JP3873212B2 - 交流電気車の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の搬送波に基づいて交流架線から入力した交流電力を直流電力に変換する電力変換装置を備えた交流電気車の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の交流電気車、とりわけ所定の搬送波に基づいて電力変換素子の導通状態を制御することにより、交流架線から入力した交流電力を直流電力に変換する電力変換装置(以下、PWMコンバータ)を備えた交流電気車において、PWMコンバータを複数台並列接続して動作させる場合に、それらの搬送波周波数を同一とし、かつ、これらの搬送波の位相差を適切な値に設定することによって、搬送波の所定の整数次高調波成分を打ち消し合い、交流架線に還流される所定の高調波成分を低減可能な技術が知られている。この技術はPWMコンバータの搬送波位相差運転と呼ばれ、公知の技術となっている(例えば、非特許文献1参照)。実際には、複数のPWMコンバータに対して如何にして搬送波位相の同期を行うのか、その実現手段が課題となる。特に交流電気車の分野においては、電力変換素子にGTOサイリスタ等を用いた場合、交流架線周波数に対して搬送波周波数はその10倍程度が上限となるため、一般に交流架線周波数と搬送波周波数を非同期にすることは困難である。このため、通常、搬送波周波数を交流架線周波数の整数倍に設定する同期PWM方式が用いられる。同期PWM方式の場合、各コンバータは搬送波位相を交流架線に同期させて運転することになるため、複数台のPWMコンバータが搬送波位相差運転を行う場合、必然的に共通の交流架線電圧信号を位相基準にして各搬送波の位相差を設定する。
この搬送波位相差運転を実現するに当たって、交流架線電圧信号のゼロクロス点を検出して矩形波に加工した同期信号を生成し、この同期信号が入力されるたびに、搬送波の初期位相を所定の値に設定する手段を備え、複数台のPWMコンバータを並列動作させる場合には、搬送波の初期位相をそれぞれ異なる適切な値に設定することによって搬送波位相差運転を実現している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
電気学会発行「電気鉄道研究会資料」RAT−86−5
【特許文献1】
特開平7−274517号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、基本的に搬送波周波数一定とし、外部から入力される交流架線電圧信号に基づいて搬送波の初期位相を設定するものである。ところが実際に交流電気車に供給される交流架線周波数は、必ずしも厳密に固定値という訳ではなく、微小な変動幅を許容したものとなっている。また、交流架線電圧信号は、交流架線電圧を直接検出することは稀であり、実際は変圧器を介して低電圧に変換された交流電圧信号を検出する場合が多く、さらに交流電気車の場合、1台の変圧器で複数台のPWMコンバータに電力を供給する、すなわち1台の変圧器に複数の低圧側巻線が接続されている場合が多い。このような場合、変圧器の相互インダクタンスによって、他巻線に流れる交流電流は交流架線電圧の検出値に影響を及ぼす。
以上の理由から、交流電気車の制御装置に入力される交流架線電圧信号は、定常的な周波数変動(偏差)および交流的な外乱が重畳される。したがって、このような交流架線電圧信号に基づいて搬送波の初期位相を設定すると、交流架線電圧信号のゼロクロス点で搬送波位相が不連続になるため、正確なパルス出力が困難になる。ただし、このような場合においても、複数台のPWMコンバータの搬送波の位相差は確立されているので、搬送波の整数次高調波成分が大幅に増大することはないが、むしろ搬送波周波数よりも低い周波数領域、例えば交流架線周波数(基本周波数)の整数次高調波成分が増大してしまうという課題があった。
【0005】
本発明の課題は、複数台のPWMコンバータにおいて搬送波周波数よりも低い周波数領域で発生する高調波、特に交流架線周波数(基本周波数)の整数次高調波成分の増大を抑制するに好適な交流電気車の制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、交流架線電圧の検出器と、交流架線電圧の位相検出手段と、内部電源周波数を積分して内部電源位相を出力する積分手段と、交流架線電圧位相と内部電源位相の偏差に基づいて電源周波数偏差を演算する演算手段と、電源周波数偏差に内部電源周波数基準値を加算して内部電源周波数を求める手段とを備え、交流架線電圧位相と内部電源位相が同期するように内部電源周波数を制御し、内部電源周波数に基づいて搬送波周波数を演算する手段と、搬送波周波数を積分して搬送波位相を求め、搬送波位相に基づいて電力変換素子の導通状態を制御する搬送波を生成する手段と、電源周波数偏差を演算する演算手段として複数の電源周波数偏差を演算する演算手段を備えると共に、電気車の走行状態を入力する入力手段を設け、電気車の走行状態に応じて複数の演算手段を切り替える。
また、交流架線電圧の検出器と、交流架線電圧の位相検出手段と、内部電源周波数を積分して内部電源位相を出力する積分手段と、交流架線電圧位相と内部電源位相の偏差に基づいて電源周波数偏差を演算する演算手段と、電源周波数偏差に内部電源周波数基準値を加算して内部電源周波数を求める手段とを備え、交流架線電圧位相と内部電源位相が同期するように内部電源周波数を制御し、内部電源周波数に基づいて搬送波周波数を演算する手段と、搬送波周波数を積分して搬送波位相を求め、搬送波位相に基づいて電力変換素子の導通状態を制御する搬送波を生成する手段と、電気車の走行状態を入力する入力手段を設け、電気車の走行状態に応じて積分手段を任意の初期値にリセットする。
【0007】
本発明は、交流架線電圧の位相に基づいて搬送波周波数を制御することにより、その積分値である搬送波位相が連続的に変化するため、各PWMコンバータは、搬送波周波数よりも低い周波数領域で発生する高調波、特に交流架線周波数(基本周波数)の整数次高調波成分の増大を抑制することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による交流電気車の制御装置の構成を示すブロック図である。図1において、交流電力を供給する交流架線1にパンタグラフ2が接し、パンタグラフ2は主変圧器3の一次巻線4(高圧側巻線)側に接続される。主変圧器3の低圧側巻線は2種類用意されており、そのうちの二次巻線5は電気車を駆動する電力供給に使用され、PWMコンバータ8に接続されている。PWMコンバータ8は、コンバータ制御装置12から出力されるゲートパルス信号qによって制御され、二次巻線5から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換装置である。PWMコンバータ8の供給する直流電力は、フィルタコンデンサ10を介してPWMインバータ9に供給される。PWMインバータ9は、PWMコンバータ8より供給される直流電力を所定の周波数の交流電力に変換する電力変換装置であり、供給する交流電力によって誘導電動機11を駆動する。一方、主変圧器3のもう一つの低圧側巻線である三次巻線6は、コンバータ制御装置12に接続されている。
【0009】
コンバータ制御装置12において、主変圧器3の三次巻線6は交流電圧センサ7に接続され、交流電圧センサ7は検出した三次巻線電圧を交流架線電圧信号aとして出力する。バンドパスフィルタ20は、交流架線周波数を通過周波数とするフィルタであり、交流架線電圧信号aを入力し、入力信号aに含まれる高調波成分(主としてPWMコンバータによるスイッチングノイズ)を除去した信号bを出力する。ヒステリシス付比較器21は、バンドパスフィルタ20の出力する交流架線電圧信号の基本波bを入力し、これを矩形波cに変換して出力する。位相計測カウンタ22は、常時インクリメントするカウンタであり、交流架線電圧信号の矩形波cを入力とし、入力信号cの立ち上がりエッジを検出してカウンタをゼロクリアする仕組みになっており、そのカウンタ値を交流架線位相dとして出力する。
減算器23は、位相計測カウンタ22の出力する交流架線位相dと、積分器27の出力する内部電源位相jとの偏差(架線位相差)eを求める。PI制御器24は、架線位相差eを入力とし、これがゼロとなるような電源周波数偏差fを出力する。リミッタ25は、PI制御器24の出力する電源周波数偏差fが制御可能な範囲かどうかをチェックし、もしも可能であれば、入力信号fをそのまま出力信号(内部電源周波数補正量)gとしてスルー出力し、もしも不可能であれば制御可能な最大値(または最小値)に補正し、これを出力信号(内部電源周波数補正量)gとする。加算器26は、リミッタ25の出力する電源周波数補正量gと内部電源周波数基準値hを加算し、内部電源周波数iを出力する。積分器27は、内部電源周波数iを積分し、内部電源位相jを出力する。
ゲイン28は、内部電源周波数iを整数倍して搬送波周波数kを求める乗算器である。積分器29は、ゲイン28の出力した搬送波周波数kを積分し、搬送波位相lを求める。
加算器30は、積分器29の出力する搬送波位相lを搬送波位相差mと加算し、搬送波位相差運転用の搬送波位相nを出力する。搬送波テーブル31は、搬送波位相nを入力とし、内部テーブルを参照して搬送波oを出力する。比較器32は、搬送波テーブル31の出力する搬送波oと、瞬時電流制御器(本発明においては説明は不要であるため省略し、記載していない)の出力する瞬時変調率pを比較し、ゲートパルス信号qを出力する。
【0010】
本実施形態は、減算器23、PI制御器24、リミッタ25、加算器26および積分器27からなる構成によって、基本的に交流架線位相dに対して内部電源位相jを瞬時に追従させないで、PI制御器24の制御ゲインによって規定される時定数に応じて追従させる。ここで、PI制御器24の制御ゲインKを小さくし、交流架線位相dに対して内部電源位相jを遅れてゆっくり且つ連続して追従させる。また、交流架線位相dの変動に対して、内部電源位相jはPI制御器24の制御ゲインによって規定される遮断周波数より高い周波数成分の変動に対しては追従しない(ローパスフイルタとして機能する。)。このため、内部電源周波数iは、架線周波数に同期し、安定した周波数となる。
また、ゲイン28および積分器29からなる構成によって、搬送波周波数kは、こうして生成される内部電源周波数iをゲイン28による定数倍(例えばN倍)して求めたものであるから、含まれる周波数成分は内部電源周波数iと等しい。したがって、搬送波周波数kを積分して求めた搬送波位相lに含まれる周波数成分は、内部電源位相jと等しい。
したがって、搬送波位相lは、交流架線位相dの変動に対してPI制御器24の制御ゲインによって規定される遮断周波数より高い周波数成分の外乱を除去することができ、この結果、交流架線周波数の定常的な偏差に対しては追従し、交流的な外乱に対してはこれを遮断することになり、安定した搬送波位相lを供給することができ、安定したゲートパルスqを出力することが可能になる。
基本的に、交流架線電圧に重畳される外乱のうち、主としてPWMコンバータによるスイッチングノイズ等の搬送波周波数領域の高周波成分はバンドパスフィルタ20によって除去されるが、通過帯域である交流架線周波数近傍の変動を完全に除去することは困難である。本実施形態によるコンバータ制御装置12は、バンドパスフィルタ20を通過してきた交流的な外乱に対しても、これに影響されずに安定した搬送波位相を生成し、安定したゲートパルスを出力することができため、交流架線周波数の整数次高調波を低減することが可能になる。
【0011】
図2は、本発明の他の実施形態を示す。図2において、コンバータ制御装置12aは、図1に示すコンバータ制御装置12と比較して、時定数の異なるPI制御器24aおよびPI制御器24b(ここで、PI制御器24aの制御ゲイン<PI制御器24bの制御ゲインとする。)を備えており、各PI制御器の出力する電源周波数偏差f1およびf2は、ともに入力切替スイッチ35に入力され、入力切替スイッチ35は、運転指令入力装置33の出力するコンバータゲートスタート信号rに基づいて電源周波数偏差f1およびf2のいずれかを選択し、これを出力信号(電源周波数偏差)f3としてリミッタ35に入力する構成となっている点が特徴である。
コンバータ制御装置12aは、PI制御器24aおよびPI制御器24b、入力切替スイッチ35からなる構成をとることによって、交流電気車の走行状態に応じてPI制御器の制御ゲインを切り替える。すなわち、交流架線位相dの変動に対する応答時定数、あるいは遮断周波数を切り替える。
PWMコンバータ8のPWM出力を停止させるゲートストップ中は、高ゲインのPI制御器24bを選択し、交流架線位相dに内部電源位相jを素早く追従させて初期位相を確立させる(ゲートストップ中であるので、高速に応答しても高調波が増大することはない。)。一方、ゲートスタート中は、低ゲインのPI制御器24aを選択し、図1に示す実施形態と同様に、交流架線位相dに含まれる交流的な外乱を遮断する。
【0012】
図3は、本発明の他の実施形態を示す。図3において、コンバータ制御装置12bは、図1に示すコンバータ制御装置12と比較して、リミッタ25は、その出力信号gが入力信号fに対してリミッタ制限される場合に、リミッタ検知信号sを出力し、ANDゲート34は、リミッタ検知信号sと運転指令入力装置33の出力するコンバータゲートスタート信号rの論理積tを積分器27に出力する構成となっている点が特徴である。
コンバータ制御装置12bは、このような構成をとることによって、コンバータのPWM出力を停止させるゲートストップ中に、リミッタ25によって電源周波数偏差fがリミッタ制限を受ける場合(これは交流架線位相dと内部電源位相jの偏差が大きい場合、すなわちPI制御器24のゲインの規定する応答時定数では、初期位相の収束に時間がかかり過ぎると判断した場合)には、強制的に積分器27の初期値をリセットし、架線位相差eがゼロとなるような初期位相を瞬時に設定する。このとき内部電源位相差および搬送波位相は不連続に変化するが、コンバータゲートストップ中のため、高調波が増大することはない。
また、一度、初期位相を設定すると、架線位相差eは微小な偏差となるため、電源周波数偏差fがリミッタ25によってリミッタ制限を受けることもなく、いつでもコンバータゲートスタート可能な状態となっている。この状態からコンバータゲートスタートしても、初期位相は十分確立されており、かつ、PI制御器24によって交流架線位相dに含まれる交流的な外乱を遮断することができる。
【0013】
ここで、図4〜図15を用いて、従来技術および本発明に基づくシミュレーション波形を説明する。
図4〜図9は、従来技術に基づくシミュレーション波形を示す。
従来技術による電力変換装置の諸元は、
(1)交流架線周波数50Hz
(2)搬送波周波数1050Hz(交流架線周波数50Hz×21パルス)
(3)周期信号の立ち上がりエッジで搬送波位相をゼロリセット(強制同期)する、
とする。
図4〜図6は、交流架線周波数49.7Hzの場合である。
図4に、従来技術によるコンバータPWM波形を示す。横軸の単位は秒(s)である。また、同期信号とは、図1における交流架線電圧信号cのことである。また、U相パルスおよびV相パルスとは、図1におけるゲートパルス信号qのことである。交流架線周波数50Hzよりも小さいので、交流架線周期は20msよりも長くなり、かつ、同期信号の立ち上がりエッジで強制的に搬送波位相をゼロリセットするため、この前後のパルス幅が理想よりも長くなっている。
このときの主変圧器二次電流波形を図5に示す。横軸の単位は秒(s)であり、縦軸の単位はアンペア(A)である。主変圧器二次電流とは、図1における主変圧器二次巻線5を流れる電流である。主変圧器二次電流とコンバータ電圧の関係は、簡易的には
[主変圧器二次電流]∝[主変圧器二次電圧]−[コンバータ電圧]
と近似できる。
図4において、同期信号の立ち上がり前後でパルス幅が理想よりも長くなり、ここで0.15秒,0.35秒のU相パルスに注目すると、パルス幅が広くなり、パルス幅に不連続が生ずるため、コンバータ電圧が理想よりも大きくなった。このため、図5において、主変圧器二次電流は0.15秒,0.35秒付近においてパルス幅が広くなった分波形が歪み、同期信号の立ち上がり前後で理想よりも小さくなっている。
このときの主変圧器二次電流の周波数特性を図6に示す。横軸の単位は周波数(Hz)であり、縦軸の単位はアンペア(A)である。図6の最大振幅(最も左側の波形)は基本波成分であり、2100Hzおよび4200Hz付近の高調波(比較的振幅の大きい波形)は、搬送波周波数1050Hzの高調波である。一方、図5において同期信号の立ち上がりエッジ前後で毎回、すなわち交流架線周波数49.7Hzで主変圧器二次電流波形が歪んでいるので、その影響として交流架線周波数の整数倍の高調波が生じている。
【0014】
図7〜図9は、交流架線周波数50.3Hzの場合である。
図7に、従来技術によるコンバータPWM波形を示す。交流架線周波数は50Hzよりも大きいので、交流架線周期は20msよりも短くなり、かつ、同期信号の立ち上がりエッジで強制的に搬送波位相をゼロリセットするため、この前後でパルス幅に不連続が生じ、パルス幅が理想よりも短くなる。特に、図7の0.20秒においてはU相パルスが出力されていない。
このときの主変圧器二次電流波形を図8に示す。図7において同期信号の立ち上がり前後でパルス幅が理想よりも短くなり、コンバータ電圧が理想よりも小さくなった。このため、図8の0.20秒付近において、主変圧器二次電流は同期信号の立ち上がり前後で理想よりも大きくなっている。
このときの主変圧器二次電流の周波数特性を図9に示す。図8において同期信号の立ち上がりエッジ前後で毎回、すなわち交流架線周波数50.3Hzで主変圧器二次電流波形が歪んでいるので、その影響として交流架線周波数の整数倍の高調波が生じている。
【0015】
図10〜図15は、本発明によるシミュレーション波形を示す。
本発明による電力変換装置の諸元は、
(1)交流架線周波数48.5〜51.5Hzに対応
(2)搬送波周波数=内部電源周波数×21パルス
(3)周期信号と内部電源位相が同期するように内部電源周波数を制御する、
とする。
図10〜図12は、図4〜図6と同様、交流架線周波数49.7Hzの場合である。
図10に、本発明によるコンバータPWM波形を示す。本発明は、交流架線位相と内部電源位相が同期するよう内部電源周波数を制御し、これに基づいて搬送波周波数を決定するので、図4で見られた同期信号の立ち上がりエッジ前後、ここで0.15秒,0.35秒のU相パルスに注目すると、パルス幅が広くなり、パルス幅が不連続になるような不正パルスを解消している。
このときの主変圧器二次電流波形を図11に示す。図5で見られた同期信号の立ち上がりエッジ前後、0.15秒,0.35秒付近での主変圧器二次電流波形の歪みを解消している。
このときの主変圧器二次電流の周波数特性を図12に示す。図6と比較して、交流架線周波数の整数倍の高調波を大幅に低減している。
【0016】
図13〜図15は、図7〜図9と同様、交流架線周波数50.3Hzの場合である。
図13に、本発明によるコンバータPWM波形を示す。本発明は、交流架線位相と内部電源位相が同期するよう内部電源周波数を制御し、これに基づいて搬送波周波数を決定するので、図7で見られた同期信号の立ち上がりエッジ前後でのパルス幅に不連続が生じ、例えばパルスが欠落するような不正パルスを解消している。
このときの主変圧器二次電流波形を図14に示す。図8で見られた同期信号の立ち上がりエッジ前後、例えば0.20秒付近での主変圧器二次電流波形の歪みを解消している。
このときの主変圧器二次電流の周波数特性を図15に示す。図9と比較して、交流架線周波数の整数倍の高調波を大幅に低減している。また、図9と比較すると、2100Hzおよび4200Hz付近の搬送波の周波数が高くなっている。すなわち、交流架線周波数に追従していることが分かる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、搬送波周波数よりも低い周波数領域で発生する高調波、特に交流架線周波数(基本周波数)の整数次高調波成分の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による交流電気車の制御装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の他の実施形態を示すブロック図
【図3】本発明の他の実施形態を示すブロック図
【図4】従来技術によるコンバータPWM波形(電源周波数49.7Hzのとき)
【図5】従来技術による主変圧器二次電流波形(電源周波数49.7Hzのとき)
【図6】従来技術による主変圧器二次電流スペクトル(電源周波数49.7Hzのとき)
【図7】従来技術によるコンバータPWM波形(電源周波数50.3Hzのとき)
【図8】従来技術による主変圧器二次電流波形(電源周波数50.3Hzのとき)
【図9】従来技術による主変圧器二次電流スペクトル(電源周波数50.3Hzのとき)
【図10】本発明によるコンバータPWM波形(電源周波数49.7Hzのとき)
【図11】本発明による主変圧器二次電流波形(電源周波数49.7Hzのとき)
【図12】本発明による主変圧器二次電流スペクトル(電源周波数49.7Hzのとき)
【図13】本発明によるコンバータPWM波形(電源周波数50.3Hzのとき)
【図14】本発明による主変圧器二次電流波形(電源周波数50.3Hzのとき)
【図15】本発明による主変圧器二次電流スペクトル(電源周波数50.3Hzのとき)
【符号の説明】
1…交流架線、2…パンタグラフ、3…主変圧器、4…主変圧器一次巻線、5…主変圧器二次巻線、6…主変圧器三次巻線、7…交流電圧センサ、8…PWMコンバータ、9…PWMインバータ、10…フィルタコンデンサ、11…誘導電動機、12,12a,12b…コンバータ制御装置、20…バンドパスフィルタ、21…ヒステリシス付比較器、22…位相計測カウンタ、23…加算器、24…PI制御器、25…リミッタ、26…加算器、27…積分器、28…ゲイン、29…積分器、30…加算器、31…搬送波テーブル、32…比較器、33…運転指令入力装置、34…ANDゲート、35…入力切替スイッチ
a…交流架線電圧信号(三次巻線経由)、b…交流架線電圧信号(基本波成分)、c…交流架線電圧信号(矩形波)、d…交流架線位相、e…架線位相差、f,f1,f2,f3…電源周波数偏差、g…内部電源周波数補正量、h…内部電源周波数基準値、i…内部電源周波数、j…内部電源位相、k…搬送波周波数、l…搬送波位相、m…搬送波位相差、n…搬送波位相(搬送波位相差運転用)、o…搬送波、p…瞬時変調率、q…ゲートパルス信号、r…コンバータゲートスタート信号、s…リミッタ検知信号、t…積分器27のリセット信号
Claims (2)
- 所定の搬送波に基づいて電力変換素子の導通状態を制御することにより交流架線から入力した交流電力を直流電力に変換する電力変換装置を備えた交流電気車の制御装置において、
交流架線電圧の検出器と、前記交流架線電圧の位相検出手段と、内部電源周波数を積分して内部電源位相を出力する積分手段と、前記交流架線電圧位相と前記内部電源位相の偏差に基づいて電源周波数偏差を演算する演算手段と、前記電源周波数偏差に内部電源周波数基準値を加算して前記内部電源周波数を求める手段と、前記交流架線電圧位相と前記内部電源位相が同期するように前記内部電源周波数を制御し、前記内部電源周波数に基づいて搬送波周波数を演算する手段と、前記搬送波周波数を積分して搬送波位相を求め、前記搬送波位相に基づいて前力変換素子の導通状態を制御する搬送波を生成する手段と、前記電源周波数偏差を演算する演算手段として複数の電源周波数偏差を演算する演算手段を備えると共に、電気車の走行状態を入力する入力手段を設け、前記電気車の走行状態に応じて前記複数の演算手段を切り替えることを特徴とする交流電気車の制御装置。 - 所定の搬送波に基づいて電力変換素子の導通状態を制御することにより交流架線から入力した交流電力を直流電力に変換する電力変換装置を備えた交流電気車の制御装置において、
交流架線電圧の検出器と、前記交流架線電圧の位相検出手段と、内部電源周波数を積分して内部電源位相を出力する積分手段と、前記交流架線電圧位相と前記内部電源位相の偏差に基づいて電源周波数偏差を演算する演算手段と、前記電源周波数偏差に内部電源周波数基準値を加算して前記内部電源周波数を求める手段と、前記交流架線電圧位相と前記内部電源位相が同期するように前記内部電源周波数を制御し、前記内部電源周波数に基づいて搬送波周波数を演算する手段と、前記搬送波周波数を積分して搬送波位相を求め、前記搬送波位相に基づいて前記電力変換素子の導通状態を制御する搬送波を生成する手段と、電気車の走行状態を入力する入力手段を設け、前記電気車の走行状態に応じて前記積分手段を任意の初期値にリセットすることを特徴とする交流電気車の制御装置。
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