JP5408528B2 - 電子機器 - Google Patents

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本発明は、例えば、コンピュータ、携帯電話機等の電子機器に関し、特に、電子機器の冷却構造に関するものである。
近年、電子機器の冷却には省エネルギー、騒音防止、堅牢性強化が求められ、自然空冷を用いた冷却が増加してきている。自然空冷はファンを用いる代わりに温度差によって起こる比重差を駆動源とする上昇気流(自然対流)と放射により熱を拡散させるものである。そのため、冷却用の消費電力を低減できると共に、例えば、風きり音等、ファンから発生する騒音を防ぐことができる。
更に、内部に通風せずに筐体に熱を伝え、筐体表面から放熱ができれば、防塵・防滴構造が可能となる。しかし、発熱部に風を当てれば多くの熱量を放熱する強制対流と異なり、自然空冷に用いられる自然対流は流速0.1〜0.3m/s程度の微風であるため熱伝達率が低い。そのため、発熱体から筐体表面までの熱抵抗を低減し、筐体表面で熱を拡散することが重要になる。
そこで、例えば、特許文献1には、密閉筐体等の通風性の悪い電子機器の放熱性能を高めるために発熱IC等の発熱体からヒートパイプを伸ばして金属筐体へ直接接続することが開示されている。
特開平11−143585号公報(段落0013〜0018、図1)
特許文献1の方法を用いて内部温度を低減させたとしても、密閉筐体である限り、発生した熱は筐体表面から熱伝達と放射により機器外部へ熱を放出させなければならず、これは発生する熱は必ず筐体表面を経由することに他ならない。つまり、筐体表面からの放熱量の総和は発熱量の総和に等しくなる。
自然空冷を用いた表面の熱伝達は対流・放射ともに限界があるので、筐体表面からの放熱による温度上昇は強制空冷よりも著しく高くなる。そこで、自然空冷で放熱する電子機器の発熱部品からヒートパイプを用いて筐体表面へ熱を移動させると、ヒートパイプ接続部の筐体表面に過剰な熱が流れ込み、筐体表面温度が高温になるためユーザーが触れた際に不快感を与えてしまう課題があった。
本発明の目的は、放射による放熱効果を高め、ユーザーの体感温度を低減することが可能な電子機器を提供することにある。
本発明は、密閉構造の筐体内に発熱部品が収納され、前記発熱部品から前記筐体まで熱伝導性を有する熱輸送体が接続され、前記発熱部品の発熱を前記熱輸送体を介して前記筐体から拡散する電子機器であって、前記筐体の前記熱輸送体が接続された筐体壁の外側に赤外線を透過する赤外線透過材を配置したことを特徴とする。
本発明によれば、熱輸送体が接続された筐体壁の外側に赤外線透過材を配置することにより、密閉構造であっても放熱効果が高められ、ユーザーが触れた際の体感温度を低減することが可能となる。
本発明に係る電子機器の第1の実施例を示す断面図である。 本発明の第2の実施例を示す断面図である。 本発明の第3の実施例を示す断面図である。
次に、本発明に係る電子機器の放熱構造の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施例)
図1は本発明に係る防塵構造の電子機器の第1の実施例を示す断面図である。本実施例では、電子機器としてノートパソコンを例に挙げて説明する。電子機器であるノートパソコンの冷却構造について説明する。
図中1は発熱部品として、例えば、発熱ICであるCPU3が内部に配置された筐体である。筐体1は発熱部品から発熱する熱を対流によって筐体外部へ排気できない構造である。13、14は筐体1の筐体側壁を示す。筐体1は底面側、側面側、上面側の各筐体壁が一体の高熱伝導性を有する金属筐体である。
回路基板2に実装された発熱ICであるCPU3の一面には熱伝導性シート4、アルミブロック5を介してヒートパイプ6が接続されている。ヒートパイプ6は熱伝導率の高い熱輸送体である。
ヒートパイプ6は図1に示すように断面がコの字状の形状をしており、その端部が外側に向けてL字状に折り曲げられ、この折り曲げ部の全面が筐体1の底面側筐体7に接続されている。筐体1は、例えば、マグネシウム合金製である。ヒートパイプ6のL状の折り曲げ部が接続された筐体1の底面側の筐体壁を底面側筐体7という。底面側筐体7はヒートパイプ6が接続されているため高温となる。
この構造により、CPU3で発生した熱がヒートパイプ6を介して筐体1の底面側筐体7へ輸送され、この熱は更に底面側筐体7に沿って筐体1の他の筐体側壁13、14等へと拡散され、筐体1の全面から放熱する。21、22は脚部を示す。
ヒートパイプ6が接続された筐体1の底面側筐体7の外側には、2mmの薄い空気層8を挟んで赤外線を透過する赤外線透過材9が設置されている。赤外線透過材9と底面側筐体7との間には凸部10が配置され、底面側筐体7と赤外線透過材9との間に一定の空間(空気層8)が保たれている。凸部10には樹脂性の材質を用いることが望ましいが、熱伝導率が低い材質であれば特に制限はない。
このように筐体1のヒートパイプ6が接続された底面側筐体7の外側に一定距離をおいて赤外線透過材9を配置することにより、筐体1の一部、特に、高温となる底面側筐体7側を空気層8を挟んで二重構造としている。そのため、ヒートパイプ6が接続された底面側筐体7の高温部に赤外線透過材9が接触することがなく、赤外線透過材9への熱伝導を抑えている。
ここで、赤外線透過材9は、特に、7〜10マイクロメートルの波長を透過する材料で形成されている。例えば、赤外線透過材9には硫化亜鉛が望ましいが、難溶性で、且つ、形成が可能であれば制限は無い。底面側筐体7の空気層8に面する表面は放射率を上げるため黒く塗装されている。アルマイト処理でも良い。赤外線透過材9の外気に面する側には無反射加工を施していない。
本実施例では、ヒートパイプ6で筐体1の底面側筐体7へ運ばれた熱がユーザーの触れる赤外線透過材9の方向よりも優先して底面側筐体7の面方向へ移動し、熱を筐体1全体へ拡散させることができる。その際、筐体1の底面側筐体7と赤外線透過材9とで空気層8を挟んで二重構造としているため、ユーザーが赤外線透過材9に触れても不快感を与えづらくすることができる。
その場合、筐体1を二重構造にすると、外側の層からの放熱量が減るため装置内の温度が上昇し易くなるが、外側の層に赤外線透過材9を用いているため、放熱量の減少を抑えられ、放熱効果を高めることが可能となる。つまり、ヒートパイプ6からの熱が底面側筐体7から赤外線透過材9を介して直接外部空間への熱放射が可能となり、装置全体の熱抵抗が下げられ、発熱部品であるCPU3の温度を低減することができる。図中23は赤外線透過材9を透過する赤外線を示す。
また、空気層8を内包する筐体1の底面側筐体7、赤外線透過材9、及び底面側筐体7と赤外線透過材9の端部における筐体壁11と筐体壁12は空気層8を密閉する必要はない。そのため、筐体壁11、12の一部には通気孔が設けられ、空気層8が外気と通気されている。
更に、底面側筐体7は筐体側壁13、14とも接続され、装置内部の密閉性を確保している。このような構成を持つことで、空気層8に溜まった熱が外気へ放熱され、且つ、電子機器内部は密閉性が確保されているため、空気層8へ粉塵、水滴が混入した場合でも機器内部への混入を防ぐことが出来る。
本実施例では、以上の構成を採用することで、装置内部の密閉性を確保しつつ、ユーザーが触れた際の不快感を減らすと共に、発熱部品であるCPU3の温度を低減することが可能となる。
(第2の実施例)
図2は本発明に係る電子機器の第2の実施例を示す断面図である。本実施例では、同様に電子機器としてノートパソコンを例に挙げて説明する。図2では図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図1との違いは、筐体1のCPU3の直近に位置する底面側筐体7の一部に赤外線透過材15を配置した点である。底面側筐体7の外側には同様に赤外線線過材9が配置され、底面側筐体7と赤外線透過材9との間に空気層8が形成されている。赤外線透過材15は赤外線透過材9と同じ材質である。アルミブロック5には放射率を上げるためアルマイト加工が施されている。その他の構成は図1と同様である。
本実施例では、底面側筐体7の一部に赤外線透過材15を配置しているため、上述のような底面側筐体7からの熱放射だけでなく、高温のアルミブロック5から赤外線透過材15と9を介して直接外部へ熱放射を行うことができる。熱放射の放熱量は絶対温度の4乗の差に比例するため、放射による放熱量が増大する。
以上の構成を採用することで、装置内部の密閉性を確保しつつ、ユーザーが触れた際の不快感を減らすと共に、放熱効果が更に向上するため発熱部品であるCPU3の温度を更に低減することが可能となる。
(第3の実施例)
図3は本発明に係る電子機器の第3の実施例を示す断面図である。本実施例では、同様に電子機器としてノートパソコンを例に挙げて説明する。図3では図1、図2と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例では、回路基板2に実装された発熱ICであるCPU3の一面に熱伝導性シート4、アルミブロック5を介してヒートパイプ6が接続されている。ヒートパイプ6は筐体1の一側面側に延びており、その端部が筐体1の側面に配置されたヒートシンク17に接続されている。
筐体1の構造としては、一側面側に内側筐体16が設けられ、その外側に一定間隔をおいて外側筐体18が設けられている。外側筐体18には赤外線透過材24が配置され、内側筐体16と赤外線透過材24との間に空気層8が形成されている。筐体1の一側面における内側の筐体壁を内側筐体16、外側の筐体壁を外側筐体18という。赤外線透過材24は図1や図2の赤外線透過材9、15と同じ材質である。
このように筐体1の一側面側が二重構造となっており、ヒートパイプ6は筐体1の内側筐体16を貫通してヒートシンク17と接続されている。その際、ヒートパイプ6と内側筐体16との隙間はモールド20で埋められており、装置内部の密閉性が確保されている。空気層8に接する外側筐体18や筐体1の一側面における底面側端部の筐体壁19には通気孔が設けられ、空気層8は外気と通気されている。
本実施例では、ヒートパイプ6から内側筐体16に伝わる熱量を少なくし、ヒートパイプ6からの熱をヒートシンク17に伝えている。ヒートシンク17はヒートパイプ6から熱が伝わるため高温となるが、ヒートシンク17からの熱放射と通気により放熱することができる。即ち、熱伝導率の高いヒートシンク17を内側筐体16に固定することによって、空気層8からの通気と、赤外線透過材24側からの放熱により熱放射を効率良く行うことが可能となる。
その際、内側筐体16と赤外線透過材24とで空気層8を挟んで二重構造としているため、ユーザーが赤外線透過材24に触れても不快感を与えづらくすることができる。また、外側の層に赤外線透過材24を配置しているため、図1、図2と同様に放熱量の減少を抑えられ、放熱効果を高めることが可能となる。
更に、図3に示すようにCPU3からヒートパイプ6を介してヒートシンク17に熱が伝わる筐体1の側面側、つまり、筐体1の空気層8側が高くなるように脚部22は脚部21より長く形成されている。このような構成をとることで、装置に傾斜がつき、ユーザーがキーボードを打ち易くなると同時に、煙突効果による空気層8の通気を促進し、放熱性能を向上させることが可能となる。
本実施例では、以上の構成を採用することで、同様に装置内部の密閉性を確保しつつ、ユーザーが触れた際の不快感を減らすと共に、発熱部品であるCPU3の温度を低減することが可能となる。
本発明は、ノートパソコンだけでなく、内部温度が上昇して放熱を必要とする電子機器すべてに使用することができる。
1 筐体
2 回路基板
3 CPU
4 放熱シート
5 アルミブロック
6 ヒートパイプ
7 底面側筐体
8 空気層
9、15、24 赤外線透過材
10 凸部
11、12 筐体壁
13、14 筐体側壁
16 内側筐体
17 ヒートシンク
18 外側筐体
19 底面側端部の筐体壁
20 モールド
21、22 脚部
23 赤外線

Claims (8)

  1. 密閉構造の筐体内に発熱部品が収納され、前記発熱部品と前記筐体とに接続された熱伝導性を有する熱輸送体を介して、前記発熱部品の発熱を前記筐体から拡散する電子機器であって、
    前記筐体の前記熱輸送体が接続された筐体壁の外側に赤外線を透過する赤外線透過材が配置されており、
    前記熱輸送体が接続された筐体壁と前記赤外線透過材との間に空気層が形成されていることを特徴とする電子機器。
  2. 前記空気層は前記筐体の外部と通気されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
  3. 前記熱輸送体が接続された筐体壁と前記赤外線透過材とは、凸状の低熱伝導性部材によって一定距離間隔が空けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
  4. 前記熱輸送体が接続された筐体壁の前記空気層側の面は、放射率が高くなるように塗装又はアルマイト処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
  5. 前記赤外線透過材の外気に接する面は無反射加工を施していないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
  6. 前記熱輸送体が接続された筐体壁の一部に前記赤外線透過材とは別の第2の赤外線透過材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
  7. 前記熱輸送体が接続された筐体壁に、前記空気層内に位置するヒートシンクが固定されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
  8. 前記熱輸送体が接続された筐体壁と前記赤外線透過材によって形成された前記空気層は前記筐体の一側面側に配置され、当該空気層側が高くなるように前記電子機器の下部に配置された脚部の長さが異なっていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。
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