JP5397990B2 - 免疫賦活ペプチド及びそれを含む飼料 - Google Patents

免疫賦活ペプチド及びそれを含む飼料 Download PDF

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Description

本発明は免疫賦活ペプチド及びそれを含む飼料に関する。より詳細には、家禽を含む家畜の血液の亜臨界水処理ペプチド又は酵素処理ペプチからなる免疫賦活ペプチド及びそれを含む飼料であり、免疫賦活作用により家畜に免疫力を付与して疾病の予防・治療を図ることができるペプチド及び飼料に関する。
従来、豚や鶏などの家畜に対する飼料に関しては、消化率や増体率の向上、嗜好性(食いつき)改善の観点などから種々の試みがなされてきた。ヒトの場合は、種々の健康機能を高めるために、種々の機能を有する素材やペプチドを含有する多くの健康食品などが開発されているが、豚や鶏などの家畜に対する飼料に関しては、コストや嗜好性の面もあり、ペプチド、特に機能性ペプチドを含有させた飼料はほとんど開発されていなかった。
特に、家畜の免疫力の向上や抗菌性や抗ウイルス性を高められるペプチドを与える試み、及びこれらのペプチドを含有させた飼料を家畜に与えて、家畜の免疫系を高める、いわゆる免疫賦活作用を有する飼料添加物及び飼料は開発されていなかった。ウイルスに対抗するためには、免疫系を高める方法が重要な対処法の一つであるが、家畜自体に感染する又は家畜を媒介としてヒトに感染するPRRS (Porcine Reproductive
and Respiratory Syndrome, 豚繁殖・呼吸障害症候群)ウイルス、PCV2 (Porcine CircoVirus Type2、豚サーコウイルス2型)、インフルエンザウイルスなどの種々のウイルスに家畜が感染した場合に対処する具体的方法は見出されていなかった。
本願発明者らは、上記の問題点を解決するために種々検討し、種々の蛋白質の分解物を試して、有用な免疫賦活活性を有するペプチド及びそれを含有する飼料を開発することを試みた。その結果、豚や鶏などの家畜の血液を亜臨界水処理して得られたペプチド(即ち、亜臨界水処理ペプチド)又は蛋白分解酵素処理して得られたペプチド(即ち、蛋白分解酵素処理ペプチド)及びそれを含有した飼料を家畜に摂取させることにより、家畜の免疫系を高め、免疫の働きを効果的に機能させることが出来るようになり、家畜の死亡率である事故率を大幅に低減させ得ることが判明した。
本発明は係る知見に基づくものであり、家畜血液を亜臨界水処理又は蛋白分解酵素処理により低分子化したペプチドからなる免疫賦活ペプチドであり、更にそのペプチドを含有した飼料を提供するものである。
なお、亜臨界水処理は既に公知の技術であり、例えば特許文献1に詳述されている。具体的には、水の臨界点(374℃、22MPa)以上の温度・圧力の水を超臨界水、当該臨界点よりやや低い温度・圧力の高圧熱水を亜臨界水と称されており、亜臨界水処理とは当該亜臨界水で被処理物を処理することを意味する。
また、蛋白質の低分子化方法としては、蛋白分解酵素を用いた酵素分解法が広く利用されている(例えば、特許文献2〜4など参照)。
しかし、これらの文献には、家畜血液の亜臨界水処理ペプチド及び蛋白分解酵素処理ペプチドが免疫賦活作用を有することは記載されていない。
本発明は前記の知見に基づくものであり、家畜血液の亜臨界水処理ペプチド又蛋白分解酵素処理ペプチドからなる免疫賦活ペプチドである。上記の家畜血液は、予めフィブリンを除去した血液を使用するのが好ましい。特に、家畜血液を亜臨界水処理した後に静置して生成する沈殿物が好ましい。また、家畜血液としては、豚又は鶏血液が好適である。更に免疫賦活は、家畜の抗ウイルス活性及び抗細菌活性を向上させるもので、係るウイルスとしてはPRRSウイルス、PCV2、ニューカッスル病ウイルスが例示でき、また細菌としてはサルモネラ菌が例示できる。
また、本発明の飼料は、上記の免疫賦活ペプチドを含有する飼料である。
本発明のペプチド及びそれを含有する飼料は後記試験例に示されるように、家畜に対して免疫賦活活性を有しており、ウイルスや細菌に起因する家畜の疾病の予防・治療を図ることができる。よって、家畜の事故率の低減を図れると共にウイルスや細菌に感染した家畜からヒトへの感染も抑制し得るという格別な効果を奏する。更に、家畜血液は通常費用をかけて処理されており、廃棄物の有効利用を図れるという利点もある。
特許第3644842号公報 特開2006−223164公報 特開2003−155公報 特開2003−199510公報
本発明の免疫賦活ペプチドは、家畜血液を亜臨界水処理又蛋白分解酵素処理することにより得られるペプチドである。
上記の家畜としては、豚、兎、羊、牛、家禽(例えば、鶏、七面鳥、うずらなど)などが挙げられ、好適には豚又は鶏の血液が使用される。
前述のとおり、蛋白質の亜臨界水処理は公知であり、亜臨界水処理条件としては、一般に230〜280℃、1.9〜5.9MPa程度の条件が採用されている(前掲の特許文献1参照)。しかし、本発明においては、免疫賦活活性の有効成分は、家畜血液の亜臨界水処理物又は蛋白分解酵素処理物中のペプチドであると推察されるので、過度の亜臨界水処理は好ましくない。過度の亜臨界水処理を行うと、ペプチドで留まらずアミノ酸にまで分解される蛋白質が多くなり、亜臨界水処理物中のアミノ酸含量が増加する。またアミノ酸の中には苦味を呈するものがあるので、アミノ酸含量が増加すると、飼料として利用した場合に嗜好性が悪くなるおそれがある。そのため、本発明においては、亜臨界水処理条件として、アミノ酸まで分解しない程度の適度に緩やかな条件で部分分解することにより、免疫系を活性化できる有用ペプチドを産生することができ、具体的には160〜240℃、0.1〜5MPa、2.5〜15分間、より好ましくは170〜200℃、0.1〜3MPa、5〜12分の条件下に行われる。
亜臨界水処理は連続式であってもバッチ式であってもよい。
連続式亜臨界水処理の一例を示すと、連続式亜臨界水処理装置は主に高圧ポンプ、プレヒーター及び反応容器から構成され、反応器は横型であっても縦型であっても良い。被処理原料(家畜血液)は、被処理原料濃度が8〜35%(重量%、以下同様)になるように、必要に応じて加水又は濃縮されたものが使用される。均質化された被処理原料液は高圧ポンプで送液され、プレヒーターで反応温度まで昇温され、反応器内で設定温度・圧力下で所定の時間滞留させ、滞留時間を反応時間とした。反応後の反応液は冷却水タンクに通すことで100℃以下に冷却し、冷却された液は背圧弁を通過させて常圧に戻した後、反応液を回収する。
次に、バッチ式亜臨界水処理の一例を示すと、バッチ式亜臨界水処理装置は主に加熱器付反応器からなる装置である。被処理原料(家畜血液)は、被処理原料濃度が8〜35%になるように、必要に応じて加水又は濃縮されたものが使用される。均質化された被処理原料液をポンプで反応器に送液した後、反応器を密閉した。反応器に併設された加熱器で反応温度まで昇温させ、設定温度、成り行き圧力下で所定の時間滞留させ、滞留時間を反応時間とした。反応後は反応液温度が100℃以下、圧力が常圧になるのを確認後、反応液を回収する。
亜臨界水処理に際して、反応を温和な条件下に進行させるため、反応系には酸性又はアルカリ性物質を添加してもよく、酸性物質としては例えば塩酸、硫酸などの無機酸、クエン酸、コハク酸、ギ酸、酢酸、酪酸、アスコルビン酸などの有機酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、ピロリン酸二水素カルシウムなどのリン酸塩などが例示でき、アルカリ性物質としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムなどの亜硝酸塩、リン酸水素二ナトリウムなどのリン酸塩などが例示できる。
酸性又はアルカリ性物質の添加量は所望する分解の程度、処理条件などにより適宜調整することができるが、一般に被処理原料液に0.1〜5%(w/v%、以下同様)、好ましくは0.5〜3%、より好ましくは0.8〜1.5%程度添加される。
家畜血液の蛋白分解酵素処理は常法に準じて、家畜血液に蛋白分解酵素を作用させることにより行うことができる。
蛋白分解酵素としては、家畜血液中の蛋白質を酵素分解できる酵素であれば特に限定されず、動植物由来、微生物由来の蛋白分解酵素、より具体的には例えばブロメライン、パパイン、トリプシン、ペプシンなどを挙げることができるが、好ましくは微生物由来のアルカリ性プロテアーゼ(例えば、アルカラーゼ、ノボザイムFM、プロテアーゼPなど、いずれも商品名)が使用される。なお、酵素は2種以上を併用してもよい。
当該酵素の使用量は、酵素の活性、反応温度、反応時間などに応じて適宜選択することができるが、基質(家畜血液)に対して酵素を、1:0.005〜0.05(重量比)、好ましくは1:0.01(重量比)で使用される。
家畜血液の蛋白分解酵素による酵素分解は常法に準じて行うことができる。例えば、家畜血液を、必要に応じて使用する蛋白分解酵素の至適pHに調整した緩衝液又は精製水に溶解し、次いで所定量の蛋白分解酵素を添加し、各蛋白分解酵素の至適温度で適当な時間(例えば、30分〜5時間程度、好ましくは1〜2時間程度)インキュベートし加水分解する。分解後、加熱(例えば、100℃で5分間程度)して酵素を失活させることにより、家畜血液の酵素分解液を得ることができる。
なお、前述のとおり、本発明において、免疫賦活活性を有するのは、家畜血液の亜臨界水処理物又は蛋白分解酵素処理物中のペプチドと推察されるので、過度の酵素処理はペプチド生成量を減少させるので好ましくなく、アミノ酸まで分解されずにペプチドで留まる程度の処理が好ましい。
また、亜臨界水処理及び蛋白分解酵素処理に際して、家畜血液はそのままで使用してもよいが、フィブリンを除去することが好ましい。事前の研究により、フィブリンに由来する分解ペプチドには免疫賦活活性が少ないことが判明しているので、予めフィブリンを除去することにより、亜臨界水処理物又は蛋白分解酵素処理物中の目的ペプチド含量を増加させることができる。家畜血液中のフィブリンを除去するには、クエン酸ナトリウムなどの血液凝固防止剤を添加しない状態で血液を放置してフィブリンを生成させた後、凝固したフィブリンを荒くバラバラにし、濾過などの手段によりフィブリンを50%以上、より望ましくは80%以上除去した血液を採取することにより調製される。フィブリンは砕くことなく、脱繊という操作で除いてもよい。
なお、以下、フィブリンを除去した血液の亜臨界水処理物をフィブリン除去亜臨界水処理物と称し、フィブリン除去した血液の蛋白分解酵素処理物をフィブリン除去蛋白分解酵素処理物と称する。
更に、家畜血液の亜臨界水処理後、処理液を10分〜2時間程度、好ましくは20分〜1時間程度、より好ましくは30分程度静置すると、沈澱物が生じてくる。反応前に前述のアルカリ性物質を添加した場合は、沈澱物を効率的に産生させるためには、亜臨界水処理後、pHを5.5以下の酸性にする必要がある。沈殿物は、濾取などの慣用の方法により分離することができる。この沈殿物(以下、便宜上、亜臨界水処理後沈澱物と称する)は、特に免疫賦活活性が高いことが判明した。当該亜臨界水処理後沈殿物は赤血球分解物(ヘモグロビン分解物)と推定される。
かくして亜臨界水処理又は蛋白分解酵素処理された反応液は、油分が存在する場合にはデカンテーションなどの慣用の手段で分離した後、濃縮されて濃縮液として使用され、また必要に応じて適当な乾燥手段で乾燥し粉末化する。前述の亜臨界水処理後沈殿物(即ち亜臨界水処理後に静置して生成する沈殿物)も、必要に応じて同様にして乾燥し、粉末化する。
乾燥手段は特に限定されず、液体などを乾燥して粉末化できるものであれば何れの手段も使用できるが、簡便であることから、ドラムドライヤー、スプレードライヤーが好適に使用され、係る加熱乾燥手段による乾燥は常法に準じて行うことができる。加熱温度としては、上記の処理液を乾燥できる温度であれば特に限定されないが、110〜160℃程度、好ましくは120〜150℃程度で行われる。
かくして、本発明の免疫賦活ペプチドが得られる。得られた免疫賦活ペプチドは、そのまま家畜に給餌することもできるが、慣用の飼料と混合して飼料として利用することもできる。飼料への本発明ペプチドの添加量は、家畜の種類や体重、対象とするウイルスや細菌の種類、症状などに応じて適宜調整することができるが、通常1〜10重量%程度、好ましくは3〜7%程度、より好ましくは4〜6%程度に調整される。
本発明のペプチド及び飼料は家畜の免疫賦活を目的として家畜(例えば、豚、鶏、兎、羊、牛など)に給餌され、現時点での農水省の通達を考慮すると豚又は家禽(特に鶏)の飼料添加物又は飼料として好適に使用される。
上記の免疫賦活とは、家畜の免疫力を高めて疾病の予防・治療を図る作用である。係る免疫賦活の具体的な例としては、例えば、抗ウイルス活性、抗細菌活性が挙げられる。
抗ウイルス活性は家畜のウイルス感染により引き起こされる疾病の予防・治療活性であり、当該ウイルスとしては例えばPRRSウイルス、PCV2、ニューカッスル病ウイルス、豚伝染性胃腸炎ウイルス、ロタウイルス、豚流行性下痢ウイルス、豚ヘルペスウイルス1型、口蹄疫ウイルス、豚コレラウイルス、豚インフルエンザ、高病原性鶏インフルエンザウイルスなどが例示される。
また、抗細菌活性は家畜の細菌感染により引き起こされる疾病の予防・治療活性であり、当該細菌としては例えばサルモネラ菌、マイコプラズマ、連鎖球菌、大腸菌、クロストリジウム、ヘモフィルス・パラスイス、豚丹毒菌などが例示される。
なお、亜臨界水処理は、有用な当該ペプチドをより効果的に産生するとともに、家畜血液中の細菌やウイルスをほぼ100%破壊でき、かつ異常プリオンの不活性化もできるため、安全性の面で蛋白分解酵素処理よりも好ましい方法である。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
豚血液(固形分15%)を、連続式亜臨界水処理装置を用いて、190℃、3MPa、滞留時間12分間の条件で亜臨界水処理した。亜臨界水処理物を濾過し、残渣を除去して亜臨界水処理液を得た。
得られた亜臨界水処理液10リットルをダブルドラムドライヤー(ドラム径312mm、長さ400mm、表面温度140℃、ドラム間隔0.2mm)のドラム間に1時間かけて供給し、乾燥させた後、スクレーパーでドラムから剥離させて豚血液亜臨界水処理物を得た。
鶏血液も同様な処理により、鶏血液亜臨界水処理物を調製した。
実施例2
豚血液(固形分15%)をそのまま放置し、フィブリンを生成させた。凝固したフィブリンを荒く砕き、篩にかけフィブリンを80%除去した血液を取得した。このフィブリン除去血液を、実施例1と同様にして亜臨界水処理及び乾燥処理を行い、フィブリン除去豚血液亜臨界水処理物を調製した。
鶏血液についても同様な処理を行い、フィブリン除去鶏血液亜臨界水処理物を調製した。
実施例3
実施例2において、亜臨界水処理後の反応液をそのまま30分間静置した。生成した沈殿物を濾取し、通風乾燥機で乾燥して、豚血液の亜臨界水処理後沈殿物を得た。
実施例2における鶏血液の亜臨界水処理液についても、同様な方法で処理し、鶏血液の亜臨界水処理後沈澱物を得た。
実施例4
豚血液に市販の蛋白質分解酵素(アルカラーゼ2.4L(ノボザイム))を家畜血液に対して0.5重量%添加し、55℃で2時間反応させ、加熱処理(90℃、30分)により酵素を失活させた後、ダブルドラムドライヤーで乾燥させることにより、豚血液酵素処理物を調製した。
鶏血液についても同様な処理により、鶏血液酵素処理物を調製した。
試験例1
マクロファージ活性化試験
豚血液と鶏血液の亜臨界水処理物(実施例1)及び蛋白分解酵素処理物(実施例4)をマクロファージ(RAW264.7細胞)と混合して培養して、サイトカイン(TNF-α、腫瘍壊死因子-α)の産生量が増加すること及び、それにより産生されるNO(一酸化窒素)が増加することを確認した。なお、活性化補助剤としてLPS(リポポリサッカライド)、無添加群には亜臨界水処理物の代わりにPBSを添加した。
より具体的には、LPS(終濃度1μg/ml)で刺激したマウス由来マクロファージ細胞(細胞終濃度4×10cells/ml)に、豚血液若しくは鶏血液の亜臨界水処理物又は豚血液若しくは鶏血液の蛋白分解酵素処理物を終濃度1.25mg/mlで添加し、24時間培養した。培養後の上清中のTNF-α量を市販のELISAキット(Quantikine
Mouse TNF-α)で、NO量を比色法(NO2/NO3 Assay
Kit-CII(DOJINDO))で[NO2 -+NO3 -]量を測定することにより求めた。
なお、培養は、DMEM(FBS10%及びペニシリン1%添加)培地中、37℃にてCO2インキュベータ(5%CO2,95%空気)で行った。
その結果を表1(TNF-α産生量)及び表2([NO2 -+NO3 -]産生量)に示す。表1及び2に示されるように、本発明の処理物は免疫反応の付加活性を有することが確認され、本活性も事故率低下に寄与している可能性が示された。なお、蛋白分解酵素処理物も効果があるが、亜臨界水処理物の方がより望ましいことが示唆された。
Figure 0005397990
Figure 0005397990
試験例2
給餌試験
豚の給餌試験は各群300頭、そして鶏の給餌試験は各群300羽で行った。試験の概要は以下のとおりである。
豚試験:日本飼養標準 豚(農林水産省農林水産技術会議事務局編)に基づき、各群とも餌中の粗蛋白質(CP)は22%、可消化粗蛋白質(DCP)は20%、可消化エネルギー(DE)は3.7Mcal/kg、可消化養分総量(TDN)は84%とした。
試験区では試験食中の亜臨界水処理物含量を4%とした。試験期間は2週間とし、水と食餌は自由摂取とした。飼育形態は一般のコマーシャル農場で群飼とした。7日齢より当該飼料で餌付けをはじめ、21日齢で離乳させた。21日齢より二週間、当該飼料を摂取させ、35日齢で採血を行い、各種分析に供した。
鶏試験:ブロイラーを対象とした。日本飼養標準 家禽(農林水産省農林水産技術会議事務局編)に基づき、各群とも3週齢までの代謝エネルギー(ME)は3.1Mcal/kg、粗蛋白質(CP)は21.0%、3〜5週齢までの代謝エネルギー(ME)は3.1Mcal/kg、粗蛋白質(CP)は17.0%とした。試験期間は5週齢までとし、試験区では試験食中の亜臨界水処理物含量を4%とした。飼育形態は一般のコマーシャル鶏舎で平飼した。35日齢で採血を行い、各種分析に供した。
試験項目は、リゾチーム濃度、NK活性、IgG総量、抗体価、GOT濃度、GTP濃度、事故率、PRRSウイルス感染、PCV2感染、サルモネラ菌感染、ニューカッスル病ウイルス(アジア型)感染である。事故率は全頭を対象とし、血清および糞便を検体とするものは各群中30頭(羽)をランダムに選択して対象とした。
各試験項目の概要は以下のとおりである。
(1) リゾチーム濃度
採血後の血清を、基質であるMicrococcus属の菌体懸濁液に添加し、600nmの濁度の減少を読み取ることで測定した。
(2) NK活性
採血後の全血液を用い、51Cr遊離法で測定した。具体的には、フローサイトメトリーにてソーティングすることにより、NK細胞を得た。51CrにてラベルしたK562細胞をターゲット細胞(1×104個/well)として両細胞を96穴プレートに植え込み,37℃、4時間インキュベーションした.その後,上清をガラスフィルターにて回収し、ガンマーカウンターで放射活性を測定した.細胞障害率は以下の式で求めた.
細胞障害率(%)=(各実験遊離(cpm)-自然遊離(cpm))/(最大遊離(cpm)-自然遊離(cpm))×100
(3)
IgG総量
採血後、遠心分離して得た血清を市販のELISAキット(IgG Pig ELISA Quantiation Kit(BETHYL)、又はIgG(Fc)
Chicken ELISA Quantiation Kit(BETHYL))にて測定した。
(4) 補体価
採血後、遠心分離して得た血清を96穴プレートに20μlずつ分注した。各ウェルに兎保存血液(事前に1×10cells/mlに調製)を80μlずつ分注し、シールして37℃で60分インキュベートした。反応停止液を100μl添加した後、遠心分離(2000rpm、10分)した。上清150μlを別の96穴平底プレートに移した後、マイクロプレートリーダーにて405nmの波長で吸光度を測定した。得られた結果は平均をとった後、下記の計算式で血液障害性率(=補体活性能)を計算した。
血球障害性(%)=補体活性能(%)={([S]−[SB])−([N]−[NB])}/{([P]−[PB])−([N]−[NB])}×100
式中、[S]:サンプル 、[SB]:サンプルブランク、[N]:ネガティブコントロール、[NB]:ネガティブコントロールブランク、[P]:ポジティブコントロール、[PB]ポジティブコントロールブランク
(5)GOT濃度
採血した血液を遠心分離して得られた血清を血清自動分析器(OLYMPUS 680)を用いて測定した(参考文献:日本臨床化学会 臨床化学18(4):226-230,1989)。
(6)GPT濃度
採血した血液を遠心分離して得られた血清を血清自動分析器(OLYMPUS 680)を用いて測定した(参考文献:日本臨床化学会 臨床化学18(4):250-254,1989)。
(7)PRRSウイルス感染
採血した血液を遠心分離して得られた血清を試料とした。血清よりQIAamp DNA Blood Mini Kit(QIAGEN)を用いて全DNAを抽出し、PRRSウイルスゲノムをターゲットとし、PCRにより検出を行った。
(8)PCV2感染
採血した血液を遠心分離して得られた血清を試料とした。血清よりQIAamp DNA Blood Mini Kit(QIAGEN)を用いて全DNAを抽出し、PCV2ゲノムをターゲットとし、PCRにより検出を行った。
(9)サルモネラ菌感染
検査材料としては盲腸便を用いた。方法は鶏病研究会の方法で行った。(鶏病研報28:55−66;1992 および37:14−30;2001)
(10)ニューカッスル病ウイルス(アジア型)感染
採血した血液を遠心分離して得られた血清を試料とした。市販のELISA Kit(NDエリーザキット ゲンコーポレーション)を用いて抗体価を測定することで、感染を判定した。
上記試験の結果を表3に示した。表3中の区分名の概要は以下のとおりである。無添加処理群:豚血液又は鶏血液の亜臨界水処理物を含まない飼料を給餌した豚又は鶏群(コントロール群);
豚(又は鶏)血液亜臨界水処理物群:実施例1で調製した豚(又は鶏)血液亜臨界水処理物を含む飼料を給餌した群;
フィブリン除去豚(又は鶏)血液亜臨界水処理物:実施例2で調製した、フィブリンを除去した血液の亜臨界水処理物を含む飼料を給餌した群;
亜臨界水処理後沈澱物群:実施例3で調製した、亜臨界水処理後沈澱物を含む飼料を給餌した群。
なお、豚血液由来の亜臨界水処理物を含む飼料は豚に給餌し、鶏血液由来の亜臨界水処理物を含有する飼料は鶏に給餌した。
表3に示されるように、リゾチーム濃度、NK活性やIgG総量や補体活性(補体価)の各測定値は、豚、鶏ともに、コントロール群に比べて亜臨界水処理物を含む飼料を給餌した群が高かった。
事故率について、コントロール群では5%であったが、亜臨界水処理物を含む飼料を給餌した群では1〜2%であり、低値であった。
PRRSウイルス感染及びPCV2感染については、コントロール群では陽性であったが、亜臨界水処理物を含む飼料を給餌した群ではいずれも陰性であり、ウイルス感染が抑制されていた。
サルモネラ菌感染及びニューカッスル病感染については、コントロール群では陽性であったが、亜臨界水処理物を含む飼料を給餌した群ではいずれも陰性であり、ウイルス及び細菌感染が抑制されていた。
ウイルス感染又は細菌感染後の組織の炎症状況を反映するGOT濃度やGPT濃度も、コントロール群で高値を示すことが確認された。
なお、亜臨界水処理物を含む飼料を給餌された群間では、亜臨界水処理物群よりも、フィブリン除去亜臨界水物群が高い効果を示し、更に亜臨界水処理後沈澱物群はより高い効果を示した。
以上の結果より、本発明の豚血液又は鶏血液の亜臨界水処理ペプチドを含有した飼料は、PRRS、PCV2、サルモネラ病及びニューカッスル病を抑制し、事故率を著しく低下させ得る、優れた免疫賦活飼料であることが確認された。
Figure 0005397990

Claims (7)

  1. フィブリンを除去した家畜血液の亜臨界水処理ペプチドからなる免疫賦活ペプチド。
  2. 家畜血液が80%以上のフィブリンを除去した血液である請求項1記載の免疫賦活ペプチド。
  3. 家畜血液を亜臨界水処理した後に静置して生成する沈殿物からなる請求項1又は2記載の免疫賦活ペプチド。
  4. 家畜血液が豚又は鶏血液である請求項1〜3のいずれかに記載の免疫賦活ペプチド。
  5. 免疫賦活が、家畜の抗ウイルス活性及び抗細菌活性である請求項1〜4のいずれかに記載の免疫賦活ペプチド。
  6. ウイルスが、PRRSウイルス、PCV2又はニューカッスル病ウイルスである請求項5記載の免疫賦活ペプチド。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のペプチドを含有する飼料。
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