JP5393398B2 - 転写型インクジェット記録方法及び装置 - Google Patents
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Description
本発明の転写型インクジェット記録方法を行う画像形成装置の全体構成の一例を図1に示す。画像形成装置1は、中間転写体2、反応液付与部3、インク吐出部4、溶媒除去部5及び転写部6を主たる構成とし、更に、クリーニング部7、画像定着部8、記録媒体搬送部9を備えている。中間転写体2は所定幅を有する無端状のベルトで構成され、複数のローラ10、11、12に巻き掛けられた構造となっている。複数のローラ10、11、12のうち少なくとも1つの主ローラ10には、モータ(不図示)の動力が伝達され、このモータの駆動により中間転写体2が各ローラ10、11、12の外側を図1の矢印A方向(以下転写体回転方向)に回転するように構成されている。その回転と同期して、周辺に配置された反応液付与部3、インク吐出部4、転写部5、溶媒除去部6、クリーニング部7、及び画像定着部8の各ユニットが作動するようになっている。本実施形態においては、転写時の加圧に耐え得る強度や寸法精度から、ポリウレタンベルトを中間転写体2の支持部材として用いている。中間転写体2の支持部材は、中間転写体2の表層が記録媒体13と少なくとも線接触可能となるものであればよく、適用する画像形成装置の形態ないしは記録媒体13への転写の形態に合わせ、例えばローラ状、ドラム状でもよい。
中間転写体2は、インクをいったん受領し、形成した中間画像を記録媒体に転写する特性が重要である。特に転写性が高ければ使用するインクの利用効率が良く、廃棄されるインクがほとんどなくなると同時にクリーニング工程の負荷が低減される。そのための中間転写体2の表面はインク非吸収面であり、より好ましくは非接着面であることが好ましい。さらに、紙などの記録媒体の表面に追従し、十分に接触させるための弾性を有することが有効である。これらの特性を満たす材料としては、たとえば、各種プラスチックやゴムなどが挙げられる。特に、非接着性の面からシリコーンゴムやフロロシリコーンゴム、フッ素ゴムなどが好ましい。これらのゴムは表面エネルギーが低く、インク受領性が良くない場合があるので使用するインクに応じて表面処理を施すことが好ましい。表面処理の例としては、薬品を用いた化学的処理や表面形状を変える物理的処理、紫外線やプラズマを照射するエネルギー照射処理等が挙げられる。本発明においてはこのような中間転写体が好ましい。中でも、使用する反応液との接触角が10°以上100°以下となる中間転写体と反応液の組み合わせが好ましい。
反応液付与部3には、反応液を中間転写体2上付与するユニットとして反応液塗布ロール14、反応液供給ロール15、反応液量規制ブレード16、対抗ロール17を用いたロールコーターが配置されている。これにより、インクを凝集させるための反応液が中間転写体2の表面に付与される構成となっている。反応液付与部3の反応液付与手段としては、スプレーコーター、スキージ、インクジェット方式等、従来用いられている技術がいずれも使用可能である。
本発明の反応液は、インク中の色材成分を凝集させる成分を含有する液体である。インク中の色材成分を凝集させる成分は、使用するインクの顔料、染料の成分によって適切に選択することが好ましい。微粒子が分散されてなる顔料インクに対しては、金属イオンや水素イオン濃度(pH)を変化させる酸緩衝液等のpH処理剤を含有する液体であることが好ましい。
反応液付与部3より中間転写体2に反応液が塗布された後、インク吐出部4から画像形成面にインクを吐出し、選択的に付与することで中間転写体2上に中間画像(ミラー画像)を形成する中間画像形成工程を行う。インク吐出部4は、反応液付与部3の転写体回転方向下流側に配置される。インク吐出部4には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色インクに対応する記録ヘッド18K、18C、18M、18Yが設けられている。各記録ヘッド18K、18C、18M、18Yは、中間転写体2に対向する吐出面から、外部の画像信号に応じて対応する各色インクを吐出する。これにより、中間転写体2の画像形成面に各色インクが付与され、中間画像が形成される。
インクとしては、インクジェット用インクとして広く用いられている、具体的には色材である染料や顔料を溶解および/または分散させたインクを用いることができる。特に、顔料インクは、堅牢性のよい印刷画像が得られるため好ましい。
溶媒除去部5は、中間転写体2上に形成された中間画像から転写可能な状態にまで液体成分を除去するために加熱送風機(不図示)を設けた乾燥炉19が配置されている。記録媒体の最適な転写条件のために中間転写体2上に形成された中間画像から液体成分を減少させることが好ましい。液体成分の減少が不十分だと次工程である圧接転写工程において余剰液体がはみ出し画像を乱し、また転写不良を引き起こすことがある。液体成分の減少手段としては旧来用いられている各種手段のいずれも用いることができる。具体的には、加熱による蒸発を用いる手段や乾燥空気を送風する手段、吸収体による液体吸水手段、またこれらを組み合わせる手段が好ましい。
転写部6には、中間転写体2の画像形成面に形成された中間画像に記録媒体13を圧着して、中間画像を転写する加圧ローラ20が配置されている。図1に例示した装置においてはベルト搬送ローラ部材11と加圧ローラ20で中間転写体2と記録媒体13を挟み込むように加圧し、転写工程の効率を高めている。本形態によれば、この段階で既に中間転写体2上でインク中の液体成分は減少し高粘度化されているので、コート紙などインク吸収量の少ない記録媒体を用いても良好な画像を形成することができる。
搬送部8では、給紙トレイ21から排紙トレイ22へ転写部6を記録媒体13が通過して搬送される。カット紙の搬送機構は、旧来用いられた手段を用いることができる。具体的にはローラとガイドを用いたものがある。記録媒体13の重送発生を抑制し、搬送を安定にするために、給紙トレイに積載された紙の側面からエアーを送風し、記録媒体13の搬送を容易にする機構や、記録媒体13の湿度変化の伸縮を防止するため温度調節機構等を用いてもよい。記録媒体13の形状としては本実施形態の画像形成装置例においてはカットシートを用いたが、ロール紙を用いた連続紙シートでも良い。
クリーニング部7では、転写工程後の中間転写体2を繰り返し次の画像形成に用いるため、中間転写体2表面をイニシャライズする。中間転写体2表面をイニシャライズするとは、一連の画像形成方法によって連続に画像形成を行っても、形成される画像品位の劣化を抑える中間転写体の表面状態にすることである。クリーニング部7は、転写部6の転写体回転方向下流側であって、反応液付与部3の転写体回転方向上流側に配置される。
クリーニング部7に使用されるクリーニング液25は、インク中の色材成分を凝集させる成分を含有している。さらに、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤等を含有していることが好ましい。インク中の色材成分を凝集させる成分としては、上述の反応液が含有する色材成分を凝集させる成分に関して列挙したような、多価金属塩やpH処理剤が用いられる。
画像定着部8は、転写部6の記録媒体排出側(図1の右側)に配置される。画像定着部8には、記録媒体13の表裏面に2つの定着ローラ34、35が設けられており、これら定着ローラ35、36で記録媒体13上に転写形成された画像を加圧、加熱することで、記録媒体13上の記録画像の定着性を向上させる。尚、定着ローラ35、36としては、1個の加圧ローラと1個の加熱ローラからなる一対のローラ対が好ましい。
次に、本発明の記録方法の一概念図を図2に示す。画像形成装置100において、CPU101は、画像形成装置の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。メモリ102は、それらの処理手順等のプログラムを格納するROM(不図示)と、それらの処理を実行するためのワークエリア等として用いられるRAM(不図示)と、を含む記憶部である。I/F103は、画像形成装置100と、ホストコンピュータ等の画像データの供給源である画像供給装置110と、の間において、データやコマンド等の情報を授受するためのインターフェイスである。
次に、図3のフロー図に基づいて、本発明の記録方法の一連の記録動作について説明する。画像形成装置の電源が投入されて、記録の開始が指示されると、まず開始処理を実行する(ステップS1)。その開始処理においては、中間転写体2のベルト駆動を開始させると共に、乾燥路19を加熱送風する加熱送風ヒータ19A、定着器に設けられたベルト搬送部材11と加圧ローラ20のそれぞれ設けられたヒータをオンとする。これにより、各部を所定温度に設定・調節することができる。この開始処理においては、必要に応じて、記録媒体13の搬送系における各部の位置設定等を行うことができる。さらに、後述する画像形成動作に先立って中間転写体2の表面のクリーニングを行うことが望ましい場合には、クリーニング液塗布ローラ29とクリーニング液拭き取りローラ30を中間転写体2に押圧させて、クリーニング液25の塗布および中間転写体2の表面の清浄を行うようにしてもよい。
(反応系A1)
インク中の色材(顔料)を凝集する反応液A1を、以下のようにして得た。即ち、以下の成分を混合溶解した後、ポアサイズが0.22μmのメンブレンフィルタ(商品名:フロロポアフィルタ、住友電工製)にて加圧濾過した後、水酸化カリウムでpHを5.8に調整して反応液A1とした。
・硝酸カルシウム・4水塩 90.0部
・グリセリン 9.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル) 1.0部
(反応系A2)
インク中の色材(顔料)を凝集する反応液A2を、以下のようにして得た。即ち、以下の成分を混合溶解した後、ポアサイズが0.22μmのメンブレンフィルタ(商品名:フロロポアフィルタ、住友電工製)にて加圧濾過した後、反応液のpHは4.0になるように調整して反応液A2とした。
・グルタル酸(pH処理剤) 10.0部
・グリセリン 10.0部
・水酸化カリウム 1.2部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1.0部
・水 77.8部
上記反応液A1及びA2と混合して凝集を引き起こす顔料インクとしてインクK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)を調製した。
アニオン系高分子P−1(スチレン−メタクリル酸−エチルアクリレート、酸価400、重量平均分子量6,000、固形分20%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム)を分散剤として用いた。以下に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、1mm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ3時間分散処理を行った。分散後の粘度は9cps、pHは10.0であった。この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去し、重量平均粒径100nmのカーボンブラック分散体を作製した。
・P−1水溶液(固形分20%) 40.0部
・カーボンブラック Mogul L(キャブラック製)24.0部
・グリセリン 15.0部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・水 135.0部
次に、上記で得られた分散体を充分に拡散し、顔料を含有したインクKを得た。インクKの固形分は、10%であった。
インクKの作製の際に使用したアニオン系高分子P−1を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分散処理を行い、重量平均粒径120nmのシアン色分散体を作製した。
・P−1水溶液(固形分20%) 30.0部
・C.I.ビグメントブルー15:3(ファストゲンブル−FGF、大日本インキ化学製)
24.0部
・グリセリン 15.0部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・水 135.0部
上記で得られた分散体を充分に攪拌して、顔料を含有したインクCを得た。インクCの固形分は、9.6%であった。
インクKの作製の際に使用したアニオン系高分子P−1を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分散処理を行い、重量平均粒径115nmのマゼンタ色分散体を作製した。
・P−1水溶液(固形分20%) 20.0部
・C.I.ピグメントレッド122(大日本インキ化学製)24.0部
・グリセリン 15.0部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・水 135.0部
上記で得られた分散体を充分に拡散して、顔料を含有したインクMを得た。インクMの固形分は、9.2%であった。
アニオン系高分子P−2(スチレン−アクリル酸−メチルメタアクリレート、酸価280、重量平均分子量11,000、固形分20%の水溶液、中和剤:ジエタノールアミン)を分散剤として用いた。以下に示す材料を、インクKの作製の場合と同様に分散処理を行い、重量平均粒径103nmのイエロー色分散体を作製した。
・P−2水溶液(固形分20%) 35.0部
・C.I.ピグメントイエロー180(ノバパームイエロー、PH−G、ヘキスト製)
24.0部
・トリエチレングリコール 10.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 1.0部
・イソプロピルアルコール 0.5部
・水 135.0部
次に、上記で得られた分散体を充分に拡散し、顔料を含有したインクYを得た。インクYの固形分は、10%であった。
(CL1)
・硝酸カルシウム・4水和物 90.0部
・グリセリン 9.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1.0部
(CL2)
・硝酸カルシウム・4水和物 45.0部
・グリセリン 9.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1.0部
・水 45.0部
(CL3)
・硝酸カルシウム・4水和物 15.0部
・グリセリン 9.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1.0部
・水 75.0部
(CL4)
・塩化カルシウム・2水和物 10.0部
・グリセリン 9.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1.0部
・水 80.0部
(CL5)
・硝酸マグネシウム・6水和物 30.0部
・グリセリン 9.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1.0部
・水 60.0部
(CL6)
・グルタル酸(pH処理剤) 10.0部
・グリセリン 10.0部
・水酸化カリウム 1.2部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1.0部
・水 77.8部
(CL7)
・グリセリン 30.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1.0部
・水 69.0部
図1に示す画像形成装置を用いて、記録媒体に画像を形成した。まず、中間転写体上に反応液A1またはA2を付与した。反応液の付与は、反応液付与部のローラの一部にブレードを当てて行い、中間転写体上には反応液が付与されていない領域を形成した。付与した領域の厚さは0.8μmとした。次に、インクK、C、M、Yを、反応液を付与した中間転写体上にインクジェット記録ヘッドより吐出し、単色の中間画像(100%デューティー)を4つ形成した。形成後、中間画像の乾燥を行い、記録媒体(オーロラコート紙、日本製紙製)に圧接して転写を行った。さらに転写後、上記クリーニング液CL1〜CL7を、画像形成装置のクリーニング部を用いて中間転写体に塗布し、クリーニングを行った。
クリーニング後の中間転写体の表面状態を観察した。中間転写体の表面状態の観察は、透明粘着テープを中間転写体上に貼り付けて剥がし、さらに白色度の高い印刷用紙に貼り付けた後、テープへのインクの転写状態から以下の基準で目視にて評価した。
◎;4色全てで残留インクは確認されない。
○;一部の色で残留インクが確認されるものの、僅かである。
△;一部の色で残留インクが明確に確認されるものの、大量ではない。
×;4色全てで残留インクが大量に確認される。
クリーニング後の中間転写体に対し、再度中間画像を形成した。この際、反応液付与部のブレードを外し、中間転写体上全面に反応液を均一に塗布できる状態とし、続けてインクを吐出して10%デューティーのドット画像を形成した。ドット形状から画質の良否を、下記に基準で目視で判断した。
出力1枚目の画像と、連続10枚目の画像中のドット形状を比較して
◎;4色全てで差が判別できない。
○;一部の色でわずかに差があるが、ほぼ同じ形状である。
△;一部の色で、10枚目の画像ではドット形状が乱れている。
×;4色全てで、10枚目の画像ではドットの形状を取っていない。
Claims (7)
- 色材成分を含有するインクを、該インク中の色材成分を凝集させる成分を含有する反応液が付与された中間転写体の画像形成面に、インクジェット記録方法で付与することにより中間画像を形成する中間画像形成工程と、該中間画像が形成された該画像形成面に記録媒体を圧着して該中間画像を該画像形成面から該記録媒体へ転写する転写工程と、転写工程後の中間転写体をクリーニングするクリーニング工程とを有する転写型インクジェット記録方法であって、
該クリーニング工程において、該インク中の色材成分を凝集させる成分を含有するクリーニング液を中間転写体上に付与し、凝集させた色材成分を除去することを特徴とする転写型インクジェット記録方法。 - 前記インクが含有する色材成分を凝集させる成分と、前記クリーニング液が含有する色材成分を凝集させる成分とが、同一の成分である請求項1に記載の転写型インクジェット記録方法。
- 前記反応液と、前記クリーニング液とが、同一の組成からなる請求項1または2に記載の転写型インクジェット記録方法。
- 前記クリーニング液が含有する色材成分を凝集させる成分が、インクのpHを変化させるpH処理剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写型インクジェット記録方法。
- 前記クリーニング液が含有する色材成分を凝集させる成分が、多価金属塩である請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写型インクジェット記録方法。
- 前記クリーニング液が含有する多価金属塩の金属イオン濃度が1質量%以上、20質量%以下である請求項5に記載の転写型インクジェット記録方法。
- 色材成分を含有するインクを、該インク中の色材成分を凝集させる成分を含有する反応液が付与された中間転写体の画像形成面に、インクジェット記録方法で付与するインク吐出部と、中間画像が形成された画像形成面に記録媒体を圧着して該中間画像を該画像形成面から記録媒体へ転写する転写部と、転写後の中間転写体をクリーニングするクリーニング部とを有する転写型インクジェット画像形成装置であって、
該クリーニング部は、該インク中の色材成分を凝集させる成分を含有するクリーニング液を中間転写体上に付与するクリーニング液付与部と、凝集させた色材成分を除去する除去部を有することを特徴とする転写型インクジェット画像形成装置。
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