JP5410052B2 - 硫酸鉄の生成抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明は硫酸鉄の生成抑制方法に関する。さらに詳しくは、t−ブチルアルコール、炭化水素および水からなる混合溶液に含まれる硫酸と炭素鋼の接触により生成する硫酸鉄の生成抑制方法である。
有機化成品の製造における反応器や蒸留塔等の機器および配管等の機材として、様々な金属材料が使用されている。主な金属材料として、炭素鋼、ステンレス鋼、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ニッケル合金、アルミニウム合金、銅合金およびチタン合金が知られている。これらの金属材料の内、炭素鋼は安価であること、溶接性に優れていること、および様々な熱処理ができることなどの特長があり、最もよく使用されている。
しかしながら、炭素鋼は硫酸と下記式(1)および下記式(2)で表される反応を起こすため、硫酸鉄が生成し、硫酸鉄が原因となる以下のような問題を度々起こした。
Figure 0005410052
硫酸鉄(II)七水和物は0℃の水100gに対し32.8g溶解し、更に50℃の水100gに対し149g溶解することができ、水に対しては非常に溶解性が高い(昭和化学株式会社、製品安全データシート)。一方、水に有機化合物が混合した溶液では硫酸鉄(II)七水和物の溶解性は著しく低下する。例えば、本発明者による試験によれば、t−ブチルアルコールと水の重量比率が85:15の混合溶液では、硫酸鉄(II)七水和物は50℃の混合溶液100gに対しわずか0.00026gしか溶解できない。したがって、反応器や蒸留塔等の機器や配管等の機材として炭素鋼を用いた有機化成品の製造設備において、t−ブチルアルコール等の有機化合物と水の混合溶液に、何らかの原因で微量の硫酸が混入すると、上記式(1)および上記式(2)の反応が起こってしまうため、反応器や蒸留塔等の機器および配管の中で硫酸鉄が析出し、機器や配管の閉塞などの問題を起こすことがあった。また、炭素鋼も消耗することから、炭素鋼を機材とする機器や配管等の減肉などの原因となり、機材の寿命を低下させる問題もあった。
有機化合物が含まれない水系における金属の腐食防止方法として、アニオン交換体との接触および低分子量ポリマーを添加する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、低分子量ポリマーの添加は、水系における金属の腐食防止方法として有効であるが、t−ブチルアルコール等の有機化合物を含む有機化成品の製造においては、有機化合物との分離が必要となり、分離操作や分離設備を設置する必要がある等の問題があった。
また、塩化物イオンおよび硫酸イオンの合計濃度を規定する方法が開示されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
しかし、これらの方法はいずれも水系における金属腐食防止方法であり、それらの方法で規定された濃度は非常に高いため、硫酸鉄が析出しやすいt−ブチルアルコール、炭化水素および水からなる混合溶液では、硫酸鉄の析出抑制は難しく、また炭素鋼の消耗も防ぐことができなかった。
特開平6−158364号公報 特開平9−111482号公報 特開2003−129263号公報
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的はt−ブチルアルコール、炭化水素および水からなる混合溶液に含まれる硫酸と炭素鋼の接触により生成する硫酸鉄の生成抑制方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、新規な硫酸鉄の生成抑制方法を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、所定のt−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液に含まれる硫酸量を低減した後、炭素鋼に接触することを特徴とする硫酸鉄の生成抑制方法である。
本発明は、t−ブチルアルコール、炭化水素および水からなる混合溶液に含まれる硫酸と炭素鋼の接触により生成する硫酸鉄の生成抑制方法を提供するものであり、硫酸鉄による機器や配管の閉塞の防止及び炭素鋼の消耗防止に優れ、工業的に非常に有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の方法は、炭化水素の重量と水の重量の比率が60:40〜95:5であり、かつ、t−ブチルアルコールの重量と炭化水素と水の合計重量の比率が30:70〜70:30であるt−ブチルアルコール、炭化水素および水からなる混合溶液に含まれる微量の硫酸を硫酸イオン濃度として0.40μmol/L以下に低減した後、炭素鋼に接触する硫酸鉄の生成抑制方法である。
本発明の硫酸鉄の生成抑制方法におけるt−ブチルアルコールは炭化水素と水を均一溶液にする相溶剤としての機能を持ち、オレフィンの水和によるアルコール合成やエステル化合物の加水分解反応の溶媒として用いられている。特に、酸触媒の存在下に、S−C4と水の接触反応によるt−ブチルアルコール製造においては、t−ブチルアルコールを予め、原料となるS−C4と水の混合溶液に加えて使用される。ここで、S−C4は、ナフサなどの熱分解生成物のC4留分よりブタジエンを除いた留分であり、ラフィネート1とも呼ばれるものである。
本発明の硫酸鉄の生成抑制方法における炭化水素としては、水と混合しないものであれば特に限定するものではないが、例えば、炭素数3〜8のオレフィンおよび/またはパラフィン等があげられる。炭素数3〜8のオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、iso−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等があげられ、炭素数3〜8のパラフィンとしては、例えば、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等があげられる。
これらの炭化水素は単独で使用し得るのみならず、二種以上の炭化水素を混合して用いることも可能である。二種以上の炭化水素を混合した例として、S−C4と水の接触反応によるt−ブチルアルコール製造時の未反応炭化水素があげられる。具体的には、1−ブテン、2−ブテン、iso−ブテン、n−ブタン、iso−ブタン等からなる炭化水素の混合物である。これらのうち、実用性が高いこと等から、ヘキサン、ヘプタンおよびS−C4と水の接触反応によるt−ブチルアルコール製造時の未反応炭化水素である1−ブテン、2−ブテン、iso−ブテン、n−ブタン、iso−ブタンが好ましい。
本発明の硫酸鉄の生成抑制方法におけるt−ブチルアルコール、炭化水素および水からなる混合溶液は、t−ブチルアルコールの使用量を抑制することができ、さらに、オレフィンの水和によるアルコール合成やエステル化合物の加水分解反応等が速やかに進行することから、炭化水素の重量と水の重量の比率が60:40〜95:5であり、好ましくは70:30〜90:10である。また、オレフィンの水和によるアルコール合成やエステル化合物の加水分解反応等の反応系が均一を維持でき、ハンドリング性能が高まることから、t−ブチルアルコールの重量と、炭化水素と水の合計重量の比率が30:70〜70:30であり、好ましくは40:60〜60:40である。
本発明の硫酸鉄の生成抑制方法における炭素鋼は、鉄を主成分とし、炭素を0.035%超え、1.5%程度まで含有するもので、Mn、Siなどを少量含有し、その他不純物として、P、S、O、H、Nなどを含むものである。炭素鋼は、炭素含有量が増すにつれて強度や硬さが高くなり、高強度炭素鋼では0.55%以下、中強度鋼では0.35%以下程度含有している。JISの鉄鋼規格では、用途別に分類されており、一般構造用圧延鋼材(SS材)、機械構造用炭素鋼材(SC材)、圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG)等が存在する。
本発明の硫酸鉄の生成抑制方法において、t−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液に含まれる硫酸を硫酸イオン濃度として0.40μmol/L以下に低減した後、炭素鋼に接触することが重要である。硫酸が硫酸イオン濃度として0.40μmol/Lを超えて存在すると、反応器や蒸留塔等の機器および配管の中で硫酸鉄が析出し、機器や配管の閉塞などの問題を起こしたり、炭素鋼が消耗することから、炭素鋼を機材とする機器や配管等の減肉などの原因となり、機材の寿命を低下させる問題が生ずる。混合溶液中で硫酸鉄の析出を抑えることや機器や配管等の機材である炭素鋼の劣化を抑制できることから、硫酸を硫酸イオン濃度として0.30μmol/L以下に低減することが好ましく、0.25μmol/L以下にすることがさらに好ましい。ここで、硫酸は様々な原因により、t−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液に混入する。例えば、S−C4と水の接触反応によるt−ブチルアルコール製造においては、触媒として用いた陽イオン交換樹脂が劣化し、陽イオン交換樹脂に含まれるスルホン酸基の加水分解により硫酸が生成したり、原料であるC4留分から持ち込まれた硫化物が酸化されて硫酸が生成したりすることが考えられる。また、エステル化合物の加水分解反応においては、反応促進剤として用いられる硫酸の除去が十分でないことが考えられる。
本発明において、硫酸を硫酸イオン濃度として0.40μmol/L以下に低減する際の機器の材質は、式(1)および式(2)の反応が起こらなければ、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ニッケル合金等の金属材料、フッ素樹脂やポリプロピレン等の高分子材料、ガラス、または金属材料にガラスが被覆されたもの等の金属材料およびガラスが用いられる。硫酸に対して安定なことや容易に入手できることから、ステンレス鋼および/またはガラスが好ましく用いられる。
式(1)の反応式でみられるように酸素も硫酸鉄の生成に関与する。そのため、本発明の生成抑制方法においては、酸素の濃度は、特に制限はされないが、例えば、酸素を0.3mmol/L以下に低減することが好ましく、0.03mmol/L以下に低減することがさらに好ましい。
本発明のt−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液に含まれる硫酸を硫酸イオン濃度として0.40μmol/L以下に低減する方法は、いかなる方法により低減しても差し支えない。例えば、(1)t−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液を陰イオン交換樹脂と接触させる方法、(2)t−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液をジルコニアやマグネシア等の塩基性無機固体と接触させる方法、(3)塩基と中和させる方法等があげられる。これらのうち、混合溶液中に含まれる硫酸を効率的に除去できること、および再生が容易なことから、t−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液を陰イオン交換樹脂と接触させる方法が好ましく用いられる。
陰イオン交換樹脂は、高い硫酸除去性能と安定性を保持するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、OH型陰イオン交換樹脂、HCO3型陰イオン交換樹脂、CO3型陰イオン交換樹脂等があげられる。イオン交換樹脂の母体構造は、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン系、アクリル系等があげられる。これらの陰イオン交換樹脂は単独で使用し得るのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。これらのうち、硫酸と陰イオン交換樹脂との接触により環境に優しい水が生成することから、OH型陰イオン交換樹脂が好ましく用いられ、さらに好ましくは、母体構造がスチレン系のOH型陰イオン交換樹脂が用いられる。
本発明のt−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液を陰イオン交換樹脂と接触させる形式は特に制限されず、任意の反応形式で行うことが可能である。例えば、固定床液相流通式、または懸濁床回分式で行うことができる。これらのうち、硫酸が効率的に除去されること、さらに樹脂の再生が容易なことから固定床液相流通式が好ましい。
接触温度は特に制限はされないが、硫酸が効率的に除去されること、さらに陰イオン交換樹脂の安定性から、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜80℃である。反応圧力は特に制限されないが、通常、絶対圧で0.01〜50MPaであり、好ましくは0.05〜30MPaである。また、固定床液相流通式反応の際の液時間空間速度(LHSV)は、硫酸が効率的に除去されることから、好ましくは0.01〜100hr−1、さらに好ましくは0.5〜20hr−1である。ここで、液時間空間速度(LHSV)とは、単位陰イオン交換樹脂体積当たりの単位時間(hr)に対するt−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液の供給量の合計体積を表すものである。
t−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液に含まれる硫酸を陰イオン交換樹脂と接触して、硫酸を除去してから、炭素鋼に接触することにより、反応器や蒸留塔等の機器および配管の中で硫酸鉄が析出することがなくなり、機器や配管の閉塞などの問題を回避することができる。また、炭素鋼を機材とする機器や配管等の減肉などの問題も回避できる。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に実施例に用いた測定方法を示す。
<炭素鋼減少量の測定および硫酸鉄生成速度の計算方法>
材質SS−400の試験片を湿式研磨機により、凹凸、傷および錆びを除去し、さらに乾式研磨を行い、酸化物皮膜を除去する。ノギスで試験片を採寸し、表面積を算出する。この試験片を水、次いでアルコールで洗浄し、乾燥する。乾燥した試験片を秤量し、試験片の重量を測定した後、炭素鋼減少量を測定する試験装置に装着し、試験を実施する。t−ブチルアルコール、炭化水素および水からなる混合溶液を所定時間、所定量を試験片に流通させた後、試験片を装置から取り出す。取り出された試験片は、水洗、さらに錆び取りを行った後、試験片を秤量し、試験片の重量を測定する。試験前後の秤量値の差から、炭素鋼減少量とする。炭素鋼の劣化の目安となる減肉速度は、炭素鋼減少量、試験片の表面積および所定時間から算出する。また、硫酸鉄生成速度は式(1)の反応が進行すると仮定し、炭素鋼減少量および所定時間から算出する。
参考例1(硫酸鉄の溶解度測定)
200mlのナスフラスコで、t−ブチルアルコール(和光純薬工業製特級試薬)37.3gと水6.6gを混合し、さらに硫酸鉄(II)七水和物(和光純薬工業製試薬)0.097gを添加した。ナスフラスコを50℃に加温し、超音波洗浄機で30分間硫酸鉄(II)七水和物を溶解させた。その後、3時間静置し、上澄みを採取し、イオンクロマトグラフ(DIONEX製SERIES 2000i/SP)を用いて硫酸イオンを分析した。
硫酸イオン濃度は0.89ppmであり、t−ブチルアルコールと水の重量比率が85:15の混合溶液における硫酸鉄(II)七水和物の溶解度は、50℃の混合溶液100gに対しわずか0.00026gであった。
参考例2(硫酸鉄の析出)
S−C4と呼ばれるオレフィン混合物(イソブテン49重量%、1−ブテン28重量%、2−ブテン15重量%、n−ブタン6重量%、iso−ブタン2重量%)100kg、t−ブチルアルコール50kgおよび純水22kgを原料に用い、陽イオン交換樹脂触媒を充填した反応搭に供給し、オレフィン混合物中に含まれるイソブテンの水和反応を行い、t−ブチルアルコール57重量%、イソブテン4重量%、1−ブテン16重量%、2−ブテン9重量%、n−ブタン4重量%、iso−ブタン1重量%および水9重量%の混合溶液172kgを得た。なお、反応搭および反応塔前後の配管の材質はステンレス鋼であった。
この混合溶液を炭素鋼の材質から成る蒸留塔で蒸留し塔頂より炭化水素を排出し、塔底からt−ブチルアルコール86重量%と水14重量%から成る溶液を得た。この溶液を蒸留塔から排出する際に配管にスラッジが析出していた。蛍光X線分析(堀場製作所製XGT−2000V)による組成分析、X線回折(理学電機製RAD−C)および赤外分光分析(パーキンエルマー製Spectrum One)の結果、スラッジ中の鉄分の約46%は硫酸鉄であることが判明した。
実施例1
t−ブチルアルコール(和光純薬工業製特級試薬)10.4kg、ヘプタン(和光純薬工業製特級試薬)7.0kgおよび純水1.6kgを混合し、さらに、硫酸(和光純薬工業製特級試薬)0.123mgを加え、硫酸濃度0.05μmol/Lの混合溶液を調製した。この溶液に、空気6.7ml/分および窒素420ml/分を供給し、酸素濃度を0.03mmol/Lに調製した。炭素鋼の試験片(材質;SS−400)を装着した1Lガラス製オートクレーブに、フィードポンプ(東ソー製CCPP−D)を用いて、この混合溶液を22L/日の速度で供給し、60℃、0.5MPaの条件で96時間試験を行った。炭素鋼減少量、炭素鋼減肉速度および硫酸鉄生成速度を表1に示す。硫酸鉄の生成速度は小さく、また、炭素鋼の減肉速度もわずかなものであった。
Figure 0005410052
実施例2、3
表1に示す硫酸濃度および酸素濃度を用いた以外は、実施例1と同様にして試験を行った。炭素鋼減少量、炭素鋼減肉速度および硫酸鉄生成速度を表1に示す。硫酸鉄の生成速度は著しく小さく、また、炭素鋼の減肉速度はほとんどみとめられなかった。
比較例1〜3
表1に示す硫酸濃度および酸素濃度を用いた以外は、実施例1と同様にして試験を行った。炭素鋼減少量、炭素鋼減肉速度および硫酸鉄生成速度を表1に示す。いずれの試験片も表面が青緑色に変色し、明らかに硫酸鉄の生成が認められた。
実施例4
参考例2と同様に、S−C4と呼ばれるオレフィン混合物(イソブテン49重量%、1−ブテン28重量%、2−ブテン15重量%、n−ブタン6重量%、iso−ブタン2重量%)100kg、t−ブチルアルコール50kgおよび純水22kgを原料に用い、陽イオン交換樹脂触媒を充填した反応搭に供給し、オレフィン混合物中に含まれるイソブテンの水和反応を行い、t−ブチルアルコール57重量%、イソブテン4重量%、1−ブテン16重量%、2−ブテン9重量%、n−ブタン4重量%、iso−ブタン1重量%および水9重量%の混合溶液172kgを得た。
この混合溶液を、温度27℃でコントロールされた陰イオン交換樹脂(オルガノ製A−21)を充填した充填塔に供給した。なお、反応搭、充填塔および充填塔前後の配管の材質はステンレス鋼である。充填塔出口の混合溶液を採取し、混合溶液中の硫酸濃度を測定した結果、硫酸イオンとして0.21μmol/Lであり、混合溶液中の硫酸イオン濃度の低下が認められた。
充填塔直下に炭素鋼の試験片(材質;SS−400)を配置し、27℃、0.85MPaの条件で8日間試験を行った。炭素鋼減少量は0.27mg、炭素鋼減肉速度は0.003mm/年および硫酸鉄生成速度は0.093mg/日であった。明らかに硫酸鉄の生成と炭素鋼の減肉速度は抑制されていた。
比較例4
実施例4と同様にS−C4と呼ばれるオレフィン混合物、t−ブチルアルコールおよび純水を原料に用いたイソブテンの水和反応を行った後、炭素鋼と接触させずに炭化水素を分離除去し、t−ブチルアルコール86重量%と水14重量%からなる溶液を得た。この溶液12.0kgにヘプタン(和光純薬工業製特級試薬)7.0kgを混合した。この混合溶液の硫酸濃度を測定した結果、硫酸イオンとして4.5μmol/Lの硫酸が含まれていた。
この混合溶液を用いた以外は、実施例1と同じ方法で炭素鋼減少量、炭素鋼減肉速度および硫酸鉄生成速度を求めた。結果を表1に示す。硫酸鉄の生成速度は非常に高く、また、炭素鋼の減肉速度も著しく高かった。
比較例5
充填塔に陰イオン交換樹脂を充填しなかった以外は、実施例4と同様にして試験を行った。充填塔出口の混合溶液中の硫酸濃度は、硫酸イオンとして7.8μmol/L含まれていた。炭素鋼減少量は8.78mg、炭素鋼減肉速度は0.096mm/年および硫酸鉄生成速度は2.99mg/日であり、硫酸鉄の生成速度、炭素鋼の減肉速度はいずれも高かった。
実施例5
陰イオン交換樹脂を充填した充填塔を温度54℃でコントロールした以外、実施例4と同様にして試験を行った。充填塔出口の混合溶液中の硫酸濃度は、硫酸イオンとして0.24μmol/L含まれていた。炭素鋼減少量は0.73mg、炭素鋼減肉速度は0.008mm/年および硫酸鉄生成速度は0.249mg/日であった。明らかに硫酸鉄の生成が抑制されるとともに、炭素鋼の減肉速度も低下していた。
比較例6
充填塔に陰イオン交換樹脂を充填しなかったこと、および空の充填塔を温度54℃でコントロールした以外、実施例4と同様にして試験を行った。充填塔出口の混合溶液中の硫酸濃度は、硫酸イオンとして6.78μmol/L含まれていた。炭素鋼減少量は30.7mg、炭素鋼減肉速度は0.336mm/年および硫酸鉄生成速度は10.5mg/日であった。硫酸鉄の生成速度、炭素鋼の減肉速度はいずれもかなり高かった。
本発明により、t−ブチルアルコール、炭化水素および水からなる混合溶液に含まれる硫酸と炭素鋼の接触により生成する硫酸鉄の生成を抑制できるので、硫酸鉄による機器や配管の閉塞の防止及び炭素鋼の消耗防止に優れ、工業的に極めて有用である。

Claims (9)

  1. 炭化水素の重量と水の重量の比率が60:40〜95:5であり、かつ、t−ブチルアルコールの重量と炭化水素と水の合計重量の比率が30:70〜70:30であるt−ブチルコール、炭化水素および水からなる混合溶液に含まれる硫酸を硫酸イオン濃度として0.40μmol/L以下に低減した後、炭素鋼に接触することを特徴とする硫酸鉄の生成抑制方法。
  2. 炭化水素が炭素数3〜8のオレフィンおよび/またはパラフィンであることを特徴とする請求項1に記載の硫酸鉄の生成抑制方法。
  3. 炭素数3〜8のオレフィンおよび/またはパラフィンがS−C4と水の接触反応によるt−ブチルアルコール製造時の未反応炭化水素であることを特徴とする請求項2に記載の硫酸鉄の生成抑制方法。
  4. S−C4と水の接触反応によるt−ブチルアルコール製造時の未反応炭化水素が1−ブテン、2−ブテン、iso−ブテン、n−ブタン、iso−ブタンであり、硫酸がS−C4と水の接触反応によるt−ブチルアルコール製造時に触媒として用いた陽イオン交換樹脂より生成した硫酸であることを特徴とする請求項3に記載の硫酸鉄の生成抑制方法。
  5. ステンレス鋼および/またはガラス製の材質からなる機器中で、硫酸を硫酸イオン濃度として0.40μmol/L以下に低減することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の硫酸鉄の生成抑制方法。
  6. 酸素を0.3mmol/L以下に低減することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の硫酸鉄の生成抑制方法。
  7. 混合溶液に含まれる硫酸を硫酸イオン濃度として0.40μmol/L以下に低減する方法が、t−ブチルアルコール、炭化水素および水の混合溶液を陰イオン交換樹脂と接触させ、混合溶液中に含まれる硫酸を除去することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の硫酸鉄の生成抑制方法。
  8. 接触の形式が固定床液相流通式であることを特徴とする請求項7に記載の硫酸鉄の生成抑制方法。
  9. 陰イオン交換樹脂との接触が、0〜100℃の温度であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の硫酸鉄の生成抑制方法。
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