以下、本発明の手続管理システムについて、さらに詳細に説明する。なお、ここでは、特許や実用新案、意匠及び商標等の出願や権利の管理に適用する場合を例に説明するが、本発明の手続管理システムはこれに限らず、その他の各種手続やプロジェクトの進行等にも適用可能である。特に、仲介ないし代理業において、そのクライアントが手続進行状況等を把握できるシステムに好適に適用できる。
図1は、本発明の手続管理システムの一実施例のシステム構成図である。本実施例のシステムは、本来は手続当事者の一方であるクライアント(依頼者)が、仲介・代理人等の管理者を介して、他方の手続当事者である所定の手続先に各種手続を行う場合に適用される。そして、この場合において、管理者へ依頼している案件の状況を依頼者自身がいつでも容易に把握し、好ましくは今後の手続の指示等ができるシステムである。例えば、管理者が特許事務所(弁理士)や年金管理会社等の代理人で、手続先が特許庁(長官、審査・審判官)、依頼者が特許等の出願人ないし権利者等としての企業や個人となる。
仲介ないし代理人等、管理者の側には、手続管理システムの主要部をなすサーバ1が備えられている。一方、各依頼者の側には、それぞれ一以上の依頼者端末4が備えられている。そして、サーバ1は、複数の依頼者端末4,4…と双方向通信可能にネットワーク5を介して接続可能とされている。本実施例では、インターネットを介して接続されている。
各依頼者端末4は、依頼者により操作される入出力装置であり、本実施例ではパーソナルコンピュータから構成されている。すなわち、例えばパソコン本体、キーボードやマウス、ディスプレイの他、サーバ1との通信を可能にするためにモデムないしターミナルアダプター等、及びWWWブラウザやメーラー等を備えて構成されている。
ところで、依頼者は、特許事務所等への初回案件の最初の手続依頼に伴って、サーバ1に依頼者情報の登録(ユーザ登録)がなされることにより、ユーザIDやパスワード等が付与されて自己の端末を依頼者端末4として利用できるようになる。そのために、各管理者は、サーバ自体、或いはサーバに接続された管理者端末2を用いて、依頼者についてユーザ登録を行う。サーバには、ユーザ登録手段6が備えられている。
なお、これに加えて或いはこれに代えて、これから年金管理等を依頼しようする新規の依頼者が、自己の端末で本システムのウェブサイトへ接続後、ウェブページ上にて情報を入力することで、オンラインにてユーザ登録を可能とし、自己の端末を依頼者端末4として利用できるようにしてもよい。
ユーザ登録手段6は、管理者端末2等から入力された所定のユーザ管理情報を受け、それをユーザ管理情報記憶手段15に登録するための手段である。通常、新規のクライアントとの委任契約(特許事務所等への手続の委任、特許事務所等による受任)により、管理者が依頼者のユーザ登録を行う。具体的には、例えば、サーバの手続管理プログラムのメニュー画面において、「ユーザ登録」を選択した後、画面上に表示されるユーザ管理情報の各項目に対して、キーボード等の入力手段からその依頼者に関する情報を入力していき、ユーザ管理情報記憶手段15に登録することで行われる。
なお、管理者端末2は例えば、特許事務所等に設置されたパーソナルコンピュータである。そして、管理者端末2とサーバ1とは、LANやイントラネットの他、インターネット等のネットワーク5を介して接続することもできる(図8)。ここで、管理者端末2がインターネット等でサーバ1と接続される場合には、管理者端末2には、依頼者端末4と同様に、WWWブラウザ等が備えられることになる。
ところで、上述したように、依頼者自身によるオンラインのユーザ登録を受け付ける場合には、ユーザ登録手段6は、依頼者端末4から入力されたユーザ管理情報を受信して、それをユーザ管理情報記憶手段15に登録する手段となる。例えば、依頼者端末4からインターネット5を介して本システムのウェブサイトに接続した後、ウェブページ上のメニュー画面において「ユーザ登録」をマウスでクリックする等して選択して行う。これにより、画面上にユーザ管理情報の各項目と、その入力ないし選択欄等が対応して表示されるので、各項目に対してキーボード等の入力手段から自己の情報を入力や選択していけばよい。そして、画面上に表示された送信ボタンをクリックすることで、その情報をサーバ1に送信して、サーバ1のユーザ管理情報記憶手段15に登録すればよい。
また、電子メールやFAXを用いて登録を受け付けてもよい。この場合には、サーバ側で受信した電子メールやFAX等の内容を自動的に読みとってテキスト化して、ユーザ管理情報記憶手段15に登録するようにしてもよいし、電子メールを受け取った管理者が、上記と同様の手順でユーザ登録するようにしてもよい。
ユーザ管理情報とは、依頼者等、本システムのユーザに関する所定の情報である。例えば図2に示すように、ユーザID、ユーザの名称・氏名や、その所在地、電話番号、ファックス番号、担当者名、Eメールアドレス、パスワードなどが含まれる。この内、ユーザIDは、サーバ1が付与するシリアル番号である。一方、パスワードは、依頼者自身が決定するのが好ましい。また、その他の項目は依頼者から得られる。
ユーザ管理情報記憶手段15は、上記ユーザ管理情報を記憶する手段であり、通常はデータベースより構成される。
ユーザ登録された依頼者は、依頼者端末4を用いて、本システムのウェブサイトに接続することで、本システムの各種サービスを受けられることになる。そのために、サーバ1には、サイト接続者を認証するための認証手段7が備えられている。
認証手段7は、依頼者等のユーザの認証を行う手段である。本実施例では特に、後述する案件管理情報や包袋情報等について、依頼者端末4からの閲覧を許すに際して、前もって閲覧希望者が正規のユーザか否かを認証する手段である。例えば、ユーザIDとパスワードの入力を依頼者端末4に要求し、依頼者端末4から受信した当該情報をユーザ管理情報記憶手段15のものと比較して、その一致性により認証を行う。そして、認証された場合に限って情報を開示する等、所定のサービスを依頼者に提供することになる。
さらに、認証手段はセキュリティ確保のために、例えば次のような手法を採用することができる。すなわち、まず上述したように、依頼者端末4から本システムのウェブサイトに接続して、IDとパスワード(第1パスワード)にて初期認証を受けた後、サーバ1はその初期認証された依頼者の連絡先情報をユーザ管理情報記憶手段15から取得して、その連絡先情報に基づいてその依頼者宛てに第2パスワードを通知し、その第2パスワードを受けた前記依頼者からその第2パスワードを返信されることで、認証を完了するようにすることができる。なお、第2パスワードは、その都度ランダムに作成するのがよい。
第2パスワードの通知は、予め登録されたEメールアドレス、電話番号、ないしFAX番号等に対して行われる。なお、いずれの方法で着信するかをユーザにて設定可能にすれば一層好ましい。
連絡先情報は、初期認証後に、その認証されたユーザIDに基づいてユーザ管理情報記憶手段15を検索して取得し、その情報に基づいてサーバ1は直ちに依頼者宛てに第2パスワードを自動送信する。そして、それを受信した依頼者は、その第2パスワードを前記認証画面の所定欄に入力してサーバ1に送信する。そして、それを受信したサーバ1は、自己が作成、送信した第2パスワードとの一致性を確認することで、最終的な認証を完了する。なお、初期認証から最終認証完了までの間は、依頼者端末4とサーバ1とは接続を維持することが好ましいが、一旦接続を中断して、第2パスワードが付与された後に再度接続するようにしてもよい。この場合、所定の一定時間内に第2パスワードの返信がなされた場合にのみ、認証を有効とする。
このように、初期認証後に、その認証された依頼者宛てに通知を行い、それに返答してもらうことで、その者からの接続要求と把握される。つまり、接続要求している覚えがないのに、通知がきた場合には誰かが不正アクセスしようとしていることになるので、管理者等に即座に連絡することで、情報の漏洩を未然に防止することが可能となる。
なお、初期認証後、第2パスワードを表示するウェブページを任意のURLに作成し、そのページのURLをEメールで依頼者宛てに自動送信し、それを受信した依頼者がそのページを開くことで第2パスワードを取得するようにしてもよい。この場合において、そのURLのページ上にて確認欄にチェックを入れることで、その確認のあった旨をサーバが認識して最終的な認証を完了するようにすれば、認証画面において第2パスワードを依頼者が打ち込む手間を省くことができる。これと同様に、初期認証が行われたことを携帯情報端末等に通知し、その通知された端末にて、その確認の返信をしてもらってもよい。
ところで、電話で第2パスワードを通知する場合には、サーバ1は、依頼者の電話を自動呼び出しし、依頼者との通話状態の確保後に、音声に変換した第2パスワードを読み上げるようにする。或いは、携帯電話やポケベル等の場合には、文字列(メール等)にて第2パスワードを知らせてもよい。正規のユーザが持ち歩くであろう携帯情報端末を利用すること、及びその携帯情報端末がパソコンと別端末であること、別の経路で情報伝達がなされること、別のセキュリティ確保がなされていること等の複合作用により、より高いセキュリティの確保が期待できる。しかも、携帯情報端末へ第2パスワードを送信して、それをパソコンから返信してもらう構成の場合には、サーバには携帯情報端末への送信機能のみがあれば済むし(携帯からの受信処理が不要)、依頼者としてもサーバへのアクセスだけで済む(携帯からの発信が不要)利点がある。なお、依頼者のみならず、管理者についても同様の認証を行うこともできる。
管理者は、依頼者の各案件について、その経過情報等の案件管理情報をサーバ1に登録しておき、その情報に追加や修正等があった場合には、その情報を適宜、加入・修正することができる。そのために、サーバ1には、案件管理情報登録手段8が備えられている。
案件管理情報登録手段8は、案件管理情報記憶手段16に所定の案件管理情報を登録するための手段である。通常、新規の案件をクライアントから受任した場合に、管理者がその案件についての案件管理情報の登録を行い、またその案件のステータスに変更等があった場合にもその都度、案件管理情報の更新が行われる。この登録も、サーバ自体、或いはこのサーバに接続された一以上の管理者端末2から行うことができる。具体的には、例えば、サーバの手続管理プログラムのメニュー画面において、「案件管理情報の登録」を選択した後、画面上に表示される案件管理情報の各項目について、キーボード等の入力手段から、その案件に関する経過情報等を入力や選択して案件管理情報記憶手段16に登録すればよい。
また、依頼者自身によるオンラインでの案件管理情報の登録を受け付ける構成としてもよく、その場合には案件管理情報登録手段8は、依頼者端末4にて入力された案件管理情報を受信して、それを案件管理情報記憶手段16に登録する手段となる。この場合には、例えば、依頼者端末4からインターネットを介して本システムのウェブサイトに接続した後、ウェブページ上のメニュー画面において「案件管理情報の登録」を選択し、画面上に表示される案件管理情報の各項目に対する入力欄や選択欄に、キーボード等の入力手段から情報を入力ないし選択していき、案件管理情報記憶手段16に登録すればよい。また、商標等については、画像情報等をアップロード可能としておく。なお、ユーザ登録の場合と同様に、電子メールやFAXを用いて登録を受け付け、それを管理者側で登録するようにしてもよい。なお、ステータスに変更が生じる等により、後日に案件管理情報を変更する場合については後述する。
ところで、案件管理情報とは、管理者が受任した各案件の現在までの状況等、各案件に関する所定の情報である。例えば特許出願の場合、図3に示すように、案件番号や整理番号(出願用、クライアント管理用など)の他、出願人や権利者の氏名ないし名称、その識別番号、住所、発明の名称、発明者、請求項の数、出願日、出願番号、公開日、出願公開番号、審査請求日、登録日、登録番号、登録公報発行日、更には年金納付状況として年金納付日と納付年分などが含まれる。
また、商標の場合には、案件番号等の他、出願人や権利者の氏名ないし名称、その識別番号、住所、商標やその称呼、商品又は役務の区分や類似群、指定商品又は指定役務、出願日、出願番号、登録日、登録番号、登録公報発行日、更には存続期間更新登録状況などが含まれる。
その他の権利もほぼ同様であるが、出願日等の共通項目は各権利に共通して使用され、出願種別の選択でその権利に固有の事項の設定が可能とされている。なお、分割出願や変更出願等の場合に備えて、出願種別や原出願や関連出願等の指定も可能とされている。また、最終的処分等の他の項目も適宜含まれる。さらに、必要に応じて外国出願等の登録を可能にしてもよい。
さらに、案件管理情報には、どのユーザから依頼の案件かを判別するための情報、例えば前記ユーザ管理情報中のユーザID等も含まれている。ところで、以上に述べた案件管理情報の内、案件番号は、サーバ1が付与するシリアル番号である。そして、その他の項目は各案件に固有のものであるが、その案件の手続が進むに連れて順に蓄積されていく。つまり、各案件について、状況変化がある度にその新たな状況が案件管理情報として追加されることになる。例えば、既存案件に対する案件管理情報の追加等の場合には、その案件番号を指定することで、その案件に関する既存情報が表示されるので、それに加筆訂正すればよい。
つまり、ステータスに変更が生じる等により、後日に案件管理情報を変更する場合には、例えば、メニュー画面において「案件管理情報の登録」を選択した後、画面上に表示される案件管理情報の各項目の内、案件番号のみをその案件のものに変更した後、その画面中に表示された「案件管理情報の更新」のボタンをクリックする等によって行うことができる。これにより、当該案件について、前回までに登録されている案件管理情報が案件管理情報記憶手段16から取得されて、その案件管理情報がその各項目と対応して表示されるので、空欄の部分に加入したり、既に入力されている表示を変更したりすればよい。
なお、メニュー画面における「案件管理情報の登録」を新規案件についての案件管理情報の登録専用とし、既存案件の案件管理情報の更新のために別途「案件管理情報の追加・変更」等をメニューに並列的に設けて対応してもよい。その場合には、既存案件について案件管理情報を追加ないし変更する場合、メニュー画面において「案件管理情報の追加・変更」を選択すると、サーバが案件番号の入力を依頼者端末4に要求するので、依頼者は依頼者端末4のキーボード等からその案件の案件番号を入力して、それをサーバに送信すればよい。なお、出願番号等のその他の項目でも案件を特定可能にするのが好ましい。
指定された案件番号等を受信したサーバ1は、その案件番号等に基づいて案件管理情報記憶手段16を検索して、該当案件についての既登録の案件管理情報を抽出し、それを記載した状態で、案件管理情報登録画面と同様の画面を依頼者端末4に送信して表示させる。よって、依頼者端末4ではそれを見て、空欄の部分に加入したり、既に入力されている表示を変更したりすることが可能となる。なお、依頼者自身による案件管理情報の変更等を認める場合には、それに先立って、変更しようとする依頼者がその案件の正規の依頼者か否かを認証手段7にて認証した後に行われることは当然である。
案件管理情報記憶手段16は、上記案件管理情報を記憶する手段であり、通常はデータベースより構成される。
依頼者等のユーザは、自己の端末を用いて、必要な時にいつでもサーバ1に接続して、自己の案件についての案件管理情報を閲覧することができる。そのために、サーバ1には案件管理情報公開手段9が備えられている。
案件管理情報公開手段9は、案件管理情報記憶手段16に蓄積された案件管理情報の全部ないし一部を、依頼者端末4や管理者端末2に公開する手段である。なお、依頼者端末4への案件管理情報の公開は、その依頼者からの受任の案件に対するもののみが公開可能とされている。一方、管理者端末2への公開は原則としてこのような制限はない点が異なる。この公開は、依頼
者の認証後、その依頼者に関する案件管理情報のみをウェブページ上等で閲覧可能とすることで行われる。
例えば、依頼者端末4からインターネット5を介してサーバ1に接続した後、ウェブページ上のメニュー画面において「案件管理情報の閲覧」をマウスでクリックする等により選択することで行われる。この場合も依頼者の認証が既に行われていることを前提に、認証された依頼者から依頼の案件に関するもののみを開示する。その際、そのユーザID等に基づいて案件管理情
報記憶手段16を検索して、該当案件が抽出される。
なお、受任件数が複数ある場合に備えて、まずその依頼者からの受任案件の一覧を依頼者端末4に送信して、依頼者端末4の画面上に表示する。この一覧には、例えば図6(A)に示すように、案件番号や出願番号や発明の名称等の案件特定事項の他、好ましくは最新の状況(「審査請求待ち」や「拒絶理由通知に対する応答期間中」、「拒絶査定確定」等)が表示される。また、期限管理中の案件については、その期限を表示してもよい。
よって、依頼者は、依頼者端末4に表示されたその一覧中において、案件管理情報の詳細を閲覧したい案件の案件番号等をマウスでクリックする等により指定することで、その案件に関する案件管理情報の詳細を閲覧可能となる。つまり、案件が特定されると、サーバ1は、その案件の案件番号等に基づいて、案件管理情報記憶手段16からその案件の案件管理情報を取得して依頼者端末4に送信して、依頼者端末4に公開するのである。
また、案件の一覧を出さずに、依頼者端末4から案件番号等の案件特定情報の入力によって案件を指定することで、その案件に関する案件管理情報を公開するよう構成してもよい。この場合、依頼者端末4からサーバ1に接続した後、メニュー画面において「案件管理情報の閲覧」を選択すると、サーバは依頼者端末4に案件番号等の案件特定情報の入力を要求する。よって、依頼者は、依頼者端末4のキーボード等から案件番号等を入力してサーバに返信する。するとサーバ1は、その受信した案件番号等に基づいて案件管理情報記憶手段16を検索し、そこからその案件の案件管理情報を取得して依頼者端末4に送信して依頼者端末4に表示することになる。
なお、依頼者側に電子メールやFAXを送信することで対応してもよい。或いは、サーバ1ないし管理者端末2に接続されたプリンターにて案件管理情報を出力し、それを依頼者に郵送又はFAXする構成としてもよい。これらの際の各宛先情報は、ユーザ管理情報記憶手段15から取得可能なことは言うまでもない。
また、ステータス等に変更があった場合には、その案件の依頼者にEメール等で知らせるようにしてもよい。その際、変更のあった案件の案件管理情報を表示するURLを知らせて、そのメール上のURLをクリックする等して認証後に即座にその案件管理情報を閲覧可能にするのが好ましい。
サーバ1には、次手続、特にその期限管理を行うために、手続管理手段10が備えられている。つまり、手続管理手段10は、案件管理情報に基づいて、その案件についての次手続等を管理する手段である。特に、次手続を所定期間内にする必要が生じた場合に、少なくともその期限管理を行う手段である。例えば、案件管理情報登録手段8にて案件管理情報記憶手段16に案
件管理情報としての経過情報の追加等を行う際に、その追加しようとする経過情報が所定のものである場合には、その手続に対する所定の次手続の種別と、その手続期限とを求めて、その管理が行われる。
なお、次手続の種別とその手続期限の導出は、案件管理情報を案件管理情報記憶手段16に登録しようとする際に、その管理者がその案件管理情報に対する次手続等に関する所定の情報を求めて、それらを同時に案件管理情報記憶手段16に登録するようにする。或いは、案件管理情報登録手段8のプログラム上にて行うのが好ましい。つまり、案件管理情報記憶手段16へ所定項目の案件管理情報を登録する際には、その項目に対応した次手続の種別と手続期限が自動的に導出されて、その情報も案件管理情報として保存され、管理されるよう構成するのが望ましい。例えば、新規特許出願を行ったことに伴って、その出願日や出願番号等の案件管理情報を登録すると、次手続として「出願審査の請求」が求められ、またその最終期限として出願日から所定期間経過後の審査請求最終期限日の年月日が算出されて管理されることになる。
次手続の種別や期限等の情報は、案件管理情報の一部として登録され管理されるが、この部分の登録先は案件管理情報記憶手段16と同一でも別でもよい。いずれの場合も、その期限はサーバの時計を利用して、手続管理手段10にて日々の年月日と比較して管理される。また、期限管理すべき案件について、その期限管理すべき情報のみを別ファイルとして保存して、その次手続が完了するまで、その別ファイル内の期限を日々管理するようにしてもよい。
また、案件管理情報記憶手段16には現在まで実際に行った経過情報のみを登録しておいて、その内の所定の経過情報の種別と日付とから、手続管理手段10にて次手続や期限を求めて、日々その年月日を比較して管理してもよい。
サーバ1には、手続に関する指示を依頼者に要求、ないし依頼者からの手続指示を受けるために、手続確認手段(手続指示手段)11が備えられている。この実施例では、次手続等の各種手続に関し、その実行の有無等を依頼者に確認するための手段である。具体的には、例えば、サーバ1から依頼者へ電子メールやFAX等を送信し、それに対し返答するために依頼者から発信された電子メールやFAXを受信して、その受信結果に基づいて手続の実行の有無等が管理されることになる。この場合も、ユーザ登録の場合と同様に、依頼者からの受信メールに基づいて、自動的に手続の指示を抽出して、それを案件管理情報記憶手段16等に登録して手続管理等を行ってもよいし、受信したメールを管理者が見て登録し、管理してもよい。
或いは、サーバ1や管理者端末2のプリンター等の出力手段で、次手続の有無等を確認するための回答書やその依頼者向け宛先ラベルを出力して、それを用いて依頼者へ郵送やFAXを行い、依頼者がその回答書に所定事項を書き込んで、郵送、FAX、電子メール等で回答した結果により得られた情報に基づいて、手続の実行の有無等を管理してもよい。
或いは、手続の実行の有無等は、該当案件の依頼者が閲覧できるウェブページを用いて行うこともできる。この場合、その指示画面を表示するURLを依頼者宛てにEメール送信し、それを見た依頼者がそのURLに接続して認証後、手続の指示を可能にすることができる。なお、以上の方法の内、複数の手段を備えていてもよいことは勿論である。
ところで、ウェブページを用いて行う場合には、依頼者が依頼者端末4からサーバ1に接続した後、メニュー画面において例えば「手続の指示」を選択して行うことができる。このメニュー選択によって、案件番号等の案件特定情報と、その手続指示用の各入力欄が表示されるので、依頼者端末4からそれを入力してサーバに返信すればよい。なお、案件特定情報とその案件に関しての手続の指示を依頼する電子メールを単に管理者に送ることで済ますこともできる。
或いは、その依頼者の案件に関して、期限管理中の案件があればその一覧を表示させて、その一覧中において手続を指示できるようにしてもよい。例えば、案件番号等の案件特定情報と、次手続の種別、その期限等とが一覧表示されると共に、各案件について手続の実行の有無の確認欄が表示される。よって、依頼者は、依頼者端末4のマウス等で手続の「実行」か「不実行」かいずれかの欄にチェックを入れて手続を指示することが可能となる。なお、所定期間内にこの期限簿の閲覧による手続の有無の指示がない場合には、電子メール等の手段にて手続の実行の有無の確認を行ったり、或いはウェブページを閲覧して手続の有無の指示を行うよう案内を出すのが好ましい。
そして、手続確認手段11によって確認された依頼者の指示に従って、手続管理手段10にて次手続が管理されることになる。つまり、次手続を行う場合には、その次手続の期限管理が少なくともなされることになる。
サーバ1には、様式情報記憶手段17に蓄積された各種手続様式を利用して、次手続等の所望の書類を作成する手続準備手段12が備えられている。例えば、手続確認手段11により依頼者の次手続の実行意思が確認された場合に、様式情報記憶手段17からその次手続に対応した所定の手続様式の様式情報を取得すると共に、必要ならば案件管理情報記憶手段16に蓄積されている出願人や権利者等やその識別番号等の主体的情報や、出願番号や登録番号等の客体的情報をも取得して、次手続用の手続書類(手続用ファイル)を作成するのである。なお、この際、書類作成のために足りない情報があれば、管理者端末2や依頼者端末4から必要な情報が入力されて、手続書類中に加入される。
様式情報記憶手段17とは、上記様式情報を記憶する手段であり、通常はテキストファイルや所定形式の文書ファイルとして、或いは画像ファイル等のファイルとして記憶されている。
様式情報とは、所定手続を行う場合の書式であり、例えば特許法施行規則等に規定されている各様式の他、必要ならば譲渡証等のその他の書式や、管理者(代理人)専用の委任状等も含まれる。これら各書式は必要に応じて、手続指示手段を介して所望のものを指定することにより、依頼者端末等から取り出し可能とされている。
サーバ1には、手続準備手段12により作成された手続書類(手続ファイル)を用いて、次手続を行うべき手続先に、次手続を実行するための手続実行手段13が備えられている。例えば、次手続を行うべき手続先端末3と通信回線やネットワークを介してサーバ1が接続されており、前記手続ファイルをそのまま或いは所定形式に変換した後、サーバ1から手続先端末3にオンラインにて手続するための手段である。なお、サーバ1自体から手続先端末3に直接手続してもよいが、一旦、手続ファイルを管理者端末2ないし依頼者端末4に送信して、その管理者端末2ないし依頼者端末4から手続先端末3にオンラインにて手続を行ってもよい。
また、オンラインではなくオフラインにて手続先に手続できるよう構成してもよい。その場合には、手続準備手段12にて作成された手続ファイルをサーバ1や各端末2,4のプリンターにて出力し、或いは所定形式でフロッピーディスク等の記録媒体に出力して、それを手続先へ郵送等すればよい。
サーバ1には、包袋情報記憶手段18が備えられている。これは、各案件についての経過書類を蓄積し保存する手段であり、文書ファイルや画像ファイル等のファイルとして記憶されている。各ファイルは、案件番号等と対応させられて保存されている。なお、包袋情報とは、手続先に実際に提出した書類等、その案件に関連した書類に関する電子データである。この包袋情報
は、案件管理情報公開手段9にて各端末から閲覧可能とされている。もっとも、依頼者端末4への公開は、その認証によって、その依頼者に関する案件のみを公開するのは当然である。
サーバ1には、料金請求手段14が備えられている。これは、所定手続ごとの料金情報を記憶された料金情報記憶手段19を用いて依頼者に課金を行う手段である。具体的には、手続管理手段10にて管理中の手続、或いは手続実行手段13にて実行された手続に関して、その手続の種別等に基づいて料金情報記憶手段19の料金情報を用いて手続実行料金を算出して、依頼者に請求を行うのである。例えば、サーバ1や管理者端末2のプリンターにて請求書や宛先ラベルを印刷して、それに基づいて依頼者に請求書を郵送すればよい。或いは、請求書ファイルを作成して電子メールで送信したり、FAXで依頼者端末4へ送信してもよい。そして、好ましくは、ネットワーク上に決済手段を備える決済機関を設けて、オンラインでの決済を可能にする。そして、その決済情報は、サーバ1に伝達され、請求の消し込み処理がなされることになる。
料金情報記憶手段19は、手続の種別や単位量等に応じて料金が格納された手段であり、通常はファイル(テーブル)からなる。料金情報には、印紙代の他、手数料などが格納されており、好ましくは依頼者(ユーザID)ごとに料金設定したり、依頼者ごとの増減率を格納して、基準料金にその増減率をかけて実際の料金を料金請求手段14にて算出するようにしてもよい。
請求情報記憶手段20は、料金請求手段14にて作成された請求内容を記憶した手段であり、通常はファイルとされている。なお、未払いの請求や、過去の請求等の請求内容は、管理者端末2の他、依頼者端末4からもウェブページ上等で閲覧可能にするのが好ましい。依頼者からの閲覧は、認証を受けた依頼者が自己への請求に対するもののみを閲覧できるのは言うまでもない。
次に、以上のようにして構成された手続管理システムの動作について説明する。ここでは、例えば特許出願についてその出願時から特許事務所等の管理者に手続を依頼している場合について説明する。
他の受任案件がなく、全く新規の依頼者の場合には、サーバ1ないし管理者端末2において、その依頼者に関する情報をユーザ登録手段6にてユーザ管理情報記憶手段15に登録し、ユーザIDとパスワードを設定する。そして、そのユーザIDやパスワードは、電子メール等で依頼者に通知される。よって、依頼者は、それ以後、そのユーザIDとパスワードを利用して、所定の情報を随時閲覧等できることになる。
管理者は、特許出願を所定の手続先に行うと、その出願番号や出願日を案件管理情報登録手段8にて案件管理情報記憶手段16に登録する。なお、既に特許出願人等の住所や氏名等の他、識別番号等を案件管理情報記憶手段16に登録していた場合には、その案件管理情報と様式情報記憶手段17に記憶されている願書等の様式を利用して、手続準備手段12にて可能な限り必要事項を埋めた状態にて願書を自動作成し、その足りない部分を追加した後、必要ならばそれを送信ファイルに変換して、手続実行手段13にて特許庁へオンライン出願することができる。そして、出願用のファイル、ないし特許庁から受信したプルーフ等は、包袋情報記憶手段18に蓄積される。
案件管理情報記憶手段16への出願日等の登録に伴って、出願審査の請求等の次手続が導出され、またその最終期限が算出される。そして、それら情報は、案件管理情報の一部として、案件管理情報記憶手段16或いはそれとは別ファイルとされ、手続管理手段10にて期限管理される。
一方、依頼者端末4においては、サーバ1に接続することで、案件管理情報公開手段9にて自己の各案件についての情報を得ることができる。
依頼者が案件管理情報を閲覧するには、インターネットを利用可能な依頼者端末4を用いて、WWWブラウザによりサーバ1に接続する。これに伴い、サーバ1は、依頼者端末4に例えばユーザIDとパスワード等の入力を要求する認証画面を送信して、依頼者端末4のディスプレイに表示させる。これに対して、依頼者は自己のユーザIDとパスワード等を入力して、サーバ1に返信する。
この情報を受信したサーバ1は、受信した情報に基づいて、依頼者が正規の依頼者か否かの認証を行う。そして、正規の依頼者と認証した場合に限って、図4に示すようなメニュー画面を依頼者端末4に送信して、そのディスプレイに表示させる。
メニュー画面を受信して表示されたディスプレイを見て、依頼者はメニュー画面上の「案件管理情報の閲覧」を選択する。例えば、その項目をマウスにてクリックすることで選択される。この選択信号を受けたサーバ1は、案件管理情報の公開形式を選択させるために、例えば図5に示すように、「番号順一覧」、「期限順一覧(期限簿)」、「番号指定(検索)」等の項目ボタンを表示した選択画面を依頼者端末4に送信してディスプレイに表示させる。これに対して、依頼者は、マウスにていずれかの項目をクリックして、初期閲覧形式を選択する。
例えば、「一覧」を選択した場合には、サーバは、ユーザIDに基づいて案件管理情報記憶手段16からその依頼者に関する案件を検索して、その依頼者からの受任案件の一覧を依頼者端末4に送信して、依頼者端末4のディスプレイに表示させる。この一覧には、例えば図6(A)に示すように、案件番号等や発明の名称等の案件特定事項の他、現況などが案件番号等の順に表示される。そして、依頼者は、依頼者端末4に表示されたその一覧中において、案件管理情報の詳細を閲覧したい案件に対しては、その案件番号等をマウスでクリックして指定することで、その案件に関する案件管理情報の詳細を閲覧可能となる。つまり、案件が特定されると、サーバ1は、その案件の案件番号に基づいて、案件管理情報記憶手段16からその案件の案件管理情報を取得して依頼者端末4に送信して、依頼者端末4に公開する。
さらに、その詳細画面中には、「包袋閲覧」というボタンが表示されるので、依頼者はこれをクリックすることで、その案件の包袋情報も閲覧可能となる。つまり、これが選択されると、サーバ1は案件番号に基づいて包袋情報記憶手段18を検索して、該当案件番号のファイルの一覧を表示するので、それを選択して包袋情報を閲覧することが可能となる。例えば、特許出願時の書類内容を見ることが可能となる。
一方、メニューにおいて「期限順一覧(期限簿)」を選択した場合には、サーバ1は、ユーザIDに基づいて案件管理情報記憶手段16からその依頼者に関する案件を検索すると共に、各案件について案件管理情報の内、期限管理に関する所定の項目の部分のデータの有無を調べて、そのデータがあり且つそれが現在よりも新しいものについて、その期限が早くくるものから案件を並び替えて、前記一覧表示の場合と同様に一覧表示し(図6(B))、それから詳細情報などを見られるようにしている。なお、手続管理手段10が期限管理すべき案件を別ファイルにて管理している場合には、そのユーザIDに基づいてそのファイルを検索して、期限が近い順に案件の一覧を依頼者端末4に送信して、依頼者端末4のディスプレイに表示させてもよい。
さらに、メニューにおいて「番号指定(検索)」を選択した場合には、サーバは検索画面を依頼者端末4に送信して、そのディスプレイに表示させる。その検索画面では、案件番号や出願番号ないし発明の名称等の案件特定事項のプルダウン形式の選択欄と、その番号等の入力欄がある。よって、例えば案件番号から該当案件の案件管理情報を閲覧したい場合には、案件特定事項として「案件番号」を指定すると共に、番号等の入力欄に該当案件番号を入力して、検索開始ボタンをクリックすればよい。これにより、案件特定情報がサーバに送信される。これを受信したサーバは、その案件特定情報に基づいて、案件管理情報記憶手段16を検索して、その依頼者の該当案件に関する案件管理情報を依頼者端末4に送信して公開することになる。
また、メニュー画面や上記案件管理情報閲覧画面には、「手続の指示」というボタンがあるので、依頼者はこれをクリックして選択することで、各案件についての次手続等の指示ができる。
つまり、メニューにおいて「手続の指示」を選択すると、サーバは手続確認手段11を用いて、手続指示画面を依頼者端末4に送信してそのディスプレイに表示させる。その手続指示画面では、案件番号等の案件特定事項の入力ないし選択欄の他、手続指示の入力ないし選択欄があるので、それについて入力ないし選択した後、サーバに返信する。この情報を受け取ったサーバは、その案件特定事項に基づいて、案件管理情報記憶手段16等の案件管理情報を更新し、それに伴い手続管理手段10も次手続の管理を行うことになる。なお、特定の案件の案件管理情報閲覧画面から手続指示画面に進んだ場合には、その特定案件の案件番号等の案件特定事項が入力された形で、依頼者端末4に送信して表示させるのが好ましい。
このようにして回答を受信したサーバ1は、それに基づいて手続を管理する。例えば、次手続を行う場合には、様式情報記憶手段17の所定の様式等を利用して、手続準備手段12にて手続ファイルを作成して、手続実行手段13にて手続先端末3に手続を行う。そして、その手続に伴う案件管理情報の追加が、案件管理情報登録手段8にてなされると共に、包袋情報記憶手段18にその提出書類のデータが記憶される。なお、各手続の前後には、必要に応じて料金請求手段14を用いて、料金情報記憶手段19の料金情報を利用して請求書を発行して依頼者に請求を行う。その請求情報は、請求情報記憶手段20に記憶されて管理されることになる。
次に、本システムを用いて、特許事務所ないし年金管理会社等による設定登録や存続期間更新登録をも含めた年金の管理に使用する場合について説明する。ここでは、管理者側でのユーザ登録に加えて、ユーザ自身がオンラインにてユーザ登録できるシステムとしている。
新規にユーザ登録しようとする依頼者は、自己の端末を用いて、インターネット経由にてサーバ1のウェブサイトに接続する。すると、既ユーザ向けの認証画面と共に、新規ユーザ向けの「ユーザ登録」という項目のボタンが表示されるので、それをクリックして選択する。この選択信号を受けて、サーバは、ユーザ登録画面を依頼者端末4に送信して、そのディスプレイに表
示させる。
このユーザ登録画面は、管理者端末2側からユーザ登録する場合と同様の構成とされている。例えば、ユーザID、ユーザ名(名称・氏名)、所在地(住所)、電話番号、FAX番号、担当者名、メールアドレス、パスワードの入力画面が表示される。この内、ユーザIDは、サーバ1から予め所定のものが割り当てられて表示され、その他の項目は依頼者が依頼者端末4のキーボード等から入力してサーバ1に送られる。このようにして入力されたユーザ管理情報は、ユーザ管理情報記憶手段15に登録される。
このようにして一度、ユーザ登録しておけば、以後はサーバに接続すると、ユーザIDとパスワード等により認証を受けた後、メニュー画面へ進んで、案件管理情報の閲覧等のサービスが受けられることになる。
ユーザ登録が行われると、サーバ1は案件管理情報登録画面を依頼者端末4に送信して、依頼者端末4のディスプレイに表示させる。この案件管理情報登録画面も、管理者端末2側にて案件管理情報の登録を行う場合のものと同様である。例えば、ユーザIDや案件番号の他、権利者等のその案件の主体的情報や、その経過情報等の客体的情報が含まれている。なお、この内、案件番号は、その案件に固有のものとされ、案件ごとにサーバ側から予め所定のものが割り当てられて表示される。
このようにして、依頼者端末4にて入力された案件管理情報は、サーバ1に送信され、それを受信したサーバ1は、案件管理情報を案件管理情報記憶手段16に登録する。なお、案件管理情報の登録は、メニュー画面において、「案件管理情報の登録」を選択することによって表示される案件管理情報登録画面経由でも登録可能とされている。例えば、既登録ユーザが新規案件の管理を依頼する場合等に利用される。
ところで、案件管理情報に変動が生じた場合には、案件管理情報の登録画面において、案件番号を指定して「案件管理情報の更新」ボタンをクリックして、その案件についての既登録の案件管理情報を出力して表示させた後、その空欄に加入したり、所定事項を書き換えたりすることで行うことができる。
そして、案件管理情報記憶手段16に登録された案件管理情報は、案件管理情報公開手段9にて依頼者端末4から閲覧することができる。この構成については、上述した場合と同様であるので、以下では主として異なる点を中心に説明する。
案件管理情報の閲覧において一覧表示を選択した場合には、その権利番号や発明の名称等の案件特定事項の他、その存続期間満了日や、現在までに納付済みの最終年金納付年分、好ましくは次回の納付期限等が表示されることになる。
また、手続の指示の欄では、どの案件について、何年分の年金を納付するのか、或いは納付せずに権利を消滅させるのかが指示可能とされている。
そして、手続が指示された場合には、手続準備手段12は、案件管理情報や様式情報を利用して、年金納付手続用のファイルを作成して、手続先端末3に納付手続を行うことになる。
ところで、例えば権利の移転等の場合には、依頼者は、依頼者端末4から手続指示手段(手続確認手段)11を介して手続の指示をすればよい。それに伴い、サーバは、手続準備手段12にて様式情報記憶手段17から譲渡証の書式を取り出して、必要ならば可能な限りの事項を加入した状態で、依頼者端末4に送信する。例えば、電子メールの添付ファイルとして送信される。それを受信した依頼者は、そのファイルを開いて、必要ならば所定事項を加入した状態で、プリントアウトして譲渡契約の印鑑を押してないし押してもらえばよい。
また、委任状等、その他の書類も適宜、手続指示手段から様式を指示することで、手続準備手段12を用いて依頼者端末4にて取り出すことが可能とされている。そして、依頼者は、依頼者端末4にてそのファイル(文書ないし画像ファイル等)をプリントアウトして、印鑑を押す等して返送すればよい。なお、印鑑に代えて、電子的認証や公証を用いてもよい。
なお、本発明の手続管理システムは、上記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、ユーザ管理情報や案件管理情報等の各情報、つまり各記憶手段に登録される項目は上記実施例に拘束されず適宜変更可能なことは言うまでもない。
また、上記実施例では、依頼者から手続の指示を受けた場合、手続準備手段12にて作成されたファイルを、サーバ1ないし管理者端末2の手続実行手段13を用いて、所定の手続先端末3に送信して手続を行う例について説明したが、ファイルを依頼者端末4に送信した後、それを受信した依頼者端末4側にて手続先端末3に手続をするようにしてもよい。さらに上記実施例において、各依頼者の閲覧履歴を残してもよい。この場合、ユーザIDと、閲覧ページ、閲覧時刻等を対応させて保存しておけばよい。さらに、拒絶理由があった場合には、その引用例を包袋情報等と同様の手法で、ウェブ上で閲覧可能にしたり、ダウンロード可能にしてもよい。
また、図1では、管理者端末2を1台だけ示しているが、サーバには複数台の管理者端末2を接続してもよい。例えば、特許事務所において複数台設置して、各担当者の端末からサーバに接続して各情報を利用可能としてもよい。この場合には、各担当者の管理者端末2についても、依頼者端末4と同様の認証を行うのが好ましい。さらに、管理者端末2を複数にして、複数箇所の特許事務所等にてシステムを共用するように構成することもできる。なお、これらの場合において、図8に示すように、各管理者端末2はネットワークを介してサーバに接続することができる。
複数事務所(代理人等)とその各クライアントでシステムを共用する場合には、具体的には、例えば各案件の案件管理情報に、管理者用と依頼者用の各識別符号を付すと共に、依頼者と管理者双方をユーザ登録することによって実現される。すなわち、各案件の案件管理情報に、前記実施例において述べた依頼者用のユーザIDに加えて、その案件がどの代理人(事務所)の案件かを示す管理者用のユーザIDをも付しておくのである。また、認証時には、入力されるIDが依頼者IDか管理者IDかの項目を選択させた上で、そのIDとパスワードを入力させて、依頼者ないし管理者の認証を行うのである。
例えば、依頼者は、認証画面で「依頼者ID」をマウスでチェックする等して選択しつつ、その依頼者ID(ユーザID)とパスワードを入力して認証を受ければ、前記実施例の場合と同様に、その依頼者IDに基づいて案件管理情報記憶手段16の検索等が行われることで、自己の案件についての案件管理情報の閲覧等が可能となる。この際、同じ依頼者IDを自己の各案件について共通して付されることで、案件毎に異なる複数の代理人に手続を依頼している場合でも、その各代理人が本システムを利用している限り、依頼者はどの代理人に依頼している案件かを問わずに自己の案件全てを閲覧可能とできる。
一方、各管理者も、依頼者の場合と同様に、ユーザ管理情報記憶手段(依頼者用と別に構成するのがよいが、共通のものを使用することもできる)にユーザ登録して管理者ID(ユーザID)とパスワードの設定を受けておくことで、認証の際には「管理者ID」の項目を選択しつつ、その管理者IDとパスワードを入力して認証を受けることで、自己が受任している各案件の情報の閲覧等が可能となる。つまり、認証が行われた後には、その管理者IDに基づいて、案件管理情報記憶手段16を検索等することで、その管理者IDの付された全ての案件の情報の利用が可能となる。なお、管理者IDと依頼者IDとを特に区別せずに同等に扱う場合には、認証も両者共通して行い、各案件の案件管理情報に両者のIDを付しておけば済む。
なお、代理人が新規の依頼者についてユーザ登録する場合には、その依頼者が既に他の代理人によってユーザ登録されている場合も考えられるので、まずユーザ管理情報記憶手段15を検索して、ユーザ登録されているかを確認することになる。そして、既登録の依頼者の場合には、そのユーザIDを使用して案件管理情報を登録すればよいし、未登録の依頼者の場合にはユーザ登録した後、その際に付与されるユーザIDを用いて案件管理情報の登録等を行うようにすればよい。なお、依頼者IDや管理者IDに、特許庁から付与された識別番号を使用すれば、これらの管理が容易に行える。
ところで、認証の際に「依頼者ID」か「管理者ID」かの選択を行う代りに、依頼者用の認証と管理者用の認証とを別画面から行うようにすることもできるのは当然である。また、案件管理情報の他、包袋情報や請求情報なども同様に、管理者IDと依頼者IDによって区分けが可能なことも言うまでもない。これにより、代理人は自己の受任の案件に関して各種情報を取得したり登録・変更等が可能で、また依頼者は自己の案件に関してのみ、それがどの代理人に委任したかによらず、各種情報の取得等が可能となる。
また、管理者についてユーザ登録する場合には、その各管理者の専門分野や業務範囲などを登録するのが好ましい。これにより、依頼者と管理者との新たなマッチングが可能となる。例えば、依頼者が、ある分野に強い代理人を探そうとする際に、管理者情報記憶手段(ユーザ管理情報記憶手段)15を検索することで、適切な代理人の抽出が可能とされる。この検索は、依頼者自身が依頼者端末4から可能としてもよいし、管理センター側の仲介者が行ってもよい。
なお、各ユーザをさらにメインユーザとサブユーザ等の複数の階層に区分けしたり、そのユーザごとに本システムのサービスの利用レベルを設定可能としてもよい。例えば、各依頼者を、クライアント自身のメイン依頼者と、そのメイン依頼者に属するサブ依頼者とに分け、それぞれにユーザIDとパスワードを設定する。なお、サブ依頼者の管理は、メイン依頼者と同等に管理すればよい。或いは、ユーザ管理情報記憶手段15中にメインユーザとは別のサブユーザ用テーブルを作成し、メインユーザの場合と同様に、サブユーザIDやその属性やパスワードを設定すると共に、どのメインユーザに属するのかを識別するために、メインユーザIDをキーとして付して管理してもよい。或いは、ユーザIDとパスワードのいずれか一方をメインユーザのものと共通とすることで、メインユーザと関連付けて管理してもよい。
メイン依頼者は、クライアントとしての会社等とし、サブ依頼者は、その社員や部署、関連会社等ごと設定することができる。そして、各依頼者ごとに扱える案件や利用レベルを設定可能にするのがよい。すなわち、サブユーザIDと案件コードとを対応させておくのである。例えば、各案件管理情報のレコードのユーザIDに、その案件を閲覧等可能なサブ依頼者のIDを一以上付しておけばよい。なお、メイン依頼者のIDは案件管理情報の各レコードに必ず付すのがよい。
さらに、利用レベルの設定は、例えばそのサブユーザが閲覧のみ可能か、或いは案件管理情報の書き換え等も可能かを設定するものであり、サブ依頼者管理情報の各レコードにフラグを立てる等して識別すればよい。この場合、案件管理情報の登録や修正等が選択された場合、そのフラグを確認すればよい。なお、このようなサブユーザの設定は、そのメイン依頼者が依頼者端末4から行えるようにするのが好ましい。つまり、サブ依頼者設定画面にて、サブユーザの属性、パスワード、利用レベル、利用案件等の登録や修正を可能にするのがよい。なお、案件管理情報登録画面にて、その案件を扱えるサブ依頼者を、メイン依頼者が指定可能とすることもできる。
なお、出願件数等に関して集計や統計処理を可能にし、その処理にサブユーザIDを利用することで、部署等ごとの統計を可能にすることができる。さらに、依頼者の場合と同様に、管理者についても、メイン管理者とそのサブ管理者とに区分けして、取り扱い案件や利用レベルを設定可能にすることができる。
ところで、料金情報記憶手段19の各料金情報に管理者IDを付しておけば、後述の方法を用いて事務所ごとの料金表の作成が可能となる。また、請求情報記憶手段20の各請求情報に、管理者IDと依頼者IDを付しておけば、どの代理人からどの依頼者への請求かを区分けすることができる。なお、請求情報に基づいて、代理人毎に各種会計・税務処理等を可能にすれば一層好ましい。
また、各案件の案件管理情報の項目中に、管理者IDと依頼者IDとの双方を付す代りに、前記実施例と同様に依頼者IDのみを付しておいて、次のようにして対応することもできる。すなわち、各代理人と、その代理人が受任している全ての案件とを関連づける対応テーブルを作成(例えば各管理者IDとその管理者が受任している全ての案件番号とを対応させた表をメモリ上に作成)し、認証を受けた代理人が案件管理情報を利用等する際には、そのテーブルを用いて、受任の案件についてのみ案件管理情報の利用等を可能にしておくである。
或いは、複数の代理人で単にデータベースを共用する場合には、各代理人と、その代理人が受任している依頼者とを関連づける対応テーブル(例えば管理者IDとそのクライアントの依頼者IDとを対応させた表をメモリ上に作成したもの)を用いて、代理人が案件管理情報を利用等する際には、そのテーブルにて対応させられている依頼者の案件のもののみ利用等できるようにしてもよい。
また、複数の代理人と各クライアントでデータベースを共用する場合には、案件管理情報記憶手段16中の特定の項目については、依頼者専用のものとしたり、代理人専用のものとしてもよい。依頼者専用の部分への入力は、依頼者端末4からインターネット等を介して案件管理情報登録手段8を用いてなされ、例えば社内処理事項等が入力されて登録される。また、管理者専用の部分への入力も、案件管理情報登録手段8にて行われ、事務所内の担当者等の所内処理事項等が入力されて登録される。
そして、これら専用部分についてはそれぞれ、その入力側の端末からしか閲覧ができないようにするのが好ましい。特に、前記所内処理事項等については、依頼者端末4側へ公開不能にするのがよい。この場合、案件管理情報公開手段9は、事務所側の専用項目を除いた部分を案件管理情報記憶手段16から取得して、依頼者端末4に送信して閲覧させる構成としておけばよい。
さらに、前記実施例では、案件管理情報等の閲覧要求等をサーバに出す前に、予め依頼者の認証を行う例について説明したが、閲覧要求等の後に認証を行って閲覧させる構成としてもよいことは勿論である。
また、案件管理情報の依頼者端末4への公開は、案件管理情報の全てでなくても、その主要な一部でもよい。しかも、その際、手続の一連の流れを示した図表等を使用して、その案件の手続上の現在位置を明示可能に構成してもよい。例えば特許出願の案件では、図7に示すようなフローチャートを示して、そこに現在位置を示すと、手続に不慣れな依頼者でも容易に各案件について現在位置を知ることができる。しかも、その図表には、これまで行った手続に対してはその手続日や要した費用を明示し、これから行うべき手続に対してはその期限があればそれを明示するようにすれば一層好ましい。なお、これまで要した費用は請求情報記憶手段20から案件コードに基づいて取得することができる。
また、出願人側が行うべき手続を明示(図7では太枠で明示)すると共に、これから行うべき手続については、その時に要する見積もり費用をも明示すれば一層好ましい。この費用の算出は、料金情報記憶手段19の料金情報が使用される。なお、前記図表は、フローチャートに限らず、手続順の箇条書きの一覧表などでもよい。
ところで、案件管理情報公開手段9による期限順の案件管理情報の閲覧画面等では、これから所定期間内に発生する次手続の個別の費用やそれらの合計費用を算出可能に構成すると一層好ましい。これにより、クライアントは、次年度に発生する年金等が把握でき、予算を立てやすい。なお、各案件の費用の算出は、料金情報記憶手段19の料金情報を用いて行われ、前記所定
期間は依頼者端末4から指定可能に構成しておくのがよい。この場合、サーバは、指定された期間内に手続を要する案件を検索して、その手続内容により料金を算出することになる。
さらに、前記図表を用いることで、料金表を依頼者端末4から閲覧可能にしてもよい。つまり、例えば出願から登録までの手続の流れの図表を、その各段階で要する見積もり費用とを入れた状態で表示させるのである。これにより、特許出願等を依頼しようとするクライアントは、登録までの予算がたてやすくなる。また、手続に不慣れなクライアントも、手続の流れを容易に把握することができる。上述した手法により料金情報記憶手段19による料金の算出を会社毎に設定可能とすることで、各クライアントに固有の料金表を表示させることが可能となる。
なお、料金算出の際に利用されるクライアント毎の料金は、そのクライアントからの受任件数等に基づいて、自動的に増減率が変動するように設定しておくこともできる。
また、上記実施例では、基本的に依頼者自身の案件、つまり自社案件の管理に適用した場合について説明したが、他社案件の管理にも適用可能である。つまり、ユーザと、案件管理情報の出願人等は異なってもよい。そのようにしても、案件管理情報中のユーザIDを依頼者のものにすることで対応させておけるので問題はない。他社案件を管理することで、その経過のウォッチングが可能となり、異議申立て等が迅速に可能となる。他社案件の経過情報の更新は、所定期間ごとに所定のデータベースにアクセスして、既に登録されている案件管理情報との変化をみて、変化している場合には案件管理情報記憶手段16の案件管理情報を更新すること等で行われる。
さらに、本システムは、いわゆる分散処理型とすることも可能である。また、サーバ1の一部ないし全部の機能が管理者端末2や手続先端末3に備えられていてもよい。例えば、様式情報記憶手段17や手続準備手段12、手続実行手段13等は、必要に応じて手続先端末3のものを利用するようにしてもよい。また、上記実施例において、サーバ1と依頼者端末4等とのEメールのやり取りは、ネットワーク上のメールサーバを介して行われることがあるのは言うまでもない。
また、上記実施例では、サーバ1側に手続の管理を依頼する場合を中心に説明したが、手続を行おうとする依頼者が手続書類の作成を容易にするためのシステムとすることもできる。この場合、上述したように、サーバ1のウェブサイトに接続した後、メニュー画面で「手続の指示」を選択すると、取り出し可能な書式項目や手続名の一覧が表示されるので、依頼者端末4から所望の書式(様式)や手続名を選択すればよい。ここで、手続名が指示された場合には、その手続に対応した書式が取り出される。このようにして手続指示手段11にて書式の選択が行われると、手続準備手段12がその選択信号に基づいて、様式情報記憶手段17を検索して該当書式を抽出する。
抽出された様式情報は、依頼者端末4に電子メールの添付ファイル等で送信されるので、依頼者は必要ならばそのファイルを開いてそれに必要事項を加入して、プリンターで出力する。なお、プリンターにて出力後に、必要事項を加入してもよい。また、印書の他、フロッピーディスク等に所定形式で出力したり、或いは所定の送信ファイルにして手続先端末3へのオンライン手続に供してもよい。
なお、依頼者端末4から選択された書式を様式情報記憶手段17から取得した後、その書類をウェブページにて依頼者端末4に開示してもよい。この場合、その書式中の空欄には、ウェブページ上にて依頼者端末4から所定事項を入力可能としてもよい。そして、このようにして作成された書類は、依頼者端末4にて、プリンターやフロッピー(登録商標)に出力したり、ダウンロードして所定の手続先端末3へのオンライン手続用のファイルとして利用することができる。
ところで、この実施例の場合も、前記実施例の場合と同様に、予め案件管理情報として所定の主体的情報ないし客体的情報を、案件管理情報登録手段8にて案件管理情報記憶手段16に登録しておき、それを利用して書類を作成することもできる。この場合、手続指示手段11にて、所望の書式と案件とを指定することで、様式情報記憶手段17から取得される所定の様式情報と、案件管理情報記憶手段16から取得される所定の案件管理情報とに基づいて、可能な限り必要事項が記載された状態の手続書類が作成されることになる。なお、ユーザ管理情報記憶手段15のユーザ管理情報を案件管理情報記憶手段16の案件管理情報として利用可能としてもよい。
ところで、この場合において、案件管理情報は、以前の書類作成の際の情報を案件管理情報記憶手段16に登録しておき、以後はそれを利用してもよい。すなわち、過去に、様式情報記憶手段17の書式を利用してウェブページ上にて空欄に所定事項を加入して書類を作成した場合には、その加入された情報等を案件管理情報8として案件管理情報記憶手段16に登録しておくことで、以後の書類作成に利用することができる。この場合、書類作成時等に案件番号が付与されるので、以後にその情報を利用して書類を作成したい場合には、その案件番号を指定すればよい。
この実施例のシステムの場合も、前記実施例の場合と同様に、認証手段7にて認証された依頼者のみにサービスを提供するよう構成することができる。また、この実施例の場合、書式の取り出しや書類の作成毎に課金して、料金請求手段14にてその課金情報を請求情報記憶手段20に登録して、依頼者に課金することが考えられる。
この実施例の場合も、前記実施例の場合と同様に、ウェブページ上等で作成した書類を、依頼者端末4側からでなく、サーバ1ないし管理者端末2から手続先に手続できるようにしてもよい。例えば、サーバ1の手続実行手段13を用いて、手続先端末3にオンラインにて手続するようにしてもよい。
なお、上記各実施例では、主として特許事務の管理に適用した場合について説明したが、本発明のシステムは特許事務の管理に限らない。例えば、各種行政機関・官公庁(役所)・司法機関等への手続の管理や、各種申請書類等の作成や提出等に適用することもできる。