JP5401197B2 - 光コネクタ - Google Patents
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この種の現場組立形光コネクタ(以下、単に光コネクタとも言う)としては、例えば、フェルールの後端側(突き合わせ用の接合端面とは反対の側)にメカニカルスプライス形のクランプ部を具備し、前記内蔵光ファイバのフェルール後側に延出された部分の端部と挿入光ファイバとを突き合わせ接続した接続部を前記クランプ部によって把持固定して光ファイバ同士の接続状態を維持するようにしたもの(例えば特許文献1)、フェルールに形成された微細孔であるファイバ孔内に該ファイバ孔よりも長さが短い前記内蔵光ファイバがその片端(先端)をフェルールの接合端面に露出させて内挿固定されており、前記ファイバ孔にフェルール後端側から挿入された前記挿入光ファイバがファイバ孔内にて前記内蔵光ファイバの後端に突き合わせ接続されるように構成されたもの(例えば特許文献2)が知られている。
また、内蔵光ファイバと挿入光ファイバとの突き合わせ接続部にシリコーン系グリス等の液状の屈折率整合剤を設けて接続損失の低減を図ることも行われている(例えば特許文献2)。
また、図16(a)は、内蔵光ファイバ110と挿入側裸光ファイバ120との接続部に屈折率整合剤130を設けた構成を例示している。
また、挿入側裸光ファイバ120の先端面外周に形成された凸部122が内蔵光ファイバ110後端面外周のエッジ部に突き当たったときに、挿入側裸光ファイバ120先端の凸部122及び/又は内蔵光ファイバ110後端面外周のエッジ部に欠けが生じて機械的特性の劣化の原因になることがある。また、欠けによって生じた破片が内蔵光ファイバ110と挿入側裸光ファイバ120との間に挟まって突き合わせ接続の障害になる可能性があった。
第1の発明は、フェルールと、このフェルールを収納するハウジングと、前記フェルールに内挿固定された光ファイバの前記フェルール先端の接合端面に位置合わせされた先端とは反対の後端面に光透過性の高分子材料からなる屈折率整合材層が設けられた構成の内蔵光ファイバと、この内蔵光ファイバに対して別途前記ハウジングに挿入される光ファイバである挿入光ファイバの先端を突き合わせ接続可能に位置決めするための調心部とを有し、前記フェルールに内挿固定された光ファイバである内蔵光ファイバ本体はその後端の平坦面である後端面の外周全周にテーパ状の面取り部が放電加工により形成され、屈折率整合材層は、後端面だけでなく面取り部にも重なるように形成され、前記屈折率整合材層に突き当てた前記挿入光ファイバが、クッション層として機能する前記屈折率整合材層を介して前記内蔵光ファイバ本体と光接続されることを特徴とする光コネクタを提供する。 第2の発明は、面取り部は、その後端面から内蔵光ファイバ本体の光軸方向に沿って40〜55μmの範囲に、内蔵光ファイバ本体のクラッド部のみについて形成されることを特徴とする第1の発明の光コネクタを提供する。
第3の発明は、前記屈折率整合材層が、前記内蔵光ファイバ本体の後端面に貼着した合成樹脂製フィルムによって形成されていることを特徴とする第1又は2の発明の光コネクタを提供する。
第4の発明は、前記屈折率整合材層が、前記内蔵光ファイバ本体の後端面への液状高分子材料の塗布あるいは蒸着によって形成された樹脂膜であることを特徴とする第1又は2の発明の光コネクタを提供する。
第5の発明は、前記面取り部が前記内蔵光ファイバ本体の後端面の外縁から前記内蔵光ファイバ本体の外周面にわたって湾曲する湾曲面とされていることを特徴とする第1〜4のいずれか1つの発明の光コネクタを提供する。
第6の発明は、前記内蔵光ファイバと、この内蔵光ファイバの後端の前記屈折率整合材層に突き合わせた前記挿入光ファイバとを半割りの素子の間にばねの弾性によって挟み込んで前記内蔵光ファイバと前記挿入光ファイバとの突き合わせ接続状態を維持するクランプ部を具備し、このクランプ部の一対の素子の互いに対面する対向面の一方又は両方には、前記内蔵光ファイバと前記挿入光ファイバとを突き合わせ接続可能に調心するための調心溝が形成され、前記調心溝が前記調心部として機能することを特徴とする第1〜5のいずれか1つの発明の光コネクタを提供する。
第7の発明は、前記フェルールの後側に、スリーブ状のばねの内側に前記半割りの素子を収納した構成の前記クランプ部が組み立てられてなるクランプ部付きフェルールを具備することを特徴とする第6の発明の光コネクタを提供する。
第8の発明は、前記クランプ部の一対の素子の間に前記素子間の開放状態を維持する介挿部材が、前記素子間から抜き去り可能に介挿されていることを特徴とする第6又は7の発明の光コネクタを提供する。
第9の発明は、前記フェルールを貫通するファイバ孔内に該ファイバ孔よりも長さが短い前記内蔵光ファイバ本体が内挿固定されており、前記ファイバ孔にフェルール後端側から挿入された前記挿入光ファイバがファイバ孔内にて前記内蔵光ファイバの後端に突き合わせ接続されるように構成され、前記ファイバ孔の前記内蔵光ファイバから後端側の部分が前記調心部として機能することを特徴とする第1〜5のいずれか1つの発明の光コネクタを提供する。
第10の発明は、前記ハウジングの前記フェルールの接合端面が配置される前端側とは反対の後端部に、光ファイバを該光ファイバに縦添えした線状の抗張力体とともに樹脂被覆材中に埋め込んで一体化した構成の光ファイバケーブルの端末を保持して前記ハウジングに引き留めるケーブル引き留め部が設けられ、前記挿入光ファイバが前記光ファイバケーブルの光ファイバであり、この光ファイバの光ファイバケーブル端末に口出しされた部分の先端が前記内蔵光ファイバ後端に突き合わせ接続されるようになっていることを特徴とする第1〜9のいずれか1つの発明の光コネクタを提供する。
また、挿入光ファイバ先端外周のエッジ部や挿入光ファイバ先端面に形成された凸部の内蔵光ファイバ本体後端外周部に対する直接突き当てが生じにくく、直接突き当てによる挿入光ファイバ先端及び/又は内蔵光ファイバ本体後端の欠けの防止に有効に寄与する。挿入光ファイバ先端面の外周部に存在する凸部の内蔵光ファイバ本体後端の外周部に対する突き当てが回避されることで、内蔵光ファイバ本体後端面に設けられている屈折率整合材層に対する挿入光ファイバ先端面の押し付け、接合を確実に行えるといった利点もある。
さらに、内蔵光ファイバ後端の屈折率整合材層に突き合わせた挿入光ファイバ先端に内蔵光ファイバ本体後端に対する僅かな傾斜(内蔵光ファイバ本体後端の光軸に対する挿入光ファイバ先端の光軸の傾斜)が生じていたとしても、屈折率整合材層のクッション性によって屈折率整合材層と挿入光ファイバ先端面との間の隙間の形成を防ぐことができ、しかも、全体にわたって光屈折率が一様に揃っている光透過層として機能する屈折率整合材層を介して内蔵光ファイバと挿入光ファイバとの光結合を確実に実現できるといった優れた効果が得られる。
図1、図3に示すように、前記光コネクタ10は、スリーブ状のハウジング20に、フェルール31の後側(前端の接合端面31aとは反対の側。図1において右側)に光ファイバ同士の突き合わせ接続部を把持固定するためのクランプ部33が組み立てられた構成のクランプ部付きフェルール30を収納した構成になっている。
このフェルール31としては、例えばSC形光コネクタ(SC形光コネクタ(JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)、MU形光コネクタ(JIS C 5973に制定されるF14形光コネクタ。MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)等の単心用光コネクタに用いられるフェルールを使用できる。
前記内蔵光ファイバ320は、この内蔵光ファイバ本体32のクランプ部33内に配置されている部分の端面(後端面32a)に前記屈折率整合材層321を設けた構成になっている。
前記高分子フィルムとしては、このような高分子材料からなる粘着材をフィルム状にしたものを使用することができ、中でも耐環境性、接着性の面からは一般的にシリコーン系、アクリル系のものを好適に用いることができる。また、上記材料に架橋剤、添加剤、軟化剤等を添加し、任意に柔軟性を調節してよく、耐水性や耐熱性を付加してもよい。
粘着材をフィルム状にしてなる高分子フィルムの場合は、このフィルムを該フィルムの自己粘着性によって、別途接着剤等を使用することなく光ファイバ端面に貼着することができるため、内蔵光ファイバの所望の光学特性(光伝送損失等)の安定確保の点で好ましい。
屈折率整合材層321の厚さは例えば5〜40μmであるが、これに限定されるものではない。
なお、図4、図5、図6(a)、(b)中、ベース側素子35の対向面に符号35f、前側素子361の対向面に符号361f、後側素子362の対向面に符号362fを付している。
前記被覆部収納溝38bは、前記調心溝38aの後端(フェルール31側の前端とは反対の側の端部)からベース側素子35の延在方向に沿って該ベース側素子35の後端まで延在形成されている。
図3、図5に示すように、図示例の光コネクタ10のクランプ部33は、後側素子362の対向面362fにも被覆部収納溝38cが形成された構成になっている。後側素子362の対向面362fに形成された被覆部収納溝38cは、ベース側素子35の被覆部収納溝38bと対応する位置に形成されている。
また、ベース側素子35、蓋側素子36(具体的には後側素子362)の被覆部収納溝38b、38cの前端部は先細りのテーパ状に形成されており、クランプ部33後端からファイバ位置決め溝38に挿入光ファイバ1を挿入する際(後述)に、挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ1aを調心溝38aに円滑に導入することができる。
図4、図5に示すように、この介挿部材40は、ばね37の側部開口部37dからクランプ部33の一対の素子35、36間、すなわち一対の素子35、36の対向面35f、361f、362f間に割り込ませるようにして挿入されている。また、図1に示すように、この介挿部材40は、光コネクタ10のスリーブ状のハウジング20の外周壁に貫設された介挿部材挿通孔(図示略)に挿入されて前記ハウジング20の外周壁を貫通して設けられ、その先端部40aをクランプ部33の一対の素子35、36間に割り込ませてある。
図6(a)、(b)に示すように、介挿部材40の先端部40aは、クランプ部33の一対の素子35、36間に、素子35のファイバ位置決め溝38に到達しない差し込み深さで挿入されており、ファイバ位置決め溝38への挿入光ファイバ1の挿入作業の支障にならない。
図1において、前側素子361とベース側素子35との間に介挿されている介挿部材40に符号41、後側素子362とベース側素子35との間に介挿されている介挿部材4に符号42を付記する。
前記介挿部材40としては、クランプ部33のばね35の弾性に抗して一対の素子35、36間の開放状態を維持することができ、かつ一対の素子35、36間からの抜き去り操作が可能な構成であれば良く、プレート状のものに限定されず、例えば柔軟なシート状のものや、ロッド状のものであっても良い。
図7(a)、(b)に示すように、前記内蔵光ファイバ320の光ファイバ32(内蔵光ファイバ本体)の後端の外周全周には面取り部32bが形成されている。内蔵光ファイバ本体32の後端部は該内蔵光ファイバ本体32後端外周の前記面取り部32bによってテーパ状に形成されている。
また、図7(a)、(b)に例示したように、屈折率整合材層321は、内蔵光ファイバ本体32の後端面32aのみならず、面取り部32bに重なるように形成しても良い。但し、この屈折率整合材層321の形成範囲は、内蔵光ファイバ本体32後端部の外周面の仮想延長(仮想円筒面)から外側に突出しない範囲に限定し、屈折率整合材層321が、調心溝38aによる内蔵光ファイバ320の後側延出部322の調心精度に影響を与えないようにする。
この面取り部32bは、内蔵光ファイバ本体32の外径が125μmである場合、その後端面32aから該内蔵光ファイバ本体32の光軸方向に沿って40〜55μmの範囲に形成される。この面取り部32bの、内蔵光ファイバ本体32の光軸に沿う方向における形成範囲を、以下、面取り長(図7(a)において符号Lc)とも言う。
また、面取り部32bは、内蔵光ファイバ本体32のコア部32c(あるいはモードフィールド径部分)には達しないように、内蔵光ファイバ本体32のクラッド部32dのみに形成される。
この光コネクタ10を挿入光ファイバ1の先端部に取り付け(組み立て)るには、図1、図6(a)に示すように、クランプ部33の一対の素子35、36間が該素子35、36に割り込ませた介挿部材40によって開放されている状態(すなわち介挿部材付き光コネクタの状態)にて、前記挿入光ファイバ1をハウジング20の後端開口部からクランプ部33の素子35、36間に確保されたファイバ位置決め溝38に挿入し、前記挿入光ファイバ1の先端に予め口出ししておいた裸光ファイバ1a先端を内蔵光ファイバ320の後端(屈折率整合材層321)に突き合わせる。そして、ファイバ位置決め溝38奥側(前端側。フェルール31側)への挿入光ファイバ1の押し込み力によって挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1a先端の内蔵光ファイバ320後端に対する突き合わせ状態を維持したまま、クランプ部33の一対の素子35、36間に割り込ませてある介挿部材40を全て抜き去る(図6(b)参照)。
クランプ部33について、挿入光ファイバ1のファイバ位置決め溝38に挿入された部分と内蔵光ファイバ320の後側延出部322とを一対の素子35、36間に把持固定した状態を、以下、ファイバ把持状態とも言う。
また、蓋側素子36のベース側素子35の対向面351に対面する対向面(ここでは前側素子361の対向面361f。図5参照)の調心溝38aに対面する部分は、高い平面度が確保された平坦面になっている。クランプ部33の一対の素子35、36間に割り込ませてある介挿部材40を抜き去ったときには、挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ1aと内蔵光ファイバ320の後側延出部322とがクランプ部33のばね35の弾性によって調心溝38aに押し付けられ、調心溝38aの調心精度によって精密に位置決め(調心)され互いに光接続(突き合わせ接続)された状態で前側素子361とベース側素子35との間に把持固定される。
挿入側裸光ファイバ1aの先端面1cの中央部が凹所となっている場合や、前記先端面1cの外周部に凸部1dが存在する場合でも、内蔵光ファイバ本体32及び挿入側裸光ファイバ1aのコア部32c、1e(あるいはモードフィールド径部分)同士の間が軟質の屈折率整合材層321によって埋め込まれ、これにより低損失での光接続を実現できる。
なお、図中符号1fは挿入側裸光ファイバ1aのクラッド部である。
本発明に係る光コネクタとしては、上述の実施形態のように、光ファイバ心線あるいは光ファイバ素線といった被覆光ファイバである挿入光ファイバ1の先端部に組み立てられる構成のものに限定されず、例えば図9(a)、(b)に示すように、クランプ部付きフェルール30をスリーブ状のハウジング511に収納してなる光コネクタ本体51の後端側(図9(a)、(b)右側)に、光ファイバケーブル2端末を引き留めるためのケーブル引き留め部52を有し、光ファイバケーブル2端末に組み立てられる構成のもの(光コネクタ50)も採用可能である。
前記光ファイバ2aは光ファイバケーブル2の断面中央部に配置され、前記抗張力体2bは光ファイバ2aから光ファイバケーブル2の断面長手方向両側に離隔した位置に配置されている。前記光ファイバ2aは、例えば光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆光ファイバである。
図11、図12に例示した前記外被把持部材60は、プラスチック製の一体成形品であり、前記ケーブル嵌め込み溝61aが形成された把持部材本体61と、この把持部材本体61にヒンジ部として機能する薄肉部63を介して回転可能に連結された蓋体62とを具備している。前記蓋体62は、把持部材本体61は前記ケーブル嵌め込み溝61aを介して両側の側壁部61b、61cが前記ケーブル嵌め込み溝61aの溝底を形成する底板部61d上に互いに並行に突設された断面コ字状の部材となっている。ケーブル嵌め込み溝61aの長手方向両端は外被把持部材60の外面に開口されている。
また、上述のように、把持部材本体61の第2側壁部61c外面の係止爪61eによってL字板状の前記蓋体62を係止して把持部材本体61に対する閉じ合わせ状態を維持することで、把持部材本体61の一対の側壁部61b、61cの突端間の離隔、及び一対の側壁部61b、61cの突端間からのケーブル嵌め込み溝61aからの離脱を確実に防ぐことができ、外把持部材60の光ファイバケーブル2端末に対する固定状態を安定に保つことができる。
光ファイバケーブル2の前記光ファイバ2aは本発明に係る挿入光ファイバとして機能する。
前記介挿部材40は、前記先端部40aとは反対の基端側がハウジング511に形成されている介挿部材挿通孔(図示略)からハウジング511の外側に突出されており、このハウジング511から外側に突出された部分を、光コネクタ50から介挿部材40を引き抜くための抜き去り操作用の抜き去り操作部として使用できる。
前記引き留めカバー522、台部521は、この光コネクタ50のケーブル引き留め部52を構成する。
また、外被把持部材60から後側へ延出する光ファイバケーブル2は、前記後板部522bに形成された切り欠き状のケーブル挿通口522cに通された状態で把持部材収納ケース54から後側へ延出された状態となる。
クランプ部付きフェルール30のクランプ部33の素子35、36間に介挿されている介挿部材40の引き抜きは、内蔵光ファイバ320と光ファイバ2a先端の裸光ファイバ2a1(以下、挿入側裸光ファイバとも言う)との間に前記突き当て力が与えられた状態で行われるため、前記挿入側裸光ファイバ2a1は内蔵光ファイバ320後端の屈折率整合材層321に対する突き合わせ状態を保ったまま、クランプ部33の素子35、36間に把持固定されることとなる。光ファイバケーブル2の光ファイバ2a(具体的には挿入側裸光ファイバ2a1)は、内蔵光ファイバ320後端の屈折率整合材層321を介して内蔵光ファイバ本体32と光接続されるので、挿入側裸光ファイバ2a1先端面に凹凸が存在していても、内蔵光ファイバ320に対する突き合わせ接続、内蔵光ファイバ本体32との光接続を確実に実現できる。
図13は、本発明に係る他の実施形態の光コネクタ70を示す。
この光コネクタ70は、フェルール71として、該フェルール71を貫通するファイバ孔71a内に該ファイバ孔71aよりも長さが短い内蔵光ファイバ320Aを、その長手方向片端(先端)が前記フェルール71先端の接合端面71bに揃うようにして内挿固定された構成のものを採用し、このフェルール71をスリーブ状のハウジング72に収納したものである。
この光コネクタ70は、前記フェルール71の接合端面71bが配置されている前記ハウジング72の前端側とは反対の後端側からハウジング72内に前記挿入光ファイバ1を挿入できる。そして、前記挿入光ファイバ1の先端の被覆を除去して露出させた裸光ファイバ1aを、フェルール71の後端側からファイバ孔71aに挿入して、内蔵光ファイバ320A後端の屈折率整合材層321に突き当て状態とすることで、内蔵光ファイバ320Aに突き合わせ接続することができるようになっている。
内蔵光ファイバ320Aは、ファイバ孔71aよりも長さが短く、その全長がファイバ孔71a内に内挿固定されていること以外は、既述の内蔵光ファイバ320との構成の違いは無く、同様の構成になっている。
本発明者は、挿入光ファイバとして単心の光ファイバ心線を用い、図14に示すようにこの挿入光ファイバ先端に口出しした裸光ファイバ1a先端のカットに爪切り91を用いてカット時の端面不良を故意に形成したサンプル(以下、第1供試光ファイバとも言う)と、裸光ファイバ先端のカットをクリーバを用いて行ったサンプル(以下、第2供試光ファイバとも言う)とを作製し、これら供試光ファイバ先端に図1、図2等に例示した光コネクタ10を組み立て光学特性の評価(接続損失特性の比較)を実施した。
また、光コネクタ10のクランプ部付きフェルール30の内蔵光ファイバ320は、内蔵光ファイバ本体32として径125μmの石英系シングルモード光ファイバを用い、この内蔵光ファイバ本体32の後端面32aに屈折率整合フィルムを貼着して屈折率整合材層321を設けたものを使用した。内蔵光ファイバ本体32は、該内蔵光ファイバ本体32を作製するための裸光ファイバの端面外周に放電加工により面取り部32bを形成したものである。
屈折率整合フィルムは、屈折率整合性を有する高分子フィルムであり、巴川製紙所製 FW2L−30−EF(商標)からなる自己接着性を有するものを使用した。前記屈折率整合フィルムのフィルム厚は5〜40μm、挿入損失は1dB以下である。
その結果を表1に纏めて示す。
なお、表1において、「爪切り」は挿入光ファイバとして第1供試光ファイバを用いた場合、「高精度クリーバ」は挿入光ファイバとして第2供試光ファイバを用いた場合、「損失」は接続損失を指す。
第1、第2供試光ファイバ先端に光コネクタを組み立てた供試体(コネクタ付き光ファイバ)について、ヒートサイクル試験を行った。このヒートサイクル試験では、供試体を試験室内に収納し、試験室内部の温度(気温)を−35℃〜75℃の範囲で変化させ、供試体の接続損失変動を調べた。試験室内部の温度は、常温(ここでは25℃)から75℃への昇温、75℃から常温への降温、常温から−35℃への降温、−35℃から常温への昇温、常温から75℃への昇温、をこの順でそれぞれ1時間の所要時間を以て変化させた。つまり、常温から75℃まで昇温した後−35℃まで降温し、その後、再び75℃まで昇温させた。また、75℃、−35℃での保持時間、75℃から−35℃への降温途中及び−35℃から75℃への昇温途中の常温での保持時間をそれぞれ1時間確保し、合計12時間の試験を行った。
図15を参照して判るように、第2供試体は、試験室内の温度変化に対する接続損失の変動が殆ど見られなかった。一方、第1供試体は、第2供試体に比べて接続損失の変動が若干大きい温度域(−35℃)が存在するものの、当該温度域における接続損失の変動幅は0.02dB程度の非常に狭い範囲であり、第1供試体と比べて遜色のない特性が得られることを確認できた。
本発明に係る光コネクタにあっては、爪切り等の簡易な切断器具を用いて挿入光ファイバの裸光ファイバ先端のカットを行っても、専用のクリーバを用いた場合とほぼ同等の接続損失特性(内蔵光ファイバと挿入光ファイバとを突き合わせ接続した接続部の接続損失特性)を確保できるため、現場への専用クリーバの搬入を省略することが可能となる。また、挿入光ファイバ先端に口出しした裸光ファイバ先端のカット後の先端面に凹凸が存在していても良好な接続損失特性を容易に確保できるため、裸光ファイバのカット失敗に起因するコネクタ組み立て作業のやり直しを少なくすることができるといった利点もある。
例えば、クランプ部付きフェルールのクランプ部の素子部は、上述のように、フェルール31に固定のベース側素子35と、前側素子361、後側素子362の2部材からなる蓋側素子36とによって構成されるものに限定されず、蓋側素子として1部材からなるものを採用することも可能である。
また、調心溝がベース側素子に形成されている構成に限定されず、蓋側素子に前記調心溝が形成されている構成も採用可能である。
例えば図2、図6(b)に示すように、上述の実施形態に例示したクランプ部付きフェルールのクランプ部33の素子35,36には、素子35、36間に割り込ませるように介挿される介挿部材40の先端部40aが配置される介挿用凹所35a、36aが、ばね37の側部開口部37dに臨む位置に開口するように形成されている。図4に示すように、介挿用凹所35a、36aは、素子35、36の対向面の前記側部開口部37d側の端部を窪ませた形成されている。この介挿用凹所35a、36aに先端部40aが収納された状態で素子35、36間に介挿されていた前記介挿部材40を前記素子35、36間から引き抜いた後、前記介挿用凹所35a、36aに介挿部材40を挿入して素子35、36間に割り込ませることで素子35、36間を開放状態とすることができる。つまり、上述の実施形態の光コネクタ10、50は、素子35、36間に介挿部材40が介挿されていない状態から、素子35、36間に介挿部材40を割り込ませて素子35、36を開放状態とすることができる。
また、本発明は、挿入光ファイバの先端に露出させた裸光ファイバを内蔵光ファイバ後端に突き当てる構成に限定されず、光ファイバ心線あるいは光ファイバ素線といった被覆光ファイバである挿入光ファイバの被覆材によって被覆された被覆部を内蔵光ファイバ後端に直接突き合わせ接続する構成も採用可能である。
また、上述の実施形態においては、挿入側裸光ファイバ1a、2a1自体も挿入光ファイバとして機能する。
また、本発明は、内蔵光ファイバと挿入光ファイバとを突き合わせた接続部にシリコーングリス等の液状屈折率整合材を設けても良い。
10…光コネクタ、20…ハウジング、30…クランプ部付きフェルール、31…フェルール、31a…接合端面、31b…ファイバ孔、32…内蔵光ファイバ本体、32a…後端面、32b…面取り部、33…クランプ部、35…ベース側素子、35f…対向面、36…蓋側素子、361…蓋側素子(前側素子)、361f…対向面、362…蓋側素子(後側素子)、362f…対向面、37…ばね、38a…調心部(調心溝)、40、41、42…介挿部材、
50…光コネクタ、511…ハウジング、52…ケーブル引き留め部、
70…光コネクタ、71…フェルール、72…ハウジング、71c…調心部(ファイバ孔の内蔵光ファイバから後端側の部分)。
Claims (10)
- フェルール(31、71)と、このフェルールを収納するハウジング(20、511、72)と、前記フェルールに内挿固定された光ファイバ(32)の前記フェルール先端の接合端面(31a、71b)に位置合わせされた先端とは反対の後端面(32a)に光透過性の高分子材料からなる屈折率整合材層(321)が設けられた構成の内蔵光ファイバ(320、320A)と、この内蔵光ファイバに対して別途前記ハウジングに挿入される光ファイバである挿入光ファイバ(1、2a)の先端を突き合わせ接続可能に位置決めするための調心部(38a、71c)とを有し、
前記フェルールに内挿固定された光ファイバである内蔵光ファイバ本体(32)はその後端の平坦面である後端面の外周全周にテーパ状の面取り部(32b)が放電加工により形成され、屈折率整合材層は、後端面だけでなく面取り部にも重なるように形成され、前記屈折率整合材層に突き当てた前記挿入光ファイバが、クッション層として機能する前記屈折率整合材層を介して前記内蔵光ファイバ本体と光接続されることを特徴とする光コネクタ(10、50、70)。 - 面取り部は、その後端面から内蔵光ファイバ本体の光軸方向に沿って40〜55μmの範囲に、内蔵光ファイバ本体のクラッド部のみについて形成されることを特徴とする請求項1記載の光コネクタ。
- 前記屈折率整合材層が、前記内蔵光ファイバ本体の後端面に貼着した合成樹脂製フィルムによって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光コネクタ。
- 前記屈折率整合材層が、前記内蔵光ファイバ本体の後端面への液状高分子材料の塗布あるいは蒸着によって形成された樹脂膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光コネクタ。
- 前記面取り部が前記内蔵光ファイバ本体の後端面の外縁から前記内蔵光ファイバ本体の外周面にわたって湾曲する湾曲面とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光コネクタ。
- 前記内蔵光ファイバと、この内蔵光ファイバの後端の前記屈折率整合材層に突き合わせた前記挿入光ファイバとを半割りの素子(35、36)の間にばね(37)の弾性によって挟み込んで前記内蔵光ファイバと前記挿入光ファイバとの突き合わせ接続状態を維持するクランプ部(33)を具備し、このクランプ部の一対の素子の互いに対面する対向面(35f、361f)の一方又は両方には、前記内蔵光ファイバと前記挿入光ファイバとを突き合わせ接続可能に調心するための調心溝(38a)が形成され、前記調心溝が前記調心部として機能することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光コネクタ。
- 前記フェルールの後側に、スリーブ状のばねの内側に前記半割りの素子を収納した構成の前記クランプ部が組み立てられてなるクランプ部付きフェルール(30)を具備することを特徴とする請求項6に記載の光コネクタ。
- 前記クランプ部の一対の素子の間に前記素子間の開放状態を維持する介挿部材(40、41、42)が、前記素子間から抜き去り可能に介挿されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の光コネクタ。
- 前記フェルールを貫通するファイバ孔(31b)内に該ファイバ孔よりも長さが短い前記内蔵光ファイバ本体が内挿固定されており、前記ファイバ孔にフェルール後端側から挿入された前記挿入光ファイバがファイバ孔内にて前記内蔵光ファイバの後端に突き合わせ接続されるように構成され、前記ファイバ孔の前記内蔵光ファイバから後端側の部分(71c)が前記調心部として機能することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光コネクタ(70)。
- 前記ハウジングの前記フェルールの接合端面が配置される前端側とは反対の後端部に、光ファイバ(2a)を該光ファイバに縦添えした線状の抗張力体(2b)とともに樹脂被覆材(2c)中に埋め込んで一体化した構成の光ファイバケーブル(2)の端末を保持して前記ハウジングに引き留めるケーブル引き留め部(52)が設けられ、前記挿入光ファイバが前記光ファイバケーブルの光ファイバであり、この光ファイバの光ファイバケーブル端末に口出しされた部分の先端が前記内蔵光ファイバ後端に突き合わせ接続されるようになっていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光コネクタ(50)。
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