JP5410724B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents
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上記方法以外に、超音波を集合体基板に加えることで、上記浅溝に沿ってクラックを生じせしめ、集合体基板全体を一度に各単位電子素子に分割する単位電子素子の分割方法があった(例えば、特許文献1参照)
以上のような分割溝を外れた前記クラックや欠けが生じると、個片化された配線基板が所定の形状および寸法を満たしていなかったり、あるいは、表面に実装すべき電子部品のスペースが確保できなくなったり、更には、裏面に必要なサイズの端子電極が形成できなくなるおそれがあった。
即ち、本発明による配線基板の製造方法(請求項1)は、セラミックからなり且つ表面および裏面を有すると共に、複数の配線基板を縦横に隣接して配列しており、該複数の配線基板の間を上記表面および裏面に厚み方向に沿ってほぼ対称に形成した一対の分割溝によって区画した多数個取り基板を、弾性材を介してベース上に載置し、かかる多数個取り基板の表面に対し、ホーンの先端面を接触させた状態で超音波を付加することにより、上記一対の分割溝に沿って複数の配線基板に分割する工程を含む配線基板の製造方法であって、上記ホーンの先端面は、球面あるいは曲面である、ことを特徴とする。
また、多数個取り基板を形成する前記セラミックには、例えば、アルミナや窒化アルミニウムなどの高温焼成セラミックのほか、ガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックも含まれる。
更に、前記多数個取り基板の表・裏面にほぼ対称に形成した一対の分割溝は、断面ほぼV字形で、且つ表・裏面間で開口幅や深さに差があるか、あるいは、表・裏面に同じサイズのものが形成される。
また、前記弾性材は、ゴムまたは弾性を有する合成樹脂からなる。
加えて、前記多数個取り基板の表面とホーンとの間には、樹脂フィルムまたは紙からなる緩衝用シートを挟むことが望ましい。かかる緩衝用シートは、多数個取り基板の裏面と前記弾性材との間にも挟むことが望ましい。
上記ホーンの先端面が上記球面である形態によれば、多数個取り基板には、中心部を拘束し且つ周辺部をホーンの基部側に反らせる方向の負荷、あるいは、逆に周辺部を拘束し且つ中心部をホーンの基部側に反らせる方向の負荷が加えられる。一方、前記ホーンの先端面が前記曲面である形態によれば、多数個取り基板には、対向する一対の辺間の中心部を拘束し且つ一対の辺側をホーンの基部側に反らせる方向の負荷、あるいは、逆に対向する一対の辺側を拘束し且つ一対の辺間の中心部をホーンの基部側に反らせる方向の負荷が加えられる。その結果、上記各状態で前記ホーンから超音波が多数個取り基板に付加されると、該多数個取り基板の表・裏面にほぼ対称に形成された一対の分割溝に沿ってクラックが発生し、更にこれらのクラックが連続して繋がると共に、ホーンの球面あるいは曲面である先端面に沿って、分割されて隣接する配線基板同士の接触を抑制できる。
また、前記ホーンの先端面から多数個取り基板に付加される超音波は、周波数が16kHz以上、例えば、60kHzで且つ振幅が1〜100μm(例えば、40μm)である。
更に、超音波の加振時間は、約0.001〜約1秒の範囲である。
図1は、本発明における多数個取り基板Kを複数の配線基板sに分割する工程を示す概略図、図2は、図1中の一部拡大図である。
図1に示すように、本発明により分割される多数個取り基板Kは、鋼製などの硬いベースBの平坦な表面の上に、ゴムまたは樹脂からなる弾性材eを介して載置される。多数個取り基板Kの表面1上には、振動子Vと、その下側に連なり且つ先細形状のホーン本体hおよび先端面が多数個取り基板Kの表面1に向かって中心部が突出した球面h1であるホーンHとが昇降可能に配設されている。
因みに、多数個取り基板Kのサイズは、約50×50mmで且つ厚みが0.2〜1.0mmであり、分割溝c1,c2の深さは、前記厚みの10〜90%の範囲で適宜選択される。尚、個々の配線基板s内や隣接する配線基板s,s間には、予め、Wなどからなる内部配線や接続配線(何れも図示せず)が形成されている。
尚、多数個取り基板Kの裏面2側を保護するため、弾性材eと多数個取り基板Kとの間には、樹脂フィルムまたは紙からなる緩衝用シートp2が挟持される。同じく、多数個取り基板Kの表面1側を硬質のホーンHから保護するため、多数個取り基板KとホーンHとの間にも、上記同様の緩衝用シートp1が挟持される。
その結果、球面h1の突出した中央部が多数個取り基板Kの中央部を押圧するため、図4に示すように、多数個取り基板Kの中央部は、緩衝用シートp1,p2および弾性材eを介して、ホーンHとベースBとの間で拘束された。同時に、多数個取り基板Kの周辺部には、ホーンHの上方(基部)側に反らせる一定方向の負荷が加えられた。この際、緩衝用シートp1,p2も多数個取り基板Kと同様に弾性変形すると共に、弾性材eは、中央部が凹むように弾性変形した。
即ち、図6の左側に示す分割溝c1,c2付近に、前記ホーンHによる圧力が加えられると、図6の中央に示すように、表面1側の分割溝c1が狭くなり、且つ裏面2側の分割溝c2が広くなるように、多数個取り基板Kが撓んだ。この際、分割溝c1の表面1側において、隣接する配線基板s,sのエッジが互いに接触しないように、ホーン本体hの前記半径Rが大きく設定されている。
尚、半径Rが小さくなると、球面h1の突出した中央部のみが多数個取り基板Kの中央部を押圧し、周辺部は前記同様に反りつつも球面h1から僅かに離れるが、次述する超音波vを付加し、中央付近に位置する配線基板sから順次個片化する課程で、周辺部に位置する配線基板sにも球面h1が接触してゆくもの、と推定される。
更に、多数個取り基板Kにおける中心部付近から周辺部側に向かって順次分割された個々の配線基板sは、緩衝シートp1,p2を介して、ホーンHの本体hと弾性材eとに挟まれているので、隣接する配線基板sあるいは周辺の耳部mの破断面に接触しにくくなる。その結果、個々の配線基板sは、隣接する配線基板sや耳部mの破断面に接触ないし当接せず、欠けを生じなかった、ものと推定される。
従って、多数個取り基板Kを、分割溝c1,c2に沿って欠けがない複数の配線基板sに正確且つ迅速に分割でき、形状および寸法精度に優れた複数の配線基板sを同時に提供することができた。
予め、アルミナを主成分とする複数のグリーンシートを作成し、各グリーンシートにおいて配線基板sとなる領域にW粉末を含む導電性ペーストを充填ないし印刷して未焼成のビア導体および配線層を形成し、該複数のグリーンシートを積層・圧着して、複数個のグリーンシート積層体を得た。該複数のグリーンシート積層体における複数の配線基板s同士間およびこれらと周辺の耳部との間に、厚み方向に沿ってカッタを挿入し、平面視で格子形状の分割溝c1,c2を表・裏面1,2に形成した後、所定の温度帯で焼成した。その結果、縦横が50×50mm、厚みが0.6mm、表・裏面1,2の分割溝c1,c2の深さがそれぞれ0.15mmであり、同数の配線基板sを縦横に隣接して併有し、これらの周辺を囲む耳部mを有する多数個取り基板Kを200個製造した。
一方、残りの多数個取り基板Kを、前記同様にベースB上に弾性材eを介して載置し、先端面が平坦なホーンHの該平坦面を多数個取り基板Kの表面1に接触・押圧し、前記同じ条件で超音波vを付加して、複数の配線基板sと耳部mとに分割した。かかる分割工程を比較例である残り100個の多数個取り基板Kに対して行った。
その結果、実施例の100個の多数個取り基板Kからそれぞれ分割された複数の配線基板sの各側面には、欠けが発見されなかった。一方、比較例の100個の多数個取り基板Kからそれぞれ分割された複数の配線基板sの各側面には、欠けが見つかった。該欠けを生じたのは、8個(8%)の多数個取り基板Kであった。
一方、比較例の多数個取り基板Kでは、前記ホーンHの平坦な先端面が表面1全体に接触・加圧された状態で、前記超音波vが加えられたため、各多数個取り基板Kの表・裏面1,2における任意の位置の分割溝c1,c2に沿ってクラックkを生じたほか、分割溝c1,c2から外れた位置でもクラックkが発生したり、更に、分割されて隣接する配線基板s,sが、互いの側面で接触・衝突したことによって、側面の欠けが生じた、ものと推定される。
以上のような実施例の製造方法によって、本発明の優位性が容易に理解された。
上記球面h2を有するホーンHを前記同様に用いた場合、多数個取り基板Kには、その周辺部を拘束し且つ中心部をホーンHの基部側に反らせる方向の負荷が加えられる。そのため、かかる状態でホーンHから超音波vが多数個取り基板Kに付加されると、該多数個取り基板Kの表・裏面1,2にほぼ対称に形成された一対の分割溝c1,c2に沿ってクラックkが発生し、更にこれらのクラックkが連続して繋がる。しかも、ホーンHの球面h2である先端面に沿うように倣うため、分割され且つ隣接する配線基板s,s同士が接触しにくくなる。
尚、前記半径Rが小さくなると、球面h2の突出した周辺部のみが多数個取り基板Kの周辺部を押圧し、中央部は前記同様に反りつつも球面h2から僅かに離れるが、超音波vを付加され、周辺付近に位置する配線基板sから順次個片化する課程で、中央部付近に位置する配線基板sにも球面h2が接触してゆくものと、推定される。
例えば、図8の斜視図に示すように、全体がほぼ四角柱を呈するホーン本体hの先端面には、該先端面において対向する一対の辺に沿って該2つの辺の中央部付近が、多数個取り基板Kの表面1に向かって突出するほぼ蒲鉾形状の曲面h3としても良い。かかる曲面h3を有するホーンHによっても、前記球面h1と同様の作用が、中央部付近から対向する一対の辺に向かって順次成され得る。
また、図9の斜視図に示すように、前記同様のホーン本体hの先端面には、該先端面において対向する一対の辺に沿って該2つの辺の中央部付近が、多数個取り基板Kの表面1に対し、中心部が凹み且つ対向する一対の辺が突出するほぼ逆蒲鉾形状の曲面h4としても良い。かかる曲面h4を有するホーンHによっても、前記球面h2と同様の作用が、対向する一対の辺付近から中央部に向かって順次成され得る。
更に、多数個取り基板Kの前記裏面2に前記ホーンHの先端面(h1〜h4)を接触させて、前記分割工程を行うようにしても良い。
加えて、ホーンHの先端面は、前記球面h1,h2あるいは曲面h3,h4などを呈するものであれば、底面視で正方形や長方形の矩形に限らず、円形、楕円形、長円形、五角形以上の正多角形あるいは変形多角形を呈するものでも良い。
2……………裏面(表面)
K……………多数個取り基板
s……………配線基板
c1,c2…分割溝
H……………ホーン
h1,h2…球面(先端面)
h3,h4…曲面(先端面)
v……………超音波
B……………ベース
e……………弾性材
Claims (2)
- セラミックからなり且つ表面および裏面を有すると共に、複数の配線基板を縦横に隣接して配列しており、該複数の配線基板の間を上記表面および裏面に厚み方向に沿ってほぼ対称に形成した一対の分割溝によって区画した多数個取り基板を、弾性材を介してベース上に載置し、かかる多数個取り基板の表面に対し、ホーンの先端面を接触させた状態で超音波を付加することにより、上記一対の分割溝に沿って複数の配線基板に分割する工程を含む配線基板の製造方法であって、
上記ホーンの先端面は、球面あるいは曲面である、
ことを特徴とする配線基板の製造方法。 - 前記ホーンの先端面は、前記多数個取り基板の表面に向かって、中心部が突出した球面または凹んだ球面、あるいは、対向する一対の辺に沿ってこれら2つの辺間の中央部が突出した曲面または凹んだ曲面である、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
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