手方向の長さLが、鋼矢板10の長手方向の長さLに対して、0.2倍以下(20%以下)の長さに形成されていることが好ましい。これにより、鋼矢板10の変形が起き難い箇所(矢板部材21)は極力残しつつ、変形し易い箇所(交換用矢板部材23)のみを交換することが可能となる。そのため、組合せ鋼矢板1を再利用する場合に、鋼材使用量をより効果的に抑えることが可能となる。また、長さLの下限値については、特に限定するものではない。しかし、長さLが50cm未満であると交換用矢板部材23の成形時に変形が生じて形状不良となり易い傾向がある。このため、長さLは、そのような変形を抑える観点から、50cm以上とすることが好ましい。つまり、交換用矢板部材23の上記長手方向の長さLが、50cm以上であり、かつ鋼矢板10の上記長手方向の長さLに対して0.2倍以下(20%以下)であることが好ましい。なお、鋼矢板10は、例えば、その長手方向の長さLが10m〜50mのものが用いられる。
また、交換用矢板部材23が鋼矢板10の上端部10a及び下端部10bの両方に設けられている場合、その上端部10a及び下端部10bの両方の交換用矢板部材23が、それぞれの長手方向の長さLが略同一の長さに形成されていることが好ましい。これにより、鋼矢板10の上端部10a及び下端部10bのそれぞれで、同一の交換用矢板部材23を用いることが可能となり、交換用矢板部材23の管理を容易にすることが可能となる。
次に、本実施形態に係る組合せ鋼矢板1の他の特徴について説明する。
H形鋼30は、図3B、図4Bに示すように、交換用矢板部材23が重ね合わせられるフランジ部33(H形鋼フランジ部)の端部33aに複数のボルト挿通孔34が穿孔されていることが好ましい。この複数のボルト挿通孔34は、新たな交換用矢板部材23をH形鋼30に対してボルト接合するときに、そのボルト接合するための接合ボルト41の本数を、その複数のボルト挿通孔34の数の範囲内で調整できるように設けられている。そのため、H形鋼30に対する交換用矢板部材23の接合強度を調整することが可能となる。具体的には、組合せ鋼矢板1が、接合ボルト41及び接合ナット45を複数有し、H形鋼30が、フランジ部33に交換用矢板部材23を接合する接合ボルト41が挿通される複数のボルト挿通孔34を有し、接合ボルト41及び接合ナット45の数がボルト挿通孔34の数以下であり、そして、接合ボルト41及び接合ナット45の本数を、ボルト挿通孔34の数の範囲内で調整することにより、H形鋼30と交換用矢板部材23とを接合する強度を調整することが好ましい。これにより、新たな交換用矢板部材23をH形鋼30に対してボルト接合するときに、H形鋼30に対して新たにボルト挿通孔34を穿孔することなく必要な接合強度を確保することが可能となる。
即ち、一回目の組合せ鋼矢板1の利用時に、例えば、必要な接合強度を確保するために6本の接合ボルト41が必要であり、二回目の組合せ鋼矢板1の利用時に、必要な接合強度を確保するために8本の接合ボルト41が必要であるとする。この場合、H形鋼30のフランジ部33の端部33aに予め8個以上のボルト挿通孔34が穿孔されていれば、一回目、二回目の何れの利用時にも、H形鋼30に対して新たなボルト挿通孔34を穿孔することなく必要な接合強度を確保することが可能となる。
このような観点から、複数のボルト挿通孔34は、H形鋼30と交換用矢板部材23との接合に用いられる接合ボルト41の本数、位置について様々なバリエーションに対応できるよう、そのボルト挿通孔34間の間隔について可能な限り小さくしておくことが好ましい。
因みに、本実施形態に係る複数のボルト挿通孔34は、長手方向に略一定の間隔を空けて列状をなし、この列状のボルト挿通孔34が複数列、穿孔されている。このとき、複数のボルト挿通孔34に挿通される接合ボルト41は、図17Aに示すように、鋼矢板10の板幅方向に並んで配置されたものを一組として、長手方向に等間隔を空けた位置のボルト挿通孔34に挿通されていてもよい。また、図17Bに示すように、接合ボルト41が、鋼矢板10の板幅方向で隣り合わないように、使用するボルト挿通孔34をずらして千鳥状(複数列で互い違いに配置される状態)になるように挿通されてもよい。
また、ここでいう必要な接合強度とは、組合せ鋼矢板1を用いて仮設土留め壁(地中連続壁3)を構築した際に、鋼矢板10の上端部10aや下端部10bに土圧、水圧により作用する曲げモーメント、せん断力に対して十分に抵抗できる接合強度のことである。この曲げモーメント、せん断力は、設計等により導出される。この曲げモーメント、せん断力は、地中に打設される組合せ鋼矢板1の周囲の地盤条件や、切梁7等の構造条件に応じて様々に変化する。例えば、本実施形態に係る地中連続壁3のように、切梁式土留め壁として用いる場合、鋼矢板10の上端部10a及び下端部10bのそれぞれに作用する曲げモーメントが小さくなり、H形鋼30の剛性のみで土圧に抵抗することが可能となる場合が多い。このため、このような場合、交換用矢板部材23からH形鋼30が離脱しない程度の接合強度が確保されるように、接合ボルト41の本数が調整される。
なお、このようにH形鋼30に対する交換用矢板部材23の接合強度を調整する観点からは、図18A〜図18Cに示すように、交換用矢板部材23とこれに隣り合う他の矢板部材21との片面又は両面間に亘って補強板61が架設された構造にすることとしてもよい。これにより、交換用矢板部材23と他の矢板部材21との一体性を向上させることができるため、交換用矢板部材23を取り付けた部分についても、組合せ鋼矢板1の全断面の断面性能を期待できる。また、上記したように、図9A及び図9Bに示す構成の連続地中壁3では、互い隣り合う組合せ鋼矢板1間で境界部74が連続することがなく、境界部74が隣り合う組合せ鋼矢板1の継手11と篏合されているので、上端部10aや下端部10bでの接合強度が好ましく向上する。
この補強板61は、鋼製材料等の金属材料や合成樹脂材料から構成される。補強板61は、図18A〜図18Cに示す本実施形態の変形例にて、長手方向に隣り合う交換用矢板部材23と他の矢板部材21との一対のフランジ部15の両面に架設されている。補強板61は、交換用矢板部材23や他の矢板部材21に対して、図示のようにボルト接合により接合されたり、隅肉溶接等の溶接部Wにより接合される。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る組合せ鋼矢板1について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
本実施形態に係る組合せ鋼矢板1は、図19〜図21Bに示すように、交換用矢板部材23とこれに隣り合う他の矢板部材21との間の境界部74に、膨潤性止水材72である止水層71が設けられている。具体的には、交換用矢板部材23と矢板部材21との間(境界部74)に、膨潤性止水材72を含む止水層71が設けられている。この止水層71は、交換用矢板部材23とこれに隣り合う他の矢板部材21との互いに対向する対向面22の何れか一方又は両方に膨潤性止水材72を塗布等することにより設けられる。膨潤性止水材72は、例えば、ウレタン樹脂を主成分とするものであり、地中の水分を吸水することにより膨張し、高い止水性を発揮することを可能とするものである。
これにより、地中連続壁3の構築時に、矢板部材21と交換用矢板部材23と間の境界部74より、上側に地下水位73がある場合でも、その境界部74からの漏水を止水層71により防止することが可能となる。
このような観点から、止水層71は、本実施形態に係る組合せ鋼矢板1を仮設用土留め壁として用いる場合、漏水が発生し得る矢板部材21と交換用矢板部材23と間の複数の境界部74のうち、掘削側に露出する箇所にのみ設けてもよい。図19に示す例で説明すると、長手方向に二つある境界部74のうち、上端部10a側の境界部74にのみ止水層71を設ければよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る組合せ鋼矢板1について説明する。
本実施形態に係る組合せ鋼矢板1は、図22に示すように、固定治具51の嵌合孔53の構造が第1実施形態に係る組合せ鋼矢板1と相違している。本実施形態に係る固定治具51の嵌合孔53は、その嵌合孔53の貫通方向のH形鋼30側から交換用矢板部材23側にかけて順に、接合ボルト41のボルト軸部43が挿通される小径孔部53aと、小径孔部53aより大径に形成された大径孔部53bと、小径孔部53aと大径孔部53bとの間に形成された孔底面53cとを有している。大径孔部53bには、接合ボルト41のボルト頭部42又は接合ナット45が挿通され、その接合ボルト41のボルト頭部42又は接合ナット45の外周面が係合可能な形状にその内周面が形成されている。孔底面53cは、接合ボルト41又は接合ナット45の何れか一方に対して他方が螺合されたときに、その接合ボルト41のボルト頭部42又は接合ナット45の何れか一方の底面が当接される。これにより、接合ボルト41及び接合ナット45の一方の締め付けにより、接合ボルト41のボルト頭部42又は接合ナット45の一方と、交換用矢板部材23との間に、固定治具51が挟み付けられて固定されることになる。これにより、固定治具51を交換用矢板部材23の外面23aに溶接、接着、磁着等により接合することが不要となる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る組合せ鋼矢板1について説明する。
本実施形態に係る組合せ鋼矢板1は、図23A及び図23Bに示すように、H形鋼30と交換用矢板部材23とが、溶接部Wにより接合される。具体的には、組合せ鋼矢板1が、H形鋼30及び交換用矢板部材23間を接合する溶接部Wをさらに備える。この接合方法のみが第1実施形態に係る組合せ鋼矢板1と相違している。その他の点は、例えば、組合せ鋼矢板1から損傷した交換用矢板部材23を交換することや、この組合せ鋼矢板1を用いて地中連続壁3を構築する方法や、地中連続壁3から組合せ鋼矢板1を引き抜いて再利用する方法などは、上記第1実施形態の場合と同様である。組合せ鋼矢板1から損傷した交換用矢板部材23を交換するには、長手方向の端部から境界部74までの溶接部Wを切断することで、交換用矢板部材23をH形鋼30から取り外す。そのため、交換用矢板部材23及びH形鋼30に対するボルト挿通孔34の穿孔を行う必要がない。また、固定治具51などを、交換用矢板部材23へ溶接などによって固定する必要がなく、接合ボルト41及び接合ナット45の締め付けを行う必要がない。このように、上記に要する作業時間の短縮が可能となる。また、図23A及び図23Bでは、矢板部材21及び交換用矢板部材23と、H形鋼30との接合が、組合せ鋼矢板1の長手方向に対して境界部74で断続しない溶接部Wの一例を示している。この他、矢板部材21及び交換用矢板部材23と、H形鋼30との接合が、組合せ鋼矢板1の長手方向に対して境界部74で断続する溶接部Wとしてもよい。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る組合せ鋼矢板1について説明する。
図24Aは、本発明の第5実施形態に係る組合せ鋼矢板1を用いた地中連続壁3を示す平面図である。図24Bは、図24Aに示す地中連続壁3の正面図である。本実施形態の組合せ鋼矢板1は、冷間圧延により成形された冷延鋼矢板である鋼矢板10を有する。この鋼矢板10は、上記第1実施形態のように、形状付与性が高い熱間圧延によって成型される熱延鋼矢板のような複雑形状とすることができない。しかし、本実施形態では、簡易な設備で製造可能な冷延鋼矢板を鋼矢板10として用いることができる。加えて、本実施形態でも、上記第1実施形態の各変形例を適用できる。そして、組合せ鋼矢板1の損傷した交換用矢板部材23を交換することや、この組合せ鋼矢板1を用いて地中連続壁3を構築する方法や、地中連続壁3から組合せ鋼矢板1を引き抜いて再利用する方法などは、上記第1実施形態の場合と同様である。
[第6実施形態]
図25Aは、本発明の第6実施形態に係る組合せ鋼矢板1を用いた地中連続壁3を示す平面図である。図25Bは、図25Aに示す地中連続壁3に用いられている組合せ鋼矢板1を拡大した平面図である。図25Bに示すように、本実施形態では、鋼矢板10が、2つのZ形鋼矢板10xを有し、一方のZ形鋼矢板10xの継手11xと、他方のZ形鋼矢板10xの継手11yとを嵌合することで、長手方向に垂直な断面で見た場合の形状がハット形であるハット形鋼矢板として構成されている。このZ形鋼矢板10xは、上記断面で見た場合に、板幅方向の両端部の継手11xと継手11yとが同一形状でない。一方のZ形鋼矢板10xに対して、他方のZ形鋼矢板10xを反転させて、互いの継手11xと継手11yとを嵌合することで、形状がハット形である鋼矢板10とする。本実施形態でも、上記第1実施形態の各変形例を適用できる。そして、組合せ鋼矢板1の損傷した交換用矢板部材23を交換することや、この組合せ鋼矢板1を用いて地中連続壁3を構築する方法や、地中連続壁3から組合せ鋼矢板1を引き抜いて再利用する方法などは、上記第1実施形態の場合と同様である。
以上、上記各実施形態について詳細に説明したが、前述した各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらのみによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
次に、本発明の上記態様の効果を実施例により説明する。
本実施例では、図26A、図27Aに示すような従来の組合せ鋼矢板101を用いた例(以下、比較例)と、例えば図1A〜図2Bに示すような組合せ鋼矢板1を用いた例(以下、発明例という。)とについて、鋼矢板10及び110を繰り返し交換したときの鋼材使用量について調査した。比較例及び発明例の両方で用いた組合せ鋼矢板1及び101は、鋼矢板10及び110として、全幅936mm(有効幅900mm)、有効高さ230mm、板厚さ10.8mmである型式10Hのハット形鋼矢板を用いた。そして、H形鋼30及び130として、桁高700mm、桁幅200mm、ウエブ厚9mm、フランジ厚19mm、長手方向の長さ18mであるものを用いた。発明例で用いた鋼矢板10は、鋼矢板10の上端部10a及び下端部10bの両方の交換用矢板部材23の長手方向の長さLが、鋼矢板10の長手方向の長さLの20%(0.2倍)となるように形成されたものを用いた。
発明例及び比較例のそれぞれについて、合計4回の交換作業を行った。発明例では、一回の交換作業毎に、鋼矢板10の上端部10a及び下端部10bの両方の交換用矢板部材23を交換する条件(以下、発明例1)と、鋼矢板10の下端部10bの交換用矢板部材23のみを交換する条件(以下、発明例2)とのそれぞれについて、鋼材使用量を調査した。比較例では、一回の交換作業毎に、組合せ鋼矢板101の鋼矢板110を交換する条件で、鋼材使用量を調査した。
表1に、発明例1及び比較例のそれぞれに関する累積鋼材使用量を示す。表2に、発明例2及び比較例のそれぞれでの累積鋼材使用量を示す。
Figure 0005413541
Figure 0005413541
表1に示すように、合計四回の再利用した場合、発明例1が、比較例より累積鋼材使用量を31%も低減させることが可能となる。また、表2に示すように、鋼矢板10の下端部10bの交換用矢板部材23のみを交換する条件では、発明例2が、比較例より累積鋼材使用量を42%も低減させることが可能となる。これらの結果から、本発明の上記態様により、従来と比較して、組合せ鋼矢板1を再利用するうえで鋼材使用量を大きく抑えることが可能であることが確認できる。
本発明の上記態様によれば、鋼矢板の特に変形及び損傷し易い箇所のみを交換することが可能な組合せ鋼矢板、その地中連続壁、及び組合せ鋼矢板の再利用方法の提供が可能となるので、産業上の利用可能性が高い。
1 組合せ鋼矢板
3 地中連続壁
10 鋼矢板
11 継手
13 ウエブ部(鋼矢板ウエブ部)
15 フランジ部(鋼矢板フランジ部)
17 アーム部
21 矢板部材
23 交換用矢板部材
30 H形鋼
31 ウエブ部(H形鋼ウエブ部)
33 フランジ部(H形鋼フランジ部)
34 ボルト挿通孔
41 接合ボルト
45 接合ナット
51 固定治具
53 嵌合孔
61 補強板
71 止水層
72 膨潤性止水材
74 境界部
W 溶接部

Claims (9)

  1. 鋼矢板とH形鋼とを備える組合せ鋼矢板であって、
    前記鋼矢板が、長手方向に対して垂直に分割される複数の矢板部材を有し;
    前記長手方向の少なくとも一方の端部の前記矢板部材が、前記H形鋼に対して着脱可能な交換用矢板部材である;
    ことを特徴とする組合せ鋼矢板。
  2. 前記長手方向に垂直な断面で見た場合に、前記鋼矢板が、ウェブ部の両端に設けられた一対の鋼矢板フランジ部と、前記鋼矢板フランジ部の先端に設けられたアーム部と、そのアーム部の先端に設けられた継手とを有し、形状がハット形のハット形鋼矢板であることを特徴とする請求項1に記載の組合せ鋼矢板。
  3. 前記交換用矢板部材の前記長手方向の長さが、50cm以上であり、かつ前記鋼矢板の前記長手方向の長さに対して0.2倍以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の組合せ鋼矢板。
  4. 前記H形鋼及び前記交換用矢板部材間を接合する接合ボルトをさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組合せ鋼矢板。
  5. 前記接合ボルトを複数有し;
    前記H形鋼が、H形鋼フランジ部に前記交換用矢板部材を接合する前記接合ボルトが挿通される複数のボルト挿通孔を有し;
    前記接合ボルトの数が前記ボルト挿通孔の数以下である;
    ことを特徴とする請求項4に記載の組合せ鋼矢板。
  6. 前記H形鋼及び前記交換用矢板部材間を接合する溶接部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組合せ鋼矢板。
  7. 前記交換用矢板部材と前記矢板部材との間に、膨潤性止水材を含む止水層が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ鋼矢板。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の組合せ鋼矢板を複数有し、互いに隣り合う前記各組合せ鋼矢板の前記継手を互いに連結して構築されたことを特徴とする地中連続壁。
  9. 請求項8に記載の地中連続壁を構成する前記組合せ鋼矢板を地中から引き抜く工程と;
    前記組合せ鋼矢板から前記交換用矢板部材を取り外す工程と;
    前記交換用矢板部材を取り外した前記組合せ鋼矢板に対し、他の前記交換用矢板部材を取り付ける工程と;
    を有することを特徴とする組合せ鋼矢板の再利用方法。
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