JP5398873B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電力変換装置に関する。
従来の交流電車システムでは、架線にかかる単相交流電力を、コンバータ5によって、直
流電力に変換し、インバータおよびその負荷である主電動機に電力の供給を行っている。
コンバータ5の制御法としては、一定周波数の三角波キャリアと変調波の比較により、パ
ルス幅変調制御を行うPWM制御法が広く適用されている。特に、交流電車システムでは
、コンバータ5から架線へと流出する電流高調波の制約上(信号系の制御を行う軌道回路
があり、電源周波数の整数倍(同期)の成分は許容できるが、非整数倍(非同期)の成分
は許容値が小さいという制約)、電源周波数に同期した(電源周波数の整数倍)周波数と
なるような一定のキャリア周波数が選択されてきた。
特開平08−116674号公報 特開平09−140165号公報
しかしながら、従来の交流電車システムにおいてコンバータ5は、電源周波数に同期した
周波数となるような一定のキャリア周波数を選択する必要があったので、特定周波数の高
調波成分が2次電流に重畳し、主変圧器から騒音が発生していた。特に、定周波数である
ため、キーンというピュアトーンとして聞こえ、非常に耳障であり、不快な印象を与えて
いる。
特許文献1には、キャリア周波数を2つの値に設定し、低騒音化の効果もあるコンバー
タ5制御装置が記載されている(目的は低損失化である)。しかし、近年低騒音化への要
望が強く、更に低騒音化することが出来るコンバータ制御装置が望まれている。
また、特許文献2には、コンバータ5の低騒音化を図りながら、偏磁やビート電流等の
問題を生じない技術について記載されている。しかしながら、騒音を低減し、交流電車シ
ステムに適合するキャリア周波数の設定について、具体的な記述はない。
そこで、本発明の目的は、直流偏磁や損失増加を防止することが出来、低騒音化性能を向
上することが出来る電力変換装置を提供することである。
上記課題は、交流を直流に変換する複数のコンバータと、キャリア周波数を演算する複数のキャリア周波数演算部と、キャリア周波数から演算された三角波キャリアと変調波の比較により前記コンバータのパルス幅変調制御を行うPWM制御部とを有し、前記複数のキャリア周波数演算部は、同一のキャリア周波数パターンを有し、前記コンバータに入力される交流電圧の絶対値が小さい時より、絶対値が大きい時に早い周波数となるように、前記交流電圧の位相に対応したキャリア周波数を設定し、前記PWM制御部は、前記キャリア周波数に基づきキャリアの位相を算出する積分器により算出されたキャリアの位相に、位相差のオフセットが加算された位相に基づき、互いのキャリアの位相がずれた前記三角波キャリアを発生することによって達成することが出来る。
本発明により、直流偏磁や損失増加を防止することが出来、低騒音化性能を向上するこ
とが出来る電力変換装置を提供することができる。
本発明に基づく第1の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。 本発明に基づく第1の実施の形態の電力変換装置のキャリア周波数演算部19の構成図である。 本発明に基づく第1の実施の形態の電力変換装置のキャリア周波数演算部によるキャリア周波数の演算パターン図である。 従来の電力変換装置のシュミレーション結果である。 (a)本発明に基づく第1の実施の形態の電力変換装置のシュミレーション結果である。(b)特許文献1に記載の電力変換装置のシュミレーション結果である。 本発明に基づく第2の実施の形態の電力変換装置のキャリア周波数演算部によるキャリア周波数の演算パターン図である。 本発明に基づく第3の実施の形態の電力変換装置のキャリア周波数演算部によるキャリア周波数の演算パターン図である。 本発明に基づく第3の実施の形態の電力変換装置のシュミレーション結果である。 本発明に基づく第4の実施の形態の電力変換装置のキャリア周波数演算部のブロック図である。 電源電圧V1と周期カウンタNTとのの一例を示した関係図である。 本発明に基づく第5の実施の形態の電力変換装置ののブロック図である。 本発明に基づく第5の実施の形態の電力変換装置ののブロック図である。
(第1の実施の形態)
本発明に基づく第1の実施の形態の電力変換装置について、図を参照し詳細に説明する。
図1は、本発明に基づく第1の実施の形態のコンバータ制御装置のブロック図である。
本発明に基づく第1の実施の形態の電力変換装置を搭載した電車システムにおいて、パン
タグラフ1は、主変圧器11と接続される。主変圧器11は、コンバータ5の交流側と接
続され、更に、コンバータ5の直流側には、平滑のためのフィルタコンデンサ7と主電動
機9を駆動するVVVFインバータ8が接続されている。ここで、コンバータ5の負荷は
、インバータ8および主電動機9である。コンバータ5を制御するコンバータ制御装置1
0は、電圧検出器6によって検出されたフィルタコンデンサ7の電圧Vdcが所定値とな
るように、交流出力電圧指令Vc*を演算し、コンバータ5を制御するものである。
コンバータ制御装置10への入力は、電流検出器4によって検出されたコンバータ5の交
流側の電流である出力電流Ic、交流側の電圧である出力電圧Vcと、フィルタコンデン
サ7の電圧Vdcである。
コンバータ制御装置10に設けられた、電圧制御部13には、減算器12の出力である
フィルタコンデンサ7の電圧Vdcとその目標値である直流電圧指令Vdc*との差電圧
が入力され、その偏差が零になるように、コンバータ5の有効電流の振幅指令値IPA*
を、例えば、数1のように演算する。
Figure 0005398873

ただし、Kpdc、Kidcは直流電圧制御の比例ゲイン、積分ゲインである。Sはラプ
ラス演算子である。
位相推定部21では、電圧検出器23によって検出された架線電圧V1に基づき、周知
である単相PLL技術により、電源電圧の位相θsを算出する。本実施の形態のコンバー
タ制御装置では、θsの零点は、電源電圧が負から正になるゼロクロス点であると定義す
る。
電流指令演算部15には、有効電流振幅指令IPA*と、電源電圧位相θsが入力され
、数2のようにコンバータ出力電流指令Ic*を算出する。ただし、ここではパンタ点で
の力率=1を仮定している。
Figure 0005398873

電流制御部17では、コンバータ5の出力電流指令Ic*に、電流検出器4によって検
出された出力電流Icが一致するように、数3のように出力電圧指令Vc*を算出する。
Figure 0005398873

ただし、Kpは比例ゲインである。
キャリア周波数演算部19は、電源電圧の位相θsに基づき、キャリア周波数fc*を
演算する。積分器27は、キャリア周波数演算部19により演算されたキャリア周波数f
c*に基づき、キャリアの位相θcarを算出する。
PWM制御18では、キャリア位相θcarに基づき、三角波キャリアを発生し、コンバ
ータ5の出力電圧指令値Vcに一致した出力電圧が得られるように、コンバータへのゲー
トを三角波比較PWM制御により生成する。この三角波比較PWM制御は、周知の技術で
あるため、詳細な説明は省略する。
このように構成されたコンバータ制御装置は、直流電圧Vdcがその目標値Vdc*とな
るように、コンバータ5の出力電流指令Ic*を制御するとともに、出力電流指令Ic*に
、出力電流Icが一致するように、コンバータ5の出力電圧指令Vc*を制御する。
次に、キャリア周波数演算部19について、図を参照し詳細に説明する。図2はキャリ
ア周波数演算部19の構成図である。
キャリア周波数演算部19は、キャリアカウント演算部25とキャリア周波数パターン
テーブル24から構成されている。キャリアカウント演算部25は、位相推定部21によ
り算出された電源電圧の位相θsを所定の領域に分割し、その領域を識別するためのキャ
リアカウントNを生成し出力する。例えば、電源1周期を30個の領域に、電源位相が等
分されるように分割するとすれば、数4のようにキャリアカウントNを算出できる。
Figure 0005398873

ここに、floor()は、小数以下を切り捨て整数化する関数とする。また、電源電圧
θsは、0[deg]以上360[deg]未満の領域に存在するものとする。
キャリア周波数パターンテーブル24には、キャリアカウントNに対応するキャリア周波
数が格納されている。キャリアパターンテーブル24は、キャリアカウント演算部25で
生成されたキャリアカウントNに対応するキャリア周波数データを、その時点でのキャリ
ア周波数fc*として出力するものである。
このように構成されたコンバータ制御装置は、予め電源電圧の位相θsおよびそれに準ず
る値(本実施例ではキャリアカウントと称している)に対するキャリア周波数fc*を予
め計算し、テーブルに格納しておき、実運転中はその都度参照するという形態をとってい
る。
本発明に基づく第1の実施の形態の電力変換装置において、キャリア周波数は、図3に示
すように、電源電圧絶対値の大きさに従って、連続的に変化することを特徴としている。
本実施の形態のキャリア周波数演算部19は、電源電圧の絶対値の大きさに応じて、電源
電圧絶対値が高いときに、キャリア周波数を高く、電源電圧の絶対値が低いときに、キャ
リア周波数を低く、連続的に変化するキャリア周波数が設定される。騒音は電流高調波が
要因であるが、電流高調波が大きく生じるのは、電源電圧の絶対値が大きい領域であり、
逆に電源電圧の絶対値が小さい領域では、電流高調波は比較的小さな値となる。よって、
電源電圧の絶対値が大きい領域付近でキャリア周波数を高く、すなわち、スイッチング周
波数を上げることにより、コンバータ出力電流の電流高調波の大きさを低減する効果が期
待できる。また、特許文献1とは異なり、複数のキャリア周波数が混在するように、すな
わち、連続的に変化するキャリア周波数を設定することにより、電流高調波の分散効果を
更に高めることができる。この上記2つの相乗効果により、顕著な低騒音化の効果が期待
できる。
このように構成された電力変換装置のキャリア周波数演算部19は、電源電圧が正の区
間(0deg<=θs<180deg)と負の区間(180deg<=θs<360deg)で
、同一のキャリア周波数パターンを設定する。また、キャリア周波数演算部19は、電源
電圧の1周期の区間に、キャリア周波数fc*を積分したもの(厳密には、fc*×2π[
rad/s]に換算したものの積分である)は360[deg]の整数倍に等しいという条件(
式5)を満たすように、キャリア周波数fc*[Hz]を設定している。
Figure 0005398873

ただし、nは正の整数、Tは電源電圧の周期[sec]、t0は任意の時刻[sec]である
。t0は任意であるので、例えば、電源電圧がゼロクロスする時刻[sec]として考えて
もよい。
数5に基づき演算されたキャリア周波数の位相は、任意の一周期期間で初期値に戻る。
例えば、電源電圧のゼロクロスでキャリア位相α[deg]であったものは、電源電圧が再
度ゼロクロスする時点でもキャリア位相がα[deg]であることを意味するものである。
これは、すなわち、キャリア位相が電源電圧1周期間で不規則に変化するものの、1周期
間をみると、電源電圧に同期がとれていることになる。よって、コンバータ5の出力電流
に含まれる電流高調波成分の非同期成分を増加させない効果がある。
交流電車システムでは、信号系の制御のため、コンバータ5から架線へと流出する電流
高調波の中で、電源電圧の非同期成分について許容値が小さく設定されている。電源電圧
と同期しないキャリア周波数パターンを使用すると、電流高調波成分の非同期成分が増加
し、信号系に悪影響を与える恐れがある。よって、キャリア周波数パターンを、電源電圧
と同期したものに設定することにより、電流高調波の非同期成分の増加を抑制、信号制御
系に影響を与えない効果がある。(尚、特許文献1では、電源電圧に同期してキャリア周
波数を切り替えることは明記されているが、そのキャリア周波数を積分したキャリア位相
がどのようにあるべきか、言及していない。本実施の形態のコンバータ制御装置は、キャ
リア位相が1周期毎に連続であるように、すなわち、同期するように、キャリア周波数を
設定することで、電流高調波の非同期成分の増加を抑制できるという効果を奏するもので
ある)
また本実施の形態の電力変換装置において、キャリア周波数は、電源電圧の正の半周期
と負の半周期とで、同一のキャリア周波数パターンを用いているので、コンバータ5の出
力電圧の正負非対称を抑制することが可能である。コンバータ5のU相とV相の回路特性
(半導体特性など含めて)には微小な個体差がある。電源電圧の正の半周期と負の半周期
について、異なるキャリア周波数を使用すると、この個体差による非対称性から交流側に
直流成分を生じる恐れがある。この直流電圧により主変圧器が偏磁し、騒音・振動を引き
起こし、あるいは、過電流による保護停止することが懸念される。よって、キャリア周波
数パターンを、電源電圧の正の半周期と負の半周期間を同一に設定することにより、出力
電圧の非対称性を抑制し、主変圧器の偏磁を抑制する効果が期待できる。
シミュレーションによって、コンバータ5の出力電流の高調波が分散される様子を確認
した。図4に従来の一定キャリア周波数の場合の解析結果を示す。図5(a)は連続的に
変化するキャリア周波数の場合のもので、図5(b)の公知技術である低いキャリア周波
数と高いキャリア周波数との2周波切換方式のコンバータものである。図5(a)が最も
よく、出力電流の高調波成分を分散していることが分かる。
このように構成することで、電源電圧の位相θsに応じてキャリア周波数が変化する。
このため、コンバータ5の出力電流のリプルの周波数スペクトルが分散され、主変圧器よ
り生じていた耳障りなピュアトーン(特定周波数成分をもつ音)を抑制し、低騒音化を図
ることができる。
このように構成された電力変換装置は、直流偏磁や損失増加を防止することが出来、低騒
音化性能を向上することが出来る。
尚、本実施の形態の電力変換装置では、キャリア周波数パターンテーブルに基づいて、キ
ャリア周波数fc*を出力と記載されているが、キャリア周波数fc*は、本実施例のよう
にキャリア周波数パターンテーブルを参照しても、或は直接演算しても同様な作用効果が
得られるのでどちらか一方に限定はしない。
(第2の実施の形態)
本発明に基づく第2の実施の形態の電力変換装置について、図を参照し詳細に説明する
。図6は、本発明に基づく第2の実施の形態の電力変換装置のキャリア周波数演算部によ
るキャリア周波数の演算パターン図である。尚、図1乃至図5に記載したものと構造上同
一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
本発明に基づく第2の実施の形態の電力変換装置のキャリア周波数演算部19は、電源
電圧の絶対値が大きいとき、すなわち、電源位相が90deg,あるいは,270deg付
近にて、低いキャリア周波数を設定し、電源電圧の絶対値が小さい領域、すなわち、電源
位相が0deg,あるいは,180deg付近にて、高いキャリア周波数を設定している。
このように構成された電力変換装置のキャリア周波数演算部19は、電源電圧が正の区
間(0deg<=θs<180deg)と負の区間(180deg<=θs<360deg)で
、同一のキャリア周波数パターンを設定する。また、キャリア周波数演算部19は、電源
電圧の1周期の区間に、キャリア周波数fc*を積分したもの(厳密には、fc*×2π[
rad/s]に換算したものの積分である)は360[deg]の整数倍に等しいという条件を
満たすように、キャリア周波数fc*[Hz]を設定している((式5)参照)。
このように構成された電力変換装置は、電源電圧の絶対値が高いときに、キャリア周波
数は低く設定され、電源電圧の絶対値が低いときに、キャリア周波数は高く設定される。
第1の実施の形態の電力変換装置のように、電源電圧の絶対値が高い領域で高いキャリ
ア周波数を設定し、電源電圧の絶対値が低い領域で低いキャリア周波数を設定すると、電
流が大きい(通常は力率1運転であるため電源電圧の絶対値が大きい領域では、電流の絶
対値も大きい)領域でのスイッチング周波数が増加するため、変換器の損失が増大する。
この結果、冷却能力の増加が余儀なくされ、変換器の重量や体格の増加を引き起こすおそ
れがある。そこで、第2の実施の形態の電力変換装置は、電源電圧の絶対値が高いときに
キャリア周波数を低く設定し、電源電圧の絶対値が低いときにキャリア周波数を高く設定
することで、損失の増加を抑制する。
本実施の形態の電力変換装置は、第1の実施の形態の電力変換装置ほど、低騒音化効果は
得られないまでも、現行システムで採用される一定キャリア周波数というシステムに比べ
、変換器の体格・重量を引き起こすことがなく、低騒音化の効果がえられるため、システ
ムとして利点がある。(キャリア周波数が一定である現行システムに対し、特許文献1の
ように、電源電圧の絶対値が低い領域だけ、スイッチング周波数を下げ、低騒音・低損失
を図るということが期待できるが、これであると、平均周波数が既存システムより下がっ
てしまい、結果的な電流高調波レベルは、逆に既存システム以上になってしまう。よって
、既存システムに対し、平均スイッチング数を維持したまま、高い領域と低い領域とを設
定することが実用上は有効である)
図7は、第2の実施の形態の電力変換装置を、電源電圧のゼロクロス付近ではキャリア
周波数が1650Hz、電源電圧のピーク付近ではキャリア周波数が1250Hzに設定
した場合の解析結果を示す。図4(従来のコンバータ制御装置)との比較により、高調波
成分が分散されており、低騒音化の効果が期待できることが分かる。
このように構成することで、電源電圧の位相θsに応じてキャリア周波数が変化するた
め、コンバータ5の出力電流のリプルの周波数スペクトルが分散され、主変圧器より生じ
ていた耳障りなピュアトーン(特定周波数成分をもつ音)を抑制し、低騒音化を図ること
ができる。
また、本実施の形態の電力変換装置も、電源電圧の正の半周期と負の半周期とで、同一
のキャリア周波数パターンを用いているので、出力電圧の非対称性を抑制し、主変圧器の
偏磁を抑制する効果が期待できる。
このように構成された電力変換装置は、直流偏磁や損失増加を防止することが出来、低
騒音化性能を向上することが出来る。
(第3の実施の形態)
本発明に基づく第3の実施の形態の電力変換装置について、図を参照し詳細に説明する
。図8は、本発明に基づく第3の実施の形態の電力変換装置のキャリア周波数演算部によ
るキャリア周波数の演算パターン図である。
本発明に基づく第2の実施の形態の電力変換装置のキャリア周波数演算部19は、隣あ
うキャリア周波数に規則性がないようにランダムにキャリア周波数を設定しているもので
ある。
このように構成された電力変換装置のキャリア周波数演算部19は、電源電圧が正の区
間(0deg<=θs<180deg)と負の区間(180deg<=θs<360deg)で
、同一のキャリア周波数パターンを設定する。また、キャリア周波数演算部19は、電源
電圧の1周期の区間に、キャリア周波数fc*を積分したもの(厳密には、fc*×2π[
rad/s]に換算したものの積分である)は360[deg]の整数倍に等しいという条件を
満たすように、キャリア周波数fc*[Hz]を設定している((式5)参照)。
このように構成することで、電源電圧の位相θsに応じてキャリア周波数が変化する。
このため、コンバータ5の出力電流のリプルの周波数スペクトルが分散され、主変圧器よ
り生じていた耳障りなピュアトーン(特定周波数成分をもつ音)を抑制し、低騒音化を図
ることができる。
このように構成された電力変換装置は、隣あうキャリア周波数を規則性なく、ランダム
に変化させることで、一様に電流高調波を分散させることができる。第1の実施の形態若
しくは第2の実施の形態のコンバータ制御装置のように、ある特定の周波数を持つように
キャリア周波数をふると、その周波数成分が新たに騒音として聞こえる懸念がある。
よって、本実施の形態のコンバータ制御装置のように、特定周波数をもたないようにラ
ンダムにキャリア周波数を変化させることで、一様に分散した電流高調波の分布を得るこ
とができる。この結果、キャリアを分散することの狙いである耳障りな特定周波数を出さ
ないという特性をより顕著にすることが可能である。
また、本実施の形態の電力変換装置も、電源電圧の正の半周期と負の半周期とで、同一
のキャリア周波数パターンを用いているので、出力電圧の非対称性を抑制し、主変圧器の
偏磁を抑制する効果が期待できる。
このように構成された電力変換装置は、直流偏磁や損失増加を防止することが出来、低
騒音化性能を向上することが出来る。
(第4の実施の形態)
本発明に基づく第4の実施の形態の電力変換装置について、図を参照し詳細に説明する。
図9は、本発明に基づく第4の実施の形態の電力変換装置のキャリア周波数演算部のブロ
ック図である。第1の実施形態乃至第3の実施の形態の電力変換装置とは、キャリア周波
数演算部39の構成の一部が異なる。
第4の実施の形態の電力変換装置において、周期カウント演算部26では、電源電圧位相
θsを元に、現在、何周期目かという周期カウンタNTを生成出力する。図9は、電源電
圧V1と周期カウンタNTとのの一例を示した関係図である。この例では、周期カウンタ
26は、電源1周期ごとに、0,1,2まで増加し、再度、0へと戻るように設定されてい
る。
キャリア周波数演算部39には、周期カウンタNTに対応するキャリア周波数パターンテ
ーブル24が3つ用意されている。切り替え器31では、周期カウンタNTに基づき、3
つのキャリア周波数パターンテーブル24から該当する一つを選定し、出力するものであ
る。このように構成された電力変換装置は、電源電圧の周期毎に、別なキャリア周波数パ
ターンを設定することが可能になる。ある特定のキャリア周波数パターンを用いるより、
周期毎にパターンを変えることで、より一層の電流高調波スペクトルを分散し、低騒音化
の効果を顕著化することが期待できる。また、本実施の形態の電力変換装置のように、1
周期毎に、新たなパターンを選択することで、出力電圧の非対称性、すなわち、直流偏磁
などの現象を抑制し、制御的な不安定性などを極力抑制することが期待できるものである
このように構成された電力変換装置は、直流偏磁や損失増加を防止することが出来、低騒
音化性能を向上することが出来る。
(第5の実施の形態)
本発明に基づく第5の実施の形態の電力変換装置について、図を参照し詳細に説明する。
図11は、本発明に基づく第5の実施の形態の電力変換装置ののブロック図である。
本発明に基づく第5の実施の形態の電力変換装置は、交流電車の1編成に、複数n台のコ
ンバータを備える場合の構成について説明するものである。尚、図1乃至図10に示した
ものと同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
本発明に基づく第5の実施の形態の電力変換装置において、第1のキャリア周波数演算
部49Aは、電源電圧位相θsに応じたキャリアカウンタNを生成し、他のキャリア周波
数演算部49へ出力する。他のキャリア周波数演算部49では、このキャリアカウンタN
によって、キャリア周波数パターンテーブル24を参照する。
各キャリア周波数演算部49の出力は、キャリア周波数fc*であり、これを積分した
ものが三角波キャリアの位相θcarとなる。本実施の形態のコンバータ制御装置のよう
に、複数台のコンバータが1編成内に存在する場合、互いのキャリア位相をずらすことで
架線に流れる電流高調波を相殺する位相差運転が交流電車システムにおいて、必須である
ため、上記の三角波キャリア位相θcarの後段にて、各ユニットの位相差オフセット2
8を加算する。
以上のような構成では、各ユニットのキャリアカウンタNが共通化されている点が特徴
である。これにより、各キャリア周波数演算部49にて設定されるキャリア周波数は、全
ユニットが同時点で同一設定となる。すなわち、キャリア周波数を可変にする場合であっ
ても、全ユニットが同時刻に同キャリア周波数を設定することが保証されるために、架線
に流れる電流高調波の抑制効果を維持することが可能となる。架線に流れる電流高調波の
増大は、信号回路に影響を及ぼす可能性があり、運転不能といった重大事故を引き起こす
可能性がある。本発明により、システムの信頼性を維持することが可能である。
なお、近年の制御はディジタル制御化されており、コントローラ毎の個体差は小さい。
よって、本実施例のように、ある1台のキャリアカウンタNを明確に共有するという構成
でなく、ディジタル制御によって個々を構成すれば、それはすなわち、キャリアカウンタ
Nを共有化していることと同等な作用効果が得られるものである。
(第6の実施の形態)
本発明に基づく第6の実施の形態の電力変換装置について、図を参照し詳細に説明する。
図12は、本発明に基づく第5の実施の形態の電力変換装置のブロック図である。
本発明に基づく第6の実施の形態の電力変換装置において、スイッチングモード設定部
22には、車両の速度やコンバータあるいはインバータあるいはその負荷である主電動機
の出力電力などが入力され、入力された状況に応じて、キャリア周波数を可変にするか固
定にするかの切り替え信号を出力する。
例えば、第1の設定例として、速度の絶対値が所定値より低い場合には、キャリア周波
数を可変にし、速度の絶対値が所定値より高い場合には、キャリア周波数を固定にする。
また、例えば、第2の設定として、出力電流のRMSの絶対値が所定値より低い場合には
、キャリア周波数を可変にし、出力電流のRMSの絶対値が所定値より高い場合には、キ
ャリア周波数を固定するといった運転状況に応じた設定が可能である。
キャリア周波数パターンテーブル24は、2つ用意されている。1つはキャリア周波数
を可変とするものであり、例えば、第1の実施の形態で示したものとすることができる。
もう1つは、キャリア周波数を固定するものである。すなわち、キャリアカウントNに依
らず、キャリア周波数が一定の値が書き込まれたパターンである。
切り替え器32は、切り替え信号に応じて、相応するテーブルから参照した値を、キャ
リア周波数設定値fc*として出力するものである。
このように構成された電力変換装置は、所定の運転条件だけ、キャリア周波数を可変に
して、低騒音化の効果を得ることができる。キャリア周波数を可変にして、低騒音化を図
るための一手段として、第1の実施の形態のコンバータ制御装置のように、電源電圧の絶
対値が大きいところでキャリア周波数を高く設定する方法があるが、しかしながら、通常
コンバータ5は力率1で運転するため、上記の設定によって、全体としては大きな電流値
を遮断、すなわち、損失が増加する恐れがある。低騒音化を最優先すれば、コンバータ5
の冷却能力を向上して対処することも可能だが、機器の大型化・重量化になるため好まし
くはない。
それに対し、低速領域やあるいは直接に低出力領域は、コンバータ5の出力電流が小さ
いため、コンバータ5の冷却能力には余力のある運転条件である。よって、この場合に限
りキャリア周波数を可変にして、低騒音化を図ることで、機器の大型化・重量化を引き起
さない範囲で、一部の運転条件に限定して低騒音化の効果も期待できる。
ここで、駅への停止および出発を想定すれば、駅で待つ乗客に対する騒音が問題である
。また、このような低速走行では、走行に伴う他の騒音も小さく、主変圧器からの電磁騒
音が目立つ運転条件である。よって、上記のように、低速、あるいは、低出力での領域に
限って、低騒音化を図るものであったとしても、交流電車システムとしては、非常に有益
な効果が得られるものである。
1 パンタグラフ
2 車輪
3 コンバータ入力電圧検出器
4 コンバータ入力電流検出器
5 コンバータ
6 フィルタコンデンサ7の電圧検出器
7 フィルタコンデンサ
8 インバータ
9 電動機
10 コンバータ制御装置
11 主変圧器
12 減算器
13 電圧制御部
14 加算器
15 電流指令演算部
16 減算器
17 電流制御部
18 PWM制御部
19 キャリア周波数演算部
20 電源電圧FF演算部
21 位相推定部
22 スイッチングモード設定部
23 架線電圧検出器
24 キャリア周波数パターン
25 キャリアカウント演算部
26 周期カウント演算部
27 積分器
28 加算器
29 除算器
31 切り替え器
32 運転モード切換スイッチ
39 キャリア周波数演算部
49 キャリア周波数演算部
59 キャリア周波数演算部

Claims (1)

  1. 交流を直流に変換する複数のコンバータと、
    キャリア周波数を演算する複数のキャリア周波数演算部と、
    キャリア周波数から演算された三角波キャリアと変調波の比較により前記コンバータのパルス幅変調制御を行うPWM制御部とを有し、
    前記複数のキャリア周波数演算部は、
    同一のキャリア周波数パターンを有し、
    前記コンバータに入力される交流電圧の絶対値が小さい時より、絶対値が大きい時に早い周波数となるように、前記交流電圧の位相に対応したキャリア周波数を設定し、
    前記PWM制御部は、
    前記キャリア周波数に基づきキャリアの位相を算出する積分器により算出されたキャリアの位相に、位相差のオフセットが加算された位相に基づき、互いのキャリアの位相がずれた前記三角波キャリアを発生することを特徴とする電力変換装置。
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