JP5396810B2 - 液晶ポリマー組成物及び成形体 - Google Patents

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    • B29C48/505Screws
    • B29C48/625Screws characterised by the ratio of the threaded length of the screw to its outside diameter [L/D ratio]

Description

本発明は、電磁波シールド性、電気絶縁性に優れる液晶ポリマー組成物及び当該組成物を用いてなる成形体に関する。
近年、携帯電話の爆発的な普及やパーソナルコンピュータ等のOA機器の高性能化により、このような電子機器の動作周波数の高周波数化が進んでいる。一方、かかる高周波の動作周波数で作動する電子機器は、該電子機器にあるプロセッサや通信ケーブルなどの電子部品から高周波の電磁波が放射され、該電磁波による電子機器の誤作動が起きるといった問題が生じることがある。また、このような電磁波は、近接する他の電子機器に対しても誤作動を引き起こすといった点や、人体への影響も懸念され、電磁波に対する対策は不可欠なものとなってきている。
従来、電磁波に対する対策としては、電磁波シールド部材として金属ケースなどを用い、前記電子部品を覆うことで、電磁波の放射を抑制する電磁波シールド方法がとられている。しかしながら、このような金属ケースは小型化あるいは軽量化が困難であり、電子機器の小型化、携帯性の要求には対応できない。この問題を解決する電磁波シールド材として、特許文献1には特定のかさ密度/真密度比を有する鉄を母金属とする軟磁性金属扁平粉末を樹脂バインダーに配合した組成物が提案され、かかる組成物を用いてなる成形体が電磁波吸収・干渉体に有用であることが開示されている。また、特許文献2にはカップリング処理された軟磁性粉末が液晶ポリマー又はポリフェニレンサルファイドに混入されてなる電磁波シールド材料が提案されている。
特開2003−209010号公報(特許請求の範囲) 特開2001−237591号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1で提案されている組成物は、導電性である鉄粉末を用いていることから前記金属ケースと同様に、絶縁性を必要とする電子部品(例えば、電子機器の内部素子−端子間など)に対する電磁波シールド部材としては不適である。また、特許文献2で提案されている電磁波シールド材料においても、軟磁性粉末によって生じる導電性を抑制することは困難であり、電気絶縁性としては不十分であった。
このように、軽量性に優れる樹脂材料を用いながらも、従来の電磁波シールド部材に替わって、小型部品を成形できる程度の成形(加工)性を有し、電気絶縁性を優れた電磁波シールド材料が求められていた。
そこで本発明の目的は、高度の電磁波シールド効果と電気絶縁性とを有する成形体を製造可能な液晶ポリマー組成物を提供することにあり、特に成形性、軽量性が期待できる液晶ポリマー組成物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の<1>の液晶ポリマー組成物を提供する。
<1>以下の成分(A)及び成分(B)を含んでなり、成分(B)の含有重量が成分(A)の含有重量の同等以上である液晶ポリマー組成物
(A)液晶ポリマー
(B)主成分として酸化珪素を含むセラミック粉と軟磁性金属粉との複合材料
さらに、本発明は前記<1>に係る好適な実施態様として、以下の<2>〜<8>を提供する。
<2>前記成分(A)100重量部に対し、前記成分(B)100〜450重量部を含む、<1>の液晶ポリマー組成物;
<3>前記成分(B)が、前記軟磁性金属粉を前記絶縁性セラミック粉で被覆してなる複合材料である、<1>又は<2>の液晶ポリマー組成物;
<4>前記成分(B)を構成する軟磁性金属粉が、鉄又は鉄合金からなる軟磁性金属粉である、<1>〜<3>のいずれかの液晶ポリマー組成物;
<5>前記成分(B)を構成する軟磁性金属粉が、鉄又は鉄合金からなり、その扁平率が2以上である、<1>〜<3>のいずれかの液晶ポリマー組成物;
<6>前記成分(A)が、以下の(A1)、(A2)及び(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の液晶ポリエステルである、<1>〜<5>のいずれかの液晶ポリマー組成物;
(A1)下記(i)で表される繰り返し単位からなる液晶ポリエステル
(A2)下記(ii)で表される繰り返し単位及び(iii)で表される繰り返し単位からなる液晶ポリエステル
(A3)下記の(i)、(ii)及び(iii)で表される繰り返し単位からなる液晶ポリエステル
Figure 0005396810
(式中、Ar1は、1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。Ar2及びAr3はそれぞれ独立に、1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。また、Ar1、Ar2及びAr3は、その芳香環上の水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基に置換されていてもよい。)
<7>前記成分(A)が、前記(A3)の液晶ポリエステルを含む、<6>の液晶ポリマー組成物;
<8>スクリューの有効長さ(L)のスクリュー直径(D)に対する比率(L/D)が20以上(LとDは同一のスケール単位である)の溶融混練押出機を用い、前記溶融混練押出機の押出方向上流部に設けられた上流部供給口から、前記成分(A)を、その全供給量に対する90重量%以上が供給されるように、前記成分(B)を、その全供給量の50重量%以下が供給されるように、前記溶融混練押出機に供給し、前記上流部供給口よりも押出方向下流側に設けられた下流側供給口から、前記成分(A)の残部と前記成分(B)の残部とを前記溶融混練押出機に供給することにより、前記成分(A)と前記成分(B)とを溶融混練して得られる、<1>〜<7>のいずれかの液晶ポリマー組成物
また、本発明は前記いずれかの液晶ポリマー組成物を用いる、以下の<9>〜<10>を提供する。
<9><1>〜<8>のいずれかの液晶ポリマー組成物を成形して得られる成形体;
<10>表面実装部品として使用される、<9>の成形体
本発明の液晶ポリマー組成物は成形性に優れることから容易に小型部品等を得ることができる。加えて、当該液晶ポリマー組成物を成形して得られる成形体は、電磁波シールド性及び電気絶縁性に優れ、電子機器に係る電磁波シールド部材、特に表面実装用電子部品に極めて有用であり、産業上の利用価値は大きいものである。
以下、本発明の好適な実施形態に関し、成分(B)複合材料、成分(A)液晶ポリマー、成分(A)と成分(B)とを用いてなる液晶ポリマー組成物及びその製造方法、当該液晶ポリマー組成物を用いてなる成形体に関し、順次説明する。
<(B)複合材料>
まず、成分(B)複合材料(以下、場合により「複合材料(B)」という)について説明する。
本発明で用いる複合材料(B)は、主として酸化珪素を含むセラミック粉と軟磁性金属粉とからなる複合材料(コンポジット)である。特にナノコンポジットと称される体積平均粒径(以下、場合により「平均粒径」という)1〜100μm程度のものが好ましく、後述する液晶ポリマー組成物の製造方法において、成分(A)液晶ポリマーに対して良好な分散性を発現する観点からは、該平均粒径は10〜50μmであると好ましい。ここで軟磁性金属とは、保磁力が小さく、透磁率が大きい金属材料である。本発明に用いる複合材料(B)の軟磁性金属の透磁率としては、真空の透磁率で除した比透磁率で表して、100以上のものが好ましく、200以上のものがさらに好ましい。
ここで、比透磁率100以上の軟磁性金属は、例えば理化年表(理工図書出版)や難波典之,金子文隆共著「電気材料−誘電材料・磁性材料−」208頁の記載から、比透磁率100以上の軟磁性金属を選択することもできる。好ましくは、コバルト、鉄又はニッケルを挙げることができ、特に好ましくは、鉄又はニッケルである。なお、本発明の軟磁性金属とは、軟磁性金属を含有する合金も包含する概念であり、該合金を具体的に例示すると、Fe−Si系合金(珪素鋼)、Fe−Al系合金(アルパーム)、Fe−Ni系合金(パーマロイ)、Fe−Co系合金、Fe−V系合金(パーメンジュール)Fe−Cr系合金、Fe−Si系合金(ケイ素鋼)、Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Al系合金、Fe−Cu−Nb−Si−B系合金、ミューメタルと呼ばれるFe−Ni−Cr系合金が挙げられ、これらの合金も比透磁率が100以上であるものが好ましく用いられる。
前記複合材料(B)に用いる軟磁性金属粉としては、鉄(Fe)又は鉄(Fe)合金からなるものであると好ましい。このような材質からなる軟磁性金属粉は比透磁率が特に高いことから、得られる成形体の電磁波シールド性がより良好になるため好ましい。また、経済性の点からも有利といえる。
また、かかる軟磁性金属粉が鉄又は鉄合金からなるものである場合、その扁平率は2以上であることが好ましい。ここでいう扁平率とは、当該軟磁性金属粉を走査型電子顕微鏡もしくは光学顕微鏡を用いて、100〜300倍程度で外観観察した際、この軟磁性金属粉の粒子1個において最も長い径を長径L、最も短い径を短径Sとしたとき、該長径を該短径で除した(L/S)ものであり、このようにして軟磁性金属粉の粒子を100個程度計測して求められる平均値である。図1を参照して長径、短径に関して説明する。図1は、楕円状軟磁性金属粉(楕円状金属粉)の粒子1個の外観を表す摸式図である。このような場合、楕円状金属粉粒子の最も長い径L、最も短い径Sは図1のようになる。このようにして外観から、LとSとを求め金属粉の粒子1個当たりの扁平率は求められる。同様にして金属粉の粒子100個程度の扁平率を求めて平均し、扁平率は導出される。この扁平率が2以上であれば、本発明の液晶ポリマー組成物を溶融成形する際、その溶融樹脂の流動方向(MD)に対して、成分(B)の長軸(長径方向の軸)が配向しやすくなる。MDに平行な面を電磁波シールド面とすると、この面のうち、成分(B)が占める面積が増大し易くなり、当該成分(B)の電磁波シールド性能を有効に活かせるので好ましい。この点から、該扁平率は2.5以上が好ましい。
本発明に用いる複合材料(B)の主として酸化珪素を含むセラミック粉とは、酸化珪素からなるセラミック粉であると好ましく、該酸化珪素には、少量であれば窒化珪素や炭化珪素といった不純物が含まれていてもよく、やはり少量であれば有機基を含むものであってもよい。
このようなセラミック粉は、いわゆるシリカと称されている様々なものを市場から容易に入手することができる。このような市販のシリカとしては、天然シリカ又は合成シリカ(人工シリカ)があり、該合成シリカには、乾式合成シリカ及び湿式合成シリカがある。該天然シリカとしては、酸化珪素の純度が高い点で石英を粉砕して得られるものが好ましく、石英から粉砕と溶融とを組み合わせて製造される天然シリカも酸化珪素の純度が高いものが得られるので好適である。乾式合成シリカとしては、四塩化珪素と水素との混合物を空気中1000〜1200℃程度で焼成して得られるものや、金属シリコンを溶融し、ノズルから空気中に噴霧して得られるもの等がある。このような製造方法で得られる乾式合成シリカは、当該シリカ中に、少量ながらSi−H結合を含んでいることがある。前記セラミック粉には、このように微量のSi−H結合を含むものも使用可能である。また、湿式合成シリカとは、四塩化珪素や珪酸アルコキシド等を加水分解して得られるものである。このような製造方法で得られる湿式合成シリカには、反応不純物である有機物や塩素分が混入していたり、分子内にシラノール基(Si−OH)を含んでいたり、することがある。また、かかるシラノール基が水和して水和水を有していることもある。本発明に用いる複合材料(B)には、そのような湿式合成シリカも使用することができるが、このような湿式合成シリカを、例えば、800℃程度の高温下で加熱処理して、水和水や有機物を除去してなる湿式合成シリカが好ましい。
このようなシリカに関しては、例えば、(株)アドマテックス、東ソー・シリカ(株)等から入手可能であり、これらは前記複合材料(B)の製造用として好ましく使用される。
上述のようなセラミック粉、好ましくはシリカと、軟磁性金属粉、好ましくは鉄又は鉄合金からなる軟磁性金属粉とを用いて複合材料(B)は製造される。
ここでは、軟磁性金属粉として鉄粉を用いた場合の製造方法に関し簡単に説明する。
鉄粉とシリカ粒子とを、例えば、ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル等、乾式で混合できる混合機を用いて混合する。この混合機の中では、遊星ボールミルを使用すると、鉄粉にシリカ粒子が被覆されてなる複合材料(B)を得ることができ、このような複合材料(B)を用いると、本発明の液晶ポリマー組成物から成形体を得たとき、当該成形体の電気絶縁性はより一層良好となる傾向がある。このような観点から、鉄粉とシリカ粒子との使用量も、シリカ粒子が鉄粉を被覆するようにして、両者の使用重量比を選択することが好ましい。この場合、鉄粉とシリカ粒子との使用重量比を振った数点の予備実験を行い、当該予備実験で得られた複合材料(B)の断面について、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、シリカ粒子による被覆状態を求めることで、前記使用重量比を求めればよい。また、鉄粉とシリカ粒子とを混合する際には、当該鉄粉が著しく酸化することを防止する観点から、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下で実施することが好ましい。
また、シリカ粒子で軟磁性鉄粉を被覆させてなる好適な複合材料は、日立ハイテクノロジーズ(株)から入手することもできる。この日立ハイテクノロジーズ(株)製の複合材料に関しては、文献(電子材料2008年9月号)に記載されている。
本発明に用いる複合材料(B)としては、前記セラミック粉が前記軟磁性金属粉の表面を全て被覆している必要ではなく、前記軟磁性金属粉同士が成形体中で接触することを妨げる程度であればよい。
<(A)液晶ポリマー>
次に、本発明に使用する成分(A)液晶ポリマー(以下、場合により「液晶ポリマー(A)」という)について説明する。ここで、液晶ポリマーとは、溶融時に光学異方性を示し、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成するポリマーであることを意味する。この光学的異方性は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法によって確認することができる。液晶ポリマーは、その分子形状が細長く、扁平で分子の長鎖に沿って剛性が高い分子鎖(この剛性が高い分子鎖は通常「メソゲン基」と呼称されている)を有するものであり、かかるメソゲン基は高分子主鎖又は側鎖のいずれか一方又は両方に有していればよいが、得られる成形体が、より高耐熱性を求めるならば高分子主鎖にメソゲン基を有するものが好ましい。
該液晶ポリマーの具体例としては、液晶ポリエステル、液晶ポリエステルアミド、液晶ポリエステルエーテル、液晶ポリエステルカーボネート、液晶ポリエステルイミド、液晶ポリアミド等が挙げられるが、これらの中でも、より強度に優れた成形体が得られる観点からは液晶ポリエステル、液晶ポリエステルアミド又は液晶ポリアミドが好ましく、より低吸水性の成形体が得られる点で、液晶ポリエステル又は液晶ポリエステルアミドが好ましい。
好適な液晶ポリマー(A)としては、以下の(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、(A5)及び(A6)(以下、場合により「(A1)〜(A6)」のように呼ぶことがある)からなる群より選ばれる液晶ポリマーが好ましく、これらから選ばれる液晶ポリマーを2種以上組み合わせて、液晶ポリマー(A)として使用してもよい。

(A1)下記の(i)で表される繰り返し単位からなる液晶ポリエステル;
(A2)下記の(ii)で表される繰り返し単位及び(iii)で表される繰り返し単位からなる液晶ポリエステル;
(A3)下記の(i)で表される繰り返し単位、(ii)で表される繰り返し単位及び(iii)で表される繰り返し単位からなる液晶ポリエステル;
(A4)前記(A1)において、(i)で表される繰り返し単位の一部又は全部を(iv)で表される繰り返し単位に置き換えてなる、液晶ポリエステルアミド又は液晶ポリアミド;
(A5)前記(A2)において、(iii)で表される繰り返し単位の一部又は全部を、(v)で表される繰り返し単位及び/又は(vi)で表される繰り返し単位に置き換えてなる、液晶ポリエステルアミド又は液晶ポリアミド;
(A6)前記(A3)において、(iii)で表される繰り返し単位の一部又は全部を、(v)で表される繰り返し単位及び/又は(vi)で表される繰り返し単位に置き換えてなる、液晶ポリエステルアミド

Figure 0005396810
(式中、Ar1及びAr4はそれぞれ独立に、1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。Ar2、Ar3、Ar5及びAr6はそれぞれ独立に、1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。また、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5及びAr6はは、その芳香環上の水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基に置換されていてもよい。)
(i)単位は、芳香族ヒドロキシカルボン酸から誘導される繰り返し単位であり、該芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸、又はこれらの芳香族ヒドロキシカルボン酸にある芳香環上の水素の一部又は全部が、アルキル基、アリールシ基、ハロゲン原子に置換されてなる芳香族ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
(ii)単位は、芳香族ジカルボン酸から誘導される繰り返し単位であり、該芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、又はこれら芳香族ジカルボン酸にある芳香環上の水素の一部又は全部が、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子に置換されてなる芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
(iii)単位は、芳香族ジオールから誘導される繰り返し単位であり、該芳香族ジオールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレン−2,6−ジオール、4,4’−ビフェニレンジオール、3,3’−ビフェニレンジオール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン又はこれら芳香族ジオールにある芳香環上の水素の一部又は全部が、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子に置換されてなる芳香族ジオールが挙げられる。
(iv)単位は、芳香族アミノカルボン酸から誘導される繰り返し単位であり、該芳香族アミノカルボン酸としては、4−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸、又はこれら芳香族アミノカルボン酸にある芳香環上の水素の一部又は全部が、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子に置換されてなる芳香族アミノカルボン酸が挙げられる。
(v)単位は、ヒドロキシ基を有する芳香族アミンから誘導される繰り返し単位であり、4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニル、又はこれらヒドロキシ基を有する芳香族アミンにある芳香環上の水素の一部又は全部が、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子に置換されてなる芳香族ヒドロキシアミンが挙げられる。
(vi)単位は、芳香族ジアミンから誘導される構造単位であり、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン又はこれらの芳香族ジアミンにある芳香環上の水素の一部又は全部が、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子に置換されてなる芳香族ジアミンが挙げられる。
ここで、上述したように、これらの構造単位には置換基を任意に有していてもよい。この置換基について簡単に例示しておく。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基などの、炭素数1〜10の直鎖、分岐又は脂環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基やナフチル基などの炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
また、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる。
上述した液晶ポリマー(A)の中でも、(A1)〜(A3)からなる群より選ばれる液晶ポリエステルが、より耐熱性や寸法安定性に優れた成形体が得られる点で好ましく、(A1)又は(A3)の液晶ポリエステルが特に好ましい。
以下、本発明で特に好適な液晶ポリマー(A)である(A1)又は(A3)の液晶ポリエステルに関し詳細を説明する。
上述のとおり、(A1)の液晶ポリエステルにおいては(i)単位からなるものであり、複数種の(i)単位を有しているものが好ましい。その理由としては、耐熱性と成型加工性のバランスに優れているためである。
(A3)の液晶ポリエステルにおいては、(i)単位、(ii)単位及び(iii)単位を有するものであり、これらの合計を100モル%としたとき、(i)単位の合計が30〜80モル%であり、(ii)単位の合計が10〜35モル%であり、(iii)単位の合計が10〜35モル%であると好ましい。なお、(ii)単位のモル重合比率と(iii)単位のモル重合比率とは、(ii)単位/(iii)単位で表して、0.9/1.0〜1.0/0.9の範囲が好ましく、実質的に等しい[(ii)単位/(iii)単位=1.0/1.0]ものであると、液晶ポリエステルを製造する際に、エステル結合を形成し得るカルボキシル基とヒドロキシ基の数が同等となることから、得られる液晶ポリエステルの高分子量化が図れ、より耐熱性に優れた成形体を得るうえで有利である。
ここで、(i)単位が30モル%未満の場合や、(ii)単位及び/又は(iii)単位が35モル%を超える場合は、得られるポリエステルが液晶性を発現し難くなる傾向にある。
一方、(i)単位が80モル%を超える場合や、(ii)単位及び/又は(iii)単位が10モル%未満の場合は、得られる液晶ポリエステルが溶融し難くなり、成形性が低下する傾向にある。
さらに、(i)単位は40〜70モル%であるとより好ましく、45〜65モル%であると、とりわけ好ましい。
一方、(ii)単位及び(iii)単位は、それぞれ15〜30モル%であるとより好ましく、それぞれ17.5〜27.5モル%であると、とりわけ好ましい。
次に好適な(A1)又は(A3)の液晶ポリエステルを製造する方法に関し説明する。このような液晶ポリエステルを得るには、当該液晶ポリエステルを誘導する原料モノマー、すなわち複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を、あるいは、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオールを公知の手段により重合させることで得ることができる。中でも液晶ポリエステル製造の容易さの面で、原料モノマーを予め、エステル形成性誘導体に転換してから液晶ポリエステルを製造することが好ましい。
ここで、前記エステル形成性誘導体について説明する。該エステル形成性誘導体とは、エステル生成反応を促進するような基を有するものであり、具体的に例示すると、分子内にカルボキシル基を有する原料モノマーの場合、当該カルボキシル基を酸ハロゲン化物、酸無水物に転換してエステル形成性を向上するか、当該カルボキシル基がエステル交換反応によりエステル結合を形成しやすいように、低級アルコールによりエステル基を形成しているものを挙げることができる。また、分子内にヒドロキシ基を有する原料モノマーの場合、該ヒドロキシ基を低級カルボン酸エステル基に転換することでエステル形成性を向上させることができる。
このようなエステル形成性誘導体を用いた液晶ポリエステル製造において特に好適な方法としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオールのヒドロキシ基を低級カルボン酸エステル基に転換したエステル形成性誘導体を用いた方法であり、低級カルボン酸基としては、アシル基が特に好ましい。アシル化は通常、ヒドロキシ基を有する化合物を、無水酢酸と反応させることで達成できる。このようなエステル形成性誘導体は、芳香族ジカルボン酸とともに脱酢酸重合(溶融重合)され液晶ポリエステルを得ることができる。
前記エステル形成性誘導体を用いた液晶ポリエステル製造方法は、(A1)の液晶ポリエステルについては、例えば、特開昭61−69866号公報に記載の方法、(A3)の液晶ポリエステルについては、例えば特開2002−146003号公報に記載の方法等の、公知の方法が適用できる。すなわち、前記の、(i)単位、(ii)単位及び(iii)単位に対応するモノマーを混合し、無水酢酸でアシル化してエステル形成性誘導体を形成した後、該エステル形成性誘導体を含む原料モノマーを溶融重合せしめ、液晶ポリエステルを得ることができる。
ここで、より一層の耐熱性に優れた成形体を目的とする場合、前記溶融重合で得られた液晶ポリエステルをプレポリマーとし、該プレポリマーをさらに高分子量化させることが好ましく、かかる高分子量化には固相重合を用いると有利である。この固相重合に関し簡単に説明する。前記プレポリマーを粉砕して粉末とし、この粉末を加熱することにより固相重合する方法が挙げられる。このような固相重合においては、重合がより進行して高分子量化が可能である。
前記プレポリマーを粉末とするには、例えばプレポリマーを冷却固化した後に粉砕すればよい。粉砕して得られる粉末の平均粒径は、0.05mm〜3mm程度の範囲が好ましく、0.05mm〜1.5mm程度の範囲が、液晶ポリエステルの高分子量化がより促進されることからより好ましい。また、この平均粒径の範囲であれば、粒子間のシンタリングを生じることがないため、固相重合の操作性が良好になりやすく、効率的に液晶ポリエステルの高分子量化が促進されるため、さらに好ましい。なお、プレポリマーの平均粒径は、外観観察等により求められる。
固相重合における加熱条件について好適なものを例示する。まず、室温からプレポリマーの流動開始温度より20℃以上低い温度まで昇温する。このときの昇温時間は、特に限定されるものではないが、反応時間の短縮といった観点から1時間以内で行うことが好ましい。
次いで、プレポリマーの流動開始温度より20℃以上低い温度から280℃以上の温度まで昇温させる。昇温は、0.3℃/分以下の昇温速度で行うことが好ましく、0.1〜0.15℃/分の昇温速度がより好ましい。該昇温速度が0.3℃/分以下であれば、前記粉末の粒子間のシンタリングがより生じ難くなり、より高分子量の液晶ポリエステルの製造が可能となる。
また、液晶ポリエステルの分子量をより高めるためには、前記固相重合の最終過程において、280℃以上の温度で、好ましくは280℃〜400℃の温度範囲で30分以上反応させることが好ましい。とりわけ、液晶ポリエステルの熱安定性をより良好にする点からは、反応温度280〜350℃で30分〜30時間反応させることが好ましく、反応温度285〜340℃で30分〜20時間反応させることがさらに好ましい。かかる加熱条件は、当該液晶ポリエステルの製造に用いた、原料モノマーの種類により、適宜最適化することが好ましい。なお、ここでいう流動開始温度に関し詳細は後述する。
前記固相重合を行って得られた(A3)の液晶ポリエステルは、十分な高分子量化が達成され、耐熱性に優れた成形体を得ることができる。好ましくはその流動開始温度が280℃以上の液晶ポリエステルであり、該流動開始温度は280〜390℃であるとより好ましい。
なお、流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのダイスを取付けた毛細管型レオメーターを用い、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度を意味し、該流動開始温度は当技術分野で周知の液晶ポリエステルの分子量を表す指標である(小出直之編、「液晶性ポリマー合成・成形・応用−」、95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照、本発明においては、流動開始温度を測定する装置として、株式会社島津製作所製の流動特性評価装置「フローテスターCFT−500D」を用いる)。
以上、本発明に用いる液晶ポリマー(A)として特に好適な(A1)又は(A3)の液晶ポリエステルに関して説明したが、その他の液晶ポリマー[(A2)、(A4)〜(A6)の液晶ポリエステル]に関しても、上述したようなエステル形成性誘導体あるいはアミド形成性誘導体を用いる製造方法等によれば、容易に製造することができる。
<その他の成分>
本発明の液晶ポリマー組成物は、得られる成形体の電磁波シールド性や電気絶縁性を著しく損なわない範囲であれば、必要な特性に応じて補強剤等の添加剤が含有されていてもよい。
ここで添加剤としては、例えばガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの繊維状補強剤;ホウ酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの針状の補強剤;ガラスビーズ、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイトなどの無機充填剤;フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などが挙げられる。これらの添加剤は二種以上を併用してもよい。
また、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の外部滑剤効果を有する添加剤を用いることも可能である。更に、少量であれば、液晶ポリマー以外の熱可塑性樹脂(たとえば、ポリアミド、結晶性ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド等)や熱硬化性樹脂(たとえば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等)を含有させてもよい。このような液晶ポリマー以外の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用する場合、液晶ポリマー自身の液晶性や成形性を損なわないようにして、その種類や添加量を選択することが必要である。
<液晶ポリマー組成物の製造方法>
次に本発明の液晶ポリマー組成物の製造方法に関し説明する。
当該液晶ポリマー組成物は、前記成分(A)と前記成分(B)とを各種公知の手段で混合することで得ることができるが、より低コストである点で、前記成分(A)と前記成分(B)とを溶融混練して液晶ポリマー組成物を製造することが好ましく、押出溶融混練して液晶ポリマー組成物をペレット状で得ることが特に好ましい。
なお、上述のとおり該液晶ポリマー組成物において、成分(B)の含有重量が成分(A)の含有重量の同等以上であること必要である。具体的には、液晶ポリマー(A)100重量部に対し、複合材料(B)が100〜450重量部であることが好ましく、100〜300重量部であることがより好ましく、100〜250重量部であると一層好ましく、100〜200重量部であると特に好ましい。複合材料(B)の液晶ポリマー(A)に対する配合量がこのような範囲であると、電磁波シールド性と成形性とのバランスがより良好となる。なお、成分(B)として複数種の複合材料(B)を使用する場合にはその合計量が前記の範囲になるようにし、同様に成分(A)として複数種の液晶ポリマー(A)を使用する場合にはその合計量が前記の範囲になるようにする。
好適な液晶ポリマー組成物の製造方法である押出機(溶融混練押出機)を用いた方法に関し説明する。
該溶融混練押出機とは、加熱手段を備えたシリンダと当該シリンダ内に加熱溶融体を押出すためのスクリューを備えたものであり、シリンダ内に1本のスクリューが回転駆動されるように設けられている単軸混練押出機、シリンダ内に互いに異なる方向に、あるいは同じ方向に回転駆動されるように設けられている2本のスクリューからなる二軸混練押出機のどちらも使用することができるが、二軸混練押出機の使用が本発明の液晶ポリマー組成物には有利である。
当該溶融混練押出機としては、スクリューの有効長さ(L)のスクリュー直径(D)に対する比率(L/D)が20以上(LとDは同一のスケール単位である)であると、成分(A)と成分(B)とがより均一に分散されるため好ましい。なお、ここでいうスクリューの有効長さとはスクリューの溝の軸方向長さを意味し、スクリュー直径とはスクリューの外径寸法を意味する。
また、この溶融混練押出機は、該押出機に加熱溶融体を形成する各種成分を供給する供給口を複数供えている。前記成分(A)及び前記成分(B)、必要に応じて添加される補強剤や添加剤から加熱溶融体を形成せしめて、本発明の液晶ポリマー組成物をペレット状で得るには、まず該溶融混練押出機の押出方向上流側に設けられた上流側供給口から、成分(A)をその全供給量の90重量%以上が供給されるように、成分(B)をその全供給量の50重量%以下が供給されるようにして、該溶融混練押出機に供給する。そして、成分(A)の残部[成分(A)の全供給量−前記上流側供給口から供給される成分(A)の供給量]及び成分(B)の残部[成分(B)の全供給量−前記上流側供給口から供給される成分(B)の供給量]を、前記上流側供給口よりも押出方向下流側に設けられた下流側供給口から該溶融混練押出機に供給する。こうすることにより、前記加熱溶融体において成分(A)と成分(B)の接触時間が比較的短くてすむようになり、液晶ポリマー(A)の劣化が抑制される傾向があるため、本発明の液晶ポリマー組成物の製造には有利である。この点では、前記上流側供給口からの成分(A)の供給量は、その全供給量に対して95重量%以上であると好ましい。また、前記上流側供給口からの成分(B)の供給量は、その全供給量に対して20重量%以下がさらに好ましい。特に、前記上流側供給口から成分(A)のみを供給し、前記下流側供給口から成分(B)のみを供給することが製造時の煩雑さを低減させるという点で好ましい。なお、本発明の液晶ポリマー組成物に、上述のような補強剤を使用する場合、該補強剤は前記下流側供給口から成分(B)とともに供給されることが好ましい。
本発明の液晶ポリマー組成物を前記溶融混練押出機シリンダ中で、加熱溶融体にするために、当該シリンダを加熱する。この場合の加熱温度は通常、使用する液晶ポリマー(A)の流動開始温度Tp[℃]を基点にして、Tp[℃]以上Tp+60[℃]以下にすることが好ましく、Tp+10[℃]以上Tp+50[℃]以下にすることがさらに好ましい。また、前記シリンダには複数の加熱装置が備えられていることもある。この場合、下流側供給口から溶融混練押出機先端のダイスまでに設けられた加熱装置の加熱温度の平均が前記の範囲であればよい。
前記溶融混練押出機から押出された加熱溶融体の液晶ポリマー組成物は、紐状組成物(ストランド)となって、当該押出機のダイスから吐出される。このストランドを必要に応じて冷却固化し、これを切断するといった一連の操作により、本発明の液晶ポリマー組成物がペレット状で得られる。なお、前記ストランドを冷却固化させることなく、押出機のダイスから吐出した直後、ダイスカッターにより、切断してペレットに加工するホットカット法も用いることができる。但し、ストランド法とホットカット法を生産性の観点から比較すると、より生産性が良好になる点でストランド法が有利である。
<成形体及びその成形方法>
本発明の液晶ポリマー組成物は、各種公知の成形方法により成形体を製造することができる。当該成形方法としては、射出成形、押出成形、トランスファー成形、ブロー成形、プレス成形、射出プレス成形、押出射出成形等、熱可塑性樹脂の分野で汎用の種々の成形方法が使用可能である。また、これらの成形方法を複数組み合わせてもよい。当業者であれば、目的とする成形品形状に応じて、好ましい成形方法及び成形条件を選択することができる。これらの中でも電子機器に使用される部品の製造には、射出成形又は押出射出成形が好ましく、射出成形が特に好ましい。
ここでは好適な成形方法である射出成形に関し説明する。
射出成形には、例えば日精樹脂工業(株)製油圧式横型成形機PS40E5ASE型といった射出成形機を用い、本発明の液晶ポリマー組成物を溶融せしめて、溶融した液晶ポリマー組成物を、適切な温度に加熱され、所望のキャビティ形状を有する金型内に射出する。射出するために液晶ポリマー組成物を加熱溶融させる温度は、使用する液晶ポリマー組成物の流動開始温度Tp’[℃]を基点として、Tp’+10[℃]以上Tp’+50[℃]以下にする。また、金型の温度は、液晶ポリマー組成物の冷却速度と生産性の点から、通常、室温〜180[℃]の範囲から選択される。
本発明の液晶ポリマー組成物は、その成形方法を最適化することで、電子部品における電磁波シールド部材として好適な成形体を得ることができる。具体的には、電気絶縁性を体積固有抵抗で表すと、108Ωm以上であり、且つ電磁波シールド性として、高周波数に対するシールド効果で表すと、3dB以上という実用的に十分な電磁波シールド部材を得ることができる。なお、ここでいう高周波数とは例えば2.5GHz以上の周波数である。
また、このような成形体はその電気絶縁性と電磁波シールド性とを活かして、表面実装部品に好適に使用される。かかる表面実装部品としては、例えば、電子部品のハウジング、チョークコイル、コネクター等が挙げられる。本発明の液晶ポリマー組成物を用いてなる表面実装部品は、電子ノイズを吸収するという効果が期待されるため、極めて有用である。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
成分(B)としては以下に示すフィラーを使用した。
フィラー1
(電磁波吸収フィラー、(株)日立ハイテクノロジーズ製、
体積平均粒径20μm、扁平率2.7)
製造例1[液晶ポリエステルの製造]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、テレフタル酸299.0g(1.8モル)、イソフタル酸99.7g(0.6モル)及び無水酢酸1347.6g(13.2モル)を仕込み、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で30分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して1時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了としてプレポリマーを得た。
得られたプレポリマーを室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕して粉末とした。この粉末を、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、同温度で3時間保持するという固相重合を行った。冷却して得られた液晶ポリエステルの流動開始温度は327℃であった。このようにして得られた液晶ポリエステルをLCP1とする。
実施例1、2、比較例1
製造例1で得られたLCP1及び前記に示したフィラー1を表1に示す組成で、同方向2軸押出機(池貝鉄工株式会社PCM−30HS)を用い、330℃で混練して、ペレット状の液晶ポリマー組成物(ペレット)を得た。この際、LCP1の全供給量を、該同方向2軸押出機の上流部供給口から供給し、フィラー1の全供給量を、該同方向2軸押出機の下流側供給口から供給した。
得られたペレットを射出成形機(日精樹脂工業株式会社PS40E5ASE型)を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度130℃、射出率30cm3/sで射出成形し、64mm×64mm×1mmの直方体の成形体を得た。
このようにして得た成形体のシールド効果及び体積固有抵抗値を求めた。結果を表1に示す。
なお、成形体の特性評価であるシールド効果及び体積固有抵抗値は以下のようにして求めた。

[電磁波シールド値測定方法]
ASTM D4935に準拠した同軸管タイプにより、周波数2.5GHzでの電磁波シールド値を測定した。

[体積固有抵抗測定方法]
ASTMD257に準拠し、東亜電波工業株式会社製 SM−10E型超絶縁計にて、体積固有抵抗を求めた。
Figure 0005396810
楕円状軟磁性金属粉の粒子の外観を表す摸式図である。
符号の説明
1・・・楕円状軟磁性金属粉の粒子
L・・・長径 S・・・短径

Claims (9)

  1. 以下の成分(A)及び成分(B)を含んでなり、成分(B)の含有重量が成分(A)の含有重量の同等以上である液晶ポリマー組成物の製造方法であって、スクリューの有効長さ(L)のスクリュー直径(D)に対する比率(L/D)が20以上(LとDは同一のスケール単位である)の溶融混練押出機を用い、前記溶融混練押出機の押出方向上流部に設けられた上流部供給口から、成分(A)を、その全供給量に対する90重量%以上が供給されるように、成分(B)を、その全供給量の50重量%以下が供給されるように、前記溶融混練押出機に供給し、前記上流部供給口よりも押出方向下流側に設けられた下流側供給口から、成分(A)の残部と成分(B)の残部とを前記溶融混練押出機に供給することにより、成分(A)と成分(B)とを溶融混練することを特徴とする液晶ポリマー組成物の製造方法。
    (A)液晶ポリマー
    (B)主成分として酸化珪素を含むセラミック粉と軟磁性金属粉との複合材料
  2. 前記成分(A)100重量部に対し、前記成分(B)100〜450重量部を含むことを特徴とする請求項1記載の液晶ポリマー組成物の製造方法。
  3. 前記成分(B)が、前記軟磁性金属粉を前記セラミック粉で被覆してなる複合材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶ポリマー組成物の製造方法。
  4. 前記成分(B)を構成する軟磁性金属粉が、鉄又は鉄合金からなる軟磁性金属粉であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物の製造方法。
  5. 前記成分(B)を構成する軟磁性金属粉が、鉄又は鉄合金からなり、その扁平率が2以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物の製造方法。
  6. 前記成分(A)が、以下の(A1)、(A2)及び(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物の製造方法。
    (A1)下記(i)で表される繰り返し単位からなる液晶ポリエステル
    (A2)下記(ii)で表される繰り返し単位及び(iii)で表される繰り返し単位からなる液晶ポリエステル
    (A3)下記の(i)、(ii)及び(iii)で表される繰り返し単位からなる液晶ポリエステル
    Figure 0005396810
    (式中、Ar1は、1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。Ar2及びAr3はそれぞれ独立に、1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。また、Ar1、Ar2及びAr3は、その芳香環上の水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基に置換されていてもよい。)
  7. 前記成分(A)が、前記(A3)の液晶ポリエステルを含むことを特徴とする請求項6記載の液晶ポリマー組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により液晶ポリマー組成物を得、この液晶ポリマー組成物を成形することを特徴とする成形体の製造方法。
  9. 前記成形体が表面実装部品として使用されることを特徴とする請求項8記載の成形体の製造方法。
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