JP5390738B2 - 内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
エンジン油(内燃機関用潤滑油)における省燃費対策としては、エンジン油による摩擦損失を低減するために、その粘度を低くすること(低粘度化)が有効であることは知られている。しかし、エンジン油の粘度を低くすると、エンジン油が有すべき耐摩耗性が低下すると共に、主に蒸発損失によるオイル消費が増大するという問題があるため、基油の低粘度化の実現が困難な状況にある。
これに対し、蒸発損失によりオイル消費が増大することに対しては、低粘度で粘度指数が極めて高い合成油を使用する方法が知られている。しかし、これまでの合成油は高価であると共に、合成油を使用するのみでは必ずしも充分な性能が得られるものではない。また、鉱油系基油を使用する場合には、有効な解決策が見出されていない。そのため、広く利用できる低粘度基油を用いた省燃費型エンジン油が実現されない状況にある。
ところで、マルチグレードエンジン油には、温度による粘度変化を小さくするため、粘度指数向上剤が配合されるが、それがエンジン内で過酷なせん断を受け、マルチグレード油の役割を果たせなくなると同時に、オイル消費も増大することが多い。したがって、マルチグレードエンジン油では、せん断安定性、高温せん断安定性が良好であることも不可欠である。
また、エンジン油には、前記の要求特性と共に、長寿命化の点から、酸化安定性に優れることが要求される。
(1)メタロセン触媒を用いて、炭素数2〜20のα−オレフィンをオリゴマー化して得られた炭素数16〜40のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物からなる基油20〜40質量%と、その他の鉱油基油及び/又は合成油基油43.4〜63.4質量%とを含み、前記合成基油が、BF 3 触媒またはチーグラー型触媒を用いて得られたα−オレフィンオリゴマー及び該α−オレフィンオリゴマーの水素添加物から選ばれる1種以上を含み、さらに粘度指数向上剤を1〜20質量%配合してなる内燃機関用潤滑油組成物、
で表される構造を有する上記(1)項に記載の内燃機関用潤滑油組成物、及び
(3)極圧剤、油性剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、清浄分散剤、流動点降下剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種を含む上記(1)又は(2)項に記載の内燃機関用潤滑油組成物、
を提供するものである。
[(A)α−オレフィンオリゴマー]
当該基油に用いられる(A)成分のα−オレフィンオリゴマーは、メタロセン触媒を用いて、炭素数2〜20のα−オレフィンをオリゴマー化して得られた炭素数16〜40のα−オレフィンオリゴマーである。このα−オレフィンオリゴマーの炭素数が16〜40の範囲にあれば、低温流動性、低蒸発性、酸化安定性の良好な基油が得られ、それを用いた潤滑油組成物は、本発明の目的が達せられる。前記α−オレフィンオリゴマーの好ましい炭素数は20〜34の範囲である。
本発明において、α−オレフィンのオリゴマー化に用いられるメタロセン触媒としては、従来公知の触媒、例えば(a)周期律表第4族元素を含有するメタロセン錯体と、(b)(b−1)前記(a)成分のメタロセン錯体又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成し得る化合物及び/又は(b−2)アルミノキサンと、所望により用いられる(c)有機アルミニウム化合物との組み合わせを挙げることができる。
前記(a)触媒成分のメタロセン錯体としては、従来公知の化合物、例えばビス(n−オクタデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス[(t−ブチルジメチルシリル)シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、ビス(ジ−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、エチリデンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドおよびビス[3,3−(2−メチル−ベンズインデニル)]ジメチルシランジイルジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらのメタロセン錯体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(b−2)化合物であるアルミノキサンとしては、例えばメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンなどの鎖状アルミノキサンや環状アルミノキサンを挙げることができる。これらのアルミノキサンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、(b)触媒成分として前記(b−1)化合物を1種以上用いてもよいし、(b−2)化合物を1種以上用いてもよく、また、(b−1)化合物1種以上と(b−2)化合物1種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、所望により用いられる(c)触媒成分の有機アルミニウム化合物としては、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。
これらの有機アルミニウム化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
(a)触媒成分と(b)触媒成分を用いて触媒を調製する場合、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で接触操作を行うことが好ましい。
また、(a)触媒成分、(b)触媒成分および(c)有機アルミニウム化合物を用いて触媒を調製する場合、(b)触媒成分と(c)有機アルミニウム化合物を事前に接触させてもよいが、α−オレフィンの存在下、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を接触することによっても充分高活性な触媒が得られる。
上記触媒成分は、予め、触媒調製槽において調製したものを使用してもよいし、オリゴマー化工程において調製したものを反応に使用してもよい。
α−オレフィンのオリゴマー化は、バッチ式、連続式のいずれであってもよい。オリゴマー化において溶媒は必ずしも必要とせず、オリゴマー化は、懸濁液、液体モノマー或いは不活性溶媒中で実施できる。溶媒中でのオリゴマー化の場合には、液体有機炭化水素、例えばベンゼン、エチルベンゼン、トルエンなどが使用される。オリゴマー化は液体モノマーが過剰に存在する反応混合物中で実施することが好ましい。
オリゴマー化の条件は、温度が15〜100℃程度であり、圧力は大気圧〜0.2MPa程度である。また、α−オレフィンに対する触媒の使用割合は、α−オレフィン/(A)成分のメタロセン錯体モル比が、通常1000〜106、好ましくは2000〜105であり、反応時間は、通常10分〜48時間程度である。
このようにして、メタロセン触媒によって製造されたα−オレフィンオリゴマーは、二重結合を有するが、特に末端ビニリデン結合の含有量が高い。
このαオレフィンオリゴマーは、通常一般式(I)
前記一般式(I)において、p、q及びrは、それぞれ独立に0〜18の整数、nは0〜8の整数を示し、nが2以上の場合、qは繰り返し単位毎同一でも異なっていてもよく、p+n×(2+q)+rの値は12〜36である。
当該基油に用いられる(B)成分のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、前記(A)成分のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物であって、前記のようにして単離された所望の重合度を有するα−オレフィンオリゴマーを、公知の方法によって水素添加することにより製造してもよいし、あるいは前記のオリゴマー化反応後、脱灰処理、中和処理、洗浄処理を行ったのち、蒸留によるα−オレフィンオリゴマーの単離操作を行わずに、水素添加を行い、その後蒸留により所望の重合度のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物を単離することによって製造してもよい。
水素添加反応の条件としては、Ni系触媒であれば、通常150〜200℃、Pd、Ptなどの貴金属触媒であれば、通常50〜150℃、コバルトトリスアセチルアセトナート/有機アルミニウムなどの均一系触媒であれば、通常20〜100℃の温度範囲とし、水素圧は、常圧〜20MPa程度である。
各触媒における反応温度が前記範囲にあれば、適度の反応速度を有すると共に、同一重合度を有するオリゴマーにおける異性体の生成を抑制することができる。
このα−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、通常一般式(II)
前記一般式(II)において、a、b、c及びmは、それぞれ前記一般式(I)におけるp、q、r及びnと同じである。
このα−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、前記(A)成分の末端にビニリデン結合を有するα−オレフィンオリゴマーよりも、酸化安定性などの面から好適である。
当該基油に用いられる(C)成分のα−オレフィンオリゴマーは、メタロセン触媒を用いて、炭素数2〜20のα−オレフィンを二量化して得られたビリニデン結合を有するα−オレフィン二量体を、酸触媒を用いてさらに二量化してなる炭素数16〜40のα−オレフィンオリゴマーである。
前記原料の炭素数2〜20のα−オレフィンについては、前記(A)成分において説明したとおりで組み合わせて用いてもよい。
このα−オレフィンの二量化に用いられるメタロセン触媒、二量化反応条件、後処理などについては、前述の(A)成分のα−オレフィンオリゴマーにおいて、説明したとおりである。
この二量化反応における酸触媒としては、ルイス酸触媒や固体酸触媒などを用いることができるが、後処理操作の簡便さなどの点から、固体酸触媒が好適である。
前記固体酸触媒としては、酸性ゼオライト、酸性ゼオライトモレキュラシーブ、酸処理した粘土鉱物、酸処理した多孔質乾燥剤またはイオン交換樹脂等が挙げれる。すなわち、固体酸触媒は、HY等の酸性ゼオライト、約0.5〜2nmの孔径を有する酸性ゼオライトモレキュラシーブ、シリカアルミナ、シリカマグネシア、モンモリロナイトあるいはハロイサイトなどの粘土鉱物に硫酸などの酸により処理したもの、シリカゲルやアルミナゲルなどの多孔質乾燥剤に塩酸、硫酸、燐酸、有機酸、BF3などを付着させたもの、又は、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体のスルホン化物などをはじめとするイオン交換樹脂系の固体酸触媒などである。
より好ましい添加量は固体酸触媒の酸性度の影響を受けるのであるが、例えば、モンモリロナイト系の粘土鉱物の硫酸処理の場合は、ビニリデンオレフィンの仕込み量100質量部に対し、3〜15質量部であり、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体のスルホン化物系のイオン交換樹脂では1〜5質量部が好ましい。反応条件に応じ、これらの固体酸触媒の2種類以上を併用してもかまわない。
反応は、通常50〜150℃の温度で行うが、70〜120℃で行うと活性や選択率を向上させることができるので好ましい。反応圧力については、大気圧から1MPa程度の範囲で行うが、圧力の反応に与える影響は少ない。
で表される炭素数16〜40のビニリデンオレフィン二量体である、(C)成分のα−オレフィンオリゴマーが生成する。
二量化反応液には、前記のビニリデンオレフィン二量体以外に、未反応のビニリデンオレフィンや、ビニリデンオレフィン三量体などが含まれている。したがって、二量化反応液から、固体酸触媒をろ去したのち、必要に応じ蒸留処理して、前記一般式(III)又は(IV)で表されるビニリデンオレフィン二量体を単離してもよい。
当該基油に用いられる(D)成分のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、前記のようにして得られた固体酸触媒除去後のビニリデンオレフィン二量体を含む反応液、あるいは該反応液の蒸留処理により単離されたビニリデンオレフィン二量体を水素添加することにより、得ることができる。反応液を水素添加した場合には、必要に応じ、蒸留処理して、ビニリデンオレフィン二量体の水素添加物を単離してもよい。
この水素添加反応の触媒、反応条件などについては、前記(B)成分のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物において、説明したとおりである。
このようにして、一般式(V)
で表される炭素数16〜40のビニリデンオレフィン二量体の水素添加物である、(D)成分のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物が得られる。
この(D)成分のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、前記(C)成分のα−オレフィンオリゴマーよりも酸化安定性などの面から好適である。
当該基油に用いられる(E)成分のα−オレフィンオリゴマーは、メタロセン触媒を用いて、炭素数2〜20のα−オレフィンを二量化して得られたビニリデン結合を有するα−オレフィン二量体に、酸触媒を用いて炭素数6〜8のα−オレフィンを付加してなる炭素数16〜40のα−オレフィンオリゴマーである。
前記原料の炭素数2〜20のα−オレフィンについては、前記(A)成分において説明したとおりである。前記α−オレフィンオリゴマーの好ましい炭素数は20〜34の範囲である。また、本発明においては、このα−オレフィン1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このα−オレフィンの二量化に用いられるメタロセン触媒、二量化反応条件、後処理などについては、前述の(A)成分のα−オレフィンオリゴマーにおいて、説明したとおりである。
この反応に用いる酸触媒、その使用量、反応条件などについては、前述の(C)成分のα−オレフィンオリゴマーにおけるビニリデンオレフィンの二量化反応の場合と同様である。炭素数6〜8のα−オレフィンとしては、1−ヘキセン、1−ヘプテン及び1−オクテンが挙げられる。これらのα−オレフィンは直鎖状であっても分岐を有するものであってもよい。また、本発明においては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この反応によって、一般式(VI)
で表される、(E)成分である炭素数16〜40のα−オレフィンオリゴマーが生成する。
前記一般式(VI)において、R5で示される炭素数4〜6のアルキル基は直鎖状であっても分岐を有するものであってもよく、R6、R7の内の炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状であっても分岐を有するものであってもよい。
反応終了後、反応液から、固体酸触媒をろ去したのち、必要に応じ蒸留処理して、前記一般式(VI)で表されるα−オレフィンオリゴマーを単離してもよい。
当該基油に用いられる(F)成分のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、前記のようにして得られた固体酸触媒除去後の一般式(VI)のα−オレフィンオリゴマーを含む反応液、あるいは該反応液の蒸留処理により単離された前記α−オレフィンオリゴマーを水素添加することにより、得ることができる。反応液を水素添加した場合には、必要に応じ、蒸留処理して、α−オレフィンオリゴマーの水素添加物を単離してもよい。
この水素添加反応の触媒、反応条件などについては、前記(B)成分のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物において、説明したとおりである。
このようにして、一般式(VII)
で表される、(F)成分である炭素数16〜40のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物が得られる。この(F)成分のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、前記(E)成分のα−オレフィンオリゴマーよりも酸化安定性などの面から、好適である。
その他の基油としては、エンジン油に通常使用される鉱油基油及び/又は合成油基油を用いることができる。
鉱油基油としては、例えば原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいは鉱油系ワックスやフィッシャ−トロプシュプロセス等により製造されるワックス(ガストゥリキッドワックス)を異性化することによって製造される基油等が挙げられる。
また、鉱油系基油の芳香族分(%CA)は3以下が好ましく、2以下、さらには1以下であることが好ましい、また、硫黄分は、100質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましい。%CAが3以下であり、硫黄分が100質量ppm以下であれば、組成物の酸化安定性を良好に保つことができる。
本発明では、その他基油として、鉱油基油、合成油基油又はこれらの中から選ばれる2種以上の任意混合物等が使用できる。例えば、1種以上の鉱油基油、1種以上の合成油基油、1種以上の鉱油基油と1種以上の合成油基油との混合油等を挙げることができる。
前記極圧剤としては、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステルなどのリン酸エステル類、これらのリン酸エステル類のアミン塩及び硫黄系極圧剤などが好ましく挙げられる。
ルキルホスフェート、トリアルケニルホスフェートなどがあり、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ベンジルジフェニルホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、エチルジブチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、エチルフェニルジフェニルホスフェート、ジ(エチルフェニル)フェニルホスフェート、プロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジ(プロピルフェニル)フェニルホスフェート、トリエチルフェニルホスフェート、トリプロピルフェニルホスフェート、ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ジ(ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリブチルフェニルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリデシルホスフェート、トリラウリルホスフェート、トリミリスチルホスフェート、トリパルミチルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリオレイルホスフェートなどを挙げることができる。
亜リン酸エステルとしては、例えば、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリオレイルホスファイトなどを挙げることができる。
酸性亜リン酸エステルとしては、例えば、ジブチルハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、
ジステアリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイトなどを挙げることができる。以上のリン酸エステル類の中で、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェートが好適である。
前記ジヒドロカルビルポリサルファイドとしては、例えば、ジベンジルポリサルファイド、各種ジノニルポリサルファイド、各種ジドデシルポリサルファイド、各種ジブチルポリサルファイド、各種ジオクチルポリサルファイド、ジフェニルポリサルファイド、ジシクロヘキシルポリサルファイドなどを好ましく挙げることができる。
チオリン酸エステルとしては、アルキルトリチオフォスファイト、アリール又はアルキルアリールチオフォスフェート、ジアルキルジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。特にラウリルトリチオフォスファイト、トリフェニルチオフォスフェート、ジラウリルジチオリン酸亜鉛が好ましい。
さらに、チオカーバメート化合物としては、例えば、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛を、チオテルペン化合物としては、例えば、五硫化リンとピネンの反応物を、ジアルキルチオジプロピオネート化合物としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどを挙げることが
できる。これらの中で、極圧性、摩擦特性、熱的酸化安定性などの点から、チアジアゾール化合物、ベンジルサルファイドが好適である。
これらの極圧剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、効果及び経済性のバランスなどの点から、潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%の範囲で選定される。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲で選定される。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン系、4,4’−ジブチルジフェニルアミン、4,4’−ジペンチルジフェニルアミン、4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、4,4’−ジノニルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン系、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン系、α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、ブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのナフチルアミン系を挙げることができ、中でもジアルキルジフェニルアミン系ものが好ましい。
硫黄系酸化防止剤としては、例えばフェノチアジン、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル))プロピオネート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−メチルアミノ)フェノールなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.03〜5質量%の範囲で選定される。
これら防錆剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量基準で0.01〜5質量%の範囲であり、0.05〜2質量%の範囲が特に好ましい。
金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が使用可能である。
これら金属不活性化剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量基準で0.01〜0.4質量%であり、0.01〜0.2質量%の範囲が特に好ましい。
前記粘度指数向上剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、通常0.5〜30質量%、好ましくは1〜20質量%である。
消泡剤の例としては、液状シリコーンが適しており、メチルシリコーン、フルオロシリコーン、ポリアクリレートが使用可能である。
これら消泡剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量基準で0.0005〜0.01質量%である。
200mm2/s程度、好ましくは15〜100mm2/sであり、100℃における動粘度は、通常3〜20mm2/s程度、好ましくは5〜15mm2/sである。また、粘度指数は、通常120以上、好ましくは140以上、より好ましくは150以上である。
なお、各例で得られた潤滑油組成物の性状及び性能は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)動粘度
JIS K2283に準拠し、40℃、100℃における動粘度を測定する。
(2)粘度指数
JIS K2283に準拠して測定する。
(3)酸価
JIS K2501に準拠して測定する。
(4)塩基価
JIS K2501(塩酸法)に準拠して測定する。
(5)CCS粘度
JIS K2010に準拠し、−35℃における粘度を測定する。
(6)NOACK蒸発試験
石油学会規格PI−5S−41−93に準拠し、250℃、1時間にて測定する。
(7)ISOT酸化安定度試験
JIS K2514に記載されている内燃機関用潤滑油酸化安定度試験に準拠し、175℃、72時間の条件で測定する。
(a)デセンのオリゴマー化
内容積5リットルの三つ口フラスコに、不活性ガス気流下、デセンモノマー(出光興産(株)製:リニアレン10)4リットル(21.4モル)を仕込み、更に、トルエンに溶解したビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド(錯体質量1168mg:4ミリモル)と同じくトルエンに溶解したメチルアルモキサン(Al換算:40ミリモル)を添加した。これらの混合物を40℃に保ち、20時間攪拌を行った後、メタノール20mlを添加してオリゴマー化反応を停止させた。次いで、反応混合物をオートクレーブから取出し、これに5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液4リットルを添加し、室温で強制攪拌を4時間した後、分液操作を行なった。上層の有機層を取出し、未反応のデセンおよび副反応生成物のデセン異性体をストリッピングして除去した。
(b)デセンオリゴマーの水素化
内容積5リットルのオートクレーブに、窒素気流下、(a)で製造したデセンオリゴマー3リットルを入れ、トルエンに溶解させたコバルトトリスアセチルアセトナート(触媒重量3.0g)とトルエンで希釈したトリイソブチルアルミニウム(30ミリモル)を添加した。添加後、水素で系内を2回置換してから、昇温し、反応温度80℃で、水素圧を0.9MPaに保持した。水素化は発熱を伴いながら直ちに進行し、反応開始後4時間の時点で降温し、反応を停止した。その後、脱圧し、内容物を取出してから、反応生成物を単蒸留し、留出温度240〜270℃、圧力530Paの留分(目的の化合物)を分離した。
第1表に示す基油及び添加剤を用い、第1表に示す割合で混合して、内燃機関用潤滑油組成物を調製し、その性状及び性能を求めた。結果を第1表に示す。
1)従来法による1−デセンのオリゴマーであるα−オレフィンオリゴマー(BP Chemicals社製、商品名「DURASYN−166」)、40℃動粘度30mm2/s
2)従来法による1−デセンのオリゴマーであるα−オレフィンオリゴマー(BP Chemicals社製、商品名「DURASYN−164」)、40℃動粘度17mm2/s
3)製造例1で得られたメタロセン触媒による1−デセン三量体の水素添加物、40℃動粘度14mm2/s
4)アジピン酸ジトリデシル
5)重量平均分子量21万のエチレン−プロピレン共重合体
Claims (3)
- メタロセン触媒を用いて、炭素数2〜20のα−オレフィンをオリゴマー化して得られた炭素数16〜40のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物からなる基油20〜40質量%と、その他の鉱油基油及び/又は合成油基油43.4〜63.4質量%とを含み、
前記合成基油が、BF 3 触媒またはチーグラー型触媒を用いて得られたα−オレフィンオリゴマー及び該α−オレフィンオリゴマーの水素添加物から選ばれる1種以上を含み、さらに粘度指数向上剤を1〜20質量%配合してなる内燃機関用潤滑油組成物。 - 極圧剤、油性剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、清浄分散剤、流動点降下剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
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