JP5403367B2 - 物体形状評価装置 - Google Patents

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本発明は、測定対象物の形状に対応する多数の測定点とこの測定点に対応する多数の基準点とを位置合わせすることで測定対象物の形状を評価する物体形状評価装置に関する。
測定点群と基準点群とを位置合わせ(マッチング)することで測定対象物に対する測定結果を評価する従来の技術として、ステレオ視とICP(Iterative Closest Point)アルゴリズムを組み合わせて、被計測物体の位置・姿勢を精度良く計測する画像計測方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このステレオ画像計測方法では、計測対象の3次元形状を複数台のカメラ画像をステレオ処理することにより計測点群が求められ、計測対象の既知の形状情報とステレオカメラの相対位置・姿勢とから可視部が予測され、予測された可視部の形状情報のみを用い前記計測点群の空間密度に合わせたモデル点群が決定され、前記計測点群とモデル点群の間でICPアルゴリズムを用いてマッチングさせ、最も評価関数が小さなモデル群に対応する位置・姿勢を計測結果として採用される。
しかしながら、ICPアルゴリズムは、原則として例外値を含まない位置データ同士の位置決めまたは融合(両データの最も一致する合同変換を求める問題)を行う手法である。従って、位置決め対象となる距離データ集合内に重複しない不一致部分、またはデータの追加部分などが含まれていると、それらが例外値として働き正しい状態への収束を阻害するという問題が生じる。このようなICPアルゴリズムの問題点を解消するために、M推定を導入したICP位置決め法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。このM推定ICP位置決め法では、2つの点群(例えば、測定点群と基準点群)の対応関係を更新しながら合同変換を逐次収束させる際、残差量(例えば、測定点と基準点との距離)に応じて重みを設定する。この重みによって対応点毎に位置決めにおける評価価値を変化させることにより、例外値による悪影響を抑制することが可能となる。しかしながら、測定対象物の三次元形状を測定するような場合、測定装置の測定技術上の条件から、測定対象物の傾斜した面に対しては測定点がずれることで測定誤差が大きくなり、また孔や切り欠きなどの貫通領域などに対しては測定データそのものが欠落することでさらに測定誤差が大きくなるという問題が生じる。
さらに、測定対象物が金型製作されるような製品の場合、ロット生産の途中で金型の一部を修正した場合、正常に製作された製品の形状と基準点データによる形状が一致しなくなる。このため、本来なら欠陥とはみなされない部分的な測定点群とそれに対応する基準点群との間の不一致を欠陥とみなしてしまうという問題が生じる。
特開2008−14691号公報(段落番号0006、図1) 金子俊一・他著「M推定を導入したロバストICP位置決め法」精密工学会誌V0l.67,No.8,2001、1276-1280
上記実状に鑑み、本発明の目的は、測定装置の測定技術上の条件から、その測定誤差が大きくなるような特定の測定領域が存在する測定対象物であっても、測定点群と基準点群との合同変換が適正に行われるとともに、基準点群と測定点群とのずれから欠陥を検出する際に型修正に起因する欠陥誤検出が低減される物体形状評価装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る物体形状評価装置の特徴構成は、金型を用いて製作された測定対象物の形状に対応する多数の測定点の位置情報を含む測定点データを入力する測定データ入力部と、前記測定対象物の基準形状に対応する多数の基準点の位置情報を含む基準点データを格納する基準データ格納部と、対応する測定点と基準点との間の距離を逐次収束させる逐次収束処理に基づいて前記測定点と前記基準点とを位置合わせする位置合わせ処理手段と、前記位置合わせ処理手段による位置合わせ処理後の前記基準点と適正に対応せず互いに隣接する複数の測定点からなる誤対応測定点群によって規定される表面領域を欠陥と判定する欠陥判定部を有する欠陥評価手段とを含み、前記欠陥評価手段には、複数の測定対象物における前記欠陥に与えられた欠陥位置を含む欠陥情報に基づいて当該欠陥を型修正箇所とみなす型修正評価部と、前記型修正評価部によって評価された型修正箇所に関する型修正箇所情報を生成して型修正箇所情報格納部に登録する型修正箇所情報登録部とが備えられている
この特徴構成によれば、形状評価基準となる基準点データに含まれている基準点群と、三次元位置測定によって得られた測定点データに含まれている測定点群とを位置合わせした際に、特定領域においてその領域に属する基準点群と測定点群との位置が所定値以上にずれていた場合、その領域は欠陥と判定される。この判定された欠陥は、最終的に欠陥とみなされる前の欠陥候補である。この判定された欠陥に対する領域が型修正箇所であるかどうかが、欠陥情報に基づいて評価される。もし、その領域が型修正箇所であるとみなされると、欠陥候補は欠陥とみなされず、型修正を起因として基準点群と測定点群との間にずれが発生したとして、型修正箇所に関する型修正箇所情報が生成され登録される。これにより、型修正に起因する欠陥誤検出が低減される。また、
登録された型修正箇所情報は、それ以降の測定対象物に対する物体形状評価に利用することができる。
判定された欠陥に対する領域が型修正箇所かどうかを評価するための重要な情報となる欠陥情報は、生じうる欠陥種類に応じて適切なものを選択する必要がある。統計的な解析から、生じうる欠陥のサイズと位置は大きなばらつきがあり、異なる測定対象物において同じ位置に同じサイズの欠陥が発生する確率は低いことがわかっている。したがって、判定された欠陥のうちそのような欠陥特徴量を有するものは、型修正に起因する可能性が高いといえる。このような観点から、本発明の好適な実施形態の一つでは、前記欠陥評価手段には、前記欠陥情報に含まれる欠陥特徴量としての前記欠陥の大きさを演算する欠陥特徴量演算部が備えられており、複数の測定対象物における前記欠陥特徴量が類似する場合当該欠陥が型修正箇所とみなされる。
さらに、その欠陥と型修正箇所とを区別する精度を上げるためには、欠陥サイズだけでなく欠陥の重心も判断要素として重要であることが確かめられている。本発明の好適な実施形態の一つでは、欠陥の重心も欠陥と型修正箇所とを区別する判断要素として用いることができるように、前記欠陥特徴量演算部が、前記欠陥特徴量として前記欠陥の重心を演算する。
判定された欠陥に対する領域が型修正箇所かどうかを評価する他の手法として、その欠陥領域に属する測定点群によって規定される形状(測定形状)と、その欠陥領域に属する基準点群によって規定される形状(基準形状)との間の類似度を用いることも提案される。演算によって得られるこの類似度が所定しきい値以上の場合、つまり欠陥と判定された領域の測定形状と基準形状とが十分に類似している場合、その領域は欠陥ではなく型修正箇所とみなされる。この手法を実現するための本発明の好適な実施形態の1つでは、前記欠陥評価手段には、前記欠陥に対応する表面領域に含まれる基準点群と測定点群との間の類似度を演算する類似度演算部が備えられており、前記類似度が所定しきい値以上の場合当該欠陥が型修正箇所とみなすように構成されている。経験的には、測定形状と基準形状とが等しくその面積が大きいほど、また測定形状と基準形状との間の距離(これは平均対応点距離で表すことができる)が短いほど際にその領域が型修正箇所である可能性が高くなることが知られている。そのため、類似度としてそのような値を採用すると好都合である。
測定点群と基準点群とがずれている領域であって、上述した手法によりその領域が欠陥でなく型修正箇所とみなされた場合は、その領域に関する情報である型修正箇所情報を登録しておいて、これ以降の測定対象物に対する物体形状評価に利用することが好ましい。従って、本発明による好適な実施形態の1つでは、そのような型修正箇所情報は、前記型修正箇所に対応する領域での基準点データに代えて利用可能な追加基準点データを含み、当該追加基準点データは前記型修正箇所に対応する領域での前記測定点データとするように構成されている。これにより次回からの測定での位置合わせ処理において特定領域に関してはこれまでの基準点データに代えて追加基準点データを用いることにより、測定点群と基準点群とがずれて欠陥と判定してしまうということが防止される。
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記位置合わせ処理手段による位置合わせ処理後の前記測定点データと前記基準点データとに基づいて前記測定対象物の形状を評価する形状評価手段とを含み、前記位置合わせ処理手段は、測定点データから前記測定対象物のエッジに対応するエッジ点を検出するエッジ検出部によって生成されたエッジ点群と、前記基準データ格納部に格納されている前記測定対象物のエッジのためのエッジ基準点データであるエッジ基準点群とを位置合わせするエッジ位置合わせを行い、当該エッジ位置合わせによって得られたエッジ合同変換パラメータを用いて前記測定点データ全体の測定点が前記基準点に向かう位置合わせを行うように構成されている。この特徴構成によれば、得られた測定点データからエッジ検出処理によって抽出された測定対象物のエッジに対応する測定点であるエッジ測定点群と、この測定対象物のエッジに対応するエッジ基準点群とを用いて、エッジ位置合わせを行う。エッジ測定点群と測定対象物の外形形状を規定するために重要であり、孔や切り欠きとは違って明確な実体的形状を表していることから測定によって正確に検出しやすい。したがって、このエッジ位置合わせにより、エッジ測定点群はエッジ基準点群に対して正確に重なる。さらに、そのようなエッジ位置合わせに用いられたエッジ合同変換パラメータを用いて測定点データ全体の測定点群を前記基準点データ全体の基準点群に合わせるように位置合わせを行う。これにより、傾斜面や孔や切り欠きといったその測定誤差が大きくなるような特定の測定領域が存在する測定対象物であっても、満足できる測定点群と基準点群との重ね合わせが可能となり、この重ね合わせ結果から、基準形状からの測定対象物の形状ずれを検知することができる。
本発明に係る物体形状評価装置で採用された欠陥と型修正箇所とを区別するアルゴリズムを説明する模式図である。 欠陥と型修正箇所とを区別する、図1とは異なるアルゴリズムを説明する模式図である。 本発明に係る物体形状評価装置の一例を模式的に示す概略構成図である。 評価ユニットの機能ブロック図である。 表面評価モジュールの機能ブロック図である。 欠陥評価モジュールの機能ブロック図である。 基準データ変更モジュールの機能ブロック図である。 物体形状評価装置における全体的な制御の流れを示すフローチャートである。 評価演算処理を示すフローチャートである。 エッジ抽出ルーチンを示すフローチャートである。 エッジ位置合わせルーチンを示すフローチャートである。 全点位置合わせルーチンを示すフローチャートである。 欠陥判定ルーチンを示すフローチャートである。 型修正による形状違い判定ルーチンを示すフローチャートである。 型修正による形状違い判定ルーチンを示すフローチャートである。 欠陥・型修正箇所判定ルーチンを示すフローチャートである。 基準データ変更ルーチンを示すフローチャートである。 エッジ点を利用した測定点群と基準点群との位置合わせの原理を示す模式図である。 図18での位置合わせの原理に追加された処理を示す模式図である。 測定点群と基準点群との位置合わせを模式的に示す模式図である。 全点照合による位置合わせと、エッジ照合と全点照合とを組み合わせた位置合わせとを比較した比較グラフである。 種々の重み係数を用いて行われた繰り返し位置合わせの比較演算結果を示す比較グラフである。
以下図面を用いて、本発明の実施の形態を説明するが、ここでの物体形状装置は測定対象物の表面の三次元位置データを得るために、三角測量に原理に基づいて三次元測定を行う光切断方式を用いている
まず、図1を用いて、本発明に係る物体形状評価装置で採用された欠陥と型修正箇所とを区別するアルゴリズムを模式的に説明する。この光切断方式では、スリット光を測定対象物に照射し、測定対象物の表面形状に応じて湾曲する帯状の光をカメラで撮影し、その撮影画像内の結像位置から、点列のX、Y、Z値が演算される。このスリット光によって走査される測定対象物の全表面の測定点の三次元位置データが光切断画素位置情報として生成され、以下に述べる表面凹凸形状評価のための測定点データとしてワークメモリに展開される(#001)。
詳しくは後で説明するが、得られた測定点データに基づく測定点群と、予め格納されている基準データから読み出したエッジ基準点群とを対応付けて、エッジ測定点群をエッジ基準点群に近づける位置合わせが行われる。位置合わせ後の測定点群と基準点群との間に所定以上のずれがある領域は欠陥と判定され、例えば欠陥位置や欠陥サイズなど欠陥特徴量を含む欠陥情報、が記録される(#002)。次に評価される測定対象物に対しても同様な処理がなされる(#003)(#004)。先行の測定対象物に対して付与された欠陥情報に含まれている欠陥特徴量を比較する(#005)。実質的に同じ位置における欠陥の欠陥特徴量が一致しない場合、その欠陥は正式に欠陥と認識される(#006A)。実質的に同じ位置における欠陥の欠陥特徴量が一致する場合、その欠陥は欠陥とみなされずに、その欠陥領域は型修正箇所とみなされる(#006B)。欠陥から型修正箇所とみなされた領域に関する情報(その領域の位置や基準点群など)は、型修正箇所情報として格納される(#007)。この型修正箇所情報に、その型修正箇所の追加の基準点データとしての基準点群データが含まれていると、これ以降の測定対象物に対する位置合わせにおいてこの追加の基準点データを使用することができる。これにより型修正箇所を欠陥と判定する誤りが抑制される。
次に、図2を用いて、欠陥と型修正箇所とを区別するための上記アルゴリズムとは異なるアルゴリズムを模式的に説明する。
まず、光切断方式を用いて測定点データが光切断画素位置情報として取得され、ワークメモリに展開される(#010)。得られた測定点データに基づく測定点群と、予め格納されている基準データから読み出したエッジ基準点群とを対応付けて、エッジ測定点群をエッジ基準点群に近づける位置合わせが行われる(#011)。位置合わせ後の測定点群と基準点群との間に所定以上のずれがある領域は欠陥(欠陥領域)と判定され、その欠陥領域に含まれる測定点群が測定点データから取り出される(#012)。さらに、この欠陥領域に対応する基準点群が基準点データから取り出される(#013)。取り出された測定点群と基準点群との間の位置合わせが行われる(#014)。この位置合わせ処理については後で詳しく説明されるが、欠陥領域の姿勢に応じて、全ての基準点群と測定点群とを用いる全位置合わせ又はそれぞれの点群から検出されたエッジ点だけを用いるエッジ位置合わせが選択される。この位置合わせ後の基準点群によって規定される基準形状と測定点群によって規定される測定形状から互いの形状の類似度が算出される(#014)。類似度が低い場合、ステップ#012で判定された欠陥は正式に欠陥と認識される(#016A)。類似度が高い場合、その欠陥は欠陥とみなされずに、その欠陥領域は型修正箇所とみなされる(#016B)。欠陥から型修正箇所とみなされた領域に関する情報(その領域の位置や基準点群など)は、型修正箇所情報として格納される(#017)。
上述したような、欠陥と型修正箇所とを区別するアルゴリズムを採用した物体形状評価装置の一例を説明する。この実施の形態での物体形状評価装置は、表面に多数の直線上の深溝が整列形成されている測定対象物の溝断面を検査するように設定されている。図3は、そのような物体形状評価装置の構成を模式的に示す斜視図である。
この物体形状評価装置は、測定装置部1と、測定物台2と、この測定装置部1及び測定物台2に対する測定動作制御及びその測定結果に対する評価を行うコントローラ3を備えている。測定装置部1は、測定系の主な構成要素として、スリット光を発生させるレーザタイプのスリット光源ユニット11aと、測定対象物のスリット光が照射されている領域を撮像する撮像ユニット11bとを備えている。このスリット光源ユニット11aと撮像ユニット11bとは測定ヘッドとして一体的に組み付けられている。また測定物台2は、主な構成要素として、基台23と、基台23に立設された門形フレーム22とを備えている。測定対象物のポジショニング機構として、測定対象物を載置させるとともに回転する回転テーブル21及び門形フレーム22をY軸方向に移動させるY方向走査機構が基台23に設けられ、測定ヘッドをX軸方向に移動させるX方向走査機構が門形フレーム22に設けられている。このX方向走査機構とY方向走査機構とによって測定対象物の表面のX−Y平面走査が可能となる。なお、測定ヘッド内にはスリット光源ユニット11aと撮像ユニット11bとを昇降させる昇降機構が備えられている。
スリット光源ユニット11aは、レーザスリット平行光投光器でありレーザスリット投光器12とシリンドリカルレンズ13とを含む。レーザスリット投光器12から出た扇状に拡がっていくスリット光はシリンドリカルレンズ13によってスリット光軸に平行な平行光に変換され、測定対象物を照射する。
撮像ユニット11bは、テレセントリック系レンズ群15と、面状に配置された多数の受光素子(CCDやCMOS)からなる撮像部16と、テレセントリック系レンズ群15の被写体側に配置されたP偏光板14とを備えている。テレセントリック系レンズ群6の採用は、画角ゼロで測定対象物上の複数の凹凸表面を死角なく撮像するためである。スリット光光源ユニット2からのスリット光が測定対象物の表面に照射され、そこで反射した反射光が、撮像ユニット11bの撮像光軸に沿って、P偏光板14とテレセントリック系レンズ群15とを通過して撮像部16に達するように設定されている。スリット光光源ユニット2のスリット光軸と撮像ユニット11bの撮像光軸とが交差する交差角、つまり撮像角は、この実施の形態では約11度という極めて狭い角度を採用している。従って、撮像部16の撮像面が撮像光軸に直角となる姿勢であると、スリット光軸方向に沿った測定深さの範囲がテレセントリック系レンズ群15の被写界深度を超えていると測定深さの範囲においてピントの合わない領域が生じる。これを回避するため、撮像部16の撮像面を撮像光軸に対してあおり角を作り出すように傾け、あおり撮影の原理で被写界深度を稼いでいる。これにより、テレセントリック系レンズ群15のもつ被写界深度以上の測定範囲においてもピンボケのない撮影画像が取得できる。
コントローラ3は、実質的にはコンピュータユニットとして形成されており、光源制御部31、画像メモリ32、画像処理部33、三次元測定データ演算部34、本発明に特に関係する評価ユニット4、昇降機構制御部35、回転テーブル制御部36、X方向走査制御部37、Y方向走査制御部38を備えている。回転テーブル制御部36、X方向走査制御部37、Y方向走査制御部38はそれぞれ、回転テーブル21、X方向走査機構、Y方向走査機構の動作を制御して、測定対象物を測定平面(X−Y平面)内の適正な測定位置に設定する。昇降機構制御部35は、スリット光源ユニット11aと撮像ユニット11bとの測定対象物に対する高さを調整する。
撮像ユニット11bからコントローラ3に送られてきた撮像画像(画像データ)は、画像メモリ32に展開される。さらに、必要に応じて、画像処理部33によって座標変換やレベル補正、エッジ検出などの画像処理を施され、スリット光による光切断線Sが検出される。三次元測定データ演算部34は、スリット光の照射点や照射角度、スリット光軸と撮像光軸とのなす角度が既知なので、画像処理部33で検出された光切断線Sの座標値から三角測量法に基づいて演算することで、光切断線Sつまり複数の直線状深溝を形成している測定対象物の3次元断面形状に対応する多数の測定点データ(距離画像)を得ることができる。ここでいう距離画像とは、測定点としての画素にその三次元位置座標値を割り当てた測定データである。なお、三角測量法に基づく演算に代えて、その演算結果を格納したテーブルを用いる方法を採用してもよい。三次元測定データ演算部34によって生成された測定点データは評価ユニット4に転送される。
評価ユニット4は、図4に示すように、表面評価モジュール5と、欠陥評価モジュール6と、基準データ変更モジュール7と、データ格納部8を備えている。表面評価モジュール5は、ICPなどの位置合わせアルゴリズムを用いて測定点群の基準点群への位置合わせを行い測定対象物の表面形状を評価する。欠陥評価モジュール6は、表面評価モジュール5から出力された測定点群の基準点群への位置合わせ結果に基づいて測定対象物の表面欠陥を評価する。基準データ変更モジュール7は、金型の部分修正といったような要因によって製品許容範囲内での形状変更が生じた際に、この形状測定を通じてその基準データを変更する機能を有する。そのような基準データの変更は所定数の測定対象物単位で判定される。この実施の形態では、表面評価モジュール5と欠陥評価モジュール6の両方が形状評価手段として機能する。
データ格納部8には、基準データ格納部81と欠陥情報格納部82と型修正箇所情報格納部83が設けられている。基準データ格納部81は、測定対象物の表面形状を示す基準点データを格納する。基準データはエッジ基準点データと全基準点データとに区分けされている。全基準点データは、測定対象物の測定対象全面に渡って予め区分けされた所定ブロック毎に測定点に対応するように設定された理想的な仕上がり形状を示すデータである。エッジ基準点データは、その全基準点データから展開された基準点群から、その基準点群によって規定される外形形状におけるエッジに対応する基準点だけを取り出したものである。欠陥情報格納部82は、位置合わせが終了した状態で、基準点から所定以上に離れている測定点のうち所定の条件を満たすことで欠陥と判定された測定点の集まりに関する情報である欠陥情報を格納する。型修正箇所情報格納部83は、後で詳しく説明されるが、表面欠陥評価の処理を通じて金型が修正された可能性がある部分に関する情報である型修正箇所情報を格納する。
図5に示すように、表面評価モジュール5は、測定点データ入力部51と、エッジ検出部52と、点群対応付け部53と、重み演算部54と、収束評価部55と、合同変換パラメータ生成部56と、位置合わせ実行部57とを有する。測定点データ入力部51は三次元測定データ演算部34から測定点データを受け取る。エッジ検出部52は、測定点データに基づいて測定点群をワーキングメモリに展開し、ソーベルフィルタなどのエッジ検出フィルタを用いて測定対象物の表面におけるエッジに対応するエッジ測定点を検出して、エッジ測定点群からなるエッジ測定点データを生成する。点群対応付け部53は、前記所定ブロック単位で、前述した位置合わせアルゴリズムに基づいて測定点と基準点とを対応させる。点群対応付け部53は、説明をわかり易くするために、位置合わせの処理対象をエッジ測定点群とエッジ基準点群とするエッジ点群対応付け部53aと、位置合わせの処理対象を全測定点群と全基準点群とする全点群対応付け部53aとに区分けしているが、その演算機能は同じである。重み演算部54は、後で詳しく説明するが、位置合わせ処理に用いられる重み係数を求める。ここで用いられる重み係数:wは、隣接点間距離重み係数:γiと対応点間距離重み係数:ρiとを乗算した値である。合同変換パラメータ生成部56は、対応付けされた基準点群に測定点群を位置合わせするための合同変換パラメータを求める。収束評価部55は、合同変換パラメータを用いて測定点群が基準点群に収束移動させようとする際にその逐次収束評価値を演算し、測定点群の移動が基準点群に逐次収束していくかどうかを評価する。位置合わせ実行部57は、合同変換パラメータ生成部56によって生成されるとともに収束評価部55で収束すると評価された合同変換パラメータを用いて測定点群の位置座標を変換する。この実施形態では、点群対応付け部53と重み演算部54と収束評価部55と合同変換パラメータ生成部56と位置合わせ実行部57とは、対応する測定点群と基準点群との間の距離を逐次収束させる逐次収束処理に基づいて測定点群と基準点群とを位置合わせする位置合わせ処理手段50を構成している。
この位置合わせ処理手段50における位置合わせ処理を概略的に説明すれば、
(1)三次元測定データ演算部34から測定点データを入力する、
(2)エッジ点群対応付け部53aによって対応付けられたエッジ測定点群とエッジ基準点群との位置合わせ結果をエッジ位置合わせデータとして生成する、
(3)このエッジ位置合わせデータに基づいて、全点群対応付け部53bによって対応付けられた全測定点群と全基準点群との位置合わせ結果を全位置合わせデータとして生成する、
(4)全位置合わせデータを欠陥評価モジュール6に出力する、
となる。
図6に示すように、表面欠陥評価手段として機能する表面欠陥評価モジュール6は、誤対応測定点群抽出部61と、欠陥判定部62と、型修正評価部63と、型修正箇所情報登録部64と、欠陥特徴量演算部65とを有する。誤対応測定点群抽出部61は、後で詳しく説明する表面欠陥判定条件に基づいて、対応する測定点と基準点との間の対応点間距離が第1しきい値より大きい測定点を誤対応測定点とみなしていくことで誤対応測定点群(誤対応領域)を抽出する。欠陥判定部62は、抽出された誤対応測定点群に含まれる誤対応測定点のうち隣接する測定点との距離が第2しきい値より小さい近傍測定点の数が第3しきい値より大きい時に当該近傍測定点を含む領域を表面欠陥の可能性があると判定し、その欠陥情報を記述した欠陥データを出力する。
欠陥特徴量演算部65は、欠陥判定部62によって判定された欠陥(表面欠陥:めくれ、へこみ、剥がれなど)の欠陥サイズや欠陥重心などといった欠陥特徴量を算定し、その欠陥の三次元位置ともに欠陥情報として欠陥情報格納部82に格納する。測定対象物が金型製作されるような製品の場合、ロット生産の途中で金型の一部を修正した場合、正常に製作された製品の形状と基準点データによる形状が一致しなくなり、その不一致を欠陥とみなすという問題が生じる。型修正評価部63は、この問題を解決すべく、欠陥判定部62によって判定された欠陥が使用された金型を部分的に修正したために生じたものであるかどうかを欠陥情報を参照してチェックする機能を有する。型修正評価部63が、受け取った欠陥データに対応する欠陥領域が型修正によるものではないと評価した場合、欠陥判定部62に型修正なしが通知されるので、欠陥判定部62はその欠陥領域を欠陥と確定する。型修正評価部63が、受け取った欠陥データに対応する欠陥領域が型修正によるものであると評価した場合、その欠陥領域が型修正によるという評価結果を型修正箇所情報登録部64も出力する。型修正箇所情報登録部64は、この評価結果を受けて生成された型修正箇所情報を型修正箇所情報格納部83に登録する。
この実施の形態ではさらに、欠陥判定部62によって判定された欠陥に対応している基準点群と測定点群との間の類似度を演算してこの類似度を欠陥情報として欠陥情報格納部82に格納する類似度演算部66が備えられている。従って、欠陥特徴量演算部65は、判定された欠陥が使用された金型を部分的に修正したために生じたものであるかどうかをチェックする際に、この類似度を参照することができる。類似度は、その欠陥に含まれる基準点群によって規定される表面形状とその欠陥に含まれる測定点群によって規定される表面形状との類似度を直接的にあるいは間接的に表せるものであればよい。直接的な類似度としては欠陥サイズに対応する等価楕円長軸長さ(長さが近似するほど類似度は大きいことになる)など、間接的な類似度としては基準点群と測定点群との平均対応距離(距離が短いほど類似度は大きいとみなすことができる)などが挙げられる。
測定対象物が金型製作されるような製品の場合、所定数の製品が製作されると磨耗等によって金型に寸法変動が生じる。このような寸法変動は、製品が正常に製作されているにもかかわらず、その測定点データと基準データとの間のずれが生じる。このずれを欠陥と判定することを避けるためには、そのようなずれが生じる領域の基準データを正常に製作された製品の測定点データによって修正することが好ましい。この目的のために設けられた基準データ変更モジュール7は、図7に示すように、データ入力部71と測定点データ形状評価部72と基準データ変更部73とを有する。データ入力部71は、表面評価モジュール5で生成された測定点データと製品設計データである形状データを受け取り、内部処理可能な形式に変換して測定点データ形状評価部72に転送する。測定点データ形状評価部72が測定点データと製品設計データとを比較して製品が設計寸法の許容範囲であると評価すると、基準データ変更部73が基準データ格納部81にアクセスして、この測定点データで基準データを変更する。
上述したように構成された物体形状評価装置を用いた、測定対象物の形状評価処理の基本的な流れを図8から図17に示されたフローチャートを用いて以下に説明する。ここでの測定対象物は、長方形のプレート体に表面に多数の直線状の深溝が形成されたもので、その測定領域は400mm×300mm程度とする。この測定領域は100mm×15mmの測定ブロックに区分けされている。1回のX軸方向走査で4つの測定ブロックを走査して、走査ピッチと撮像解像度によって規定される測定単位での直線状深溝の3次元断面形状位置を表す測定点データを取得して、測定ブロック毎に区分けしてメモリに格納する。1回のX軸方向走査が完了する毎に所定ピッチでY軸方向移動を行い、次の測定ブロックに対するX軸方向走査を逆方向で行う。このような、X軸方向走査とY軸方向移動を繰り返すことで、全測定領域おける直線状深溝の測定点データを取得する。さらに、測定死角の発生を考慮して、測定対象物を90度回転させた状態で、再度同じ測定領域における測定を行う。なお、取得した測定点データを用いた測定対象物の測定結果に対する評価は、つまり測定対象物に対する検査は、各ブロック単位で行われ、各ブロック単位での検査結果をまとめて、最終的な総合判定が行われる。
この装置において形状評価を行うために、測定対象物が回転テーブル21にセットされる(#1)。図示されていない測定開始ボタンが操作されると(#2Yes分岐)、測定が開始され
る。まず、光源制御部31によってレーザスリット投光器12がONされ、スリット光が照射される(#3)。測定開始ポイントである1番目の測定ブロックの左エッジがスリット光によって照射されるように、X方向走査機構及びY方向走査機構、回転テーブル21を動作させる(#04)。
X方向走査機構を正方向に定速移動させながらX軸方向の走査を行う(#5)。それとともに、撮像ユニット11bからの画像データを画像メモリ32に転送する(#6)。このX軸方向の走査と画像データの取得は、スリット光が測定対象物の側端に達するまで行われる。スリット光が測定対象物の側端に達すると(#7Yes)、X軸方向の走査を停止する(#8)。X軸方向の走査を停止すると、光切断法に基づく測定点データが算定され、その測定点データと基準点データとから表面欠陥の有無を判定する評価演算処理が行われる(#9から#24)。この評価演算処理はあとで詳しく説明される。実際には、ステップ#08でX軸方向走査が停止すると、評価演算処理が実行されている間に、Y方向走査機構が動作され、所定のピッチでY軸方向のシフトが行われる(#25)。Y軸方向のシフトが終わると、X軸方向の走査がまだ残っているかどうかのチェックが行われる(#26)。
ステップ#26のチェックでX軸方向の走査がまだ残っている場合(#26Yes分岐)、X軸方向の走査の向きを反転し(#27)、ステップ#5に戻ってX軸方向の走査を行う。ステップ#26のチェックでX軸方向の走査が残っていない場合(#14No分岐)、レーザスリット投光器12がOFFされ、スリット光の照射が停止する(#28)。さらに、回転テーブル21を90度回転測定死角の発生に伴う測定不能箇所の測定点データを補完するために、回転テーブル21を90度回転させる必要があるかどうかをチェックする(#29)。回転テーブル21を90度回転させる必要がある場合は(#29Yes分岐)、回転テーブル21の90度回転動作を行い、再びステップ#3に戻り、この測定を繰り返す。なお、この90度の追加回転で不十分な場合には、さらに90度毎のあと2回までの回転(最初の姿勢位置に対する180度位置と270度位置)が行われる。回転テーブル21を90度回転させる必要がない場合は(#29No分岐)、全ての測定ブロックにおける欠陥評価結果に基づいて総合判定を行う(#30)。この総合判定において、欠陥の位置を測定対象物の全体を示す全体図の上でマーキングした欠陥位置表示図をモニタ又はプリントを通じて出力することができる。総合判定が終了すると、測定対象物に対する形状評価処理は完了するが、この時点で所定数の測定対象物の検査が終了しておれば、前述した基準データ変更モジュール7基準データを正常に製作された製品の測定点データによって修正する基準データ変更ルーチンが行われる(#31)。
この基準データ変更ルーチンが、図17に示されている。まず、同じ金型で製作されて、この物体形状評価装置で検査された測定対象物の個数(測定ワーク数)を算出するために、測定対象物に対する形状評価処理が完了する毎にカウントする(#800)。この測定ワーク数が設定数以下なら(#801No分岐)、基準データ変更処理の必要がないとしてこのルーチンを終了する。測定ワーク数が設定数以下なら(#801Yes分岐)、さらに、この測定対象物の測定点データが基準点データの修正に適したものであるかどうか、つまりこの測定対象物に対する形状評価処理において欠陥が検出されていたかどうかがチェックされる(#802)。欠陥が検出されていると(#802No分岐)、この測定対象物は基準点データの修正に適していないとみなしてこのルーチンを終了する。欠陥が検出されていない場合(#802Yes分岐)、さらに測定データによる形状チェックが行われる(#803)。この測定データによる形状チェックでは、測定点データと製品設計データとを比較して製品が設計寸法の許容範囲で入っていることでその形状が正常であるとみなされる。測定データ形状チェックによりその形状が正常でないとみなされた場合(#804No分岐)、この測定対象物は基準点データの修正に適していないとみなしてこのルーチンを終了する。測定データ形状チェックによりその形状が正常であるとみなされた場合(#802Yes分岐)、この測定対象物は基準点データの修正に適していないとみなして、この測定対象物の測定点データを基準点データに変更する(#805)。
次に、図9に示された、本発明に係る処理ルーチンである評価演算処理を説明する。
まず、コントローラ3の画像処理部33が、撮像部16から転送されてきた画像データを処理してその光切断線画素位置情報を生成する(#09)。この光切断線画素位置情報から、三次元測定データ演算部34は、画素位置とその画素位置から三角測量法に基づいて演算された3次元位置との関係を格納したテーブルを利用して、光切断線画素位置情報に基づき測定対象物の三次元座標値を読み出し、この値を測定点データとして各測定点に対応付けられたメモリアドレスに転送する(#10)。もちろん、テーブルを用いずに、その都度、光切断線画素位置情報を用いて三角測量法に基づく演算を行うことで三次元座標値を求めて測定点データとしてもよい。
測定点データが得られると、この測定点データからエッジ測定点を抽出してエッジ測定点データを生成するエッジ抽出ルーチンが実行される(#11)。このエッジ抽出ルーチンでは、図10に示すように、全測定点データが読み出されて、ワーキングメモリに展開される(#100)。その際、この全測定点データにおいて測定不能のために生じたデータ欠落点には測定下限値以下の指定値をダミーとして割り当てておく(#101)。測定されたブロックの全領域にわたって高さ方向(Z軸方向)の値に対してエッジ検出フィルタ(ソーベルフィルタなどの微分フィルタ)をかけて、微分値を算出する(#102)。この微分値を所定のしきい値を用いて、例えば「0」「1」で振り分けることにより、エッジと非エッジとを区分けした二値化データが生成されるので、この二値化データからエッジ測定点群データを取り出し、メモリに保存して(#102)、このルーチンを終了する。
続いて、位置合わせ処理手段50によるエッジ測定点データとエッジ基準点データとの位置合わせが実行されるが、その前に、先行する測定対象物に対して実行された物体形状評価処理において、型修正箇所の存在推定に基づいて設定される追加基準データの有無がチェックされる(#12)。追加基準データが存在する場合には、その追加基準データ(追加基準点群)によって規定される領域が金型の型修正領域に対応している可能性があるので、それを考慮した欠陥判定が行われるが、ここではまず、追加基準データが存在しない場合での欠陥判定を説明する。
ステップ#12のチェックで追加基準データが存在しない場合には(#12Yes)、上記エッジ抽出ルーチンで得られたエッジ測定点群と、基準データ格納部81から読み出されたエッジ基準点データとを用いたエッジ位置合わせルーチンが実行される(#13)。
ここでの位置合わせルーチンの具体的な説明の前に、図18と図19と図20を用いて、ここで採用されている測定点群と基準点群との位置合わせに基づく欠陥判定の基本的なアルゴリズムを模式的に説明する。
三次元測定を通じて測定対象物の表面の三次元位置データを取得し(#01)、測定対象物の全表面の測定点の三次元位置データが光切断画素位置情報として生成される(#02)。なお、表面凹凸形状評価のための前準備として、測定対象物の表面全体の基準となる三次元データである全基準データと、測定対象物の表面に形成されているエッジの基準データであるエッジ基準データ(全基準データにエッジ検出フィルタ処理を施すことによって作り出すことができる)とが格納されていることにする。
まずは、ワークメモリに展開された測定点データである測定点群に対してソーベルフィルタのようなエッジ検出フィルタをかけてエッジ検出処理を行う(#03)。このエッジ検出処理によって生成されたエッジ測定点群と、予め格納されているエッジ基準データから読み出したエッジ基準点群とを対応付けて、エッジ測定点群をエッジ基準点群に近づける位置合わせを行う(#04)。この位置合わせには後で詳しく説明するICP(iterative closest point)法に基づいて方法が適している。この方法では、その位置合わせにおいて合同変換パラメータとしてE(R,t)、R:回転行列、t:並進移動ベクトルを最小化するものを求める演算が所定のしきい値に達するまで繰り返される(#05)。エッジ測定点群とエッジ基準点群との位置合わせが終了し、最終的にエッジ測定点群をエッジ基準点群に近づける合同変換パラメータが得られると、この合同変換パラメータを用いて、全測定点データからの全測定点群を全基準データからの全基準点群に近づける位置合わせを行う(#06)。測定条件が良好な場合、これにより、目標通りに仕上げられている箇所の測定点群と基準点群とがほぼ重なり合う。もし、測定点と基準点とが所定以上に離れている場合、欠陥の可能性があるとみなされ、その箇所を特定した欠陥情報が得られることになる(#07)。
なお、上述したように、エッジだけを用い得られた合同変換パラメータを用いて、全測定点データからの全測定点群を全基準データからの全基準点群に近づける全点位置合わせを行っても、測定対象物の形状や測定条件などによっては、十分な重ね合わせができていないことがある。そのようなケースでは図19に示すように、その全点位置合わせを行った状態から、さらに、全測定点データと全基準点群とを対応づけて位置合わせを行う必要がある。まず、図18におけるステップ#06の状態から、全測定点群と全基準点群を対応付け(#06a)、合同変換パラメータ:E(R,t)が最小となる位置合わせが、所定のしきい値に達するまで繰り返される(#06b)。十分に収束した位置合わせが得られると、この全位置合わせが終了する(#06c)。最終的に位置合わせされた状態において測定点と基準点とが所定以上に離れている場合、欠陥の可能性があるとみなされ、その箇所を特定した欠陥情報が生成される(#08)。
次に、図20を用いて、基準点群と測定点群との位置合わせを行う逐次収束処理としてICPアルゴリズムに基づいた手法を模式的に説明する。図20から理解できるように、この手法は、基準点群(基準点データ)の各点について最も近い測定点群(測定点データ)の点を対応点とし、各対応点距離の2乗和を最小とする合同変換パラメータを推定して、逐次収束させていく。このようなICPアルゴリズムによる位置合わせでは、図20で示しているような等測定走査ピッチで測定点を決定していくような形状測定の場合、測定面の姿勢によっては僅かな走査ピッチのずれが大きな測定点のずれを導くことになる(図20では、測定点S4、S5、S6がこれに当てはまる)。従って、想定している位置座標と実際の位置座標との誤差が大きいことが予想される測定点とそれに対応する基準点とをそのまま逐次収束処理における逐次収束評価に用いることは好ましくない。このような問題を回避するため、本発明で適用されている改善されたICPアルゴリズムでは、以下に説明するような重み係数を取り入れている。
図20では、基準点群(基準点データ):Mに含まれる基準点はmで示されており、測定順序に対応させて添え字(自然数)が付与されている。測定点群(測定点データ):Sに含まれる測定点はsで示されており、基準点と同様に測定順序に対応させて添え字(自然数)が付与されている。測定点群を基準点群に重ねる位置決めのための従来のICPアルゴリズムを用いた逐次収束処理では、測定点群中の各測定点について基準点群の中で最も近い基準点を対応点とし、各対応点間の距離の2乗和が最小となる合同変換パラメータ(R、t)が求められる。ここで、Rは回転行列で、tは並進移動ベクトルである。その際、対応する基準点と測定点の組み合わせの中で、上述した大きい誤差が予想される測定点との組み合わせたものを他の組み合わせと同様に扱うと無視できない誤差の影響を受ける可能性がある。従って、測定点又は前記基準点の隣接点間距離に基づいて隣接点間距離重み係数を割り当て、その悪影響を抑制する。ここでは、基準点の間の隣接点間距離に基づいてその対応点間の距離に対する重み係数を算定することにするが、もちろん測定点の間の隣接点間距離に基づいてその対応点間の距離に対する重み係数を算定してもよい。
三次元座標(xi,yi,zi)を有する基準点:miの隣接点間距離:diは、三平方の定理で求められ、その二乗は、
i 2=xi 2+yi 2+zi 2となる。
隣接点間距離重み係数:γiは、重み関数をΓとすると、
γi=Γ(di 2)で求められる。
例えば、重み関数:Γを次のようなしきい値関数とすると好都合である。
i 2がしきい値:dth以上の時、γi=0.01
i 2がしきい値:dth未満の時、γi=1
しきい値:dthは基準点群や測定点群の特性によって適切に決めることにより、想定している位置座標と実際の位置座標との誤差が大きいことが予想される測定点とそれに対応する基準点とが逐次収束評価に及ぼす悪影響を抑制することができる。
なお、このようなICPアルゴリズムに基づく位置合わせにおいて、上述した非特許文献に開示されているようなM推定を用いることが有用である。図20を用いて、M推定を導入したICPアルゴリズムを簡単に説明する。このM推定の導入は、対応する測定点と基準点との間の対応点間距離に基づいて決定された対応点間距離重み係数を逐次収束処理における逐次収束評価に用いることである。例えば、対応点間距離をeiとすると、対応点間距離重み係数:ρiは、重み関数をΡとすると、
ρi=Ρ(ei) で求められる。ここでも、重み関数:Ρを次のようなしきい値関数とすること
ができる;
|ei|が設定幅:Bi以下の時、
ρi=(Bi 2/2 )(1−(1−(ei/Bi2
|ei|が設定幅:Biを越える時、
ρi=(Bi 2/2 )。
隣接点間距離重み係数:γiに加えて対応点間距離重み係数:ρiも逐次収束評価に用いる場合には、トータル重み係数:wは、隣接点間距離重み係数:γiと対応点間距離重み係数:ρiとをパラメータとする関数から導くことができる。従って、逐次収束処理における逐次収束評価値:Jは、対応点の数をNとすれば、対応点間距離:eiと対応点間距離重み係数:ρiと隣接点間距離重み係数:γiとをパラメータとする評価関数:Hを用いて導出することができる。
J=(1/N)ΣH(ei,ρi,γi
演算を簡単化するために、トータル重み係数:wiを各重み係数の乗算とすれば、
J=(1/N)ΣH(ei,wi)、wi=ρi×γi
となる。
次に、上述したアルゴリズムを用いて位置合わせされた基準点群(基準点データ)と測定点群(測定点データ)とから、効率的にめくり上がりなどの特定の表面欠陥を判定する基本的なアルゴリズムを図18の下側の模式図を用いて説明する。
まず、対応点間距離:eiが予め設定されている対応点間距離しきい値(第1しきい値):TA以上となる連続した測定点群を誤対応領域として抽出する。図2では、測定点S4、S5、S6が抽出されている。さらに、誤対応領域に属する測定点の分布密度が算定される。簡単に分布密度を算定するため、例えば、それらの測定点の隣接点間距離:diを用いることができる。つまり、隣接点間距離:diが予め設定されている隣接点間距離しきい値(第2しきい値):TL以上となる測定点を近傍測定点とみなす。これにより、所定以上の分布密度を有する対応点(近傍測定点)が抽出されたことになる。さらに、この近傍測定点の数が予め設定されている近傍点数しきい値(第3しきい値):TC以上となるかどうかチェックされる。近傍測定点の数が近傍点数しきい値より大きい場合この近傍測定点群によって規定される領域、つまりこの近傍測定点群を含む表面領域が表面欠陥として判定される。
さて、図9のフローチャートに戻ると、上述した位置合わせアルゴリズムに基づいたエッジ位置合わせルーチン(#13)が、図11で示されているように実行される。まず、エッジ測定点データを読み出してエッジ測定点群をメモリに展開するとともに(#200)、エッジ基準点データを読み出してエッジ基準点群をメモリに展開する(#201)。最も小さい対応点間距離を有するように測定点と基準点を対応付ける(#202)。対応点間距離に基づいた重み係数と隣接点間距離に基づいた重み係数を算出し、これらを掛け合わせてトータル重み係数を求める(#203)。さらにこのトータル重み係数と対応点間距離を用いて逐次収束評価値を算出する(#204)。算出された逐次収束評価値に基づいてこの対応付けられた対応点群が逐次収束しているかどうかチェックされる(#205)。収束しない場合(#205No分岐)、ステップ#202に戻り再度測定点と基準点との対応付けを行う。収束する場合(#205Yes分岐)、対応点群ができる限り一致するような合同変換パラメータ:E(R,t)を生成する(#206)。生成された合同変換パラメータを用いてエッジ測定点群の位置座標を変換し、エッジ測定点群と全測定点群を移動する(#207、#208)。つまり、エッジ測定点群を用いて生成された合同変換パラメータを用いて全測定点群を移動させている。移動後の測定点群と基準点群とから平均対応距離を算出し(#209)、算出された平均対応距離と予め設定されたしきい値とを比較して、終了条件が満たされたかどうかチェックする(#210)。なお、このチェックステップにおいて繰り返し回数の上限を付加的に設定しておくと好都合である。終了条件が満たされていない場合(#210No分岐)。ステップ#202に戻り、移動後の測定点と基準点との対応付けを行う。終了条件が満たされている場合(#210Yes分岐)、このエッジ位置合わせルーチンを終了する。
エッジ位置合わせルーチン(#13)が終了すると、次に全点位置合わせルーチンが実行される(#14)。この全点位置合わせルーチンは図12に示されている。この全点位置合わせルーチンは、エッジ位置合わせルーチンにおいて生成された合同変換パラメータを用いて全測定点軍を移動させた後に、さらに全測定点群と全基準点群を用いて精密な位置合わせを行うため実行すると好適である。また、測定ブロックに明確なエッジが存在しない場合や、満足できるエッジ測定データが得られない場合には、エッジの位置合わせルーチンを省略してこの全点位置合わせルーチンだけが行われることになる。この全点位置合わせルーチン(#14)は、エッジの位置合わせルーチン(#13)に比べて、エッジ測定点群とエッジ基準点群との関係が全測定点群と全基準点群との関係になるだけで、実質的な処理手順は同じであるので、ここでの説明は省略する。
位置合わせルーチンが終了すると、欠陥評価モジュール6が上述した表面欠陥判定アルゴリズムを用いて表面欠陥領域の検出を行う欠陥判定ルーチンを実行する(#15)。この欠陥判定ルーチンは、図13に示されている。まず、対応点間距離しきい値を用いて、対応点間距離がしきい値以上となる測定点の集合体(特定測定点群)を誤対応領域として抽出する処理を実行する(#400)。誤対応領域が抽出されなかった場合(#401No分岐)、この欠陥判定ルーチンを終了する。誤対応領域が抽出された場合(#401Yes分岐)、誤対応領域に含まれている測定点間の隣接点間距離が予め設定されている隣接点間距離しきい値以下点群を1つの集合体としてラベリングを行う(#402)。さらに、ラベルを付与された集合体毎に特徴量(欠陥特徴量)を算出する(#403)。特徴量としては、欠陥可能性としての集合体の重心、等価楕円長軸長、等価楕円長軸角度、フィレ径等が挙げられる。その特徴量が設定値より大きい場合(#404Yes分岐)、欠陥とみなされ、その特徴量はその三次元位置などとともに、欠陥として欠陥情報格納部82に記録される。その特徴量が設定値より小さい場合(#404No分岐)、欠陥とはみなされず、その特徴量は記録されずに、このルーチンは終了する。
次に、欠陥判定ルーチンで欠陥と判定された集合体が位置する領域が金型修正された型修正箇所とみなされる領域であるかどうかを判定する型修正による形状違い判定ルーチンが実行される。この形状違い判定ルーチンは、具体的には種々の形態が考えられるが、ここでは、2つの形態を説明する。
まず、第1の形態の形状違い判定ルーチン(#16A)は、図14に示されている。型修正以前の金型で製作される測定対象物の目標形状は基準点群に基づいて設定することができる。また、型修正後の金型で製作された測定対象物における型修正箇所における測定点群と基準点群とのずれは同じ箇所に発生する。従って、上記欠陥判定ルーチンによって判定された欠陥のうち、連続して同じ箇所に発生している欠陥は、型修正による目標形状とのずれであり、欠陥とはみなさず、それらを区別するのが、この形状違い判定ルーチン(#16A)の主旨である。そのため、まず、前回の測定対象物で判定された欠陥の特徴量を読み出すとともに(#500)、今回の測定対象物で判定された欠陥の特徴量を読み出す(#501)。前回と今回との実質的に同じ位置での欠陥がもつ欠陥特徴量、例えば欠陥の重心、等価楕円長軸長、等価楕円長軸角度、フィレ径等から選択された特徴量の所定範囲内で一致しているかどうかチェックされる(#502)。一致であれば(#502Yes分岐)、その欠陥箇所は型修正箇所であると判定し(#503)、不一致であれば(#502No分岐)、その欠陥箇所は型修正箇所ではないと判定して(#504)、このルーチンを終了する。
第2の形態の形状違い判定ルーチン(#16B)は、図15に示されている。この形状違い判定ルーチンは、型修正後の金型で製作された測定対象物における型修正箇所の形状(つまり測定点群に規定される測定形状)と、型修正以前の金型で製作される測定対象物の目標形状(つまり測定点群に規定される測定形状)とは、形状そのものは類似しているという事実を利用している。そのため、まず、エッジ基準点データと全基準点データとを含む基準点データを読み出すとともに(#600)、今回の測定対象物で判定された欠陥の特徴量を含む欠陥情報を読み出す(#601)。欠陥の特徴量とその欠陥に対応する基準点データとからその欠陥が垂直な側面(測定光に対しておおむね平行となる)に発生しているものか、底面もしくは上面(測定光に対しておおむね垂直となる)に発生しているものかを判断する(#602)。垂直な側面の場合(#602Yes分岐)、欠陥情報から得られる欠陥部と同程度の領域に対応するエッジ基準点群を基準点データから抽出し(#603)、欠陥領域に限定したエッジ位置合わせルーチンを行う(#604)。垂直な側面でない場合(#602No分岐)、欠陥情報から得られる欠陥部と同程度の領域に対応する全基準点群を全基準点データから抽出し(#605)、欠陥領域に限定した全位置合わせルーチンを行う(#606)。つまり、ここでは、欠陥領域という狭い領域に限定した位置合わせを行うが、その際測定点データが不安定になりやすい垂直な側面における欠陥領域にはエッジ位置合わせルーチンを適用する。
いずれかの位置合わせルーチンによる位置合わせが終了すると、基準点群によって規定される基準点平面と測定点群によって規定される測定点平面との間の類似度を算定する(#607)。この類似度は、例えば欠陥領域の等価楕円長軸長や平均対応距離などをパラメータとして算出される。その類似度関数は、等価楕円長軸長が大きいほど類似度が高くなるように、平均対応距離が大きくなるほど類似度が低くなるように設定すると、好適であることが実験的に確かめられている。算出された類似度が所定しきい値で比較される(#608)。類似度が高い場合(#608Yes分岐)、その欠陥箇所は型修正箇所であると判定し(#609)、類似度が低い場合(#609No分岐)、その欠陥箇所は型修正箇所ではないと判定して(#610)、このルーチンを終了する。
図9の評価演算処理のフローチャートに戻ると、上述した型修正による形状違い判定ルーチン(#16A又は#16B)が終了すると、型修正による形状違い判定ルーチンにおいて型修正箇所とみなされた箇所があったかどうかチェックされる(#17)。型修正箇所があった場合には(#17Yes分岐)、その型修正箇所情報を型修正箇所情報格納部83に記録するとともに、その型修正箇所の領域、あるいはその型修正箇所を含む測定ブロック全体の基準点データを新たな基準点データとして、基準データ格納部81に追加登録して(#18)、このルーチンを終了する。なお、型修正箇所情報格納部83を基準データ格納部81に兼用させても良い。
このように、ステップ#18で型修正箇所情報ないしは追加基準データが記録されると、それ以降の測定対象物に対するこの評価演算処理において、ステップ#12のチェックにおいてNo分岐する。ここでNo分岐すると、上述した位置合わせアルゴリズムを用いたエッジ測定点データと型修正前のエッジ基準点データを用いた位置合わせと、エッジ測定点データと型修正後のエッジ基準点データを用いた位置合わせが実行される(#19)。さらに、全測定点データと型修正前の全基準点データを用いた位置合わせと、全測定点データと型修正後の全基準点データを用いた位置合わせが実行される(#20)。
位置合わせが終了すると、型修正前と型修正後の製品が混在しても、欠陥か型修正箇所なのかを判定する欠陥・型修正箇所判定ルーチンが実行される(#21)。
この欠陥・型修正箇所判定ルーチン(#21)は、図16に示されている。まず、まず型修正前の基準点データから、対応点間距離しきい値を用いて対応点間距離がしきい値以上となる測定点群の集合体(特定測定点群)を誤対応領域として抽出する(#700)。抽出された誤対応領域は、図13で示した欠陥判定処理と同様な処理により、欠陥検出が行われ、欠陥が見出されると、欠陥情報:E1として欠陥情報格納部82に記録される(#705)。なお、ここでのステップ#701から#704までは、上記欠陥判定処理のステップ#401から#404に対応しているので、ここでの説明は省略される。
さらに、型修正後の基準点データから、対応点間距離しきい値を用いて対応点間距離がしきい値以上となる測定点群の集合体(特定測定点群)を誤対応領域として抽出する(#706)。抽出された誤対応領域に対して、ステップ#701から#704までと同様な処理(ステップ#707から#710)が行われ、欠陥が見出されると、欠陥情報:E2として欠陥情報格納部82に記録される(#711)。
ここまでの処理で見つけられた欠陥が、型修正による形状違いでなく本当の欠陥なら、型修正前と型修正後の両方の基準点データを用いた欠陥判定処理から欠陥として見出されると考えられる。従って、欠陥情報:E1と欠陥情報:E2とが所定範囲内の共通領域に属していると判定(#712Yes分岐)された欠陥は最終的に欠陥として判断される(#714)。また、ここまでの処理で見つけられた欠陥が、型修正前の基準点データを用いた欠陥判定処理のみから欠陥として見出された場合は、本当の欠陥ではなく型修正による形状違いと考えられる。従って、欠陥情報:E1のみ領域に属していると判定(#713Yes分岐)された欠陥箇所は型修正箇所ととして判断され、測定製品個数である測定ワーク数がカウントアップされる(#715)。
欠陥・型修正箇所判定ルーチンが終了して、図9の評価演算処理のフローチャートに戻ると、型修正後の製品個数が設定値以下かどうか、つまり型修正前と型修正後の製品が混在しているかどうかが判断される(#22)。設定値以下の場合(#22Yes分岐)、型修正前と型修正後の製品が混在しているとみなして、このルーチンを終了する。設定値を超えている場合(#22No分岐)、もはや型修正前の製品がなくなったとみなして、型修正前の基準データを消去される(#23)。さらに、測定製品個数である測定ワーク数がリセットされ(#24)、この評価演算処理ルーチンを終了する。
上述した物体形状評価処理では、エッジ位置合わせを行うことにより、従来技術では、十分な信頼性を得られなかった、側面や底面などからの測定点データが不十分な測定対象物に対しても高い信頼性もって形状評価できるようになった。例えば、側面が存在しないような人工的な測定対象物に対しておこなわれた実験結果が図21のグラフに示されている。全位置合わせだけを採用した位置合わせでは、10回以上の位置合わせを繰り返しても30ミクロン以上の対応点平均距離が残っている。これに対して、エッジ位置合わせと全位置合わせを組み合わせた位置合わせでは最初の位置合わせから対応点平均距離が実質的にゼロに等しくなるような効果的な位置合わせが実現している。
上述したように、本発明に係る物体形状評価装置では、測定対象物がアルミダイキャストのような金型製品の場合、金型の磨耗により形状が変わっても、逐次正常な製品の測定点データを基準点データとして登録変更することできる。これにより、型修正などで型の形状が変わり、型修正前の製品と型修正後の製品が混在しても、型修正箇所と欠陥を区別する処理を導入することで、高い信頼性の物体形状評価が得られる。
以下、別実施形態を例示する。
(1)エッジ基準点データは予め生成して基準データ格納部に格納するのではなく、使用する時に、全基準点データからエッジ検出フィルタ処理などで生成してもよい。
(2)上記実施形態では、位置合わせアルゴリズムとして重み演算付きのICPアルゴリズムを採用していたが、一般的なICPアルゴリズムを採用してもよいし、その他の位置合わせアルゴリズムを採用しても良い。
(3)上記実施形態では、隣接点間距離重み係数は位置合わせルーチンにおいて算出していたが、この隣接点間距離重み係数を基準点群の隣接点間距離に基づいて求める場合、予め算定しておいてテーブル化しておくことで演算速度が高速化する。
(4)上記実施の形態では、判定条件として予め設定された多くのしきい値が用いられていたが、このしきい値を予め設定されたものではなく、測定対象物の表面形状あるいは測定結果の統計学的な特性からしきい値が算定されるような構成を採用してもよい。
(5)上記実施の形態で採用されている欠陥特徴量や類似度のパラメータはそれに限定されるわけではなく、測定対象物の特性に応じて最適なものを選ぶことができる。
(6)上記実施形態では、隣接点間距離重み係数:γiを求める重み関数:Γを隣接点間距離:dに応じて決定される二値関数としていたが、以下の(a) 、(b) 、(c)に列挙するような、その他の重み関数:Γを用いることも可能である。
なお、ここで、計測分解能で正規化された隣接隣接点間距離を次のように定義しておく、
Di2=(xi/△x)2+(yi/△y)2+ (zi/△z)2
ここで、△x:x方向の計測分解能 △y:y方向の計測分解能 △z:z方向の計測分解能である。
(a) γi=Γ(p) =1/p2、ここでp=di 2 またはp=Di 2
(b) γi=Γ(p) =1/p、ここでp=di 2 またはp=Di 2
(c) γi=Γ(p) =1/exp(p)、ここでp=di 2 またはp=Di 2
以上のように、種々の隣接点間距離重み係数:γiを用いることができる。
図22には、重み係数を用いない通常のM推定ICP(黒ダイヤプロット線)、上述した実施の形態で用いた二値化関数での重み係数(白抜き四角プロット線)、そして上記(a) 、(b) 、(c) を用いて行われた繰り返し位置合わせの比較演算結果が示されている。(a)の重み係数は隣接点間距離の2乗の逆数であり、白抜き三角プロット線で示され、(b)の重み係数は隣接点間距離の逆数であり、ペケプロット線で示され、(c)の重み係数はexp関数で示され、黒丸プロット線で示されている。なお、図20の横軸は、位置合わせの繰り返し回数を示し、縦軸は比較評価のための評価値としての対応点平均距離に対応する値を示している。この比較演算結果から、(a)の隣接点間距離重み係数が最も良い評価値となっており、位置合わせでの照合誤差が小さい。その際、p=di 2 でなくp=Di 2を、つまり計測分解能で正規化された隣接隣接点間距離を用いると分解能の影響を受けずにさらに照合誤差が小さくなることが期待できる。
本発明は、種々の三次元測定装置を用いた測定点データに基づく物体形状評価に利用することができる。
4:評価ユニット
5:表面評価モジュール(形状評価手段)
6:欠陥評価モジュール(形状評価手段)
7:基準データ変更モジュール
8:データ格納部
63:型修正評価部
64:型修正箇所情報登録部
65:欠陥特徴量演算部
66:類似度演算部
81:基準データ格納部
82:欠陥情報格納部
83:型修正箇所情報格納部
50:位置合わせ処理手段
52:エッジ検出部

Claims (6)

  1. 金型を用いて製作された測定対象物の形状に対応する多数の測定点の位置情報を含む測定点データを入力する測定データ入力部と、前記測定対象物の基準形状に対応する多数の基準点の位置情報を含む基準点データを格納する基準データ格納部と、対応する測定点と基準点との間の距離を逐次収束させる逐次収束処理に基づいて前記測定点と前記基準点とを位置合わせする位置合わせ処理手段と、前記位置合わせ処理手段による位置合わせ処理後の前記基準点と適正に対応せず互いに隣接する複数の測定点からなる誤対応測定点群によって規定される表面領域を欠陥と判定する欠陥判定部を有する欠陥評価手段とを含み、
    前記欠陥評価手段には、複数の測定対象物における前記欠陥に与えられた欠陥位置を含む欠陥情報に基づいて当該欠陥を型修正箇所とみなす型修正評価部と、前記型修正評価部によって評価された型修正箇所に関する型修正箇所情報を生成して型修正箇所情報格納部に登録する型修正箇所情報登録部とが備えられている物体形状評価装置。
  2. 前記欠陥評価手段には、前記欠陥情報に含まれる欠陥特徴量としての前記欠陥の大きさを演算する欠陥特徴量演算部が備えられており、複数の測定対象物における前記欠陥特徴量が類似する場合当該欠陥が型修正箇所とみなされる請求項1に記載の物体形状評価装置。
  3. 前記欠陥特徴量演算部が、前記欠陥特徴量として前記欠陥の重心を演算する請求項2に記載の物体形状評価装置。
  4. 前記欠陥評価手段には、前記欠陥に対応する表面領域に含まれる基準点群と測定点群との間の類似度を演算する類似度演算部が備えられており、前記類似度が所定しきい値以上の場合当該欠陥が型修正箇所とみなされる請求項1に記載の物体形状評価装置。
  5. 型修正箇所情報は、前記型修正箇所に対応する領域での基準点データに代えて利用可能な追加基準点データを含み、当該追加基準点データは前記型修正箇所に対応する領域での前記測定点データである請求項1から4のいずれか一項に記載の物体形状評価装置。
  6. 前記位置合わせ処理手段による位置合わせ処理後の前記測定点データと前記基準点データとに基づいて前記測定対象物の形状を評価する形状評価手段とを含み、前記位置合わせ処理手段は、測定点データから前記測定対象物のエッジに対応するエッジ点を検出するエッジ検出部によって生成されたエッジ点群と、前記基準データ格納部に格納されている前記測定対象物のエッジのためのエッジ基準点データであるエッジ基準点群とを位置合わせするエッジ位置合わせを行い、当該エッジ位置合わせによって得られたエッジ合同変換パラメータを用いて前記測定点データ全体の測定点が前記基準点に向かう位置合わせを行う請求項1から5のいずれか一項に記載の物体形状評価装置。
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