JP6346828B2 - プラセンタ抽出物 - Google Patents

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Description

本発明はプラセンタを原料とするプラセンタ抽出物に関する。特に、遊離チロシン含有量が所定量以下のプラセンタ抽出物に関する。
プラセンタとは哺乳類の胎盤のことであり、近年、美白作用などの優れた機能性から、その抽出物が健康食品、化粧品素材、医薬品などとして使用されている。これらの使用において、プラセンタの優れた機能性を発揮するためには、プラセンタ中の蛋白質を、吸収性や機能性に優れたペプチドまで低分子化、可溶化する必要がある。
従来、プラセンタを低分子化および可溶化したプラセンタ抽出物を得る方法として酵素処理による方法が知られている。例えば、特許文献1には、人胎盤組織から水溶性プロテインなどの高分子蛋白質を抽出する際に除去される残渣物を蛋白質分解酵素で加水分解させた上清に酵母抽出物を加えることを含むメラニン生成抑制剤の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、ブタおよび/またはウマの胎盤を酵素処理により加水分解して得られる水溶性成分、およびフェノール誘導体を含有する化粧料組成物が開示されている。
特開昭53−142515号公報 特開2002−212046号公報
プラセンタ抽出物による美白効果メカニズムの1つとしてチロシナーゼ活性の阻害が挙げられる。チロシナーゼはチロシンを出発物質としてメラニンを生成する反応を担う酸化酵素である。しかしながら、従来の酵素処理により抽出されたプラセンタ抽出物は、該反応の基質である遊離チロシンを多く含有していること、およびチロシナーゼ阻害活性が低いことを本発明者らは確認した。
チロシナーゼによるメラニン色素の生成は、基質であるチロシンからL−DOPAが生成され、さらに複数の反応を経ることで行われるが、酵素処理により抽出されたプラセンタ抽出物のチロシナーゼ阻害活性が低い一因として、基質となるチロシンを多く含むため、仮にチロシナーゼ阻害活性を有していても、同時に基質を供与することになるためチロシナーゼ阻害活性が低く、ひいては美白効果が低いことが考えられる。
また、酵素処理により抽出されたプラセンタ抽出物のように基質となるチロシンを多く含有するサンプルでは、チロシナーゼ酵素濃度が高い(例:90units/ml)チロシナーゼ阻害活性試験系においては、擬似的な陽性を示す場合があることも確認された。なお、一般的なチロシナーゼ阻害活性試験系では、サンプルおよびチロシナーゼを含む混合液に、基質としてL−DOPAを添加して反応させ、反応液の吸光度から生成されたメラニン色素の量を測定する。
しかしながら、チロシナーゼの基質となるチロシンを多く含有するサンプルの場合、チロシンとチロシナーゼが反応することで多くの酸素が消費され、その後のメラニンを生成する反応で酸素不足となり、メラニン生成反応の活性が低くなりメラニンが生成されずに反応液の吸光度が高くならず、阻害活性が擬似的な陽性を示すことを確認した。すなわち、従来の酵素処理によるプラセンタ抽出物がチロシナーゼ阻害活性が高いという報告があるが、擬似的にチロシナーゼ阻害活性が高いという結果が得られている可能性がある。
このようなチロシナーゼ反応により酸素が消費され、メラニン生成反応の活性が低くなる挙動は文献にも紹介されている(東洋食品研究所研究報告書,vol.28,pp55−58,2010)。
また、従来の酵素処理による抽出方法では、酵素の添加は当然のことであるがその他の補助剤も添加することが必要となる。具体的には、酵素に加え、pH調整剤や酵素安定化剤などの酵素反応の補助剤がプラセンタ原料に添加される。これらの添加剤の含有により有効成分の濃度が希釈されるという問題や、非プラセンタ由来の成分が混入するという問題もある。
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、遊離チロシン含有量が少なく、チロシナーゼ阻害活性に優れたプラセンタ抽出物を提供することを目的とする。
本発明は、全固形分中の遊離チロシン含有量が0.30質量%以下であるプラセンタ抽出物に関する。
全固形分中の遊離チロシン含有量が0.27質量%以下であることが好ましい。
プラセンタ原料の亜臨界処理を経て抽出されたプラセンタ抽出物であることが好ましい。
亜臨界処理の温度が175〜200℃であり、圧力が飽和蒸気圧以上であることが好ましい。
亜臨界処理の時間が5〜60分であることが好ましい。
本発明のプラセンタ抽出物によれば、メラニン合成反応の出発物質となる遊離チロシンの全固形分中の含有量が所定量以下であり、従来の酵素処理によるプラセンタ抽出物に比べて高いチロシナーゼ阻害活性を有し、塗布や服用により美白効果が得られるプラセンタ抽出物を提供することができる。
実施例、比較例および参考例のチロシナーゼ阻害活性を示すグラフである。
<プラセンタ抽出物>
本発明のプラセンタ抽出物はプラセンタを原料とする抽出物であり、全固形分中の遊離チロシン含有量が所定量以下であることを特徴とし、プラセンタ抽出物が有するチロシナーゼ阻害活性を効率的に発揮し得るプラセンタ抽出物である。
プラセンタ抽出物の抽出成分は、遊離アミノ酸、分子量3000以下の低分子ペプチド、分子量3000超のペプチド、その他成分の4つに大別される。
なお、本明細書中の遊離アミノ酸、ペプチドおよびその他の成分の含有量は、プラセンタ抽出物の全固形分に対する各成分の質量%で示す。プラセンタ抽出物が水分などの液体成分を含む場合、プラセンタ抽出物を乾燥もしくは凍結乾燥させて液体成分を除去した状態のものを、プラセンタ抽出物の全固形分とする。
遊離アミノ酸とは、アルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸(グルタミン含む)、セリン、スレオニン、アスパラギン酸(アスパラギン含む)、シスチン、トリプトファンの18種類からなるアミノ酸が単独で存在するアミノ酸を指す。
遊離アミノ酸は機能性ペプチドの体内への吸収を阻害し、機能性ペプチドの吸収性や機能性を低下させる恐れがある、また遊離アミノ酸の含有率が高い場合は相対的にペプチドの含有率が低くなり、プラセンタ抽出物の機能性が低下する恐れがある。よって、プラセンタ抽出物の全固形分中の遊離アミノ酸の含有量は、少なければ少ないほど好ましく、0質量%が最も好ましい。プラセンタ抽出物の機能性を十分に発揮できるという理由から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
前述のように、遊離アミノ酸のなかでも、チロシンはチロシナーゼによるメラニン合成の出発物質であり、多く含有することでチロシナーゼ阻害活性が悪化することから、本発明のプラセンタ抽出物は、遊離チロシンの含有量を所定量以下とする。
全固形分中の遊離チロシンの含有量は、0.30質量%以下であり、0.27質量%以下が好ましく、0.25質量%以下がより好ましく、0.20質量%以下がさらに好ましい。遊離チロシンの含有量が0.30質量%を超える場合は、チロシナーゼ阻害活性が低下する傾向がある。また、遊離チロシンの含有量は少なければ少ないほど好ましく、実質的に測定できないほど少なく、限りなく0質量%に近いことが最も好ましい。
分子量3000以下の低分子ペプチドとは、前記18種類のアミノ酸のうち少なくとも1種が2分子以上結合したペプチドの内、分子量3000以下のすべてのペプチドを指す。これらの分子量3000以下の低分子ペプチドは、人体への吸収性がよく、吸収された成分が美白効果などのプラセンタ抽出物の優れた機能性を発揮しやすい成分である。
全固形分中の分子量3000以下の低分子ペプチドの含有量は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。該低分子ペプチドの含有量が40質量%未満の場合は、チロシナーゼ阻害活性が不十分となる傾向がある。また、該低分子ペプチドの含有量の上限は、多ければ多いほど好ましく、100質量%が最も好ましいが、99.5質量%が上限であると推測される。
分子量3000超のペプチドとは、前記18種類のアミノ酸のうち少なくとも1種が2分子以上結合したペプチドの内、分子量3000超のすべてのペプチドを指す。
全固形分中の分子量3000超のペプチドは、人体への吸収性が悪くプラセンタ抽出物の機能性を有さないため、少ないほど好ましく、実質的に測定できないほど少なく、限りなく0質量%に近いことが最も好ましい。また、該ペプチドの含有量が60質量%を超える場合は、相対的に分子量3000以下のペプチドが40質量%未満となってしまいチロシナーゼ阻害活性が不十分となる傾向があるため、該ペプチドの含有量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
人体への吸収性がよく、吸収された成分がプラセンタ抽出物の優れた機能性を発揮しやすい成分であることから、プラセンタ抽出物の全固形分中の分子量3000以下の成分(遊離アミノ酸、分子量3000以下の低分子ペプチドおよび分子量3000以下のその他成分の合計)の含有量は100質量%が好ましく、分子量3000超の成分は含有していないことが好ましい。
その他成分とは、ミネラルに代表される無機成分や脂質、炭水化物などでペプチド、アミノ酸以外のすべての成分を指す。これらのその他の成分は、分離、抽出で全てを取り除くことが困難であり、プラセンタ抽出物の全固形分中に0.5質量%以上含まれる。
<製造方法>
本発明のプラセンタ抽出物の製造方法の一例として、原料のプラセンタを亜臨界処理により抽出する抽出工程、および抽出液と原料残渣とを分離する固液分離工程を説明する。当該製造方法によれば、遊離チロシン含有量が少なく、チロシナーゼ阻害活性に優れたプラセンタ抽出物を製造することができる。
原料
本発明のプラセンタ抽出物の原料となるプラセンタは、哺乳類の胎盤であれば特に限定されず、入手容易性の観点からは、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、イノシシ等のプラセンタが好ましい。原料となるプラセンタは、血液やその他の部位が混在していることがあるため、抽出工程の前に洗浄などの精製工程を行うことが好ましい。
抽出工程
抽出工程は、プラセンタ原料を亜臨界処理することで、亜臨界処理物を得る工程である。亜臨界処理とは、所定温度および圧力の条件下で亜臨界状態にした抽出剤としての亜臨界流体と抽出対象の原料(本発明ではプラセンタ)とを接触させることにより、抽出原料から所定の成分を抽出するものである。例えば、水は、圧力22.12MPa、温度374.15℃まで上げると液体でも気体でもない状態を示す。この点を水の臨界点といい、臨界点より低い温度および圧力の熱水を亜臨界水という。この亜臨界水は、誘電率低下とイオン積の向上により、優れた成分抽出作用と加水分解作用を有する。
本発明における亜臨界処理に用いる抽出剤として水を用いる場合、高温の水処理であれば液体状態でも気体状態でも利用することができる。即ち、亜臨界処理の処理槽へは、水蒸気を供給してもよく、水を供給してもよく、あるいはその両者を供給してもよい。水または水蒸気の温度は望ましくは100℃以上であり、望まれる反応場としては気体よりも液体状態の方が反応は進みやすいので、密閉に近い容器で強制的に液体の状態にした、いわゆる亜臨界の状態の水の使用が好ましい。より具体的には、金属やセラミックスなどの耐圧容器にプラセンタと抽出剤である水を入れて、密閉状態に近い状態にし、水の亜臨界状態(温度:100℃以上、圧力:飽和蒸気圧以上)で、両者の接触を一定時間以上行うことで得られる抽出物を亜臨界処理物とすることができる。
亜臨界処理に用いる抽出剤は、水以外に、例えばエチレン、エタン、プロパン、二酸化炭素、メタノール、エタノールおよびそれらの混合物が挙げられる。これらの中で、安全性の観点から水を用いるのが最も好ましい。抽出剤が水の場合の処理条件について次に説明する。
プラセンタの亜臨界処理温度は、160〜200℃の間が好ましい。この温度範囲にすることにより、遊離チロシン量が少なく、機能性成分である分子量3000以下の低分子ペプチド量が多いプラセンタ抽出物が得られる。分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーによる分子量分布測定にて測定可能である。亜臨界処理の温度が160℃未満の場合は、分子量3000以下の低分子ペプチドを生成させることが難しくなる傾向がある。また、亜臨界処理の温度が200℃を超える場合は、生成された低分子ペプチドがさらに亜臨界反応を起こしてしまい、遊離アミノ酸の生成量が増え、遊離チロシン量の増加および分子量3000以下の低分子ペプチド量の減少が起こる傾向がある。
さらに、亜臨界処理温度は、175〜200℃の間がより好ましく、180〜195℃の間がさらに好ましい。この範囲にすることで、より遊離チロシンの含有量が少なく、分子量3000以下の低分子ペプチド量が多く、チロシナーゼ阻害活性に優れたプラセンタ抽出物を得ることができる。
プラセンタの亜臨界処理圧力は、各温度の飽和蒸気圧以上(その一例としては、160℃のときには0.61MPa以上、200℃以上のときには1.55MPa以上)で行うことが好ましい。この圧力にすることにより、分子量3000以下の低分子ペプチドを生成しやすく、チロシナーゼ阻害活性に優れたプラセンタ抽出物を得ることができる傾向がある。亜臨界処理の圧力の上限は特に定められないが、高圧装置の仕様上、20〜30MPaあたりに抑えることが好ましい。
プラセンタの亜臨界処理時間は、5〜60分の間で行うことが好ましい。この処理時間の範囲にすることにより、低分子ペプチドを生成しやすく、チロシナーゼ阻害活性に優れたプラセンタ抽出物を得やすくなる。亜臨界処理時間が5分未満の場合は、低分子ペプチドを生成させることが困難となる傾向がある。亜臨界の処理時間が60分を超える場合は、生成された低分子ペプチドがさらに過分解してしまい、遊離アミノ酸の生成量が増え、遊離チロシン量の増加および分子量3000以下の低分子ペプチド量の減少が起こる傾向がある。
さらに、処理時間は10〜60分の間がより好ましく、10〜30分の間がさらに好ましい。この範囲にすることで、より遊離チロシンの含有量が少なく、分子量3000以下の低分子ペプチド量が多く、チロシナーゼ阻害活性に優れたプラセンタ抽出物を得ることができる。
すなわち、抽出剤を水とした場合におけるプラセンタの亜臨界処理による加水分解条件としては、処理温度は160〜200℃、処理圧力は各温度の飽和蒸気圧以上、処理時間は5〜60分で行うことが好ましい。この条件で行うことで、遊離チロシンの含有量が少なく、チロシナーゼ阻害活性に優れたプラセンタ抽出物を得ることができる。さらに、処理温度は180〜195℃、処理圧力は各温度の飽和蒸気圧以上、処理時間は10〜30分で行うことが、遊離チロシンの含有量が少なく、チロシナーゼ阻害活性に優れたプラセンタ抽出物を最大限の効率で得ることができるという理由から好ましい。
固液分離工程および乾燥工程
固液分離工程は、亜臨界処理物を抽出液と原料残渣(固体物)とを分離する工程である。具体的な固液分離工程としては、ろ紙を用いたろ過、遠心分離、デカンテーション、スクリュープレス、ローラープレス、ロータリードラムスクリーン、ベルトスクリーン、振動スクリーン、多重板振動フィルター、真空脱水、加圧脱水、ベルトプレス、遠心濃縮脱水、多重円板脱水などが挙げられる。なかでも、操作が簡便であり、分離効率に優れるという理由から、ろ過が好ましい。
固液分離工程により得られた抽出液を乾燥させることにより固形状のプラセンタ抽出物が得られる。乾燥方法としては一般的な乾燥方法を用いることができ、自然放置はもちろんのこと、加熱系である箱型乾燥や噴霧乾燥などの伝熱乾燥、マイクロ波乾燥などの内部発熱乾燥、非加熱系である凍結乾燥、真空乾燥、吸引乾燥、加圧乾燥、超音波乾燥等が可能である。一般的で簡便なオーブン、恒温槽を用いて乾燥することももちろん許容される。また、適宜、活性炭、イオン交換樹脂等の吸着剤を用いた脱色を乾燥工程の前に行ってもよい。
亜臨界処理により得られるプラセンタ抽出物
従来の抽出方法である酵素処理により得られたプラセンタ抽出物は、遊離チロシンを多く含有し、チロシナーゼ阻害活性が低い。一方、亜臨界処理により得られるプラセンタ抽出物は、遊離チロシン含有量が少なく、チロシナーゼ阻害活性に優れたプラセンタ抽出物である。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
<試験用プラセンタ抽出物の調製>
各実施例、比較例および参考例における試験用プラセンタ抽出物の調製工程を説明する。また、実施例および比較例の主な条件を表1に示す。
実施例1
容積2Lの耐圧容器に、ブタ胎盤A(東京芝浦臓器株式会社 脱血、洗浄済)200g、蒸留水200gを入れて、処理温度:180℃、処理圧力:1.0MPa、処理時間10分間で亜臨界処理を行った。
亜臨界処理を終了後、耐圧容器内の処理物を回収し、セルロース製ろ紙(孔径:1μm、Advantec製の5C)で吸引ろ過し、ろ液を凍結乾燥させることで試験用プラセンタ抽出物A1を得た。
実施例2
処理温度:180℃、処理圧力:1.0MPa、処理時間30分間で亜臨界処理を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件で試験用プラセンタ抽出物A2を得た。
実施例3
処理温度:188℃、処理圧力:1.2MPa、処理時間20分間で亜臨界処理を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件で試験用プラセンタ抽出物A3を得た。
実施例4
処理温度:195℃、処理圧力:1.6MPa、処理時間10分間で亜臨界処理を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件で試験用プラセンタ抽出物A4を得た。
実施例5
処理温度:195℃、処理圧力:1.6MPa、処理時間30分間で亜臨界処理を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件で試験用プラセンタ抽出物A5を得た。
実施例6
プラセンタ原料として別ロットのブタ胎盤B(東京芝浦臓器株式会社 脱血、洗浄済)を用いたこと以外は実施例5と同じ条件で試験用プラセンタ抽出物A6を得た。
比較例1
ブタ胎盤A200g、蒸留水50g、蛋白質分解酵素(Alcalase、Novozymes社製)4ml、25質量%水酸化ナトリウム2mlを混合し、60℃で3時間静置することで、酵素分解処理を行った。その後、90℃で1時間静置することで蛋白質分解酵素を失活させた。酵素の失活後、処理液をセルロース製ろ紙(孔径:1μm、Advantec製の5C)で吸引ろ過し、ろ液を凍結乾燥させることで試験用プラセンタ抽出物B1を得た。
比較例2および3
市販のプラセンタ抽出物Aおよび市販のプラセンタ抽出物B(プラセンタ抽出物Aおよびプラセンタ抽出物Bのいずれも、ブタ胎盤由来、抽出工程:酵素処理)を、それぞれ比較例2の試験用プラセンタ抽出物B2および比較例3の試験用プラセンタ抽出物B3とした。
参考例1
実施例5の試験用プラセンタ抽出物A5に対し、遊離チロシンを終濃度が1.22質量%となるよう添加し、試験用プラセンタ抽出物C1を得た。
<評価>
得られた試験用プラセンタ抽出物A1〜A6および試験用プラセンタ抽出物B1〜B3に対して、次の評価を行った。結果を表1に示す。
分子量分布測定
各試験用プラセンタ抽出物を蒸留水に溶解させて4質量%の溶液を作成し、これを0.45μmメンブランフィルターによりろ過し、高速液体クロマトグラフィー(アジレントテクノロジー社製HP1100シリーズ)による測定を行った。
分析条件については、カラム(東ソー社製 品番:TSK guard column SWXL(6.0mm I.D.×40mm)およびTSKgel G2000SWXL(7.8mm I.D.×300mm)を用い、溶離液を0.1w/v% TFA in MeCN/H2O=45/55、カラム温度35℃、流速1.0mL/min、検出UV220nm、導入量20μL、分析時間30minにて分子量分布測定用の標準試薬としてCytochrome C(和光純薬工業)分子量12500、Aprotinin(CALBOCHEM)分子量6512、Bacitracin(Dr. Ehrenstorfer)分子量1423、Angiotensin II(ペプチド研究所)分子量1026、Gly−Gly−Tyr−Arg(ペプチド研究所)分子量451、Gly−Gly−Gly(ペプチド研究所)分子量189により同様な測定で検量線を作成し、溶離時間に対する分子量位置を決め、分子量分布、および分子量分画範囲におけるピーク面積を求め、分子量比率を求めた。
チロシン含有量、構成アミノ酸量の測定
各試験用プラセンタ抽出物の構成アミノ酸と遊離アミノ酸の分析を行った(なお、分析は一般財団法人食品分析開発センターSUNATECにて依頼し行った。)。
各試験用プラセンタ抽出物を過ギ酸酸化処理後、塩酸加水分解を実施した。アルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸(グルタミン含む)、セリン、スレオニン、アスパラギン酸(アスパラギン含む)、シスチン、トリプトファンの計18種類を測定した。なお、トリプトファン以外の分析は、アミノ酸自動分析機にて測定し、トリプトファンについては高速クロマトグラフ法にて測定した。
遊離アミノ酸については各試験用プラセンタ抽出物を酸化処理および加水分解処理せずに、そのままアミノ酸自動分析機および高速クロマトグラフ法による測定を行った。これらの結果より、18種の遊離アミノ酸量および構成アミノ酸量を各々合計し、その結果より、抽出物の固形分中遊離アミノ酸量、構成アミノ酸量を求めた。さらに、前記分子量分布測定結果より、各ペプチド(分子量3000以下のペプチド、分子量3000超のペプチド)の量を求めた。遊離アミノ酸についてはチロシン量のみ表1に示す。
ペプチド量=構成アミノ酸量−遊離アミノ酸量
分子量3000以下のペプチドの量=(構成アミノ酸量)×(分子量3000以下の分子量分布割合)−遊離アミノ酸量
分子量3000超のペプチドの量=(ペプチド量−分子量3000以下のペプチドの量)
チロシナーゼ阻害活性
次の試薬を調製し、使用した。なお、全てのリン酸緩衝液はpH=6.7の同じものを使用した。
酵素溶液:チロシナーゼを30units/mL含有するリン酸緩衝液
基質溶液:L−DOPAを0.2mg/mL含有するリン酸緩衝液
サンプル溶液:各試験用プラセンタ抽出物の濃度が100mg/mLとなるように蒸留水に溶解させ、0.45μmメンブランフィルターによりろ過した溶液
[サンプル(S)]
マイクロプレートの各ウェルに25μLの各サンプル溶液および100μLの酵素溶液を順に入れ、37℃で10分静置させた。その後、各ウェルに125μLの基質溶液を加え、全量を250μLとし、さらに37℃で10分静置させた。その後、吸光プレートリーダーマルチスキャンJX(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を使用し、492nmの吸光度(S)を測定した。
[コントロール(C)]
25μLのサンプル溶液に替えて25μLの蒸留水を使用したこと以外は(S)と同じ条件で反応させ、吸光度(C)を測定した。
[サンプルブランク(SB)]
100μLの酵素溶液に替えて100μLのリン酸緩衝液を使用したこと以外は(S)と同じ条件で反応させ、吸光度(SB)を測定した。
[コントロールブランク(CB)]
25μLのサンプル溶液に替えて25μLの蒸留水を使用したこと、および100μLの酵素溶液に替えて100μLのリン酸緩衝液を使用したこと以外は(S)と同じ条件で反応させ、吸光度(CB)を測定した。
[チロシナーゼ阻害率の算出]
各吸光度測定結果を用いて、下記の式により各試験用プラセンタ抽出物のチロシナーゼ阻害率(%)を算出した。
式:((C−CB)−(S−SB))/(C−CB)×100
なお、試験用プラセンタ抽出物C1のチロシナーゼ阻害率を測定したところ、11.1%であった。試験用プラセンタ抽出物A1〜A6、B1〜B3およびC1のチロシナーゼ阻害率の結果を図1に示した。
Figure 0006346828
表1の結果より、本発明のプラセンタ抽出物は、遊離チロシン含有量が少なく、チロシナーゼ阻害活性に優れたプラセンタ抽出物であることがわかる。比較例1〜3の結果が検出限界以下であったことから、酵素処理により得られたプラセンタ抽出物では、チロシナーゼ阻害活性がほとんど確認できないことがわかる。また、任意に遊離チロシンを添加した参考例1の結果と元の抽出物(実施例5)の結果を比較すると、チロシナーゼ阻害活性が低下していることからも、遊離チロシン含有量がチロシナーゼ阻害活性に影響を与えているといえる。

Claims (2)

  1. 哺乳類の胎盤をプラセンタ原料とし、前記プラセンタ原料を、抽出剤として水を用い、1MPa、160〜180℃、30〜60分の条件で亜臨界処理して、全固形分中の遊離チロシン含有量が0.30質量%以下であるプラセンタ抽出物を得ることを特徴とするプラセンタ抽出物の製造方法
  2. 前記遊離チロシン含有量が0.27質量%以下である請求項1記載のプラセンタ抽出物の製造方法
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