JP5409125B2 - 耐scc性に優れる7000系アルミニウム合金押出材及びその製造方法 - Google Patents
耐scc性に優れる7000系アルミニウム合金押出材及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5409125B2 JP5409125B2 JP2009131359A JP2009131359A JP5409125B2 JP 5409125 B2 JP5409125 B2 JP 5409125B2 JP 2009131359 A JP2009131359 A JP 2009131359A JP 2009131359 A JP2009131359 A JP 2009131359A JP 5409125 B2 JP5409125 B2 JP 5409125B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- extruded material
- aluminum alloy
- extrusion
- range
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Extrusion Of Metal (AREA)
Description
この場合にZn、Mgを適宜添加すると、強度は上昇するが、耐SCC性が低下することが知られている。
その理由として必要な強度を確保するためにZn、Mgを添加すると、結晶粒界には鋳造工程における凝固後の冷却時に晶出物が晶出し、押出材製造工程における押出直後の冷却時に粒界析出物が析出し、粒内と粒界の電位差が拡大することによって、応力腐食割れが発生する環境にさらされたときに粒界の晶出物、析出物が溶出し、割れが発生すると考えられている。
特許文献1、2等には合金組成成分範囲を制御し、PFZ(無析出帯)を制御することで耐SCC性を改善した技術を開示するが、その改善効果が未だ不十分であった。
ここで、耐力が、300〜550MPaの範囲であるのが好ましい。
7000系のアルミニウム合金押出材は、Mg、Zn、Cu添加量を調整することにより、バンパリィンホースなどの構造材として必要な強度を確保する必要があるが、質量%で、Mg添加量を0.8〜1.5%、Zn添加量を5.5〜7.0%、Cu添加量を0.05〜0.3%に設定するのがよい。
その他の添加成分としては、Mn:0.05〜0.3%、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.2%を単独または混合して添加し結晶粒を微細化したり、再結晶を抑えることも耐SCC性の改善に寄与することは公知である。
また、ビレット鋳造時の結晶粒の微細化には、Ti:0.001〜0.05%添加すると効果があることは公知である。
これに対して本発明の特徴は、7000系アルミニウム合金押出材の耐SCC性はアノード型SCCであるので、粒内−粒界の電位差が大きいと粒界の晶出物、析出物が溶出することで割れが発生することから、金属組織の結晶粒内に粒子径1〜15nmの析出物が1,000〜10,000ヶ/μm2存在するようにした点にあり、これにより、粒内−粒界の電位差が小さくなり、耐SCC性が向上する。
このように、結晶粒内に粒子径1〜15nmの析出物が所定量存在するようにするには、押出ダイスから押し出されてくる押出直後の押出材温度が580〜660℃の範囲で、その後に20℃/min〜50℃/minの冷却速度で押出材温度が100℃以下になるまで冷却するとよく、押出材を押出成形後に2段時効処理する工程において1段目の熱処理温度が70〜100℃の範囲で2段目の熱処理温度が140〜170℃の範囲にするとよい。
本発明において製造条件を上記のように設定した理由は次のとおりである。
(1)押出直後の押出材温度が580℃未満であると溶体化処理が不十分であり、その後の熱処理によって粒内に15nm以下の析出物が所定量析出しなく、耐力が300MPa未満になる。
また、押出材温度が600℃を超えると次第に押出材表面に肌荒れが発生し、660℃を超えると溶解するため、押出材温度は580℃〜660℃とし、望ましくは600℃以下とした。
(2)形材冷却速度は100℃以下になるまで管理し、冷却速度が20℃/min以下になると、焼入れが十分に得られず、その後の熱処理によって粒内に15nm以下の析出物が所定量析出しない。
また、50℃/min以上になると、PFZに影響を及ぼすことでSCC性が低下するため、押出材の冷却速度は20℃/min以上、50℃/min以下とした。
(3)製造条件における2段時効処理時の2段目の熱処理温度が140℃以下であると、熱処理時間が長くなり、生産性が低下する。
また、170℃を超えると析出物は粗大化するために粒内に15nm以下の析出物が所定量析出しなく、耐力も300MPa未満になる。
そこで、製造条件における2段時効処理時の2段目の熱処理温度は140℃以上、170℃以下とし、20時間以内とした。
図1の表における各実施例と比較例の時効処理条件を以下に示し、
1段目時効処理条件−2段目時効処理条件の順に示す。
実施例1 95℃,4時間−160℃,4時間
実施例2 95℃,4時間−150℃,7時間
実施例3 90℃,4時間−140℃,14時間
比較例1 95℃,4時間−160℃,4時間
比較例2 95℃,4時間−150℃,7時間
比較例3 90℃,4時間−140℃,14時間
比較例4 95℃,4時間−160℃,4時間
比較例5 90℃,6時間−150℃,8時間
比較例6 90℃,4時間−135℃,20時間
比較例7 90℃,4時間−175℃,2時間
なお、図1の表中に、製造条件、耐力が管理内にあるものを「○」と表示した。
(応力腐食割れ試験方法)
図6に示すように耐力の80%の応力を3点曲げにより負荷し、クロム酸混合液中に連続浸漬し、割れが発生するまでの時間を評価した。
(腐食環境)
ニクロム酸カリウム:30g/L、酸化クロム(6価):36g/L、塩化ナトリウム :3g/L混合液→50℃に温浴し、連続浸漬した。
(応力負荷用治具)
(1)応力負荷用治具は、アルミ製のコ字型形状で、サンプル(評価材)をセットした後に、ステンレスボルトで締上げて3点曲げし、応力負荷する。
(2)サンプルと応力負荷用治具はアルミナ棒で絶縁し、ステンレスボルトとの電食によるアルミサンプルの溶出により、負荷した応力に影響がないように配慮した。
(3)評価サンプルに負荷した応力は、評価サンプルの厚さ及び、押出方向に連続した部位から引張試験を行って測定したヤング率及び耐力を、以下の式に従って3点曲げ量を決定し、応力を負荷した(JIS H 8711準拠)。
浸漬開始より6、12、24、36、48、60、72hr後に表面を目視で観察し、明瞭な割れが観察されるか記録した。
割れ発生サイクルが長いほどSCC性に優れる。72hr連続浸漬で明瞭な割れが発生しなかった場合、評価を○とし、それ以外を×とした。
図2は実施例1、図3は実施例2、図4は実施例3、図5は比較例4に相当する結晶粒内の透過型電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。
これらの写真を比較すると分かるように、押出材の押出直後の温度、その後の冷却速度を所定内に制御し、人工時効処理の2段目の条件を140℃〜170℃とした実施例1〜3は粒内析出物がそれぞれ1,400ヶ/μm2、6,800ヶ/μm2、8,500ヶ/μm2で有り、耐SCC性に優れることが確認できた。
Claims (3)
- 押出ダイスから押し出されてくる押出直後の押出材温度が580〜660℃の範囲で、その後に20℃/min〜50℃/minの冷却速度で押出材温度が100℃以下になるまで冷却し、金属組織の結晶粒内に粒子径1〜15nmの析出物が透過型電子顕微鏡による観察測定で1,000〜10,000ヶ/μm2存在していることを特徴とする耐SCC性に優れる7000系アルミニウム合金押出材。
- 耐力が、300〜550MPaの範囲であることを特徴とする請求項1記載の耐SCC性に優れる7000系アルミニウム合金押出材。
- 押出ダイスから押し出されてくる押出直後の押出材温度が580〜660℃の範囲で、その後に20℃/min〜50℃/minの冷却速度で押出材温度が100℃以下になるまで冷却した7000系アルミニウム合金の押出材を2段時効処理する工程において1段目の熱処理温度が70〜100℃の範囲で2段目の熱処理温度が140〜170℃の範囲であることを特徴とする耐SCC性に優れる7000系アルミニウム合金押出材の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009131359A JP5409125B2 (ja) | 2009-05-29 | 2009-05-29 | 耐scc性に優れる7000系アルミニウム合金押出材及びその製造方法 |
CN2009101616838A CN101899597B (zh) | 2009-05-29 | 2009-07-28 | 耐scc性优异的7000系铝合金挤出材料及其制造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009131359A JP5409125B2 (ja) | 2009-05-29 | 2009-05-29 | 耐scc性に優れる7000系アルミニウム合金押出材及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010275611A JP2010275611A (ja) | 2010-12-09 |
JP5409125B2 true JP5409125B2 (ja) | 2014-02-05 |
Family
ID=43225510
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009131359A Active JP5409125B2 (ja) | 2009-05-29 | 2009-05-29 | 耐scc性に優れる7000系アルミニウム合金押出材及びその製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5409125B2 (ja) |
CN (1) | CN101899597B (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5204793B2 (ja) * | 2010-01-12 | 2013-06-05 | 株式会社神戸製鋼所 | 耐応力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材 |
CN103608477A (zh) * | 2011-06-02 | 2014-02-26 | 爱信轻金属株式会社 | 铝合金及使用其的挤出型材的制造方法 |
CN102489973B (zh) * | 2011-12-23 | 2013-08-28 | 东北轻合金有限责任公司 | 轿车保险杠用铝合金空心型材的制造方法 |
EP2899287B1 (en) * | 2012-09-20 | 2018-03-07 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | Aluminum alloy plate for automobile part |
JP5946425B2 (ja) * | 2013-05-31 | 2016-07-06 | アイシン軽金属株式会社 | アルミニウムの合金押出材の製造方法 |
CN104018038A (zh) * | 2014-05-20 | 2014-09-03 | 广东豪美铝业股份有限公司 | 一种汽车防撞梁用铝合金及其产品制造方法 |
CN104071106B (zh) * | 2014-07-22 | 2016-03-23 | 辽宁忠旺集团有限公司 | 汽车用铝合金保险杠的生产工艺 |
JP2016151045A (ja) * | 2015-02-17 | 2016-08-22 | 株式会社神戸製鋼所 | 耐応力腐食割れ性に優れた7000系アルミニウム合金部材の製造方法 |
CN108866406B (zh) * | 2018-08-27 | 2020-09-25 | 江苏大学 | 680MPa强度高抗剥落腐蚀性能7000系铝合金的制备方法 |
JP7366553B2 (ja) * | 2019-02-06 | 2023-10-23 | アイシン軽金属株式会社 | アルミニウム合金部材の製造方法 |
JP6979991B2 (ja) | 2019-10-09 | 2021-12-15 | 株式会社Uacj | 耐応力腐食割れ性に優れた溶接構造部材及びその製造方法 |
CN112760532A (zh) * | 2020-12-25 | 2021-05-07 | 广西南南铝加工有限公司 | 一种装卸转运平台用铝合金型材及其制备方法 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09310141A (ja) * | 1996-05-16 | 1997-12-02 | Nippon Light Metal Co Ltd | 押出し性に優れた構造材料用高強度Al−Zn−Mg系合金押出し形材及びその製造方法 |
SK285689B6 (sk) * | 1999-02-12 | 2007-06-07 | Norsk Hydro Asa | Spôsob prípravy Al-Mg-Si zliatiny spracovateľnej teplom |
US20030051784A1 (en) * | 2001-03-20 | 2003-03-20 | Denzer Diana K. | Method for increasing the strength and/or corrosion resistance of 7000 series Al aerospace alloy products |
JP4281609B2 (ja) * | 2004-04-26 | 2009-06-17 | 日本軽金属株式会社 | 成形性に優れたアルミニウム合金押出材およびその製造方法 |
JP4925028B2 (ja) * | 2005-03-30 | 2012-04-25 | 東洋アルミニウム株式会社 | アルミニウム合金成形材 |
JP4824358B2 (ja) * | 2005-07-22 | 2011-11-30 | 株式会社デンソー | 表面性状に優れたアルミニウム合金押出材とその製造方法、および熱交換器用多孔管ならびに該多孔管を組み込んだ熱交換器の製造方法 |
JP4977281B2 (ja) * | 2005-09-27 | 2012-07-18 | アイシン軽金属株式会社 | 衝撃吸収性及び耐応力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材及びその製造方法 |
JP2011001563A (ja) * | 2007-09-06 | 2011-01-06 | Aisin Keikinzoku Co Ltd | 耐衝撃割れ性に優れたアルミニウム合金押出材 |
JP5344855B2 (ja) * | 2008-06-05 | 2013-11-20 | 株式会社神戸製鋼所 | 圧壊特性に優れるアルミニウム合金押出材 |
-
2009
- 2009-05-29 JP JP2009131359A patent/JP5409125B2/ja active Active
- 2009-07-28 CN CN2009101616838A patent/CN101899597B/zh active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN101899597B (zh) | 2012-07-18 |
JP2010275611A (ja) | 2010-12-09 |
CN101899597A (zh) | 2010-12-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5409125B2 (ja) | 耐scc性に優れる7000系アルミニウム合金押出材及びその製造方法 | |
JP7321828B2 (ja) | 高強度6xxxアルミニウム合金及びその作製方法 | |
JP6955483B2 (ja) | 耐食性に優れ、良好な焼入れ性を有する高強度アルミニウム合金押出材及びその製造方法 | |
EP3339457B1 (en) | Extruded al-mg-si aluminium alloy profile with improved properties | |
KR20180016608A (ko) | 고강도이며 용이하게 성형 가능한 almg-스트립 및 그 제조 방법 | |
JP6990527B2 (ja) | アルミニウム合金材 | |
JP5703881B2 (ja) | 高強度マグネシウム合金およびその製造方法 | |
JP6229130B2 (ja) | 鋳造用アルミニウム合金及びそれを用いた鋳物 | |
WO2013115227A1 (ja) | 耐食性、延性及び焼入れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材及びその製造方法 | |
WO2019167469A1 (ja) | Al-Mg-Si系アルミニウム合金材 | |
JP2009263720A (ja) | 耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材およびその製造方法 | |
JP2021110042A (ja) | 靭性及び耐食性に優れる高強度アルミニウム合金押出材の製造方法 | |
JPH11310841A (ja) | 疲労強度に優れたアルミニウム合金押出形材およびその製造方法 | |
JP2007070686A (ja) | 良加工性マグネシウム合金及びその製造方法 | |
JP2006274415A (ja) | 高強度構造部材用アルミニウム合金鍛造材 | |
WO2016031938A1 (ja) | アルミニウム合金板 | |
JP2007070685A (ja) | 良加工性マグネシウム合金及びその製造方法 | |
JP4602195B2 (ja) | 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 | |
EP3480326A1 (en) | Aluminum alloy sheet having excellent ridging resistance and hem bendability and production method for same | |
JP6096488B2 (ja) | 7000系アルミニウム合金の押出成形用ビレット及び押出形材の製造方法 | |
JP5872359B2 (ja) | 自動車用アルミニウム合金鍛造部材およびその製造方法 | |
JP4164437B2 (ja) | 成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 | |
JP2008231475A (ja) | 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法 | |
JP2007239029A (ja) | 展伸加工用耐熱アルミニウム合金 | |
JP3210419B2 (ja) | フランジ成形性に優れたdi缶用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120329 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130729 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130912 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131021 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131105 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |