JP5396171B2 - 帯電ロール - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式を利用した複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体等からなる像担持体を帯電せしめるために用いられる帯電ロールに関するものである。
電子写真方式を利用した複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置(以下、電子写真機器という)においては、感光体(ドラム)等の像担持体を、帯電ロールの外周面に接触せしめて、それら像担持体と帯電ロールとを相互に回転させるようにすることによって、かかる像担持体の表面を帯電させる、所謂ロール帯電方式が広く採用されている。
そのようなロール帯電方式において用いられる帯電ロールにおいては、一般に、要求される様々な特性が効果的に発揮され得るように、各々が異なる材料からなる2以上の層が順次、積層形成された複層構造が広く採用されているのであり、例えば、導電体たる軸体(芯金)の周りに、ベース層として、低硬度の導電性ゴム発泡体からなる導電性ゴム発泡体層が設けられ、更にその外側に、保護層としての表層が設けられてなる構造の帯電ロールが、種々、提案され、使用されている(特許文献1参照)。
ここで、上述の如き複層構造を呈する帯電ロールにおいて、特に最外層たる表層は、その厚さが比較的薄く設定されることが多い。このため、多くの場合、種々の合成樹脂やゴム等を所定の溶媒に溶解せしめて、或いは合成樹脂等を所定の分散媒に分散せしめてなる液状材料を用いて、かかる液状材料を、予め作製した導電性ゴム発泡体層の表面に塗布(塗工)することによって表層が設けられている。そして、そこにおいて用いられる液状材料にあっては、溶解乃至は分散せしめられる合成樹脂等の選択幅を拡げ、また、導電性ゴム発泡体層表面への塗工性を有利に確保し得る等の観点から、従来より、溶媒乃至は分散媒として、メチルエチルケトン等の有機物が広く用いられているのである。
しかしながら、メチルエチルケトン等の有機物を用いた液状材料(有機系液状材料)を使用する際には、環境への配慮や安全性確保の観点から、そこに含まれる有機物を適正に処理する設備が必要となり、その結果、製造コストが嵩むという問題があった。また、上述の如き構造を呈する帯電ロールを作製するに当たり、有機系液状材料を用いると、被塗工部たる導電性ゴム発泡体層の材質によっては、或いは溶媒等としての有機物の種類によっては、導電性ゴム発泡体層の表面に膨潤によるシワが発生する恐れがあり、最終的に得られる帯電ロールにおいて、特に耐久使用時に要求される平滑な表面性を確保し難いという問題もあった。
一方、そのような問題を解決すべく、溶媒乃至は分散媒として水を用いてなる液状材料(水性液状材料)を、上述した有機系液状材料に代えて用いることが提案されている。例えば、特許文献2(特開平9−96946号公報)においては、芯材の外周面に発泡体層と、該発泡体の表面に被覆層を備えた電子写真用帯電ロールであって、被覆層が水性エマルジョン系樹脂材料を用いて形成されたものが提案されている。
しかしながら、水性エマルジョン系樹脂材料等の水性液状材料は、一般的に、粘度が低く、また乾燥に時間を要するものであるため、塗工工程において解決すべき課題が多いことが知られている。特に、樹脂粒子等の粗さ形成用粒子を配合した水性液状材料にあっては、これを上述した導電性ゴム発泡体層の表面に塗工すると、粗さ形成用粒子の比重と合成樹脂等の成分との比重が異なること等に起因して、乾燥後の塗膜において薄膜部と厚膜部とが生じ、均一な厚さの塗膜(表層)を得ることが難しいという問題があった。このような不均一な厚さの表層を有する帯電ロールは、様々な画像不具合を引き起こす恐れがある。なお、このような問題を解決すべく、材料中にレベリング剤を配合することも考えられるが、レベリング剤の配合は、最終的に得られる帯電ロールにおいて、セット性(耐ヘタリ性)や耐久性を低下させ、また画像不具合(ゴースト)が発生し易くなるという問題があったのである。
特許第3277619号公報 特開平9−96946号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、比較的均一な厚さの表層を有し、画像不具合の発生を効果的に抑制し得る帯電ロールを提供することにある。
そして、本発明は、そのような課題を解決するために、軸体の外周面上に導電性ゴム発泡体層が設けられ、更にその外側に表層が設けられてなる帯電ロールにして、前記導電性ゴム発泡体層が、開口率が0.5〜15%であるスキン層を表層部に有するものであり、前記表層が、合成樹脂の水系エマルジョン又はゴムラテックスと、粗さ形成用粒子とを用いて調製された、分散媒が水である水性エマルジョン系材料にて形成されていることを特徴とする帯電ロールを、その要旨とするものである。
なお、そのような本発明に従う帯電ロールにおいては、有利には、前記合成樹脂の水系エマルジョンが、アクリル樹脂水系エマルジョン又はウレタン樹脂水系エマルジョンである。
このように、本発明に従う帯電ロールは、軸体の外周面上に設けられた導電性ゴム発泡体層が、開口率が0.5〜15%であるスキン層を表層部に有するものであるところから、かかる導電性ゴム発泡体層の表面に、所定の水性エマルジョン系材料、即ち、合成樹脂の水系エマルジョン又はゴムラテックスと、粗さ形成用粒子とを用いて調製された、分散媒が水である水性エマルジョン系材料を、各種手法に従って塗工した後、乾燥せしめると、その塗膜の乾燥体たる表層においては、その厚さが比較的均一なものとなる。従って、本発明に係る帯電ロールにあっては、様々な画像不具合の発生を効果的に抑制し得るものとなっているのである。
また、上記した合成樹脂の水系エマルジョンとして、アクリル樹脂水系エマルジョン又はウレタン樹脂水系エマルジョンを用いた場合には、上述した効果をより有利に享受することが可能である。
本発明に従う帯電ロールの一例を示す軸直角断面説明図である。
図1には、本発明に従う帯電ロールの代表的な一実施形態が、軸心に直角な方向の断面において、概略的に示されている。かかる図1において、帯電ロール10は、金属製の導電性軸体(芯金)12の外周面上に、ロール径方向の内側から外側に向かって、順に、ベース層である導電性ゴム発泡体層14と、最外層である表層(保護層)16が、各々、所定の厚さで一体的に形成されている。
なお、導電性軸体12としては、導電性を有する金属からなるものであれば特に限定されるものではなく、鉄、ステンレス鋼(SUS)や快削鋼(SUM)等からなるものを、例示することが出来る。また、かかる導電性軸体12には、メッキ処理等が施されていてもよく、更に必要に応じて、接着剤やプライマー等が外周面に塗布されていてもよい。加えて、導電性軸体12の形状も、図1に示される如きロッド状の中実体以外にも、パイプ状の中空円筒体であっても、何等差し支えない。
そして、本発明に従う帯電ロール10は、導電性軸体12の外周面上に一体的に形成された導電性ゴム発泡体層14が、開口率が0.5〜15%であるスキン層18を表層部に有するものであるところに、大きな特徴が存するのである。
このように、開口率が所定の範囲内にあるスキン層(18)を表層部に有する導電性ゴム発泡体層(14)を採用することにより、かかる導電性ゴム発泡体層(14)の表面に、後述する水性エマルジョン系材料を用いて表層(16)を形成せしめてなる本発明の帯電ロール(10)にあっては、水性エマルジョン系材料が、導電性ゴム発泡体層(14)の表面(非開口部及び開口部)に効果的に含浸すると共に、粗さ形成用粒子(20)は、凝集することなく導電性ゴム発泡体層(14)の表面に比較的均一に分散せしめられる。これにより、本発明の帯電ロール(10)においては、表層(16)の厚さが比較的均一となり、以て、画像不具合の発生を効果的に抑制し得るものとなっているのである。
ここで、本明細書及び特許請求の範囲における開口率(%)とは、以下のようにして算出されるものを意味する。即ち、表層が形成せしめられる前の導電性ゴム発泡体層について、その軸方向中央部及び両端部の3箇所において、各箇所において3回ずつ、即ち合計9回、レーザ顕微鏡等の光学顕微鏡を用いて開口面積を測定する。測定された開口面積を光学顕微鏡の観察面積で除し、一の測定における開口率(%)を算出する。そして、9回の測定により得られた開口率(%)の平均値を算出して、この平均値を、本明細書及び特許請求の範囲における開口率(%)とした。
また、導電性ゴム発泡体層(14)におけるスキン層(18)の開口率が小さ過ぎると、本発明の目的を効果的に達成し得ない恐れがある一方、スキン層(18)の開口率が大き過ぎると、表層(16)を形成せしめることが困難となったり、表層(16)の厚さが不均一となって最終的に得られる画像にムラが発生する恐れがある。従って、本発明に係る帯電ロール(10)において、導電性ゴム発泡体層(14)におけるスキン層(18)の開口率は0.5〜15%とされる。
本発明において、所定の開口率にて開口したスキン層(18)を有する導電性ゴム発泡体層(14)を形成せしめるに際しては、各種ゴム材料を主成分とする発泡性導電性ゴム組成物が用いられる。本発明において用いられ得るゴム材料としては、エピクロルヒドリンゴム(ECO、CO等)、ニトリルゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)や天然ゴム(NR)等を例示することが出来、これらはそれぞれ単独で用いられ得ることは勿論のこと、二種以上を併用することも可能である。本発明においては、特に、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エピクロルヒドリンゴムやニトリルゴム等が、好適に用いられる。
また、そのようなゴム材料に対しては、従来と同様に、発泡剤や導電剤、更には必要に応じて、充填剤、増量剤、補強剤、加工助剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、シリコーンオイルや界面活性剤等の各種添加剤が、本発明の目的を阻害しない範囲内において、それぞれの添加目的に応じて適宜、配合される。それらの中でも、特に、発泡剤、加硫剤及び加硫促進剤は、加圧下での加熱によるスキン層(18)の形成に大きく影響を与えることから、その種類及び配合量の選択は重要である。
例えば、発泡剤としては、従来より公知の無機系発泡剤や有機系発泡剤を配合することが可能である。熱分解により容易に発泡可能であり、また分解物がマトリックスたるゴム材料との相溶性に優れる等の観点から、本発明においては、有機系発泡剤が有利に用いられる。かかる有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド[OBSH]、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等を、例示することが出来る。
また、導電剤としては、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物、更には各種イオン導電剤、例えば、テトラメチルアンモニウムパークロレート、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等を、例示することが出来る。
一方、本発明に係る帯電ロール(10)における表層(16)は、合成樹脂の水系エマルジョン又はゴムラテックスと、粗さ形成用粒子とを用いて調製された、分散媒が水である水性エマルジョン系材料にて形成される。上述したように、本発明における導電性ゴム発泡体層(14)は、その表層部に、開口率が所定の範囲内とされたスキン層を有するものであることから、従来の帯電ロールとは異なり、粗さ形成用粒子(20)を含有する水性エマルジョン系材料を用いても、最終的に得られる表層(16)の厚さは比較的均一となり、以て、画像不具合が発生し難い帯電ロール(10)となるのである。
ここで、合成樹脂の水系エマルジョンとは、合成樹脂粒子が、分散媒たる水の中に分散せしめられてなるものを意味するものである。本発明においては、合成樹脂の水系エマルジョンであれば、従来より公知の何れのものをも使用することが可能であるが、特に有利には、アクリル樹脂水系エマルジョン又はウレタン樹脂水系エマルジョンが用いられる。
なお、市販されている合成樹脂の水系エマルジョンにあっては、そのまま、或いは材料を調製する際に、必要に応じて更に水を添加することによって、使用されることとなる。
また、本発明において用いられるゴムラテックスとしては、特に制限されるものではなく、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、水素化NBR、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、ハロゲン化ブチルゴム等からなるゴムラテックスを挙げることが出来る。これらのゴムラテックスは、単独で用いられ得ることは勿論のこと、二種以上を併用することも可能である。
さらに、粗さ形成用粒子(20)としては、ウレタン樹脂粒子、(メタ)アクリル樹脂粒子、尿素樹脂粒子、アミド樹脂粒子等の各種合成樹脂粒子、ゴム粒子、シリカ粒子、シリコーン粒子等を例示することが可能である。これら粗さ形成用粒子にあっても、単独で用いられ得ることは勿論のこと、二種以上を併用することも可能である。なお、粗さ形成用粒子は、通常、数μm〜30μm程度の平均粒子径を有するものが用いられる。
上述の如き合成樹脂の水系エマルジョン又はゴムラテックスと、粗さ形成用粒子とを用いて、分散媒が水である水性エマルジョン系材料を調製するに際しては、公知の導電剤や架橋剤、充填剤等の各種添加剤が、各々、従来と同様な配合割合にて配合され、最終的に得られる表層(16)の体積抵抗率が、一般に、1×105 〜1×1013Ω・cm程度となるように、調製される。
ところで、図1に示す如き構造を呈する、本発明に従う帯電ロール10は、例えば、以下の如き手法に従って製造することが可能である。
先ず、上述の如き発泡性導電性ゴム組成物を用いて、最終的に導電性ゴム発泡体層14を与える未加硫未発泡発泡性ゴム層を準備する。具体的には、発泡性導電性ゴム組成物をチューブ状に成形する。
発泡性導電性ゴム組成物をチューブ状に成形する際には、押出成形や型成形等を始めとする従来より公知の成形方法の何れをも採用することが出来るが、生産性等の観点から、有利には押出成形が採用される。押出成形の際には、一般的な押出成形機を用いることが可能であり、また、軸体12又は他の芯材の外周面上に直接、未加硫未発泡発泡性ゴム層を成形することも可能である。
そのようにして作成された未加硫未発泡発泡性ゴム層を、先ず、加圧下で加熱して、表層部にスキン層18を有する半加硫未発泡発泡性ゴム層とする。加圧下で加熱することにより、未加硫未発泡発泡性ゴム層の内部においては発泡が抑制される一方、かかる未加硫未発泡発泡性ゴム層の加硫は進行し、以て、表層部にスキン層18を有する半加硫未発泡発泡性ゴム層が得られるのである。
本発明に係る帯電ロールを製造するに際して、このようなスキン層18を先に設けることは非常に意義がある。即ち、未加硫未発泡発泡性ゴム層について、先ずスキン層18を形成せしめ、その後、所定の操作によってスキン層18の表面を開口せしめることにより、最終的に得られる導電性ゴム発泡体層14の表面における開口率を所望の範囲内とすることが容易ならしめられるのである。なお、従来より広く採用されている、円筒状金型の成形キャビティ内に軸体及び未加硫未発泡発泡性ゴム層を同軸的に配置し、その状態にて金型を加熱して、未加硫未発泡発泡性ゴム層の発泡及び加硫を同時に行なう手法においては、発泡を制御することが困難であるため、最終的に得られる導電性ゴム発泡体層(18)表面の開口率を所望の範囲内(0.5〜15%)とすることは非常に困難である。
ここで、未加硫未発泡発泡性ゴム層は、軸体12又は他の芯材が挿入された状態で、加圧下、加熱せしめることが好ましい。けだし、未加硫未発泡発泡性ゴム層において、軸体12等の近傍にある部位(軸直角方向内側の部位)に対しては熱が伝わり難くなることから、その表層部(軸直角方向外側の部位)においてのみスキン層が有利に形成せしめられ得るからである。
また、かかる加圧下で加熱する際の種々の条件、例えば、加圧条件、加熱温度や加熱時間等は、未加硫未発泡発泡性ゴム層の加硫が完全に終了しないような(未加硫未発泡発泡性ゴム層が半加硫状態となるような)条件が、発泡性導電性ゴム組成物に含まれる加硫剤及び加硫促進剤の種類や配合量等、更には、後述するスキン層を開口せしめるための手法等に応じて、適宜に決定される。更に、加圧下で加熱する際には、加圧オーブン等が用いられる。そのような適宜に選択された条件に従い、通常、10〜100μm程度の厚さを有するスキン層18が、半加硫未発泡発泡性ゴム層の表層部に形成されることとなる。
そのようにして得られた、表層部にスキン層が形成された半加硫未発泡発泡性ゴム層を、開口率が所定の範囲内(0.5〜15%)であるスキン層を表層部に有する導電性ゴム発泡体層14とするためには、以下の如き手法を例示することが出来る。
−手法1−
上述の半加硫未発泡発泡性ゴム層を、常圧下で加熱し、半加硫未発泡発泡性ゴム層の内部において発泡及び加硫を進行せしめることにより、開口していないスキン層(18)を表層部に有する導電性ゴム発泡体層14を形成せしめる。その後、かかる導電性ゴム発泡体層14の表面(開口していないスキン層の表面)に対して、レーザーを照射する等によって、導電性ゴム発泡体層14の表面を開口させる。なお、かかるレーザー照射の際の各種条件は、開口率が0.5〜15%となるように、適宜に決定される。
−手法2−
上述の半加硫未発泡発泡性ゴム層のスキン層を、上記手法1にて採用する半加硫未発泡発泡性ゴム層のものより比較的薄く設けた後、常圧下で加熱し、半加硫未発泡発泡性ゴム層の内部において発泡及び加硫を進行せしめることにより、開口率が0.5〜15%であるスキン層を表層部に有する導電性ゴム発泡体層14とする。
そして、このようにして得られた、開口率が所定範囲内にあるスキン層18を有する導電性ゴム発泡体層14の表面に、前述した、粗さ形成用粒子20を含有する水性エマルジョン系材料を、ロールコート法等の従来より公知の各種手法に従って塗工する。その後、かかる塗膜を乾燥(及び必要に応じて加熱)せしめることにより、表層16が得られることとなる。なお、表層16は、好ましくは0.3〜50μm、より好ましくは0.5〜20μmの厚さとなるように、形成される。
このようにして製造された本発明の帯電ロール10にあっては、導電性ゴム発泡体層14が、所定の開口率にて開口したスキン層18を表層部に有することから、表層16が、粗さ形成用粒子20を含有する水性エマルジョン系材料を用いて形成されたものであっても、その厚さは比較的均一なものとなり、以て、画像不具合の発生を効果的に抑制し得るものとなっているのである。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上述の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、下記表1に示す配合割合に従って、導電性ゴム発泡体層(基層)の形成材料としての発泡性導電性ゴム組成物を3種類、調製した(配合例1〜3)。尚、各組成物の調製に際しては、以下のゴム材料等を用いた。
・EPDM:エスプレン505(商品名) 、住友化学株式会社製
・NBR:ニポールDN3335(商品名)、日本ゼオン株式会社製
・エピクロルヒドリンゴム:エピクロマーCG102(商品名) 、ダイソー株式会社製
・カーボンブラック:ケッチェンブラックEC300J(商品名)、
ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製
・第四級アンモニウム塩:テトラメチルアンモニウムパークロレート
・酸化亜鉛:酸化亜鉛2種(商品名)、堺化学工業株式会社製
・ステアリン酸:ルナックS30(商品名) 、花王株式会社製
・プロセスオイル:ダイアナプロセスオイルPW380(商品名)、出光興産株式会社製
・硫黄:軽井沢精錬社製
Figure 0005396171
一方、下記表2に示す配合割合に従って、3種類の組成物(配合例A〜C)を調製した。それらの組成物を、下記表3及び表4に示すように、分散媒としての水又は有機溶媒(メチルエチルケトン)の450重量部に添加して、表層形成材料としてのエマルジョン系材料を調製した。なお、調製に際して、以下の合成樹脂水系エマルジョン等を用いた。
・アクリル樹脂水系エマルジョン:ボンコートSEP-119(商品名) 、DIC株式会社製
・ウレタン樹脂水系エマルジョン:エバファノールHA107C(商品名)、
日華化学株式会社製
・イソプレンゴムラテックス:TRH-70(商品名)、株式会社レヂテックス製
・カーボンブラック:CAB-O-JET 200(商品名)、
キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製
・アクリル樹脂粒子:GM1001(商品名)、ガンツ化成株式会社製
Figure 0005396171
上述のようにして調製された発泡性導電性ゴム組成物(導電性ゴム発泡体層形成材料)及びエマルジョン系材料(表層形成用材料)を用いて、以下の手法に従って帯電ロールを作製した。尚、下記表3及び表4においては、導電性ゴム発泡体層(基層)及び表層を作製する際に用いた各配合例を、後述する評価結果と共に併せて示している。
シリンダ径:40φの押出成形部とクロスタイプのヘッドとを備えた押出成形装置を用いて、発泡性導電性ゴム組成物を、所定径の芯材(SUS304製)と共に同時押出しを行ない、芯材の外周面上に未加硫未発泡発泡性ゴム層が形成されてなる複合体を得た。
得られた複合体を、加圧オーブン内に載置し、オーブン内を1MPaまで加圧した後、150℃まで加熱して15分間、加熱処理を行なった。尚、かかる加熱処理後の複合体表面(半加硫未発泡発泡性ゴム層の表面)を目視で観察したところ、発泡セルは見当たらず、スキン層が形成されていることが認められた。
その後、オーブン内の圧力を常圧まで減圧し、複合体から芯材を除去した。得られたゴムチューブ(半加硫未発泡発泡性ゴム層)に対して、オーブン内にて、常圧下、150℃で30分間、加熱処理を施した。
さらに、得られたゴムチューブに、外径:6φの金属製軸体を挿入した後、ゴムチューブの表面にレーザーを照射することにより、軸体の外周面上に導電性ゴム発泡体層が一体的に設けられてなるベースロールであって、かかる導電性ゴム発泡体層の表層部に、下記表3に示す開口率を有するスキン層を備えたものを作製した(実施例1〜9)。尚、比較例1〜12に係る帯電ロールについては、レーザー照射を実施しなかった。
そして、そのようにして得られた各ベースロールの表面に、下記表3及び表4に示す各エマルジョン系材料をロールコート法に従って塗布し、120℃で30分間、乾燥せしめることにより、21種類の帯電ロールを製造した(実施例1〜9、比較例1〜12)。得られた表層の厚さは、ロールの導電性ゴム発泡体層及び表層を軸体に対して垂直に切除し、その断面を光学顕微鏡で観察することにより測定した。その測定結果を下記表3及び表4に併せて示す。尚、比較例1〜12に係る帯電ロールにあっては、何れも、表層の厚さが不均一であることが目視で認められた。特に、比較例1〜3に係る帯電ロールにおいては、エマルジョン系材料の導電性ゴム発泡体層への含浸が著しく、下記表4に記載の厚さは、形成された表層における平坦部の厚さを測定したものである。
得られた21種類の帯電ロールについて、以下の評価を行なった。
−塗工ムラ画像の評価−
帯電ロールを実機(ヒューレット・パッカード社製、商品名:Color Laser Jet 3800dn。以下同じ。)のカートリッジ内にセットし、黒ベタ画像、及び25%ハーフトーンパターンを出力した。得られた各画像について、以下の基準に従って評価した。評価結果を、「塗工ムラ画像」として表3及び表4に示す。
○:何れの画像においても、帯電ロールピッチで画像濃度ムラが認められない。
△:何れかの画像において、帯電ロールピッチで画像濃度ムラが認められるものの、 許容範囲内である。
×:何れかの画像において、帯電ロールピッチで顕著な画像濃度ムラが認められる。
−斑点画像の評価−
帯電ロールを実機のカートリッジ内にセットし、25%ハーフトーンパターンを出力した。得られた画像について、以下の基準に従って評価した。評価結果を、「斑点画像」として表3及び表4に示す。
○:画像中に、帯電ロールピッチで斑点画像が認められない。
△:画像中に帯電ロールピッチで斑点画像が認められるものの、許容範囲内である。
×:画像中に、帯電ロールピッチで顕著な斑点画像が認められる。
−セット性の評価−
帯電ロールを実機のカートリッジ内にセットし、その状態で40℃×95%RH環境下に1週間、放置し、その後、25%ハーフトーンパターンを出力した。得られた画像について、以下の基準に従って評価した。評価結果を、「セット性」として表3及び表4に示す。
○:画像中に、帯電ロールピッチで画像スジが認められない。
△:画像中に帯電ロールピッチで画像スジが認められるものの、許容範囲内である。
×:画像中に、帯電ロールピッチで顕著な画像スジが認められる。
−ゴースト画像の評価−
帯電ロールを実機のカートリッジ内にセットし、上半分が黒ベタであり、下半分が25%ハーフトーンパターンである画像を出力した。得られた画像について、以下の基準に従って評価した。評価結果を、「ゴースト画像」として表3及び表4に示す。
○:画像中に、黒ベタの残像が認められない。
△:画像中に黒ベタの残像が認められるものの、許容範囲内である。
×:画像中に、黒ベタの残像が顕著に認められる。
−耐久性の評価−
帯電ロールを実機のカートリッジ内にセットし、5%濃度画像を、カートリッジについて定められた耐久印刷数だけ出力した。その後、帯電ロール及び感光ドラムの各表面を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。評価結果を、「耐久性」として表3及び表4に示す。
○:感光ドラム及び帯電ロールの何れの表面にも、トナーの融着が認められない。
△:感光ドラム又は帯電ロールの何れかの表面に、トナーの融着が認められるものの 、出力画像に大きな影響を与えるものではない。
×:感光ドラム又は帯電ロールの何れかの表面に、出力画像に悪影響を与えるような トナーの融着が認められる。
Figure 0005396171
Figure 0005396171
かかる表3及び表4の結果からも明らかなように、本発明に従う帯電ロール(実施例1〜9)にあっては、画像不具合が発生し難いものであることが認められたのである。
10 帯電ロール 12 軸体
14 導電性ゴム発泡体層 16 表層
18 スキン層 20 粗さ形成用粒子

Claims (2)

  1. 軸体の外周面上に導電性ゴム発泡体層が設けられ、更にその外側に表層が設けられてなる帯電ロールにして、
    前記導電性ゴム発泡体層が、開口率が0.5〜15%であるスキン層を表層部に有するものであり、前記表層が、合成樹脂の水系エマルジョン又はゴムラテックスと、粗さ形成用粒子とを用いて調製された、分散媒が水である水性エマルジョン系材料にて形成されていることを特徴とする帯電ロール。
  2. 前記合成樹脂の水系エマルジョンが、アクリル樹脂水系エマルジョン又はウレタン樹脂水系エマルジョンである請求項1に記載の帯電ロール。
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