JP5407951B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
当該電極としては、導電フィラーを分散させた樹脂層より成るものや、金属箔、金属網などを接着して形成されるものが開示されている(特許文献1〜3)。
電気抵抗率の低い金属を電極として用いる場合、電極を単に金属にしただけでは、電極が抵抗発熱体層から剥離してしまう問題が生じた。
上記構成により、汎用性の高い材料を用い、電極の抵抗発熱体層からの剥離および酸化による通電性能の低下を抑制して、低電気抵抗率で耐久性の優れた電極を備えた定着装置を提供することができる。
これにより、給電部材との摺接による第1の電極の磨耗を抑制して、耐久性の優れた電極を備えた定着装置を提供することができる。
これにより、抵抗発熱体層の熱膨張の影響が第1の電極層において吸収される度合いを大きくして、電極の抵抗発熱体層からの剥離を抑制し、耐久性の優れた電極を備えた定着装置を提供することができる。
以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)を例にして説明する。
(1−1.プリンタの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係るプリンタ100の全体構成を示す概略断面図である。当該プリンタ100は、画像形成部10、給紙部20、転写部30、定着装置40、および制御部50等を備える構成となっている。
以下、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各再現色をC、M、Y、Kと表し、各再現色に関連する構成部分の番号にこのC、M、Y、Kを添字として付加する。
中間転写ベルト31は、無端状のベルトであり、駆動ローラ32と従動ローラ33に張架されて矢印A方向に周回駆動される。
クリーナブレード14および37は、それぞれ感光体ドラム11および中間転写ベルト31に対してカウンター方向に当接して配置されており、当該感光体ドラム11および中間転写ベルト31表面の残留トナーや紙粉等のゴミを清掃する。
また、制御部50は、外部の端末との通信や画像処理、上記各部の駆動制御などを実行する。
(1−2.定着装置40の構成)
図2は、定着装置40の概略構成を示す一部切り欠き斜視図であり、図3は、定着装置40の主要構成を示す横断面図である。図2および図3に示すように、定着装置40は、発熱回転体として弾性変形可能な無端状のベルトである発熱定着ベルト41と、押圧部材としての定着ローラ42と、加圧回転体としての加圧ローラ43と、発熱定着ベルト41に発熱のための電力を供給する給電部材44とを有する。
定着ローラ42は、長尺状の芯金421の周囲に弾性層422が積層されて成り、発熱定着ベルト41の周回経路(発熱定着ベルト41が周回走行するときの走行路。以下、「ベルト周回経路」という。)の内側に配される。軸部としての芯金421は、例えば、径が18[mm]のアルミニウムやステンレス等から成る。弾性層422は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有するゴム、もしくはその発泡材から成り(これらを積層させる場合もある)、厚さは、例えば5[mm]である。
このような隙間嵌め構成をとると、発熱定着ベルト41が定着ローラ42に密着する構成(隙間がない構成)よりも、発熱定着ベルト41から定着ローラ42への熱の伝達箇所の面積が小さくなり、発熱定着ベルト41から発せられる熱の一部が定着ローラ42の芯金421を介して芯金421両端の軸部420を回転自在に支持する定着装置40の筐体48(図4参照)に伝わって逃げるといった伝熱ロスを低減して高い熱効率の実現を図ることができる。
弾性層432は、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性を有するゴムや、これらの発泡材等から成り、厚さは、例えば、2.5[mm]である。
定着ローラ42は、芯金421の軸方向両端の軸部420が定着装置40の筐体48(図4参照)に軸受部材(不図示)を介して回転自在に支持されている。同様に加圧ローラ43も、芯金431の軸方向両端の軸部430が筐体48に不図示の軸受部材を介して回転自在に支持されている。
発熱定着ベルト41の外周面上の定着ローラ42の軸方向(以下、「ローラ軸方向」という。)における通紙領域を挟む第1と第2の位置である両端部の外周面には周方向の全周に亘って電極415が設けられており、一対の給電部材44が発熱定着ベルト41の外側から内側へと向かう方向の付勢力を受けて、それぞれ電極415に圧接されている。詳しくは後述する。
図4に、発熱定着ベルト41のローラ軸方向における一方の端部周辺の概略構成を示す。筐体48には、給電部材44を保持するガイド部材49が固定されている。発熱定着ベルト41のベルト周回経路のローラ軸方向に直行する平面による断面を略円形としたとき、給電部材44は、当該断面円の径方向に摺動可能にガイド部材49により保持されている。給電部材44は、例えばバネ等より成る弾性部材491により、電極415を定着ローラ42側へと押し込む方向に付勢されており、当該付勢力により、給電部材44は電極415に圧接されている。給電部材44は、発熱定着ベルト41の剛性によって当該発熱定着ベルト41から前記押し込む方向とは逆方向の応力を受け、これにより給電部材44と電極415との接触が保たれる。なお、発熱定着ベルト41の内周面側に裏当て部材等を設けて、給電部材44から電極415に加えられる押圧力を受けるようにしてもよい。この場合、裏当て部材としては、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Polyphenylenesulfide)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Polyetheretherketone)等の耐熱性樹脂の表面(少なくとも、発熱定着ベルト41の内周面と摺接する側の表面)に、摩擦を低減させるためにPFA等のフッ素樹脂等をコーティングしたものを用いてもよい。また、別個裏当て部材を設ける代わりに定着ローラ42を裏当て部材として用いてもよい。
(1−3.発熱定着ベルト41の構成)
図5は、発熱定着ベルト41のローラ軸方向における端部近傍のローラ軸を含む平面による一部拡大断面図である。同図に示すように、発熱定着ベルト41は、その内周面側から絶縁層411、抵抗発熱体層412、弾性層413、離型層414がこの順に積層されて成り、発熱定着ベルト41のローラ軸方向両端部(図5には一方の端部のみ図示している。)には弾性層413および離型層414が形成されていない部分が存在し、当該部分には、抵抗発熱体層412の上に電極415が設けられている。
抵抗発熱体層412の厚さについては、任意であるが、例えば、5〜100μm程度としてもよい。
絶縁層411は、PI、PPS、PEEKなど、抵抗発熱体層412に用いられているのと同種の耐熱性の樹脂より成り、厚さは、好ましくは例えば5〜100[μm]程度である。
離型層414は、PFA、ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)(PTFE:Polytetrafluoroethylene)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE:Ethylene−tetra fluoro ethylene)等の離型性の高いフッ素系の樹脂を弾性層413の表面にコーティングして形成される。また、これらの樹脂から成るチューブを用いてもよい。離型層414の厚さとしては、任意であるが、例えば、5〜100[μm]程度としてもよい。離型層414の水との接触角は90度以上であり、好ましくは110度以上である。また、表面粗さは、好ましくは例えば、Ra:0.01〜50[μm]程度である。離型層414に用いられるフッ素系チューブとして、例えば、三井デュポンフロロケミカル社制のPFA350−J、451−HP−J、951HP Plus等がある。
(1−4.電極415の構成)
電気抵抗率の低い金属を電極に用いる場合、電極に用いる金属の線膨張係数と、抵抗発熱体層の基材(バインダー樹脂)であるPI等の樹脂の線膨張係数との差が大きいと、抵抗発熱体層が発熱することにより電極の温度が上昇して膨張し、電極が抵抗発熱体層から剥離してしまうという問題がある。さらに、金属の酸化等により導電性が低下するという問題もある。
(1−5.電極415の耐熱試験)
図6に示す表において、電極表面層適性が好適であると判定されたタングステンとニッケルのうち、タングステンは地球上での埋蔵量が少なく価格の高いいわゆるレアメタルであり、汎用用途には不向きであるため、電極表面層4152には、ニッケルがより適している。そこで、電極表面層4152にニッケルを用い、電極中間層4151には、電極中間層適性が好適なものの中から、汎用性が高くメッキ加工が容易な銅を用いて、耐久試験を行った。
図7は、耐久試験の結果を示す表である。先に述べた、銅もしくはニッケルの1層のみから成る電極について同様に行った耐久試験の結果についても、同図に併せて示した。
電極中間層4151に銅を、電極表面層4152にニッケルをそれぞれ使用した2層構造の電極415を有する試験体については、耐酸化性、耐剥離性、通電性能の全ての項目において、10体中8体の試験体が良好な結果を示した。
上記耐久試験の結果から、電極を2層構造にして、給電部材44から電力の供給を受ける電極表面層4152には硬度が高く、耐酸化性の高い金属材料を用い、抵抗発熱体層412と接触する電極中間層4151には、電極表面層4152に用いる金属よりも線膨張係数が抵抗発熱体層412の基材により近い金属を用いることにより、耐久性の高い電極が得られることが証明された。
また、電極中間層4151および電極表面層4152の厚さについては、上記の耐久試験における値に限られない。電極表面層4152の厚さは、例えば1〜10[μm]としてもよく、より好ましくは、1〜4[μm]としてもよい。電極中間層4151の厚さは、例えば1〜10[μm]としてもよく、より好ましくは、2〜5[μm]としてもよい。このとき、電極中間層4151の厚さを電極表面層4152の厚さよりも大きくすることにより、抵抗発熱体層412の熱膨張の影響を電極中間層4151においてより効果的に吸収することができる。
<実施の形態2>
上記実施の形態1においては、電極415が発熱定着ベルト41に備えられた構成について説明した。本実施の形態においては、電極415がローラに備えられた構成について説明する。
図8は、本実施の形態における定着装置70の概略構成を示す斜視図である。定着装置70は、発熱回転体である発熱ローラ71に対し、加圧ローラ43が不図示の付勢機構により付勢されて定着ニップが形成されている。発熱ローラ71の外周面の軸方向における両端部には周方向の全周に亘って電極715が設けられており、給電部材44が弾性部材491により付勢されて電極715に押圧されている。
以上、本実施の形態においては、電極中間層7151と電極表面層7152との2層から成る2層構造電極715が発熱ローラ71に設けられた構成について説明した。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、低電気抵抗率で耐久性に優れた電極を備えた定着装置、および当該定着装置を備えた画像形成装置を実現することができる。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を考えることができる。
(1)上記実施の形態1および実施の形態2においては、電極415は2層構造としたが、これに限られず、3層以上の構造としても良い。この場合においても、それぞれの層には、電気抵抗率が小さい金属を用い、抵抗発熱体層412と接触する電極層には、抵抗発熱体層412の基材であるバインダー樹脂との線膨張係数の差が小さい金属を用いるのが好ましい。また、互いに隣り合う層に使用されている金属同士の線膨張係数の差が小さいのが好ましい。
(2)上記実施の形態1および2においては、それぞれ発熱定着ベルト41のローラ軸方向両端部における外周面上および発熱ローラ71の軸方向両端部における外周面上に、周方向全周に亘って電極415および電極715が設けられているとしたが、これに限られず、周方向において一部電極415および電極715が形成されていない部分が存在するとしてもよい。
(3)上記実施の形態1においては、電極415は発熱定着ベルト41の外周面上に設けられ、給電部材44は発熱定着ベルト41の周面の外側から電極415に圧接されているとしたが、これに限られず、電極415が発熱定着ベルト41の内周面上に設けられ、給電部材44が発熱定着ベルト41の内側に配置され、当該発熱定着ベルト41の内側から電極415に圧接されているとしてもよい。
(4)上記実施の形態1においては、発熱定着ベルト41の周回経路内側に定着ローラ42が遊挿される構成としたが、これに限られない。
(5)上記実施の形態1および2においては、電極415および715は、それぞれ発熱定着ベルト41および発熱ローラ71の外周面上に設けられ、給電部材44は、それぞれ発熱定着ベルト41および発熱ローラ71の周面の外側から電極415および715に圧接されているとしたが、これに限られず、以下のようにしてもよい。即ち、電極415および715が、それぞれ発熱定着ベルト41および発熱ローラ71のローラ軸および軸方向における両端面、即ち両側面に設けられ、給電部材44がローラ軸方向および軸における端部側から中心側に向かう方向に電極415および715に圧接されているとしてもよい。この場合、安定的な給電のために、抵抗発熱体層412および712の厚みにかかわらず、電極415および715の幅(ローラ軸および軸から発熱定着ベルト41および発熱ローラ71の外周面方向の長さ)はある程度の大きさを確保するようにしてもよい。
(6)上記実施の形態1においては、発熱定着ベルト41は定着ローラ42および加圧ローラ43によって挟持され、発熱定着ベルト41自身の剛性によりその形状を保持しているが、これに限られず、以下のようにしてもよい。即ち、発熱定着ベルト41が複数のローラ等により張架されているとしてもよい。
(7)上記各実施の形態における具体的な数値は一例として挙げたものであり、これらに限定されないことは勿論である。
(8)上記実施の形態1においては、発熱定着ベルト41自身の剛性によりベルト周回経路が所定の範囲から外れないようにしているが、これに限られず、ベルト周回経路の内側の隙間47に規制部材を設けてベルト周回経路が所定の範囲から外れないようにしてもよい。
(9)本発明は、タンデム型カラーデジタルプリンタに限られず、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファックス、また、これらの機能を備えた複合機(MFP:Multifunction Peripheral)など、およそ熱定着装置を備えた全ての画像形成装置に適用される。
41 発熱定着ベルト(発熱回転体)
42 定着ローラ(押圧部材)
43 加圧ローラ(加圧回転体)
44 給電部材
45 導電線
46 電源
47 隙間
48 筐体
49 ガイド部材
411、711 絶縁層
412、712 抵抗発熱体層
413、432、713 弾性層
414、433、714 離型層
415、715 電極
420、430、710 軸部
421、431、716 芯金
491 弾性部材
4151、7151 電極中間層(第1の電極層)
4152、7152 電極表面層(第2の電極層)
71 発熱ローラ(発熱回転体)
717 ゴム層
718 スポンジ層
Claims (5)
- 通電により発熱する抵抗発熱体層を有する加熱回転体の周面に、加圧回転体を圧接して定着ニップを形成し、未定着画像の形成されたシートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、
前記加熱回転体は、その通紙領域を挟む第1と第2の位置における外周面に、前記抵抗発熱層に給電するための環状の電極を有し、
前記電極は金属製であって、前記抵抗発熱体層に直接積層される第1の電極層と、最外層に配される第2の電極層とを含む、少なくとも2層の電極層を順次積層してなり、
前記第1の電極層と前記抵抗発熱体層との線膨張係数の差は、前記第2の電極層と前記抵抗発熱体層との線膨張係数の差よりも小さく、
前記第2の電極層は、前記第1の電極層よりも耐酸化性が高く、
前記発熱回転体は、無端状のベルトであり、当該ベルトの周回経路の内側に配された押圧部材によりベルトの内側から前記加圧回転体に押圧されて、ベルトと加圧回転体との間に前記定着ニップを確保する
ことを特徴とする定着装置。 - 通電により発熱する抵抗発熱体層を有する加熱回転体の周面に、加圧回転体を圧接して定着ニップを形成し、未定着画像の形成されたシートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、
前記加熱回転体は、その通紙領域を挟む第1と第2の位置における外周面に、前記抵抗発熱層に給電するための環状の電極を有し、
前記電極は金属製であって、前記抵抗発熱体層に直接積層される第1の電極層と、最外層に配される第2の電極層とを含む、少なくとも2層の電極層を順次積層してなり、
前記第1の電極層と前記抵抗発熱体層との線膨張係数の差は、前記第2の電極層と前記抵抗発熱体層との線膨張係数の差よりも小さく、
前記第2の電極層は、前記第1の電極層よりも耐酸化性が高く、
前記抵抗発熱体層は、所定の電気抵抗率を有するようにポリイミドに導電フィラーが均一に分散されて成り、
前記第1の電極層は、銅を含み、
前記第2の電極層は、ニッケルから成る
ことを特徴とする定着装置。 - 前記第2の電極層は、前記第1の電極層よりも高いモース硬度を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。 - 前記第1の電極層の厚さは、前記第2の電極層の厚さよりも大きい
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の定着装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
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