JP2004123599A - 触媒反応生成物の精製方法及び精製装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】イオン交換樹脂を酸性または塩基性触媒として用いる触媒反応において、反応生成物に混入したイオン交換樹脂由来の不純物を効率的に除去して高純度の反応生成物を得ること。
【解決手段】イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法であって、該触媒由来のイオン性不純物を含む触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該触媒由来のイオン性不純物のみならず、該混合樹脂から発生するイオン性不純物をも除去する。
【選択図】 なし
【解決手段】イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法であって、該触媒由来のイオン性不純物を含む触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該触媒由来のイオン性不純物のみならず、該混合樹脂から発生するイオン性不純物をも除去する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン交換樹脂を酸性または塩基性触媒として用いる触媒反応において、反応生成物に混入した触媒樹脂由来の不純物を効率的に除去し、反応生成物を高純度化する触媒反応生成物の精製方法及び精製装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換樹脂には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂がある。これらは更に、イオン交換基の酸性度や塩基性度の強弱から、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂、及び弱塩基性陰イオン交換樹脂に分けられる。
【0003】
強酸性陽イオン交換樹脂は官能基にスルホン酸基(R−SO3 −H+)を持ち、弱酸性陽イオン交換樹脂は官能基にカルボン酸基(R−COO−H+)、ホスホン酸基(R−P(O)(O−H+)2)、ホスフィン酸基(R−PH(O)(O−H+))、亜ひ酸基(R−OAsO−H+)、フェノキシド基(R−C6H4O−H+)を持ったものなどが知られている。強塩基性陰イオン交換樹脂は、第4級アンモニウム塩基(R−N+R1R2R3)又は第3級スルホニウム基(R−S+R1R2)を官能基として持つものであり、弱塩基性陰イオン交換樹脂は、第1〜3級アミンを官能基として持つものである。また、イオン交換樹脂は、例えばスチレンとジビニルベンゼン(DVB)を、触媒と分散剤との共存下において共重合させて得られる三次元網目構造を有する共重合体に、官能基を導入して得られる。
【0004】
イオン交換樹脂は固体の酸、塩基であり、有機化学反応の触媒として多くの反応に工業的に用いられている。イオン交換樹脂を触媒に使用すると反応は不均一系で行なわれるため、酸、アルカリを用いた均一系の反応と比較して、(i)反応終了後、イオン交換樹脂を濾別するだけでよいので反応生成物の採取が容易である。(ii)反応はイオン交換樹脂の内部のみで行なわれるため反応に関与する物質が酸、塩基の影響を受ける時間が短いので副反応が少なく、反応の収率も向上する。(iii)使用する樹脂により、また条件を適当に選ぶことにより反応を選択的に進行させることができる。(iv)イオン交換樹脂は分子ふるいの働きをするため低分子の化合物は樹脂の内部のイオンによっても触媒作用を受けるが、高分子化合物は樹脂の表面でのみ反応するため反応速度が非常に小さい。(v)排酸、排アルカリの処理が不要であると共に、腐食性が少ないなどの特徴や利点がある。
【0005】
一方、イオン交換樹脂を触媒に用いる反応では、イオン交換樹脂から遊離する該イオン交換樹脂製造由来の金属およびその他の可溶性有機物、並びに触媒反応過程で発生する該イオン交換樹脂の分解生成物などの不純物が反応生成物に混入するという欠点がある。近年、このような触媒反応で得られる反応生成物の高純度化が求められており、反応生成物に混入する不純物の除去が課題となっている。特に、反応が高温で行なわれる場合や、反応系に過酸化水素などの酸化性物質が存在する場合などはイオン交換樹脂の分解が促進され、溶出物が溶出し易くなる。また、該イオン交換樹脂製造由来の金属は、反応系においてこれが触媒となり該イオン交換樹脂の酸化劣化を促進し、更に一層溶出物を溶出する。
【0006】
これらイオン交換樹脂由来の溶出物の除去方法としては、イオン交換樹脂を反応に供する前に予め予備洗浄を行ない、イオン交換樹脂製造由来の不純物を除去する前処理方法が知られている。販売時のイオン交換樹脂は通常強酸性陽イオン交換樹脂はNa型、弱酸性陽イオン交換樹脂はH型、強塩基性アニオン交換樹脂はCl型、弱塩基性アニオン交換樹脂は遊離塩基型(OH型)になっている。未使用のイオン交換樹脂は、前述の如く製造由来の微量の可溶性有機物質や金属を不純物として含んでいるが、これらは酸とアルカリで交互に洗浄することにより、また必要に応じて更にアルコール洗浄することにより除去することができ、反応液にこれらの不純物が混入することを未然に防止できる。また、樹脂製造由来の微量の金属を除去することにより、反応系における該金属に起因するイオン交換樹脂の酸化劣化を回避することができ、反応液に溶出物が溶出することを抑制することができる。
【0007】
また、イオン交換樹脂由来の溶出物の除去方法の他の例としては、特定のベンゼン類と特定のフェノール類とを強酸性陽イオン交換樹脂等の酸性触媒の存在下に反応させてビスフェノール類を製造する方法において、触媒反応生成物を陰イオン交換樹脂を用いて中和する方法(特開平11−335312号公報)がある。この方法は、反応の際にイオン交換樹脂から遊離した酸がその後のフェノール類の加熱、留去の際にビスフェノール類の高次付加を引き起こし、これにより反応混合物から目的とするビスフェノール類を分離回収して製品にしようとするとその収率が低下するという問題を解決したものであって、ビスフェノール類を効率よく合成、精製することができる。
【0008】
また、特開2001−48837号公報には、エステル反応又はエステル交換反応で得られたエチレングリコール、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート及び不純物としてのカチオンおよび/またはアニオンを含むビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの溶液組成物を、カチオン交換体および/またはアニオン交換体と接触せしめて、不純物としてのカチオンおよび/またはアニオンを所定値以下にまで除去するビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの製造方法が開示されている。この製造方法によれば、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートを製造する際に、その中に不可避的に存在する不純物としてのイオン例えばエステルやエステル交換触媒に由来するイオンを可及的に除去することができ、高純度のビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートを得ることができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−335312号公報(請求項2、第2−4頁)
【特許文献2】
特開2001−48837号公報(請求項1、第3−4頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、イオン交換樹脂を触媒に用いる反応では、当該イオン交換樹脂を反応に供する前に予め前処理により洗浄し、イオン交換樹脂製造由来の不純物を除去したとしても、依然として触媒反応生成物中にイオン交換樹脂由来の不純物は残存してしまう。また、特開平11−335312号公報の強酸性陽イオン交換樹脂を酸性触媒に用いてビスフェノール類を製造する方法において、触媒反応生成物を陰イオン交換樹脂を用いて中和しても、今度は陰イオン交換樹脂由来のカチオン性不純物が溶出してしまい、イオン交換樹脂由来の不純物の溶出は避けられない。また、特開2001−48837号公報には、エステル反応又はエステル交換反応で得られた不純物としてのカチオンおよび/またはアニオンを含む溶液組成物を、カチオン交換体および/またはアニオン交換体と接触せしめて、不純物を除去する方法が記載されているものの、イオン交換樹脂をエステル反応等の触媒として用いる記載はない。更に、不純物を含む反応生成物の精製方法も、実際はカチオン交換体と接触させた後、次いでアニオン交換体と接触せしめる逐次的接触法を採用しており、この場合、後段のアニオン交換体からアミン類の溶出が起こり、必ずしも高純度の反応生成物を得ているとは言えない。このように、従来、イオン交換樹脂を触媒として用いる触媒反応において、反応生成物に溶出するイオン交換樹脂由来の不純物を除去するため、反応に供する前に予め樹脂製造由来の不純物を除去する対策や、反応過程で発生する樹脂由来の分解物を除去する対策は、それぞれ行なわれているものの、不純物を除去するために設置されたイオン交換樹脂自体から発生する不純物を除去する対策は全くされていなかった。このため、反応生成物の高純度化という点では必ずしも満足のいくものではなかった。
【0011】
従って、本発明の目的は、イオン交換樹脂を酸性または塩基性触媒として用いる触媒反応において、反応生成物に混入したイオン交換樹脂由来の不純物を効率的に除去して高純度の反応生成物を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行なった結果、イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法において、該触媒由来の不純物を含む触媒反応生成物を、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させれば、樹脂製造由来の不純物、反応過程で樹脂から発生する不純物及びこれらの不純物を除去するために設置したイオン交換樹脂から発生する不純物を一挙に除去することができ、高純度の反応生成物を得ることができること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明(1)は、陽イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法であって、該触媒由来のアニオン性不純物を含む触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該アニオン性不純物を該陰イオン交換樹脂で除去すると共に、該陰イオン交換樹脂由来のカチオン性不純物を該混合樹脂中の該陽イオン交換樹脂で除去する触媒反応生成物の精製方法を提供するものである。本発明によれば、反応過程で発生する陽イオン交換樹脂由来の分解生成物であるスチレンスルホン酸のモノマーやダイマー、ポリスチレンスルホン酸及び硫酸イオンなどの不純物を陰イオン交換樹脂で除去し、該陰イオン交換樹脂から発生してくるアミン類などを混合樹脂中の陽イオン交換樹脂で除去することができる。また、混合樹脂中の陽イオン交換樹脂から硫酸イオンなどの不純物が発生したとしても、これは混合樹脂中の陰イオン交換樹脂で除去できる。また、陽イオン交換樹脂を反応に供する際、公知の前処理を行なわなかった場合、あるいは前処理を行なっても洗浄が不十分な場合でも、該陽イオン交換樹脂製造由来の不純物は上記した同様な作用効果により除去できる。このため、反応生成物の純度を確実に高めることができる。
【0014】
また、本発明(2)は、陰イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法であって、該触媒由来のカチオン性不純物を含む触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該カチオン性不純物を該陽イオン交換樹脂で除去すると共に、該陽イオン交換樹脂由来のアニオン性不純物を該混合樹脂中の該陰イオン交換樹脂で除去する触媒反応生成物の精製方法を提供するものである。本発明によれば、反応過程で発生する陰イオン交換樹脂由来の分解生成物であるアミン類などの不純物を陽イオン交換樹脂で除去し、該陽イオン交換樹脂から発生してくる硫酸イオンなどの不純物を混合樹脂中の陰イオン交換樹脂で除去することができる。また、混合樹脂中の陰イオン交換樹脂からアミン類などの不純物が発生したとしても、これは混合樹脂中の陽イオン交換樹脂で除去できる。また、前記発明と同様に、陰イオン交換樹脂を反応に供する際、公知の前処理を行なわなかった場合、あるいは前処理を行なっても洗浄が不十分な場合であっても、該陰イオン交換樹脂製造由来の不純物は上記した同様な作用効果により除去できる。このため、反応生成物の純度を確実に高めることができる。
【0015】
また、本発明(3)は、触媒であるイオン交換樹脂が充填された反応塔と、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂が充填された精製塔と、該反応塔から得られる触媒反応生成物を該精製塔に供給する配管とを備える精製装置を提供するものである。本発明によれば、前記精製方法を簡易な装置で確実に実施できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態における触媒反応生成物の精製方法は、陽イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法である。陽イオン交換樹脂を触媒に用いる反応としては、特に制限されないが、例えばエステル化;アセタール化;エステル、ペプチド又は糖類の加水分解;フェノールのアルキル化;プロピレン、アセチレン化合物又は酸化エチレンの水和反応;ベックマン転移反応;イソブチレンのオリゴマー化;プリンス反応;過酢酸の生成;ジオキソランの合成;MMA、MTBA、TAME及びBPAの各合成及びスクロールの転化などが挙げられる。これらの反応の条件としては特に制限されず、反応が温和な条件で行なわれる場合であっても、触媒に用いる陽イオン交換樹脂由来の硫酸イオンなどの不純物は必ず微量溶出する。また、反応が高温で行なわれる場合や、反応系に過酸化水素などの酸化性物質が存在する場合などは陽イオン交換樹脂の分解が促進され、更に溶出物が溶出し易くなる。
【0017】
反応触媒である陽イオン交換樹脂としては、例えばイオン交換基としてスルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、及びカルボキシル基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。具体例としては、強酸性陽イオン交換樹脂はアンバーリスト15(ローム・アンド・ハース社製)が、弱酸性陽イオン交換樹脂はアンバーライトIRC76(ローム・アンド・ハース社製)がそれぞれ例示できる。このうち、強酸性陽イオン交換樹脂はこれを触媒として用いる反応が数多いことから利用価値が高い。なお、通常使用に際しては必要に応じ前処理を行い、上記のような遊離の酸基(H型)に変換される。
【0018】
陽イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物は、通常目的生成物、該触媒由来のアニオン性不純物及び反応形態によっては未反応原料を含む混合物として得られる。また、該触媒由来のアニオン性不純物としては、反応当初から存在する樹脂製造由来の不純物及び反応過程で発生する不純物が挙げられる。アニオン性不純物としては、スチレンスルホン酸のモノマーやダイマー、ポリスチレンスルホン酸及び硫酸イオンなどが挙げられる。反応で得られる触媒反応生成物は、通常そのまま全量を後段の混合樹脂と接触させるが、例えば目的生成物以外の未反応原料等を分離除去する操作を適宜行なってもよい。
【0019】
本例において、上記触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該触媒反応生成物中のアニオン性不純物を該陰イオン交換樹脂で除去すると共に、該陰イオン交換樹脂由来のアミン類などのカチオン性不純物を該混合樹脂中の該陽イオン交換樹脂で除去する。また、該陽イオン交換樹脂から硫酸イオンなどの不純物が発生したとしても、これは混合樹脂中の陰イオン交換樹脂で除去できる。触媒反応生成物を例えば陰イオン交換樹脂に接触させた後、陽イオン交換樹脂に接触させる逐次的接触法は、後段の陽イオン交換樹脂から発生する硫酸イオンなどの不純物が除去されず溶出する点で使用できない。
【0020】
本例の精製工程で用いられる混合樹脂中の陰イオン交換樹脂としては、例えば強塩基性陰イオン交換樹脂及び弱塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。本例の精製工程で用いられる陽イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂が該混合樹脂中の陰イオン交換樹脂由来のアミン類などのカチオン性不純物を効率的に吸着除去するという点で好ましい。混合樹脂中の陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂は、触媒反応生成物が非水物であれば、水分含有量が30%以下、好ましくは10%以下の乾燥樹脂を用いることが好ましい。混合樹脂中、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の配合割合としては、特に制限されないが、体積比で1:5〜5:1の範囲で適宜決定すればよい。
【0021】
上記混合樹脂で不純物が除去された精製反応生成物は、バッチ処理であれば、混合樹脂をろ別により除去して得られる。また連続処理であれば、例えばカラムの混合樹脂充填層からの流出液として得られる。該精製反応生成物は製品形態により、そのまま製品としてもよく、あるいは例えば目的生成物以外の未反応原料等を分離除去する操作を適宜行なってから製品としてもよい。
【0022】
本第1の実施の形態における触媒反応生成物の精製方法によれば、反応過程で発生する陽イオン交換樹脂由来の不純物、及び精製工程における混合樹脂から発生する陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂由来の不純物を共に除去することができる。また、陽イオン交換樹脂を反応に供する際、前処理を行なわなかった場合、あるいは前処理を行なっても洗浄が不十分な場合であっても、該陽イオン交換樹脂製造由来の不純物も同様に除去できる。このため、反応生成物の純度を確実に高めることができる。また、触媒反応生成物は直ちに後段の混合樹脂で処理されるため、触媒反応生成物中に存在する硫酸イオンなど酸成分による過剰な触媒反応が継続されることを防止することができ、かつ酸成分による配管腐食等を防止することができる。更に精製工程の後で未反応の原料などを回収する場合、回収原料の純度を高めることができる。
【0023】
本発明の第2の実施の形態における触媒反応生成物の精製方法は、陰イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法である。陰イオン交換樹脂を触媒に用いる反応としては、特に制限されないが、例えばアルドール縮合、クネベナーゲル縮合、アルコール類のシアノエチル化、ベンゾイン縮合、クロトン縮合、ミハエル縮合が挙げられる。これらの反応の条件としては特に制限されず、反応が温和な条件で行なわれる場合であっても、触媒に用いる陰イオン交換樹脂由来のアミン類などの不純物は必ず微量溶出する。
【0024】
反応触媒である陰イオン交換樹脂としては、例えばイオン交換基としてアミノ基、第4級アンモニウム塩等の塩基性基を有するイオン交換樹脂が挙げられる。具体例としては、強塩基性陰イオン交換樹脂はアンバーリストA26(ローム・アンド・ハース社製)が、弱塩基性陰イオン交換樹脂はアンバーリストA21(ローム・アンド・ハース社製)がそれぞれ例示できる。このうち、強塩基性陰イオン交換樹脂はこれを触媒として用いる反応が、強酸性陽イオン交換樹脂ほどではないが数多いことから利用価値が高い。これらの市販品は通常使用に際しては前処理を行い、水酸基アニオンに変換される。
【0025】
陰イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物は、通常目的生成物、該触媒由来のカチオン性不純物及び反応形態によっては未反応原料を含む混合物として得られる。また、該触媒由来のカチオン性不純物としては、反応当初から存在する樹脂製造由来の不純物及び反応過程で発生する不純物が挙げられる。カチオン性不純物としては、アミン類などが挙げられる。反応で得られる触媒反応生成物は、通常そのまま全量を後段の混合樹脂と接触させるが、例えば目的生成物以外の未反応原料等を分離除去する操作を適宜行なってもよい。
【0026】
本例において、上記触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該触媒反応生成物中のカチオン性不純物を該陽イオン交換樹脂で除去すると共に、該陽イオン交換樹脂由来の硫酸イオンなどのアニオン性不純物を該混合樹脂中の該陰イオン交換樹脂で除去する。また、該陰イオン交換樹脂からアミン類などの不純物が発生したとしても、これは混合樹脂中の陽イオン交換樹脂で除去できる。触媒反応生成物を例えば陽イオン交換樹脂に接触させた後、陰イオン交換樹脂に接触させる逐次的接触法は、後段の陰イオン交換樹脂から発生するアミン類などの不純物が除去されず溶出する点で使用できない。
【0027】
第2の実施の形態例の精製工程で用いられる陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂は、前記第1の実施の形態例と同様のものが使用できる。すなわち、混合樹脂において、強酸性陽イオン交換樹脂は触媒由来のアミン類などのカチオン性不純物を吸着除去し、強塩基性陰イオン交換樹脂または弱塩基性陰イオン交換樹脂は混合樹脂中の強酸性陽イオン交換樹脂由来のスチレンスルホン酸のモノマーやダイマー及び硫酸イオンなどアニオン性不純物を吸着除去する。また、該強塩基性陰イオン交換樹脂または弱塩基性アニオン交換樹脂からアミン類が発生したとしても、混合樹脂中の強酸性陽イオン交換樹脂で吸着除去できる。
【0028】
上記混合樹脂で不純物が除去された精製反応生成物は、前記第1の実施の形態例と同様、バッチ処理であれば、混合樹脂をろ別により除去して得られる。また連続処理であれば、例えばカラムの混合樹脂充填層から流出液として得られる。該精製反応生成物は製品形態により、そのまま製品としてもよく、あるいは例えば目的生成物以外の未反応原料等を分離除去する操作を適宜行なってから製品としてもよい。
【0029】
本第2の実施の形態における触媒反応生成物の精製方法によれば、反応過程で発生する陰イオン交換樹脂由来の不純物、及び精製工程における混合樹脂から発生する陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂由来の不純物を共に除去することができる。また、陰イオン交換樹脂を反応に供する際、前処理を行なわなかった場合、あるいは前処理を行なっても洗浄が不十分な場合であっても、該陰イオン交換樹脂製造由来の不純物も同様に除去できる。このため、反応生成物の純度を確実に高めることができる。また、触媒反応生成物は直ちに後段の混合樹脂で処理されるため、触媒反応生成物中に存在するアルカリによる過剰な触媒反応が継続されることを防止することができる。更に精製工程の後で未反応の原料などを回収する場合、回収原料の純度を高めることができる。
【0030】
本発明の触媒反応生成物の精製方法において、精製工程である混合樹脂に触媒反応生成物を通液する形態としては、特に制限されないが、バッチ処理方法及びカラムによる連続処理方法が挙げられる。このうち、連続処理方法が1パス通水で不純物を効率的に除去できる点で好ましい。連続処理方法を実施する装置としては、触媒であるイオン交換樹脂が充填された反応塔と、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂が充填された精製塔と、該反応塔から得られる触媒反応生成物を該精製塔に供給する配管とを備えるものが挙げられる。この装置によれば、簡易な構造であって、本発明の触媒反応生成物の精製方法を確実に実施できる。
【0031】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって本発明を制限するものではない。
実施例1
(フェノールのアルキル化)
1000mlの三口フラスコに、触媒として1.6gのH型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRY(ローム・アンド・ハース社製)を入れ、これに200gのフェノールを加え、乾燥窒素雰囲気下で70〜75℃に加熱した。次いで、攪拌しながら265gの2,4,4−トリメチル−2−ペンテンを5時間かけて添加し、添加終了後更に3.5時間攪拌を継続して反応させた。反応終了後、陽イオン交換樹脂も含めた反応混合物をポリテトラフロロエチレンのメッシュ及び1μmのろ紙にこの順序で流し、触媒樹脂をろ別すると共に、ろ過液として反応生成物を得た。なお、この反応においてH型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRYは前処理を省略して用いた。
【0032】
(触媒反応生成物の精製)
直径16mm、高さ300mmのガラスカラムに、3gのH型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRY(水分含有量0.5%;ローム・アンド・ハース社製)と4gの弱塩基性陰イオン交換樹脂アンバーリストA21(ローム・アンド・ハース社製)を水分含有率5%になるように乾燥したものを混合して充填し精製用イオン交換樹脂カラムAを作製した。この精製カラムに上記の反応で得られた反応生成物をSV2、液温58℃で接触させ、精製された反応生成物を得た。この精製物は半量を溶出物の定量を行なうための分析用とし、他の半量は反応生成物の純度を測定するため蒸留用とした。
(溶出物の定量分析)
精製された反応生成物の半量と20℃の超純水を体積比1:1で混合し、30分間振とうした後、遠心分離で水層を抽出液として分離し、該抽出液中の硫酸イオンとアミン類の濃度を測定した。硫酸イオンはイオンクロマトグラフィーで分析し、アミン類はガスクロマトグラフィーで分析した。また、イオン交換混合樹脂接触前、すなわち、精製されていない反応生成物についても同様の分析を行い、精製前後の比較を行なった。結果を表1に示す。
(反応生成物の純度測定)
他の半量の精製された反応生成物を140〜180℃、2.66×10−3MPaで減圧蒸留を1時間行ない57%収率、99.8%純度のp−tert−オクチルフェノールを得た。
【0033】
比較例1
触媒反応生成物の精製における精製用イオン交換樹脂カラムAの代わりに、直径16mm、高さ300mmのガラスカラムに、7gの弱塩基性陰イオン交換樹脂アンバーリストA21(ローム・アンド・ハース社製)を水分含有率5%になるように乾燥したものを充填した精製用イオン交換樹脂カラムBを用いた以外は、実施例1と同様の方法で行なった。結果を表1に示す。なお、減圧蒸留の結果、反応生成物は55%収率、99.7%純度であった。
【0034】
参考例1
フェノールのアルキル化における前処理を省略したH型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRYに代えて、下記の前処理を行なったH型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRYを用いた以外、実施例1と同様のフェノールのアルキル化を行なった。なお、参考例1では触媒反応生成物の精製を行なわずに実施例1と同様の分析を行なった。その結果を表1に示す。なお、減圧蒸留の結果、反応生成物は54%収率、99%純度であった。
(前処理)
1.6gの未処理H型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRYを100mlの三角フラスコに入れ、50mlのメタノールで浸漬して膨潤させた後、純水に置換し、5%水酸化ナトリウム50mlに浸漬して1時間ゆっくり攪拌し、再び純水で置換し樹脂に残存する溶出物を低減させる処理を行なった。樹脂を分離した後、カラムに充填し、5%塩酸5容量倍をSV5で通薬し、その後同じ流速で純水で押出した後、純水で充分に洗浄を行った。得られたH型の湿潤樹脂に対して50mlフェノール置換を5回繰り返してフェノール中の水分が1000mg/l以下になったことを確認した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1から、陽イオン交換樹脂を触媒として用いる反応において、該触媒の前処理を行なっても、触媒反応生成物には硫酸イオンが溶出していることから、反応過程で強酸性陽イオン交換樹脂由来の硫酸イオンが発生することが判る。この硫酸イオンは強塩基性アニオン交換樹脂で吸着除去できるものの、該強塩基性アニオン交換樹脂自身のアミン酸が溶出してくるため、精製物の純度が上がらないことが判る。そして、このアミン酸は強塩基性アニオン交換樹脂と混合される強酸性陽イオン交換樹脂で除去できることが判る。
【0037】
【発明の効果】
本発明の触媒生成物の精製方法によれば、イオン交換樹脂を酸性または塩基性触媒として用いる触媒反応において、反応生成物に混入したイオン交換樹脂由来の不純物を効率的に除去して高純度の反応生成物を得ることができる。また、触媒生成物中に含まれる酸やアルカリを除去するため、残留する酸やアルカリによる過剰な触媒反応が生ずることを防止することができ、さらに装置に対する腐食を防止することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン交換樹脂を酸性または塩基性触媒として用いる触媒反応において、反応生成物に混入した触媒樹脂由来の不純物を効率的に除去し、反応生成物を高純度化する触媒反応生成物の精製方法及び精製装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換樹脂には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂がある。これらは更に、イオン交換基の酸性度や塩基性度の強弱から、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂、及び弱塩基性陰イオン交換樹脂に分けられる。
【0003】
強酸性陽イオン交換樹脂は官能基にスルホン酸基(R−SO3 −H+)を持ち、弱酸性陽イオン交換樹脂は官能基にカルボン酸基(R−COO−H+)、ホスホン酸基(R−P(O)(O−H+)2)、ホスフィン酸基(R−PH(O)(O−H+))、亜ひ酸基(R−OAsO−H+)、フェノキシド基(R−C6H4O−H+)を持ったものなどが知られている。強塩基性陰イオン交換樹脂は、第4級アンモニウム塩基(R−N+R1R2R3)又は第3級スルホニウム基(R−S+R1R2)を官能基として持つものであり、弱塩基性陰イオン交換樹脂は、第1〜3級アミンを官能基として持つものである。また、イオン交換樹脂は、例えばスチレンとジビニルベンゼン(DVB)を、触媒と分散剤との共存下において共重合させて得られる三次元網目構造を有する共重合体に、官能基を導入して得られる。
【0004】
イオン交換樹脂は固体の酸、塩基であり、有機化学反応の触媒として多くの反応に工業的に用いられている。イオン交換樹脂を触媒に使用すると反応は不均一系で行なわれるため、酸、アルカリを用いた均一系の反応と比較して、(i)反応終了後、イオン交換樹脂を濾別するだけでよいので反応生成物の採取が容易である。(ii)反応はイオン交換樹脂の内部のみで行なわれるため反応に関与する物質が酸、塩基の影響を受ける時間が短いので副反応が少なく、反応の収率も向上する。(iii)使用する樹脂により、また条件を適当に選ぶことにより反応を選択的に進行させることができる。(iv)イオン交換樹脂は分子ふるいの働きをするため低分子の化合物は樹脂の内部のイオンによっても触媒作用を受けるが、高分子化合物は樹脂の表面でのみ反応するため反応速度が非常に小さい。(v)排酸、排アルカリの処理が不要であると共に、腐食性が少ないなどの特徴や利点がある。
【0005】
一方、イオン交換樹脂を触媒に用いる反応では、イオン交換樹脂から遊離する該イオン交換樹脂製造由来の金属およびその他の可溶性有機物、並びに触媒反応過程で発生する該イオン交換樹脂の分解生成物などの不純物が反応生成物に混入するという欠点がある。近年、このような触媒反応で得られる反応生成物の高純度化が求められており、反応生成物に混入する不純物の除去が課題となっている。特に、反応が高温で行なわれる場合や、反応系に過酸化水素などの酸化性物質が存在する場合などはイオン交換樹脂の分解が促進され、溶出物が溶出し易くなる。また、該イオン交換樹脂製造由来の金属は、反応系においてこれが触媒となり該イオン交換樹脂の酸化劣化を促進し、更に一層溶出物を溶出する。
【0006】
これらイオン交換樹脂由来の溶出物の除去方法としては、イオン交換樹脂を反応に供する前に予め予備洗浄を行ない、イオン交換樹脂製造由来の不純物を除去する前処理方法が知られている。販売時のイオン交換樹脂は通常強酸性陽イオン交換樹脂はNa型、弱酸性陽イオン交換樹脂はH型、強塩基性アニオン交換樹脂はCl型、弱塩基性アニオン交換樹脂は遊離塩基型(OH型)になっている。未使用のイオン交換樹脂は、前述の如く製造由来の微量の可溶性有機物質や金属を不純物として含んでいるが、これらは酸とアルカリで交互に洗浄することにより、また必要に応じて更にアルコール洗浄することにより除去することができ、反応液にこれらの不純物が混入することを未然に防止できる。また、樹脂製造由来の微量の金属を除去することにより、反応系における該金属に起因するイオン交換樹脂の酸化劣化を回避することができ、反応液に溶出物が溶出することを抑制することができる。
【0007】
また、イオン交換樹脂由来の溶出物の除去方法の他の例としては、特定のベンゼン類と特定のフェノール類とを強酸性陽イオン交換樹脂等の酸性触媒の存在下に反応させてビスフェノール類を製造する方法において、触媒反応生成物を陰イオン交換樹脂を用いて中和する方法(特開平11−335312号公報)がある。この方法は、反応の際にイオン交換樹脂から遊離した酸がその後のフェノール類の加熱、留去の際にビスフェノール類の高次付加を引き起こし、これにより反応混合物から目的とするビスフェノール類を分離回収して製品にしようとするとその収率が低下するという問題を解決したものであって、ビスフェノール類を効率よく合成、精製することができる。
【0008】
また、特開2001−48837号公報には、エステル反応又はエステル交換反応で得られたエチレングリコール、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート及び不純物としてのカチオンおよび/またはアニオンを含むビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの溶液組成物を、カチオン交換体および/またはアニオン交換体と接触せしめて、不純物としてのカチオンおよび/またはアニオンを所定値以下にまで除去するビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの製造方法が開示されている。この製造方法によれば、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートを製造する際に、その中に不可避的に存在する不純物としてのイオン例えばエステルやエステル交換触媒に由来するイオンを可及的に除去することができ、高純度のビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートを得ることができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−335312号公報(請求項2、第2−4頁)
【特許文献2】
特開2001−48837号公報(請求項1、第3−4頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、イオン交換樹脂を触媒に用いる反応では、当該イオン交換樹脂を反応に供する前に予め前処理により洗浄し、イオン交換樹脂製造由来の不純物を除去したとしても、依然として触媒反応生成物中にイオン交換樹脂由来の不純物は残存してしまう。また、特開平11−335312号公報の強酸性陽イオン交換樹脂を酸性触媒に用いてビスフェノール類を製造する方法において、触媒反応生成物を陰イオン交換樹脂を用いて中和しても、今度は陰イオン交換樹脂由来のカチオン性不純物が溶出してしまい、イオン交換樹脂由来の不純物の溶出は避けられない。また、特開2001−48837号公報には、エステル反応又はエステル交換反応で得られた不純物としてのカチオンおよび/またはアニオンを含む溶液組成物を、カチオン交換体および/またはアニオン交換体と接触せしめて、不純物を除去する方法が記載されているものの、イオン交換樹脂をエステル反応等の触媒として用いる記載はない。更に、不純物を含む反応生成物の精製方法も、実際はカチオン交換体と接触させた後、次いでアニオン交換体と接触せしめる逐次的接触法を採用しており、この場合、後段のアニオン交換体からアミン類の溶出が起こり、必ずしも高純度の反応生成物を得ているとは言えない。このように、従来、イオン交換樹脂を触媒として用いる触媒反応において、反応生成物に溶出するイオン交換樹脂由来の不純物を除去するため、反応に供する前に予め樹脂製造由来の不純物を除去する対策や、反応過程で発生する樹脂由来の分解物を除去する対策は、それぞれ行なわれているものの、不純物を除去するために設置されたイオン交換樹脂自体から発生する不純物を除去する対策は全くされていなかった。このため、反応生成物の高純度化という点では必ずしも満足のいくものではなかった。
【0011】
従って、本発明の目的は、イオン交換樹脂を酸性または塩基性触媒として用いる触媒反応において、反応生成物に混入したイオン交換樹脂由来の不純物を効率的に除去して高純度の反応生成物を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行なった結果、イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法において、該触媒由来の不純物を含む触媒反応生成物を、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させれば、樹脂製造由来の不純物、反応過程で樹脂から発生する不純物及びこれらの不純物を除去するために設置したイオン交換樹脂から発生する不純物を一挙に除去することができ、高純度の反応生成物を得ることができること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明(1)は、陽イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法であって、該触媒由来のアニオン性不純物を含む触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該アニオン性不純物を該陰イオン交換樹脂で除去すると共に、該陰イオン交換樹脂由来のカチオン性不純物を該混合樹脂中の該陽イオン交換樹脂で除去する触媒反応生成物の精製方法を提供するものである。本発明によれば、反応過程で発生する陽イオン交換樹脂由来の分解生成物であるスチレンスルホン酸のモノマーやダイマー、ポリスチレンスルホン酸及び硫酸イオンなどの不純物を陰イオン交換樹脂で除去し、該陰イオン交換樹脂から発生してくるアミン類などを混合樹脂中の陽イオン交換樹脂で除去することができる。また、混合樹脂中の陽イオン交換樹脂から硫酸イオンなどの不純物が発生したとしても、これは混合樹脂中の陰イオン交換樹脂で除去できる。また、陽イオン交換樹脂を反応に供する際、公知の前処理を行なわなかった場合、あるいは前処理を行なっても洗浄が不十分な場合でも、該陽イオン交換樹脂製造由来の不純物は上記した同様な作用効果により除去できる。このため、反応生成物の純度を確実に高めることができる。
【0014】
また、本発明(2)は、陰イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法であって、該触媒由来のカチオン性不純物を含む触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該カチオン性不純物を該陽イオン交換樹脂で除去すると共に、該陽イオン交換樹脂由来のアニオン性不純物を該混合樹脂中の該陰イオン交換樹脂で除去する触媒反応生成物の精製方法を提供するものである。本発明によれば、反応過程で発生する陰イオン交換樹脂由来の分解生成物であるアミン類などの不純物を陽イオン交換樹脂で除去し、該陽イオン交換樹脂から発生してくる硫酸イオンなどの不純物を混合樹脂中の陰イオン交換樹脂で除去することができる。また、混合樹脂中の陰イオン交換樹脂からアミン類などの不純物が発生したとしても、これは混合樹脂中の陽イオン交換樹脂で除去できる。また、前記発明と同様に、陰イオン交換樹脂を反応に供する際、公知の前処理を行なわなかった場合、あるいは前処理を行なっても洗浄が不十分な場合であっても、該陰イオン交換樹脂製造由来の不純物は上記した同様な作用効果により除去できる。このため、反応生成物の純度を確実に高めることができる。
【0015】
また、本発明(3)は、触媒であるイオン交換樹脂が充填された反応塔と、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂が充填された精製塔と、該反応塔から得られる触媒反応生成物を該精製塔に供給する配管とを備える精製装置を提供するものである。本発明によれば、前記精製方法を簡易な装置で確実に実施できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態における触媒反応生成物の精製方法は、陽イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法である。陽イオン交換樹脂を触媒に用いる反応としては、特に制限されないが、例えばエステル化;アセタール化;エステル、ペプチド又は糖類の加水分解;フェノールのアルキル化;プロピレン、アセチレン化合物又は酸化エチレンの水和反応;ベックマン転移反応;イソブチレンのオリゴマー化;プリンス反応;過酢酸の生成;ジオキソランの合成;MMA、MTBA、TAME及びBPAの各合成及びスクロールの転化などが挙げられる。これらの反応の条件としては特に制限されず、反応が温和な条件で行なわれる場合であっても、触媒に用いる陽イオン交換樹脂由来の硫酸イオンなどの不純物は必ず微量溶出する。また、反応が高温で行なわれる場合や、反応系に過酸化水素などの酸化性物質が存在する場合などは陽イオン交換樹脂の分解が促進され、更に溶出物が溶出し易くなる。
【0017】
反応触媒である陽イオン交換樹脂としては、例えばイオン交換基としてスルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、及びカルボキシル基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。具体例としては、強酸性陽イオン交換樹脂はアンバーリスト15(ローム・アンド・ハース社製)が、弱酸性陽イオン交換樹脂はアンバーライトIRC76(ローム・アンド・ハース社製)がそれぞれ例示できる。このうち、強酸性陽イオン交換樹脂はこれを触媒として用いる反応が数多いことから利用価値が高い。なお、通常使用に際しては必要に応じ前処理を行い、上記のような遊離の酸基(H型)に変換される。
【0018】
陽イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物は、通常目的生成物、該触媒由来のアニオン性不純物及び反応形態によっては未反応原料を含む混合物として得られる。また、該触媒由来のアニオン性不純物としては、反応当初から存在する樹脂製造由来の不純物及び反応過程で発生する不純物が挙げられる。アニオン性不純物としては、スチレンスルホン酸のモノマーやダイマー、ポリスチレンスルホン酸及び硫酸イオンなどが挙げられる。反応で得られる触媒反応生成物は、通常そのまま全量を後段の混合樹脂と接触させるが、例えば目的生成物以外の未反応原料等を分離除去する操作を適宜行なってもよい。
【0019】
本例において、上記触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該触媒反応生成物中のアニオン性不純物を該陰イオン交換樹脂で除去すると共に、該陰イオン交換樹脂由来のアミン類などのカチオン性不純物を該混合樹脂中の該陽イオン交換樹脂で除去する。また、該陽イオン交換樹脂から硫酸イオンなどの不純物が発生したとしても、これは混合樹脂中の陰イオン交換樹脂で除去できる。触媒反応生成物を例えば陰イオン交換樹脂に接触させた後、陽イオン交換樹脂に接触させる逐次的接触法は、後段の陽イオン交換樹脂から発生する硫酸イオンなどの不純物が除去されず溶出する点で使用できない。
【0020】
本例の精製工程で用いられる混合樹脂中の陰イオン交換樹脂としては、例えば強塩基性陰イオン交換樹脂及び弱塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。本例の精製工程で用いられる陽イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂が該混合樹脂中の陰イオン交換樹脂由来のアミン類などのカチオン性不純物を効率的に吸着除去するという点で好ましい。混合樹脂中の陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂は、触媒反応生成物が非水物であれば、水分含有量が30%以下、好ましくは10%以下の乾燥樹脂を用いることが好ましい。混合樹脂中、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の配合割合としては、特に制限されないが、体積比で1:5〜5:1の範囲で適宜決定すればよい。
【0021】
上記混合樹脂で不純物が除去された精製反応生成物は、バッチ処理であれば、混合樹脂をろ別により除去して得られる。また連続処理であれば、例えばカラムの混合樹脂充填層からの流出液として得られる。該精製反応生成物は製品形態により、そのまま製品としてもよく、あるいは例えば目的生成物以外の未反応原料等を分離除去する操作を適宜行なってから製品としてもよい。
【0022】
本第1の実施の形態における触媒反応生成物の精製方法によれば、反応過程で発生する陽イオン交換樹脂由来の不純物、及び精製工程における混合樹脂から発生する陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂由来の不純物を共に除去することができる。また、陽イオン交換樹脂を反応に供する際、前処理を行なわなかった場合、あるいは前処理を行なっても洗浄が不十分な場合であっても、該陽イオン交換樹脂製造由来の不純物も同様に除去できる。このため、反応生成物の純度を確実に高めることができる。また、触媒反応生成物は直ちに後段の混合樹脂で処理されるため、触媒反応生成物中に存在する硫酸イオンなど酸成分による過剰な触媒反応が継続されることを防止することができ、かつ酸成分による配管腐食等を防止することができる。更に精製工程の後で未反応の原料などを回収する場合、回収原料の純度を高めることができる。
【0023】
本発明の第2の実施の形態における触媒反応生成物の精製方法は、陰イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法である。陰イオン交換樹脂を触媒に用いる反応としては、特に制限されないが、例えばアルドール縮合、クネベナーゲル縮合、アルコール類のシアノエチル化、ベンゾイン縮合、クロトン縮合、ミハエル縮合が挙げられる。これらの反応の条件としては特に制限されず、反応が温和な条件で行なわれる場合であっても、触媒に用いる陰イオン交換樹脂由来のアミン類などの不純物は必ず微量溶出する。
【0024】
反応触媒である陰イオン交換樹脂としては、例えばイオン交換基としてアミノ基、第4級アンモニウム塩等の塩基性基を有するイオン交換樹脂が挙げられる。具体例としては、強塩基性陰イオン交換樹脂はアンバーリストA26(ローム・アンド・ハース社製)が、弱塩基性陰イオン交換樹脂はアンバーリストA21(ローム・アンド・ハース社製)がそれぞれ例示できる。このうち、強塩基性陰イオン交換樹脂はこれを触媒として用いる反応が、強酸性陽イオン交換樹脂ほどではないが数多いことから利用価値が高い。これらの市販品は通常使用に際しては前処理を行い、水酸基アニオンに変換される。
【0025】
陰イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物は、通常目的生成物、該触媒由来のカチオン性不純物及び反応形態によっては未反応原料を含む混合物として得られる。また、該触媒由来のカチオン性不純物としては、反応当初から存在する樹脂製造由来の不純物及び反応過程で発生する不純物が挙げられる。カチオン性不純物としては、アミン類などが挙げられる。反応で得られる触媒反応生成物は、通常そのまま全量を後段の混合樹脂と接触させるが、例えば目的生成物以外の未反応原料等を分離除去する操作を適宜行なってもよい。
【0026】
本例において、上記触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該触媒反応生成物中のカチオン性不純物を該陽イオン交換樹脂で除去すると共に、該陽イオン交換樹脂由来の硫酸イオンなどのアニオン性不純物を該混合樹脂中の該陰イオン交換樹脂で除去する。また、該陰イオン交換樹脂からアミン類などの不純物が発生したとしても、これは混合樹脂中の陽イオン交換樹脂で除去できる。触媒反応生成物を例えば陽イオン交換樹脂に接触させた後、陰イオン交換樹脂に接触させる逐次的接触法は、後段の陰イオン交換樹脂から発生するアミン類などの不純物が除去されず溶出する点で使用できない。
【0027】
第2の実施の形態例の精製工程で用いられる陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂は、前記第1の実施の形態例と同様のものが使用できる。すなわち、混合樹脂において、強酸性陽イオン交換樹脂は触媒由来のアミン類などのカチオン性不純物を吸着除去し、強塩基性陰イオン交換樹脂または弱塩基性陰イオン交換樹脂は混合樹脂中の強酸性陽イオン交換樹脂由来のスチレンスルホン酸のモノマーやダイマー及び硫酸イオンなどアニオン性不純物を吸着除去する。また、該強塩基性陰イオン交換樹脂または弱塩基性アニオン交換樹脂からアミン類が発生したとしても、混合樹脂中の強酸性陽イオン交換樹脂で吸着除去できる。
【0028】
上記混合樹脂で不純物が除去された精製反応生成物は、前記第1の実施の形態例と同様、バッチ処理であれば、混合樹脂をろ別により除去して得られる。また連続処理であれば、例えばカラムの混合樹脂充填層から流出液として得られる。該精製反応生成物は製品形態により、そのまま製品としてもよく、あるいは例えば目的生成物以外の未反応原料等を分離除去する操作を適宜行なってから製品としてもよい。
【0029】
本第2の実施の形態における触媒反応生成物の精製方法によれば、反応過程で発生する陰イオン交換樹脂由来の不純物、及び精製工程における混合樹脂から発生する陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂由来の不純物を共に除去することができる。また、陰イオン交換樹脂を反応に供する際、前処理を行なわなかった場合、あるいは前処理を行なっても洗浄が不十分な場合であっても、該陰イオン交換樹脂製造由来の不純物も同様に除去できる。このため、反応生成物の純度を確実に高めることができる。また、触媒反応生成物は直ちに後段の混合樹脂で処理されるため、触媒反応生成物中に存在するアルカリによる過剰な触媒反応が継続されることを防止することができる。更に精製工程の後で未反応の原料などを回収する場合、回収原料の純度を高めることができる。
【0030】
本発明の触媒反応生成物の精製方法において、精製工程である混合樹脂に触媒反応生成物を通液する形態としては、特に制限されないが、バッチ処理方法及びカラムによる連続処理方法が挙げられる。このうち、連続処理方法が1パス通水で不純物を効率的に除去できる点で好ましい。連続処理方法を実施する装置としては、触媒であるイオン交換樹脂が充填された反応塔と、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂が充填された精製塔と、該反応塔から得られる触媒反応生成物を該精製塔に供給する配管とを備えるものが挙げられる。この装置によれば、簡易な構造であって、本発明の触媒反応生成物の精製方法を確実に実施できる。
【0031】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって本発明を制限するものではない。
実施例1
(フェノールのアルキル化)
1000mlの三口フラスコに、触媒として1.6gのH型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRY(ローム・アンド・ハース社製)を入れ、これに200gのフェノールを加え、乾燥窒素雰囲気下で70〜75℃に加熱した。次いで、攪拌しながら265gの2,4,4−トリメチル−2−ペンテンを5時間かけて添加し、添加終了後更に3.5時間攪拌を継続して反応させた。反応終了後、陽イオン交換樹脂も含めた反応混合物をポリテトラフロロエチレンのメッシュ及び1μmのろ紙にこの順序で流し、触媒樹脂をろ別すると共に、ろ過液として反応生成物を得た。なお、この反応においてH型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRYは前処理を省略して用いた。
【0032】
(触媒反応生成物の精製)
直径16mm、高さ300mmのガラスカラムに、3gのH型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRY(水分含有量0.5%;ローム・アンド・ハース社製)と4gの弱塩基性陰イオン交換樹脂アンバーリストA21(ローム・アンド・ハース社製)を水分含有率5%になるように乾燥したものを混合して充填し精製用イオン交換樹脂カラムAを作製した。この精製カラムに上記の反応で得られた反応生成物をSV2、液温58℃で接触させ、精製された反応生成物を得た。この精製物は半量を溶出物の定量を行なうための分析用とし、他の半量は反応生成物の純度を測定するため蒸留用とした。
(溶出物の定量分析)
精製された反応生成物の半量と20℃の超純水を体積比1:1で混合し、30分間振とうした後、遠心分離で水層を抽出液として分離し、該抽出液中の硫酸イオンとアミン類の濃度を測定した。硫酸イオンはイオンクロマトグラフィーで分析し、アミン類はガスクロマトグラフィーで分析した。また、イオン交換混合樹脂接触前、すなわち、精製されていない反応生成物についても同様の分析を行い、精製前後の比較を行なった。結果を表1に示す。
(反応生成物の純度測定)
他の半量の精製された反応生成物を140〜180℃、2.66×10−3MPaで減圧蒸留を1時間行ない57%収率、99.8%純度のp−tert−オクチルフェノールを得た。
【0033】
比較例1
触媒反応生成物の精製における精製用イオン交換樹脂カラムAの代わりに、直径16mm、高さ300mmのガラスカラムに、7gの弱塩基性陰イオン交換樹脂アンバーリストA21(ローム・アンド・ハース社製)を水分含有率5%になるように乾燥したものを充填した精製用イオン交換樹脂カラムBを用いた以外は、実施例1と同様の方法で行なった。結果を表1に示す。なお、減圧蒸留の結果、反応生成物は55%収率、99.7%純度であった。
【0034】
参考例1
フェノールのアルキル化における前処理を省略したH型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRYに代えて、下記の前処理を行なったH型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRYを用いた以外、実施例1と同様のフェノールのアルキル化を行なった。なお、参考例1では触媒反応生成物の精製を行なわずに実施例1と同様の分析を行なった。その結果を表1に示す。なお、減圧蒸留の結果、反応生成物は54%収率、99%純度であった。
(前処理)
1.6gの未処理H型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15DRYを100mlの三角フラスコに入れ、50mlのメタノールで浸漬して膨潤させた後、純水に置換し、5%水酸化ナトリウム50mlに浸漬して1時間ゆっくり攪拌し、再び純水で置換し樹脂に残存する溶出物を低減させる処理を行なった。樹脂を分離した後、カラムに充填し、5%塩酸5容量倍をSV5で通薬し、その後同じ流速で純水で押出した後、純水で充分に洗浄を行った。得られたH型の湿潤樹脂に対して50mlフェノール置換を5回繰り返してフェノール中の水分が1000mg/l以下になったことを確認した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1から、陽イオン交換樹脂を触媒として用いる反応において、該触媒の前処理を行なっても、触媒反応生成物には硫酸イオンが溶出していることから、反応過程で強酸性陽イオン交換樹脂由来の硫酸イオンが発生することが判る。この硫酸イオンは強塩基性アニオン交換樹脂で吸着除去できるものの、該強塩基性アニオン交換樹脂自身のアミン酸が溶出してくるため、精製物の純度が上がらないことが判る。そして、このアミン酸は強塩基性アニオン交換樹脂と混合される強酸性陽イオン交換樹脂で除去できることが判る。
【0037】
【発明の効果】
本発明の触媒生成物の精製方法によれば、イオン交換樹脂を酸性または塩基性触媒として用いる触媒反応において、反応生成物に混入したイオン交換樹脂由来の不純物を効率的に除去して高純度の反応生成物を得ることができる。また、触媒生成物中に含まれる酸やアルカリを除去するため、残留する酸やアルカリによる過剰な触媒反応が生ずることを防止することができ、さらに装置に対する腐食を防止することができる。
Claims (3)
- 陽イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法であって、該触媒由来のアニオン性不純物を含む触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該アニオン性不純物を該陰イオン交換樹脂で除去すると共に、該陰イオン交換樹脂由来のカチオン性不純物を該混合樹脂中の該陽イオン交換樹脂で除去することを特徴とする触媒反応生成物の精製方法。
- 陰イオン交換樹脂を触媒に用いる反応で得られる触媒反応生成物の精製方法であって、該触媒由来のカチオン性不純物を含む触媒反応生成物を陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂に接触させ、該カチオン性不純物を該陽イオン交換樹脂で除去すると共に、該陽イオン交換樹脂由来のアニオン性不純物を該混合樹脂中の該陰イオン交換樹脂で除去することを特徴とする触媒反応生成物の精製方法。
- 触媒であるイオン交換樹脂が充填された反応塔と、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合樹脂が充填された精製塔と、該反応塔から得られる触媒反応生成物を該精製塔に供給する配管とを備えることを特徴とする精製装置。
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