JP5408700B2 - プレス機械 - Google Patents
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Description
図10の状態で、プレス成形するために、上型1が下降し、上型1の突出部11tが材料Pの上面に当接する。
ここで、上型1の突出部11tが材料Pの上面に当接した時点では、材料Pは、ブランクホルダ3と上型1とにより保持されてはいない。
そして、上型1の突出部12tが、材料Pの上面に当接する。
上型1の突出部12tが材料Pの上面に当接した段階において、材料Pの両端は、上型1とブランクホルダ3とによって保持或いは固定されてはいない。したがって、図11の状態から上型1がさらに加工すると、材料Pの両端部は、図11で示す位置から変位量(或いは「ずれ」)δだけ移動してしまう。
この「ずれ」δは、上型1の複数の突起が材料Pと当接する態様や、当接する位置の如何によって、必ずしも図11の左右方向について同一とはならない。また、左右合計の「ずれ」δの量も、例えば突出部11t、12tの突出量によって、異なった数値となる。
なお、図10、図11における符号7は、材料Pのたわみを抑制する保持シリンダを示している。
この様な「ずれ」δが生じる結果、プレス成形後の材料Pに対して、別工程(再トリミング)により加工する必要が生じる場合がある。
ここで、プレス成形される以前の材料Pの輪郭C(実線のライン)は、材料取りの際の専用カッタの輪郭形状である。
プレス成形後に加工(トリミング)された製品の輪郭Pa(点線のライン)は、プレス成形後の後工程で行われるトリミングのカッタの輪郭であり、製品形状に最も近い輪郭である。換言すれば、輪郭Paは、プレス成形が適正に行なわれた場合におけるトリミングラインである。
そして、プレス成形時に材料Pが図12の右方にずれた場合におけるプレス成形品の輪郭Pb(破線のライン)において、寸法δbは右方にずれた「ずれ」量を示している。
また、プレス成形時に材料Pが図12の左方にずれた場合におけるプレス成形品の輪郭Pc(2点鎖線のライン)において、寸法δcは左方にずれた「ずれ」量を示している。
トリミングラインPaの下辺において、符号Lcsで示す部分は、ラインLCの傾斜部である。
プレス成形の際に材料Pが図12の左方にずれた場合は、トリミングライン下辺における斜辺部は、2点鎖線Pcsで示す位置となる。この場合には、別途加工工程(再トリミング)において、辺Lcs(実線の輪郭の斜辺部)と辺Pcs(2点鎖線の輪郭の斜辺部)で囲まれた余剰部分を切断しなくてはならない。すなわち、修正工程(再トリミング)が必要となり、余計な労力が必要となる。
一方、プレス成形の際に材料Pが図12の右方にずれた場合には、トリミングライン下辺における斜辺部Pbs(破線で示す輪郭)の位置が、適正な位置(実線で示す辺Lcs)よりも図12における右側となり、辺Pbsと辺Lcsで包囲される部分が欠落することになる。そのため、プレス成形の際に材料Pが図12の右方にずれた場合には、トリミングされた製品は不合格となってしまう。
この様に、プレス成形の際に材料Pがずれる(変位する)ことは、トリミングさせた製品を別途修正工程で加工する必要を生ぜしめ、或いは、トリミングさせた製品を不良品にしてしまうという問題を惹起する。
しかし、係る技術(特許文献1)は、絞り成形における絞り深さが深い場合に余肉幅が大きくなるのを回避する技術であり、上述した問題を解決することは出来ない。
そのため、上型(1、1A、1B)と保持部分(ブランクホルダ3)とがプレス材料(P)を挟み込む際にもプレス材料(P)が撓んでしまうことが防止される。そして、上型(1、1A、1B)と下型(2)によりプレス材料(P)をプレス成形する際に、プレス材料(P)の位置が所定位置から大きく変位してしまう(ずれてしまう)ことがなくなる。
そして、プレス成形後の切断その他の機械加工が不要なので、プレス機械の設計レイアウトの自由度が増大して、後工程金型の設計が容易になる。
さらに、プレス成形の際にプレス材料(P)の位置が大きく変位することが防止されるため、予め「ずれ」が発生することを予想して、プレス材料(P)を大きくする必要がなくなる。換言すれば、プレス材料(P)の寸法を小さく設定して、プレス材料(P)を効率的に使用することが可能になる。
図1〜図3は、本発明の第1実施形態を示している。
図1において、第1実施形態に係るプレス機械は全体を符号101で示されている。そしてプレス機械101は、上型1と、下型2と、ブランクホルダ3と、材料クランプ機構4とを備えている。
プランクホルダ3は、下型2の図1における左右両側に配置されている。そしてブランクホルダ3の上面には、ネスト32が立設されている。ここで、ネスト32は、材料Pの位置決め部材である。なお、図1では、右側のネスト32の図示が省略されている。
図1では、プレス材料(以下、「材料」と言う)Pが、左右のブランクホルダ3の上面31に載置された状態が示されている。
エアシリンダ40は、シリンダ本体41と伸縮ロッド42を有し、伸縮ロッド42は、図示しないピストンと接続され、当該図示しないピストンはシリンダ本体41内を往復動する。そして伸縮ロッド42は、図示しないピストンのシリンダ本体41内における往復動に連動して、伸長し、収縮する。
シリンダ本体41の端部(図2における下端)が、エアシリンダ40の端部43となっている。
シリンダ本体41の両端部(図2における上端部及び下端部)には、2つの給気口41a、41bが設けられている。
給気口41aに高圧エアを供給することによって伸縮ロッド42は収縮し、給気口41bに高圧エアを供給することによって伸縮ロッド42は伸張する様に構成されている。
なお、図2では明示されていないが、ブラケット3B及びブラケット41Bは、何れもブランクホルダ3に固定して設けられている。
第1のアーム46と第2のアーム47との概略中間点には、回転支持部45pが形成されている。回転支持部45pは、例えばクレビスピンによって、ブラケット3Bに対して、回動自在に取付けられている。
第2のアーム47の接続部47pは、例えばクレビスピンによって、伸縮ロッド42の先端の接続部材44と回動自在に接続されている。
また、エアシリンダ40は、図示しないピストンがエアシリンダ40内で往復動する方向が、ブランクホルダ3の上面31と概略直交する様に配置されている。
そして、エアシリンダ40の伸縮ロッド42の伸張側の給気口41bに、高圧エアを供給する(ステップS2)。給気口41bに高圧エアを供給すると、伸縮ロッド42が伸張し、クランパ45が、回転支持部45pを中心に、材料Pをブランクホルダ3の上面31に押圧する側(図2における反時計回り)に回転し、材料Pを保持する(ステップS3)。
次に、プレス成形が完了してエアシリンダ40における給気口41a側に高圧エアを供給する(ステップS5)。給気口41a側に高圧エアを供給すると、伸縮ロッド42が収縮を始め、クランパ45が材料押圧側から離隔する側(図2の時計回り)に回転する(ステップS6)。
伸縮ロッド42が収縮しきったら、プレス成形された材料P(ワーク)を金型(下型)2から取り外して(ステップS7)、プレス機械101における一連の作業を終える。
そのため、上型1とブランクホルダ3とが材料Pを挟み込む際に、材料クランプ機構4で保持された材料Pは所定の位置に保持されるので、プレス成形の際に所定の位置から移動してしまうことが防止できる。その結果、上型1と下型2により材料Pをプレス成形する際に、材料Pの位置が所定位置から大きく変位する(ずれる)ことが防止できる。
そして、プレス成形後の切断その他の機械加工が不要となるため、プレス成形後の加工機械の配置を考慮する必要が無くなり、プレス機械の設計レイアウトの自由度が増大して、設計が容易になる。
換言すれば、材料Pの寸法を最小限に設定して、設計段階での材料歩留まりを飛躍的に向上させることが出来て、材料Pを効率的に使用することが可能になる。
図4において、第2実施形態のプレス機102は、上型1Aと、下型2と、下型2の図4における左右両端部近傍に配置されたブランクホルダ3と、押さえピン機構5とを備えている。
押さえピン機構5は、図4においては、右側のみに設けられているが、左側にのみ設けることも可能である。ただし、図1〜図3の第1実施形態と同様に、金型の形状、生産仕様、生産設計等によって、図4の左右方向における複数箇所に押さえピン機構5を設けることも可能であり、図4の紙面に垂直な方向(前後方向)における複数箇所に押さえピン機構5を設けることも可能である。さらに、図4の左右方向と図4の紙面に垂直な方向(前後方向)とにおいて、合計して複数の押さえピン機構5を設けることも出来る。
左右のブランクホルダ3の上面には材料Pの位置決め部材であるネスト32が立設されている。
上型1Aにおけるブランクホルダ3において、上型1Aの上面1Aaから順番に、図5において下方に向かって、異なる径の孔11、12、13が形成されている。
そして図5において、孔13の下方には、ガイドブッシュ54が嵌挿されている。
押さえ板収容孔11の下方の孔12(スプリング収容孔12)は、コイルスプリング52を収容している。
スプリング収容孔12の下方の孔13(押さえピン収容孔13)は、押さえピン51を収容している。
押さえピン収容孔13内では、押さえピン51が摺動する。そして押さえピン51は、ガイドブッシュ54を介して、上型1Aを貫通しており、押さえピン51の下端部51tは、上型1Aの下面1Abを越えて(図5において下方へ)延在している。
すなわち、スプリング収容孔12と押さえピン収容孔13との境界部分には段部が形成され、押さえピン51を押さえピン収容孔13に収容した際に、押さえピン51の頭部51bが、当該段部に載置されて、図5の下方にそれ以上移動しない様に(押さえピン51が落下しない様に、)なっている。
コイルスプリング52をスプリング収容孔12へ収容したならば、スプリング押さえ板53を押さえ板収容孔11に収容し、公知の手段、例えば植え込みボルトBにより、スプリング押さえ板53を上型1Aに固定する。
図4、図5で示すプレス機械102では、そのまま上型1Aが下降する。
上型1Aが所定量下降すると、押さえピン51の下端51tが材料Pに当接する。さらに、上型1Aを下降すれば、コイルスプリング52が圧縮され、押さえピン51の材料Pに対する押圧力(弾性反発力、或いは付勢する力)も増加する。
係る押圧力(弾性反発力、或いは付勢する力)により、材料Pが所定の位置から移動してしまうことが防止され、材料Pを確実にブランクホルダ3条の所定位置に保持することが出来る。そして、材料Pは所定の位置に保持されて、正確にプレス加工される。
上型1Aが上昇すると共に、押さえピン51は上型1Aの下面1Abから押し出され、コイルスプリング52の圧縮が解除されるので、上述した押圧力(弾性反発力、或いは付勢する力)は減少する。
さらに上型1Aが上昇すれば、押さえピン51は材料Pから離れ、上述した押圧力(弾性反発力、或いは付勢する力)は無くなるので、材料Pの取り外しは簡単に行われる。
図6において、第3実施形態のプレス機103は、上型1Bと、下型2と、ブランクホルダ3と、ピストンロッド機構6とを備えている。
ピストンロッド機構6は、図6では、左右のブランクホルダ3に近接して設けられている。
ピストンロッド機構6は、図6においては、右側のみに設けられているが、左側にのみ設けることも可能である。ただし、図1〜図5の各実施形態と同様に、金型の形状、生産仕様、生産設計等によって、図6の左右方向における複数箇所にピストンロッド機構6を設けることも可能であり、図6の紙面に垂直な方向(前後方向)における複数箇所にピストンロッド機構6を設けることも可能である。さらに、図6の左右方向と図6の紙面に垂直な方向(前後方向)とにおいて、合計して複数のピストンロッド機構6を設けることも出来る。
左右のブランクホルダ3の上面には材料Pの位置決め部材であるネスト32が立設されている。
ガススプリング60は、ガスシリンダ61とピストンロッド62とを有している。
ピストンロッド62は、ガスシリンダ61内に封入された高圧の不活性ガス、例えば、窒素ガスによって伸縮し、通常時は(ピストンロッド62が)最大に伸長した状態になっている。
孔14の内径は孔15の内径よりも大きく、孔15の内径は孔16の内径よりも大きく形成されている。
孔15(シリンダ収容孔15)は、ガススプリング60のガスシリンダ61を収容している。
孔16(ピストンロッド62の収容孔16)は、ガススプリング60のピストンロッド62を収容している。ピストンロッド62は、孔16内で摺動する。
ピストンロッド62の下端部62tは、図7において、上型1Bの下面1Bbよりも下方まで延在している。
その状態で上型1Bを下降させると、先ず、押さえピストンロッド62の下端62tが材料Pに当接する。さらに、下降を続ければ、ピストンロッド62が材料Pによって押圧され、ピストンロッド62はガスシリンダ61内に押し込まれる。
さらに上型1Bが上昇すれば、ピストンロッド62は材料Pから離れ、ピストンロッド62がブランクホルダ3の上面31に材料Pを押圧する力は無くなるので、材料Pは簡単に取り外される。
図8の第4実施形態は、図4、図5の第2実施形態で用いられたのと同様な押さえピン機構を、ブランクホルダ3が設けられていないプレス成形型に適用した実施形態である。
図8において、下型2Cにはブランクホルダ3が設けられておらず、下型2Cの両端には材料Pの位置決め用ネスト32のみが設けられている。
そして、図8で示すブランクホルダを有していないプレス成形型では、上型1Cと下型2Cによりプレス成形した際に、材料Pが図8の左右方向にずれてしまう恐れがある。
そのため、図8の第4実施形態では、上型1Cの(図8の左右方向)中央に、押さえピン機構5Cが設けられている。
上型1Cには、孔13Cが穿孔されている。
孔13Cにおいて、上型1Cの上面に形成されている領域は、スプリング押さえ板53Cを収容している。スプリング押さえ板53Cの下方の領域は、コイルスプリング52Cを収容している。コイルスプリング52Cよりも下方の領域にはガイドブッシュ54Cが嵌挿されており、押さえピン51Cを収容している。
図8の第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図4、図5の第2実施形態と同様である。
図9の第5実施形態では、上型1Dにはピストンロッド機構6Dが設けられており、係るピストンロッド機構6Dは、図6、図7の第3実施形態と同様に、ガススプリングを設けている。
ガススプリング60Dは、ガスシリンダ61Dとピストンロッド62Dとを有している。
上型1Dには貫通孔15Dが形成されており、当該貫通孔15D内には、ガスシリンダ61Dとピストンロッド62Dとが収容されている。
図9のピストンロッド機構6Dのその他の構成及び作用効果は、図6、図7の第3実施形態、図8の第4実施形態と同様である。
2、2A、2B、2C、2D・・・下型
3・・・保持部分/ブランクホルダ
4・・・材料クランプ機構
5、5C・・・押さえピン機構
6、6D・・・ピストンロッド機構
31・・・上面
32・・・ネスト
40・・・エアシリンダ
45・・・クランパ
51、51C・・・押さえピン
52、52C・・・コイルスプリング
60、60D・・・ガススプリング
61、61D・・・ガスシリンダ
62、62D・・・ピストンロッド
Claims (3)
- 概して下型よりも凸状の上型と概して上型よりも凹状の下型とを有するプレス機械において、下型にはプレス材料を保持する保持部分が設けられており、プレス材料を保持部分に押圧して保持する材料保持機構を有し、前記材料保持機構は、プレス材料を保持部分に押圧する押圧部材と、前記押圧部材を保持部分にプレス材料を押圧する保持位置とプレス材料を押圧しない非保持位置とに移動させる駆動機構と、下型側に固定されて押圧部材を回転可能に軸支する支持部材とを有し、前記押圧部材は、プレス材料を保持部分に押圧する押圧部と、駆動機構の往復動部材に接続される接続部と、支持部材により回転可能に軸支される支持部とを有しており、前記駆動機構はピストン・シリンダ機構により構成され、ピストンが往復動部材に接続されており、前記往復動部材が押圧部材の接続部に接続しており、前記材料保持機構は、上型と保持部分とがプレス材料を挟み込む以前の段階において、プレス材料を保持部分に押圧する機能を有しており、前記ピストン・シリンダ機構のシリンダは下型側に設けられた流体圧シリンダであり、前記流体圧シリンダが伸長することにより往復動部材は上型側に伸長し、流体圧シリンダが収縮することにより往復動部材は下型側に収縮し、前記押圧部材は支持部を中心に回動して、前記往復動部材が上型側に伸長すると保持部分にプレス材料を押圧する保持位置へ移動し、往復動部材が下型側に収縮するとプレス材料を押圧しない非保持位置へ移動する様に配置されており、前記材料保持機構は金型の片側に複数設けられていることを特徴とするプレス機械。
- 前記材料保持機構は、プレス材料を保持部分に押圧する押圧部材と、該押圧部材を下型側に付勢する弾性部材とを有し、押圧部材と弾性部材は上型に形成された中空部に収容されており、押圧部材は上型の下型側縁部よりも下型側に突出して配置されている請求項1のプレス機械。
- 上型が下型に近接すると押圧部材の下型側端部が保持部分に当接し、上型がさらに下型側に移動すると弾性部材に抗して押圧部材が中空部内に収容される機能を有している請求項2のプレス機械。
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