JP4614330B2 - 有機基で修飾されたシリコン基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は表面を有機基修飾したシリコン基板を製造する方法に関するものである。
有機基修飾したシリコン基板は水素終端化した表面をもつシリコン基板に比べて、安定性や電気化学的性質が向上されることが知られており(非特許文献1参照。)、太陽電池電極やバイオセンサーなどへの応用が期待されている(非特許文献1,2参照。)。
シリコン基板表面を有機基修飾するための、これまでに知られている方法は、高温処理法、光照射法及び有機金属試薬法である。
高温処理法の一例として、不飽和炭化水素である1−アルケンを水素終端化シリコン基板と接触させて加熱することによりSi−C結合によりシリコン基板表面にアルキル基を導入することが報告されている(非特許文献3参照。)。例えば、1−オクタデセン中に水素終端化シリコン基板を置いて100〜200℃に加熱しており、高温の方が好ましい結果が報告されている。
光照射法の一例として、不飽和炭化水素である1−アルケン又は1−アルキンを水素終端化シリコン基板と接触させて紫外線を照射することにより、シリコン基板表面の水素が紫外線照射により脱離して反応が開始されて、Si−C結合が生成し、シリコン基板表面に炭化水素基が導入されることが報告されている(非特許文献4参照。)。
有機金属試薬法の一例として、シリコン基板表面を塩素化した後、有機金属試薬としてのグリニャール試薬と反応させることによりシリコン基板表面をアルキル化することが報告されている非特許文献5参照。)。
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これらの方法は、有機基を導入するために水素終端化されたシリコン基板表面でヒドロシリル化反応を開始させるための活性化エネルギーを熱又は光により供給しているため、シリコン表面の性能を向上させると考えられる種々の官能基を導入しようとした場合、その官能基も反応を起こすおそれがあるために、官能基の導入に問題がある。また、グリニャール試薬のような特殊な試薬を通して官能基を導入する場合には導入できる官能基が制約される。
そのため、これらの方法より温和な条件でのシリコン表面修飾法の開発が望まれている。
本発明は、種々の官能基の導入が容易なシリコン表面修飾方法を提供することを目的とするものである。
本発明では、シリコン基板表面に有機基を導入するために水素終端化シリコンと容易にヒドロシリル化反応を行なう化合物を使用する。そのような化合物として、シリコンとのヒドロシリル化反応に対して反応性が高く、また有用な官能基となる電子吸引性又は共役系置換基を含む活性アルキンを用いることで、温和な条件でのシリコン表面の有機基修飾を達成する。
すなわち、本発明の有機基修飾シリコン基板の製造方法は、シリコン基板を有機反応液に浸漬して攪拌する反応工程を含むが、その有機反応液に浸漬する際のシリコン基板は表面が水素終端化されたものであり、その有機反応液は電子吸引性又は共役系置換基をもって不飽和結合部分が活性化された活性アルキンを含む液であり、かつその反応工程では有機反応液にエネルギー源としての光照射を行なわないことを特徴とする。
有機基を導入しようとするシリコン基板は、表面がシリコン層であればよく、シリコン単結晶基板のほか、絶縁基板の表面にシリコン層を形成したSOI(Silicon on Insulator)基板でもよい。また、表面のシリコン層は単結晶に限らず、多結晶でも非晶質でもよい。
温和な反応条件とするために、反応工程では有機反応液にエネルギー源としての紫外線や可視光による光照射は行なわない。ここでの光照射を行なわないということの意味は、エネルギー源として光源を用いて積極的に光照射することはしないという意味であり、外来光も遮光しなければならないことまで意味するものではない。
反応工程ではシリコン基板を有機反応液に浸漬して攪拌する。この攪拌の方法や強さは特に限定されるものではなく、化学反応を行なわせるために通常行なう攪拌と同じ意味である。攪拌方法としては、反応液にスターラを入れて反応液を攪拌してもよく、反応液とシリコン基板を収容した容器を回転台に載せて回転させる方法でもよい。
活性アルキンにおける電子吸引性又は共役系置換基は、エステル基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、アリール基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基もしくはリン酸エステル基、又はそれらの塩である。
本発明で使用する活性アルキンの好ましいものは、置換基が不飽和結合の炭素に結合した不飽和三重結合をもったものであり、より好ましくは末端に三重結合をもったアセチレン誘導体である。
活性アルキンは、室温では、分子量によって液体状又は固体状の性状をとる。液体状アルキンの場合は、有機反応液はアルキンのみからなる液とするのが好ましい。また、固体状アルキンの場合は、有機反応液はアルキンを無水溶媒に溶解した溶液とすることができる。固体状アルキンを溶解する溶媒は特に限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどを使用することができる。
本発明では有機反応液のアルキン自体が電子吸引性又は共役系置換基によって活性化されているので、従来の方法とは異なり、反応を起こさせるための活性エネルギーを熱や光の形で与えなくても反応が進行する。
反応温度に関しては、温和な反応条件とするために、有機反応液を加熱しないで室温にて反応を行なわせるのが好ましい。しかしながら、温度の上昇とともに反応速度が高まるので、稼働率を向上させる目的で適度な加熱を行なってもよい。その場合でも、加熱温度は100℃未満であり、特にアルキンの不飽和三重結合が重合したり、官能基が化学反応を起こしたりするのを避けるためにも室温に近い方が好ましい。
本発明では、高温での反応は行なわず、エネルギー源としての光照射は行なわず、さらに有機金属試薬も用いないため、これらの反応条件では安定して導入することが困難であった官能基でも導入が可能になる。例えば、有機金属試薬を用いる方法では導入が難しい、エステル基、シアノ基、又はカルボキシル基などの官能基をシリコン基板表面に容易に導入することができる。その結果、本発明方法を用いることにより、様々な性能をもつシリコン基板材料を提供できる。
そして、本発明の方法はエネルギー源としての光照射を必要としない上、加熱も必須のものとはしないので、製造装置も簡便なものですみ、低コストで実施することができる。
(実施例)
表面が水素終端化された(111)表面をもつ単結晶シリコン基板の表面に、活性化アルキンによりヒドロシリル化反応を行なって有機基を導入した。使用した有機反応液のアルキンは、プロピオール酸エステル類、プロピオール酸、プロピオーロニトリル及びアリールアセチレン類であった。
このヒドロシリル化反応を概略的に図1に示す。図1の上端の反応式がそのヒドロシリル化反応であり、アルキンの不飽和三重結合の末端の炭素に結合した水素をHと表わし、その不飽和三重結合の反対側の炭素に結合した置換基をXと表わしている。この実施例では、好ましいアルキンとして末端に三重結合をもち、その三重結合を挟んで一方に水素H、他方に置換基Xが結合したものを使用しているが、本発明はこの種のアルキンに限定されるものではなく、三重結合が末端以外の場所にあるものも含んでいる。
置換基Xとしては図1の左側の1a〜1mで示されるものを使用した。1a〜1hはプロピオール酸エステル類、1iはプロピオール酸、1jはプロピオーロニトニル、1k〜1mはアリールアセチレン類である。
上段の式の左辺の右側はシリコン(111)基板表面を表わしており、表面のシリコンには水素が結合して水素終端化されている状態を示している。
反応液として、1a〜1mで示される置換基をもつアルキンの純液又はその溶液を使用する。それらのアルキンのうち、1eの置換基をもつプロピオール酸エステルは室温で固体であるので、ジクロロメタンを溶媒として反応溶液とした。その濃度は0.4mol/Lとした。他のアルキンは全て室温で液体状であるので、溶液にはしないでそれらアルキンのみを反応液とした。
反応式の右辺はシリコン基板表面に有機基が導入されてアルケニルシリコンとなったシリコン基板表面を表わしたものである。アルキンの不飽和結合の末端の炭素がシリコン基板表面のシリコンと共有結合して導入され、三重結合が二重結合となり、その二重結合に置換基が残り、それが有用な官能基となる。
次に、具体的な反応条件を示す。
(水素終端化基板の調製)
入手したシリコン(111)基板(抵抗率10〜15Ωcm)をアセトンに浸漬し10分〜15分超音波洗浄したのち、RCA洗浄方法により基板表面の金属不純物や有機物を除去した。RCA洗浄は4段階の洗浄を含む。第1段階では、容積比で98%硫酸4に対して30%過酸化水素水を1の割合で混合した洗浄液を用い、95〜100℃でシリコン基板を14〜16分間浸漬する。第2段階では、5%フッ酸水溶液を用いて、室温で4〜5分程度浸漬する。第3段階では、容積比で25%アンモニア1に対して30%過酸化水素水を1〜2、水5〜7の割合で混合した洗浄液を用い、75〜85℃でシリコン基板を9〜11分間浸漬する。第4段階では、容積比で塩酸1に対して30%過酸化水素水1〜2、水5〜7の割合で混合した洗浄液を用い、75〜85℃でシリコン基板を9〜11分間浸漬する。各操作の間には水洗を行なった。また、水はすべて超純水を用いた。
続いて5%のフッ酸水溶液で4〜6分間、例えば5分間エッチングし、さらに40%のフッ化アンモニウム溶液で14〜16分間、例えば15分間エッチングした。これによりシリコン表面が清浄化されるとともに、シリコン表面にSi−H結合が生成した水素終端化シリコン基板が得られた。
(ヒドロシリル化反応による有機基導入)
表面を水素終端化処理したシリコン基板を容器に入れられた有機反応液としてのアルキン液に浸漬した。シリコン基板を浸漬したアルキン反応液を撹拌するために、その容器を回転速度100〜120rpmで回転させながら反応を行なわせた。
このときの反応温度は、特に熱源を設けて加熱をすることなく、室温でおこなった。室温は15〜25℃であった。
また、反応は1昼夜又はそれ以上にわたって連続して行なわせた。すなわち、反応時間は24〜40時間であった。さらに、この反応の間は、紫外線照射などエネルギー源としての光照射も行なわなかった。
この反応によりシリコン基板表面のシリコンに有機基が結合し、シリコン基板表面は図1の式の右辺のようにアルケニルシリコン表面となる。それらのアルケニル基の二重結合には、アルキンの置換基が残って、4a〜4mで示されるエステル類、フリーカルボキシル基、シアノ基又はアリール基などの官能基が結合された状態となる。4a〜4mの官能基をもったものを以後サンプル4a〜4mと称す。
(有機基によるシリコン表面被覆率の測定)
このように得られたアルケニルシリコン表面をX線光電子分光法(XPS)により測定した。XPSスペクトル測定のために、n型シリコン(111)ウエハの片面を研磨し、10mm×10mmの大きさのシリコン基板に切り出し、上述のように水素終端化処理とヒドロシリル化反応による有機基導入を行なって測定試料を調製した。その後、シリコン基板は、ジクロロメタン(CH2Cl2)とイソプロパノールでリンスし、真空乾燥させた。
XPSスペクトルの測定には、KRATOS−AXIS−165スペクトロメータ(KRATOS ANARYTICAL社の製品)を使用し、MgのKα線(1253.6eV)又は単色化したAlのKα線(1486.6eV)をX線源として使用した。
サンプル4b〜4d、4f、4h及び4lについての測定結果を図2から図13に示す。図2と図3はサンプル4bについてのXPSスペクトル、図4と図5はサンプル4cについてのXPSスペクトル、図6と図7はサンプル4dについてのXPSスペクトル、図8と図9はサンプル4fについてのXPSスペクトル、図10と図11はサンプル4jについてのXPSスペクトル、図12と図13はサンプル4lについてのXPSスペクトルである。横軸は結合エネルギー(eV)、縦軸は光電子強度を表わすカウント数(CPS)である。
各XPSスペクトルにおいて、「wide」と表示されている(A)のスペクトルは測定した全エネルギー範囲のスペクトルであり、(B)〜(D)の「Si2p」、「C1s」、「O1s」、「F1s」、「N1s」は全エネルギー範囲のスペクトルに含まれる各原子の詳細なスペクトルである。
通常、シリコン表面が酸化された場合にはSi−Oに対応する103eVでのSi2pピークが現われるが、これらの結果ではそのピークがほとんど見られないことから、本発明の方法ではシリコン基板の酸化が起こりにくく、この点からも本発明の方法は有機基導入シリコン基板を得るのに有利な方法といえる。
サンプル4c(図4(B))、4f(図8(B))及び4l(図12(B))のスペクトルに見られるC1sのピークは293〜294eVに結合エネルギーをもつ典型的な化学シフトの(増加側へ)移動したCF3である。サンプル4b(図2(B))、4c(図4(B))、4d(図6(B))及び4f(図8(B))のスペクトルには、289.5〜290eV領域にカルボニル基(C=O)の結合エネルギーのピークが見られる。
サンプル4c(図5(D))及び4f(図9(D))のスペクトルではF1sピークが見られ、サンプル4d(図7(D))と4j(図11(D))のスペクトルにはN1sのピークが見られる。そこで、Si2pピークに対するこれらのF1sピークとN1sピークの相対強度を使ってシリコン表面の有機基の被覆率を計算した。C1sピークは汚染物の炭素ピークを含むことが多いので使用しなかった。
XPSスペクトルをいろいろな検出角度で検出し、それぞれの角度で得られたデータに基づいて被覆率を計算した。その結果を表1に示す。
(表1)
Figure 0004614330
表1で、0°,30°,60°は検出角度を示している。検出角度はシリコン基板表面の法線方向を0°とし、それからの傾斜角として設定した。サンプル4cでは0°、20°及び50°で行ない、他の試料では0°、30°及び60°で行なった。「Coverage Ratio」が被覆率であり、シリコン基板表面の何%が有機基で被われているかを示している。
被覆率の計算は、例えばCF3官能基が導入された図14のモデルについて示すと、次の式のように与えられる(非特許文献6参照。)。

Figure 0004614330

Figure 0004614330

Figure 0004614330
ここでd'111は平均の層間隔であり、図14に示されるd111を基にして、
d'111=2d111=1.568Åの値を用いた。
相対感度因子RSFはKRATOS−AXIS−165データライブラリーにある値を用い、MgのKα線に対してはRSFFls=1.000,RSFN1s=0.505,RSFSi2p=0.371とし、単色化したAlのKα線に対してはRSFN1s=0.477,RSFSi2p=0.328とした。
また、非弾性平均自由行程(IMFP)λSiは、MgのKα線による運動エネルギー1154eVのSi光電子については21.88Å、単色化したAlのKα線による運動エネルギー1387eVのSi光電子については25.0Åとした(非特許文献7参照。)。
θはXPS測定における検出角度、dmlはモデル化合物(例えば図14では
(Me3Si)3Si−CH=CH−C64−p−CF3)を用いて単層の距離を半経験的分子軌道計算MOPACのPM3法によって計算した。
有機単一層のIMFPは次の(4)〜(6)式により計算した(非特許文献8参照。)。

Figure 0004614330

Figure 0004614330

Figure 0004614330
ここで、
λ……IMFP、
χ……原子結合指数、
δ(v)……全原子価電子数(水素との結合における電子を除く)、
Z……原子番号、
(ν)……1原子中の原子価電子数
h ……原子に結合している水素原子数
である。
表1の結果によれば、検出角0°での測定で、シリコン表面での有機基による被覆率は37〜56%と推定される。
(有機基の赤外吸収測定)
次に、シリコン表面に有機基が導入されていることを赤外吸収によっても確認した。
ATR−IR測定のために、n型シリコン(111)ウエハを、上底面の平面形状が縦30mm×横10mm×厚さ0.8mmの長方形で、その縦方向の両端面が45°の傾斜面をもつ台形型45°入射出射のプリズム形状のシリコン基板に切り出した。すなわち、このプリズム形状の縦方向の断面形状は、上底辺が30mm、下底辺が28.4mm、高さが0.8mmの台形である。そのシリコン基板の両面及び傾斜した端面を研磨し、上述のように水素終端化処理とヒドロシリル化反応による有機基導入を行なって測定試料を調製した。その後、シリコン基板は、ジクロロメタンとイソプロパノールでリンスし、真空乾燥させた。
ATR−IR測定はMCT検出器を備えたJASCO FT/IR−460スペクトロメータ(日本分光社の製品)を用い、水分の影響を避けるために試料を窒素ガスでパージしながら測定した。測定用の赤外光はATRプリズムの45度傾斜面に集光させた。バックグラウンドスペクトルは、シリコン表面を98%硫酸と30%過酸化水素水の混合液で完全酸化させた対照基板を使用して得た。
実施例のサンプル4eのシリコン基板のATR−IR測定の結果のスペクトルを図15に示す。C−Hのストレッチ振動に対応する2925cm-1と2855cm-1の吸収ピークが観察され、サンプル4eのヒドロシリル化反応によりオクタデシルプロピオネート基が導入されていることが確認できる。
(有機基導入による接触角測定)
シリコン基板表面に有機基を導入すると、その官能基の種類によって表面の親水性に対する性状が変化することが期待される。そこで、次に水素終端化シリコン基板の接触角と、本発明により官能基を導入したシリコン基板表面の接触角を測定した。
試料調製のための水素終端化処理とヒドロシリル化処理は上述の通りである。ただし、11番目のサンプル4iは9番目のサンプル4hをTFA:CH2Cl2=1:4(体積比)(TFAはトリフルオロ酢酸)の溶液で処理して得た。調製した試料はXPS測定時や赤外吸収測定時と同様にジクロロメタンとイソプロパノールでリンスし、真空乾燥させた。接触角の測定は温度と湿度を特に制御しない環境で行なった。シリコン基板表面にマイクロシリンジを用いて約1μLの水滴を滴下し、側方から顕微鏡観察し、デジタルカメラで画像を取り込んだ。接触角の測定は、図16に示されるようにデジタルカメラによる画像からその水滴の底辺の長さdと高さhを求め、接触角θは
θ=2tan-1(2h/d)
として求めた。各サンプル表面について5点ずつの測定を行ない、その平均値を求めた。
その結果を表2に示す。接触角(Contact Angle)が小さい方が親水性、大きい方が疎水性であることを意味する。標準誤差(Standard error, SE)は
Figure 0004614330
(個々の測定値をxi, 平均値を
Figure 0004614330
, 測定値をnとする)により求めた。
(表2)
Figure 0004614330
水素終端化したシリコン基板(Si−H)の接触角は83°であり、これは文献値とも一致する(非特許文献9参照。)。シリコン基板表面を短かいアルキルエステル又はニトリル基で修飾したサンプル4a〜4d、4hの接触角は62〜77°であり、これはこれらの官能基が分極性であることを反映してSi−H表面の接触角よりも小さい。さらに長いアルキル(C18)基をもつエステル基を導入したサンプル4eのシリコン基板表面の接触角は85°であり、これは疎水性であることを示している。COOH基を導入したサンプル4iのシリコン基板表面は31°というような小さい接触角をもち、親水性であることを示している。
参考のために、98%硫酸と30%過酸化水素の混合液によって表面を完全に酸化したシリコン基板の接触角の測定も試みたが、表面の濡れ性が大きすぎるために接触角が小さすぎて測定することができなかった。
このように、接触角の測定によってもシリコン基板表面に有機基が導入されていること、及び官能基の種類により親水性に対する性状の異なるものが得られることが確認できる。
実施例では、シリコン基板として表面が(111)面の単結晶シリコン基板を使用したが、本発明は表面が水素終端化できるシリコン層を表面にもつシリコン基板であれば同様に適用できることは明らかである。例えば、(100)面をもつ単結晶シリコン基板に有機基を導入している例としては非特許文献4の(b)を挙げることができる。(110)面をもつ単結晶シリコン基板に対しても同様である。さらに、シリコン基板は単結晶に限らず、多結晶でも非晶質でも、表面がシリコン層であるものには同様に本発明が適用できることは明らかである。
本発明により表面に有機基を導入したシリコン基板は太陽電池の電極やバイオセンサーとして利用することができる。
本発明の実施形態におけるヒドロシリル化反応を概略的に示す反応式である。 一実施例におけるサンプル4bのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 同実施例におけるサンプル4bのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 他の実施例におけるサンプル4cのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 同実施例におけるサンプル4cのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 さらに他の実施例におけるサンプル4dのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 同実施例におけるサンプル4dのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 さらに他の実施例におけるサンプル4fのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 同実施例におけるサンプル4fのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 さらに他の実施例におけるサンプル4jのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 同実施例におけるサンプル4jのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 さらに他の実施例におけるサンプル4lのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 同実施例におけるサンプル4lのシリコン基板表面のXPSスペクトルを示す波形図である。 一実施例におけるシリコン基板表面を概略的に示す化学構造式である。 一実施例におけるシリコン基板表面のATR−IRスペクトルを示す波形図である。 接触角を測定するための水滴を示す側面図である。

Claims (8)

  1. 有機基で修飾されたシリコン基板を製造する方法において、
    シリコン基板を有機反応液に浸漬して攪拌する反応工程を含み、
    前記有機反応液に浸漬する際のシリコン基板は表面が水素終端化されたものであり、
    前記有機反応液は電子吸引性又は共役系置換基が不飽和三重結合の炭素原子に結合したアルキンを含む液であり、
    前記反応工程では前記有機反応液にエネルギー源としての光照射を行なわないことを特徴とする有機基修飾シリコン基板の製造方法。
  2. 前記置換基はエステル基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、アリール基、スルホン酸基、スルホンエステル酸基、リン酸基、及びリン酸エステル基、並びにそれらの塩からなる群から選ばれたいずれかである請求項1に記載の有機基修飾シリコン基板の製造方法。
  3. 前記アルキンは末端に不飽和三重結合をもったものである請求項1又は2に記載の有機基修飾シリコン基板の製造方法。
  4. 前記アルキンはアセチレン誘導体である請求項に記載の有機基修飾シリコン基板の製造方法。
  5. 前記アセチレン誘導体は、プロピオール酸エステル類、プロピオール酸、プロピオーロニトリル及びアリールアセチレン類からなる群から選ばれた1種である請求項に記載の有機基修飾シリコン基板の製造方法。
  6. 前記有機反応液はアルキンのみからなる液である請求項1からのいずれかに記載の有機基修飾シリコン基板の製造方法。
  7. 前記有機反応液はアルキンを無水溶媒に溶解した溶液である請求項1からのいずれかに記載の有機基修飾シリコン基板の製造方法。
  8. 前記反応工程は前記有機反応液を加熱しないで行なう請求項1からのいずれかに記載の有機基修飾シリコン基板の製造方法。
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