JP5396967B2 - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質層の両面に燃料極層と空気極層を配置した発電セルを備える固体酸化物形燃料電池に関し、特に、セパレータの電気抵抗の増加を防ぐことにより、セル電圧の低下の抑制を図った固体酸化物形燃料電池に関するものである。
近年、燃料の有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する固体酸化物形燃料電池が高効率でクリーンな発電装置として注目されている。この固体酸化形燃料電池は、固体電解質層の両面に燃料極層(アノード)と空気極層(カソード)を配置して成る発電セルの外側に燃料極集電体と空気極集電体を配置し、これらの集電体の外側にセパレータを配置した単セルを複数積層することによりスタック化されている。
上記固体酸化形燃料電池では、反応用ガスとして空気極層側に酸化剤ガスが供給され、燃料極層側に燃料ガスが供給されることにより発電反応が生じる。このため、空気極集電体と燃料極集電体は、反応ガスが空気極層と燃料極層との界面に到達することができるように、いずれも多孔質の層で形成されている。
そして、発電セル内において、空気極層側に供給された酸素は、空気極集電体内の気孔を通って空気極層との界面近傍に到達し、この部分で空気極層から電子を受け取って酸化物イオン(O2-)にイオン化される。この酸化物イオンは、燃料極層に向かって固体電解質層内を拡散移動し、燃料極層との界面近傍に到達した酸化物イオンはこの部分で燃料ガスと反応して反応生成物(H2O、CO2等)を生じ、燃料極層に電子を放出する。電極反応で生じた電子は、別ルートの外部負荷にて電力として取り出すことができる。
図4は、従来の平板積層型の固体酸化物形燃料電池を示しており、固体電解質層2の両面に燃料極層3と空気極層4を配した発電セル5と、燃料極層3の外側に配した燃料極集電体6と、空気極層4の外側に配した空気極集電体7と、各集電体6、7の外側に配したセパレータ8によって単セル10が構成されている。そして単セル10は複数積層されるとともに、その上下端部にフランジ13を配して周縁部をボルト14にて締め付けられ、その締め付け荷重によって各構成要素が一体的に密着して構成されることにより燃料電池スタック1が形成されている。
ここで、固体電解質層2は、酸化物イオンの移動媒体であると同時に、燃料ガスと空気を直接接触させないための隔壁としても機能するので、ガス不透過性の撤密な構造となっている。この固体電解質層2は、酸化物イオン伝導性が高く、空気極層3側の酸化性雰囲気から燃料極層4側の還元性雰囲気までの条件下において化学的に安定で、熱衝撃に強い材料から構成する必要があり、かかる要件を満たす材料として、イットリアを添加した安定化ジルコニア(YSZ)で構成されている。
一方、電極である空気極(カソード)層3と燃料極(アノード)層4はいずれも電子伝導性の高い材料から構成する必要がある。空気極層3の材料は、700℃前後の高温の酸化性雰囲気中で化学的に安定でなければならないため、金属は不適当であり、電子伝導性を持つLaMnO3もしくはLaCoO3、または、これらのLaの一部をSr、Ca等に置換した固溶体(LSM、LSC,SSC等)で構成されている。また、燃料極層4の材料は、Ni、Coなどの金属、或いはNi−YSZ、Co−YSZなどのサーメットで構成されている。
また、燃料極集電体7は、ニッケル基合金等のスポンジ状の多孔質焼結金属板で構成され、空気極集電体6は、銀基合金等の同じくスポンジ状の多孔質焼結金属板で構成されている。スポンジ状多孔質焼結金属板は、集電機能、ガス透過機能、均一ガス拡散機能、クッション機能、熱膨脹差吸収機能等を兼ね備えるので、多機能の集電体材料として適している。
そして、中温作動型の固体酸化物形燃料電池は、発電の際に、作動温度が650℃〜800℃程度になることが知られている。
そのため、セパレータ8は、伝導性を有するとともに、650℃〜800℃程度の温度で溶融することのないクロムを18重量%の割合で含むSUS430ステンレス鋼等の金属材料により構成されている。
加えて、セパレータ8は、発電セル5間を電気接続すると共に、発電セル5に対してガスを供給する機能を有するもので、燃料ガスをセパレータ外周面から導入して燃料ガス供給路11を介してセパレータ8の燃料極層4に対向する面から吐出させる燃料ガス吐出孔(反応ガス吐出孔)17と、酸化剤ガスをセパレータ外周面から導入して酸化剤ガス供給路12を介してセパレータ8の空気極層3に対向する面から吐出させる酸化剤ガス吐出孔(反応ガス吐出孔)18とをそれぞれ有している。
このような平板型の固体酸化物形燃料電池の従来技術として、特許文献1に示されるものが知られている。
しかしながら、SUS430ステンレス鋼により構成されたセパレータ8は、650℃〜800℃程度の高温になると、表面が酸化して酸化被膜を形成するために、セパレータ8の電気抵抗が増加して、セル電圧が低下するという欠点がある。
このため、特許文献2に示すように、セパレータ8の表面に、高温時に良好な導電性を有すると共に、耐酸化性を有する銀めっきを成膜することにより、セパレータ8の表面の酸化被膜の形成を防止し、セル電圧の低下を抑制するものが提案されている。
特開2003−7316号公報 特開2002−203588号公報
しかしながら、特許文献2に記載の発明にあっては、上記セパレータの表面に銀めっきを施しているため、耐酸化性を有するが、高温雰囲気下で1万時間を越える長期運転を行なうと、酸化雰囲気下で銀めっきが僅かに酸素を透過し、セパレータ表面に酸化被膜が生成され、そのためにさらに数万時間の長期運転を行なうと、セパレータ表面に酸化被膜が厚く形成されてしまい、その結果、セパレータの電気抵抗が増加し、セル電圧が低下してしまうという問題点があった。また、銀めっきすると、コストが高くなるという問題もあった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決すべくなされたもので、セパレータの電気抵抗の増加を防止することにより、セル電圧の低下を抑制することが可能であり、しかも、低コスト化が図れる上に、ガス漏れを起こしにくい固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、固体電解質層の両面に燃料極層と空気極層を配置して発電セルを構成し、この発電セルの外側に燃料極集電体と空気極集電体を配置し、これらの集電体の外側にセパレータを配置して単セルを構成すると共に、上記セパレータの上記燃料極層及び空気極層に対向する各面に反応ガスを吐出するための反応ガス吐出孔を形成し、当該セパレータの上記反応ガス吐出孔より上記集電体を介して燃料極層及び空気極層に反応ガスを供給して発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池において、上記セパレータは、クロムを20重量%〜24重量%の割合で含むフェライト系合金よりなる空気極側金属層と、ニッケルまたはニッケル基合金よりなる燃料極側金属層と、上記空気極側金属層と上記燃料極側金属層との間に位置したクロムを13重量%〜18重量%の割合で含むフェライト系またはオーステナイト系ステンレスよりなる中間金属層と、の3層の金属層を積層して接合した積層接合体として構成されており、上記空気極側金属層及び燃料極側金属層にそれぞれ上記反応ガス吐出孔が設けられると共に、上記中間金属層にセパレータから上記各反応ガス吐出孔に繋がる反応ガス供給路がそれぞれ形成されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、上記セパレータと上記空気極集電体との間に、高温時に導電性を有し、且つ上記セパレータの空気極側金属層の反応ガス吐出孔と対向する位置に反応ガス供給孔が形成された金属板が設けられていることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、セパレータを3層構造の積層接合体として構成し、クロムを13重量%〜18重量%の低い割合で含むフェライト系またはオーステナイト系ステンレスを中間金属層とし、その空気極層側にクロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金よりなる空気極側金属層を設けると共に、その燃料極層側にニッケルまたはニッケル基合金よりなる燃料極側金属層を設けているので、従来のようにSUS430ステンレス鋼の空気極層側の表面に銀めっきを施したセパレータを用いるのと比べて、セパレータの電気抵抗の増加を防止することができ、セル電圧の低下を抑制することが可能である。以下、その点を詳述する。
まず、クロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金よりなる空気極側金属層は、高温耐酸性を発揮できる上、高温での高い電気伝導性を発揮することができる。即ち、高温時、空気極層側のセパレータの表面(空気極側金属層の表面)には、該表面が酸化剤ガスにより酸化されることにより、CrO、Cr22が組み合わさった2価を含むCr34からなる酸化被膜が形成される。一般的に、クロムの酸化物は導電性を有するために、上記セパレータの表面(空気極側金属層の表面)に酸化被膜が形成されても、電気抵抗は増加せず、セル電圧の低下を防止することが可能である。このように、セパレータの空気極層側の表面は、高温酸化雰囲気においても、安定した電気導電性を維持することが可能であり、長期の耐久試験において安定的な動作を保証することができる。
また、ニッケルまたはニッケル基合金よりなる燃料極側金属層は、還元雰囲気における水蒸気酸化防止に高い効果を発揮することができるので、こちら側の層も、安定した電気導電性を維持することが可能であり、長期の耐久試験において安定的な動作を保証することができる。また、中間金属層には、クロムを13重量%〜18重量%の低い割合で含むフェライト系またはオーステナイト系ステンレスを使用しているので、良好な加工性の提供とコストの抑制を図ることができる。
また、中間金属層と空気極側金属層と燃料極側金属層の金属種類を異ならせているので、高温真空下での拡散接合や熱圧着が可能であり、各金属の薄板を用意し、それらを積層して接合することにより、複雑な経路の内部流路を含むセパレータを一体ものとして容易に作成することができる。また、層間の接合も強固にできるため、内部流路からのガス漏れも有効に防止することができる。
ちなみに、例えば、クロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金でセパレータ全体を構成した場合は、コストが高くなるばかりでなく、薄板を積層接合して内部流路を形成した際に、ガス漏れの問題を発生する可能性がある。つまり、セパレータには複雑な経路の内部通路を形成する必要性があることから、薄板を積層して接合する作製方法が一般に採用されるが、クロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金の薄板同士を接合しようとした場合、高温での拡散接合や熱圧着が容易にできないために、結果的に接合不良を生じることになり、それによって使用時にガス漏れを発生するおそれがある。接合不良が起こる理由の一つとしては、高温真空中で極微量の酸素と合金中のクロムが反応し、表面にクロミア層が容易に生成されてしまい、そのクロミア層が接合を阻害するためであると考えられる。
ところが、請求項1の発明では、空気極側金属層だけを、クロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金で構成し、その下層はクロムの含有割合の少ないステンレスで構成しているので、薄板同士の接合も信頼性高く容易に行うことができ、ガス漏れのおそれも低減することができる。
また、例えば、セパレータ全体がクロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金で構成されている場合は、内部のガス流路が全てクロム20重量%〜24重量%を含むフェライト系合金で囲まれることになるために、酸化剤ガスがこの流路を通った際に、フェライト合金よりクロムが蒸発して、大量のクロムが、流通する酸化剤ガス中に含まれることになり、その酸化剤ガスが発電セルの空気極層に向けて吐出された際に、空気極層の表面にクロムが堆積して、クロム被毒が発生する。クロムの堆積量が増加して、クロム被毒が生じると、空気極層表面での電気抵抗が増加し、抵抗過電圧が上昇し、セル電圧が低下するおそれがある。
その点、請求項1の発明では、セパレータの内部流路のほとんどを、クロムの含有割合の少ないステンレスの中間金属層に形成しているので、流通する酸化剤ガス中へのクロムの蒸発を最小限に抑えることができる。そのため、蒸発したクロムが空気極層側に堆積してクロム酸化物を生成し、そのために空気極層の導電性が低下するクロム被毒を抑制することができ、発電性能を低下させてしまう不具合を低減することができる。
また、請求項2の発明によれば、上記セパレータと上記空気極集電体との間に、高温時に導電性を有するとともに、耐酸化性を有する金属板を設けているために、上記セパレータと上記空気極集電体との間に、酸化剤ガスが入り込まないので、高温時に空気極層側の上記セパレータの表面に酸化被膜が形成されなくなる。
また、仮に隙間が生じる等により、酸化剤ガス吐出孔より供給された酸化剤ガスが上記セパレータの表面に到達し酸化被膜が形成されて、酸化被膜の表面よりクロムが蒸発しても、上記金属板によりクロムが遮蔽されて、遮蔽されたクロムが、酸化剤ガスとともに単セル外に排出されるために、空気極層にクロムが堆積することが無くなり、上記空気極層の抵抗過電圧の上昇を防止することができる。この結果、単セルのセル電圧の低下を防ぐことができるため、発電性能を維持することが可能となる。
さらに、上記金属板にガス供給孔を形成しているために、上記セパレータと上記空気極集電体との間に上記金属板を設けても酸化剤ガス吐出孔から供給される酸化剤ガスを空気極層の界面まで確実に供給することができるので、発電効率が低下することがない。
本発明の実施形態の燃料電池の原理構成を示す分解図である。 同燃料電池におけるセパレータの平面図である。 (a)〜(d)は、同セパレータの層構成の例を示す模式断面図である。 従来の燃料電池スタックの構成図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、固体電解質層2の両面に燃料極層3と空気極層4を配置して発電セル5を構成し、この発電セル5の外側に燃料極集電体6と空気極集電体7を配置し、これらの集電体6、7の外側にセパレータ20を配置して単セルを構成すると共に、セパレータ20の燃料極層6及び空気極層7に対向する各面に燃料ガスA及び酸化剤ガス(空気)Bを吐出するための燃料ガス吐出孔32及び酸化剤ガス吐出孔42(反応ガス吐出孔)を形成し、セパレータ20の燃料ガス吐出孔32及び酸化剤ガス吐出孔42よりそれぞれ燃料極集電体6及び空気極集電体7を介して燃料極層3及び空気極層4に燃料ガスA及び酸化剤ガスB(反応ガス)を供給して発電反応を生じさせるものであり、セパレータ20に次の特徴を有するものを採用している。
即ち、このセパレータ20は、クロムを20重量%〜24重量%の割合で含むフェライト系合金よりなる空気極側金属層22と、ニッケルまたはニッケル基合金よりなる燃料極側金属層21と、空気極側金属層22と燃料極側金属層21との間に位置したクロムを13重量%〜18重量%の割合で含むフェライト系またはオーステナイト系ステンレスよりなる中間金属層25と、の3層の金属層を積層し接合した積層接合体として構成されている。そして、図2にも示すように、空気極側金属層22及び燃料極側金属層21にそれぞれ酸化剤ガス吐出孔42及び燃料ガス吐出孔32が設けられると共に、中間金属層25に、セパレータ20の外周部から酸化剤ガス吐出孔42及び燃料ガス吐出孔32にそれぞれ繋がる酸化剤ガス供給路41及び燃料ガス供給路31がそれぞれ形成されている。
また、セパレータ20と空気極集電体7との間には、高温時に導電性を有し、且つセパレータ20の空気極側金属層22の酸化剤ガス吐出孔42と対向する位置に反応ガス供給孔13が形成された金属板12が設けられており、この金属板12が、クロムを20重量%〜24重量%の割合で含むフェライト系合金の結晶構造と固溶することのない金属により形成されている。
このように、セパレータ20を、クロムを13重量%〜18重量%の低い割合で含むフェライト系またはオーステナイト系ステンレスを中間金属層25とし、その空気極層側にクロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金よりなる空気極側金属層22を設けると共に、その燃料極層側にニッケルまたはニッケル基合金よりなる燃料極側金属層21を設けた3層の積層接合体として構成しているので、従来のようにSUS430ステンレス鋼の空気極層側の表面に銀めっきを施したセパレータを用いるのと比べて、セパレータ20の電気抵抗の増加を防止することができ、セル電圧の低下を抑制することが可能である。
その点を詳述すると、まず、クロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金よりなる空気極側金属層22は、高温耐酸性を発揮できる上、高温での高い電気伝導性を発揮することができる。即ち、高温時、空気極層側のセパレータ20の表面(空気極側金属層22の表面)には、該表面が酸化剤ガスにより酸化されることにより、CrO、Cr22が組み合わさった2価を含むCr34からなる酸化被膜が形成される。一般的に、クロムの酸化物は導電性を有するために、上記セパレータ20の表面(空気極側金属層22の表面)に酸化被膜が形成されても、電気抵抗は増加せず、セル電圧の低下を防止することが可能である。このように、セパレータ20の空気極層側の表面は、高温酸化雰囲気においても、安定した電気導電性を維持することが可能であり、長期の耐久試験において安定的な動作を保証することができる。
また、ニッケルまたはニッケル基合金よりなる燃料極側金属層21は、還元雰囲気における水蒸気酸化防止に高い効果を発揮することができるので、こちら側の層も、安定した電気導電性を維持することが可能であり、長期の耐久試験において安定的な動作を保証することができる。また、中間金属層25には、クロムを13重量%〜18重量%の低い割合で含むフェライト系またはオーステナイト系ステンレスを使用しているので、良好な加工性の提供とコストの抑制を図ることができる。
すなわち、代表的なフェライト系ステンレスであるSUS430の融点は、1430〜1510℃であり、オーステナイト系ステンレスであるSUS304の融点は、1400〜1450℃、SUS316は、1371〜1400℃である。これに対して、Cr20〜24重量%の割合で含むフェライト系合金の融点は、1510〜1530℃であって、上記フェライト系またはオーステナイト系のステンレスに比べて高い。このように、比較的融点の低いステンレスを中間金属層25として用いているので、高温真空下での拡散接合や熱圧着が可能であり、各金属の薄板を用意し、それらを積層して接合することにより、複雑な経路の内部流路(酸化剤ガス供給路42や燃料ガス供給路32)を含むセパレータ20を一体ものとして容易に作成することができる。また、層間の接合も強固にできるため、内部流路からのガス漏れも有効に防止することができる。
ちなみに、例えば、クロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金でセパレータ全体を構成した場合は、コストが高くなるばかりでなく、薄板を積層接合して内部流路を形成した際に、ガス漏れの問題を発生する可能性がある。つまり、セパレータには複雑な経路の内部通路を形成する必要性があることから、薄板を積層して接合する作製方法が一般に採用されるが、クロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金の薄板同士を接合しようとした場合、高温での拡散接合や熱圧着が容易にできないために、結果的に接合不良を生じることになり、それによって使用時にガス漏れを発生するおそれがある。接合不良が起こる理由の一つとしては、金属の融点が高いことに加えて、高温真空中で極微量の酸素と合金中のクロムが反応し、表面にクロミア層が容易に生成されてしまい、そのクロミア層が接合を阻害するためであると考えられる。
ところが、本実施形態におけるセパレータ20では、空気極側金属層22だけを、クロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金で構成し、その下層(中間金属層25)はクロムの含有割合の少ないステンレスで構成しているので、薄板同士の接合も信頼性高く容易に行うことができ、ガス漏れのおそれも低減することができる。
また、例えば、セパレータ全体がクロムを20重量%〜24重量%の高い割合で含むフェライト系合金で構成されている場合は、内部のガス流路が全てクロム20重量%〜24重量%を含むフェライト系合金で囲まれることになるために、酸化剤ガスがこの流路を通った際に、フェライト合金よりクロムが蒸発して、大量のクロムが、流通する酸化剤ガス中に含まれることになり、その酸化剤ガスが発電セルの空気極層に向けて吐出された際に、空気極層の表面にクロムが堆積して、クロム被毒が発生する。クロムの堆積量が増加して、クロム被毒が生じると、空気極層表面での電気抵抗が増加し、抵抗過電圧が上昇し、セル電圧が低下するおそれがある。
その点、本実施形態においては、セパレータ20の内部流路のほとんど(酸化剤ガス供給路42及び燃料ガス供給路32)を、クロムの含有割合の少ないステンレスの中間金属層25に形成しているので、流通する酸化剤ガス中へのクロムの蒸発を最小限に抑えることができる。そのため、蒸発したクロムが空気極層側に堆積してクロム酸化物を生成し、そのために空気極層の導電性が低下するクロム被毒を抑制することができ、発電性能を低下させてしまう不具合を低減することができる。
また、本実施形態の燃料電池では、上記セパレータ20と上記空気極集電体7との間に、高温時に導電性を有するとともに、耐酸化性を有する金属板12を設けているために、上記セパレータ20と上記空気極集電体7との間に、酸化剤ガスが入り込まないようにすることができ、高温時に空気極層側の上記セパレータ20の表面に酸化被膜が形成されなくなる。
また、仮に隙間が生じる等により、酸化剤ガス吐出孔42より供給された酸化剤ガスBが上記セパレータ20の表面に到達し酸化被膜が形成されて、酸化被膜の表面よりクロムが蒸発しても、上記金属板12によりクロムが遮蔽されて、遮蔽されたクロムが、酸化剤ガスBとともに単セル外に排出されるために、空気極層4にクロムが堆積することが無くなり、上記空気極層4の抵抗過電圧の上昇を防止することができる。この結果、単セルのセル電圧の低下を防ぐことができるため、発電性能を維持することが可能となる。
さらに、上記金属板12にガス供給孔13を形成しているために、上記セパレータ20と上記空気極集電体7との間に上記金属板12を設けても、酸化剤ガス吐出孔から供給される酸化剤ガスを空気極層の界面まで確実に供給することができるので、発電効率が低下することがない。
また、本実施形態の燃料電池によれば、上記金属板12を上記フェライト系合金の結晶構造と固溶することのない金属により形成しているために、上記金属板12とセパレータ20のフェライト系合金が固溶して金属間化合物を生成することがなくなる。この結果、セパレータ20の表面にクロムを含む金属間化合物が露出した状態となることがないため、高温時に、クロムが蒸発することがなくなり、クロム被毒の発生を一層確実に防止することができる。
図3は(a)〜(d)はセパレータ20(20A〜20D)の層構成の例を示す模式断面図である。
(a)は中間金属層25を1層だけ設けたセパレータ20Aの例を示している。
(b)は(a)の中間金属層25の下側にもう1層の中間金属層26を設けたセパレータ20Bの例を示しており、下側の中間金属層26には、空気極側金属層22の酸化剤ガス吐出孔42に対応する位置に燃料ガス吐出孔43が設けられている。
(c)は(a)の中間金属層25の上側にもう1層の中間金属層27を設けたセパレータ20Cの例を示しており、上側の中間金属層27には、燃料極側金属層21の燃料ガス吐出孔32に対応する位置に酸化剤ガス吐出孔33が設けられている。
(d)は(a)の中間金属層25の下側と上側に2層の中間金属層26、27を設けたセパレータ20Dの例を示しており、下側の中間金属層26には、空気極側金属層22の酸化剤ガス吐出孔42に対応する位置に酸化剤ガス吐出孔43が設けられ、上側の中間金属層27には、燃料極側金属層21の燃料ガス吐出孔32に対応する位置に燃料ガス吐出孔33が設けられている。
次に実施例と比較例について検討した結果について述べる。
まず、図3(c)のタイプのセパレータの中間金属層25、26のステンレスの種類を変化させて接合試験を行い、接合性について調べてみた。ここでは、径120mmのセル用のセパレータについて、中間金属層25、26の種類を変化させたときの熱圧着あるいは拡散接合(1000℃の真空雰囲気)後の圧着性とセパレータの反りについて調べた。
その場合の条件として、空気極側の板(空気極側金属層22)には、Cr20〜24重量%(主にCr22重量%)フェライト合金の厚さ0.5mmの板を用いた。また、燃料極側の板(燃料極側金属層21)には、0.1mm厚のNi板を使用した。中間金属層25、26の材料としては、SUS430、316、304、それ以外にSUS310、430、Cr22フェライト合金を選んだ。その結果、次の表1の評価が得られた。
Figure 0005396967
この表から分かるように、SUS430、316、304は良い評価が得られたが、それ以外のSUS310、430、Cr22フェライト合金は接合性に問題があることが分かった。
次に、図3(c)のタイプのセパレータの空気極側金属層22を構成するステンレスのCrの割合(酸化剤ガスの供給される面の合金中のCr濃度)を変化させた際の初期性能(単セルでの発電性能mW/cm2)の違いについて調べてみた。
その場合の条件は次の通りである。
まず、径120mmのCr濃度の異なる空気極側金属層22を有するセパレータを用意し、空気極集電体7に径120mmの発泡銀、燃料極集電体6に径120mmの発泡Niを用いて単セルを組立てた。発電セルとしては、厚さ220ミクロンのランタンガレート系電解質を用い、燃料極には酸化ニッケルーセリアのコンポジットサーメット、空気極にはサマリウムコバルタイト(Sm0.5Sr0.5CoO2.75)を用いた。
燃料ガスとしては、水素を0℃基準で570ml/min供給し、酸化剤ガスとしては、空気を0℃基準で2.8L/min供給し、750℃で発電試験を実施した。セパレータからの配線を電子負荷装置に接続し、電流を流し、電流密度を0.54A/cm2、燃料利用率75%、空気利用率38%での発電セルの電圧を測定した。それにより、次の表2の結果を得た。
Figure 0005396967
この結果によれば、セパレータの表面の板(空気極側金属層22)のCr濃度が20重量%に満たないと、発電性能が低いことが分かった。Cr濃度が低いため、表面に生成された軟化被膜が、電気を通さない絶縁性であることが原因であるとみなせる。また、セパレータの表面の板(空気極側金属層22)のCr濃度が26重量%と大きいと、表面に生成される導電性の酸化被膜が安定でなく、異なった成分の酸化被膜が生成されるために、電気抵抗が大きくなり、発電性能が低下すると考えられる。従って、フェライト中のCr濃度は20〜24重量%が適切であることが分かる。
なお、使用したCr合金の組成(重量%)は、次の表3の通りである。なお、上記合金には、不純物として、Al、Cu、Ti、Laなどが0.1重量%程度含まれている。
Figure 0005396967
2 固体電解質層
3 燃料極層
4 空気極層
5 発電セル
6 燃料極集電体
7 空気極集電体
20,20A,20B,20C,20D セパレータ
21 燃料極側金属層
22 空気極側金属層
25,26,27 中間金属層
31 燃料ガス供給路
32 燃料ガス吐出孔(反応ガス吐出孔)
41 酸化剤ガス供給路
42 酸化剤ガス吐出孔(反応ガス吐出孔)
A 燃料ガス
B 酸化剤ガス

Claims (2)

  1. 固体電解質層の両面に燃料極層と空気極層を配置して発電セルを構成し、この発電セルの外側に燃料極集電体と空気極集電体を配置し、これらの集電体の外側にセパレータを配置して単セルを構成すると共に、上記セパレータの上記燃料極層及び空気極層に対向する各面に反応ガスを吐出するための反応ガス吐出孔を形成し、当該セパレータの上記反応ガス吐出孔より上記集電体を介して燃料極層及び空気極層に反応ガスを供給して発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池において、
    上記セパレータは、クロムを20重量%〜24重量%の割合で含むフェライト系合金よりなる空気極側金属層と、ニッケルまたはニッケル基合金よりなる燃料極側金属層と、上記空気極側金属層と上記燃料極側金属層との間に位置したクロムを13重量%〜18重量%の割合で含むフェライト系またはオーステナイト系ステンレスよりなる中間金属層と、の3層の金属層を積層して接合した積層接合体として構成されており、
    上記空気極側金属層及び燃料極側金属層にそれぞれ上記反応ガス吐出孔が設けられると共に、上記中間金属層にセパレータから上記各反応ガス吐出孔に繋がる反応ガス供給路がそれぞれ形成されていることを特徴とする固体電解質型燃料電池。
  2. 上記セパレータと上記空気極集電体との間に、高温時に導電性を有し、且つ上記セパレータの空気極側金属層の反応ガス吐出孔と対向する位置に反応ガス供給孔が形成された金属板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
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