JP5405875B2 - 木質複合面部材 - Google Patents
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Description
一方、木材は自然素材特有の温かみを有しており、これは金属や合成高分子材料では代替困難なものである。しかしながら、木材は、金属や合成高分子材料と比べると、反りや狂いが生じやすく、また、寸法安定性を確保するのも難しく、更には長期耐久性能や価格面でも不利な面がある。
そこで、金属や合成高分子等の優れた特性を活かしながら、木材の持つ温かみを演出する方法として、金属や合成高分子からなる材を基材とし、該基材上に木材を複合化する技術がある(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、エポキシ樹脂やアクリル樹脂のような強固な接着剤で接合した場合、被着体が完全に固定され、膨潤や収縮等の際に被着体である木材が割れることもよく生じる。
そのため、木材側に切り込みを入れて基材と木材とを嵌合させる方法や、ビスで木材を基材に留め付ける方法も行われているが、木材に特別な加工をわざわざ施すのは難しくもあり、コストアップの要因にもなる。また、ビスで留め付ける方法は簡単ではあるが、ビス頭が見えることで意匠性を損ねたり、基材に穴を開けることで基材が劣化したり、基材本来の性能が低下したりする等の様々な不都合が生じる。
一般に異種材料を接合する場合には、変形追従性を有した、弾性接着剤や粘着材を用いて接着し、特にその接着剤層や粘着材層を厚くすることで、変形追従能を高めることが行われてきた。しかし、その場合は、抗剪断応力能が低下してしまい、結局は剥離に繋がってしまう。また、弾性接着剤層や粘着材層を薄くすることで、抗剪断応力能を向上させると、逆に変形追従性が低下してしまう。
即ち、木材と異素材又は木材同士が一体化されてしまうと、両者の界面に応力がたまり、特に木材のような大きな変形挙動を示すものが被着体となる場合は、従来のような粘弾性体でその応力を緩和することは難しい。そこで、本発明者は、木質材と基材を接着剤で一体化することなく、力学的に不連続な結合方法を検討した結果、特定のファスナー構造で両者を係合させて接合させると、応力が適切に緩和され、長期耐久性を有した接合構造となることを知見した。
また、基材と木質外装材とからなる木質複合面部材を、木質外装材を屋外側に向けて建築物に取り付けて使用する場合、雨水が木質外装材に与える悪影響を、ファスナー構造による取り付け態様を工夫することで大きく緩和することができることを知見した。
本発明は、かかる知見に基づき更に検討を重ねて完成されたものである。
本発明の一実施形態である木質複合面部材1は、図1に示すように、ドア用の面材であって、木質外装材側の面を屋外側に向けて建築物に取り付けられて使用されるものである。建築物は、住宅でも非住宅であっても良いが、住宅であることが好ましく、特に木質外装材の意匠性を活かして木造住宅に使用することが好ましい。
木質複合面部材1は、図1に示すように、正面視矩形状をなしており、その長手方向が、建築物に取り付けられたときの上下方向(鉛直方向)に対応し、その幅方向が建築物に取り付けられたときの水平方向に対応する。従って、木質複合面部材1においては、図中のX方向(長手方向)が「縦方向」、図中のY方向(幅方向)が「横方向」である。
第1係合部材4の幅W4は、5〜100mm、特に10〜50mmであることが、第1係合部材4と後述する第2係合部材5との結合強度の確保や、結合作業の容易性、第1係合部材4と第2係合部材5との結合状態の意図的な解除を容易にする観点から好ましい。
第1係合部材4の間隔P4は、5〜500mm、特に10〜300mmであることが、通気性(特に縦方向の通気性)や排水性の向上の観点から好ましい。
第2係合部材5の幅W5は、5〜100mm、特に10〜50mmであることが、第1係合部材4と第2係合部材5との結合強度の確保や、結合作業の容易性、第1係合部材4と第2係合部材5との結合状態の意図的な解除を容易にする観点から好ましい。
また、本実施形態の木質複合面部材1のように、一本の木質外装材3に複数本の第2係合部材5を設ける場合、それらの第2係合部材5の間隔P5は、5〜450mm、特に25〜300mmであることが、通気性(特に横方向の通気性)の向上の観点から好ましい。
木質外装材3の幅W3は、25〜450mm、特に50〜150mmであることが好ましい。本実施形態で用いた木質外装材3は、上下に実加工を施してある。そのような場合の木質外装材3の幅W3は、図3に示すように、表面上から見える面幅とする。
第1係合部材4及び第2係合部材5としては、図4(a)に示すように、シート状ないし板状のベースシート61と該ベースシート61から突出する多数のキノコ状の突起62とを有する機械的面ファスナー6を用いることが好ましい。また、そのような機械的面ファスナー6は、基材2及び/又は木質外装材3のそれぞれに粘着剤63を介して固定することが好ましい。粘着剤63は、接着剤であっても良い。粘着剤63としては、アクリル系の粘着剤、ゴム系、シリコーン系等を用いることができ、特にアクリル系の粘着剤を用いることが、耐久性の観点から好ましい。
機械的面ファスナー6を粘着剤63を介して固定する場合、基材2や木質外装材3に特別な加工を施したり、釘やビス、金物等を用いる必要がない等の利点がある。
キノコ状の突起は、機械的面ファスナーのベースシート61に平行な平面による断面を見たときに、断面積が小さい茎部に対して断面積が大きい頭部を有するものが好ましく、頭部の外周が茎部の全周に亘って張り出しているものが好ましい。
キノコ状の突起は、25.4mm角あたりに、50〜1000本程度存在することが好ましく、100〜500本程度存在することが好ましい。
ベースシートと該ベースシートから突出する多数のキノコ状の突起とを有する機械的面ファスナーとしては、市販のものを用いることもでき、例えば、住友スリーエム株式会社が販売する、「デュアルロック(登録商標)ファスナー」の「SJ−3551J」、「SJ−3552J」、「SJ−3550J」、「デュアルロック(登録商標)薄手ファスナー」の「SJ−4570」、「SJ−4570」等を用いることができる。市販の機械的面ファスナーで帯状でないものは帯状に裁断して使用する。
基材表面に設けるプライマー層に関し、最適な形成材料は基材との組み合わせにより異なるので一律に好ましい化合物を例示することはできないが、基材がアルミなどの金属の場合はイソシアネート系化合物を選択することが好ましい。
また、木質材の裏面に設けるプライマー層に関しては、木質材との相性を考慮すると、該プライマー層は、イソシアネート系化合物で形成することが好ましい。
イソシアネート系化合物を用いたプライマー層は、例えば、イソシアネート系化合物を含むプライマーを刷毛塗り等により塗布して乾燥することにより形成することができる。
そのため、木質外装材3と基材2とが、ファスナー構造部分で力学的に非連続に接合されており、そのため、木質外装材3と基材2の挙動の違いによって生じる応力が効果的に緩和され、木質複合面部材1を、木質外装材3を屋外側に向けて建築物に取り付けて用いた場合であっても、両者が剥離しにくく、長期耐久性能を発揮する。
また、本実施形態の木質複合面部材1には、2箇所に設けた貫通孔を介して、取っ手5が取り付けられているが、取っ手8やそれを固定するための貫通孔等は省略することもできる。
なお、図5には、4本のモール7が既に固定されている基材2に対して木質外装材3を固定していく様子が示されているが、4本のモール7のうちの1本あるいは互いに平行ではない2本を固定した状態で、木質外装材3を順次固定していくことが、作業性の観点から好ましい。
基材の大きさや形態は、木質複合面部材の具体的用途等に応じて適宜に決定することができる。基材の形態の例としては、板状体、内部に空洞のある厚みのある板状体、断面が3角形や4角形等の筒状体や角柱体等が挙げられる。
例えば、上記実施形態の木質複合面部材1は、ドア用の面部材であったが、ドア用の面部材に代えて、シャッター、サッシ、カーテンウォール、又はサイディング材用の面部材であっても良い。また、ドアは、引き戸等であっても良い。
また、上記実施形態の木質複合面部材1においては、一本の木質外装材3の幅方向の両端部に2本の第2係合部材5,5が設けられていたが、それに代えて、一本の木質外装材3の幅方向の上端部や中央部等に第2係合部材5を一本のみ設けても良いし、一本の木質外装材3の3本の第2係合部材5を、相互間に間隔を開けて設けても良い。
2 基材
3 木質外装材
4 第1係合部材
5 第2係合部材
6 機械的面ファスナー
61 ベースシート
62 キノコ状の突起
63 粘着剤
7 モール
Claims (6)
- 片面を屋外側に向けて建築物に取り付けられる木質複合面部材であって、
面状の基材と、該基材の屋外側の面に、建築物に取り付けられたときの上下方向に対応する方向を縦方向、水平方向に対応する方向を横方向としたときの横方向に延びて固定された複数本の木質外装材とを有しており、
前記基材には、キノコ状の突起を多数有する複数本の帯状の第1係合部材が、それぞれ縦方向に延びて、且つ幅方向に間隔を開けて設けられており、
前記木質外装材には、キノコ状の突起を多数有し且つ該木質外装材の幅より幅が狭い帯状の第2係合部材が、該木質外装材の長手方向に沿って設けられており、
前記木質外装材の幅方向の端部に本実加工が施されており、
複数本の前記木質外装材が、第1係合部材と第2係合部材の突起同士の係合及び前記縦方向に隣り合う木質外装材同士の本実加工部を介した連結により、前記基材に固定されていることを特徴とする木質複合面部材。 - 第2係合部材が、前記木質外装材の幅方向に間隔を開けて複数本設けられていることを特徴とする、請求項1記載の木質複合面部材
- 第1及び/又は第2係合部材が、粘着剤を介して、前記基材及び/又は前記木質外装材に固定されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の木質複合面部材。
- 前記基材が、金属、ガラス及び合成樹脂から選択される材料からなる請求項1〜3の何れか1項記載の木質複合面部材。
- 前記木質複合面部材が、ドア、シャッター、サッシ、カーテンウォール、又はサイディング材である、請求項1〜4の何れか1項記載の木質複合面部材。
- 請求項1〜5の何れか1項記載の木質複合面部材が、前記木質外装材側の面を屋外側に向けて取り付けられている建築物。
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