JP5399392B2 - シリコーンゴムのための硬化剤 - Google Patents

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Description

RTVシリコーンゴム材料とも称される室温硬化シリコーンゴムは、弾力性を有する注文仕様材料としてしばしば知られている。一般にそれらは、建築および衛生設備において継目充填およびシーリングコンパウンドのような使用におけるガラス、陶磁器、セラミックス、石材、プラスチック、金属、木材等のためのシーラントまたは接着剤として、または例えばエレクトロニックス産業においてコーティング剤として使用される(Rompp Chemie Lexikon,CD ROM,version 2.0,ed,j.Falbe,Thieme−Verlag,Stuttgart 1999;Ullmanns Enzyklopadie der Technischen Chemie,4th edition,ed.E.Bartholome,Verlag Chemie,Weinheim 1982,vol.21,p.511 et seq.)。単一成分RTVシリコーンゴム材料(RTV−1)は特に、例えばα,ω−ジヒドロキシ−ポリオルガノシロキサンと適切ないわゆる硬化剤または架橋剤との可塑的に成形し得る混合物に使用される。この混合物は水分不存在下の貯蔵に適し、しかし室温において水または空気中の湿気の影響のもとに重合する。
好ましくは種々の多官能性硬化剤、例えば3官能および/または4官能硬化剤が、所望の重合速度と、そして重合生成物の所望の化学的および物理的性質、例えば所望の架橋度および耐溶剤性等に応じて、2官能かまたはもっと多い官能基を持つ種々のポリオルガノシロキサンと共に使用される。最も頻繁に選ばれる2官能ポリオルガノシロキサンはα,ω−ジヒドロキシ−ポリオルガノシロキサンである。原則として、重合は硬化剤の適当な加水分解可能なSiX基の加水分解によって中間体として生成したSiOH基の縮合によって生起する。この加水分解によって放出される脱離基(HX)に基いて、RTV−1シリコーンゴムは酸性系(HX=酸例えば酢酸、塩基性系(例えばHX=アミン)、および中性系(例えばHX=アルコールまたはオキシム)の区別がなされる。架橋する時、酸性および塩基性の両方のRTV−1ゴム材料は、例えば金属、石材またはモルタルを腐食または分解する可能性ある攻撃的化合物を放出するので、最新のRTV−1シリコーンゴム材料は中性架橋システムでしばしば調製される。例えば、脱離基としてメタノールまたはエタノールに基づく中性架橋アルコキシシラン架橋剤が使用される。しかしながら市場で入手し得るアルコキシシステムは、貯蔵安定性および重合したゴム材料の接着性に関して問題がある。このことがアルカノンオキシムを放出して加水分解するオキシモシラン硬化剤の使用が増えている理由である。特にブタン−2−オンオキシム(またはメチルエチルケトオキシム,MEKO)を放出して加水分解する硬化剤が現在しばしば使用される。
最近発見されたように、ブタン−2−オシオキシムは癌を発生させ得る。それ故、ブタン−2−オンオキシムを放出する化合物の今後の使用は、健康理由のため原則として禁止されている。このことが2004年以後、ブタン−2−オンオキシムはR記号(リスク記号)“R40”(発癌効果を持つ疑いがある)によって標識しなければならない理由である。その結果、シリコーンゴム材料も、もしそれらが一定の閾値以上の濃度において遊離ブタン−2−オンオキシムを含んでいるならばそのように標識しなければならない。この標識要求は、特に遊離ブタン−2−オンオキシム含量が1%未満でない限り、例えばシーラントカートリッジに含まれているようなシリコーンゴム材料を含んでいる(2004年1月24日のヨーロッパ連合のオフィシャルジャーナルに発表された2006年1月23日付の理事会指令2006/8/EGの準備指令の“混合規則”を参照)。
実際上前述のすべての硬化剤が健康面において他の欠点を持っている。すなわち、化合物が架橋の間ひどく臭い、しばしば極端にひどく臭い、特に閉ざされた空間において作業するとき多大の不快を発生させる。
シリコーンゴム材料の処方にとって、硬化剤が室温において、そして好ましくは明らかに低温においてさえも液体であり、そのためその取扱いが容易で信頼でき、そしてそれはシリコーンゴム塊またはその出発原料と均質に適正に混合することが重要である。もし硬化剤の液体状態が氷点下の温度における輸送後でも保たれるならば、調合時にそれを溶融するために時間とエネルギーの消費を節約することができる。
その上硬化剤は、不完全に反応した出発物質等の後からのブリーディングを避けるため、ゴム材料の可能な限り最大限の完全重合を達成しなければならない。最後に、重合生成物は硬化が完了した時透明でなければならない。
それ故本発明の目的は、この分野で知られた不利益が排除されるか、またはどの程度でも減少されるシリコーンゴムのための改良された硬化剤を提供することである。
本発明の目的は、独立項の主題によって満たされる。好ましい具体例は従属請求項の主題である。
本発明の主題は、このようなシリコーンゴム材料のための改良された硬化剤と、シリコーンゴム材料の硬化のための本発明に従った硬化剤の使用と、該硬化剤を含む組成物およびその使用と、そして該硬化剤の製造方法である。
もっと詳しくは、本発明の主題は、一般式Si(R(I)を持つ少なくとも一つの化合物を含む、シリコーンゴム材料のための硬化剤である。該一般式において、基Rは一般式−OCH(CH)COORを有する2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル基であって、基Rは炭素原子1ないし4を持つ任意に置換された直鎖または分岐鎖アルキル基であり、基Rは少なくとも2個の炭素原子を持つ、任意に置換された直鎖または分岐鎖アルケニル基よりなる群から選ばれる。
一般式(I)において、基Rを特定するために使用される用語、すなわち2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル基は、対応するシラノール化合物と、2−ヒドロプロピオン酸アルキルエステル(乳酸アルキルエステルまたは乳酸アルキルとも称される)分子との縮合によって得られた、シラン化合物の中心ケイ素原子と、アルコールでエステル化された2−ヒドロキシプロピオン酸の遊離ヒドロキシ基の酸素原子の間にSi−O結合を形成したシラン化合物(I)の置換分を意味する。2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル基Rは、一般式−OCH(CH)COORによって表され、ここで基Rは、1ないし4の炭素原子を有する、任意に置換された直鎖または分岐鎖アルキル基である。アルキル基Rは、好ましくはメチル、エチル、プロピル、またはイソプロピル基であり、エチル基が特に好ましい。従って基Rは、好ましくは2−ヒドロキシプロピオン酸メチルエステル基、2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル基、2−ヒドロキシプロピオン酸プロピルエステル基、または2−ヒドロキシプロピオン酸イソプロピルエステル基である。特に好ましいのはR基が2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル基(乳酸エチル基)である基である。
本発明の意味内で、用語“2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル基”は、対応する2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステルのすべての立体異性体(エナンチオマー)、特に純粋な(R)−2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステルおよび純粋な(S)−2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステルと、それにラセミ混合物を含むそれらの混合物を含む。本発明の意味内で、例えば2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステルは、純粋な(R)−2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル(D−(+)−乳酸エチルエステル)、純粋な(S)−2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル(L−(−)−乳酸エチルエステル)、それにラセミ混合物を含むそれらの混合物を含む。
2−ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)のアルキルエステルは、一般ににおい、安定性、混和性等のような好ましい性質によって特徴付けられる。例えばエチルエステル(乳酸エチル)は、マイルドな果物様香りを持っている。2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル(乳酸エチルエステル)は、その上承認された食品添加物である。2−ヒドロキシカルボキシル酸は天然物および代謝生成物であり、そのためヒトまたは動物または植物に無害である。そのエチルエステルについても同じである。
本発明に従った硬化剤は、シリコーンゴム材料のための中性架橋硬化剤であり、慣用の硬化剤と違って多数の利点を持っており、慣用の硬化剤に代って使用することができる。一般式(I)を有する化合物は、加水分解される時2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル(乳酸アルキル)のみを放出し、そしてこのエステルは環境およびヒト、動物および植物に対して無害である。2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル(乳酸エチル)は承認された食品添加物でもある(Rompp Lexikon Chemie−version2.0,Stuttgart/New York;George Thieme Verlag 1999;bzZitat:Milchsauree thylester(Ethyl lactate)and Leste der zugelassen Lebensmittelz usatzs to ffe(Funds tellenliste),June 10,1992参照)。
本発明に従った硬化剤の脱離基の毒性学的性質は、このようにオキシム硬化剤より遥かに良好である。この上大多数の人は、本発明に従った硬化剤自体、およびそれを含んでいるシリコーンゴム材料の臭いを快適と考えており、悪臭のオキシム硬化剤の臭いとはいえないとしている。本発明に従った硬化剤のここち良い香気はこの硬化剤を使って調製したシーリングコンパウンドにも移される。加えて驚くべきことに、一般式(I)を有し、そして2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル基を含んでいる化合物、本発明に従った硬化剤へ特に有益な性質、特に硬化剤の融点およびこの硬化剤を含んでいるシリコーンゴム材料の貯蔵安定性と重合速度、そして例えば接着力、透明性および無色性のような得られる重合物の性質に関して有益な性質を与える。このことは、中性架橋アルコキシ硬化剤の貧弱な性質に鑑み驚くべきことである。つまり、両方の場合、ヒドロキシ基が加水分解によって分裂する結合の成分であるからである。本発明に従って硬化剤は、慣用のアルコキシ硬化剤に対して、特にその接着力および貯蔵安定性に関して明らかに優れている。
一般式(I)において、用語“アルケニル基”は少なくとも一つの炭素間二重結合を含んでいる部分不飽和脂肪族炭化水素化合物に基いた基Rを指す。アルケニル基は、1,2または3個の炭素間二重結合を持つのが好ましく、特に1個の二重結合が好ましい。“少なくとも2個の炭素原子を有するアルケニル基”は、2ないし8個の炭素原子を含むのが好ましく、さらに炭素数2ないし6が好ましく、特に炭素数2ないし4が好ましい。用語“アルケニル基”は、直鎖および分岐鎖炭化水素鎖を含む。分岐している時および/または炭化水素鎖の置換が特に炭素間二重結合の炭素原子におよび置換位置によって立体異性体の生成を許容する時、用語“アルケニル基”は、ラセミ混合物ばかりでなく、純粋なエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーおよびそれらの混合物を含む。“アルケニル基”は、一般式(I)の化合物へSi−C結合を介して接続されるのが好ましい。少なくとも2個の炭素原子を有するアルケニル基は、特にアリル基またはビニル基を含む。
本発明に従い、硬化剤は少なくとも1種の一般式(I)の化合物を含む。本発明に従った硬化剤は、一般式(I)の化合物を1ないし5種類、さらに好ましくは1ないし3種類の化合物、そして特に一般式(I)の2種類の化合物を含むのが好ましい。本発明に従った硬化剤を含んでいるシリコーンゴム材料の重合速度と、さらに生成する重合生成物の性質は、一般式(I)の2,3またはそれ以上の種類の化合物を含む本発明に従った硬化剤によって有利に調節することができる。もし望むならば、本発明に従った硬化剤は、本発明に従った硬化剤を含んでいるシリコーンゴム材料の重合速度のような性質または生成する重合物の性質をそれぞれの意図する用途に従って精密に仕立てることができるように、3,4,5またはそれ以上の種類の一般式(I)の化合物を含むこともできる。
水または空気中の湿気の存在下、本発明に従ったシリコーンゴム材料のための硬化剤または架橋剤は、Si−O−Si結合を生成することによって2官能または多官能ポリオルガノシロキサン化合物を重合または縮合することができる。好ましいα,ω−ジヒドロキシポリオルガノシロキサンが2官能ポリオルガノシロキサンとして使用される。このように、この文脈においてシリコーンゴム材料は、好ましくは硬化剤と2官能または多官能ポリオルガノシロキサン化合物を含む。
驚くべきことに、水または空気中の湿気の存在下室温におけるシリコーンゴム材料の硬化において、本発明に従った硬化剤の効果が改善されることが判明した。特にこの硬化剤は、加水分解時乳酸アルキル分子、好ましくは乳酸エチル(2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル)を放出する利点を有する。乳酸エチルは無害化合物であり、例えば天然物または代謝生産物またはその誘導体である。それ故ブタノンオキシムを放出する硬化剤と対照的に、本発明に従った硬化剤で生成したシリコーンゴム材料は有害でない。その上乳酸エチルは、モルタルまたは石材(大理石等)に対して腐食性でなく、少しも攻撃的でもない。さらに乳酸エチルのにおいは心持ちよく、通常のオキシム、特にブタノンオキシムと比較する時その通りである。
新規な硬化剤は−20℃の温度まで液体であり、好都合に加工することができる。本発明に従った硬化剤を使用して調製された重合生成物は微小粒や斑点を含まず、透明である。
上で定義したアルケニル基は、一般式(I)の化合物の好ましい基Rである。このアルケニル基はアリル基またはビニル基、特にビニルであることが好ましい。適切な条件が与えられた時、アルケニル基は同様にそのようなアルケニル基を含むシリコーンゴムモノマーまたはポリマーの追加の架橋を形成し得る。さらに、驚くべきことに定義したアルケニル基を含む一般式(I)の化合物は、特に硬化剤の融点、それを含むシリコーンゴム材料の重合速度、得られた重合生成物の性質、例えば透明で無色の外観に関して本発明の硬化剤へ高度に有益な性質を与える。
特に、3つの乳酸アルキル基に加えてアルキルまたはアリール基のような基をアルケニル基Rの代りに含んでいる化合物だけをシリコーンゴム材料の硬化剤として使用する時、貧弱な性質を発揮するから、特にこのことは驚くべきことである。研究の結果、例えばメチルトリス(エチルラクタート)シランまたはエチルトリス(エチルラクタート)シランのようなアルキルトリス(エチルラクタート)シラン、またはフェニルトリス(エチルラクタート)シランのようなアリールトリス(エチルラクタート)シランは、シリコーンゴム材料、特にRTVシリコーンゴム材料の硬化のためにそれだけを使用する時、非常に遅い重合速度と、それに伴って重合生成物の対応する貧弱な性質を生じさせることが示された。これにより例えばシーリング材料としてのそれらの使用を排除する。本発明の発明者らは、これらの化合物とは対照的に、本発明の硬化剤のシリコーンゴム材料への使用は良好な重合速度をもたらし、そして特に有益な性質を有する重合生成物へ導くことを発見した。
アリル基およびビニル基よりなる群から基Rを選択することが特に好ましい。特に好ましい基Rはビニル基である。これらR基の一つを含んでいる本発明に従った硬化剤は特に有益な性質を持っていることによって特徴付けられる。
特に好ましい具体例において、本発明に従った硬化剤は、一般式(I)の化合物として化合物ビニルトリス(エチルラクタート)シラン(式1)を含む。
Figure 0005399392
好ましい具体例において、本発明に従った硬化剤は、各自独立に選ばれた以下の少なくとも2化合物を含む。
a)上で定義した一般式(I)の化合物、および/または
b)一般式Si(R)nRm(II)を有する化合物
式中、n=1,2,3または4およびm=(4−n)であり、基Rは一般式−OCH(CH)COORの2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル基であって、Rは1〜4個の炭素原子を有し、任意に置換された直鎖または分岐鎖アルキル基であり;基Rは少なくとも1個の炭素原子を有し、任意に置換された直鎖または分岐鎖アルキル、少なくとも2個の炭素原子を有し、任意に置換された直鎖または分岐鎖アルキニル、少なくとも3個の炭素原子を有し、任意に置換されたシクロアルキル基、および少なくとも5個の炭素原子を有し、任意に置換されたアリール基よりなる群から独立に選ばれる。
一般式(II)において、基Rを定義するために使用される用語“2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル基”は、対応するシラノール化合物と2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル(乳酸アルキルエステルまたは乳酸アルキルとも称される)とが、シラン化合物の中心ケイ素原子と、アルコールでエステル化された2−ヒドロキシプロピオン酸の酸素原子の間でSi−O結合を形成する縮合によって得られるシラン化合物(II)の置換基を意味する。この2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル基Rは一般式OCH(CH)COORによって表され、基Rは1ないし4個の炭素原子を有し、任意に置換された直鎖または分岐鎖アルキルである。アルキル基Rは好ましくはメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルであり、エチル基が特に好ましい。従って基Rは好ましくは2−ヒドロキシプロピオン酸メチルエステル基、2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル基、2−ヒドロキシプロピオン酸プロピルエステル基、または2−ヒドロキシプロピオン酸イソプロピル基である。特に好ましいR基は2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル基である。
本発明の意味内で、用語“2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル”は、対応する2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステルのすべての立体異性体(エナンチオマー)、特に純粋な(R)−2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステルおよび純粋な(S)−2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステルと、さらにラセミ混合物を含むそれらの混合物を含んでいる。本発明の意味内で、例えば2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステルは、純粋な(R)−2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル(D−(+)−乳酸エチルエステルと、純粋な(S)−2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル(L−(−)−乳酸エチルエステルと、そしてラセミ体を含むそれらの混合物を含んでいる。
一般式(II)において、用語“アルキル基”は飽和脂肪族炭化水素化合物に基く分子基Rを指す。“少なくとも1炭素原子を有するアルキル基”は、1ないし8個の炭素原子、さらに好ましくは1ないし6個の炭素原子、もっと好ましくは1ないし4個の炭素原子を含む炭化水素化合物を含むことが好ましい。
用語“アルキル基”は、直鎖および分岐鎖炭化水素鎖を含む。炭化水素鎖の分岐および/または置換は立体異性体の生成を許容し、用語“アルキル基”はラセミ混合物ばかりでなく、純粋なエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーと、それらの混合物を含む。“アルキル基”はSi−C結合を介して一般式(II)の化合物へ結合しているのが好ましい。用語“少なくとも1個の炭素原子を有するアルキル基”は、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびt−ブチル基を含む。
用語“アルケニル基”および“アルキニル基”は、各自部分不飽和炭化水素化合物に基く分子基Rを含む。アルケニル基の場合、それは少なくとも1個のC−C二重結合を含み、アルキニル基の場合は少なくとも1個のC−C三重結合を含む。“少なくとも2個の炭素原子を有するアルケニル基”および“少なくとも2個の炭素原子を有するアルキニル基”は、2ないし8個の炭素原子、もっと好ましくは2ないし6個の炭素原子、そして特に2ないし4個の炭素原子を有することが好ましい。用語“アルケニル基”および“アルキニル基”は、直鎖および分岐鎖炭化水素鎖を含む。炭化水素鎖の分岐および/または置換は立体異性体の形成を許容し、用語“アルケニル基”および“アルキニル基”はラセミ混合物ばかりでなく、純粋なエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーと、それらの混合物を含む。“アルケニル基”および“アルキニル基”は、一般式(II)の化合物へSi−C結合を介して結合していることが好ましい。少なくとも2個の炭素原子を有するアルケニル基は、特にアリル基およびビニル基を含み、アルキニル基は特にエチニル基(アセチレニル基)を含む。
用語“シクロアルキル基”は、環状の飽和または部分不飽和脂肪族炭化水素化合物に基く分子基Rを意味する。“少なくとも3個の炭素原子を有するシクロアルキル基”は、3ないし8個の炭素原子、さらに好ましくは3ないし6個の炭素原子、さらに好ましくは4ないし6個の炭素原子、そして特に5または6個の炭素原子を含むのが好ましい。用語“シクロアルキル基”は、直鎖および/または分岐鎖炭化水素鎖で置換された炭化水素環を含む。炭化水素環の分岐および/または置換は立体異性体の生成を許容し、用語“シクロアルキル基”はラセミ混合物ばかりでなく、純粋なエナンチオマーおよび/またはジアステレオマー、それにそれらの混合物を含む。シクロアルキル基はSi−C結合を介して一般式(II)の化合物へ結合していることが好ましい。用語“少なくとも3個の炭素原子を有するシクロアルキル基”は、特にシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基を含む。
一般式(II)において、用語“アリール基”は、芳香族炭化水素化合物に基く分子基Rを意味する。“少なくとも5個の炭素原子を有するアリール基”は、5ないし12個の炭素原子、さらに好ましくは6ないし12個の炭素原子、そして特に6ないし10個の炭素原子を持っている芳香族炭化水素化合物を含むことが好ましい。一般式(II)の化合物において、6個の炭素原子を有するアリール基は、上で定義した未置換フェニル基を含むことができる。用語“アリール基”は、1個、2個、3個またはそれ以上の環を含み、C−C単結合により、または共通の辺によって相互接続された芳香族環系を含む。“アリール基”はSi−C結合によって一般式(II)の化合物へ結合していることが好ましい。特に用語“少なくとも5個の炭素原子を有するアリール基”は、シクロペンタジエニル基、フェニル基、ナフチル基、およびジフェニル基を含む。
上の定義に従って、一般式(II)の化合物は、1個(n=1)、2個(n=2)、3個(n=3)、または4個(n=4)の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステルを含むことができ、2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル基が好ましく、そしてそれぞれ3個(m=3、n=2)、2個(m=n=2)および1個(m=1、n=3)の基Rが従って含まれる。一般式(II)の化合物が2個または3個の基Rを含む場合、それらは互いに異なっても良く、すなわちそれらは少なくとも1個の炭素原子を有するアルキル基、各自少なくとも2個の炭素原子を有するアルケニル基およびアルキニル基、少なくとも3個の炭素原子を有するシクロアルキル基、および少なくとも5個の炭素原子を有するアリール基から独立に選ぶことができる。
一般式(II)の化合物の好ましくは具体例において、n=3およびm=1、またはn=m=1があり、すなわち一般式(II)の化合物は2−ヒドロキシプロピオン酸エステル基Rを含むばかりでなく、上の定義に従った1個または2個の追加の基Rを含む。一般式(II)の化合物の基Rとしては、上で定義したアルキルまたはアルケニル基が特に好ましい。特に好ましい基Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、アリル、ビニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、およびジフェニル基から選ばれ非常に好ましくはメチル、エチル、ビニル、フェニルおよびイソプロピルから選ばれる。適切な条件下、ビニル基は同様にアルケニル基を含んでいるシリコーンゴムモノマーまたはポリマーとの架橋を生じさせる。この態様において特に有益な性質を有する重合生成物が得られる。他の好ましい具体例において、m=n=2の一般式(II)の化合物は、上で列挙した式Rから互いに独立して選ばれた二つの異なる基Rを含む。一般式(II)のそのような化合物は、エチル基とビニル基のようなアルキル基とアルケニル基、またはエチル基とフェニル基のようなアルキル基とアリール基を含んでいるのが好ましい。
1または2個のこれら基Rを含んでいる本発明の硬化剤は特に有益な性質を特徴としている。驚くべきことに、1または2個のこのように定義したRを有する一般式(II)の化合物は、本発明の硬化剤へ、特に硬化剤の融点、この硬化剤を含んでいるシリコーンゴム材料の重合速度、および得られる重合生成物の性質、例えばその透明性および無色性に関して特に有益な性質を与える。
一般式(II)の化合物の別の好ましい具体例において、n=4(従ってm=0)があり、すなわち一般式(II)の化合物は、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル基のみ、好ましくは2−ヒドロキシプロピオン酸エチル基(R)のみを含み、他の基Rを含まない。一般式(II)のこの化合物は、特に高度に架橋したシリコーンゴム材料を提供する性質を本発明による硬化剤へ与える。一般式(II)の化合物のこの具体例の例は、化合物テトラ(エチルラクタート)シランである。
上記の具体例において、本発明に従った硬化剤は、a)一般式(I)の化合物、および/または(b)一般式(II)の化合物から独立に選ばれた少なくとも2種の異なる化合物を含んでいる。
硬化剤は、一般式(I)の化合物の少なくとも二つ、または一般式(II)の少なくとも二つの化合物、または一般式(I)の化合物の少なくとも一つと一般式(II)の化合物の少なくとも一つを含むのが好ましい。さらに好ましい硬化剤は、一般式(I)の少なくとも二つの化合物、または一般式(I)の少なくとも一つの化合物および一般式(II)の少なくとも一つを含んでいる本発明に従った硬化剤である。特に好ましい硬化剤は、一般式(I)の二つの化合物、または一般式(I)の一つの化合物および一般式(II)の一つの化合物、そして一般式(II)の二つの化合物を含んでいる本発明に従った硬化剤である。
一般式(I)の化合物および/または一般式(II)の化合物から互いに独立に選ばれた少なくとも二つの化合物を含む本発明に従った硬化剤を含んでいるシリコーンゴム材料の重合速度と得られる重合産物の性質の両方を調節することができる利益を提供する。もし望むならば、本発明の硬化剤は、一般式(I)および/または(I)の2,3,4,5またはそれ以上の種類の混合物を含んでいても良い。これらの手段によって、本発明に従った硬化剤を含むシリコーンゴム材料の重合速度、または生成する重合産物の性質のような性質を注文に応じて設計することができる。驚くべきことに、水または空気中の水分の存在下室温におけるシリコーンゴム材料の硬化における本発明の硬化剤の効果が改善されることが判明した。もっと詳しくは、加水分解は乳酸エチル(2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル分子)のような乳酸アルキル分子以外に何物をも放出しない利益を有する。新規な硬化剤は−20℃の温度まで液体であるので、それは容易に取扱うことができる。
本発明に従った硬化剤を使用して作られた重合生成物は斑点や汚点なく、透明である。
好ましい具体例において、本発明に従った硬化剤は、一般式(I)の少なくとも一つき化合物と、加えて一般式(II)の異なる少なくとも一つの化合物を含む。本発明に従った硬化剤は、一般式(I)の1,2または3種の化合物と、一般式(II)のそれらの異なる1,2または3種の化合物を含むのが好ましい。特に好ましくは、硬化剤は一般式(I)の一つの化合物と、加えて一般式(II)の二つの化合物を含む。一般式(I)の化合物として、硬化剤は、例えば、ビニル−トリス−(エチルラクタート)シランおよび一般式(II)の化合物としてメチル−トリス−(エチルラクタート)シランを含むことができる。または一般式(I)の化合物はビニル−トリス−(エチルラクタート)−シランを含むことができ、そして一般式(II)の二つの化合物、すなわちメチル−トリス−(エチルラクタート)−シランおよびテトラ−(エチルラクタート)−シランを含むことができる。
一般式(I)の一つの化合物ばかりでなく、一般式(II)の少なくとも一つの化合物を含んでいる本発明に従った硬化剤は、本発明に従った硬化剤を含んでいるシリコーンゴム材料の重合速度と、そして得られる重合生成物の性質の調節の利益を許容する。もし望むならば、本発明に従った硬化剤は、加えて、本発明に従った硬化剤を含んでいるシリコーンゴム材料の重合速度、または得られる重合物の性質をそれぞれの用途に応じて正確に仕立てることができるように一般式(II)の1,2,3またはそれ以上の化合物を含むことができる。
驚くべきことに水または空気中の湿気の存在下室温でのシリコーンゴム材料の硬化における効果は、もし本発明に従った硬化剤が加えて一般式(II)の少なくとも一つの化合物を含むならばなおさらに改善されることが判明した。さらに、本発明に従った硬化剤は、加水分解が乳酸エチル分子(2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル分子)のような乳酸アルキル分子だけを放出する利益を有する。
新規な硬化剤は−20℃の温度まで液体であり、それ故便利に取扱うことができる。本発明に従った硬化剤を使用して作られたシリコーンゴム材料は斑点および汚点を持たず、透明である。
特に好ましい具体例において、本発明に従った硬化剤は一般式(I)の化合物ばかりでなく、基Rがアルキル基である一般式(II)の少なくとも一つの化合物を含み、そして特に好ましくは、基Rがアルキル基であり、そして基Rが乳酸エチル基である一般式(II)の少なくとも一つの化合物を含む。
他の特に好ましい具体例において、本発明に従った硬化剤は、加えてメチル−トリス(エチルラクタート)シラン(式2)、エチル−トリス(エチルラクタート)シラン(式3)、およびテトラ(エチルラクタート)シラン(式4)から選ばれた一般式(I)少なくとも一つの化合物を含む。
Figure 0005399392
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メチル−トリス(エチルラクタート)シランおよびエチル−トリス(エチルラクタート)シランおよび/またはテトラ(エチルラクタート)シランを含んでいる本発明に従った硬化剤は、水または空気中の湿気の存在下でのシリコーンゴム材料の硬化においてさらに改善した効果を与える。それは、式(2)、(3)および(4)を有する化合物の加水分解は無害な乳酸エチルのほかに何物も放出しない事実を含むすべての上述した積極的効果を有する。一般式(I)の化合物も加水分解時乳酸エチルしか放出しないため、本発明に従ったこの種の硬化剤は乳酸エチルしか放出しない。さらに、この硬化剤が硬化時に持つ性質(例えばスキン生成時間、タックフリー時間、早期ストレイン等)がその成分のパーセンテージの対応する選択によって精密に調節することができる。特に好ましい硬化剤は、ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン以外にメチル−トリス(エチルラクタート)シランを含む硬化剤と、ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン以外にメチル−トリス(エチルラクタートシラン)およびテトラ(エチルラクタート)シランを含んでいる硬化剤である。
この文脈において、硬化剤は一般式(I)の化合物を20ないし80重量%、さらに好ましくは30ないし70重量%、そしてもっと好ましくは30ないし50重量%、そして特に好ましくは30ないし50重量%を含むのが好ましい。加えて、硬化剤は、少なくとも1種の一般式(II)の化合物を20ないし80重量%、さらに好ましくは30ないし75重量%、もっと好ましくは50ないし70重量%、特に好ましくは50ないし70重量%含むことが好ましい。上記から離れて、硬化剤は、一般式(I)または(II)を有する化合物に基づいてさらに架橋可能な化合物を含むことができる。本発明に従って硬化剤の特に好ましい具体例は、一般式(I)の化合物50重量%と、一般式(II)の化合物50重量%を含む。この具体例の一例は、メチル−トリス(エチルラクタート)シラン50重量%と、ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン50重量%を含む本発明に従った硬化剤である。他の好ましい具体例において、本発明に従った硬化剤は一般式(I)の化合物30重量%と、一般式(II)の化合物70重量%を含む。この具体例の一例は、メチル−トリス(エチルラクタート)シラン70重量%と、ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン30重量%を含んでいる本発明に従った硬化剤である。一般式(II)の化合物1種よりも多く含んでいる本発明に従った硬化剤の例は、ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン40〜45重量%と、メチル−トリス(エチルラクタート)シラン40〜45重量%と、テトラ(エチルラクタート)シラン10〜20重量%を含んでいる硬化剤である。
本発明によれば、本発明に従った硬化剤はシリコーンゴム材料の硬化のために使用される。この目的のため、本発明の意味内において、本発明に従った硬化剤と、適切なシリコーンゴム材料(シリコーンゴムマス)またはその前駆体を含む組成物が調製される。
このように本発明に従った組成物は、本発明の硬化剤およびそして少なくとも一つのオルガノシリコーン化合物、好ましくは記載した硬化剤プラス2,3またはそれ以上の異なるオルガノシリコーン化合物を含む。この組成物に含まれているオルガノシリコーン化合物は、オリゴマーまたはポリマー化合物である。ポリマーのオルガノシリコーン化合物は、好ましくは2官能ポリオルガノシロキサン化合物であり、特に好ましいのはα,ω−ジヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンである。特に好ましい化合物は、α,ω−ジヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサン、特にα,ω−ジヒドロキシル末端ポリジアルキルシロキサン、α,ω−ジヒドロキシ末端ポリジアルケニルシロキサン、またはα,ω−ジヒドロキシル末端ポリジアリールシロキサンである。ホモポリマーα,ω−ジヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンとほかに、異なる有機置換基を有するヘテロポリマーα,ω−ジヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンを使用することができる。これらは、ケイ素原子上に類似または同じ置換基を有するモノマーの共重合体と、ケイ素原子上に異なる有機置換基、例えば混合アルキル、アルケニルおよび/またはアリール置換基を有するモノマーの共重合体を含む。好ましい有機置換基は1ないし8個の炭素原子を含む直鎖および分岐鎖アルキル基、特にメチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチル、ビニルおよびフェニルを含む。個々の有機置換基内の炭素へ結合した水素原子の各自またはすべては、ハロゲン原子、またはヒドロキシルおよび/またはアミノ基のような官能基で置換されても良い。このように部分的フッ素化またはペルフルオロ化された有機置換基を有するα,ω−ジヒドロキシ末端ポリジオルガノシロキサン、またはヒドロキシルおよび/またはアミノ基で置換された有機置換基を有するα,ω−ジヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンを使用することができる。
オルガノシリコーン化合物の特に好ましい例は、α,ω−ジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、またはα,ω−ジヒドロキシ末端ポリジエチルシロキサン、またはα,ω−ジヒドロキシル末端ジビニルシロキサンのようなα,ω−ジヒドロキシ末端ポリジアルキルシロキサンと、そしてα,ω−ジヒドロキシ末端ポリジフェニルシロキサンのようなα,ω−ジヒドロキシ末端ポリジアリールシロキサンである。5,000ないし120,000cst(25℃)の動的粘度を有するものが好ましく、特に好ましいのは40,000ないし90,000cstを有するものである。
異なる粘度を有するポリジオルガノシロキサンの混合物も使用することができる。
もし望むならば、本発明に従った組成物は他の慣用の添加剤を含むことができる。通常の添加剤は、充填剤、着色料、軟化剤、チキソトロピック剤、湿潤剤、接着力増強剤、触媒等である。
充填剤として、補強および非補強充填剤を使用することができる。好ましい充填剤は無機充填剤、例えば高度に分散性の熱分解または沈澱ケイ酸、カーボンブラック、石英粉、チョーク、または酸化チタンのような金属塩もしくは金属酸化物である。特に好ましい充填剤は、高度に分散性のケイ酸、例えばCabot社からCabosil 150の名称で入手し得る市販の充填剤である。高度に分散性のケイ酸、特に熱分解ケイ酸はチキソトロピック剤としても有用である。金属酸化物、例えば酸化チタンは白色着色料としても有用である。さらに、充填剤は公知の方法で表面改質することができ、例えばシランで疎水化したケイ酸を使用することができる。
好適な軟化剤は、官能性末端基を持たないそれ自体公知のポリジオルガノシロキサンであり、それ故それらは本発明に従って使用されるオルガノシリコーン化合物と異なる。好ましくは約50から約5000の分子量を有し、揮発性が低く、そしてポリシロキサンと混和性の液体脂肪族または芳香族炭化水素も使用することができる。軟化剤の好ましい動的粘度は、1ないし5,000cSt(25℃において)、特に50ないし500cSt、特に好ましくは90ないし200cStである。軟化剤の例は、90ないし120cSt、特に100cStの粘度を持つポリジメチルシロキサンと、パラフィン油と、ポリ置換アルキルベンゼンである。
使用される好ましい湿潤剤および/または接着力増強剤(カップリング剤)は、反応性アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基またはチオール基を持っているオルガノシロキサンのような、本発明に従って使用されるオルガノシリコーン化合物とは異なる、ケイ素原子上に反応基を持っている有機置換基を有するそれ自体既知のシラン化合物である。好ましい例の中に、アミノエチル−アミノプロピル−トリアルコキシシランのようなアミノシランである。好ましい接着力増強剤(カップリング剤)の具体例は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、プロピルアミノプロピルトリエトキシシラン、プロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびDegussa社からDynasylan 1146として商業的に入手し得るコオリゴマージアミノ/アルキル官能性シランである。
通常縮合架橋ポリシロキサンのために採用されるメタロ有機触媒を使用するのが好ましい。好ましい触媒は、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズジアセテート、およびスズ(II)オクテートのような有機スズ化合物である。特に好ましい触媒はアルキルスズカルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジバレリエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジネオデカノエート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジオクチルスズ−ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジマレエート、およびジブチルスズ−トリス(2−エチルヘキサノエート)である。チタニウム系、ジルコニウム系、またはアルミニウム系化合物も触媒として使用することができる。
組成物は、水分の排除下12ケ月以上の間貯蔵することができること、および水または空気中の影響のもとで室温で重合することが判明した。
さらに、本発明による組成物は、シリコーンゴム材料を生成するように硬化する時、2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル(乳酸エチル)のような2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステルのみを放出することが有利である。これはオキシム化合物、例えばブタン−2−オンオキシムと対照的に、健康に有害でなく、金属、モルタルまたは石材(大理石等)に対して腐食性または攻撃性でなく、そしてその香気が快適である。完全に硬化した材料は斑点および汚点を含まず、そして透明である。
本発明に従った組成物は、オルガノシリコーン化合物40ないし90重量%と、本発明に従った硬化剤1ないし15重量%を含み、残りは慣用の添加剤であることが好ましい。同様に、オルガノシリコーン化合物50ないし80重量%と、本発明の硬化剤1ないし15重量%を含む組成物が好ましく、オルガノシリコーン化合物が50ないし70重量%、本発明の硬化剤が3ないし10重量%、残りが慣用の添加剤である組成物が特に好ましい。
本発明の主題は、本発明の組成物のシーラント、接着剤、またはコーティング剤としての使用にも存する。組成物は建設分野において、特にシーラントまたは接着剤として、特に建築物および土木エンジニアリング計画におけるジョイントのための、ガラスエレメントおよび窓(好ましい)のための、そして衛生設備におけるシーラントまたは接着剤として好ましい用途を見出す。同様に機械的エンジニアリング、例えばモルタルビヒクル分野(好ましい)、電子および織物工業、工業プラントおよび施設において本組成物の使用も開いている。
本発明の他の主題は、本発明に従った硬化剤の製造方法である。本発明に従った方法は、特に一般式(I)の化合物の製造に関する。一般式(I)の化合物は、一般式SiX(III)を有する化合物を2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル、好ましくは2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル(乳酸エチル)の3当量と反応させる本発明の方法によって製造される。一般式(III)の化合物中の基Rはアルケニル基から選ばれ、それぞれの基は上で記載されているように定義される。一般式(III)の化合物中の脱離基Xは、例えば一般式R−OHを有するアルコールの遊離ヒドロキシ官能と反応し、H−X分子を放出し、それによって一般式(III)の化合物のケイ素原子を加えた分子基の間にSi−O−R結合が形成される、通常の脱離基から選ばれる。脱離基Xは少なくとも1個の炭素原子を有するアルコキシ基、またはハロゲン原子特に塩素原子であることが好ましい。
一般式(II)の化合物は、類似の方法によって、例えばn=1,2,3または4であり、m=(4−n)である一般式SiXn(Rを有するそれぞれの化合物を2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル、好ましくは2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル(乳酸エチル)と反応させることによって製造することができる。基XおよびRは上で規定した定義を有する。
実施例1
式(I)の化合物の一般的合成法
窒素雰囲気下、攪拌機(KPG−Ruhrer)、滴下漏斗、コンデンサー、温度計および水浴を備えた4000ml 4頸フラスコへ、乳酸エチル500.0g(4.23モル)、トルエン1500.0gおよびトリエチルアミン432.6g(4.27モル)を仕込む。その後ビニルトリクロロシラン226.1g(1.40モル)を水浴で温度が30℃以上にならないように冷却下に加える。滴下終了後、混合物を3時間攪拌し、生成する固体を濾過し、トルエンで洗浄する。合併した濾液を蒸留装置に入れ、溶媒トルエンを真空下で除去する。もし必要ならば、生成物を蒸留することができる。
条件:液体温度160℃,頭部温度120℃,真空1−2ミリバール
収量:GCで決定した92.5%の純度を有するビニル−トリス(エチルラクタート)シラン529.0g。これはビニルトリクロロシランを基準にして93%の収率に相当する。
長さ25mおよび円径(ID)0.25m(FD:0.5μm)のカラムと、FID検出器を備えた毛細管ガスクロマトグラフィー装置(毛細管GC)を一般式(I)および(II)の製造した硬化剤化合物の純度を決定するために使用した。ヘリウムをキャリアガスとして使用し、そしてスプリットは150ml/minであった。サンプル調製なしで直接注入システムによりサンプル量0.3μlを導入した。
実施例2
式(II)の化合物の一般的合成法
窒素雰囲気下、攪拌機(KPG−Ruhrer)、滴下漏斗、コンデンサー、温度計および水浴を備えた4000ml 4頸フラスコへ、乳酸エチル500.0g(4.23モル)、トルエン1500.0gおよびトリエチルアミン432.6g(4.27モル)を仕込む。その後、温度が30℃以上に上昇しないように水浴で冷却下、メチルトリクロロシラン209g(1.40モル)を加え、生成する固体を濾過し、トルエンで洗浄する。合併した濾過を蒸留装置へ入れ、溶媒トルエンを真空下除去する。
もし必要ならば、生成物を蒸留することができる。
条件:液体温度160℃,頭部温度130℃,真空1−2ミリバール
収量:GC(実施例1参照)で決定した純度93%を有するメチル−トリ(エチルラクタート)シラン502.0g。これはメチルトリクロロシランに基いて理論の91%の収率に相当する。
エチル−トリ(エチルラクタート)シランは、エチルトリクロロシラン228.9g(1.40モル)を加えたことを除き、同様な合成法によって製造される。収量:GC(実施例1参照)により決定した純度93.5%を有するエチル−トリス(エチルラクタヒト)シラン228.9g。これはエチルトリクロロシランに基いて理論の94%に相当する。
フェニル−トリス(エチルラクタート)シランは類似のやり方で実施される。
テトラ(エチルラクタート)シランは、テトラクロロシラン237.9g(1.40モル)と、乳酸エチル668.1g(5.66モル)を使用することを除き、類似の合成法において製造される。収量:GC(実施例1参照)により決定した純度94.0%を有するテトラ(エチルラクタート)シラン650g。これはテトラクロロシランを基にして理論の93.5%に相当する。
実施例3および比較例1〜4
式(I)または(II)を有する硬化剤を使用したシーラント
以下の処方に従ってシリコーンゴム基本混合物を調製する。
粘度80,000cStを有するα,ω−
ジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン 585.0g
粘度100cStを有するポリジメチルシロキサン 260.0g
高度分散ケイ酸(Cabosil 150) 90.0g
カップリング剤(アミノアルキルトリアルコキシシラン)10.0g
触媒(アルキルスズカルボキシレート) 0.2g
それぞれの場合、以下の式(I)の化合物(実施例3)または式(II)の化合物(比較例1〜4)の40gを加える。
実施例3:ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン
比較例1:メチル−トリス(エチルラクタート)シラン
比較例2:エチル−トリス(エチルラクタート)シラン
比較例3:フェニル−トリス(エチルラクタート)シラン
比較例4:テトラ(エチルラクタート)シラン
空気へ曝露した後、性質としてスキン形成時間、タックフリータイムおよび完全硬化を常法に従って測定する。すべての測定は23℃および50%湿度の条件下で実施された。結果を表1に示す。
Figure 0005399392
*シリコーンゴム基本混合物と混合時カートリッジ内で既に硬化したため測定不能
スキン形成時間:サンプルストランド表面上に固化した材料の完全層(スキン)が観察された時間
タックフリータイム:サンプルストランドの表面が粘着性を示さなくなく時間
完全硬化:ガラス上へ高さ4mmでシーラントを適用し、ガラス表面への硬化までの時間
表1の結果から、実施例3の本発明による硬化剤は、使用可能な性質を有するシーラントを生成することが明らかである。これと対照的に、比較例1〜4の硬化剤は使用可能なシーラントを生成しない。比較例1,2および3のシーラントは非常に長いスキン形成時間とタックフリータイムを有し、そして完全硬化はシーラントとして許容可能よりも長い。測定は1000分(タックフリータイム)および96時間(完全硬化)で打ち切った。これらの範囲外の性質を有するシーラントは使用できないからであるか比較例4においては、シリコーンゴム基本混合物との硬化剤の混合が既に完全硬化へ導かれ、そのためこのシーラントは処理できなかった。
実施例4〜6および比較例5〜7
式(I)および/または(II)を有する硬化剤を使用したシーラント
実施例3に記載した処方を有するシリコーンゴム基本混合物を調製する。
それぞれの場合、式(I)の化合物と式(II)の化合物の混合物(実施例4〜6)、または式(II)の2化合物の混合物(比較例5〜7)のそれぞれ40gを以下のように硬化剤として加える。
実施例4:ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
メチル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
実施例5:ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
エチル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
実施例6:ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
フェニル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
比較例5:メチル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
エチル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
比較例6:メチル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
フェニル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
比較例7:メチル−トリス(エチルラクタート)シラン50%
テトラ(エチルラクタート) 50%
空気へ曝露した後、スキン形成時間、タックフリータイムおよび完全硬化の性質を常法に従って測定した。すべての測定は23℃および50%湿度の条件下で実施された。
結果を表2に示す。
Figure 0005399392
*シリコーンゴム基本混合物と混合時カートリッジ内で既に硬化したため測定不能
スキン形成時間:サンプルストランド表面上に固化した材料の完全層(スキン)が観察された時間
タックフリータイム:サンプルストランドの表面が粘着性を示さなくなる時間
完全硬化:ガラス上へ高さ4mmでシーラントを適用し、ガラス表面への硬化までの時間
表2の結果から、実施例4,5および6の本発明による硬化剤は、慣用のシリコーンシーラントに匹敵するすぐれた性質を有するシーラントを生成することが明らかである。シリコーンシーラントには通常以下の性質が望まれる。スキン形成時間3ないし15分、タックフリータイム60ないし120分、および完全硬化最大48時間これと対照的に、比較例5,6および7のシーラントは使用可能なシーラントを生成しない。比較例5および6のシーラントは非常に長いスキン形成時間とタックフリータイムを有し、そして完全硬化はシーラントとして許容可能よりも長い。測定は1000分(タックフリータイム)および96時間(完全硬化)で打ち切った。これらの範囲外の性質を有するシーラントは使用できないからである。比較例7においては、シリコーンゴム基本混合物との硬化剤の混合物が既に完全硬化へ導かれ、そのためこのシーラントは処理できなかった。
実施例7
シーラント処方A
以下の処方に従ってシリコーンゴム基本混合物を調製する。
粘度80,000cStを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン 585.0g
粘度100cStを有するポリジメチルシロキサン 260.0g
高度分散ケイ酸(Cabosil 150) 90.0g
カップリング剤(アミノアルキルトリアルコキシシラン) 10.0g
触媒(アルキルスズカルボキシレート) 0.2g
以下の処方に従った混合物を硬化剤Aとして加える。
ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン 20.0g
メチル−トリス(エチルラクタート)シラン 20.0g
空気曝露後、シーラントは次の性質を示す。
スキン形成時間12分
タックフリータイム60分
70分後早期ひずみ
24時間完全硬化
透明な外観
快適なにおい
ショア硬度A22
スキン形成時間、タックフリータイム、早期ひずみ、完全硬化、外観、においおよびショアA硬度は常法に従って測定した。すべての測定は23℃および50%湿度の条件下で実施された。
スキン形成時間の測定のため、固化した材料の完全な層(スキン)がサンプルストランド上に検出された時間が測定された。
タックフリータイムの測定のため、サンプルストランドの表面が粘着性(接着性)を示さなくなる時間が測定された。
早期ひずみの測定のため、高さ10mmを有するシリコーンストリップがシート金属ストリップへ適用された。弾性(ひずみ)はストリップを90°曲げることによってテストされる。シリコーンストリップの表面が割れない時間が記録される。
完全硬化の測定のため、シーラントが高さ4mmにガラスプレートへ適用され、ガラスプレートへの完全硬化までの時間が測定される。
外観およびにおいはオルガノレプチックテストによって決定される。
ショア硬度Aは、測定装置Zwick−Roe11−Messgerat(ASTM D 2240;DIN 53505:ISO 868)を用いて決定された。
実施例8
シーラント処方B
次の処方に従ってシリコーンゴム混合物が調製される。
粘度80,000cStを有するα,ω−ジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン 585.0g
粘度100cStを有するポリジメチルシロキサン 260.0g
高度分散ケイ酸(Cabosil 150) 90.0g
カップリング剤(アミノアルキルトリアルコキシシラン) 10.0g
触媒(アルキルスズカルボキシレート) 0.2g
硬化剤Bとして次の処方に従った混合物が添加される。
ビニル−トリス(エチルラクタート)シラン 17.5g
メチル−トリス(エチルラクタート)シラン 17.5g
テトラ(エチルラクタート)シラン 5.0g
シーラントは空気への曝露後次の性質を示す。
スキン形成時間11分
タックフリータイム50分
早期ひずみ60分後
完全硬化24時間後
透明な外観
快適なにおい
ショア硬度A24
測定条件は実施例7に記載のとおりである。
比較例8
オキシム硬化剤(2−ブタノンオキシム/MEKO)を使用したシーラント処方
粘度80,000cStを有するα,ω−ジヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン 585.0g
粘度100cStを有するポリジメチルシロキサン 260.0g
高度分散ケイ酸(Cabosil 150) 90.0g
カップリング剤(アミノアルキルトリアルコキシシラン) 10.0g
触媒(アルキルスズカルボキシレート) 0.2g
硬化剤として以下の処方を有する混合物を添加する。
ビニル−トリス(2−ブタノンオキシム)シラン 13.5g
(VOS)
メチル−トリス(2−ブタノンオキシム)シラン 32.0g
(MOS)
シーラントは空気へ曝露後以下の性質を示す。
スキン形成時間13分
タックフリータイム55分
早期ひずみ60分後
完全硬化24時間後
透明な外観
ショア硬度A23
測定条件は実施例に記載したとおりである。
比較例8で調製した処方は、その性質に関して長年の最適化によって調節され、そしてこの分野で現在使用されているRTVシリコーンゴム材料に基くシーラントの典型的な処方に相当する。空気へ曝露する時、このシーラントはブタノンオキシム(MEKO)を放出し、それ故毒性学的見地から問題である。
実施例7および8で調製した本発明に従ったシーラントの性質と、比較例7および8に従ったシーラントの性質との比較は、性質が多年の最適化の結果である先行技術の性質に相当するシーラントを本発明に従った硬化剤を使用して調製することが可能であることを示している。しかしながら本発明に従った実施例7および8のシーラントは、比較例8に従ったシーラントとは対照的に、空気へ曝露する時、毒性学的に無害であるばかりでなく、シーラントに快適なにおいを付与する乳酸エチルのみを放出する。

Claims (9)

  1. 一般式Si(R(I)を有する少なくとも一つの化合物と、一般式Si(R)n(R)m(II)を有する少なくとも一つの化合物とを含んでいるシリコーンゴム材料のための硬化剤であって;
    一般式(I)の基Rおよび一般式(II)の基Rは一般式−OCH(CH)COORの2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル基であり、基Rは炭素原子1ないし4を有する直鎖または分岐鎖アルキルであり
    一般式(I)において、基R少なくとも炭素原子2個を有する直鎖または分岐鎖アルケニル基であり
    一般式(II)において、基R炭素原子1ないし4を有する直鎖または分岐鎖アルキル基、少なくとも炭素原子2個を有する直鎖または分岐鎖アルケニル基およびアルキニル基、少なくとも炭素原子3個を有するシクロアルキル基、および少なくとも炭素原子5個を有する芳香族炭化水素基から独立に選ばれ、n=1,2,3または4、そしてm=(4−n)である(ただし、n=3のとき、R少なくとも炭素原子2個を有する直鎖または分岐鎖アルケニル基を意味しない。)硬化剤。
  2. 基Rはアリル基およびビニル基よりなる群から選ばれる請求項1の硬化剤。
  3. 基Rはメチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基よりなる群から選ばれる請求項1または2の硬化剤。
  4. ビニル−トリス(エチルラクタート)シランを含んでいる請求項1,2または3の硬化剤。
  5. 基Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アリル基、ビニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、およびジフェニル基よりなる群から選ばれる請求項1ないし4のいずれかの硬化剤。
  6. 一般式(II)の化合物は、メチル−トリス(エチルラクタート)シラン、エチル−トリス(エチルラクタート)シラン、およびテトラ(エチルラクタート)シランよりなる群から選ばれる請求項1ないし5のいずれかの硬化剤。
  7. 請求項1ないしのいずれかの硬化剤と、オルガノシリコーン化合物とを含んでいる組成物。
  8. オルガノシリコーン化合物が、α,ω−ジヒドロキシ末端ポリジアルキルシロキサンに代表されるα,ω−ジヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサン化合物である請求項の組成物。
  9. オルガノシリコーン化合物40ないし90重量%と、請求項1ないしのいずれかの硬化剤1ないし15重量%を含んでいる請求項またはの組成物。
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