JP5412234B2 - 歯ブラシ - Google Patents
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Description
こうした問題に対し、特定の硬さのエラストマー樹脂を基台に被覆し、植毛穴の周縁部をエラストマー樹脂で構成した歯ブラシが提案されている(例えば、特許文献1)。この歯ブラシは、基台より硬度が低いエラストマー樹脂で周縁部を構成することで、刷掃時における刷毛の基部への応力の緩和により、毛折れの抑制が図られている。
また、例えば、植毛穴の周縁部に面取りが施された歯ブラシが提案されている(例えば、特許文献2)。この歯ブラシは、刷掃時における刷毛の基部への応力の緩和により、毛折れの抑制が図られている。
また、特許文献2のように、植毛穴の周縁部に面取りを施した場合、面取りを施した部分に歯磨粉が残存する等の問題があった。
そこで、本発明は、使用性、植毛強度を維持しつつ、刷毛の毛折れを防止できる歯ブラシを目的とする。
前記傾斜面は、C面であることが好ましく、前記C面は、C0.1〜0.8mmであることが好ましく、前記緩衝部は、前記基台上の厚さが0.1〜1.0mmであることが好ましく、前記植毛面には、複数本の刷毛を束ねた毛束が平板状の平線を用いて二つ折りに植設されていてもよい。
本発明によれば、傾斜面がC面とされているため、刷毛の基部の応力を緩和し、毛折れを防止できる。
本発明によれば、C面がC0.1〜0.8mmとされているため、毛折れ防止効果及び植毛強度のさらなる向上が図れる。
本発明によれば、緩衝部は、基台上の厚さが0.1〜1.0mmであるため、毛折れ防止効果のさらなる向上が図れる。
本発明によれば、植毛面には、複数本の刷毛を束ねた毛束が平線を用いて植設されていても、植毛強度を確保できる。
図3に示すように、植毛穴4には、複数本の刷毛10からなる毛束12が、二つ折りにされその間に挟まれた平線14により固定されている。ここで、符号13は、毛束12における植毛穴4に挿入された部分である基部を示す。
また、緩衝部30の外周縁である境界部32は、アール面7の領域とされている。これにより、境界部32は、基台20の最外周部が形成するヘッド部2の輪郭よりも植毛面5方向の内側とされる。
緩衝部30の基台20上の厚さtは、植毛穴4の深さDや穴径d、刷毛10の材質等を勘案して決定でき、例えば、0.1〜1.0mmが好ましく、0.3〜0.8mmがより好ましく0.4〜0.7mmがさらに好ましく、0.5〜0.6mmが特に好ましい。0.1mm以上であれば、緩衝部30と基台20との接着性の向上が図れると共に、刷掃時における基部13への応力を緩和して毛折れを抑制でき、1.0mm以下であれば、歯ブラシ1の使用性を確保しながら、植毛穴4に植毛された刷毛10の植毛強度を保つことができる。加えて、上記範囲内であれば、成形時に緩衝部30を構成する樹脂の充填不足(ショートショット)を防止できる。
平線14の寸法及び形状は、植毛穴4の穴径d等を勘案して決定できる。また、植毛穴4に打ち込まれる平線14の長さは、特に限定されず、毛束12を保持することができ、かつ植毛時にブラシハンドルの割れや白化を発生しない長さとすることが好ましく、例えば植毛穴4の平線打ち込み方向の長軸長さよりも0.3〜0.5mm長くすることが好ましい。また、平線打ち込み角度は自由に選択できるが、割れや白化の発生を避けるためにブラシハンドルの長手方向に対して5〜80°の範囲とするのが好ましく、より好ましくは15〜30°である。また、平線打ち込み角度はすべての植毛穴4で同一である必要はなく、植毛穴4毎に異なる打ち込み角度としてもよい。
加えて、傾斜面22をC面とすることで、基台20と緩衝部30とはその接合面積が広くなって基台20と緩衝部30との接着力の向上が図れると共に、基部13への応力緩和の向上が図れる。
上述の実施形態では、基台穴周縁部の傾斜面がC面とされているが、この傾斜面は植毛穴の奥部に向かって漸次径が狭くなるものであればよく、その傾斜角は、植毛面を基準として例えば20〜70°、好ましくは30〜60°の範囲で決定できる。また、例えば、傾斜面はアール面とされていてもよい。ただし、毛折れ防止効果を向上させる観点からは、傾斜面はC面であることが好ましい。
表1の仕様に従い、図1に示す歯ブラシ1と同様の歯ブラシ(傾斜面22:C面)を作製した。基台を構成する一次樹脂にはPPを用い、緩衝部を構成する二次樹脂には、スチレン系エラストマー樹脂(硬度60)を用いた。PTT製(φ0.2mm)の刷毛を20本からなる毛束とし、植毛機(ZAHORANSKY社製)を用いて、該毛束を二つ折りにして平線と共に23個の植毛穴に打ち込んだ(250shot/min)。
作製した各例の歯ブラシについて、耐久性、植毛強度、ヘッド部強度及び使用性を評価し、その結果を表1に示す。
図1に示す傾斜面22に相当する面を植毛面に略平行な面とした以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
作製した歯ブラシについて、耐久性、植毛強度、ヘッド部強度及び使用性を評価し、その結果を表1に示す。
臼歯部歯列を想定した刷掃板(ステンレス鋼製)に対し、荷重400g、ストローク40mm、240rpmで往復刷掃し、各例の歯ブラシに毛折れが発生したときの刷掃回数を調べた。この刷掃回数を下記評価基準に分類して、耐久性を評価した。なお、往復刷掃に際しては、刷掃液として市販歯磨き剤の50質量%水溶液を用いた。
◎:15万回で毛折れ発生なし
○:10万回以上15万回未満で毛折れ発生
△:5万回以上10万回未満で毛折れ発生
×:5万回未満で毛折れ発生
1つの植毛穴中の毛束を専用器具によってつかみ、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を用いて植毛穴から毛束が抜けるまでの最大引張応力(N)を測定した(引張速度20mm/min、n=20)。この測定値を下記評価基準に分類して、植毛強度を評価した。なお、表中には、評価結果と共に測定値をカッコ内に記載した。
◎:25N以上
○:20N以上25N未満
△:15N以上20N未満
×:15N未満
各例の歯ブラシの植毛穴から出ている刷毛を切断し、ヘッド部の植毛面側を平滑にしたサンプルを用意した。このサンプルをデジタル衝撃試験機(DG−1型、株式会社東洋精機製作所製)に固定し、植毛面側から0.5Jで加重し、ヘッド部が破断したときの吸収エネルギー(J)を測定(n=10)した。この測定値を下記評価基準に分類し、ヘッド部強度を評価した。なお、表中には、評価結果と共に測定値をカッコ内に記載した。
◎:0.3J以上
○:0.2J以上0.3J未満
△:0.1J以上0.2J未満
×:0.1J未満
使用性は、10名の被験者が口腔内を清掃し、被験者の官能で評価した。具体的には、口腔内での操作性について、「操作性に問題はない」場合には3点、「ヘッド部がやや大きいと感じるが、操作性に問題はない」場合には2点、「操作性が悪い」場合には1点として評価した。この官能評価により得られた点数の平均点を下記評価基準に分類し、使用性を評価した。なお、表中には、評価結果と共に平均点をカッコ内に記載した。
◎:2.5点以上
○:2.0点以上2.5点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.5点未満
耐久試験、植毛強度、ヘッド部強度及び使用性(総じて、評価項目という)の評価結果を基に、下記評価基準に分類して、総合評価とした。
◎:耐久試験、植毛強度、ヘッド部強度の各評価が「○」又は「◎」でかつ「◎」が2つ以上であり、使用性の評価が「○」又は「◎」である。
○:耐久試験、植毛強度、ヘッド部強度の各評価が「○」又は「◎」でかつ「◎」が2つ以上であり、使用性の評価が「△」、又は、耐久試験、植毛強度、ヘッド部強度の各評価が「○」又は「◎」でかつ「◎」が1つ以下であり、使用性の評価が「△」〜「◎」である。
△:耐久試験、植毛強度、ヘッド部強度の各評価が「△」〜「◎」でかつ「△」が1つ以上であり、使用性の評価が「△」〜「◎」である。
×:評価項目のいずれかが「×」である。
一方、基台穴周縁部を傾斜面としない比較例1は、耐久性の点で劣るものであった。
2 ヘッド部
4 植毛穴
5 植毛面
20 基台
21 基台穴周縁部
22 傾斜面
30 緩衝部
42 穴周縁部
Claims (5)
- 刷毛が植設されるヘッド部が、植毛面に複数の植毛穴が形成されると共に、該植毛穴の周縁部が基台の材質より硬度の低い樹脂からなる緩衝部とされた歯ブラシにおいて、
前記基台における植毛穴の開口部側の周縁部には、該植毛穴の奥部方向に向かうに従い漸次径が狭まる傾斜面が形成され、
該傾斜面上を含む領域に前記緩衝部が形成されていることを特徴とする歯ブラシ。 - 前記傾斜面は、C面であることを特徴とする、請求項1に記載の歯ブラシ。
- 前記C面は、C0.1〜0.8mmであることを特徴とする、請求項2に記載の歯ブラシ。
- 前記緩衝部は、前記基台上の厚さが0.1〜1.0mmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
- 前記植毛面には、複数本の刷毛を束ねた毛束が平板状の平線を用いて二つ折りに植設されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
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JP2009242458A JP5412234B2 (ja) | 2009-10-21 | 2009-10-21 | 歯ブラシ |
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2009
- 2009-10-21 JP JP2009242458A patent/JP5412234B2/ja active Active
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