以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置は、大きくは、自動原稿送り装置を一体に有する原稿押さえ部1、画像読取部2、画像形成部3及び用紙トレイ部4によって構成されている。原稿押さえ部1は、原稿台5に置かれた原稿を上から押さえるものである。原稿押さえ部1は、画像読取部2の本体上部に開閉可能に取り付けられている。原稿は、原稿押さえ部1を閉じた状態で自動原稿送り装置により画像読取位置に送り込まれるか、原稿押さえ部1の開閉操作を伴う利用者の手作業により原稿台5の上に置かれる。原稿台5は、例えば透明なガラスを用いて構成される。
画像読取部2は、原稿台5に置かれた原稿の画像を読み取るものである。画像読取部2は、光学走査部6と、光学走査部6を副走査方向(図1の左右方向)に移動させるためのワイヤ7と、ワイヤ7を駆動する駆動プーリ9と、駆動プーリ9を回転させるモータ(不図示)とを備えて構成されている。光学走査部6は、原稿の画像を光学的に読み取り走査するものである。光学走査部6には、図示はしないが、カラーフィルタ付きのCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサからなる原稿画像読取用のセンサ(以下、「原稿読取センサ」と記す)と、原稿面に画像読み取り用のライン状の光を照射するハロゲンランプ等の光源が搭載されている。そして、原稿の画像が4色フルカラーの場合は、そのカラー画像が記録(プリント)された原稿(カラー原稿)を光の原色であるB(青)、G(緑)、R(赤)ごとに原稿読取センサで読み取るものとなっている。
なお、画像読取部2の構成としては、例えば、原稿読取センサの読み取りライン方向(読取用の画素列の並び方向)を主走査方向とし、これと直交する方向を副走査方向とした場合に、副走査方向の移動速度(移動距離)の相対比が1:2に設定された2つの移動走査体(キャリッジ)と、これら2つの移動走査体に搭載された光学部品(光源ランプ、集光ミラー、反射ミラー等)と、この光学部品によって導かれた光を原稿読取センサの受光面に結像させるレンズ系とを用いた構成を採用してもよい。
画像形成部3は、画像読取部2によって読み取られた原稿の画像を用紙に形成(印刷)するものである。画像形成部3は、電子写真方式に基づいて用紙に画像を形成するもので、潜像書き込み手段となるレーザ走査部10と、像保持体となる感光体ドラム11とを有している。感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11の表面を一様に帯電する帯電器12と、レーザ走査部10によって感光体ドラム11の表面に書き込まれた静電潜像をトナー像に現像する現像部13と、トナー像を用紙に転写する転写部14と、用紙に転写されなかった残留トナーを感光体ドラム11から取り除くクリーナ16などが配置されている。
感光体ドラム11は、図示しないモータの駆動によって図示矢印方向に回転駆動される。その際、帯電器12は、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。また、レーザ走査部10は、レーザ出力部10aでレーザビームを発生させるとともに、このレーザビームを画像読取部2からの各色の画像データにしたがって点滅(変調)させる。こうしてレーザ出力部10aから出射されたレーザビームは、ポリゴンミラー10b、f/θレンズ10c及び反射レンズ10dを介して感光体ドラム11の表面に照射されるとともに、ポリゴンミラー10bの回転にしたがって感光体ドラム11の軸方向に走査される。これにより、感光体ドラム11上には、画像読取部2で読み取られた原稿の画像に対応した静電潜像が形成される。
こうして感光体ドラム11に形成された静電潜像は、現像部13によってトナー像に現像され、かつこのトナー像が転写部14によって用紙に転写される。このとき、用紙に転写されずに感光体ドラム11に残ったトナー(残留トナー)はクリーナ16によって除去される。また、クリーナ16で清浄化された感光体ドラム11の表面は、帯電器12によって再び帯電された後、このドラム表面にレーザ走査部10の駆動によって他の色の静電潜像の書き込みが順に行われる。
現像部13は、イエロー用現像器13Y、シアン用現像器13C、マゼンタ用現像器13M、ブラック用現像器13Kを一体に有する回転式になっている。各々の現像器13Y、13C、13M、13Kは、現像部13の回転軸周りに配設されている。そして、例えば、感光体ドラム11上の静電潜像をイエローのトナー像に現像するときは、感光体ドラム11と対向(近接)する位置(図の状態)にイエロー用現像器13Yを配置し、このイエロー用現像器13Yからイエロートナーを感光体ドラム11の表面に供給する。また、シアンのトナー像に現像するときは、現像部13をほぼ90°回転させて、感光体ドラム11と対向する位置にシアン用現像器13Cを配置する。同様に、マゼンタのトナー像に現像するときは、感光体ドラム11と対向する位置にマゼンタ用現像器13Mを配置し、ブラックのトナー像に現像するときは、感光体ドラム11と対向する位置にブラック用現像器13Kを配置する。
転写部14は転写ドラム15を有している。転写ドラム15の外周には誘電体のフィルムからなる用紙担持体が張設されている。転写ドラム15は、例えば、感光体ドラム11と共用のモータ、又は専用のモータにより、図中矢印方向に回転駆動される。転写ドラム15の周囲には、転写用帯電器17、分離用放電器18、トナー電荷制御用帯電器19、剥離爪20、除電器21、クリーナ22、押し付けロール23、吸着用帯電器25が配置されている。そして、用紙トレイ部4から給紙ローラ4a、給紙ガイド4bを経て搬送される用紙は、画像(トナー像)とのタイミング合わせのためにレジ位置4cで待機した後、所定のタイミングで転写ドラム15まで搬送され、吸着用帯電器25のコロナ放電により誘電体のフィルムに吸着される。
転写ドラム15は、感光体ドラム11と同期して回転する。転写ドラム15の外周に巻き付けられた用紙には、例えばイエロートナーで現像されたトナー像が転写用帯電器17により転写され、さらに、転写ドラム15の回転により順次他の色(シアン、マゼンタ、ブラック)のトナー像が転写(重ね転写)される。転写ドラム15が4回転して4色分のトナー像が用紙に転写されると、転写ドラム15の内側及び外側に設けられた分離用放電器18によりAC除電される。これにより、用紙は剥離爪20により分離され、搬送ベルト27により定着器29に送られる。定着器29では、熱圧ローラ30によりトナー像が用紙に溶融定着される。これにより、原稿の画像をカラーで複写する場合の1回の動作サイクルが終了となる。ちなみに、原稿の画像を白黒で複写した場合は、ブラック用現像器13Kを用いた1回の現像処理だけで対応できるため、カラーの複写に比べて動作サイクルが短くなる。
図2は画像形成装置の画像読取部が備える原稿台を上から見た図である。また、図3は図2のE−E断面図である。図2及び図3においては、原稿台5の主面に平行でかつ互いに直交する二軸方向をX方向及びY方向と定義し、これらの二軸方向に直交する方向(原稿台5の厚み方向)をZ方向と定義している。
原稿台5の近傍には、板状の突き当て基準部材31が設けられている。突き当て基準部材31は、利用者の手作業によって原稿台5に置かれる原稿をX方向及びY方向で位置決めするための部材である。突き当て基準部材31は、L字形に配置された2つの突き当て端面31a,31bを有している。突き当て端面31aは、位置決めの基準となる基準点(L字の隅)PからX方向に延在している。突き当て端面31bは、基準点PからY方向に延在している。この突き当て基準部材31に対して、原稿は、2つの辺を突き当て端面31a,31bに同時に突き当てることにより、原稿台5の主面(XY平面)内で位置決めされる。突き当て基準部材31は、L字形の板を用いた一体構造であってもよいし、I字形の長尺の板をL字形に組み合わせた構造であってもよい。
原稿台5には、上記図1にも示すように加速度センサ32が設けられている。加速度センサ32は、原稿台5の振動を検出する振動検出手段として設けられたものである。加速度センサ32は、原稿台5の下面(画像読取部2の内部)に取り付けられている。加速度センサ32は、X方向、Y方向及びZ方向の3軸方向にそれぞれ感度をもつ3軸加速度センサを用いて構成されている。ただし、これに限らず、Z方向(一軸方向)に感度をもつ一軸加速度センサや、Z方向とXY平面方向の二軸方向にそれぞれ感度をもつ二軸加速度センサを用いて、加速度センサ32を構成してもよい。
加速度センサ32は、原稿台5の主面内で、原稿画像の有効読み取り領域を外れた位置に配置されている。具体的には、原稿台5の主面内で、突き当て基準部材31で遮蔽される位置(突き当て基準部材31の裏側)に加速度センサ32が配置されている。このため、原稿台5に置かれた原稿の画像を原稿読取センサで読み取る場合に、加速度センサ32が邪魔になることはない。また、加速度センサ32は、原稿台5上で原稿を位置決めする際の基準となる基準点Pの近傍に配置されている。ここで記述する「近傍」とは、「基準点Pから半径10cm以内の範囲」をいう。なお、ここでは原稿台5の下面に加速度センサ32を実装するとしたが、これに限らず、原稿台5に置かれた原稿を利用者が押さえながら当該原稿の上から振動を加えた場合に、当該振動を検出し得る位置であれば、いずれの位置に加速度センサ32を実装してもよい。
図4は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。図4において、加速度センサ32の出力信号は制御部33に入力される構成となっている。加速度センサ32から出力される信号の値(以下、「出力値」と記す)は、振動の大きさ(振幅)に比例する。即ち、加速度センサ32が感知した振動が大きくなると、その分だけ加速度センサ32の出力値も大きくなり、逆に、加速度センサ32が感知した振動が小さくなると、その分だけ加速度センサ32の出力値も小さくなる。制御部33は、例えば、CPU、ROM、RAMなどのハードウェアを用いて構成されるものである。制御部33は、図示しない操作パネルを用いて利用者により入力される操作指示情報や、加速度センサ32を用いて検出される振動の状態に基づいて、画像形成装置の動作を統括的に制御する。駆動部34は、制御部33から与えられる駆動命令に基づいて、各負荷35を駆動する。各負荷35には、画像読取部2や画像形成部3で駆動源となるモータ、ソレノイドなどが含まれる。
図5は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、画像形成装置が利用者からの指示待ちで待機している状態で、制御部33は、加速度センサ32の出力値が予め設定された規定値を超えたかどうかを監視する(ステップS1)。規定値は、画像形成装置のマシン動作によって生じる振動を加速度センサ32が感知したときに生成されるセンサ出力値よりも大きな値となるように設定しておく。
次に、制御部33は、加速度センサ32の出力値が規定値を超えると、これをきっかけにして原稿押さえ部1が開いているかどうかを確認する(ステップS2)。原稿押さえ部1の開閉状態は、図示しない開閉センサを用いて確認されるものとする。この開閉センサは、例えばオンオフ式の機械式センサからなるもので、原稿押さえ部1が完全に閉じた状態(全閉状態)や原稿押さえ部1の開き角度が規定角度未満の条件でオフ状態となり、原稿押さえ部1の開き角度が規定角度以上となる条件でオン状態となる。このため、制御部33は、開閉センサがオフ状態になっていれば、原稿押さえ部1が閉じていると判断し、開閉センサがオン状態になっていれば、原稿押さえ部1が開いていると判断する。
次に、制御部33は、上記ステップS2で原稿押さえ部1が閉じていると判断した場合は、上記ステップS1に戻る。また、制御部33は、上記ステップS2で原稿押さえ部1が開いていると判断した場合は、加速度センサ32の出力値を規定の時間にわたって連続して取り込む(ステップS3)。規定の時間は、後述する振動印加条件にもよるが、例えば3秒以上、10秒以内の範囲内で設定しておく。また、規定の時間を含めて、画像形成装置の制御に用いられる各種のデータや情報(振動印加条件等を含む)は、制御部33を構成するCPU、ROM、RAMのうち、例えばROMに格納される制御用プログラムに格納されるか、CPUがアクセスする図示しない不揮発性メモリに格納されるものとする。
次に、制御部33は、上記規定の時間にわたって取り込んだセンサ出力値が示す振動の状態が予め設定された振動印加条件を満たすかどうかを判断する(ステップS4)。ここでは、利用者が原稿台5に置いた原稿(例えば、本など)を手で押さえつけた状態で、例えば当該原稿を手のひらで押さえながら手先の動きで「ポンポン」と原稿を上から2回叩いた場合に、これを処理開始ボタンの押下操作に代わる操作指示と認識して画像形成装置が自動的に複写動作を開始する状況を想定して、振動印加条件を次のように設定する。まず、振動の状態を、例えば次の二つの項目で規定する。一つは、振動の振幅であり、もう一つは、振動の印加回数である。
振動の振幅に関しては、上記規定値よりも大きな値を閾値として設定し、「振動の振幅が閾値以上である」という条件を振動印加条件の一つとして予め設定しておく。また、振動の回数に関しては、上記の状況を想定して2回という回数を規定回数として設定し、「振動の印加回数が規定回数と同じである」という条件を振動印加条件の一つとして予め設定しておく。因みに、制御部33が認識する振動の回数は、上記規定の時間内に取り込んだセンサ出力値が示す振動の波形のなかで、振動の振幅が上記規定値を超えてから当該規定値以内まで減衰した回数で規定されるものとする。このため、例えば図6に示すように、振動の振幅が図中点線で示す規定値を超えてから規定値以内まで減衰した回数が2回に及ぶ場合は、それに応じて制御部33が振動の回数を2回と認識する。
上記ステップS4において、制御部33は、センサ出力値が示す振動の状態として、振動の振幅が閾値未満であるか、振動の印加回数が1回又は3回以上であれば、当該振動の状態が振動印加条件を満たさないと判断する。その場合は、加速度センサ32が検出した振動は利用者が画像形成動作(複写動作)の開始を意図して印加したものでない、との想定から、上記ステップS1に戻る。
また、制御部33は、センサ出力値が示す振動の状態として、振動の振幅が閾値以上であり、かつ、振動の印加回数が2回であれば、当該振動の状態が振動印加条件を満たすと判断する。その場合は、加速度センサ32が検出した振動は利用者が画像形成動作(複写動作)の開始を意図して印加したものである、との想定から、制御部33は、画像形成動作(複写動作)を開始する処理として、駆動部34に駆動命令を与える(ステップS5)。これにより、制御部33からの駆動命令にしたがって駆動部34が各負荷35を駆動することにより、画像読取部2及び画像形成部3によって画像形成動作(複写動作)が行なわれる。
次に、制御部33は、上記ステップS5で開始した画像形成動作が終了したかどうかを確認する(ステップS6)。そして、画像形成動作が終了していない場合は、そのまま画像形成動作を継続させ、画像形成動作が終了した場合は、一連の制御処理を抜けて待機状態に戻る。
なお、上記の実施の形態においては、振動の状態を示す項目として、振動の振幅と振動の印加回数といった2つの項目に挙げ、それらを組み合わせて振動印加条件を満たすかどうかを判断するものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、振動の周波数、振動の余韻時間、振動の方向別成分など、他の項目で振動の状態を確認してもよい。また、各々の項目から選択される少なくとも1つ項目で振動の状態を確認し、振動印加条件を満たすかどうかを判断してもよい。
図7〜図9は加速度センサを用いた振動検出結果の一例を示す図である。図7は原稿台5の上に原稿を置かずに、原稿台5に直接振動を印加した場合の振動検出結果を示している。図8は原稿台5の上に厚さ5mmほどの原稿(本)を置いて当該原稿を上から押さえ込み、この状態で原稿を介して原稿台5に振動を印加した場合の振動検出結果を示している。図9は原稿台5の上に厚さ50mmほどの原稿(本)を置いて当該原稿を上から押さえ込み、この状態で原稿を介して原稿台5に振動を印加した場合の振動検出結果を示している。いずれの場合も、振動の印加は、同じ強さで「ポンポン」と原稿台5又は原稿を叩くことで実施している。また、上段の波形がX方向の振動成分を示し、中段の波形がY方向の振動成分を示し、下段の波形がZ方向の振動成分を示している。
図7〜図9を比較すると分かるように、振動の振幅に関しては、原稿台5に原稿を置かずに原稿台5に直接振動を加えた場合と、原稿台5に原稿を置いてその上から振動を加えた場合で、前者の方が後者よりも振動の最大振幅が大きくなっている。このため、振動の状態を示す項目に振動の振幅を加える場合は、前述した条件に加えて、「振動の最大振幅が基準振幅以内である」という条件を振動印加条件に設定すればよい。
振動の印加回数に関しては、前述したように「振動の印加回数が規定回数と同じである」という条件を振動印加条件に設定すればよい。
振動の周波数に関しては、原稿台5に原稿を置かずに原稿台5に直接振動を加えた場合と、原稿台5に原稿を置いてその上から振動を加えた場合で、前者の方が後者よりも振動の周波数が高くなっている。また、後者の場合は、原稿台5に載せた原稿を利用者が手で上から押さえたときの押圧力が強くなるほど、振動の周波数が低くなっている。このため、振動の状態を示す項目に振動の周波数を加える場合は、「振動の周波数が基準周波数以内である」という条件を振動印加条件に設定すればよい。また、原稿台5に直接振動を加えたときの周波数成分をフィルタ処理で除去することで、原稿の上から原稿台5に加えられた振動の周波数成分を抽出し、画像形成装置の誤動作を回避してもよい。
振動の余韻時間は、振動の振幅が上記規定値を超えてから当該規定値以内まで減衰し、かつ減衰後の振幅が予め設定された最小規定振幅以下となるまでの時間をいう。振動の余韻時間の始点は、振動の振幅が規定値を超えた時点で規定してもよいし、振動の振幅が規定値まで減衰した時点で規定してもよい。振動の余韻時間の終点は、振動の振幅が最小規定振幅まで減衰した時点で規定すればよい。振動の余韻時間に関しては、原稿台5に原稿を置かずに原稿台5に直接振動を加えた場合と、原稿台5に原稿を置いてその上から振動を加えた場合で、前者の方が後者よりも振動の余韻時間が長くなっている。このため、振動の状態を示す項目に振動の余韻時間を加える場合は、「振動の余韻時間が基準時間以内である」という条件を振動印加条件に設定すればよい。
振動の方向別成分は、3軸加速度センサを用いて振動を検出する場合に、X方向の振動成分と、Y方向の振動成分と、Z方向の振動成分をいう。原稿台5に原稿を置かずに原稿台5に直接振動を加えた場合と、原稿台5に原稿を置いてその上から振動を加えた場合では、振動の方向別成分が異なっている。即ち、前者の場合は、X方向、Y方向及びZ方向の各方向に振動の成分が顕著に現れているが、後者の場合は、X方向及びY方向に振動の成分があまり現れず、Z方向だけに振動の成分が顕著に現れている。このため、振動の状態を示す項目に振動の方向別成分を加える場合は、「X方向及び/又はY方向の振動成分が規定の振幅以内である」という条件を振動印加条件に設定すればよい。
図10は本発明の他の実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す概略図である。また、図11は本発明の他の実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。図示した画像形成装置においては、振動検出手段の一例として、上述した加速度センサ32の他に、もう一つの加速度センサ36が追加で設けられている。一方の加速度センサ32は、第1の振動検出部として設けられたもので、前述したように画像読取部2の原稿台5に設けられている。他方の加速度センサ36は、第2の振動検出部として設けられたもので、加速度センサ32よりも原稿台5から離れた位置に設けられている。加速度センサ36を設ける位置は、画像形成装置本体(2,3)のマシン動作によって生じる振動を感知する位置に設定する。図10では、画像形成部3に加速度センサ36を設けた場合を模式的に示している。
加速度センサ32の出力信号と加速度センサ36の出力信号は、それぞれ別々(並列)に制御部33に入力される構成となっている。制御部33は、各々の加速度センサ32,36から振動の検出結果として出力される出力値に基づいて、原稿台5に印加された振動を抽出する振動抽出部37を有している。
図12は本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS11〜S15の処理は、前述した実施の形態の場合(S1〜S5)と同様に行なわれる。ただし、ステップS14は、説明の便宜上、第1の振動印加条件を適用した判定ステップとなっている。
次に、制御部33は、画像形成動作中(複写動作中)に加速度センサ32が検出する振動成分と加速度センサ36が検出する振動成分を用いて、振動抽出部37で振動の抽出処理を行なう(ステップS16)。なお、振動の抽出処理は、加速度センサ32の出力値が上記規定値を超えた場合に、これをきっかけとして行なうようにしてもよい。
ここで、加速度センサ32が検出する振動の成分は、主として、原稿台5に印加された振動の成分となる。これに対して、加速度センサ36が検出する振動の成分は、主として、画像形成装置のマシン動作によって生じる振動の成分となる。また、画像形成装置が画像形成動作を開始する前は、加速度センサ32が検出する振動の成分の中に、画像形成装置のマシン動作によって生じる振動の成分が含まれないものの、画像形成装置の動作中(画像形成動作中)は、加速度センサ32が検出する振動の成分の中に、画像形成装置のマシン動作によって生じる振動の成分が含まれる。
このため、加速度センサ32が検出する振動の成分をS1(X方向の振動成分=S1X、Y方向の振動成分=S1Y、Z方向の振動成分=S1Z)とし、加速度センサ36が検出する振動の成分をS2(X方向の振動成分=S2X、Y方向の振動成分=S2Y、Z方向の振動成分=S2Z)とすると、振動抽出部37は、それらの差分“ΔS=S1(S1X,S1Y,S1Z)−S2(S2X,S2Y,S2Z)”を、原稿台5に印加された振動として抽出する。この場合、画像形成装置のマシン動作によって生じる振動を加速度センサ32と加速度センサ36が同時に検出した場合に、それらのセンサ出力値が等しくなるように、いずれか一方又は両方のセンサ出力値(例えば、信号増幅率など)を事前に調整しておく。また、振動源から各々の加速度センサ32,36までの距離の違いにより、各々のセンサ出力値の振動波形が同じ傾向で変化しかつ双方に時間的なずれが生じる場合は、そのずれ分を同調するように(時間的なずれがゼロとなるように)補正したうえで上記差分を求める。
振動抽出部37による振動の抽出処理は、例えば差動増幅回路などのハードウェアを用いて行なってもよいし、各々の加速度センサ32,36の出力値をアナログ/デジタル変換して制御部33に取り込み、当該制御部33の内部でソフトウェア(プログラム)を用いて行なってもよい。
次に、制御部33は、振動抽出部37で抽出した振動の状態が予め設定された第2の振動印加条件を満たすかどうかを判断する(ステップS17)。ここで適用される第2の振動印加条件は、上記ステップS14で適用される第1の振動印加条件とは別に設定されるものとする。例えば、振動の状態を表す項目の中で振動の印加回数が画像形成枚数(複写枚数)を規定するものである場合は、「画像形成動作中に印加された振動の回数が2回以上である」という条件を第2の振動印加条件に設定する。そして、第2の振動印加条件を満たすと判断した場合は、実際に制御部33で検出した振動の印加回数に応じて、当該制御部33が画像形成枚数(画像形成条件)を変更する処理を行なう(ステップS18)。例えば、画像形成動作中に検出した振動の印加回数が3回であった場合、制御部33は、画像形成枚数を1枚(デフォルトの設定枚数)から3枚に変更する処理を行なう。これにより、原稿の画像が3枚の用紙に複写されて出力されることになる。
次に、制御部33は、上記ステップS15で開始した画像形成動作が終了したかどうかを確認する(ステップS19)。そして、画像形成動作が終了していない場合は、上記ステップS16に戻り、画像形成動作が終了した場合は、一連の制御処理を抜けて待機状態に戻る。
なお、ここでは画像形成動作中に画像形成条件を変更する場合について記述したが、これに限らず、振動抽出部37で抽出した振動の状態が第2の振動印加条件を満たす場合に、制御部33が画像形成動作を中断する処理を実行するものとしてもよい。その場合は、上記ステップS14で適用する第1の振動印加条件と、上記ステップS17で適用する第2の振動印加条件を、同じ条件で設定してもよい。