JP5403842B2 - T1r味覚受容体とこれをコードする遺伝子 - Google Patents

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Description

(関連出願)
本出願は、以下の仮出願に関連する:米国第60/187,546号、2000年3月7日出願、標題「新規味覚受容体とこれをコードする遺伝子」、ゾズリア(Zozulya)とアドラー(Adler);米国第60/195,536号、2000年4月7日出願、標題「哺乳動物味覚受容体とヒトオルソログ(ortholog)」、アドラー(Adler);米国第60/209,840号、2000年6月6日出願、標題「新規味覚受容体とこれをコードする遺伝子」、ゾズリア(Zozulya)とアドラー(Adler)、米国第60/214,213号、2000年6月23日出願、標題「新規味覚受容体とこれをコードする遺伝子」、ゾズリア(Zozulya)とアドラー(Adler);米国第60/226,448号、2000年8月17日出願、標題「新規味覚受容体とこれをコードする遺伝子」、ゾズリア(Zozulya)とアドラー(Adler)、および米国第60/259,227号、2001年1月3日出願、標題「T1R味覚受容体とこれをコードする遺伝子」、アドラー(Adler)、スタスゼウスキー(Staszewski)とオコネル(O’Connell)(これらはすべて、参照することにより本明細書に組み込まれる)。
発明の背景
(発明の分野)
本発明は、新たに同定された哺乳動物の化学的感覚Gタンパク質結合受容体(chemosensory G protein−coupled receptors)、そのような受容体のファミリー、および該受容体をコードする遺伝子とcDNAに関する。さらに詳しくは本発明は、味覚シグナル伝達活性のある新たに同定された哺乳動物の化学的感覚Gタンパク質結合受容体、そのような受容体のファミリー、該受容体をコードする遺伝子とcDNA、および味覚モジュレーター(taste modulators)の分析と発見におけるこのような受容体、遺伝子、およびcDNAの使用法に関する。
(関連分野の説明)
味覚系は、外部世界の化学組成についての感覚的情報を提供する。味覚伝達は、動物の化学的に開始される感覚の最も複雑な型である。現在味覚が誘発される機構はあまり理解されていない。例えば、マルゴルスキー(Margolskee)、BioEssays、15:645−50(1993);アヴェネット(Avenet)ら、J.Membrane Biol.,112:1−8(1989)を参照されたい。味覚シグナル伝達は、単純な後生動物から最も複雑な脊椎動物まで動物界全体で見られる。味覚は、明確なシグナル伝達経路が関与すると考えられている。これらの経路は、受容体(すなわち、代謝調節型(metabotropic)または変力作用型(ionotropic)受容体)により仲介されると考えられている。味覚受容体を発現する細胞は、ある化学的刺激を受けると、分極して活動電位を発生することにより誘発を必要し、これが感覚を引き起こすと考えられる。この事象が、味覚求心性ニューロンシナプスで神経伝達物質の放出を引き起こし、こうして味覚の認識を仲介する神経経路に沿ったシグナル伝達を開始させると考えられる。例えば、ローパー(Roper)、Ann.Rev.Neurosci.,12:329−53(1989)を参照されたい。
従って味覚受容体は、特異的な味覚を誘発する分子を特異的に認識する。これらの分子は、以後「味覚物質(tastants)」とも呼ぶ。多くの味覚受容体は、7−膜貫通受容体スーパーファミリー(フーン(Hoon)ら、Cell 96:451(1999);アドラー(Adler)ら、Cell 100:693(2000))に属し、これらはまた、Gタンパク質結合受容体(GPCR)としても知られている。他の味覚は、チャネルタンパク質により仲介されると考えられている。Gタンパク質結合受容体は、多くの生理機能(例えば、内分泌機能、外分泌機能、心拍、脂質分解、炭水化物代謝、および膜貫通シグナル伝達)を制御する。多くのこのような受容体の生化学的分析と分子クローニングにより、これらの受容体の機能に関する多くの基本的原理が明らかになっている。
例えば、米国特許第5,691,188号は、リガンドがGPCRに結合すると、どのように受容体がコンフォメーション変化を受けて、Gタンパク質が活性化されるか説明している。Gタンパク質は、3つのサブユニットからなる:グアニルヌクレオチド結合性のαサブユニット、βサブユニット、およびγサブユニット。Gタンパク質は、αサブユニットにGDPまたはGTPが結合しているかによって、2つの型の間で行き来する。GDPが結合すると、Gタンパク質はヘテロトリマー(Gαβγ複合体)として存在する。GTPが結合すると、αサブユニットはヘテロトリマーから解離し、Gβγ複合体が残る。Gαβγ複合体が細胞膜中で、活性化Gタンパク質結合受容体と機能的に結合すると、結合GDPとのGTPの交換速度が上昇し、Gαβγ複合体からの結合Gαサブユニットの解離速度が上昇する。すなわち、遊離のGαサブユニットとGβγ複合体は、種々のシグナル伝達経路の下流の成分にシグナルを伝達することができる。これらの事象は、多くの異なる細胞シグナル伝達現象(例えば、味および/または臭いのような神経的感覚の認識として同定されるシグナル伝達現象)の基礎をなす。
哺乳動物は、5つの基本的な味の感覚(甘味、苦味、酸味、塩味、および旨味(グルタミン酸ナトリウムの味))を有すると考えられている。例えば、カワムラ(Kawamura)ら、「旨味入門:基本的な味(Introduction to Umami:A Basic Taste)」(1987);キンナモン(Kinnamon)ら、Ann.Rev.Physiol.,54:715−31(1992);リンダマン(Lindermann)、Physiol.Rev.,76:718−66(1996);スチュアート(Stewart)ら、Am J.Physiol.,272:1−26(1997)を参照されたい。動物における無数の生理的研究により、味覚受容体細胞は、異なる化学刺激に対して選択的に応答するらしいことが証明されている。例えば、アカバス(Akabas)ら、Science,242:1047−50(1988);ギルバートソン(Gilbertson)ら、J.Gen.Physiol,100:803−24(1992);バーンハート(Bernhardt)ら、J.Physiol.,490:325−36(1996);カミングス(Cummings)ら、J.Neurophysiol.,75:1256−63(1996)を参照されたい。
哺乳動物では、味覚受容体細胞は集合して味蕾(taste buds)になり、これは、舌の上皮の異なる乳頭突起中に分泌している。舌の一番奥にある有郭乳頭は、数十万の味蕾を含む。これに対して、舌の外側後端に局在化している葉状乳頭は、数千の味蕾を含む。さらに、舌の前面に局在化している茸状乳頭は、わずかに1つまたは数個の味蕾しか含まない。
各味蕾は、種によって、50〜150個の細胞を含有し、前駆細胞、支持細胞、および味覚受容体細胞を含む。例えばリンダマン(Lindermann)、Physiol.Rev.,76:718−66(1996)を参照されたい。受容体細胞は、脳幹と視床のシナプスを介して、皮質の味覚中心に情報を伝達する求心性神経末端により、その基部で刺激される。味覚細胞シグナル伝達と情報処理の機構を解明することは、味の感覚の機能、制御、および認識を理解するのに重要である。
味覚細胞機能の精神物理学や生理学についてはかなりわかっているが、その感覚シグナル伝達の応答を仲介する分子や経路についてはほとんど知られていない。新規な味覚受容体と味覚シグナル伝達分子の同定と単離は、味覚シグナル伝達経路の化学的および遺伝的調節の新しい方法を可能にするであろう。例えば、受容体およびチャネル分子が利用可能なら、高親和性アゴニスト、アンタゴニスト、逆アゴニスト、および味覚活性のモジュレーターのスクリーニングが可能になるであろう。このような味調節化合物は、医薬品および食品業界において、種々の消費者製品の味を改良したり、またはある医薬品の好ましくない味を阻止したりするのに、有用であろう。
現在、多くのヒトや他の真核生物の化学的感覚受容体の完全なまたは部分的配列が知られている。例えば、ピルペル・ワイ(Pilpel,Y.)とランセット・ディー(Lancet,D.)、Protein Science,8:969−977(1999);モンベーツ・ピー(Mombaerts P.),Annu.Rev.Neurosci.,22:487−50(1999)を参照されたい。また、EP0867508A2、US5874243、WO92/17585、WO95/18140、WO97/17444、WO99/67282も参照されたい。リガンド−受容体相互作用およびさらに詳しくは味覚物質−受容体相互作用の複雑さのため、リガンド−受容体認識に関する情報が欠如している。本発明は一部は、化学的感覚受容体と化学刺激との相互作用をさらに理解することの必要性を示している。本発明はまた、新規の化学的感覚受容体、および味覚のような化学的感覚シグナル伝達を調節するために使用できる分子を同定するための、そのような受容体、そのような受容体をコードする遺伝子とcDNAの使用法を提供する。
(発明の要約)
本発明は、Gタンパク質結合受容体の新規ファミリー、および該受容体をコードする遺伝子とcDNAとに関する。この受容体は、甘味伝達に関与すると考えられているが、他の味からのシグナルの伝達にも関与し得る。
本発明は、哺乳動物(ヒトを含む)の味の知覚を表示する方法および/または予測する方法を提供する。好ましくはこのような方法は、本明細書に開示の受容体と該受容体をコードする遺伝子とを使用することにより行われる。
この目的のために本発明の目的は、味の知覚活性がある哺乳動物のGタンパク質結合受容体(本明細書においてT1Rと呼ぶ)の新しいファミリーを提供することである。本発明の別の目的は、味覚物質結合活性を保持しているこのようなT1Rの断片と変種を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、そのようなT1R、その断片または変種をコードする核酸配列または分子を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、少なくとも1つの制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、または正のまたは負の遺伝子転写および/または翻訳に関与する他の配列)に機能的に連結した、そのようなT1R、その断片または変種をコードする核酸配列を含む発現ベクターを提供することである。
本発明のさらに別の目的は、そのようなT1R、その断片または変種の少なくとも1つを機能的に発現するヒトまたは非ヒト細胞を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、T1R融合タンパク質、またはそのようなT1Rの少なくとも1つの少なくとも断片を含むポリペプチドを提供することである。
本発明のさらに別の目的は、配列番号1、2、3、9、11、13、15、16、20よりなる群から選択される核酸配列に、少なくとも50%、好ましくは75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を含むT1Rポリペプチドをコードする単離された核酸分子、およびその保存的に改変された変種を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、配列番号4、10、12、14、17よりなる群から選択されるアミノ酸配列に、少なくとも35〜50%、好ましくは60%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子、およびその保存的に改変された変種を提供することであり、該断片は、少なくとも20、好ましくは40、60、80、100、150、200または250アミノ酸の長さである。場合により該断片は、抗T1R抗体に結合する抗原性断片でもよい。
本発明のさらに別の目的は、10以下、好ましくは5、4、3、2または1個のアミノ酸残基で変化がある、該断片の変種を含む単離されたポリペプチドを提供することである。
本発明のさらに別の目的は、そのようなT1R、その断片もしくは変種のアゴニストまたはアンタゴニストを提供することである。
本発明のさらに別の目的は、哺乳動物(ヒトを含む)の味の知覚を表示する方法、および/または味の知覚を予測する方法を提供することである。好ましくはそのような方法は、本明細書に開示のT1Rまたはその断片もしくは変種、およびT1Rまたはその断片もしくは変種をコードする遺伝子を使用することにより行われる。
本発明のさらに別の目的は、哺乳動物においてあらかじめ決められた味の知覚を誘発する新規分子または分子の組合せを提供することである。そのような分子または組成物は、既知の分子または分子の組合せについて、哺乳動物の味の知覚の値を測定する;1つ以上の未知の分子または分子の組合せについて哺乳動物の味の知覚の値を測定する;1つ以上の未知の組成物についての哺乳動物の味の知覚の値を、1つ以上の既知の組成物についての哺乳動物の味の知覚の値と比較する;哺乳動物のあらかじめ決められた味の知覚を誘発する分子または分子の組合せを選択する;および2つ以上の未知の分子または分子の組合せを組合せて、哺乳動物のあらかじめ決められた味の知覚を誘発する分子または分子の組合せを生成することにより、生成することができる。組合せ工程は、哺乳動物のあらかじめ決められた味の知覚を誘発する単一の分子または分子の組合せを与える。
本発明のさらに別の目的は、哺乳動物が検出できる味の存在について1つ以上の化合物をスクリーニングする方法であって、該1つ以上の化合物に、T1Rまたはその断片もしくは変種の少なくとも1つを接触させる工程を含んでなり、好ましくは哺乳動物はヒトである、上記方法を提供する。
本発明のさらに別の目的は、味を刺激する方法であって、本明細書に開示の複数のT1Rまたはその断片もしくは変種のそれぞれ(好ましくはヒトT1R)について、T1Rが味覚物質と相互作用する程度を確認する工程;およびそれぞれが1つ以上のT1Rとのすでに確認された相互作用を有する複数の化合物を、味のプロフィールを模倣する受容体−刺激プロフィールを提供する量で組合せる工程、とを含んでなる方法を提供する。味覚物質とT1Rとの相互作用は、本明細書に記載の任意の結合またはレポーター測定法を使用して決定することができる。次に、複数の化合物を組合せて混合物を形成する。必要であれば、この複数の化合物の1つ以上は、共有結合的に組合せることができる。組合せた化合物は、味覚物質により実質的に刺激される受容体の少なくとも50%、好ましくは60%、70%、75%、80%、もしくは90%、またはすべてを実質的に刺激する。
本発明のさらに別の態様において、複数のT1Rまたはその断片もしくは変種に対して複数の標準化合物を試験し、各T1Rが標準化合物と相互作用する程度を確認し、こうして各標準化合物について受容体刺激プロフィールを作成する方法が提供される。これらの受容体刺激プロフィールは次に、リレーショナルデータベースにデータ保存媒体で保存してもよい。本方法はさらに、ある味の所望の受容体−刺激プロフィールを提供し;所望の受容体刺激プロフィールをリレーショナルデータベースと比較し;そして所望の受容体−刺激プロフィールと最もよく一致する標準化合物の1つ以上の組合せを確認することを含んでなる。この方法はさらに、標準化合物を1つ以上の確認した組合せで組合せて、味を模倣してもよい。
本発明のさらに別の目的は、哺乳動物の特定の味覚物質の味の知覚を表示する方法であって、該脊椎動物のn個のT1Rのそれぞれの定量的刺激を示す値X1〜Xn(ここで、nは2より大きいかまたは2である)を提供する工程;および該値から味の認識の定量的表示を生成する工程とを含んでなる方法を提供する。T1Rは、本明細書に開示の味覚受容体、その断片もしくは変種でもよく、表示は、n次元空間中の点または容積でもよく、グラフまたはスペクトルを構成してもよく、定量的表示のマトリックスを構成してもよい。また提供工程は、複数の組換え産生したT1Rまたはその断片もしくは変種に、試験組成物を接触させ、該組成物と該受容体との相互作用を定量測定することを含んでもよい。
本発明のさらに別の目的は、哺乳動物の未知の味の知覚を与える1つ以上の分子または分子の組合せにより生成する、哺乳動物の味の認識を予測する方法であって、該脊椎動物のn個のT1Rのそれぞれの定量的刺激を示す値X1〜Xn(ここで、nは、2より大きいかまたは2である)を提供する工程;1つ以上の分子または分子の組合せについて、哺乳動物の既知の味の知覚を生成する工程;および哺乳動物の既知の味の知覚を生成する1つ以上の分子または分子の組合せについて、該値から哺乳動物の味の知覚の定量的表示を作成して、該脊椎動物のn個のT1Rのそれぞれの定量的刺激を示す値X1〜Xn(ここで、nは2より大きいかまたは2である)を提供する工程;1つ以上の分子または分子の組合せについて、哺乳動物の未知の味の知覚を生成する工程;および哺乳動物の未知の味の知覚を生成する1つ以上の分子または分子の組合せについて、該値から哺乳動物の味の知覚の定量的表示を生成する工程、および哺乳動物の未知の味の知覚を生成する1つ以上の分子または分子の組合せについて、哺乳動物の味の知覚の定量的表示を、哺乳動物の既知の味の知覚を生成する1つ以上の分子または分子の組合せについて、哺乳動物の味の知覚の定量的表示と比較することにより、哺乳動物の未知の味の知覚を生成する1つ以上の分子または分子の組合せが生成する哺乳動物の味の知覚を予測する工程を含んでなる、上記方法を提供することである。この方法で使用されるT1Rは、本明細書に開示の味覚受容体またはその断片もしくは変種を含んでもよい。
(発明の詳細な説明)
従って本発明は、味覚細胞特異的Gタンパク質結合受容体(「GPCR」)をコードする単離された核酸分子、およびこれがコードするポリペプチドを提供する。これらの核酸分子とこれがコードするポリペプチドは、味覚細胞特異的GPCRのT1Rファミリーである。味覚細胞特異的GPCRのT1Rファミリーのメンバーは、フーン(Hoon)ら、Cell 96:541−551(1999)、WO00/06592、およびWO00/06593(これらは、参照することにより本明細書に組み込まれる)で同定されている。
さらに詳しくは本発明は、味覚細胞特異的GPCRの新規ファミリーをコードする核酸を提供する。これらの核酸およびこれがコードする受容体は、味覚細胞特異的GPCRの「T1R」ファミリーのメンバーと呼ばれる。本発明の具体例において、T1Rファミリーのメンバーは、rT1R3、mT1R3、hT1R3、およびhT1R1を含む。理論に拘束される訳ではないが、これらの味覚細胞特異的GPCRは、味覚シグナル伝達経路の成分であり、甘味物質および/または他の味の検出に関与しているかも知れないと考えられている。
さらに、T1Rファミリーメンバーは、他のT1Rファミリーメンバー、他の味覚細胞特異的GPCR、またはこれらの組合せと一緒に作用して、化学感覚的味覚伝達を行うと考えられる。例えば、T1R1とT1R3は、同じ味覚受容体細胞型により内で同時発現され、2つの受容体が物理的に相互作用して、ヘテロダイマーの味覚受容体を形成すると考えられる。あるいは、T1R1とT1R3は、いずれも独立に同じ型のリガンドに結合し、その結合が一緒になると、特異的に知覚される味覚が生じる。
これらの核酸は、味覚細胞中で特異的に発現されるため、味覚細胞の同定のための有用なプローブを提供する。例えばT1Rポリペプチドとタンパク質のプローブを使用して、葉状乳頭、有郭乳頭、および茸状乳頭中の味覚細胞、ならびに味覚帯(Geschmackstreifen)、口腔、胃腸上皮、および喉頭蓋に存在する味覚細胞を同定することができる。これらはまた、舌の味覚細胞と、脳の味覚中心に至る味覚感覚ニューロンとの関係を解明する味覚地形図を作成するための手段としても機能するかも知れない。特に、T1Rを検出する方法を使用して、甘味物質または他の特異的な味に対して感受性の味覚細胞を同定することができる。さらに核酸およびこれがコードするタンパク質をプローブとして使用して、味覚誘導挙動を分解することができる。また、ヒトT1Rをコードする遺伝子の染色体局在化を使用して、T1Rファミリーメンバーが引き起こしかつ関連する疾患、突然変異、および形質を同定することができる。
本発明のT1Rタンパク質とポリペプチドをコードする核酸は、WO00/035374に開示された方法(これは、参照することにより本明細書に組み込まれる)に従って、遺伝子的に作成、増幅、合成、および/または組換え発現した種々の供給源から単離することができる。
本発明はまた、これらの新規味覚細胞特異的GPCRのモジュレーター(例えばアクチベーター、インヒビター、刺激物質、エンハンサー、アゴニスト、およびアンタゴニスト)のスクリーニング法を提供する。味覚伝達のそのようなモジュレーターは、味覚シグナル伝達経路の薬学的、化学的、および遺伝的調節に有用である。これらのスクリーニング法を使用して、味覚細胞活性の高親和性アゴニストおよびアンタゴニストを同定することができる。これらの調節化合物は、味の作成、例えば食品または薬品の甘味を調節するために、食品医薬品業界で使用することができる。
すなわち本発明は、T1Rファミリーメンバーが、味覚伝達に対するモジュレーターの作用の直接または間接的レポーター分子として作用する、味調節を検出かつ性状解析するための測定法を提供する。GPCRは、例えば、インビトロ、インビボ、エクスビボでのリガンド結合、イオン濃度、膜電位、電流、イオンフラックス、転写、シグナル伝達、受容体−リガンド相互作用、第2メッセンジャー濃度を測定するための測定法で使用することができる。ある実施態様において、T1Rファミリーのメンバーは、緑の蛍光タンパク質(green fluorescent protein)(例えば、ミスチリ(Mistili)とスペクター(Spector)、Nature Biotechnology,15:961−964(1997)を参照されたい)のような第2レポーター分子への結合を介して、間接的レポーターとして使用することができる。別の実施態様においてT1Rファミリーメンバーは、細胞中で組換え法で発現され、GPCR活性を解する味覚伝達の調節は、Ca2+レベルおよび他の細胞内メッセージ(例えば、cAMP、cGMP、またはIP3)の変化を測定することにより定量される。
ある実施態様において、T1Rポリペプチドのドメイン(例えば、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞内ドメイン)は、異種ポリペプチドに融合されて、キメラポリペプチド(例えば、GPCR活性を有するキメラポリペプチド)を形成する。そのようなキメラポリペプチドは、例えばT1Rポリペプチドのリガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、または他のモジュレーターを同定するための測定法で有用である。さらにそのようなキメラポリペプチドは、リガンド結合特異性、制御モード、シグナル伝達経路、または他のそのような性質を有する新規味覚受容体を作成するか、またはリガンド結合特異性、制御モード、シグナル伝達経路などの新規組合せを有する新規味覚受容体を作成するのに、有用である。
ある実施態様においてT1Rポリペプチドは、原形質膜通過、成熟、および分泌経路を介するターゲティングを促進する異種シャペロン配列とのキメラ受容体として、真核細胞中で発現される。随時の異種配列は、ロドプシン配列(例えば、ロドプシンのN−末端断片)でもよい。そのようなキメラT1R受容体は、任意の真核細胞(例えば、HEK−293細胞)で発現させることができる。好ましくは細胞は、Gタンパク質(例えば、Gα15またはGα16、または広範な化学的感覚GPCRを細胞内シグナル伝達経路またはシグナル伝達タンパク質(例えば、ホスホリパーゼC)に対合させることができる他の型の無差別的Gタンパク質を含む。そのような細胞中のそのようなキメラ受容体の活性化は、任意の標準的方法を使用して検出でき、例えば細胞中のFURA−2依存性蛍光を検出して細胞内カルシウムの変化を検出することができる。好適な宿主細胞が適切なGタンパク質を発現しないなら、これらを、例えば、米国特許出願第60/243,770号(これは参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載のような無差別的Gタンパク質をコードする遺伝子でトランスフェクションしてもよい。
味覚伝達のモジュレーターの測定法には、インビトロリガンド結合測定法(T1Rポリペプチド、その部分、すなわち細胞外ドメイン、膜貫通領域、もしくは組合せ、またはT1Rファミリーメンバーの1つ以上のドメインを含むキメラタンパク質;T1Rポリペプチド、断片、または融合タンパク質を発現する卵母細胞または組織培養細胞を使用する);T1Rファミリーメンバーのリン酸化および脱リン酸化;リガンド結合測定法;電圧、膜電位およびコンダクタンス変化;イオンフラックス測定法;cGMP、cAMPおよびイノシトール三リン酸のような細胞内第2メッセンジャーの変化;細胞内カルシウムレベルの変化;および神経伝達物質放出がある。
さらに本発明は、T1R核酸とタンパク質発現を検出する方法を提供し、味覚受容体細胞の味覚伝達制御と具体的な同定の研究を可能にする。T1Rファミリーメンバーはまた、親子鑑定や法医学的調査のための有用な核酸プローブを提供する。T1R遺伝子はまた、味覚受容体細胞(例えば、葉状乳頭、茸状乳頭中、有郭乳頭、味覚帯(geschmackstreifen)、および喉頭蓋受容体細胞)を同定するための核酸プローブとして有用である。T1R受容体はまた、味覚受容体細胞を同定するのに有用なモノクローナル抗体やポリクローナル抗体を作成するのに使用することができる。味覚受容体細胞は、mRNAの逆転写酵素と増幅、総RNAまたはポリA+RNAの単離、ノーザンブロッティング、ドットブロッティング、in situ ハイブリダイゼーション、RNase保護、S1消化、プローブ結合DNAマイクロチップアレイ、ウェスタンブロットなどの技術を使用して同定することができる。
機能的にはT1Rポリペプチドは、関連する7つの膜貫通Gタンパク質結合受容体のファミリーを含み、これらは味覚伝達に関与すると考えられており、Gタンパク質と相互作用して味覚シグナル伝達を仲介するかも知れない(例えば、フォング(Fong)、Cell Signal,8:217(1996);ボールドウィン(Baldwin)、Curr.Opin.Cell Biol.,6:180(1994)を参照されたい)。構造的にはT1Rファミリーメンバーのヌクレオチド配列は、細胞外ドメイン、7つの膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む関連ポリペプチドをコードするかも知れない。他の種からの関連するT1Rファミリー遺伝子は、少なくとも約50ヌクレオチドの長さ、場合により100、200、500、またはそれ以上の長さの領域にわたって、配列番号1、2、3、9、11、13、15、16、20、またはその保存的に改変された変種と、少なくとも約50%、および場合により60%、70%、80%または90%のヌクレオチド配列同一性を共有し、または少なくとも約25アミノ酸の長さ、場合により50〜100アミノ酸の長さのアミノ酸領域にわたって、配列番号4、10、12、14、17またはその保存的に改変された変種と、少なくとも約35〜50%、および場合により60%、70%、80%、または90%のアミノ酸の同一性を共有するポリペプチドをコードする。
T1Rファミリーメンバーに特徴的ないくつかの共通アミノ酸配列またはドメインも同定されている。例えば、T1Rファミリーメンバーは典型的には、T1R共通配列1および2(それぞれ、配列番号18と19)と、少なくとも約50%、場合により55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%。95〜99%、またはそれ以上の同一性を有する配列を含む。これらの保存されたドメインは、同一性、特異的ハイブリダイゼーションもしくは増幅、またはドメインに対して作成された抗体の特異的結合により、T1Rファミリーのメンバーを同定するのに使用することができる。そのようなT1R共通配列は、以下のアミノ酸配列を有する:
T1Rファミリー共通配列1:(配列番号18)
(TR)C(FL)(RQP)R(RT)(SPV)(VERKT)FL(AE)(WL)(RHG)E
T1Rファミリー共通配列2:(配列番号19)
(LQ)P(EGT)(NRC)YN(RE)A(RK)(CGF)(VLI)T(FL)(AS)(ML)
これらの共通配列は、本明細書に記載のT1Rポリペプチド中に見いだされるものを含むが、他の生物からのT1Rファミリーメンバーは、本明細書に具体的に記載した共通配列と約75%の同一性を有する共通配列を含むことが期待される。
T1Rヌクレオチドとアミノ酸配列の特定の領域は、T1Rファミリーメンバーの多型性変種、種間同族体、および対立遺伝子を同定するのに使用される。この同定は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、またはPCR(例えば、上記のT1R共通配列をコードするプライマーを使用して)によりインビトロで行われるか、または他のヌクレオチド配列との比較のためにコンピューターシステムの配列情報を使用して行うことができる。単一の種の集団内のT1R遺伝子の異なる対立遺伝子もまた、対立遺伝子配列の差が、集団のメンバーの間の味の知覚の差に相関するかどうかを決定するのに有用であろう。古典的なPCR型の増幅とクローニング法は、例えば縮重プライマーが、種間の関連遺伝子を検出するのに充分な場合、一般に単一の種内のT1Rファミリーのパラロガス(paralogous)メンバーより相対的同一性のレベルが高いオルソログ(ortholog)を単離するのに有用である。
例えば、縮重プライマーSAP077(配列番号5)とSAP0079(配列番号6)を使用して、異なる哺乳動物のゲノムからT1R3遺伝子を増幅しクローン化することができる。これに対して、T1R3に関連する単一の種内の遺伝子は、配列パターン認識ソフトウェアを使用して関連配列を探すことにより、最もよく同定される。一般にT1Rファミリーメンバーの多型性変種と対立遺伝子の同定は、約25個のアミノ酸またはそれ以上、例えば50〜100アミノ酸のアミノ酸配列を比較することにより行うことができる。少なくとも約35〜50%、場合により60%、70%、75%、80%、85%、90%、95〜99%、またはそれ以上のアミノ酸同一性は、あるタンパク質が、T1Rファミリーメンバーの多型性変種、種間同族体、または対立遺伝子であることを示す。配列比較は、後述する任意の配列比較アルゴリズムを使用して行うことができる。T1Rポリペプチドまたはその保存領域に特異的に結合する抗体はまた、対立遺伝子、種間同族体、および多型性変種を同定するのに使用することができる。
T1R遺伝子の多型性変種、種間同族体、および対立遺伝子は、推定T1Rポリペプチドの味覚細胞特異的発現を調べることにより確認することができる。一般に本明細書に開示のアミノ酸配列を有するT1Rポリペプチドは、推定T1Rポリペプチドとの比較において陽性対照として使用して、T1Rファミリーメンバーの多型性変種または対立遺伝子の同定を証明することができる。多型性変種、対立遺伝子、および種間同族体は、Gタンパク質結合受容体の7つの膜貫通構造を保持すると推測される。さらなる詳細については、関連するT1RファミリーメンバーであるGPCR−B3sを開示するWO00/06592を参照されたい(この内容は、本開示に一致する形で参照することにより本明細書に組み込まれる)。GPCR−B3受容体は、本明細書でrT1R1およびmT1R1と呼ぶ。さらに、関連するT1RファミリーメンバーであるGPCR−B4sを開示するWO00/06593を参照されたい(この内容は、本開示に一致する形で参照することにより本明細書に組み込まれる)。GPCR−B4は、本明細書でrT1R2およびmT1R2と呼ぶ。
T1Rファミリーメンバーのヌクレオチドおよびアミノ酸配列情報はまた、コンピューターシステムで味覚細胞特異的ポリペプチドのモデルを作成するのに使用してもよい。次にこれらのモデルを使用して、T1R受容体タンパク質を活性化または阻害することができる化合物を同定することができる。次にT1Rファミリーメンバーの活性を調節するそのような化合物を使用して、味覚伝達におけるT1R遺伝子と受容体の役割を調べることができる。
本発明はまた、T1Rポリペプチドと相互作用するかおよび/またはこれを調節する分子を同定するための、測定法、好ましくは高処理能力測定法を提供する。多くの測定法において、T1Rファミリーメンバーの特定のドメイン(例えば、細胞外、膜貫通、細胞内ドメインまたは領域)が使用される。多くの実施態様において、細胞外ドメイン、膜貫通領域またはこれらの組合せは固体基質に結合され、例えばリガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、またはT1Rポリペプチドに結合するかまたはその活性を調節する任意の他の分子を単離するのに使用される。
本発明のある態様において、T1Rファミリーの新しいヒトGPCR遺伝子(hT1R3と呼ぶ)が提供される。hT1R3遺伝子は、ジーンバンク(GenBank)のHTGS部門を含むヒトゲノム配列データベースから同定された。hT1R3のヌクレオチドと概念的に翻訳されたアミノ酸配列を、配列番号1〜4に示す。hT1R3受容体は、ラット味覚受容体rT1R1候補(受け入れ番号AF127389)との配列類似性により、部分的に配列決定されたBACゲノムクローンRP5−890O3(データベース受け入れ番号AL139287)中で同定された。比較すると、予測されたhT1R3とrT1Rタンパク質配列の間の対の同一性は、約34%である。GPCRファミリーC(これは、カルシウム検知受容体、推定V2Rフェロモン受容体、GABA−B受容体、サカナ味覚受容体、および代謝調節型グルタミン酸を含む)の追加のメンバーとの配列比較は、hT1R3が、T1R1と第2のラット味覚受容体候補(rT1R2、受け入れ番号AF127390)により定義されるファミリーCサブグループに属する可能性があることを示す。
本発明はまた、ラット味覚受容体(rT1R1と呼ぶ)のヒトオルソログ(hT1R1と呼ぶ)を提供する。rT1R1とhT1R1の遺伝子産物は、約74%同一である。マウス遺伝子mT1R1が報告されており(フーン(Hoon)ら、Cell 96:541−551(2000)を参照)、hT1R1を含有する間隔に同族な染色体間隔にマッピングされる。ヌクレオチドと概念的に翻訳されたhT1R1配列は、配列番号15と16として本明細書に記載されている。
特定の理論に拘束されるつもりはないが、受容体のT1Rファミリーは、Sac遺伝子座(甘味に影響を与える第4染色体の近位端上の遺伝子座)へのmT1R3の結合により、甘味伝達に関与していると予測される。ヒトT1R3はまた、1p36.2−1p36.33(SacとT1R1を含有するマウス間隔と保存されたシンテニイ(synteny)を示す領域)に局在化していると報告されている。しかし、T1R受容体は、他の味(例えば、苦み、旨味、および塩味)を仲介するかも知れない。
本発明の範囲内にある種々の保存突然変異および置換が企図される。例えば組換え遺伝子技術の公知のプロトコール(PCR、遺伝子クローニング、cDNAの部位特異的突然変異誘発、宿主細胞のトランスフェクション、およびインビトロ転写を含む)を使用して、アミノ酸置換を行うことは、当業者の技術レベル内であろう。次に変種を、味覚細胞特異的GPCR機能活性についてスクリーニングできるであろう。
A.T1Rポリペプチドの同定と性状解析
本発明のT1Rタンパク質とポリペプチドのアミノ酸配列は、コード核酸配列の推定翻訳により同定することができる。これらの種々のアミノ酸配列とコード核酸配列は、多くの方法により、互いにまたは他の配列と比較される。
例えば、配列比較において、一般に1つの配列は、比較される試験配列に対して参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する時は、試験配列と参照配列は、コンピューターに入力され、必要であればサブ配列座標が設計され、そして配列アルゴリズムのプログラムパラメータが設計される。BLASTNとBLASTPプログラムについて後述するように、デフォールトのプログラムパラメータを使用することができるし、あるいは代替パラメータを設計してもよい。次に配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づき、参照配列に対して試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
本明細書において「比較窓(comparison window)」は、20〜600、一般的に約50〜200、さらに一般的には約100〜約150よりなる群から選択される数の連続位置の任意の1つのセグメントを意味し、ここで、ある配列と参照配列が最適に整列された後に、この配列が同じ数の連続位置について参照配列と比較される。比較のための配列の整列法は、当該分野で公知である。比較のための配列の最適な整列は、例えばスミス(Smith)とウォーターマン(Waterman)、Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズム、ニードルマン(Neddleman)とウンシュ(Wunsch)、J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性整列アルゴリズム、ピアソン(Pearson)とリップマン(Lipman)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューター実施(ウィスコンシンジェネティクスソフトウェアパッケージ(Wisconsin Genetics Software Package)のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、ジネティクスコンピューターグループ(Genetics Computer Group)、575 サイエンスディーアール(Science Dr.)、マジソン(Madison)、ウィスコンシン州)、または手動の整列と視覚的検査(例えば、「分子生物学の現代のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)。(アウスベル(Ausubel)ら編、1995増刊を参照)により行うことができる。
配列同一性パーセントと配列類似性パーセントを測定するのに適したアルゴリズムの好適な例は、BLASTとBLAST2.0アルゴリズムであり、これらは、それぞれアルチュル(Altschul)ら、Nuc.Acids Res.25:3389−3402(1977)とアルチュル(Altschul)ら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990)に記載されている。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、ナショナルセンター・フォー・バイオテクノロジーインフォメーション(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公に入手できる。このアルゴリズムは、まず疑問配列中の長さWの短い単語を同定することにより高スコア配列対(HSPs)を同定し、これは、データベース配列中の同じ長さの単語と整列させると、ある陽性値の閾値スコアTに一致するかまたはこれを満足する。Tは、近傍単語スコア閾値(アルチュル(Altschul)ら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1977)とアルチュル(Altschul)ら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990))と呼ぶ。これらの近傍単語ヒットは、これらを含むより長いHSPを見つけるための探索を開始する元になる。単語ヒットは、累積整列スコアが増加する限り、各配列に沿って両方向に延長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一対の一致する残基についての報酬スコア;絶えず>0)とN(一対の一致しない残基についての罰則スコア;絶えず<0)を使用して計算される。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを使用して累積スコアが計算される。各方向への単語ヒットの延長は、以下の時停止する:累積整列スコアが、最大到達値から量Xだけ落ちる時;1つ以上の負のスコアの残基整列の蓄積により、累積スコアがゼロまたはそれ以下になる時;またはいずれかの配列の端に到達した時。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、整列の感度と速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォールト値として、単語長さ(W)が11、予測値(E)が10、M=5、N=−4、と両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、デフォールト値として、単語長さが3、そして予測値(E)が10、およびBLOSUM62スコアリングマトリックス(ヘニコフ(Henikoff)とヘニコフ(Henikoff)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照)整列(B)が50、予測値(E)が10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を使用する。
有用なアルゴリズムの別の例は、PILEUPである。PILEUPは、一群の関連配列から、進行性の対になった整列を使用して複数配列の整列を作成し、関係と配列同一性パーセントを示す。これはまた、いわゆる「木」または「樹状図」をプロットして、整列を作成するのに使用される集合関係を示す(例えば、図2を参照)。PILEUPは、フェング(Feng)とドリトル(Doolittle)、J.Mol.Evol.35:351−360(1987)の進行性整列法の単純化を使用する。使用される方法は、ヒギンス(Higgins)とシャープ(Sharp)、CABIOS 5:151−153(1989)が記載した方法に似ている。このプログラムは、300配列まで整列することができ、その各々の最大長さは5,000ヌクレオチドまたはアミノ酸である。複数整列法は、最もよく似た2つの配列の対になった整列で始まり、2つの整列配列の集団を作成する。次にこの集団は、次の最も関連する配列または整列した配列の集団へ整列される。配列の2つの集団は、2つの個々の配列の対になった整列の単純な延長により整列される。最終整列は、一連の進行性の対になった整列により行われる。このプログラムは、配列比較の領域の具体的な配列およびそのアミノ酸またはヌクレオチド座標を指定して、プログラムパラメータを指定することにより行われる。PILEUPを使用して、参照配列を他の試験配列と比較して、以下のパラメータを使用して配列同一性の関連パーセントを決定する:デフォールトギャップ加重(3.00)、デフォールトギャップ長さ加重(0.10)、および加重末端ギャップ。PILEUPは、GCG配列解析ソフトウェアパッケージ、例えばバージョン7.0(デベロー(Devereaux)ら、Nucleic Acids Res.12:387−395(1984))から得られる。遺伝子にコードされるのは、対応するオープンリーディングフレームの概念的な翻訳に由来する。BLASTPアルゴリズムを使用して、これらのタンパク質配列を公の配列データベース中のすべての既知のタンパク質と比較すると、T1Rファミリーのメンバーと強い相同性が明らかになり、T1Rファミリー配列のそれぞれは、ファミリーの少なくとも1つの既知のメンバーと、少なくとも約35〜50%、および好ましくは少なくとも55%、少なくとも60&、少なくとも65%、および最も好ましくは少なくとも70%のアミノ酸同一性を有した。
B.定義
本明細書において特に明記しない場合は、以下の用語は記載の意味を有する。
「味覚細胞(taste cell)」は、集合して群になり舌の味蕾(例えば、葉状、茸状、および有郭細胞)を形成する神経上記細胞を含む(例えば、ローパー(Roper)ら、Ann.Rev.Neurosci.,12:329−353(1989)を参照)。味覚細胞はまた、口蓋や他の組織(例えば、食道および胃)中に見いだされる。
「T1R」は、葉状細胞、茸状細胞、および有郭細胞のような味覚細胞、ならびに口蓋や食道の細胞(例えば、フーン(Hoon)ら、Cell,96:541−551(1999)、これは参照することにより本明細書に組み込まれる)中で発現されるGタンパク質結合受容体のファミリーの1つ以上のメンバーを意味する。このファミリーのメンバーはまた、WO00/06592中でGPCR−B3およびTR1と呼ばれ、WO00/06593中でGPCR−B4およびTR2と呼ばれる。GPCR−B3はまたrT1R1と呼ばれ、GPCR−B4はrT1R2と呼ばれる。味覚受容体細胞はまた、形態(例えば、ローパー(Roper)、前述、を参照)に基づき、または味覚細胞中で特異的に発現されるタンパク質の発現により、同定することができる。T1Rファミリーメンバーは、甘味伝達の受容体として作用するか、種々の他の味を区別する能力を有する。
「T1R」核酸は、「Gタンパク質結合受容体活性」を有する、例えば、細胞外刺激に応答してGタンパク質に結合し、ホスホリパーゼCやアデニレートシクラーゼのような酵素の刺激を介して、IP3、cAMP、cGMPおよびCa2+のような第2メッセンジャーの産生を促進する(GPCRの構造と機能の説明については、例えばフォング(Fong)(前述)、およびボールドウィン(Baldwin)(前述)を参照されたい)7つの膜貫通領域を有するGPCRのファミリーをコードする。単一の味覚細胞が、多くの異なるT1Rポリペプチドを含有してもよい。
従って「T1R」ファミリーという用語は、以下を有する多型性変種、対立遺伝子、突然変異体、および種間同族体を意味する:(1)約25アミノ酸、場合により50〜100アミノ酸の窓にわたって、配列番号4、10、12、14または17と、少なくとも約35〜50%のアミノ酸配列同一性、場合により60、75、80、85、90、95、96、97、98または99%のアミノ酸配列同一性を有する;(2)配列番号4、10、12、14または17よりなる群から選択されるアミノ酸配列、およびその保存的に改変された変種を含む、免疫原に対して作成された抗体に特異的に結合する;(3)配列番号1、2、3、9、11、13、15、16、20よりなる群から選択される配列、およびその保存的に改変された変種に、厳密性ハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズする核酸分子(少なくとも約100、場合により少なくとも約500〜1000ヌクレオチドのサイズを有する)によりコードされる;(4)配列番号4、10、12、14または17よりなる群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも約35〜50%同一の配列を含む;または(5)配列番号7、8をコードする縮重プライマーセットと同じ配列、およびその保存的に改変された変種に、厳密性ハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするプライマーにより増幅される。
構造的にはいくつかの化学的感覚GPCRは、「N末端ドメイン」;「細胞外ドメイン」;7つの膜貫通領域を含む「膜貫通ドメイン」、および対応する細胞質性および細胞外ループ;「細胞質ドメイン」と「C末端ドメイン」を有する(例えば、フーン(Hoon)ら、Cell,96:541−551(1999);バック(Buck)とアクセル(Axel)、Cell,65:175−187(1991)を参照)。これらのドメインは、疎水性および親水性ドメイン(例えば、ストライアー(Stryer)、「生化学(Biochemistry)」(第3版、1988年)を参照)を同定する配列解析プログラム;および多くのインターネットベースの配列解析プログラム(例えば、dot.imgen.bcm.tmc.eduに見いだされるもの)のような、当業者に公知の方法を使用して同定することができる。そのようなドメインは、キメラタンパク質の作成や、本発明のインビトロ測定法(例えば、リガンド結合測定法)に有用である。
従って「細胞外ドメイン」は、細胞膜から突き出て、細胞の細胞外表面に露出されるT1Rポリペプチドのドメインを意味する。そのようなドメインは一般に、細胞の細胞外表面に露出される「N末端ドメイン」を含み、場合により細胞の細胞外表面に露出される膜貫通ドメインの細胞外ループの部分、すなわち膜貫通領域2と3の間のループ、膜貫通領域4と5の間のループ、および膜貫通領域6と7の間のループを含む。
「N末端ドメイン」領域は、N末端で開始し、膜貫通ドメインの開始部分に近い領域まで延長する。さらに詳しくは本発明のある実施態様において、このドメインはN末端で開始し、アミノ酸563位の保存されたグルタミン酸の約20アミノ酸前後で終わる。配列番号40のアミノ酸1〜580に対応する領域は、わずかに膜貫通ドメインまで延長する細胞外ドメインの具体例である。これらの細胞外ドメインは、インビトロリガンド結合測定法(液相および固相を含む)に有用である。さらに後述の膜貫通領域はまた、細胞外ドメインと一緒になってリガンドに結合することができ、従ってインビトロリガンド結合測定法に有用である。
7つの「膜貫通領域」を含む「膜貫通ドメイン」は、原形質膜内に存在するT1Rポリペプチドのドメインを意味し、対応する細胞質(細胞内)および細胞外ループを含有してもよい。ある実施態様において、この領域は、ほぼアミノ酸563位の保存されたグルタミン酸残基の20アミノ酸前後で開始し、ほぼ812位の保存されたチロシンアミノ酸残基の約10アミノ酸前後で終わるT1Rファミリーメンバーのドメインに対応する。7つの膜貫通領域と細胞外および細胞質ループは、カイト(Kyte)とドリトル(Doolittle)、J.Mol.Biol.,157:105−32(1982)またはストライヤー(Stryer)(前述)に記載されたような標準的方法を使用して同定することができる。
「細胞質ドメイン」は、細胞の内部に面するT1Rポリペプチドのドメイン、例えば膜貫通ドメインの「C末端ドメイン」および膜貫通ドメインの細胞内ループ、例えば膜貫通領域1と2の間の細胞内ループ、膜貫通領域3と4の間の細胞内ループ、および膜貫通領域5と6の間の細胞内ループを意味する。「C末端ドメイン」は、最後の膜貫通ドメインの最後とタンパク質のC末端とにわたる領域であり、通常細胞質内に位置する。ある実施態様においてこの領域は、812位の保存されたチロシンアミノ酸残基の約10アミノ酸前後で開始し、ポリペプチドのC末端まで続く。
「リガンド結合領域」または「リガンド結合ドメイン」という用語は、受容体の少なくとも細胞外ドメインを実質的に取り込んだ、化学的感覚受容体、特に味覚受容体由来の配列を意味する。ある実施態様においてリガンド結合領域の細胞外ドメインは、N末端ドメインを含み、場合により膜貫通ドメインの部分(例えば、膜貫通ドメインの細胞外ループ)を含む。リガンド結合領域は、リガンドおよびさらに詳しくは味覚物質に結合することができる。
「機能的作用」という用語は、T1Rファミリーメンバー介在性の味覚伝達を調節する化合物を試験するための測定法において、直接または間接に受容体の作用下(例えば、機能的、物理的、および化学的作用)にある任意のパラメータの測定を含む。これは、インビトロ、インビボ、エクスビボの、リガンド結合、イオンフラックスの変化、膜電位、電流、転写、Gタンパク質結合、GPCRリン酸化または脱リン酸化、シグナル伝達、受容体−リガンド相互作用、第2メッセンジャー濃度(例えば、cAMP、cGMP、IP3、または細胞内Ca2+)を含み、また他の生理的作用、例えば神経伝達物質もしくはホルモン放出の増減を含む。
測定法において「機能的作用を測定する」とは、直接または間接にT1Rファミリーメンバーの影響下(例えば、機能的、物理的、および化学的に作用)にあるパラメータを増減させる化合物の測定法を意味する。そのような機能的作用は、当業者に公知の任意の手段、例えば分光特性(蛍光、吸光度、屈折率)、流体力学(例えば、形)、クロマトグラフィー、または溶解度、パッチクランピング、電圧感受性色素、全細胞電流、ラジオアイソトープエフラックス、誘導性マーカー、卵母細胞T1R遺伝子発現の変化;組織培養細胞T1R発現;T1R遺伝子の転写活性化;リガンド結合測定法;電圧、膜電位およびコンダクタンス変化;イオンフラックス測定法;細胞内第2メッセンジャー(例えば、cAMP、cGMP、およびイノシトール三リン酸(IP3))の変化;細胞内カルシウムレベルの変化;神経伝達物質放出などにより測定することができる。
T1R遺伝子またはタンパク質の「インヒビター」、「アクチベーター」および「モジュレーター」は、味覚伝達(例えば、リガンド、アゴニスト、およびこれらの同族体と模倣物)のインビトロとインビボの測定法を使用して同定される、阻害性、活性化、または調節分子と同義である。インヒビターは、例えば味覚伝達物質に、結合、部分的または完全にその刺激を阻止、低下、防止、遅延活性化、不活性化、脱感作、またはダウンレギュレートする化合物(例えば、アゴニスト)である。アクチベーターは、例えば味覚伝達物質に、結合、刺激、増加、開く、活性化、促進、活性化を増強、感作またはアップレギュレートする化合物(例えば、アゴニスト)である。モジュレーターは、アクチベーターまたはインヒビター(例えば、エブネリン(ebnerin)および疎水性担体ファミリーの他のメンバー)に結合する細胞外タンパク質;Gタンパク質;キナーゼ(例えば、ロドプシンキナーゼおよび受容体の脱活性化と脱感作に関与するベータアドレナリン作動性キナーゼの同族体);および受容体を脱活性化および脱感作するアレスチン(arrestins)、との受容体の相互作用を変化させる化合物を含む。モジュレーターは、T1Rファミリーメンバーの遺伝的に改変されたもの、例えば活性が変化したもの、ならびに天然に存在するリガンドおよび合成リガンド、アンタゴニスト、アゴニスト、小化学分子などを含んでよい。インヒビターやアクチベーターのそのような測定法には、例えば、細胞または細胞膜中でT1Rファミリーメンバーを発現し、味覚物質(例えば、甘味物質)の存在下または非存在下で推定モジュレーター化合物を適用し、次に前記したように味覚伝達に対する機能的作用を測定することを含む。アクチベーター、インヒビター、またはモジュレーター候補で処理されるT1Rファミリーメンバーを含む試料または測定法は、インヒビター、アクチベーター、またはモジュレーターを含まない対照試料と比較して、調節の程度を調べる。対照試料(モジュレーターで処理されない)は、相対的T1R活性値100%を割り当てられる。T1Rの阻害は、対照に対するT1R活性値が約80%、場合により50%または25〜0%の時、達成される。T1Rの活性化は、対照に対するT1R活性値が、110%、場合により150%、場合により200〜500%、または1000〜3000%以上の時、達成される。
本明細書において「精製された」、「実質的に精製された」および「単離された」という用語は、その自然状態では本発明の化合物が通常結合している他の異なる化合物を含まない状態を意味し、従って「精製された」、「実質的に精製された」および「単離された」被験物質は、ある試料の少なくとも0.5%、1%、5%、10%、または20%、および最も好ましくは少なくとも50%または75%重量の大きさを含む。ある実施態様においてこれらの用語は、ある試料の少なくとも95%重量の大きさを含む本発明の化合物を意味する。本明細書において核酸またはタンパク質について言及する時、「精製された」、「実質的に精製された」および「単離された」という用語はまた、哺乳動物、特にヒトの体で通常存在する状態とは異なる精製または濃度状態を意味する。(1)他の結合構造または化合物からの精製、または(2)哺乳動物、特にヒトの体では通常結合していない構造または化合物との結合を含む、哺乳動物、特にヒトの体で通常存在する状態より高い精製程度または濃度は、「単離された」の意味に含まれる。前記の核酸もしくはタンパク質、または核酸もしくはタンパク質のクラスは、当業者に公知の種々の方法や操作により、単離されるか、または自然には通常結合していない構造または化合物と結合される。
本明細書において「単離された」という用語は、ヌクレオチドまたはポリペプチドについて言及する時、哺乳動物、特にヒトの体で通常存在する状態とは異なる、精製または濃度状態を意味する。(1)他の天然に存在する結合構造または化合物からの精製、または(2)体内で通常結合していない構造または化合物との結合を含む、体内に通常存在する状態より高い精製程度または濃度は、「単離された」の意味に含まれる。前記の核酸またはポリペプチドは、当業者に公知の種々の方法や操作により、単離されるか、または自然には通常結合していない構造または化合物と結合される。
本明細書において「増幅する」および「増幅」という用語は、以下で詳述されるように、組換え法でまたは天然に発現される核酸を作成または検出するための、任意の適当な増幅方法の使用を意味する。例えば本発明は、インビボまたはインビトロで、本発明の天然に発現される(例えば、ゲノムまたはmRNA)または組換え(例えば、cDNA)核酸(例えば、本発明の味覚物質結合配列)を増幅(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により)するための、方法と試薬(例えば、特異的縮重オリゴヌクレオチドプライマー対)を提供する。
「7−膜貫通受容体」という用語は、原形質膜を7回通過する7つのドメイン(従って、7つのドメインは、「膜貫通」または「TM」ドメインTMI〜TMVIIと呼ぶ)を有する膜貫通タンパク質のスーパーファミリーに属するポリペプチドを意味する。嗅覚受容体およびいくつかの味覚受容体のファミリーは、それぞれこのスーパーファミリーに属する。7−膜貫通受容体ポリペプチドは、以下に詳述されるように、類似のおよび特徴的な1次、2次、および3次構造を有する。
「ライブラリー」という用語は、異なる核酸またはポリペプチド分子の混合物、例えば組換え法で作成した化学的感覚、特に核酸を縮重プライマー対で増幅して作成した味覚受容体リガンド結合ドメインのライブラリー、または増幅したリガンド結合ドメインを取り込んだベクターの単離したコレクション、または味覚受容体をコードする少なくとも1つのベクターでそれぞれランダムにトランスフェクションした細胞の混合物を意味する。
「核酸」または「核酸配列」という用語は、1本鎖または2本鎖型のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドオリゴヌクレオチドを意味する。この用語は、天然のヌクレオチドの既知の類似体を含有する核酸、すなわちオリゴヌクレオチドを包含する。この用語はまた、合成骨格を有する核酸様構造を包含する(例えば、「オリゴヌクレオチドと類似体、実際的アプローチ(Oligonucleotides and Analogues,a Practical Approach)」、エフ・エックスタイン(F.Eckstein)編、オックスフォード大学出版(Oxforf Univ.Press)(1991年);「アンチセンス方策(Antisense Strategies)」、Annals of the N.Y.Academy of Sciences)、第600巻、バセルガ(Baserga)ら編(NYAS 1992年);ミリガン(Milligan)、J.Med.Chem.36:1923−1937(1993);「アンチセンス研究と応用(Antisense Research and Applications)」(1993年、シーアールシープレス(CRC Press))、WO97/03211;WO96/39154;マタ(Mata)、Toxicol.Appl.Pharmacol.144:189−197(1997);ストラウス−ソウクップ(Strauss−Soukup)、Biochemistry 36:8692−8698(1997);サムスタグ(Samstag)、Antisense Nucleic Acid Drug Dev,6:153−156(1996)を参照)。
特に明記しない場合は、特定の核酸配列はまた、その保存的に改変された変種(例えば、縮重コドン置換体)と相補配列を暗示的に、ならびに明示的に記載された配列を包含する。具体的には、縮重コドン置換は、例えば、1つ以上の選択されたコドンの第3の位置を混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換される配列を作成することにより行われる(バツァー(Batzer)ら、Nucleic Acids Res.,19:5081(1991);オーツカ(Ohtsuka)ら、J.Biol.Chem.,260:2605−2608(1985);ロッソリーニ(Rossolini)ら、Mol.Cell.Probes,8:91−98(1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと同義で使用される。
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書において同義で使用され、アミノ酸残基のポリマーを意味する。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマー、および天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。
「原形質膜転位ドメイン」または単に「転位ドメイン」という用語は、ポリペプチドコード配列のアミノ末端中に取り込まれると、ハイブリッド(「融合」)タンパク質を細胞原形質膜に高い効率で「付き添う」または「転位させる」ことができるポリペプチドドメインを意味する。例えば、「転位ドメイン」は、ウシロドプシン受容体ポリペプチド(7−膜貫通受容体)のアミノ末端から得られる。しかし哺乳動物からのロドプシンは、他の転位促進配列と同様に使用可能である。すなわち転位ドメインは、7−膜貫通融合タンパク質を原形質膜に転位させるのに特に効率的であり、アミノ末端転位ドメインを含むタンパク質(例えば、味覚受容体ポリペプチド)は、ドメインが無い場合より効率的に原形質膜に輸送されるであろう。しかし、ポリペプチドのN末端ドメインが結合活性があるなら、他の転位ドメインの使用が好ましい。
本明細書に記載の「転位ドメイン」、「リガンド結合ドメイン」、およびキメラ受容体組成物はまた、例の配列に実質的に対応する構造と活性を有する「類似体」、または「保存的変種」および「模倣物」(「ペプチド模倣物」)を含む。すなわち「保存的変種」または「類似体」または「模倣物」という用語は、本明細書に記載のように、その変化がポリペプチド(保存的変種)の構造および/または活性を実質的に改変しないように、修飾アミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。これらには、アミノ酸配列の保存的に改変された変種、すなわち、決定的に重要なアミノ酸の置換でさえ、構造および/または活性を実質的に変化させないように、タンパク質活性に決定的に重要ではない残基のアミノ酸置換、付加、もしくは欠失、または類似の性質(例えば、酸性、塩基性、陽性荷電もしくは陰性荷電、極性または非極性など)を有する残基によるアミノ酸の置換を含む。
さらに詳しくは「保存的に改変された変種」は、アミノ酸配列と核酸配列の両方に適用される。具体的な核酸配列に関して、保存的に改変された変種は、同一のまたは基本的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を意味するか、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、基本的に同一の配列を意味する。遺伝コードの縮重のために、多数の機能的同一の核酸が、ある特定のタンパク質をコードする。
例えばコドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。すなわちアラニンがあるコドンにより特定されるすべての位置で、コードされるポリペプチドを変えることなく、そのコドンを、記載の対応する任意のコドンに変えることができる。
そのような核酸変種は、「サイレント変種」であり、保存的に改変された変種の1種である。ポリペプチドをコードする本明細書に記載のすべての核酸配列はまた、核酸のすべての可能なサイレント変種を記載する。核酸中の各コドン(通常メチオニンの唯一のコドンであるAUGと、通常トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)は、機能的に同一の分子を与えるように改変することができることを、当業者は認識するであろう。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変種は、各記載の配列において暗示されている。
機能的に類似のアミノ酸を与える保存的置換表は、当該分野で公知である。例えば保存的置換を選択する1つの指針の例は、以下がある(元々の残基の後に置換の例を示す):ala/glyまたはser;arg/lys;asn/glnまたはhis;asp/glu;cys/ser;gln/asn;gly/asp;gly/alaまたはpro;his/asnまたはgln;ile/leuまたはval;leu/ileまたはval;lys/argまたはglnまたはglu;met/leuまたはtyrまたはile;phe/metまたはleuまたはtyr;ser/thr;thr/ser;trp/tyr;tyr/trpまたはphe;val/ileまたはleu。別の指針の例は、以下の6つの群を使用し、各群は、互いの保存的置換体であるアミノ酸を含有する:1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(I);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);(また、例えばクレイトン(Creighton)、「タンパク質(Proteins)」、ダブリュー・エィチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W.H.Freeman and Company)(1984年);シュルツ(Schultz)とシマー(Schimer)、「タンパク質構造の原理(Principles of Protein Structure)」、スプリンガーフェアラーク(Springer−Vrlag)(1979年)を参照)。上記置換のみが可能な保存的置換ではないことは、当業者には理解されるであろう。例えば、ある目的のためには、すべての荷電アミノ酸を、陽性であっても陰性であっても、互いの保存的置換体と見なせるであろう。さらに、コードされた配列中で単一のアミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を改変、付加または欠失する、個別の置換体、欠失体または付加体も、「保存的に改変された変種」と見なされる。
「模倣物」および「ペプチド模倣物」という用語は、ポリペプチドと実質的に同じ構造および/または機能的特性(例えば、本発明の転位ドメイン、リガンド結合ドメイン、またはキメラ受容体)を有する合成化合物を意味する。模倣物は、アミノ酸の完全に合成、非天然の類似体からなるか、または部分的に天然のペプチドアミノ酸とアミノ酸の部分的に非天然の類似体とのキメラ分子でもよい。模倣物はまた、置換が模倣物の構造および/または活性を実質的に変化させない限り、天然のアミノ酸の保存的置換をいくら取り込んでもよい。
保存的変種である本発明のポリペプチドのように、日常の実験により、ある模倣物が本発明の範囲内にあるかどうか、すなわちその構造および/または機能が実質的に変化していないかどうかを決定することができるであろう。ポリペプチド模倣組成物は、非天然の構造成分の任意の組合せを含有することができ、これらは一般に以下の3つの群に由来する:a)天然のアミド結合(「ペプチド結合」)以外の残基の結合群;b)天然に存在するアミノ酸残基の代わりの非天然の残基;またはc)2次構造模倣を誘導する残基、すなわち2次構造(例えば、ベータ回転、ガンマ回転、ベータシート、アルファらせんコンフォメーションなど)を誘導または安定化する残基。ポリペプチドは、その残基のすべてまたは一部が、天然のペプチド結合以外の化学手段により結合される時、模倣物として性状解析することができる。個々のペプチド模倣物残基は、ペプチド結合、他の化学結合または結合手段、例えば、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、2官能基マレイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、またはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)により結合してもよい。古典的なアミド結合(「ペプチド結合」)の代替であり得る結合基には、例えばケトメチレン(例えば、−C(=O)−NH−の代わりに−C(=O)−CH2−)、アミノメチレン(CH2−NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH2−O)、チオエーテル(CH2−S)、テトラゾール(CN4)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド、またはエステルがある(例えば、スパトラ(Spatola)、「アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質の化学と生化学(Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins)、第7版、267−357頁、「ペプチド骨格改変(Peptide Backbone Modifications)」、マーセル・デッカー(Marcell Dekker)、ニューヨーク(1983年)を参照)。天然に存在するアミノ酸残基の代わりに、すべてまたは一部非天然の残基を含有することにより、ポリペプチドはまた、模倣物として性状解析することができる(非天然の残基は、科学的文献や特許に詳述されている)。
「標識物」または「検出可能残基」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的手段により検出可能な組成物である。例えば、有用な標識物には、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAに通常使用されるもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、または、例えばペプチド中に放射能標識物を取り込んで検出可能にすることができるか、またはペプチドと特異的に反応する抗体を検出するのに使用される、ハプテンおよびタンパク質がある。
「標識核酸プローブまたはポリヌクレオチド」は、プローブの存在が、プローブに結合した標識物の存在を検出することにより検出されるように、リンカーもしくは化学結合により共有結合的に、またはイオン結合、ファンデアワールス結合、静電結合、もしくは水素結合により非共有結合的に、標識物に結合したものである。
本明細書において「核酸プローブまたはオリゴヌクレオチド」は、1つ以上の型の化学結合を介して、通常相補的塩基対合を介して、通常水素結合を形成して、相補配列の標的核酸に結合することができる核酸として定義される。本明細書においてプローブは、中性(すなわち、A、G、C、またはT)または修飾塩基(7−デアザグアノシン、イノシンなど)を含んでよい。さらにプローブ中の塩基は、ハイブリダイゼーションを妨害しない限り、ホスホジエステル結合以外の結合により連結される。例えば、プローブは、構成塩基が、ホスホジエステル結合ではなくペプチド結合により結合したペプチド核酸でもよい。ハイブリダイゼーション条件の厳密性により、プローブは、プローブ配列との完全な相補性がなくても標的配列に結合することは、当業者には理解されるであろう。プローブは、場合によりアイソトープ、発色団、発光物質、発色原で直接標識されるか、またはビオチン(ここに後にストレプトアビジン複合体が結合する)で間接的に標識される。プローブの有無を測定することにより、選択配列またはサブ配列の有無を検出することができる。
核酸の部分に関して使用される時「異種」という用語は、核酸が、自然界で互いに同じ関係では見いだされない2つ以上のサブ配列を含むことを示す。例えば、この核酸は一般的には組換え法で産生され、新しい機能的核酸(例えば、1つの起源からのプロモーターと別の起源からのコード領域)を作成するように配置された無関係の遺伝子からの2つ以上の配列を有する。同様に、異種タンパク質は、このタンパク質が、自然界での互いの関係と同じ関係では見いだされない2つ以上のサブ配列を含むことを示す。
「プロモーター」は、核酸の転写を指令する核酸配列が整列したものとして定義される。本明細書においてプロモーターは、ポリメラーゼII型プロモーター、TATA成分のように、転写開始部位の近くの必要な核酸配列を含む。プロモーターはまた、転写の開始部位から数千塩基対離れて存在する遠位エンハンサーまたはレプレッサー成分を、随時含有してもよい。「構成性」プロモーターは、ほとんどの環境および成長条件下で活性のあるプロモーターである。「誘導性」プロモーターは、環境または成長制御下で活性のあるプロモーターである。「機能的に連結する」という用語は、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター、または転写因子結合部位の整列)と第2の核酸配列の間の機能的結合を意味し、ここで発現制御配列は、第2の配列に対応する核酸の転写を指令する。
本明細書において「組換え」とは、合成したかまたはインビトロで操作したポリヌクレオチド(例えば、「組換えポリヌクレオチド」)、細胞または他の生物系の遺伝子産物を産生するための組換えポリヌクレオチドの使用法、または組換えポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド(「組換えタンパク質」)を意味する。「組換え手段」はまた、例えば本発明の転位ドメインと、本発明のプライマーを使用して増幅される核酸配列とを含む融合タンパク質の、誘導性または構成性発現のための、発現カセットまたはベクター化学への、異なる供給源からの種々のコード領域もしくはドメインもしくはプロモーターを有する核酸の結合を包含する。
「選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする」という用語は、配列が複合体混合物(例えば、総細胞またはライブラリーDNAもしくはRNA)中に存在する時、厳密性ハイブリダイゼーション条件下で特定のヌクレオチド配列のみへの、分子の結合、2本鎖形成、またはハイブリダイゼーションを意味する。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、プローブが一般的には核酸の複合混合物中で、標的サブ配列(他の配列ではない)にハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況では異なるであろう。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションについての広範な指針は、チッセン(Tijssen)、「生化学と分子生物学の技術−核プローブによるハイブリダイゼーション(Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridisation with Nucleic Probes)」、「ハイブリダイゼーションの原理の概要と核酸測定法の方策」(1993年)に記載されている。一般的にストリンジェントな条件は、一定のイオン強度pHで特異配列について、熱融点(Tm)より約5〜10℃低くなるように選択される。Tmは、標的に対して相補的なプローブの50%が、平衡で標的配列にハイブリダイズする温度である(標的配列が過剰に存在すると、Tmで、プローブの50%は平衡で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、約1.0Mナトリウムイオン未満であり、一般的にはpH7.0〜8.3で約0.01〜1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)で、温度は短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドより長い)について少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような不安定化物質の添加により行われる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションのためには、陽性シグナルは、バックグランドより少なくとも2倍、場合によりバックグランドハイブリダイゼーションより10倍大きい。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、以下の通りである:50%ホルムアミド、SxSSC、および1%SDS、42℃でインキュベート、またはSxSSC、1%SDS、65℃でインキュベートで、0.2xSSCで0.1%SDSで65℃で洗浄。そのようなハイブリダイゼーションと洗浄工程は、例えば、1、2、5、10、15、30、60分、またはそれ以上の時間行われる。
ストリンジェントな条件下では互いにハイブリダイズしない核酸も、もしそれらがコードするポリペプチドが実質的に関連するなら、実質的に関連している。これは、例えば、遺伝コードで許される最大のコドン縮重を使用して、核酸のコピーが作成される時に起きる。そのような場合、核酸は一般的には、弱い厳密性ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。「弱い厳密性ハイブリダイゼーション条件」の例には、40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液中で37℃でハイブリダイゼーションと、45℃で1XSSCで洗浄を含む。そのようなハイブリダイゼーションと洗浄工程は、例えば、1、2、5、10、15、30、60分、またはそれ以上の時間行われる。陽性のハイブリダイゼーションは、バックグランドの少なくとも2倍である。別のハイブリダイゼーションと洗浄条件を利用して、同様の厳密性を提供することは、当業者には容易に理解されるであろう。
「抗体」は、抗原に特異的に結合し認識する、免疫グロブリン遺伝子またはその断片からのフレームワーク領域を含むポリペプチドを意味する。認識された免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパまたはラムダとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、これらは、それぞれ免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを規定する。
免疫グロブリン(抗体)構造単位の例は、テトラマーを含む。各テトラマーは、ポリペプチド鎖の2つの同一の対からなり、各対は、1つの「軽鎖」(約25kDa)と1つの「重鎖」(約50〜70kDa)からなる。各鎖のN末端は、主に抗原認識を行う約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれこれらの軽鎖と重鎖を意味する。
「キメラ抗体」は、(a)定常領域またはその一部が、抗原結合部位(可変領域)が異なるかまたは変更したクラスの定常領域、エフェクター機能および/または種、またはキメラ抗体に新しい性質を与える完全に異なる分子(例えば、酵素、毒素、ホルモン、増殖因子、薬物など)に結合するように、改変、置換または交換されている;または(b)可変領域またはその一部が、異なるかまたは改変された抗原特異性を有する可変領域で、改変、置換または交換されている抗体分子である。
「抗T1R」抗体は、T1R遺伝子、そのcDNAまたはサブ配列によりコードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体または抗体断片である。
「免疫測定法」という用語は、抗原に特異的に結合する抗体を使用する測定法である。免疫測定法は、抗原を単離、標的化および/または定量するための特定の抗体の特異的結合性を使用することが特徴である。
タンパク質またはペプチドについて言及する時、抗体に「特異的(または選択的)に結合する」、または「特異的(または選択的)に免疫反応する」という用語は、タンパク質や他の生体物質の異種集団中のタンパク質の存在を確定する結合反応を意味する。すなわち、指定された免疫測定条件下で、特定の抗体は、特定のタンパク質にバックグランドの少なくとも2倍結合し、試料中に存在する他のタンパク質には多量でも実質的に結合しない。そのような条件下での抗体への特異的結合には、特定のタンパク質に対する特異性について選択された抗体が必要である。例えば、特定の種(例えば、ラット、マウス、またはヒト)のT1Rファミリーメンバーに対して作成したポリクローナル抗体は、T1Rポリペプチドまたはその免疫原性部分に特異的に免疫反応し、他のタンパク質には反応しない(ただし、T1Rポリペプチドのオルソログまたは多型性変種および対立遺伝子は除く)ポリクローナル抗体のみが得られるように選択することができる。この選択は、他の種からのT1R分子または他のT1R分子と交差反応する抗体を差し引くことにより行われる。T1R GPCRファミリーメンバーのみを認識し、他のファミリーからのGPCRは認識しないように、抗体を選択することもできる。特定のタンパク質に特異的に免疫反応する抗体を選択するのに、多様な免疫測定法フォーマットを使用することができる。例えば、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するのに、通常固相ELISA免疫測定法が使用される(例えば、特異的免疫反応性を測定するのに使用できる免疫測定法フォーマットや条件の説明については、ハーロー(Harlow)とレーン(Lane)、「抗体、実験室マニュアル(Antibodies,A Laboratory Manual)」(1988年)を参照されたい)。一般的には、特異的または選択的反応は、バックグランドシグナルすなわちノイズの少なくとも2倍であり、さらに一般的にはバックグランドの10〜100倍以上である。
「選択的に結合する」という用語は、核酸が上記の別の核酸と「選択的にハイブリダイズする」能力、または上記のようにタンパク質に選択的(または特異的)に結合する」能力を意味する。
「発現ベクター」という用語は、本発明の核酸配列をインビトロまたはインビボで、構成性にまたは誘導性に、任意の細胞(原核生物、酵母、真菌、植物、昆虫または哺乳動物細胞を含む)中で、発現するための組換え発現系を意味する。この用語は、線形または環状発現系を含む。この用語は、エピソームのままでいるか、または宿主細胞のゲノム中に組み込まれる発現系を含む。この発現系は、自己複製するかまたはしない、すなわち細胞中で一過性発現のみを指令する能力を有することができる。この用語は、組換え核酸の転写に必要な最小成分のみを含有する組換え発現カセットを含む。
「宿主細胞」とは、発現ベクターを含有し、発現ベクターの複製または発現を支持する細胞を意味する。宿主細胞は、大腸菌(E.coli)のような原核細胞、または酵母、昆虫、両生類、もしくは哺乳動物(例えば、CHO、HeLa、HEK−293など)のような真核細胞、例えば培養細胞、外植片、およびインビボの細胞でもよい。
C.T1Rポリペプチドの単離と発現
本発明のT1Rまたはその断片もしくは変種の単離と発現は、以下のように行うことができる。味覚受容体リガンド結合領域をコードする核酸の増幅には、PCRプライマーを使用することができ、随時これらの核酸のライブラリーを作成することができる。次に、個々の発現ベクターまたは発現ベクターのライブラリーを使用して、これらの核酸またはライブラリーの機能的発現のために宿主細胞を感染またはトランスフェクションすることができる。これらの遺伝子とベクターを作成し、インビトロまたはインビボで発現することができる。核酸発現を改変し制御するための所望の表現型は、本発明のベクター内の遺伝子および核酸の発現または活性を調節(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)することにより得られることは、当業者には理解されるであろう。発現または活性を上昇または低下させるために開示されている公知の方法の任意のものが使用できる。本発明は、当該分野で公知の任意の方法またはプロトコール(これらは、科学文献や特許文献に記載されている)を使用して行うことができる。
本発明の核酸配列および本発明を実施するのに使用される他の核酸は、RNA、cDNA、ゲノムDNA、ベクター、ウイルスまたはこれらのハイブリッドであっても、種々の起源から単離、遺伝子操作で作成、増幅されるか、および/または組換え法で発現される。哺乳動物細胞以外に任意の組換え発現系(例えば、細菌、酵母、昆虫または植物系)を使用することができる。
あるいは、これらの核酸は、公知の化学合成法によりインビトロで合成することができ、例えば、カルサーズ(Carruthers)、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.47:411−418(1982);アダムス(Adams)、Am.Chem.Soc.105:661(1983);ベロウソフ(Belousov)、Nucleic Acids Res.25:3440−3444(1997);フレンケル(Frenkel)、Free Radic.Biol.Med.19:373−380(1995);ブロマーズ(Blommers)、Biochemistry 33:7886−7896(1994);ナラング(Narang)、Meth.Enzymol.68:90(1979);ブラウン(Brown)、Meth.Enzymol.68:109(1979);ボケージ(Beaucage)、Tetra.Lett.22:1859(1981);米国特許第4,458,066号に記載されている。次に、相補鎖を合成し適切な条件下で鎖をアニーリングするか、または適切なプライマー配列でDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を加えることにより、2本鎖DNA断片を得ることができる。
例えば配列の突然変異の作成、サブクローニング、標識プローブ、配列決定、ハイブリダイゼーションなどの核酸の操作法は、科学文献や特許文献に記載されている。例えば、サムブルーク(Sambrook)ら、「モレキュラークローニング、実験室マニュアル(Molecular Cloning:a Laboratory manual)」(第2版)、第1〜3巻、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)(1989年);「分子生物学の現代のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、アウスベル(Ausubel)ら、ジョンワイリーアンドサンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク(1997年);「生化学と分子生物学の実験室法(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)」;「核酸プローブによるハイブリダイゼーション(Hybridization With Nucleic Acid Probes)」、第1部、理論と核酸調製、チッセン(Tijssen)編、エルセビア(Elsevier)、ニューヨーク(1993年)を参照されたい。
核酸、ベクター、キャプシド、ポリペプチドなどは、当業者に公知の多くの一般的手段の任意の方法を使用して、分析および定量することができる。これらには、例えば、分析生化学的方法(例えば、NMR、分光光度法、ラジオグラフィー、電気泳動、毛細管電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、および超拡散クロマトグラフィー)、種々の免疫学的方法(例えば、液体またはゲル沈降反応、免疫拡散、免疫電気泳動、放射免疫定量法(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、免疫蛍光法、サザン分析、ノーザン分析、ドットブロット分析、ゲル電気泳動(例えば、SDS−PAGE)、RT−PCR、定量PCR、他の核酸または標的またはシグナル増幅法、放射能標識、シンチレーション計測、および親和性クロマトグラフィー)がある。
味覚受容体リガンド結合領域をコードする核酸断片を増幅するには、オリゴヌクレオチドプライマーが使用される。本明細書に記載の核酸はまた、増幅法を使用してクローン化されるかまたは定量的に測定される。増幅法は、当該分野で公知であり、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、PCR(「PCRプロトコール、方法と応用への指針(PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications)」、イニス(Innis)編、アカデミックプレス(Academic Press)、ニューヨーク(1990年)、および「PCR方策(PCR Strategies)」、イニス(Innis)編、アカデミックプレスインク(Academic Press Inc.)、ニューヨーク(1995年)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、ウー(Wu)、Genomics 4:560(1989);ランデグレン(Landegren)、Science 241:1077(1988);バリンガー(Barringer)、Gene 89:117(1990)を参照);転写増幅(例えば、クウォー(Kwoh)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173(1989);および自立型配列複製(例えば、グアテッリ(Guatelli)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874(1990)を参照);Qベータレプリカーゼ増幅(例えば、スミス(Smith)、J.Clin.Microbiol.35:1477−1491(1997)を参照);自動Qベータレプリカーゼ増幅測定法(例えば、バーグ(Burg)、Mol.Cell.Probes 10:257−271(1996)を参照)および他のRNAポリメラーゼ介在法(例えば、NASBA、カンゲン(Cangene)、ミッシサウガ(Missisauga)、オンタリオ州);バーガー(Berger)、Methods Enzymol.152:307−316(1987)も参照;サムブルーク(Sambrook);アウスベル(Ausubel);米国特許第4,683,195号と第4,683,202号;スックナナン(Sooknanan)、Biotechnology 13:563−564(1995)。プライマーは、「ドナー」7−膜受容体の元々の配列を保持するように設計される。あるいは、プライマーは、保存的置換(例えば、親水性残基のために疎水性残基、上記考察を参照)または機能的に影響の無い置換(例えば、原形質膜挿入を妨害しない、ペプチダーゼによる切断を引き起こさない、受容体の異常折り畳みを引き起こさない、など)であるアミノ酸残基をコードすることができる。いったん増幅されると、核酸は単独またはライブラリーであっても、所望であれば、日常的な分子生物学法を使用して、当該分野で公知により種々のベクター中にクローン化される(インビトロ増幅した核酸のクローニング法は、米国特許第5,426,039号に記載されている)。
プライマー対は、T1Rファミリーメンバーのリガンド結合領域を選択的に増幅するように設計される。これらの領域は、異なるリガンドまたは味覚物質について変化する。すなわち、ある味覚物質については最小の結合領域かも知れないものが、第2の味覚物質について限定的過ぎるかも知れない。従って、異なる細胞外ドメイン構造を含む異なるサイズのリガンド結合領域が増幅される。
縮重プライマー対を設計するための方法は、当該分野で公知である。例えばコンセンサス−デジェネレートハイブリッドオリゴヌクレオチドプライマー(COnsensus−DEgenerate Hybrid Oligonucleotide Primer)(CODEHOP)方策コンピュータープログラムは、http://blocks.fhcrc.org/codehop.htmlでアクセスでき、公知の味覚受容体リガンド結合領域として、関連タンパク質配列のセットで始まるハイブリッドプライマー予測のためのブロックメーカー(BlockMaker)配列整列部位から直接リンクされる(例えば、ローズ(Rose)、Nucleic Acids Res.26:1628−1635(1998);シン(Singh)、Biotechniques 24:318−319(1998)を参照)。
オリゴヌクレオチドプライマー対を合成する手段は、当該分野で公知である。「天然の」塩基対または合成塩基対を使用することができる。例えば、人工的ヌクレオ塩基の使用は、プライマー配列を操作し、増幅産物のより複雑な混合物を作成するための、多用途のアプローチを与える。人口ヌクレオ塩基の種々のファミリーは、内部結合回転を介して複数水素結合配向を取ることができ、縮重分子認識の手段を与える。これらの類似体をPCRプライマーの1つの位置に取り込むと、増幅産物の複合ライブラリーの作成が可能になる。例えば、フープス(Hoops)、Nucleic Acids Res.25:4866−4871(1997)を参照されたい。非極性分子はまた、天然のDNA塩基の形を模倣するのに使用することができる。アデニンの非水素結合的模倣物は、チミンの非極性型模倣物に対して、効率的かつ選択的に複製される(例えば、モラレス(Morales)、Nat.Struct.Biol.5:950−954(1998)を参照)。例えば、2つの縮重塩基は、ピリミジン塩基6H、8H−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−c][1,2]オキサジン−7−オン、またはプリン塩基N6−メトキシ−2,6−ジアミノプリンでもよい(例えば、ヒル(Hill)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:4258−4263(1998)を参照)。本発明の縮重プライマーの例は、類似体5’−ジメトキシトリチル−N−ベンゾイル−2’−デオキシシチジン,3’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホラミダイトを取り込む(配列中の用語「P」については、上記参照)。このピリミジン類似体水素は、AとG残基を含むプリンと結合する。
本明細書に開示の味覚受容体と実質的に同一の多型性変種、対立遺伝子、および種間同族体は、上記核酸プローブを使用して単離することができる。あるいは発現ライブラリーを使用して、T1R同族体も認識し選択的に結合する、T1Rポリペプチドに対して作成した抗血清または精製抗体を用いて免疫学的に、発現された同族体を検出することにより、T1Rポリペプチド、および多型性変種、対立遺伝子、および種間同族体をクローン化することができる。
味覚受容体のリガンド結合領域をコードする核酸は、縮重プライマー対を使用して、適切な核酸配列の増幅(例えば、PCR)により作成してもよい。増幅した核酸は、任意の細胞もしくは組織のゲノムDNA、または味覚受容体発現細胞からのmRNAもしくはcDNAでもよい。
ある実施態様において、転位配列に融合したT1Rをコードする核酸を含むハイブリッドタンパク質−コード配列を構築してもよい。また、転位モチーフと化学的感覚受容体の他のファミリーの味覚物質結合ドメインを含むハイブリッドT1Rが提供される。これらの核酸配列は、転写または転位制御成分(例えば、転写および翻訳開始配列、プロモーターとエンハンサー、転写および翻訳ターミネーター、ポリアデニル化配列、およびDNAをRNAに転写するのに有用な他の配列)に機能的に連結することができる。組換え発現カセット、ベクター、およびトレンスジェニックスの構築において、プロモーター断片を使用して、すべて所望の細胞または組織中で、所望の核酸の発現を指令することができる。
別の実施態様において、融合タンパク質は、C末端またはN末端転位配列を含有してもよい。さらに融合タンパク質は、例えばタンパク質検出、精製、または他の用途のための追加の成分を含有してもよい。検出および精製促進ドメインには、例えばポリヒスチジン部分、ヒスチジン−トリプトファンモジュール、または固定化金属上の精製を可能にする他のドメイン;マルトース結合タンパク質;固定化免疫グロブリン上の精製を可能にするプロテインAドメイン;またはFLAGS伸長/親和性精製系で使用されるドメイン(イッムネックス社(Immunex Corp)、シアトル、ワシントン州)がある。
第Xa因子(例えば、オッタビ(Ottavi)、Biochimie 80:289−293(1998)参照)、サブチリシンプロテアーゼ認識モチーフ(例えば、ポリヤク(Polyak)、Protein Eng.10:615−619(1997)参照);エンテロキナーゼ(インビトロゲン(Invitrogen)、サンジエゴ、カリホルニア州)などの切断可能なリンカー配列を、転位ドメイン(効率的な原形質膜発現のために)と残りの新しい翻訳されたポリペプチドの間に含有させることは、精製を促進するのに有用である。例えば、1つの構築体には、チオレドキシンが後に続く6つのヒスチジン残基に結合した核酸配列をコードするポリペプチド、エンテロキナーゼ切断部位(例えば、ウィリアムズ(Williams)、Biochemistry 34:1787−1797(1995)を参照)、およびC末端転位ドメインとを含有することができる。ヒスチジン残基は、検出と精製を促進し、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質の残りから所望のタンパク質を精製する手段を提供する。融合タンパク質をコードするベクターに関する技術と融合タンパク質の応用は、科学文献や特許文献に記載されている。例えばクロール(Kroll)、DNA Cell.Biol.12:441−53(1993)を参照されたい。
リガンド結合ドメインをコードする配列を含む発現ベクター(個々の発現ベクターとしてまたは発現ベクターのライブラリーとして)は、細胞のゲノムまたは細胞質または核に導入され、科学文献や特許文献に詳述されている種々の従来法により発現される。例えば、ロバーツ(Roberts)、Nature 328:731(1987);バーガー(Berger)、前述;シュナイダー(Schneider)、Protein Expr.Purif.6435:10(1995);サムブルーク(Sambrook);チッセン(Tijssen);アウスベル(Ausubel)を参照されたい。生物試薬と実験装置の製造業者の製品情報もまた、公知の生物学的方法に関する情報を提供する。ベクターは、天然の供給源から単離できるか、ATCCまたはジーンバンク(GenBank)ライブラリーのような供給源から得られ、または合成法または組換え法により調製できる。
核酸は、発現カセット、ベクターまたはウイルス中で発現することができ、細胞中で安定にまたは一過性に発現される(例えば、エピソーム発現系)。選択マーカーは、発現カセットやベクター中に取り込んで、形質転換細胞や配列に選択可能な表現型を付与することができる。例えば、選択マーカーは、宿主ゲノムへの組み込みが必要ないように、エピソーム維持や複製をコードすることができる。例えばマーカーは、抗生物質耐性(例えば、クロラムフェニコール、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、ヒグロマイシン)または除草剤耐性(例えば、クロロスルフロンまたはバスタ(Basta))をコードして、所望のDNA配列で形質転換された細胞の選択を可能にしてもよい(例えば、ブロンデレット−ルノー(Blondelet−Rouault)、Gene 190:315−317(1997);アウブレヒト(Aubrecht)、J.Pharmacol.Exp.Ther.281:992−997(1997)を参照)。ネオマイシンまたはヒグロマイシンのような基質に耐性を付与する選択マーカー遺伝子は、組織培養中でのみ利用可能であるため、化学耐性遺伝子はまた、インビトロおよびインビボの選択マーカーとして使用される。
キメラ核酸配列は、任意の7−膜貫通ポリペプチド内のT1Rリガンド結合ドメインをコードしてもよい。7−膜貫通受容体ポリペプチドは、同様の1次配列、および2次構造および3次構造を有するため、構造ドメイン(例えば、細胞外ドメイン、TM止め、細胞質ドメインなど)は、配列解析により容易に同定することができる。例えば、相同性モデリング、フーリエ解析およびらせん周期性検出は、7−膜貫通受容体配列を有する7つのドメインを同定し性状解析することができる。ファーストフーリエ変換(FFT)アルゴリズムを使用して、疎水性のプロフィールと分析配列の可変性を解析する主要な期間を評価することができる。周期性検出増強とアルファらせん周期性指数は、例えば、ドネリー(Donnelly)、Protein Sci.2:55−70(1993)により行われる。他の整列およびモデリングアルゴリズムは、当該分野で公知であり、例えば、ペイチュ(Peitsch)、Receptors Channels 4:161−164(1996);カイト(Kyte)とドリトル(Doolittle)、J.Md.Biol.,157:105−132(1982);クロネット(Cronet)、Protein Eng.6:59−64(1993)(相同性と「ディスカバーモデリング」);http://bioinfo.weizmann.ac.il/を参照されたい。
本発明はまた、特定の核酸配列やアミノ酸配列を有するDNAやタンパク質のみでなく、DNA断片、特に、例えば40、60、80、100、150、200、または250ヌクレオチド、またはそれ以上の断片、ならびに、例えば10、20、30、50、70、100、または150アミノ酸、またはそれ以上の断片も含む。場合により核酸断片は、T1Rファミリーメンバーに対して作成した抗体に結合することができる抗原性ポリペプチドをコードすることができる。さらに、本発明のタンパク質断片は、場合によりT1Rファミリーメンバーに対して作成した抗体に結合することができる抗原性断片でもよい。
また本発明には、別のGPCR、好ましくは7膜貫通スーパーファミリーのメンバーの、すべてまたは一部である追加のアミノ酸に結合した、本明細書に記載のT1Rポリペプチドの少なくとも1つの、少なくとも10、20、30、50、70、100、または150アミノ酸、またはそれ以上を含むキメラタンパク質が包含される。これらのキメラは、本受容体と別のGPCRから作成されるか、または本発明の受容体の2つ以上を組合せることにより作成することができる。ある実施態様においてキメラの一部は、本発明のT1Rポリペプチドの細胞外ドメインに対応するかまたはこれから得られる。別の実施態様においてキメラの一部は、細胞外ドメインと本明細書に記載のT1Rポリペプチドの膜貫通ドメインの1つ以上から得られ、残りの部分は、別のGPCR由来でもよい。キメラ受容体は当該分野で公知であり、これらの作成法およびそこに取り込むためのGタンパク質結合受容体のドメインまたは断片の選択と境界も公知である。すなわち、当業者のこの知識は、そのようなキメラ受容体を作成するのに容易に使用することができる。そのようなキメラ受容体の使用は、例えば、別の受容体(例えば、先行技術測定系で使用される公知の受容体)のシグナル伝達特徴を組合せた、本明細書に具体的に開示される受容体の1つに特徴的な味選択性を提供することができる。
例えば、ドメイン(リガンド結合ドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、N末端ドメイン、C末端ドメイン、またはこれらの任意の組合せ)は、異種タンパク質に共有結合することができる。例えば、T1R細胞外ドメインは、異種GPCR膜貫通ドメインに結合できるか、または異種GPCR細胞外ドメインは、T1R膜貫通ドメインに結合することができる。所望の他の異種タンパク質は、緑の蛍光タンパク質、β−gal、グルタミン酸受容体、およびロドプシンプレ配列がある。
また本発明の範囲には、本発明のT1Rまたはその断片もしくは変種を発現するための宿主細胞がある。クローン化遺伝子または核酸(例えば、本発明のT1Rまたはその断片もしくは変種をコードするcDNA)を高レベルの発現で得るためには、当業者は一般に、転写を指令する強いプロモーター、転写/翻訳ターミネーター、および(タンパク質をコードする核酸については)翻訳開始のためのリボゾーム結合部位を含有する発現ベクター中に、目的の核酸配列をサブクローニングする。適当な細菌プロモーターは当該分野で公知であり、例えば、サムブルーク(Sambrook)らに記載されている。しかし細菌または真核生物発現系を使用することができる。
外来ヌクレオチド配列を宿主細胞に導入するための任意の公知の方法が使用できる。これらには、リン酸カルシウムトランスフェクシヨン、ポリブレン、プロトプラスト融合、電気穿孔法、リポソーム、微量注入法、プラズマベクター、ウイルスベクターおよび、宿主細胞へのクローン化ゲノムDNA、cDNA、合成DNAまたは他の外来遺伝子物質を導入するための他の方法を使用することができる(例えば、サムブルーク(Sambrook)らを参照)。使用される特定の遺伝子操作法は、少なくとも1つの核酸分子を、目的のT1Rまたはその断片もしくは変種を発現することができる宿主細胞中に、うまく導入できることが必要なだけである。
発現ベクターを細胞に導入した後、トランスフェクションされた細胞は、目的の受容体、断片、または変種の発現を促進する条件下で培養され、次にこれは、標準的方法を使用して培養物から回収される。そのような方法の例は、当該分野で公知である。例えば、WO00/06593を参照されたい(これは、参照することにより本明細書に組み込まれる)。
D.T1Rポリペプチドの検出
核酸ハイブリダイゼーション技術を使用するT1R遺伝子および遺伝子発現の検出以外に、T1Rを検出する免疫測定法を使用して、例えば味覚受容体細胞およびT1Rファミリーメンバーの変種を同定することができる。T1Rを定性的または定量的に解析するのに、免疫測定法を使用することができる。応用可能な技術の概説は、ハーロー(Harlow)とレーン(Lane)、「抗体、実験室マニュアル(Antibodies,A Laboratory Manual)」(1988年)に記載されている。
1.T1Rファミリーメンバーに対する抗体
T1Rファミリーメンバーと特異的に反応するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を産生する方法は、当該分野で公知である(例えば、コリガン(Coligan)、「免疫学の現代のプロトコール(Current Protocols in Immunology)」(1991年);ハーロー(Harlow)とレーン(Lane)(前述);ゴディング(Goding)、「モノクローナル抗体:原理と実際(Monoclonal Antibodies:Principles and Practice)」(第2版、1986年);およびコーラー(Kohler)とミルスタイン(Milstein)、Nature,256:495−497(1975)を参照)。このような技術には、ファージまたは同様のベクター中で組換え抗体のライブラリーから抗体を選択することによる抗体調製、ならびにウサギまたはマウスを免疫することによるポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の調製がある(例えば、フセ(Huse)ら、Science,246:1275−1281(1989);ウォード(Ward)ら、Nature,341:544−546(1989)を参照)。
T1Rファミリーメンバーと特異的に反応する抗体を産生するのに、多くのT1R含有免疫原を使用することができる。例えば、組換えT1Rポリペプチドまたはその抗原性断片を、本明細書に記載のように単離することができる。適当な抗原領域には、例えばT1Rファミリーのメンバーを同定するのに使用される共通配列がある。組換えタンパク質は、前記の真核生物または前駆体細胞中で発現され、一般的に前述したように精製される。組換えタンパク質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の産生のための好適な免疫原である。あるいは本明細書に開示した配列由来で担体タンパク質に結合した合成ペプチドを、免疫原として使用することができる。天然に存在するタンパク質もまた、純粋な形でまたは純粋でない形で使用される。次に生成物は、抗体を産生できる動物に注入される。タンパク質を測定する以後の免疫測定法で使用するために、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体が作成される。
ポリクローナル抗体を産生する方法は、当該分野で公知である。例えば、近交系のマウス(例えば、Balb/cマウス)またはウサギを、標準的アジュバント(例えば、フロイントアジュバント)と標準的免疫プロトコールを使用してタンパク質で免疫する。試験血液を採取しT1Rに対する反応性の力価測定を測定することにより、免疫原調製物に対する動物の免疫応答を追跡する。免疫原に対する適切に高力価の抗体が得られると、動物から血液を採取し、抗血清を調製する。所望であれば、タンパク質に反応性の抗体を濃縮するための抗血清のさらなる分画が行われる(ハーロー(Harlow)とレーン(Lane)(前述)を参照)。
モノクローナル抗体は、当業者に公知の種々の方法に得られる。簡単に説明すると、所望の抗原で免疫した動物から脾臓細胞を、一般的にはミエローマ細胞と融合して不死化する(コーラー(Kohler)とミルスタイン(Milstein)、Eur.J.Immunol.,6:511−519(1976)を参照)。不死化の別の方法には、エプスタインバーウイルス、癌遺伝子、またはレトロウイルスによる形質転換、または当該分野で公知の他の方法がある。単一の不死化細胞から得られるコロニーは、抗原に対する所望の特異性と親和性を有する抗体の産生についてスクリーニングされ、このような細胞から産生されるモノクローナル抗体の収率は、種々の方法(脊椎動物宿主の腹腔への注入を含む)により増強することができる。あるいは、フセ(Huse)ら、Science,246:1275−1281(1989)が概説した一般的なプロトコールに従って、ヒトB細胞からDNAライブラリーをスクリーニングして、モノクローナル抗体またはその結合断片をコードするDNA配列を単離してもよい。
モノクローナル抗体とポリクローナル抗血清を採取し、免疫測定法(例えば、固体支持体上に固定化された免疫原を用いる固相免疫測定法)により免疫原タンパク質に対して力価測定される。一般的には104またはそれ以上の力価を有するポリクローナル抗血清を選択し、競合的結合免疫測定法を使用して、非T1Rポリペプチドまたは他のT1Rファミリーメンバーまたは他の生物からの他の関連タンパク質に対する交差反応性が試験される。特異的ポリクローナル抗血清およびモノクローナル抗体は、一般的にはKdが少なくとも約0.1mM、さらに一般的には少なくとも約1pM、場合により少なくとも約0.1pMまたはそれ以下、および場合により0.01pMまたはそれ以下で結合する。
T1Rファミリーメンバー特異的抗体がいったん得られると、種々の免疫測定法により個々のT1Rポリペプチドまたはタンパク質断片を検出することができる。免疫学的方法および免疫測定法の総説については、「基礎と臨床免疫学(Basic and Clinical Immunology)」(スチテス(Stites)とター(Terr)編、第7版、1991年)を参照されたい。さらに本発明の免疫測定法を、いくつかの形態で実施することができ、これらは、「酵素免疫定量法(Enzyme Immunoassay)」(マッギオ(Maggio)編、1980年);およびハーロー(Harlow)とレーン(Lane)(前述)に広範な総説がある。
2.免疫結合測定法
T1Rポリペプチド、断片および変種は、多くの公知の免疫結合測定法の任意の方法を使用して、検出および/または定量することができる(例えば、米国特許第4,366,241号;4,376,110号;4,517,288号;および4,837,168号を参照)。一般的な免疫測定法の総説については、また「細胞生物学の方法:細胞生物学の抗体(Methods in Cell Biology:Antibodies in Cell Biology)」、第37巻(アサイ(Asai)編、1993年);「基礎と臨床免疫学(Basic and Clinical Immunology)」(スチテス(Stites)とター(Terr)編、第7版、1991年)を参照されたい。免疫結合測定法(または免疫測定法)は一般的に、所望のタンパク質または抗原(この場合、T1Rファミリーメンバーまたはその抗原性サブ配列)に特異的に結合する抗体を使用する。抗体(例えば、抗T1R)は、当業者に公知で前述した多くの手段の任意のものを使用して産生される。
免疫測定法はまたしばしば、抗体と抗原により形成される複合体に、特異的に結合しこれを標識するための標識物質を使用する。標識物質は、それ自身が抗体/抗原複合体を含む1つ以上の残基でもよい。すなわち標識物質は、標識T1Rポリペプチドまたは標識抗T1R抗体でもよい。あるいは標識物質は、抗体/T1R複合体に特異的に結合する第3の残基、例えば2次抗体でもよい(2次抗体は一般的に、1次抗体が得られる種の抗体に特異的である)。免疫グロブリン定常領域に特異的に結合する他のタンパク質(例えば、プロテインAまたはプロテインG)もまた、標識物質として使用される。これらのタンパク質は、多様な種の免疫グロブリン定常領域と強い非免疫反応性を示す(例えば、クロンバル(Kronval)ら、J.Immunol.111:1401−1406(1973);アカーストローム(Akerstrom)ら、J.Immunol.135:2589−2542(1985)を参照)。標識物質は、例えば、ストレプトアビジンのような別の分子が特異的に結合することができるビオチンのような検出可能な残基で修飾することができる。種々の検出可能な残基が当業者に公知である。
測定を通して、各試薬の組合せ後に、インキュベーションおよび/または洗浄工程が必要である。インキュベーション工程は、約5秒から数時間まで変動し、随時約5分〜約24時間の範囲でもよい。しかしインキュベーション時間は、アッセイフォーマット、抗原、溶液の容量、濃度などに依存する。通常測定法は、周囲温度で行われるが、ある範囲の温度(例えば、10℃〜40℃)で実施してもよい。
a.非競合アッセイフォーマット
試料中のT1Rポリペプチドを検出するための免疫測定法は、競合的または非競合的である。非競合的免疫測定法は、抗原の量が直接測定される測定法である。例えばある好適な「サンドイッチ」測定法では、抗T1R抗体は、固定化されるべき固体基質上に直接結合することができる。これらの固定化抗体は次に、被験試料中に存在するT1Rポリペプチドを捕捉することができる。こうして固定化されたT1Rポリペプチドは次に、標識物質(例えば、標識物を有する2次T1R抗体)により結合される。あるいは2次抗体は標識物が欠如し、2次抗体が得られる種の抗体に特異的な標識3次抗体により結合される。2次抗体または3次抗体は、ビオチン(ここに、例えばストレプトアビジンのような別の分子が特異的に結合する)のような一般的に検出可能な残基で修飾されて、検出可能な残基となる。
b.競合アッセイフォーマット
競合測定法では、試料中に存在するT1Rポリペプチドの量は、試料中で存在する未知のT1Rポリペプチドにより抗T1R抗体から排除(競合して排除)される既知の添加した(外因性)T1Rポリペプチドの量を測定することにより、間接的に測定される。ある競合測定法では、既知量のT1Rポリペプチドを試料に加え、次に、T1Rに特異的に結合する抗体を試料に接触させる。抗体に結合した外因性T1Rポリペプチドの量は、試料中に存在するT1Rポリペプチドの濃度に逆比例する。特に好適な実施態様において抗体は、固体基質上に固定化される。抗体に結合したT1Rポリペプチドの量は、T1R/抗体複合体中に存在するT1Rポリペプチドの量を測定することにより、または残存する非複合体形成タンパク質の量を測定することにより、決定される。T1Rポリペプチドの量は、標識T1R分子を提供することにより検出される。
ハプテン阻害測定法は、別の好適な競合測定法である。この測定法では、既知のT1Rポリペプチドが固体基質上に固定化される。既知量の抗T1R抗体を試料に加え、次に試料に固定化T1Rを接触させる。既知の固定化T1Rポリペプチドに結合した抗T1R抗体の量は、試料中に存在するT1Rポリペプチドの量に逆比例する。再度、固定化抗体の量は、抗体の固定化画分または溶液中に残存する抗体の画分を検出することにより、検出される。検出は、抗体が標識される場合直接的であり、前述のように抗体に特異的に結合する標識残基の以後の添加により間接的である。
c.交差反応性測定
競合的結合フォーマットにおける免疫測定法はまた、交差反応性測定のために使用することができる。例えば、本明細書に開示の核酸配列により少なくとも部分的にコードされるタンパク質は、固体支持体に固定化することができる。固定化抗原に対する抗血清の結合に競合する測定法に、タンパク質(例えば、T1Rポリペプチドと同族体)が加えられる。加えたタンパク質が、固定化タンパク質に対する抗血清の結合と競合する能力が、本明細書に開示の核酸配列によりコードされるT1Rポリペプチドが自身と競合する能力と比較される。標準的計算法を使用して、上記タンパク質の交差反応性パーセントが計算される。上記の添加したタンパク質のそれぞれとの交差反応性が10%未満の抗血清が、選択されプールされる。交差反応性抗体は、添加した検討タンパク質(例えば、関係の薄い同族体)で免疫吸収することにより、プール抗血清から随時除去される。さらに、T1Rファミリーのメンバーを同定するのに使用される保存モチーフを示すアミノ酸配列を含むペプチドを、交差反応性測定で使用することができる。
免疫吸収したプールした抗血清は次に、上記の競合結合免疫測定法で使用して、T1Rファミリーメンバーの対立遺伝子または多型性変種であると考えられる第2のタンパク質を、免疫原タンパク質(すなわち、本明細書に記載の核酸配列によりコードされるT1Rポリペプチド)と比較する。この比較を行うために、2つのタンパク質はそれぞれ、広範囲の濃度で測定され、固定化タンパク質への抗血清の結合を50%阻害するのに必要な各タンパク質の量が測定される。結合の50%を阻害するのに必要な第2のタンパク質の量が、結合の50%を阻害するのに必要な本明細書に記載の核酸配列によりコードされるタンパク質の量の10倍未満なら、第2のタンパク質は、T1R免疫原に対して作成されたポリクローナル抗体に特異的に結合すると言われる。
T1R保存モチーフに対して作成した抗体はまた、T1RファミリーのGPCRのみに特異的に結合し、他のファミリーのGPCRには結合しない抗体を調製するのに使用することができる。
T1Rファミリーの特定のメンバーに特異的に結合するポリクローナル抗体は、他のT1Rファミリーメンバーを使用して交差反応性抗体を除去することにより作成することができる。同様の方法で、種特異的ポリクローナル抗体を作成することができる。例えばヒトT1Rに特異的な抗体は、オルソログ配列(例えば、ラットT1R1またはマウスT1R1)と交差反応性する抗体を除去することにより、作成することができる。
d.他のアッセイフォーマット
試料中のT1Rポリペプチドの存在を検出および定量するのに、ウェスタンブロット(免疫ブロット)が使用される。この方法は一般的に、分子量に基づきゲル電気泳動により試料タンパク質を分離し、分離したタンパク質を適当な固体支持体(例えば、ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、または誘導体化フィルター)に移し、そして試料を、T1Rポリペプチドと特異的に結合する抗体とともにインキュベートすることを含む。抗T1Rポリペプチド抗体は、固体支持体上のT1Rポリペプチドに特異的に結合する。これらの抗体は、直接標識されるか、または次に、抗T1R抗体に特異的に結合する標識抗体(例えば、標識ヒツジ抗マウス抗体)を使用して検出される。
他のアッセイフォーマットには、特異的分子(例えば、抗体)に結合し、封入された試薬またはマーカーを放出するように設計されたリポソームを使用するリポソーム免疫測定法(LIA)がある。放出された化学物質は次に、標準的方法に従って検出される(モンロー(Monroe)ら、Amer.Clin.Prod.Rev.,5:34−41(1986)を参照)。
e.非特異結合の低下
免疫測定法において非特異結合をできるだけ小さくすることが好ましいことは、当業者は理解するであろう。特に、測定法は、固体基質上に固定化された抗原または抗体を使用する場合、基質に対する非特異結合を最小にすることが好ましい。このような非特異結合を低下させる方法は、当業者に公知である。一般的には、この方法は、タンパク質性組成物で基質を被覆することを含む。特に、ウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳、およびゼラチンのようなタンパク質組成物が広く使用され、特に脱脂粉乳が好ましい。
f.標識物
測定法で使用される特定の標識物または検出可能な基は、測定法で使用される抗体の特異的結合を有意に妨害しない限り、本発明の決定的に重要な態様ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的または化学的性質を有する任意の物質である。このような検出可能な標識物は、免疫測定法の分野で充分開発されており、一般に、そのような方法に有用な多くの任意の標識物を、本発明に応用することができる。すなわち標識物は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的手段により検出できる任意の組成物である。本発明において有用な標識物には、磁気ビーズ(例えば、ダイナビーズ(登録商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射能標識物(例えば、3H、125I、3sS、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAで一般的に使用される他のもの)、および比色標識物、例えばコロイド金または着色ガラスまたはプライマービーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)がある。
標識物は、当該分野で公知の方法に従って、測定法の所望の成分に直接または間接に結合される。上記したように、広範囲の標識物が使用され、標識物の選択は、必要な感度、化合物との結合の容易さ、安定性要件、利用可能な装置、およびディスポ製品に依存する。
しばしば間接的手段により、非放射性標識物が結合される。一般にリガンド分子(例えば、ビオチン)は、分子に共有結合される。次にリガンドは別の分子(例えば、ストレプトアビジン)に結合し、これは本質的に検出可能であるか、またはシグナル系(例えば、検出可能酵素、蛍光化合物、または化学発光化合物)に共有結合される。T1Rポリペプチドを認識する抗体、または抗T1Rを認識する2次抗体を適当に組合せて、リガンドとその標的を使用することができる。
この分子はまた、シグナル生成化合物に直接結合(例えば酵素または蛍光体との結合)することができる。標識物として目的の酵素は、主に、加水分解酵素、特にホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ、またはオキシドターゼ(oxidotases)、特にペルオキシダーゼであろう。蛍光化合物には、フルオレセインとその誘導体、ローダミンとその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどがある。化学発光化合物には、ルシフェリンおよび2,3−ジヒドロフタラジンジオン類(例えば、ルミノール)がある。使用可能な種々の標識物またはシグナル産生系の総説については、米国特許第4,391,904号を参照されたい。
標識物を検出する手段は、当業者に公知である。すなわち、例えば標識物が放射能標識物である場合、検出手段には、シンチレーションカウンターまたはオートラジオグラフィーの写真フィルムなどがある。標識物が蛍光標識物である場合、これは、蛍光色素を適切な波長で励起し、生じる蛍光を検出することにより検出される。蛍光は、視覚的に、写真フィルムにより、電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管のような電子検出器などを使用して、検出される。同様に酵素標識物は、酵素の適切な基質を提供し、生じる反応生成物を検出することにより検出される。最後に、単純な比色標識物は、標識物に関連する色を観察することにより検出される。すなわち種々のディプスティック測定法において、結合した金はしばしばピンク色で現れ、種々の結合したビーズはビーズの色を示す。
いくつかのアッセイフォーマットは、標識化合物の使用を必要としない。例えば凝集測定法を使用して、標的抗体の存在を検出することができる。この場合、抗原被覆粒子は、標的抗体を含む試料により凝集する。このフォーマットでは、いずれの成分も標識する必要がなく、標的抗体の存在は、単純な視覚的観察により検出される。
E.モジュレーターの検出
試験化合物が、インビトロとインビボの両方で本発明の化学的感覚受容体に特異的に結合するかどうかを、測定するための組成物と方法を、以下に説明する。本発明のT1Rポリペプチドに対するリガンド結合の作用を評価するために、細胞生理学の多くの側面が追跡される。これらの測定法は、化学的感覚受容体を発現する無傷の細胞、透過性にした細胞、または標準的方法により産生される膜画分について行われる。
味覚受容体は味覚物質に結合して、化学刺激の電気シグナルへの変換を開始する。活性化されたかまたは阻害されたGタンパク質は標的酵素、チャネル、および他のタンパク質の性質を変化させる。いくつかの例は、視覚系のトランスデューシン(transducin)によるcGMPホスホジエステラーゼの、刺激性Gタンパク質によるアデニレートシクラーゼの、そしてGqおよび他の同種のGタンパク質によるホスホリパーゼ活性化、およびGiおよび他のGタンパク質による多様なチャネルの調節である。ホスホリパーゼCによるジアシルグリセロールとIP3の生成、およびIP3によるカルシウム動員のような下流の結果もまた、調べられる。
測定法のT1Rポリペプチドまたはポリペプチドは、一般的には配列番号4、10、12、14、17を有するポリペプチド、またはこれらの断片もしくは保存的に改変された変種から選択される。場合により、断片と変種は、抗T1R抗体に結合する抗原性断片および変種でもよい。
あるいは、測定法のT1Rタンパク質またはポリペプチドは、真核生物宿主細胞から得られ、配列番号4、10、12、14、17とアミノ酸配列が同一性を有するアミノ酸サブ配列、またはこれらの断片もしくは保存的に改変された変種を含むことができる。一般的に、アミノ酸配列同一性は、少なくとも35〜50%、場合により75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%である。場合により、測定法のT1Rタンパク質またはポリペプチドは、T1Rタンパク質のドメイン、例えば細胞外ドメイン、膜貫通領域、膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、リガンド結合ドメインなどを含有することができる。さらに前記したように、T1Rタンパク質またはそのドメインは、異種タンパク質に共有結合して、本明細書に記載の測定法で使用されるキメラタンパク質を作成してもよい。
T1R受容体活性のモジュレーターは、上記のT1Rタンパク質またはポリペプチド(組換え体または天然に存在するもの)を使用して試験される。T1Rタンパク質またはポリペプチドは単離でき、細胞中で発現され、細胞由来の膜で発現され、組織または動物中で発現され得る(組み換え体または天然に存在するもの)。例えば、舌の切片、舌から分離した細胞、形質転換細胞、または膜が、使用可能である。調節は、本明細書に記載のインビトロまたはインビボ測定法の1つを使用して試験することができる。
1.インビトロ結合測定法
味覚伝達はまた、本発明のT1Rポリペプチドを使用して、可溶性または固相反応を用いて試験することができる。具体例においてT1Rリガンド結合ドメインは、リガンド結合を測定するための可溶性固相反応で、インビトロで使用することができる。
例えば、T1R N末端ドメインは、リガンド結合に関与すると予測される。さらに詳しくは、T1Rは、大きな約600アミノ酸の細胞外N末端セグメントを特徴とするGPCRサブファミリーに属する。これらのN末端セグメントは、少なくとも部分的には、リガンド結合ドメインを形成すると考えられ、従ってT1Rアゴニストとアンタゴニストを同定するための生化学的測定法において有用である。リガンド結合ドメインはまた、細胞外ドメインの追加の部分(例えば、膜貫通ドメインの細胞外ループ)を含有する。代謝調節性グルタミン酸受容体(ハン(Han)とハンプソン(Hampson)、J.Biol.Chem.274:10008−10013(1999)を参照)のように、TR1に関連する他のGPCRを用いて、同様の測定法が使用されている。これらの測定法は、放射性または蛍光標識したリガンドを排除し、内因性蛍光の変化またはタンパク質分解感受性の変化などを測定する。
本発明のT1Rポリペプチドに結合するリガンドは、溶液、二重層膜(随時、固相に結合して)、脂質単層、または小胞中で試験することができる。モジュレーターの結合は、例えば分光特性(例えば、蛍光、吸光度、屈折率)、流体力学的性質(例えば、形)、クロマトグラフィー的性質、または溶解度の変化を使用して試験することができる。本発明の好適な結合測定法は、組換え可溶性N末端T1Rドメインを使用する生化学的結合測定法である。
受容体−Gタンパク質相互作用も、調べることができる。例えばT細胞タンパク質の受容体への結合、または受容体からのその放出を、調べることができる。さらに詳しくは、GTPの非存在下で、アクチベーターは、Gタンパク質(すべての3つのサブユニット)と受容体との強固な複合体を形成する。この複合体は、上記したように多くの方法で検出することができる。そのような測定法は改変して、例えばGTPの非存在下で受容体とGタンパク質にアクチベーターを加える(これは、強固な複合体を形成する)ことにより、インヒビターを探索し、次に受容体−Gタンパク質複合体の解離を調べて、インヒビターをスクリーニングする。GTPの存在下では、他の2つのGタンパク質サブユニットからのGタンパク質のアルファサブユニットの放出は、活性化の基準となる。活性化されたかまたは阻害されたGタンパク質は、次に標的酵素、チャネル、および他のエフェクタータンパク質の性質を変化させる。
本発明の別の実施態様において、GTPγS測定法が使用される。上記したように、GPCRの活性化により、Gタンパク質複合体のGαサブユニットが刺激されて結合GDPがGTPと交換される。Gタンパク質交換活性のリガンド介在刺激は、推定リガンドの存在下で、Gタンパク質に対する添加放射能標識GTPγ35Sの結合を測定する生化学的測定法で、測定することができる。一般的には目的の化学的感覚受容体を含有する膜は、Gタンパク質の複合体と混合される。インヒビターおよび/またはアクチベーター候補およびGTPγSが測定法に加えられ、Gタンパク質へのGTPγSの結合が測定される。結合は、シンチレーション計測または当該分野で公知の他の任意の方法(シンチレーション近位測定法(SPA)を含む)により測定することができる。他のアッセイフォーマットでは、蛍光標識GTPγSを利用することができる。
2.蛍光偏光測定法
別の実施態様において、リガンド結合を検出し追跡するのに、蛍光偏光(「FP」)ベースの測定法が使用される。蛍光偏光は、平衡結合、核酸ハイブリダイゼーション、および酵素活性を測定するための汎用性のある実験室法である。蛍光偏光測定法は、分離工程(例えば、遠心分離、濾過、クロマトグラフィー、沈降、または電気泳動)を必要としない点で、均一法である。これらの測定法は、リアルタイムに、直接溶液中で行われ、固定化相を必要としない。偏光の測定は迅速で、試料を破壊しないため、偏光値は、繰り返しかつ試薬の添加後に測定できる。一般的にこの技術は、低ピコモルからマイクロモルレベルの蛍光体の偏光値を測定するのに使用することができる。このセクションは、蛍光偏光が簡便で定量的な方法で、いかに使用されて本発明のT1Rポリペプチドへのリガンドの結合を測定するかを説明する。
蛍光標識分子が面偏光で励起されると、これは分子の回転に逆比例する偏光の程度を有する光を放出する。大きな蛍光標識分子は、励起状態の間比較的静止してとどまり(フルオレセインの場合4ナノ秒)、光の偏光は、励起と発光の間で比較的一定である。小さな蛍光標識分子は、励起状態の間急速に回転し、励起と発光の間で偏光は有意に変化する。従って小分子は、低い偏光値を有し、大分子は、高偏光値を有する。例えば、1本鎖のフルオレセイン標識オリゴヌクレオチドは、比較的小さい偏光値を有するが、これが相補鎖にハイブリダイズすると、大きな偏光値を有する。本発明の化学的感覚受容体を活性化または阻害する味覚物質結合を検出および追跡するためにFPを使用するときは、蛍光標識味覚物質または自己蛍光性味覚物質が使用される。
蛍光偏光(P)は、以下のように定義される:
Figure 0005403842
ここで
Figure 0005403842
は、励起光平面に平行な発光の強度であり、
Figure 0005403842
は、励起光平面に垂直な発光の強度である。光の強度の比Pは、無次元の数である。例えば、ビーコン(Beacon)(登録商標)とビーコン(Beacon)2000(商標)システムは、これらの測定法とともに使用される。そのようなシステムは、一般的にミリ偏光単位の偏光を表す(1偏光単位=1000mP単位)。
分子回転とサイズの関係は、ペリン(Perrin)式により説明され、読者は、Journal of Analytical Toxicology,pp.236−240のジョレイ・エム・イー(Jolley,M.E.)(1991年)を参照されたい(これは、この式の完全な説明を記載する)。要約すると、ペリン(Perrin)式は、偏光は回転緩和時間(分子が、約68.5°の角度を回転するのに要する時間)に正比例すると説明する。回転安和時間(rotational relaxation time)は、粘度(η)、絶対温度(T)、分子容積(V)、およびガス定数(R)に、以下の式で関連する:
回転緩和時間=3ηV/RT
小さい分子(例えば、フルオレセイン)では回転緩和時間は小さく、大きな分子(例えば、免疫グロブリン)では大きい(約100ナノ秒)。粘度と温度を一定に維持すると、回転緩和時間、従って偏光は、分子容積に正比例する。分子容積の変化は、他の分子との相互作用、蛍光標識分子の解離、重合、変性、ハイブリダイゼーション、またはコンフォメーション変化が原因である。例えば、蛍光偏光は、プロテアーゼ、DNaseおよびRNaseにより大きな蛍光標識ポリマーの酵素的切断を測定するのに使用されている。またこれは、タンパク質/タンパク質相互作用、抗体/抗原結合、およびタンパク質/DNA結合についての平衡結合を測定するのに使用されている。
3.固相状態と可溶性高処理能力測定法
さらに別の実施態様において本発明は、T1Rポリペプチド、またはT1Rポリペプチドを発現する細胞もしくは組織を使用する可溶性測定法を提供する。別の実施態様において本発明は、高処理能力フォーマットの固相ベースのインビトロ測定法を提供し、ここでT1Rポリペプチド、またはT1Rポリペプチドを発現する細胞もしくは組織が、固相基質に結合される。
本発明の高処理能力測定法では、1日に数千の異なるモジュレーターまたはリガンドをスクリーニングすることができる。特にマイクロタイタープレートの各ウェルを使用して、選択したモジュレーター候補に対して別の測定を行うことができるか、または濃度もしくはインキュベーション時間の作用を観察するなら、各5〜10ウェルが単一のモジュレーターを試験することができる。すなわち、単一の標準的マイクロタイタープレートは、約100(例えば、96)モジュレーターを測定することができる。もし1536ウェルプレートが使用されるなら、1つのプレートが、約1000〜約1500の異なる化合物を容易に測定することができる。また各プレートウェルにおいて複数の化合物を測定することが可能である。1日に数枚の異なるプレートを測定することが可能であり、本発明の統合システムを使用して、約6,000〜20,000の異なる化合物をスクリーニングすることが可能である。さらに最近、試薬操作に対するマイクロフルーイディク(microfluidic)アプローチが開発されている。
目的の分子を、直接または間接に、共有結合または非共有結合を介して(例えば、タグ(tag)を介して)、固相成分に結合することができる。タグは、種々の成分の任意のものでよい。一般的にタグに結合する分子(タグバインダー)は、固体支持体に固定され、目的のタグ化された分子(例えば、目的の味覚伝達分子)は、タグとタグバインダーの相互作用を介して、固体支持体に結合する。
文献に詳細に記載された既知の分子相互作用に基づき、多くのタグとタグバインダーを使用することができる。例えば、タグが天然のバインダー(例えば、ビオチン、プロテインA、またはプロテインG)を有する場合、これは適切なタグバインダー(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、免疫グロブリンのFc領域など)とともに使用することができる。天然のバインダー(例えば、ビオチン)を有する分子に対する抗体もまた、広く利用可能であり、適切なタグバインダーである(シグマ(Sigma)免疫化学品1998年カタログ、シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州)。
同様に、適切な抗体と組合せて任意のハプテンまたは抗原性化合物を使用して、タグ/タグバインダー対を形成することができる。数千の特異的抗体が市販されており、多くの追加の抗体が文献に記載されている。例えばある通常配置では、タグは1次抗体であり、タグバインダーは2次抗体であり、これは1次抗体を認識する。抗体−抗原相互作用以外に、受容体−リガンド相互作用も、タグとタグバインダー対として適している。例えば、細胞膜受容体のアゴニストとアンタゴニスト(例えば、細胞受容体−リガンド相互作用、例えばトランスフェリン、c−kit、ウイルス受容体リガンド、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン受容体および抗体、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリーなど;例えば、ピゴット(Pigott)とパワー(Power)、「接着分子ファクトブックI(The Adhesion Molecule Facts Book I)」(1993年)を参照)。同様に、毒素と蛇毒、ウイルスエピトープ、ホルモン(例えば、アヘン、ステロイドなど)、細胞内受容体(例えば、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイドおよびビタミンDを含む種々の小リガンドの作用を仲介するもの;ペプチド)、薬物、レクチン、糖、核酸(線形および環状ポリマー配置)、オリゴ糖、タンパク質、リン脂質、および抗体は、すべて種々の細胞受容体と相互作用することができる。
合成ポリマー(例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、およびポリアセテート)は、適切なタグまたはタグバインダーを形成することができる。当業者に明らかなように、この開示を検討すれば多くの他のタグ/タグバインダー対が、本明細書に記載の測定法システムに有用である。
一般的なリンカー(例えば、ペプチド、ポリエーテルなど)はまた、タグとして機能し、ポリペプチド配列(例えば、約5〜200アミノ酸のポリgly配列)としても機能する。そのような可撓性のあるリンカーは、当業者に公知である。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、シアウォーターポリマーズインク(Shearwater Polymers Inc.)(フンツビル(Huntsville)、アラバマ州)から入手できる。これらのリンカーは、場合によりアミド結合、スルフヒドリル結合、またはヘテロ官能基結合を有する。
タグバインダーは、現在利用可能な種々の方法の任意の方法を使用して固体基質に固定される。固体基質は、普通に誘導体化されるか、またはタグバインダーの一部と反応性である表面に化学基を固定する化学試薬に、基質のすべてまたは一部を暴露することにより官能基化される。例えば、より長い鎖の部分に結合するのに適した基には、アミン、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシル基がある。種々の表面(例えば、ガラス表面)を官能基化するのに、アミノアルキルシランやヒドロキシアルキルシランが使用可能である。そのような固相バイオポリマーアレイの構築は、文献に詳述されている。例えば、メリフィールド(Merrifield)、J.Am.Chem.Soc.,85:2149−2154(1963)(例えばペプチドの固相合成を記載する);ゲイセン(Geysen)ら、J.Immunol.Meth.,102:259−274(1987)(ピン上の固相成分の合成を記載する);フランク(Frank)とドーリング(Doring)、Tetrahedron,44:60316040(1988)(セルロースディスク上の種々のペプチド配列の合成を記載する);フォドー(Fodor)ら、Science,251:767−777(1991);シェルドン(Sheldon)ら、Clinical Chemistry,39(4):718−719(1993);およびコザール(Kozal)ら、Nature Medicine,2(7):753759(1996)(すべて、固体基質に固定されたバイオポリマーのアレイを記載する)を参照されたい。タグバインダーを基質に固定するための非化学的アプローチには、他の一般的な方法(例えば、熱、UV照射による架橋など)がある。
4.コンピューターベースの測定法
T1Rポリペプチド活性を調節する化合物のさらに別の測定法は、コンピューターによる化合物の設計であり、アミノ酸配列からコードされる構造情報に基づいて、T1Rポリペプチドの3次元構造を作成するのにコンピューターシステムが使用される。入力アミノ酸配列は、コンピュータープログラムのあらかじめ確立したアルゴリズムと直接かつ能動的に相互作用して、タンパク質の2次、3次、および4次構造モデルを生成する。次に、タンパク質構造のモデルを調べて、例えばリガンドに結合する能力を有する構造の領域を同定する。次にこれらの領域を使用して、タンパク質に結合するリガンドを同定する。
少なくとも10アミノ酸残基のタンパク質のアミノ酸配列、またはT1Rポリペプチドをコードする対応する核酸配列をコンピューターシステムに入力して、タンパク質の3次元構造モデルを作成する。T1Rポリペプチドまたはそのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、本明細書に開示の任意の配列であり、その保存的に改変された変種でもよい。
そのアミノ酸配列は、タンパク質の1次配列またはサブ配列であり、タンパク質の構造情報をコードする。アミノ酸配列の少なくとも10残基(または、10アミノ酸をコードするヌクレオチド配列)を、コンピューターキーボード、コンピューターで読める基板(特に限定されないが、電子保存媒体(例えば、磁気ディスケット、テープ、カートリッジ、およびチップ)、光学保存媒体(例えば、CD ROM)、インターネットサイトおよびRAMによる提供される情報からコンピューターシステムに入力する。次に、アミノ酸配列とコンピューターシステムの相互作用により、当業者に公知のソフトウェアを使用して、タンパク質の3次元構造モデルを作成する。
アミノ酸配列は、目的のタンパク質の2次、3次および4次構造を形成するのに必要な情報をコードする1次構造である。ソフトウェアは、1次配列にコードされるいくつかのパラメータを見て、構造モデルを作成する。これらのパラメータは、「エネルギー項」と呼ばれ、主に静電位、疎水電位、溶媒がアクセス可能な表面、および水素結合を含む。2次エネルギー項は、ファンデアワールス電位を含む。生物分子は、累積的にエネルギー項を小さくする構造を形成する。従ってコンピュータープログラムは、1次構造またはアミノ酸配列によりコードされるこれらの項を使用して、2次構造モデルを作成する。
次に、2次構造のエネルギー項に基づき、2次構造にコードされるタンパク質の3次構造が作成される。この時点でユーザーは、追加の変数(例えば、タンパク質は膜に結合しているか可溶性であるか、体内の位置、および細胞中の位置、例えば細胞質、表面、核)を入力することができる。これらの変数は2次構造のエネルギー項とともに使用して、3次構造のモデルを形成する。3次構造のモデル作成において、コンピュータープログラムは、2次構造の疎水性面を同様のものに一致させ、2次構造の親水性面を同様のものに一致させる。
いったん構造が作成されると、リガンド結合領域候補が、コンピューターシステムにより同定される。上記のように、化合物のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列または化学式を入力して、リガンド候補の3次元構造を作成する。次にリガンド候補の3次元構造を、T1Rポリペプチドの3次元構造と比較して、タンパク質に結合するリガンドを同定する。タンパク質とリガンドとの結合親和性は、エネルギー項を使用して、どのリガンドがタンパク質に結合する確率が上昇しているかを決定することにより、測定される。
またコンピューターシステムは、T1R遺伝子の突然変異、多型性変種、対立遺伝子、および種間同族体をスクリーニングするのに使用される。そのような突然変異は、疾患状態または遺伝形質に関連する。上記したように、ジーンチップ(GeneChip)(登録商標)と関連技術はまた、突然変異、多型性変種、対立遺伝子、および種間同族体をスクリーニングするのに使用される。変種が一度同定されると、診断測定法を使用して、そのような突然変異体遺伝子を有する患者を同定する。突然変異体T1R遺伝子の同定は、T1R遺伝子またはその保存的に改変された変種の第1の核酸配列またはアミノ酸配列の入力を含む。配列を上記したようにコンピューターシステムに入力する。第1の核酸配列またはアミノ酸配列は次に、第1の配列と実質的な同一性を有する第2の核酸配列またはアミノ酸配列と比較される。第2の配列は、上記したようにコンピューターシステムに入力される。第1の配列と第2の配列がいったん比較されると、配列間のヌクレオチドまたはアミノ酸の差が同定される。そのような配列は、疾患状態や遺伝形質に関連する種々のT1R遺伝子の対立遺伝子の差および突然変異体である可能性がある。
5.細胞ベースの結合測定法
ある実施態様において、T1Rタンパク質またはポリペプチドは、分泌経路を介して成熟とターゲティングを促進する異種のシャペロン配列を有するキメラ受容体として、真核細胞中で発現される。そのようなキメラT1Rポリペプチドは、任意の真核細胞(例えば、HEK−293細胞)中で発現することができる。好ましくはこの細胞は、細胞内シグナル伝達経路またはシグナル伝達タンパク質(例えば、ホスホリパーゼC)に、キメラ受容体を結合させることができる機能的Gタンパク質(例えば、Gα15)を含む。そのような細胞中のそのようなキメラ受容体の活性化は、任意の標準的方法(例えば、細胞中のFURA−2依存性蛍光を検出することにより細胞内カルシウムの変化を検出して)を使用して検出することができる。
活性化GPCR受容体は、受容体のC末端テイル(および、他の部位も可能である)をリン酸化するキナーゼの基質となる。すなわちアクチベーターはガンマ標識GTPからの32Pを受容体に移行させ、これをシンチレーションカウンターにより測定することができる。C末端テイルのリン酸化は、アレスチン様タンパク質の結合を促進し、Gタンパク質の結合を妨害する。キナーゼ/アレスチン経路は、多くのGPCR受容体の脱感作において重要な役割を果たす。例えば、味覚受容体が活性である期間を調節する化合物は、所望の味を延長または不快な味をカットする手段として有用であろう。GPCRシグナル伝達とシグナル伝達の測定法の総説については、例えばMethods in Enzymology,第237と238巻(1994)および第96巻(1983);ブルネ(Bounre)ら、Nature,10:349:117−27(1991);ブルネ(Bounre)ら、Nature,348:125−32(1990);ピッチャー(Pitcher)ら、Annu.Rev.Biochem.,67:653−92(1998)を参照されたい。
T1R調節は、推定T1Rモジュレーターで処理したT1Rポリペプチドの応答を、未処理対照試料の応答と比較することにより測定される。そのような推定T1Rモジュレーターには、T1Rポリペプチド活性を阻害または活性化する味覚物質がある。ある実施態様において、対照試料(アクチベーターまたはインヒビターで処理していない)は、相対T1R活性値100が割り当てられる。対照に対するT1R活性値が約90%、場合により50%、場合により25〜0%である時、T1Rポリペプチドの阻害が達成されている。T1Rポリペプチドの活性化は、対照に対するT1R活性値が110%、場合により150%、200〜500%、または1000〜2000%である時、達成されている。
イオンフラックスの変化は、T1Rポリペプチドを発現する細胞または膜のイオン分極(すなわち、電位)の変化を測定することにより評価される。細胞の分極の変化を測定する1つの手段は、電位固定法およびパッチクランプ法(例えば、「細胞結合」モード、「裏返し(inside−out)」モード、および「細胞全体」モード、例えばアッカーマン(Ackerman)ら、New Engl.J.Med.,336:1575−1595(1997)を参照)で、電流の変化を測定する。細胞全体の電流は、標準物質を使用して測定することが便利である。他の公知の測定法は、放射能標識イオンフラックス測定法、および電圧感受性色素を使用する蛍光測定法がある(例えば、ベスターガード−ボギンド(Vestergarrd−Bogind)ら、J.Membrane Biol.,88:67−75(1988);ゴンザレス(Gonzales)とチエン(Tsien)、Chem.Biol.,4:269277(1997);ダニエル(Daniel)ら、J.Pharmacol.Meth.,25:185−193(1991);ホレビンスキー(Holevinsky)ら、J.Membrane Biology,137:59−70(1994)を参照)。一般に、試験すべき化合物は、1pM〜100mMの範囲で存在する。
ポリペプチドの機能に対する試験化合物の作用は、上記パラメータのいずれかを調べることにより測定できる。GPCR活性に影響を与える適当な生理学的変化を使用して、本発明のポリペプチドに対する試験化合物の影響を評価することができる。無傷の細胞または動物を使用して機能的結果が測定される時、トランスミッター放出、ホルモン放出、既知の性状解析されていない遺伝子マーカー(例えば、ノーザンブロット)の両方への転写変化、細胞代謝の変化(細胞増殖またはpH変化)、および細胞内第2メッセンジャー(Ca2+、IP3、cGMP、またはcAMP)の変化のような種々の作用を測定してもよい。
GPCRの好適な測定法は、受容体活性を示すイオンまたは電圧感受性色素を充填した細胞を含む。そのような受容体の活性を測定する方法はまた、他のGタンパク質結合受容体の既知のアゴニストおよびアンタゴニストを陰性対照または陽性対照として使用して、試験化合物の活性を評価することができる。調節化合物(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト)を同定する測定法では、細胞質または膜電圧のイオンレベルの変化を、それぞれイオン感受性または膜電圧蛍光指示物質を使用して追跡する。使用されるイオン感受性指示物質と電圧プローブには、モレキョラープローブズ(Molecular Probes)1997年カタログに開示のものがある。Gタンパク質結合受容体については、無差別なGタンパク質(例えば、Gα15およびGα16)を、好適な測定法で使用することができる(ウィルキー(Wilkie)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,88:10049−10053(1991))。そのような無差別Gタンパク質は、広範囲の受容体の結合を可能にする。
受容体活性化は一般に、以後の細胞内イベント(例えば、細胞内貯蔵のカルシウムイオンを放出するIP3のような第2メッセンジャーの増加)を開始する。あるGタンパク質結合受容体の活性化は、ホスファチジルイノシトールのホスホリパーゼC介在加水分解(ベリッジ(Berridge)とアービン(Irvine)、Nature,312:315−21(1984))を介するイノシトール三リン酸(IP3)の生成を刺激する。IP3は次に、細胞内カルシウムイオン貯蔵の放出を刺激する。すなわち細胞質カルシウムイオンレベルの変化またはIP3のような第2メッセンジャーレベルの変化は、Gタンパク質結合受容体機能を評価するのに使用することができる。そのようなGタンパク質結合受容体を発現する細胞は、細胞内貯蔵とイオンチャネルの活性化との両方の寄与の結果として、細胞質カルシウムレベルの上昇を示し、この場合、カルシウム不含緩衝液(EGTAのようなキレート化剤を随時補足したもの)中でそのような測定法を行い、内部貯蔵からのカルシウム放出に帰因する蛍光応答を区別することが、必要ではないが、好ましい。
他の測定法では、活性化された時に、アデニレートシクラーゼのような酵素を活性化または阻害することにより、細胞内環状ヌクレオチド(例えばcAMPまたはcGMP)のレベルの変化を引き起こす受容体の活性を測定する。cAMPまたはcGMPの結合により活性化されると陽イオンが透過性になる、環状ヌクレオチドゲーティッドイオンチャネル、例えばロッド光受容細胞および嗅覚ニューロンチャネルがある(例えば、アルテンホーフェン(Altenhofen)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,88:9868−9872(1991)およびダーラン(Dhallan)ら、Nature,347:184−187(1990)を参照)。受容体の活性化により環状ヌクレオチドのレベルが低下する場合、測定の細胞に受容体活性化物質を加える前に、細胞内環状ヌクレオチドレベルを上昇させる物質(例えば、フォルスコリン(forskolin))に、細胞を暴露することが好ましい。この型の測定法のための細胞は、環状ヌクレオチド充填イオンチャネルをコードするDNA、GPCRホスファターゼ、および受容体(例えば、あるグルタミン酸受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体、ドパミン受容体、セロトニン受容体など)(これは活性化されると、細胞質中の環状ヌクレオチドのレベルを変化させる)をコードするDNAとともに、宿主細胞を同時トランスフェクションすることにより作成することができる。
好適な実施態様において、T1Rポリペプチド活性は、受容体をホスホリパーゼCシグナル伝達経路(オッファーマンズ(Offermanns)とサイモン(Simon)、J.Biol.Chem.,270:15175−15180(1995)を参照)に連結させる無差別Gタンパク質とともに、異種細胞中でT1R遺伝子を発現することにより測定される。場合により、細胞株はHEK−293細胞(これは、T1R遺伝子を自然に発現することはない)であり、無差別Gタンパク質はGα15(オッファーマンズ(Offermanns)とサイモン(Simon)、前述)である。味覚伝達の調節は、細胞内Ca2+レベル(これは、T1Rポリペプチドと結合する分子の投与によりT1Rシグナル伝達経路の調節に応答して変化する)の変化を測定することにより、測定される。Ca2+レベルの変化は、随時蛍光Ca2+指示色素および蛍光イメージングを使用して測定される。
ある実施態様では細胞内cAMPまたはcGMPの変化は、免疫測定法を使用して測定される。オッファーマンズ(Offermanns)とサイモン(Simon)、J.Biol.Chem.,270:15175−15180(1995)が記載した方法を使用して、cAMPのレベルを測定できる。またフェレイ−ボスコ(Felley−Bosco)ら、Am.J.Resp.Cell and Mol.Biol.,11:159−164(1994)が記載した方法を使用して、cGMPのレベルを測定できる。さらに、cAMPおよび/またはcGMPを測定する測定キットは、米国特許第4,115,538号(参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。
別の実施態様においてホスファチジルイノシトール(PI)加水分解は、米国特許第5,436,128号(参照することにより本明細書に組み込まれる)に従って分析される。簡単に説明すると、この測定は、細胞を3H−ミオイノシトールで48時間またはそれ以上標識する。標識した細胞を、試験化合物で1時間処理する。処理した細胞を溶解し、クロロホルム−メタノール−水で抽出し、次にリン酸イノシトールをイオン交換クロマトグラフィーで分離し、シンチレーション計測で定量する。アゴニストの存在下でのcpmと、緩衝液対照の存在下でのcpmの比を計算して、刺激倍数を決定する。同様に、アンタゴニストの存在下でのcpmと、緩衝液対照(これはアゴニストを含有してもしなくてもよい)の存在下でのcpmの比を計算して、阻害倍数を決定する。
別の実施態様において、転写レベルを測定して、シグナル伝達に対する試験化合物の作用を評価することができる。目的のT1Rポリペプチドを含有する宿主細胞を、試験化合物と、相互作用をするのに充分な時間接触させ、次に遺伝子発現のレベルを測定する。そのような相互作用をするための時間の長さは、経験的に決定され、例えば経時変化を追跡し、時間の関数として転写のレベルを測定することにより決定される。転写の量は、当業者に公知の適当な方法を使用して、測定される。例えば、目的のタンパク質のmRNA発現は、ノーザンブロットを使用して検出されるか、またはそのポリペプチド産物を、免疫測定法を使用して同定する。あるいは、レポーター遺伝子を使用する転写ベースの測定法は、米国特許第5,436,128号(参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。レポーター遺伝子は、例えば、クロラムフェニコールアセチレントランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、3−ガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼでもよい。さらに目的のタンパク質は、緑の蛍光タンパク質(例えば、ミスチリ(Mistili)とスペクター(Spector)、Nature Biotechnology,15:961−964(1997)を参照されたい)のような第2のレポーターへの結合を介して、間接的レポーターとして使用することができる。
次に転写の量を、試験化合物の無い同じ細胞中での転写の量と比較するか、または目的のT1Rポリペプチドが欠如した実質的に同一の細胞中での転写の量と比較する。実質的に同一の細胞は、そこから組換え細胞が調製されたが、異種DNAの導入により修飾されていない細胞から得られる。転写の量の差は、試験化合物が目的のT1Rポリペプチドの活性を、何らかの形で変化させたことを示す。
6.化学的感覚受容体を発現するトランスジェニック非ヒト動物
本発明の1つ以上の化学的感覚受容体配列を発現する非ヒト動物はまた、受容体測定法に使用することができる。そのような発現を使用して、化学的感覚受容体またはそのリガンド結合領域をコードする核酸で安定にまたは一過性にトランスフェクションした動物に、試験化合物を接触させて、受容体ポリペプチドに特異的に結合して動物が試験化合物に反応するかどうかを決定することにより、インビボで哺乳動物味覚伝達受容体ポリペプチドに、試験化合物が特異的に結合するかどうかを決定することができる。
本発明のベクターでトランスフェクションまたは感染させた動物は、特異的またはあるセットの受容体に結合できる味覚物質/リガンドを同定および性状解析するための測定法に、特に有用である。ヒト化学的感覚受容体配列を発現するそのようなベクター感染動物は、味覚物質および、例えば細胞生理学(例えば、味覚ニューロン)、CNS、または行動に対するその作用をインビボでスクリーニングするために、使用することができる。
個々にまたはライブラリーとして核酸およびベクターを感染/発現する手段は、当該分野で公知である。種々の個々の細胞、臓器、または動物全体のパラメータを、種々の手段で測定することができる。本発明のT1R配列は、例えば、感染物質(例えば、アデノウイルス発現ベクター)で送達することにより動物の味組織中で発現することができる。
内因性の化学的感覚受容体遺伝子は、機能性のまま維持され、野生型(未変性)活性がまだ存在することができる。他の状況では、すべての化学的感覚受容体活性が導入された外因性ハイブリッド受容体による場合、ノックアウト株を使用することが好ましい。非ヒトトランスジェニック動物(特に、トランスジェニックマウス)の作成方法、および形質転換細胞を生成するための組換え構築体の選択と調製のための方法は、当該分野で公知である。
「ノックアウト」細胞および動物の作成は、哺乳動物細胞中の特定の遺伝子の発現レベルは、抑制すべき遺伝子のDNA配列の一部を妨害する新しいDNA配列をゲノム中に導入することにより、低下させるかまたは完全に排除することができるという前提に基づく。また「遺伝子トラップ挿入」を使用して、宿主遺伝子を破壊し、マウス胚幹(ES)細胞を使用して、ノックアウトトランスジェニック動物を産生することができる(例えば、ホルチュ(Holzschu)、Transgenic Res 6:97−106(1997)を参照)。外因性物質の挿入は一般に、相補的核酸配列の間の相同的組換えによる。外因性配列は、修飾される標的遺伝子の部分(例えばエキソン、イントロン、または転写制御配列)であり、または標的遺伝子の発現に影響を与えることができるゲノム配列;またはこれらの組合せである、多能性の胚幹細胞中の相同的組換えによる遺伝子ターゲティングは、目的のゲノム配列を正確に改変することを可能にする。ノックアウト動物を作成、スクリーニング、または増殖させるために使用できる方法は、例えば、ビジュヴォエト(Bijvoet)、Hum.Mol.Genet.7:53−62(1998);モリーヂス(Moreadith)、J.Mol.Med.75:208−216(1997);トウジョウ(Tojo)、Cytotechnology 19:161−165(1995);ムジェット(Mudgett)、Methods Mol.Biol.48:167−184(1995);ロンゴ(Longo)、Transgenic Res.6:321−328(1997);米国特許第5,616,491号;5,464,764号;5,631,153号;5,487,992号;5,627,059号;5,272,071号;WO91/09955;WO93/09222;WO96/29411;WO95/31560;WO91/12650を参照されたい。
本発明の核酸はまた、「ノックアウト」ヒト細胞およびその子孫を産生するための試薬として使用することができる。同様に本発明の核酸はまた、マウスの「ノックイン」を産生するための試薬として使用することができる。ヒトまたはラットT1R遺伝子配列は、マウスゲノム中のオルソログT1Rを置換することができる。こうして、ヒトまたはラットT1Rを発現するマウスが産生される。次にこのマウスを使用して、ヒトまたはラットT1Rの機能を分析するか、またはそのようなT1Rのリガンドを同定することができる。
F.モジュレーター
T1Rファミリーメンバーのモジュレーターとして試験される化合物は、任意の小化合物、または生物物質、例えばタンパク質、糖、核酸または脂質でもよい。あるいはモジュレーターは、T1R遺伝子の遺伝子改変されたものでもよい。一般的には試験化合物は、小さい化学分子やペプチドである。本発明の測定法におけるモジュレーターまたはリガンド候補として基本的に任意の化合物が使用できるが、ほとんどの化合物は、水溶液または有機(特にDMSOベースの)溶液に溶解して使用される。測定法は、測定工程を自動化し、任意の便利な供給源からの化合物を測定法(これらは、一般的には平行して処理され、例えば、ロボット測定法におけるマイクロタイタープレート上のマイクロタイタフォーマットで)に提供することにより、大きな化学ライブラリーをスクリーニングするように設計される。化合物の提供業者はたくさん有り、シグマ(Sigma)(セントルイス、ミズーリ州)、アルドリッチ(Aldrich)((セントルイス、ミズーリ州)、シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)(セントルイス、ミズーリ州)、フルカケミカ−ビオケミカアナリチカ(Fluka Chemika−Biochemica Analytika)(ブクス(Buchs)、スイス)などがあることは、理解されるであろう。
ある好適な実施態様において、高処理能力スクリーニング法は、多数の治療用化合物(モジュレーターまたはリガンド化合物候補)を含有するコンビナトリアル化学またはペプチドライブラリーを提供する。そのような「コンビナトリアル化学ライブラリー」または「リガンドライブラリー」は次に、本明細書に記載の1つ以上の測定法でスクリーニングされて、所望の特徴的な活性を示すライブラリーメンバー(特定の化学種またはサブクラス)を同定する。こうして同定された化合物は、従来の「リード化合物」となるかまたは、それ自身を治療物質候補または実際の治療物質として使用することができる。
コンビナトリアル化学ライブラリーは、試薬のような多くの化学的「構成ブロック」を組合せて化学合成または生合成により作成される多様な化合物の集まりである。例えば、ポリペプチドライブラリーのような線状のセルロースは、化学的構成ブロック(アミノ酸)のセットをあらゆる可能な方法である化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)について組合せることにより生成される。化学的構成ブロックのそのようなコンビナトリアル混合により、数百万の化合物を合成することができる。
コンビナトリアル化学ライブラリーの調製とスクリーニングは、当業者に公知である。そのようなコンビナトリアル化学ライブラリーには、特に限定されないが、ペプチドライブラリー(例えば、米国特許第5,010,175号、フーカ(Furka)、Int.J.Pept.Prot.Res.,37:487−493(1991)、およびフートン(Houghton)ら、Nature,354:84−88(1991)を参照)がある。化学的多様性ライブラリーを作成するための他の化学も、使用することができる。そのような化学には、特に限定されないが、ペプトイド(例えば、PCT公報WO91/19735)、コードされたペプチド(例えば、PCT公報WO93/20242)、ランダムバイオオリゴマー(例えば、PCT公報WO92/00091)、ベンゾジアゼピン(例えば、米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドのようなダイバーソーマー(diversomers)(ホッブズ(Hobbs)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,90:6909−6913(1993))、ビニロガス(vinylogous)ポリペプチド(ハギハラ(Hagihara)ら、J.Am.Chem.Soc.,114:6568(1992))、グルコース足場を有する非ペプチジルペプチド模倣物(ハーシュマン(Hirschmann)ら、J.Am.Chem.Soc.,114:9217−9218(1992))、小化合物ライブラリーの類似有機合成(チェン(Chen)ら、J.Am.Chem.Soc.,116:2661(1994))、オリゴカルバメート(チョウ(Cho)ら、Science,261:1303(1993))、ペプチジルホスホネート(キャンベル(Campbell)ら、J.Org.Chem.,59:658(1993))、核酸ライブラリー(アウスベル(Ausubel)、バーガー(Berger)とサムブルーク(Sambrook)、すべて前述)、ペプチド核酸ライブラリー(米国特許第5,539,083号)、抗体ライブラリー(ボーン(Vaughn)ら、Nature Biotechnology,14(3):309−314(1996)、およびPCT/US96/10287)、炭水化物ライブラリー(リアング(Liang)ら、Science,274:1520−1522(1996)、および米国特許第5,593,853号)、小有機分子ライブラリー(ベンゾジアゼピン、バウム(Baum)、C&EN、1月18日号、33頁(1993);チアゾリジノンとメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号および5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、第5,288,514号など)がある。
コンビナトリアルライブラリーの調製のための装置は、市販されている(例えば、357MPS、390MPS(アドバンストケムテク(Advanced Chem Tech)、ルイスビル(Louisville)、ケンタッキー州)、シンフォニー(Symphony)(ライニン(Rainin)、ウォバーン(Woburn)、マサチューセッツ州)、433A(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)、フォスターシティ(Foster City)、カリホルニア州)、9050Plus(ミリポア(Millipore)、ベッドフォード(Bedford)、マサチューセッツ州を参照)。さらに、無数のコンビナトリアルライブラリーが市販されている(例えば、コムゲネックス(ComGenex)、プリンストン、ニュージャージー州;トリポスインク(Tripos,Inc.)、セントルイス、ミズーリ州;3Dファーマシューチカルズ(3D Pharmaceuticals)、エキストン(Exton)、ペンシルバニア州;マルテックバイオサイエンシーズ(Martek Biosciences);コロンビア、メリーランド州などを参照)。
本発明のある態様において、任意の食品、菓子、医薬組成物、またはこれらの成分で、T1Rモジュレーターを使用することができ、こうして製品、組成物、または成分の味を所望の方法で調節することができる。例えば、甘味を増強するT1Rモジュレーターを加えて、製品または組成物を甘くすることができ、一方不快な味を阻止するT1Rモジュレーターを加えて、製品または組成物の味を改良することができる。
G.味の知覚を表示し予測する方法
本発明はまた、好ましくは哺乳動物(ヒトを含む)で味の知覚を表示する方法および/または味の知覚を予測する方法を提供する。好ましくはそのような方法は、本明細書に記載の該T1Rポリペプチドをコードする受容体および遺伝子を使用して行われる。
また本発明には、哺乳動物により検出可能な味の存在について1つ以上の化合物をスクリーニングする方法であって、1つ以上の化合物に、開示の受容体を接触させることを含んでなり、哺乳動物はヒトである、方法が包含される。また本発明には、哺乳動物の特定の味の知覚を表示する方法であって:該脊椎動物のn化学的感覚受容体のそれぞれの定量的刺激を示す値X1〜Xn(ここで、nは2より大きいかまたは2に等しい)を提供する工程;および該値から、味の知覚の定量的表示を生成する工程、とを含んでなる方法が包含される。化学的感覚受容体は、本明細書に開示の化学的感覚受容体でもよく、表示は、n次元空間中の点または容積を構成してもよく、グラフまたはスペクトルを構成してもよく、そして定量的表示のマトリックスを構成してもよい。また提供工程は、複数の組換え産生化学的感覚受容体に試験組成物を接触させ、該組成物の該受容体との相互作用を定量的に測定することを含んでもよい。
また本発明には、哺乳動物で未知の味の知覚を与える1つ以上の分子または分子の組合せにより発生する哺乳動物の味の知覚を予測する方法であって:哺乳動物で既知の味の知覚を与える1つ以上の分子または分子の組合せについて、該脊椎動物のn個の化学的感覚受容体のそれぞれの定量的刺激を示す値X1〜Xn(ここで、nは2より大きいかまたは2に等しい)を提供し、哺乳動物で既知の味の知覚を与えるその1つ以上の分子または分子の組合せについて、該値から、哺乳動物の味の知覚の定量的表示を生成する工程、哺乳動物で未知の味の知覚を与える1つ以上の分子または分子の組合せについて、該脊椎動物のn個の化学的感覚受容体のそれぞれの定量的刺激を示す値X1〜Xn(ここで、nは2より大きいかまたは2に等しい)を提供し、哺乳動物で未知の味の知覚を与えるその1つ以上の分子または分子の組合せについて、該値から、哺乳動物の味の知覚の定量的表示を生成する工程、そして哺乳動物で未知の味の知覚を与える1つ以上の分子または分子の組合せについての哺乳動物の味の知覚の定量的表示を、哺乳動物で既知の味の知覚を与える1つ以上の分子または分子の組合せについての哺乳動物の味の知覚の定量的表示と比較することにより、哺乳動物で未知の味の知覚を与える1つ以上の分子または分子の組合せににより発生する哺乳動物の味の知覚を予測する、上記方法が包含される。この方法で使用される化学的感覚受容体は、本明細書に開示の化学的感覚受容体を含有してもよい。
別の実施態様において、上記の既知の分子または分子の組合せについて、哺乳動物の味の知覚の値を測定し;上記の1つ以上の未知の分子または分子の組合せについて、哺乳動物の味の知覚の値を測定し;1つ以上の未知の組成物についての哺乳動物の味の知覚の値を、1つ以上の既知の組成物についての哺乳動物の味の知覚の値と比較し;哺乳動物であらかじめ決められた味の知覚を誘発する分子または分子の組合せを選択し;2つ以上の未知の分子または分子の組合せを組合せて、哺乳動物であらかじめ決められた味の知覚を誘発する分子または分子の組合せを生成することにより、哺乳動物であらかじめ決められた味の知覚を誘発する新規分子または分子の組合せが作成される。この組合せ工程は、哺乳動物であらかじめ決められた味の知覚を誘発する単一の分子または分子の組合せを与える。
本発明の別の実施態様において、味を刺激する方法であって:クローン化した複数の化学的感覚受容体(好ましくはヒトの受容体)のそれぞれについて、受容体が味覚物質と相互作用する程度を確認する工程;そして、味覚物質のプロフィールを模倣する受容体刺激プロフィールを一緒に与える量で、それぞれが1つ以上の受容体とのあらかじめ確認した相互作用を有する複数の化合物を組合せる工程、を含んでなる上記方法が提供される。味覚物質と化学的感覚受容体との相互作用は、本明細書に開示の任意の結合測定法または受容体測定法を使用して、測定することができる。次に複数の化合物を組合せて混合物を生成する。所望であれば、複数の化合物の1つ以上を共有結合させることができる。組合せた化合物は、味覚物質により実質的に刺激される受容体の少なくとも75%、80%、または90%を実質的に刺激する。
本発明のさらに別の実施態様において、複数の標準化合物を複数の化学的感覚受容体に対して試験して、各受容体が各標準化合物と相互作用する程度を確認し、こうして各標準化合物の受容体刺激プロフィールを作成する。次にこれらの受容体刺激プロフィールを、データ保存媒体上のリレーショナルデータベースに保存する。この方法はさらに、味の所望の受容体刺激プロフィールを提供し;所望の受容体刺激プロフィールをリレーショナルデータベースと比較し;そして、所望の受容体刺激プロフィールと最も良く一致する標準化合物の1つ以上の組合せを確認することを含んでなる。この方法はさらに、標準化合物を1つ以上の確認した組合せで組合せて、味を模倣することを含む。
H.キット
T1R遺伝子とその同族体は、化学的感覚受容体細胞を同定するために、法医学や親子鑑定のために、および味覚伝達を調べるために、有用な手段である。T1R核酸に特異的にハイブリダイズするT1Rファミリーメンバー特異的試薬(例えば、T1Rプローブやプライマー)、およびT1Rポリペプチドに特異的に結合するTR1特異的試薬(例えば、T1R抗体)は、味覚細胞発現および味覚伝達制御を調べるために使用される。
試料中のT1RファミリーメンバーについてDNAとRNAの存在のための核酸測定法には、当業者に公知の無数の方法、例えばサザン解析、ノーザン解析、ドットブロット、RNase保護、S1解析、PCRのような増幅法、およびin situ ハイブリダイゼーションがある。例えばin situ ハイブリダイゼーションでは、標的核酸は、以後の解釈と解析のために細胞の形態を維持しながら、細胞内でハイブリダイゼーションができるように、その細胞環境から放出される。以下の論文は、in situ ハイブリダイゼーションの技術の概要を提供する:シンガー(Singer)ら、Biotechniques,4:23050(1986);ハッセ(Hasse)ら、Methods in Virology,第VII巻、189−226頁(1984);および「核酸ハイブリダイゼーション:実際的アプローチ(Nucleic Acid Hybridization:A Practical Approach)」(ネームズ(Names)ら編、1987)。さらに、T1Rポリペプチドは、上記の種々の免疫測定法により検出することができる。一般的に試験試料は、陽性対照(例えば、組換えT1Rポリペプチドを発現する試料)と陰性対照の両方と比較される。
本発明はまた、T1Rファミリーメンバーのモジュレーターについてスクリーニングするためのキットを提供する。そのようなキットは、容易に利用可能な材料と試薬から調製することができる。例えばそのようなキットは、以下の材料の任意の1つ以上を含む:T1R核酸またはタンパク質、反応試験管、およびT1R活性を試験するための説明書。場合によりキットは、生物活性のあるT1R受容体を含有する。キットを使用するユーザーとユーザーの具体的なニーズにより、広範なキットと成分が本発明に従って調製できる。

本明細書に記載のタンパク質配列において、一文字コードXまたはXaaは、20個の一般的なアミノ酸残基のいずれかを意味する。本明細書に記載のDNA配列において、一文字コードNまたはnは、4つの一般的なヌクレオチド塩基(A、T、CまたはG)のいずれかを意味する。
例1−hT1R3
hT1R3ゲノムDNAを、以下に配列番号1と配列番号2として、予測されるコード配列(cds)を太字で示して提供する。5’と3’コンティグの間の切断は、エリプス(elipses)として示す(’........’)。hT1R3予測cdsは、配列番号3に記載する。最後に、好適な予測されるhT1R3アミノ酸配列を配列番号4として、アミノ酸の一文字コードを使用して提供する。
hT1R3ゲノムDNA−5’コンティグ(配列番号1)
Figure 0005403842
hT1R3ゲノムDNA−3’コンティグ(配列番号2)
Figure 0005403842
Figure 0005403842
hT1R3完全長ゲノムDNA(配列番号20)
Figure 0005403842
Figure 0005403842
hT1R3予測cds(配列番号3)
Figure 0005403842
Figure 0005403842
hT1R3概念的翻訳(配列番号4)
Figure 0005403842
例2−rT1R3とmT1R3
ラットとマウスT1R3遺伝子のセグメントを、ゲノムDNAからヒトT1R3配列に基づく縮重プライマーを使用して、PCR増幅により単離した。縮重プライマーSAP077(5’−CGNTTYYTNGCNTGGGGNGARCC−3’;配列番号5)とSAP079(5’−CGNGCNCGRTTRTARCANCCNGG−3’;配列番号6)は、それぞれヒトT1R3残基RFLAWGEPA(配列番号7に対応)とPGCYNRAR(配列番号8に対応)に相補的である。PCR産物をクローン化し配列決定した。プラスミドSAV115は、マウスT1R3遺伝子のクローン化セグメントを有し、SAV118は、ラット遺伝子のセグメントを有する。マウスセグメントは、ヒトT1R3の対応するセグメントと74%同一であり、ラットセグメントは、ヒトT1R3の対応するセグメントと80%同一であるため、以下に示すこれらの配列は、ヒトT1R3の齧歯類のものを明らかに示す。マウスとラットのセグメントは、88%同一である。他のデータベース配列では、これらのT1R3セグメントと同一性が40%を越えるものはない。
センス配向のSAV115マウスT1R3セグメント(除去した縮重プライマーに対応する配列)(配列番号9)
Figure 0005403842
mT1R3セグメント、概念的翻訳(配列番号10)
Figure 0005403842
センス配向のSAV118ラットT1R3セグメント(除去した縮重プライマーに対応する配列)(配列番号11)
Figure 0005403842
rT1R3セグメント、概念的翻訳(配列番号12)
Figure 0005403842
例3−rT1R3のクローニング
配列番号9と11として上記で同定したmT1R3とrT1R3断片を使用して、ラット味組織由来cDNAライブラリーをスクリーニングした。1つの陽性クローンを配列決定し、以下に配列番号13として示す完全長rT1R3配列を含有することがわかった。mT1R3とrT1R3部分配列との、および完全長hT1R3配列との、配列比較は、このcDNAが、hT1R3のラットのものであることが確立された。例えば、rT1R3とhT1R3の間の対のアミノ酸同一性は約72%であり、公のDNA配列データバンク中の最も関連する注釈をつけた配列は、rT1R3と約33%同一である。
rT1R3予測cds(配列番号13)
Figure 0005403842
Figure 0005403842
rT1R3概念的翻訳(配列番号14)
Figure 0005403842
例4−mT1R3の発現
SAV115に含有される上記マウスT1R3断片を、M13前進プライマーとM13逆進プライマーを使用してPCRにより増幅し、ゲル精製した。T1R3 DNA鋳型を、インビトロ転写標識反応中に入れ、ここでジゴキシゲニン標識UTPを、アンチセンスcRNAプローブ中に取り込んだ。このプローブを、有郭乳頭を含有する成体マウス味組織とハイブリダイズさせた。T1R3 in situ ハイブリダイゼーションと検出は、シーレン−ウィーマーズ(Schaeren−Wiemers)ら、Histochemistry,100:431−400(1993)のプロトコールに従って行った。簡単に説明すると、新鮮な凍結したマウスの舌を14μmの切片にして、ハイブリダイゼーション用に調製した。200ng/mlのアンチセンスジゴキシゲニンT1R3プローブを、72℃で14時間ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後は、0.2×SSCで72℃で洗浄した。ジゴキシゲニン検出は、1:5000希釈の抗DIGアルカリホスファターゼ抗体でインキュベートし、次にNBT/BCIP中のホスファターゼの12時間反応により行った。図1は、マウス有郭乳頭の味蕾中のT1R3遺伝子発現を示す。
例5−hT1R1
ラット味覚受容体のヒトオルソログ(データベース受け入れ番号AL159177)(rT1R1と呼ぶ)を、以下に配列番号15として示す。予測されるcdsは、太字で示し、いくつかのイントロン配列間隔を、Nの連続として示す。ヌクレオチドと概念的翻訳hT1R1配列もまた、本明細書にそれぞれ配列番号16と17として示す。
hT1R1ゲノムDNA(配列番号15)
Figure 0005403842
Figure 0005403842
Figure 0005403842
Figure 0005403842
hT1R1予測cds(配列番号16)
Figure 0005403842
Figure 0005403842
hT1R1概念的翻訳(配列番号17)
Figure 0005403842
前記の詳細な説明は、本発明のいくつかの実施態様を記載するが、上記記載は例示のためのみであり、決して開示の発明を限定するものではないことを理解されたい。本発明は、請求項によってのみ限定されるものである。
in situ ハイブリダイゼーションによるマウス有郭乳頭の味蕾中のT1R3遺伝子発現を示す、凍結したマウスの舌の凍結切片である。選択したT1R3発現味覚受容体細胞を、矢印で示す。

Claims (12)

  1. 配列番号4で表されるポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性をもつ、味覚刺激に応答するヒトT1R3味覚受容体ポリペプチドをコードする核酸。
  2. 配列番号4で表されるポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性をもつ、味覚刺激に応答するヒトT1R3味覚受容体ポリペプチドをコードする、請求項1に記載の核酸
  3. ヒト味組織で発現しているポリペプチドをコードしている、請求項1または2に記載の核酸。
  4. 請求項1、2または3に記載の核酸を含むベクター。
  5. 請求項に記載のベクターを含有する組換え細胞。
  6. バクテリア細胞、酵母細胞、および哺乳動物細胞から選択される請求項記載の組換え細胞。
  7. ヒト細胞である請求項記載の組換え細胞。
  8. 配列番号4で表されるポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性をもつヒトT1R3味覚受容体ポリペプチドを発現している請求項5、6または7に記載の組換え細胞であって、該ヒトT1R3味覚受容体ポリペプチドがヒト味組織で発現している、組み換え細胞
  9. 配列番号4で表されるポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性をもつヒトT1R3味覚受容体ポリペプチドを発現している請求項5、6または7に記載の組換え細胞であって、該ヒトT1R3味覚受容体ポリペプチドが味覚刺激に応答する、組み換え細胞
  10. 請求項1に記載の核酸にコードされる、単離されたヒトT1R3味覚受容体ポリペプチド。
  11. 請求項2に記載の核酸にコードされる、単離されたヒトT1R3味覚受容体ポリペプチド。
  12. ヒトT1R3味覚受容体ポリペプチドに結合することを介して、ヒトT1R3味覚受容体関連味覚を調節する化合物を確認するためのアッセイ方法であって:
    (i) 請求項1、2または3に記載の核酸にコードされるヒトT1R3味覚受容体ポリペプチドを発現する組み換え細胞と接触させ;
    (ii) 該化合物が、該ヒトT1R3味覚受容体に結合するかどうかを確認し;そして
    (iii)該ヒトT1R3味覚受容体に結合する、確認された化合物の、ヒトの味の知覚に対しての、効果を評価する;
    工程を含む、方法。
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