JP5397999B2 - 基材同士の接合方法及び接合体 - Google Patents

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本発明は、基材同士の接合方法、接合体、及びインクジェット記録装置に係り、特に、異種材料で構成された基材同士の接合技術に関する。
基材同士の接着は各種の技術分野において行われており、例えばインクジェット記録装置のインク液滴を吐出するインクジェットヘッド(以下、ヘッドという)は、樹脂系材料、金属系材料、シリコン系材料等の異種材料で構成された基材同士を接合して積層することにより組み立てられている。
基材同士の接合方法としては、接着剤が通常使用されており液状又はペースト状の接着剤を基材接合面に塗布して基材同士を貼り合わせ、その後に熱や光の作用で接着剤を硬化させることにより、基材同士を接合している。
しかし、インクジェット記録装置のヘッドのように基材同士に高い接合強度が要求される場合には、基材接合面にプライマー膜を形成する必要があり、プライマー膜としてシランカップリング剤がよく用いられている。
例えば、特許文献1には、第1の基材上に、プラズマ重合膜を形成し、第1の被着体を得ると共に、別途、第2の基材を用意する工程と、プラズマ重合膜と、第2の被着体のプラズマ重合膜を備えない面とが密着するように、第1の被着体と第2の被着体とを重ね合わせて、仮接合体5を得る工程と、仮接合体中のプラズマ重合膜に対してエネルギーを付与することにより、仮接合体を接合して、接合体を得る工程とを有する接合方法が開示されている。また、プライマー膜の原料としてオルガノシロキサンが使用されている。そして、特許文献1によれば、2つの被着体同士を、高い寸法精度で強固に、かつ低温で効率よく接合することができるので、液滴ヘッドに好適であるとされている。
また、特許文献2には、素子基板とチッププレートを接着する接着剤が、光カチオン重合触媒と、熱カチオン重合触媒と、光増感剤、及びシランカップリング剤とを有することで、接着剤が吐出口へ這い上がることを防止しながら、素子基板とチッププレートとの強固な接着を行う液体ヘッドの製造方法が開示されている。特許文献2によれば、素子基板のシュリンク化が進み、液供給路間のピッチが狭くなることで接着領域が減少した場合であっても、素子基板とチッププレート間を高い接着強度で接着することができるとされている。
特開2009−028921号公報 特開2008−149521号公報
ところで、ヘッドのように、基材同士を積層させて構造体を形成する場合、基材接合面の接合領域のみに如何に正確にプライマー膜を形成し、接合領域以外への不必要な部分へのプライマー膜のはみ出しをなくすかが、構造体の寸法精度、接合信頼性にとって重要である(以下、「プライマー膜のはみ出し防止」という)。プライマー膜のはみ出しは、ヘッド以外の他の部材への悪影響が懸念されると共に、ヘッドから吐出されるインクに接触することでインクへのコンタミネーションの要因になる。
また、ヘッドは、水溶性や非水溶性のインクに長期間接触しても基材同士が剥離しないだけのプライマー膜のインク耐性が要求される(以下、「プライマー膜のインク耐性」という)。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2ともに、プライマー膜のはみ出し防止やプライマー膜のインク耐性が要求されるヘッドのような構造体の接合方法としては十分に満足できるものではなかった。
即ち、特許文献1の技術は、プラズマ重合法で、シロキサンネットワークが複雑に入り組んだ高密度膜を形成し、その膜を介して二つの基材を接合する方法である。この方法は、シロキサンネットワーク高密度膜を形成することで、シロキサン結合の単分子膜の場合よりもインク耐性は多少改善されると考えられる。しかし、シロキサン結合がアルカリ性、酸性、更には中性の水溶性成分を含む溶液によって加水分解することには変わりなく、インク耐性の抜本的な解決にはなってはいない。
また、特許文献2は、基材表面にシランカップリング剤(プライマー)を塗布せずに、接着剤自体にシランカップリング剤を含み、かつ光、熱で硬化する触媒を導入し、接着する技術であるが、上述のように、基板と接着剤の接合部分がシロキサン結合であるため、インク耐性が悪い。更に、プライマーを塗布する場合、均一に成膜することが難しく、気相法等で形成する場合も、下地表面の水酸基を高密度に形成しなければならず、基材表面の前処理によって、プライマーの接着性能が左右される。
そして、特許文献1及び2に共通して言えることであるが、シランカップリング剤のプライマー膜を形成するには水酸基(OH基)が必要であり、基材接合面の不必要な部分に水酸基が存在する場合に、熱や光等がなくても、自動的に反応し、Si−O結合によるシランカップリング膜が形成されてしまうことである。これによりプライマー膜のはみ出しが発生し、上記のように他の部材への悪影響や、インクへのコンタミネーション等の問題が発生する。特に、接合する基材として、元々自然酸化膜等があるシリコン系材料(Si材料)を使用する場合にはさらに大きな問題になる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、プライマー膜のはみ出しを効果的に防止でき、しかも水溶性や非水溶性の液に長期間接触しても基材同士が剥離することがない高い溶液耐性(例えばインク耐性)を有する基材同士の接合法、接合体、及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る基材同士の接合方法は、第1基材と第2基材とを接合する基材同士の接合方法において、前記第1基材の少なくとも表面の一部がSi原子を含むシリコン系材料を用いて、該第1基材の表面を水素終端化処理又はハロゲン終端化処理する終端化処理工程と、前記終端化処理後の第1基材の表面のうち接合領域のみにエネルギーを付与しながら、前記第1基材の表面に、不飽和結合を末端に有するプライマー膜原料を接触させることにより、前記接合領域にのみ選択的にSi−C結合によるプライマー膜を形成するプライマー膜形成工程と、前記プライマー膜を少なくとも介して前記第1基材と前記第2基材とを結合する結合工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、「第1基材の少なくとも表面の一部がSi原子を含むシリコン系材料を用いて」とは、第1基材全体がシリコン系材料である場合に限らず、第1基材の表面がシリコン系材料である場合も含むものとする。更には、第1基材表面の全部がシリコン系材料である場合に限らず、第1基材表面の一部がシリコン系材料で形成されていてもよい。
また、プライマー膜は、接着剤の接合強度を補助する意味で使用する場合もあるが、ここでは接着剤そのものとして使用する場合も含む。
本発明によれば、第1基材と第2基材とを、Si−C結合のプライマー膜を少なくとも介して結合するようにしたので、プライマー膜のはみ出しを効果的に防止できる。
これは、Si−C結合のプライマー膜は、エネルギーを付与した部分のみに成膜されるという高い成膜選択性があるので、第1基材の接合したい接合領域のみにエネルギーを付与すれば、プライマー膜のはみ出しを精度良く防止できる。
また、Si−C結合のプライマー膜は水溶性や非水溶性の液(例えばインク)に長期間接触しても基材同士が剥離することがない高い溶液耐性(例えばインク耐性)を有している。
ここで、プライマー膜を少なくとも介して第1基材と第2基材とを結合するとは、Si−C結合のプライマー膜だけで第1と第2基材同士を結合することに限らず、第1基材と第2基材との間に、Si−C結合のプライマー膜以外の接着機能を有する接着膜が形成されていてもよいことを意味する。
例えば、プライマー膜原料には第2基材と結合可能な官能基を有し、該官能基を介してSi−C結合のプライマー膜に第2基材を直接結合することができる。例えば、第2基材が樹脂系材料である場合、プライマー膜原料の第2基材と結合可能な官能基は、ビニル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基の少なくとも1つであることが好ましい。
また、プライマー膜の上に接着剤膜を形成し、該接着剤膜に第2基材を結合したり、あるいは第2基材がシリコン系材料の場合には、第2基材の表面うちの接合領域に、第1基材と同様にプライマー膜を形成し、第1基材のプライマー膜と第2基材のプライマー膜とを接着剤で接合したりすることができる。
また、本発明では、終端化処理工程として、水素終端化処理とハロゲン終端化処理との2通りを選択できるが、プライマー膜形成の容易性及びコンタミネーション防止の観点から水素終端化処理が好ましい。また、水素終端化処理としては、フッ酸又はフッ化アンモニウムを含む溶液に、第1基材を浸漬するウエットプロセスと、水素ガスを含むプラズマで第1基材をプラズマ処理するドライプロセスとがあるが、コンタミネーション防止の観点からドライプロセスがより好ましい。なお、第2基材に水素終端化処理する場合も同様である。
本発明の基材同士の接合方法において、前記エネルギーは、熱、紫外線、可視光の何れかであることが好ましい。これらのエネルギーを終端化処理された第1基材表面に加えることにより、第1基材表面から水素原子(水素終端化の場合)又はハロゲン原子(ハロゲン終端化の場合)を引き抜かれ、有機材料からなるプライマー膜のC(炭素)原子とラジカル反応を行ってSi−C結合を行うためのシリコンラジカル(ダングリングボンド)が効率的に生成される。なお、第2基材にプライマー膜を形成する場合も同様である。
エネルギーとして紫外線又は可視光を使用することが特に好ましい。これは、紫外線又は可視光の光エネルギーは、遮蔽領域と非遮蔽領域とを設けることで、接合領域のみに紫外線又は可視光が照射されるための構成を容易且つ簡単に達成することができる。例えば、接合領域のみが露出するように半導体で使用するフォロリソグラフィー用のマスクをセットし、接合領域のみに紫外線又は可視光が照射されるようにすれば、接合領域のみにエネルギーを高精度且つ容易に付与することができる。
本発明の基材同士の接合方法において、前記終端化処理の前に、前記第1基材表面の不純物を除去する洗浄工程を備えることが好ましい。第1基材表面の不純物を除去することにより、終端化処理の効率が良くなるためである。なお、第2基材を終端化処理する場合も同様である。
前記目的を達成するために、本発明にかかる接合体は、請求項1〜10の何れか1に記載の基材同士の接合方法により接合されたことを特徴とする。
本発明によれば、プライマー膜のはみ出しを効果的に防止でき、しかも水溶性や非水溶性の液(例えばインク)に長期間接触しても基材同士が剥離することがない高い溶液耐性(例えばインク耐性)を有する接合方法及び接合体を提供できる。
したがって、本発明の接合体をインクジェット記録装置のインクジェットヘッドに使用すれば、画像品質を向上できる。
インクジェット記録装置の概略を示す全体構成図 図1に示すインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 ヘッドの構造列を示す平面透視図 図3のIV−IV線に沿った断面図 ノズルプレートにプライマー膜を形成する反応プロセス図 ノズルプレートにSi−C結合のプライマー膜を形成する際の成膜選択性を説明する説明図 基材同士の接合の形態を説明する説明図 ノズルプレートにSi−O結合のプライマー膜を形成する際の成膜選択性を説明する説明図 ノズルプレートにSi−C結合のプライマー膜とSi−O結合のプライマー膜とのアルカリ耐性を比較する説明図
以下、添付図面に従って本発明の基材同士の接合方法、接合体、及びインクジェット記録装置の好ましい実施の形態について詳説する。
なお、本実施の形態の接合方法では、インク耐性が要求されるインクジェットヘッドのノズルプレート(第1基材)とヘッド本体部(第2基材)とを接合する例で以下に説明するが、これに限定されるものではなく、水溶性や非水溶性の液に長期間接触しても基材同士が剥離することがない高い溶液耐性が要求される全ての部材や機器に適用できる。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は、インクジェット記録装置の一例を示した全体構成図である。
同図に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印字済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。印字部12を構成する各ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている(図2参照)。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色のヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントするべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(不図示)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソータが設けられている。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造について説明する。なお、各ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下では、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3(a)は、ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b)は、その一部拡大図である。また、図3(c)は、ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図である。
図4は、インク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図3(a)、(b)中、IV−IV
線に沿う断面図)である。
記録紙面上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図3(a)、(b)に示すように、インク滴の吐出孔であるノズル孔51と、各ノズル孔51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙搬送方向と直交する主走査方向)に沿って並ぶ形で投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
紙搬送方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3(a)の構成に代えて、図3(c)に示すように、複数のノズル孔51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック(ヘッドチップ)50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。また、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
図4に示すように、各ノズル孔51は、ヘッド50のインク吐出面50aを構成するノズルプレート60に形成され、ノズルプレート60はヘッド本体部50Aに接合されている。そして、ノズルプレート60とヘッド本体部50Aとは、樹脂系材料、金属系材料、シリコン系材料等の異種材料で構成されており、異種材料同士を接着して積層することにより組み立てられている。例えば、ヘッド本体部50Aがポリイミドのような樹脂系材料で形成され、ノズルプレート60がSi、SiO、SiN、石英ガラス等のようにSi原子を含むシリコン系材料で形成される。なお、本実施の形態では、ノズルプレート全体がSi原子を含むシリコン系材料である例で説明するが、ノズルプレート60表面やその一部がシリコン系材料で形成されていてもよい。
かかるノズルプレート60とヘッド本体部50Aとの接合方法については、後で詳しく説明する。
また、ノズルプレート60のインク吐出側面には、インクに対して撥液性を有する撥液膜64が形成されている。この撥液膜64によって、ノズルプレート60の表面、特にノズル孔51の開口周辺部へのインク付着を防止し、これによりノズル孔51から吐出されるインク液滴の吐出安定性を確保している。
各ノズル孔51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル孔51と供給口54が設けられている。各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインク供給タンク(不図示)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成し共通電極と兼用される振動板56には個別電極57を備えた圧電素子58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによって圧電素子58が変形してノズル孔51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
本例では、ヘッド50に設けられたノズル孔51から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子58を適用したが、圧力室52内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
かかる構造を有するインク室ユニット53を図3(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル孔51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
また、本発明の適用範囲はライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、記録紙16の幅方向(主走査方向)の長さに満たない短尺のヘッドを記録紙16の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると記録紙16を幅方向と直交する方向(副走査方向)に所定量だけ移動させて、次の印字領域の記録紙16の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して記録紙16の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
〔接合方法〕
次に、本実施の形態の基材同士の接合方法の一例として、Si原子を含むシリコン系材料で形成されたノズルプレート60(第1基材)と樹脂系材料で形成されたヘッド本体部50A(第2基材)とを接合する方法を説明する。
図5は、本実施の形態の接合方法における反応プロセスを説明する説明図である。
接合方法は、ノズルプレート60表面からノズルプレート60を構成する素材以外の不純物(例えば、有機性の付着物、ゴミ、汚れ等)を除去する洗浄工程と、ノズルプレート60としてSi原子を含むシリコン系材料を用いて、該ノズルプレート60表面を水素終端化処理又はハロゲン終端化処理する終端化処理工程と、終端化処理後のノズルプレート60表面のうち接合領域のみにエネルギーを付与しながら、ノズルプレート60表面に、不飽和結合を末端に有するプライマー膜原料を接触させることにより、接合領域にのみ選択的にSi−C結合によるプライマー膜を形成するプライマー膜形成工程と、プライマー膜を少なくとも介してノズルプレート60とヘッド本体部50Aとを結合する結合工程と、で構成され、各工程の詳細については以下のとおりである。
<洗浄工程>
ノズルプレート60表面の洗浄工程としては、次の3通りを好適に採用することができる。
(1)エタノール液中に浸漬させたノズルプレート60に超音波を照射するエタノール・超音波洗浄→超純水中に浸漬させたノズルプレート60に超音波を照射する超純水・超音波洗浄→ノズルプレート60に対してUV(紫外線)照射とオゾン接触とを組み合わせたUV・オゾン洗浄を順番に行う洗浄工程。
(2)無水トルエン液中に浸漬させたノズルプレート60に超音波を照射する無水トルエン・超音波洗浄→上記エタノール・超音波洗浄→超純水にノズルプレート60を浸漬又は超純水をジェット噴射して洗浄する超純水洗浄→上記UV・オゾン洗浄を順番に行う洗浄工程。
(3)上記エタノール・超音波洗浄→硫酸系溶液(例えば関東化学製のSH−303)にノズルプレート60を浸漬する硫酸洗浄→フロンティアクリーナーA02(関東化学製)による洗浄を順番に行う洗浄工程。
しかし、上記洗浄工程に限らず、ノズルプレート60表面の汚染度によって適宜変更することができる。
<水素終端化工程>
次に、不純物が除去された清浄なノズルプレート60表面を水素終端化する。水素終端化工程としては、ウエットプロセスとドライプロセスの2通りを採用できる。
(1)ウエットプロセスは、Si原子を含むシリコン系材料で形成されたノズルプレート60を窒素雰囲気中でHF水溶液(フッ酸溶液)に浸漬させることにより行う。これにより、図5(A)の左側に示す水素終端化シリコンのように、Si原子に水素原子が結合される。
このとき、ノズルプレート60表面に酸化膜(図示せず)が存在する場合には、酸化膜の厚さによってHF水溶液の濃度を適宜調整することが好ましい。例えば、自然酸化膜の程度ならば、質量比率において200(水):1(HF)に希釈されたHF水溶液に10分程度浸漬させることで水素終端化が可能である。また、HF水溶液に限らず、フッ化アンモニウム溶液でも水素終端化は可能である。
ウエットプロセスは、比較的低温処理が可能で且つ処理操作も容易であり、処理コストも安い特徴がある。しかし、コンタミネーションの影響が存在することを考慮する必要がある。
(2)ドライプロセスは、ノズルプレート60表面に対して水素プラズマ処理を付与することにより行う。例えば、自然酸化膜の付いたノズルプレート60にドライプロセスを行う場合、ガス圧力10mTorr、及びマイクロ波入力パワー200Wで生成した水素プラズマを10分間照射する。これにより、図5(A)の左側に示す水素終端化シリコンのように、Si原子に水素が結合される。
この場合、XPS測定(X線光電子分光測定)により酸素や炭素のピークがまったく検出されず、このことからノズルプレート表面の自然酸化膜、炭素汚染層も終端化工程を行うことにより除去できていることが分かる。そしてドライプロセスで水素終端化した試料と、HF水溶液を用いてウエットプロセスで水素終端化した試料とを大気環境中に放置した場合に、自然酸化、炭素汚染の進行はほぼ同等であり、水素プラズマ処理で、HF水溶液と同様に水素終端化が可能であることを示している。なお、水素プラズマ処理については、大阪府立大学博士論文(『プラズマプロセスを利用したシリコン結晶中欠陥検出技術及びシリコン表面清浄化の研究』;中嶋健次)を参照されたい。
ドライプロセスは、コンタミネーションの影響が少なく、ノズルプレート60の温度を制御することで、原子レベルで平坦な面を得ることができる特徴がある。
<第1基材と第2基材の接合工程>
本実施の形態の接合方法は、ノズルプレート60表面の酸化膜(水酸基)に対してシロキサン結合するシランカップリング剤によりプライマー膜を形成する方法とは異なり、酸化膜を介さずにノズルプレート60表面にプライマー膜をSi−C結合により直接形成する方法である。
図6(A)に示すように、水素終端化工程により形成された水素終端化シリコン(又はハロゲン終端化シリコン)のノズルプレート60表面のうちの接合領域60Aのみにエネルギーを与えて、図5(A)のようにSi原子に結合されている水素原子(又はハロゲン原子)を引き抜くことで、接合領域60Aのみにシリコンラジカル(ダングリングボンド)を生成する。ノズルプレート60表面のうちの接合領域60Aへのエネルギー付与は、加熱、紫外線照射、可視光照射を使用できるが、紫外線照射、可視光照射が特に好ましい。これは、紫外線、可視光の光エネルギーであれば、例えば半導体で使用するフォトリソグラフィー用のマスク(図示せず)を用いることで、接合領域60Aのみに高精度且つ容易にエネルギーを付与できるからである。なお、フォトリソグラフィー用のマスクに限らず、光エネルギーを遮蔽する遮蔽領域と遮蔽しない非遮蔽領域とを精度良く形成できるものであれば、どのようなものでもよい。
次に、シリコンラジカルが生じたノズルプレート60の表面に、不飽和結合を末端に有するプライマー膜原料を接触させてラジカル反応を行う。これにより、図6(B)に示すように、シリコンラジカル(ダングリングボンド)が生成したノズルプレート60の接合領域60Aのみに選択的にSi−C結合のプライマー膜62を形成することができる。
例えば、図5(B)のように、ノズルプレート60のシリコンラジカルと、ビニル基含有の1−alkeneが反応する場合は、先ず、シリコンラジカルとアルケンが反応し、Si−C結合の共役結合が形成される。同時にできる炭素ラジカルが近隣のSi−H基から水素原子を引き抜くことにより、再びシリコンラジカルが生成し、連鎖反応が進む。これにより、ノズルプレート60の結合領域60Aに選択的にプライマー膜62が被覆される。水素終端化されたノズルプレート60の結合領域60Aへのプライマー膜62の形成が終了すると連鎖反応は自動的に停止するので、ノズルプレート60の結合領域60Aには極めて薄層な単分子膜を形成することができる。
本実施の形態のように、シリコン系材料のノズルプレート60と、樹脂系材料のヘッド本体部50Aとを接合する場合のプライマー膜原料は、末端に不飽和結合を有する例えば、R-CH=CH2の化学構造を有し、Rで示される炭化水素基に樹脂との接合性に優れたビニル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基の少なくとも1つの官能基をもつことが好ましい。
例えば、プライマー膜原料として、アリルアミン(CH2=CHCH2NH2)を使用することができる。但し、アリルアミンは、シリコン系材料のノズルプレート60表面で反応させようとすると二重結合側だけでなくアミノ基側が反応する可能性がある。これを防ぐために、保護基によりアミノ基を保護する方法がある。保護基としては、例えば、1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタンがある。保護基のついたアリルアミンをノズルプレート60にSi−C結合した後、ノズルプレート60をジクロロメタンと酢酸の混合溶液に浸漬することにより保護基を除去することができる。これにより、樹脂系材料で形成されたヘッド本体部50Aとの接合性に優れたアミノ基をもったSi−C結合のプライマー膜62を形成できる。
したがって、アミノ基を介してプライマー膜62にヘッド本体部50Aを直接結合することができる。ビニル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等の官能基と第2の基材であるヘッド本体部50Aとの接合は、従来公知の接着方法で使用される条件を採用することができ、例えば熱、光等のエネルギーを付与することにより接合することができる。これにより、図7(a)に示すように、シリコン系材料のノズルプレート60と樹脂系材料のヘッド本体部50AとをSi−C結合のプライマー膜62により直接結合することができる。この結果、ノズルプレート60とヘッド本体部50Aとが結合したヘッド50(結合体)が形成される。
なお、本実施の形態の基材同士の結合方法は、図7(a)のように、ノズルプレート60とヘッド本体部50AとをSi−C結合のプライマー膜62により直接結合する場合に限定するものではない。例えば図7(b)のように、プライマー膜62の上にオゾンガス処理や紫外線照射処理して膜の処理面を親水化し、その処理面上に更に接着剤膜63を形成し、該接着剤膜63にヘッド本体部50Aを結合してもよい。また、ヘッド本体部50Aもシリコン系材料で形成されている場合には、図7(c)のように、ヘッド本体部50Aの接合領域に、ノズルプレート60の場合と同様にSi−C結合のプライマー膜62を形成し、ノズルプレート60のプライマー膜62とヘッド本体部50Aのプライマー膜62とを接着剤膜63で接合してもよい。なお、接着剤は、通常の接着剤以外にプラズマ重合膜を含むものとする。
ノズルプレート60とプライマー膜原料とを接触させる方法としては、ノズルプレート60をプライマー膜原料溶液(無水有機溶媒にノズルプレート原料溶液を溶解させても良い)に浸漬させるウエットプロセスか、蒸着法や化学気相法(CVD)等のドライプロセスを採用することができる。
<後洗浄工程>
最後に、接合された接合体であるヘッド50を純水やエタノール等により後洗浄して、接合を終了する。
なお、上述した基材同士の接合方法では、水素終端化する例で説明したが、水素終端化シリコンだけでなく、ハロゲン終端化シリコンを使用可能である。しかし、プライマー膜形成の容易性とコンタミネーション防止等を考慮すると、水素終端化シリコンが好ましい。
そして、本実施の形態における基材同士の接合方法によって形成された接合体は、以下の効果を奏する。
(1)ノズルプレート60の接合領域60AのみにSi−C結合のプライマー膜61を形成でき、極めて高い成膜選択性を有する接合処理が可能である。ここで成膜選択性とは、ノズルプレート表面(基材表面)の接合領域にのみプライマー膜を形成し、接合領域以外の不必要部分にプライマー膜を形成しないための選択性をいう。
これに対して、接合のためのプライマー膜として、従来のようにSi−O結合のシランカップリング剤を使用する場合には、ノズルプレート60表面に酸化膜65(水酸基)を形成する処理を行う必要がある。しかし、この処理をプラズマ処理等で行うが、図8(A)及び(B)に示すように、接合領域60A以外の不必要な領域にも酸化膜65が形成されてしまう。その結果、図8(C)に示すように、ノズルプレート60表面の接合領域60A以外の不必要な領域にもシランカップリング剤によるSi−O結合のプライマー膜67が形成されてします。この結果、プライマー膜67のはみ出しや、他部材への悪影響、インクへのコンタミネーション等の問題になる。
本実施の形態の接合方法では、ノズルプレート60表面の接合領域60A以外の不必要な部分が水素終端化された状態であっても、エネルギーを与えた部分、即ち接合領域60AのみにSi−C結合のプライマー膜61が形成されるので、シランカップリング剤のような問題は発生しない。
したがって、本発明の接合方法を使用すれば、図4の接合端部68からプライマー膜61がはみ出すことがないので、ノズル孔51から吐出されるインクが汚染されることはない。
(2)また本実施の形態の接合方法は、インク耐性に優れた接合体(例えばヘッド50)を形成でき、特に図7(a)のように、ノズルプレート60とヘッド本体部50AとをSi−C結合のプライマー膜62で直接接合する方法が好ましい。これは、Si−O結合のプライマー膜67はインク耐性(特に水溶性インクに対する耐性)が低いのに対して、Si−C結合のプライマー膜62は水溶性及び非水溶性のいずれのインクに対してもインク耐性が高く、水溶性や非水溶性のインクに長期間接触しても剥離しない、高い接合強度を維持できる。
(3)更にSi−O結合のプライマー膜67は、水蒸気等の水分に影響を受け、プライマー膜67の膜質が経時変化するのに対して、Si−C結合のプライマー膜62は湿気環境でも安定であり、ヘッド50のような複雑な構造体の寸法精度をさらに改善できる。
なお、本実施の形態では、シリコン系材料と樹脂系材料との接合で説明したが、シリコン系材料と金属系材料とで接合する場合にも本発明を適用できる。また、実施の形態では、ノズルプレートとヘッド本体部とを接合してヘッドを形成する例で説明したが、本発明の基材同士の接合方法は、この実施の形態に限定されるものではない。
[実施例A]
実施例Aでは、本発明の基材同士の接合方法により、ノズルプレートの接合領域のみに選択的にSi−C結合のプライマー膜を形成することができるかを実験した。
密閉性のある耐圧グローブボックスを準備し、その中に必要な実験器具を入れた後、グローブボックス内に窒素を充填した。そして、実験者は、グローブボックスのゴム手袋を介して以下の実験を全てグローブボックス内で行った。
先ず、プライマー膜原料(1−ヘキサデセン)溶液を調製した後、溶液を不純物のない窒素ガスでバブリングし、溶液中の溶存酸素を除去した。
一方、洗浄処理工程で洗浄処理したノズルプレート(自然酸化膜付き)を、200(水):1(HF)の比率で希釈したHF水溶液に浸漬して水素終端化処理した。この場合、グローブボックスに入れる前に水素終端化処理しても良いが、炭素汚染等を考慮すると、グローブボックス内で行うのが好ましい。ノズルプレートの洗浄処理は、上述した洗浄工程の(1)に記載した処理を行ったが、(2)又は(3)の洗浄処理でもよい。
次に、石英セルにノズルプレートを入れ、セル内をプライマー膜原料溶液で満たし、セルをゴム栓等で密閉した。また、セル内におけるノズルプレートの接合領域のみに紫外線が照射されるように、半導体で使用するフォトリソグラフィー用のマスクを設け、マスクを介してノズルプレートに紫外線を照射した。紫外線照射条件としては、例えば超高圧水銀ランプを使用して、出力70mW・cm−2で、1〜20時間の照射を行うとよい。ただし、ノズルプレートの厚みによって照射時間を変更することが好ましい。これにより、ノズルプレートの接合領域に選択的にプライマー膜62を形成することができた。
[実施例B]
実施例Bでは、ノズルプレートにSi−C結合のプライマー膜を成膜する場合(実施例)と、ノズルプレートに従来のSi−O結合のプライマー膜を成膜する場合(比較例)とで、成膜選択性を比較した。
Si−C結合のプライマー膜の成膜は実施例Aと同様に行った。また、Si−O結合のプライマー膜の成膜は、ノズルプレートのプライマー膜を形成する表面に向けてプラズマ処理を施して酸化膜(水酸基)を形成した後、ヘキサンにアミノプロピルエトキシシラン(APTS)を溶解したシランカップリング剤溶解液中にノズルプレートを浸漬させることにより成膜した。
そして、実施例のノズルプレートと比較例のノズルプレートとのどの部分にプライマー膜が成膜されているかを、純水による接触角測定を行うことにより調べた。なお、成膜されていない清浄なノズルプレートの静的接触角は5°以下である。
その結果、比較例では、プラズマ処理が施されたノズルプレートの表面(プラズマ処理面)の静的接触角が106°であり成膜されていたが、ノズルプレートの裏面(プラズマ処理していない面)の静的接触角も103°であり成膜されていた。
このことは、Si−O結合のプライマー膜の成膜では、ノズルプレートの表面に向けてプラズマ処理を施して酸化膜を形成しようとしても、図8(B)で説明したように、ノズルプレート表面全体に酸化膜が形成されてしまう。したがって、プラズマ処理後のノズルプレートをシランカップリング剤溶解液中に浸漬させたり、CVD法等の気相法で処理したりしてSi−O結合のプライマー膜を形成すると、接合領域以外の不必要な部分にもプライマー膜が形成されるという不具合が生じる。これにより、従来の接合方法により基材同士を接合すればプライマー膜のはみ出しが発生する。
これに対して、実施例のノズルプレートは、接合領域の静的接触角が100°であるのに対して、接合領域以外のノズルプレート表面の静的接触角が10°であり、接合領域以外の不必要な部分への成膜が行われなかった。これにより、本発明の接合方法により基材同士を接合すればプライマー膜のはみ出しは発生しない。
[実施例C]
実施例Cでは、実施例Aにより形成したSi−C結合のプライマー膜を有するノズルプレート(実施例)と、シロキサン結合(Si−O)のプライマー膜を有する従来のノズルプレート(比較例)とを用いて、インク耐性の一例であるアルカリ耐性を比較した。試験では、第2の基材であるヘッド本体部を第1の基材であるノズルプレートに接合しないで、プライマー膜がアルカリ溶液(インク)に十分に曝されるようにした。
(インク浸漬試験)
上記の如く形成した実施例のノズルプレートと、比較例2のノズルプレートの2つの試料を、下記組成のインク1〜3の3種類の水溶性インクに常温で200時間それぞれ浸漬させた。水溶性インクのpHはいずれも約9.0でありアルカリ性である。
〈インク1の組成〉
・シアン分散液1(顔料濃度で) :3質量%
・樹脂粒子分散物P−2 :7質量%
・サンニックスGP−250(三洋化成工業(株)製) :10質量%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル :10質量%
・オルフィンE1010(日信化学製、界面活性剤) :1質量%
・イオン交換水 :残部

〈インク2の組成〉
・シアン分散液1(顔料濃度で) :2%
・樹脂粒子分散物P−2 :8%
・サンニックスGP−250(三洋化成工業(株)製) :8%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル :8%
・オルフィンE1010(日信化学製、界面活性剤) :1%
・イオン交換水 :残部

〈インク3の組成〉
・シアン分散液1(顔料濃度で) :4%
・樹脂粒子分散物P−2 :7%
・サンニックスGP−250(三洋化成工業(株)製) :9%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル :9%
・オルフィンE1010(日信化学製、界面活性剤) :1%
・イオン交換水 :残部

そして、純水を用いて、実施例と比較例のノズルプレートの各プライマー膜の初期(浸漬前)と200時間浸漬後の静的接触角を測定した。その結果を図9に示す。
図9から分かるように、比較例のノズルプレートに形成されたSi−O結合のプライマー膜は、浸漬前の静的接触角に対して200時間浸漬後の静的接触角が10°程度低下しており、アルカリ性のインクに対するアルカリ耐性が悪いことが分かる。
これに対して実施例のノズルプレートに形成されたSi−C結合のプライマー膜は、浸漬前と200時間浸漬後の静的接触角に変化がなく、アルカリ性のインクに対するアルカリ耐性が良好であることが分かる
10…インクジェット記録装置、12K,12C,12M,12Y…ヘッド、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、18…給紙部、20…デカール処理部、22…吸着ベルト搬送部、24…印字検出部、26…排紙部、28…カッター、30…加熱ドラム、31、32…ローラー、33…ベルト、34…吸着チャンバ、36…ベルト清掃部、40…加熱ファン、42…後乾燥部、44…加熱・加圧部、45…加圧ローラー、48…カッター、50…ヘッド、50A…ヘッド本体部、51…ノズル孔、52…圧力室、53…インク室ユニット、56…振動板、57…個別電極、58…圧電素子、60…ノズルプレート、60A…接合領域、62…Si−C結合のプライマー膜、63…接着剤膜、65…酸化膜、67…Si−O結合のプライマー膜、68…接合端部

Claims (11)

  1. 第1基材と第2基材とを接合する基材同士の接合方法において、
    前記第1基材の少なくとも表面の一部がSi原子を含むシリコン系材料を用いて、該第1基材の表面を水素終端化処理又はハロゲン終端化処理する終端化処理工程と、
    前記終端化処理後の第1基材の表面のうち接合領域のみにエネルギーを付与しながら、前記第1基材の表面に、不飽和結合を末端に有するプライマー膜原料を接触させることにより、前記接合領域にのみ選択的にSi−C結合によるプライマー膜を形成するプライマー膜形成工程と、
    前記プライマー膜を少なくとも介して前記第1基材と前記第2基材とを結合する結合工程と、を含むことを特徴とする基材同士の接合方法。
  2. 前記プライマー膜原料には前記第2基材と結合可能な官能基を有し、該官能基を介して前記プライマー膜に前記第2基材を直接結合することを特徴とする請求項1に記載の基材同士の接合方法。
  3. 前記第2基材は樹脂系材料であると共に、前記プライマー膜原料の前記第2基材と結合可能な官能基は、ビニル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基の少なくとも1つであることを特徴とする請求項2の基材同士の接合方法。
  4. 前記プライマー膜の上に接着剤の膜を形成し、該接着剤で前記第2基材を結合することを特徴とする請求項1に記載の基材同士の接合方法。
  5. 前記第2基材の少なくとも表面の一部がSi原子を含むシリコン系材料であり、該第2基材の表面うちの接合領域に、前記第1基材と同様にプライマー膜を形成し、前記第1基材のプライマー膜と前記第2基材のプライマー膜とを接着剤で接合することを特徴とする請求項1に記載の基材同士の接合方法。
  6. 前記終端化処理工程において、フッ酸又はフッ化アンモニウムを含む溶液に、前記第1基材を浸漬する水素終端化処理を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1に記載の基材同士の接合方法。
  7. 前記終端化処理工程において、水素ガスを含むプラズマで前記第1基材をプラズマ処理する水素終端化処理を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1に記載の基材同士の接合方法。
  8. 前記エネルギーは、熱、紫外線、可視光の何れかであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1に記載の基材同士の接合方法。
  9. 前記エネルギーとして紫外線又は可視光の光エネルギーを使用すると共に、前記光エネルギーの遮蔽領域と非遮蔽領域とを設けることで、前記接合領域のみに前記紫外線又は可視光が照射されるようにすることを特徴とする請求項8に記載の基材同士の接合方法。
  10. 前記終端化処理の前に、前記第1基材表面の不純物を除去する洗浄工程を備えたことを特徴とする請求項1〜9の何れか1に記載の基材同士の接合方法。
  11. 請求項1〜10の何れか1に記載の基材同士の接合方法により接合されたことを特徴とする接合体。
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