JP5060115B2 - グリース - Google Patents
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Description
したがって、それらに使用されるグリースも、一層低温性能が良好であるとともに、高温性能にも優れ、さらに基油の蒸発によって潤滑不良を招き長期間の使用が妨げられないことがないグリースが要求される。
一般にグリースは、基油の粘度が高すぎると低温性能が悪化し、逆に、基油の粘度が低すぎると蒸発量の増大による潤滑不良や、潤滑性不足による軸受損傷を起こす恐れがある。
通常の鉱油に代表される炭化水素基油では、低粘度化(低分子量)すると蒸発損失も増え、低粘度化と低蒸発化とを両立するのは困難である。
このポリ−α−オレフィンとしては、現在BF3触媒を用いるカチオン重合によって、α−オレフィンをオリゴマー化し、さらに水素添加したものが多用されている。しかしながら、この製法では、オリゴマーの分子量分布の制御ができず、かつ、重合度が同一の化合物においてもそれぞれ多数の異性体が生成する。したがって、BF3触媒でα−オレフィンをオリゴマー化して得られた生成物は精製が困難で沸点範囲が広くなるため蒸発減量(ロス)が多いなどの欠点を有している。
例えば、BF3触媒を用いて得られたデセントリマーの水素添加物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この化合物は、粘度が高い割には引火点が低い。
一方、メタロセン触媒を用い、数平均分子量500〜200000のデセンオリゴマーを製造し、必要に応じ引続き水素添加して、エンジン油やギヤ油などの潤滑材成分として、特に粘度指数向上剤や増粘剤として用いる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、グリースについては、具体的に使用するオリゴマーや、グリースの内容については開示されていない。
すなわち、本発明は、
(B)炭素数2〜20のα‐オレフィンをメタロセン錯体触媒の存在下で二量化してビニリデンオレフィンを製造し、次いで前記ビニリデンオレフィンに酸触媒の存在下で炭素数4〜24のα‐オレフィンを付加させ、さらに水素添加して得られる、一般式(2)
から選ばれる少なくとも1種の飽和脂肪族炭化水素化合物を50質量%以上含む基油と、増ちょう剤とを含有するグリース、
(2)一般式(1)におけるR1〜R4が、炭素数8〜12の直鎖アルキル基である上記(1)に記載のグリース、
(3)一般式(1)が、原料の直鎖状α‐オレフィンとして1−デセンを用いて得られ、かつ、11−メチル−11,13−ジオクチルトリコサン量を55質量%以上含む飽和脂肪族炭化水素化合物である上記(1)に記載のグリース、
(4)原料の直鎖状α‐オレフィンとして1−デセンを用いて得られ、かつ、炭素数40の飽和脂肪族炭化水素化合物に占める11−メチル−11,13−ジオクチルトリコサン量の含有率が65質量%以上である飽和脂肪族炭化水素化合物を含有する上記(4)に記載のグリース、
(5)基油の40℃における動粘度が25〜250mm2/sである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のグリース、
(6)増ちょう剤が、リチウム系増ちょう剤叉はウレア系増ちょう剤である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のグリース、
(7)増粘剤、潤滑性向上剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、清浄分散剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種を含む上記(1)〜(6)のいずれかに記載のグリース、
(8)混和ちょう度が175〜340である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のグリース、及び
(9)転がり軸受又は直動軸受に用いられる上記(1)〜(8)のいずれかに記載のグリース、
を提供するものである。
該飽和脂肪族炭化水素化合物は、炭素数2〜20のα‐オレフィンをメタロセン錯体触媒の存在下で二量化してビニリデンオレフィンを製造し、次いで前記ビニリデンオレフィンを酸触媒の存在下で二量化し、さらに前記二量化物を水素添加して得られるものである。
本発明において、α−オレフィンのオリゴマー化に用いられるメタロセン触媒としては、従来公知の触媒、例えば(a)周期律表第4族元素を含有するメタロセン錯体と、(b)(b−1)前記(a)成分のメタロセン錯体又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成し得る化合物及び/又は(b−2)アルミノキサンと、所望により用いられる(c)有機アルミニウム化合物との組み合わせを挙げることができる。
前記(a)触媒成分のメタロセン錯体としては、従来公知の化合物、例えばビス(n−オクタデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス[(t−ブチルジメチルシリル)シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロリド、ビス(ジ−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、エチリデンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドおよびビス[3,3−(2−メチル−ベンズインデニル)]ジメチルシランジイルジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらのメタロセン錯体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(b−2)化合物であるアルミノキサンとしては、例えばメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンなどの鎖状アルミノキサンや環状アルミノキサンを挙げることができる。これらのアルミノキサンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、(b)触媒成分として前記(b−1)化合物を1種以上用いてもよいし、(b−2)化合物を1種以上用いてもよく、また、(b−1)化合物1種以上と(b−2)化合物1種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、所望により用いられる(c)触媒成分の有機アルミニウム化合物としては、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。
これらの有機アルミニウム化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
(a)触媒成分と(b)触媒成分を用いて触媒を調製する場合、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で接触操作を行うことが好ましい。
また、(a)触媒成分、(b)触媒成分および(c)有機アルミニウム化合物を用いて触媒を調製する場合、(b)触媒成分と(c)有機アルミニウム化合物を事前に接触させてもよいが、α−オレフィンの存在下、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を接触することによっても充分高活性な触媒が得られる。
上記触媒成分は、予め、触媒調製槽において調製したものを使用してもよいし、オリゴマー化工程において調製したものを反応に使用してもよい。
α−オレフィンのオリゴマー化は、バッチ式、連続式のいずれであってもよい。オリゴマー化において溶媒は必ずしも必要とせず、オリゴマー化は、懸濁液、液体モノマー或いは不活性溶媒中で実施できる。溶媒中でのオリゴマー化の場合には、液体有機炭化水素、例えばベンゼン、エチルベンゼン、トルエンなどが使用される。オリゴマー化は液体モノマーが過剰に存在する反応混合物中で実施することが好ましい。
オリゴマー反応の後処理としては、まず、反応系に水やアルコール類を加える公知の失活処理を行い、オリゴマー化反応を停止したのち、アルカリ水溶液やアルコールアルカリ溶液を用いて触媒の脱灰処理を行う。次いで、中和洗浄、蒸留操作などを行い、未反応のα−オレフィン、オリゴマー化反応で副生したオレフィン異性体をストリッピングにより除去し、さらに所望の重合度を有するα−オレフィンオリゴマーを単離する。
このようにして、メタロセン触媒によって製造されたα−オレフィン二量体は、二重結合を有するが、特に末端ビニリデン結合の含有量が高い、ビニリデンオレフィンである。
この二量化反応における酸触媒としては、ルイス酸触媒や固体酸触媒などを用いることができるが、後処理操作の簡便さなどの点から、固体酸触媒が好適である。
前記固体酸触媒としては、酸性ゼオライト、酸性ゼオライトモレキュラシーブ、酸処理した粘土鉱物、酸処理した多孔質乾燥剤またはイオン交換樹脂等が挙げれる。すなわち、固体酸触媒は、HY等の酸性ゼオライト、約0.5〜2nmの孔径を有する酸性ゼオライトモレキュラシーブ、シリカアルミナ、シリカマグネシア、モンモリロナイトあるいはハロイサイトなどの粘土鉱物に硫酸などの酸により処理したもの、シリカゲルやアルミナゲルなどの多孔質乾燥剤に塩酸、硫酸、燐酸、有機酸、BF3などを付着させたもの、又は、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体のスルホン化物などをはじめとするイオン交換樹脂系の固体酸触媒などである。
より好ましい添加量は固体酸触媒の酸性度の影響を受けるのであるが、例えば、モンモリロナイト系の粘土鉱物の硫酸処理の場合は、ビニリデンオレフィンの仕込み量100質量部に対し、3〜15質量部であり、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体のスルホン化物系のイオン交換樹脂では1〜5質量部が好ましい。反応条件に応じ、これらの固体酸触媒の2種類以上を併用してもかまわない。
反応は、通常50〜150℃の温度で行うが、70〜120℃で行うと活性や選択率を向上させることができるので好ましい。反応圧力については、大気圧から1MPa程度の範囲で行うが、圧力の反応に与える影響は少ない。
このようにして、ビニリデンオレフィン二量化反応物(α−オレフィン四量体)が得られる。
このビニリデンオレフィン二量化反応液には、前記のビニリデンオレフィン二量体(α−オレフィン四量体)以外に、未反応のビニリデンオレフィンや、ビニリデンオレフィン三量体などが含まれている。したがって、この二量化反応液から、固体酸触媒をろ去したのち、必要に応じ蒸留処理して、ビニリデンオレフィン二量体(α−オレフィン四量体)を単離してもよい。
水素添加反応の条件としては、Ni系触媒であれば、通常150〜200℃、Pd、Ptなどの貴金属触媒であれば、通常50〜150℃、コバルトトリスアセチルアセトナート/有機アルミニウムなどの均一系触媒であれば、通常20〜100℃の温度範囲とし、水素圧は、常圧〜20MPa程度である。
各触媒における反応温度が前記範囲にあれば、適度の反応速度を有すると共に、同一重合度を有するオリゴマーにおける異性体の生成を抑制することができる。
前述の一般式(1)の化合物と同様にしてメタロセン触媒を用いてα−オレフィンを二量化して得られたビニリデンオレフィンに、酸触媒を用いて、炭素数4〜24のα−オレフィンを付加させ、さらに水素添加することにより、一般式(2)の化合物を得ることができる。
水素添加反応の方法、触媒、反応条件などについては、前記式(1)のα−オレフィンオリゴマーの水素添加物について説明したとおりである。
(A)及び(B)の飽和脂肪族炭化水素化合物は、それぞれを単独で用いてもよいし、適宜2種を混合して用いてもよい。2種を組み合わせて用いる場合は、その混合割合は特に制限はなく任意に選定することができる。
前記(A)、(B)の中でも、性能の点から(A)がより好ましく、さらに、この(A)におけるR1〜R4が、それぞれ炭素数8〜12の直鎖状アルキル基であるものが好ましい。
すなわち、メタロセン錯体触媒を用いて1−デセンから誘導されたビニリデンオレフィンの二量化水添物の主生成物は11−メチル−11,13−ジオクチルトリコサンとなるので、このものが1−デセンから得られた飽和脂肪族炭化水素化合物中に55質量%以上含有されたものをグリースの基油に用いると特に良好である。55質量%以上であれば、二量化水添物の蒸留性状における沸点範囲がせまく、潤滑性能をより維持する効果がある。
その他の基油としては、グリースに通常使用される鉱油基油及び/又は合成油基油を用いることができる。
鉱油基油としては、例えば原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいは鉱油系ワックスやフィッシャ−トロプシュプロセス等により製造されるワックス(ガストゥリキッドワックス)を異性化することによって製造される基油等が挙げられる。
また、鉱油系基油の芳香族分(%CA)は3以下が好ましく、2以下、さらには1以下であることが好ましい、また、硫黄分は、100質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましい。%CAが3以下であり、硫黄分が100質量ppm以下であれば、組成物の酸化安定性を良好に保つことができる。
本発明では、その他基油として、鉱油基油、合成油基油又はこれらの中から選ばれる2種以上の任意混合物等が使用できる。例えば、1種以上の鉱油基油、1種以上の合成油基油、1種以上の鉱油基油と1種以上の合成油基油との混合油等を挙げることができる。
本発明における基油は、40℃における動粘度は、25〜250mm2/sの範囲にあることが好ましい。この動粘度が上記範囲にあれば、低粘度かつ低蒸発性であって、例えば軸受に給油した場合、高速回転時の回転トルクが低い上、高温雰囲気下に使用しても蒸発量が少ないので、潤滑不良が生じにくい。
本発明に用いられる増ちょう剤としては、特に制限がなく、石鹸系、非石鹸系いずれも使用できる。この増ちょう剤としては、グリースの滴点が230℃以上となるものが好ましい。該滴点が230℃以上であれば、潤滑上の問題、例えば、高温での軟化やそれに伴う漏洩、焼付け等が生じるのを抑制することができる。
金属としては、ナトリウム、カルシウム、リチウム、アルミニウム等が挙げられ、カルボン酸としては、油脂を加水分解してグリセリンを除いた粗製脂肪酸、ステアリン酸等のモノカルボン酸や、12−ヒドロキシステアリン酸等のモノヒドロキシカルボン酸、アゼライン酸等の二塩基酸、テレフタル酸、サルチル酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的には、12−ヒドロキシステアリン酸を用いたリチウム系のリチウム石鹸が好適である。この石鹸系の増ちょう剤を配合するに当たっては、基油にカルボン酸と上記金属水酸化物を投入して、基油中でケン化させて配合してもよい。
この内、リチウム系のリチウムコンプレックス石鹸は、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸及び/又は分子中に1個以上のヒドロキシル基を有する炭素数12〜24のヒドロキシ脂肪酸と、芳香族カルボン酸及び/又は炭素数2〜12(より好ましくは炭素数4〜9)の脂肪族ジカルボン酸とを、例えば、水酸化リチウムなどのリチウム化合物と反応させることにより得られ、前記リチウム石鹸と比べて耐熱性に優れるので、増ちょう剤として、より好ましい。
上記炭素数12〜24のヒドロキシ脂肪酸としては、特に制限はなく、例えば12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシラウリン酸、16−ヒドロキシパルミチン酸などが挙げられるが、これらの中で特に12−ヒドロキシステアリン酸が好適である。
また、上記炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、例えばアゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などを挙げることができるが、これらの中でアゼライン酸が好適である。
ここで、脂肪酸及び/又は分子中に1個以上のヒドロキシル基を有する炭素数12〜24のヒドロキシ脂肪酸と、芳香族カルボン酸及び/又は炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸との全質量中、芳香族カルボン酸及び/又は炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸が20〜90質量%であることが好ましい。20〜90質量%の範囲内であれば、熱的に安定な増ちょう剤が得られ、グリースの高温での長寿命化を実現するのに有利である。
これらの石鹸系増ちょう剤の中では、リチウム系増ちょう剤が好ましく、中でもリチウムコンプレックス石鹸が好適である。
ここで、増ちょう剤としてのウレア化合物としては、従来、ウレア系増ちょう剤として使用されているウレア化合物の中から、任意のものを用いることができる。このウレア化合物には、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物などがある。
ウレア化合物は、耐熱性、耐水性ともに優れ、特に高温での安定性が良好なため、高温箇所に好適に用いられる。
上記の各種増ちょう剤のグリース中の配合量はグリース性状が得られる範囲であれば特に制限されるものではなく、グリースを基準として、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
本発明に係るグリースに用いる増ちょう剤は、ちょう度を付与するためのもので配合量が少なすぎると所望のちょう度が得られず、一方配合量が多すぎるとグリースの潤滑性が低下する。
増粘剤としては、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリメタクリレート(PMA)、オレフィン共重合体(OCP)、ポリアルキルスチレン(PAS)、スチレン-ジエン共重合体(SCP)等が挙げられる。
潤滑性向上剤としては、例えば硫黄化合物(硫化油脂、硫化オレフィン、ポリサルファイド、硫化鉱油、チオリン酸類、チオカルバミン酸類、チオテルペン類、ジアルキルチオジピロピオネート類等)、リン酸エステル、亜リン酸エステル、(トリクレジルホスフェート、トリフェニルフォスファイト等)などの極圧剤やオレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級脂肪族アルコールなどの油性剤が、清浄分散剤としては、例えばこはく酸イミド、ボロン系こはく酸イミドなどが挙げられる。
これらの添加剤の配合量は、目的に応じて適宜選定すればよいが、通常、これらの添加剤の合計が潤滑剤を基準にして30質量%以下になるように配合する。
酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲で選定される。
先ず、基油の一部に所定の割合の増ちょう剤及び所望により増粘剤を配合し、所定の温度に加熱して均質化する。その後残りの基油を配合して冷却し、所定の温度に達したところで所望により各種添加剤を所定量配合することにより、本発明に係るグリースを得ることができる。
したがって、本発明のグリースは、攪拌等の機械的負荷が大きい潤滑部分に用いるグリースとしても有効に使用することができる。
なお、混和ちょう度はJIS K 2220・7に基づいて求められる値である。
なお、諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)基油の40℃動粘度
JIS K2283に準拠して測定した。
(2)グリースのちょう度、混和ちょう度
JIS K2220.7に準拠して測定した
(3)グリースの滴点
JIS K2220.8に準拠して測定した。
(4)低温トルク試験
JIS K2220.18に準拠して測定した。
(5)高温軸受寿命試験
ASTM D3336に準拠して、温度を180℃にして測定した。
(6)蒸発性試験
JIS K2220・10に準拠して測定した。
第1表を示す組成のリチウムコンプレックスグリースを調製し、滴点、低温トルク試験及び蒸発量を測定した。その結果を第1表に示す。
なお、これらのグリースは、以下の方法で製造した。
(i)グリース製造釜に、基油の1/2質量と12−ヒドロキシステアリン酸11.5質量%及び防錆剤1.0質量%を反応釜に配合し、撹拌しながら加熱溶解させた。
(ii)水酸化リチウム(一水和物)3.1質量%を水に溶解し、さらにテレフタル酸2.4質量%を溶解させた。この水溶液を上記(i)に添加し、加熱混合した。グリースの温度が205℃に達した後、5分間保持した。
(iii)次に、残りの基油を添加した後、50℃/1時間で80℃まで冷却し、表1に示すアミン系酸化防止剤を添加混合した。
(iv)さらに、室温まで自然放冷した後、3本ロール装置を用いて仕上げ処理を行ってグリースを得た。
(1)メタロセン錯体を用いた1−デセンの二量化
窒素置換した内容積5リットルの三つ口フラスコに、1−デセン3.0kg、メタロセン錯体であるビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ジルコノセンジクロライドともいう)0.9g(3ミリモル)及びメチルアルミノキサン(アルベマール社製,Al換算8ミリモル)を順次添加し、室温(20℃以下)にて攪拌を行った。反応液は、黄色から赤褐色に変化した。反応を開始してから48時間経過後、メタノールを加えて反応を停止させ、続いて塩酸水溶液を反応液に添加して有機層を洗浄した。次に、有機層を真空蒸留し、沸点120〜125℃/26.6Pa(0.2Torr)の留分(デセン二量体)2.5kgを得た。この留分をガスクロマトグラフィーで分析したところ、デセン二量体の濃度は99質量%であり、デセン二量体中のビニリデンオレフィン比率は97モル%であった。
窒素置換した5Lの三つ口フラスコに、前項で得られた二量体2.5kgとモンモリロナイトK−10(アルドリツチ製)250gを室温下添加・配合してから、攪拌しながら110℃に昇温し、その温度で9時間反応を行なった。その後、降温し室温下で触媒のモンモリロナイトを濾別した。次に、二量化反応生成物を内容積5Lオートクレーブに移し、これに5質量%パラジウム・アルミナ5gを添加してから窒素置換し、更に水素置換してから昇温し、水素圧0.8MPaにて水添反応を8時間行なった。水素の吸収がそれ以上起きないことを確かめてから、降温・脱圧し、水添生成物をオートクレーブから取り出した。水添物から触媒を濾別し、無色透明で油状物2.2kgを得た。油状物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、炭素数20、炭素数40および炭素数60の飽和炭化水素がそれぞれ45質量%、52質量%および3質量%の割合で生成した。
シリコーンオイル浴に浸した内容積5Lの蒸留フラスコに、前項の油状物2.2kgを移し、真空度26.6Pa(0.2torr)としオイル浴を室温から150℃に昇温して減圧蒸留を行なった。150℃にて炭素数20の飽和炭化水素を留去させた後、更に、昇温し190℃、26.6Pa(0.2torr)にて30分間減圧を保った。留出残は1.2kg(全工程の粗収率40%)であった。これをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、炭素数20の炭化水素が0.3質量%、炭素数40の炭化水素が92.7質量%、炭素数60の炭化水素が7.0質量%であった。
親ピークのm/z=562、主フラグメトンのm/z=281であることにより、この化合物は2−オクチル−1−ドデセン(分子量280)の二量化物(水添体)であることが分かった。次に、C13−NMRにてロングレンジ相関解析を行なった。その解析プロファイルを図1に示す。この解析により、三級炭素(e)と四級炭素(b)が一つのメチレン(d)を挟んで結合していることと、四級炭素(b)にはメチル基(a)が結合していることから、主生成物の構造は11−メチル−11,13−ジオクチルトリコサン(化合物1においてR61〜R64は炭素数8のアルキル基)であることが分かった。
また、該トリコサンの生成量をガスクロマトグラフィー(GC/MASで採用した条件と同じ)にて定量したところ、炭素数40の生成物中に占める11−メチル−11,13−ジオクチルトリコサンの含量(生成率)は76質量%であり、蒸留残に占める割合は70質量%であった。従って、該トリコサンの収率は、原料デセンからの全工程収率は28質量%で、ビニリデンオレフィンからの収率は35質量%と算出された。
1)製造例1で得られたメタロセン触媒によって合成された1−デセンの4量体の水素添加物
2)従来法による1−デセンの3量体であるポリアルファオレフィン(BP Chemicals社製、商品名「DURASYN−168」)
3)12−ヒドロキシステアリン酸及びテレフタル酸とを水酸化リチウムと反応させて得られるリチウムコンプレックスグリース
4)ジオクチルジフェニルアミン
5)カルシウムスルホネート
第2表を示す組成のウレアグリースを調製し、滴点、低温トルク試験及び軸受寿命試験を行った。その結果を第2表に示す。
なお、これらのグリースは、以下の方法で製造した。
(i)ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートがグリース全量に対し6.4質量%に相当する量を、使用する基油の2/3(質量)の基油に加え、加熱溶解し、原料1とした。
(ii)また、残りの1/3の基油に、オクチルアミンをグリース全量に対し6.6質量%に相当する量加え、加熱溶解し、原料2とした。
(iii)次に、グリース反応釜中で原料1を50〜60℃で強撹拌しながら、原料2を除々に投入した。さらに撹拌しながら加熱し、グリースの温度が165℃に達した後、1時間保持した。
(iv)その後、アラルキル化ナフチルアミンを添加混合し、さらに室温まで自然放冷した後、3本ロール装置を用いて仕上げ処理を行ってグリースを得た。
6)従来法による1−デセンの2量体であるポリアルファオレフィン(BP Chemicals社製、商品名「DURASYN−166」)
7)ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートと、2倍モルのオクチルアミンの反応物、
1)、2)、4)及び5)は第1表と同じ
Claims (7)
- 一般式(1)が、11−メチル−11,13−ジオクチルトリコサン量を55質量%以上含む飽和脂肪族炭化水素化合物である請求項1に記載のグリース。
- 炭素数40の飽和脂肪族炭化水素化合物に占める11−メチル−11,13−ジオクチルトリコサン量の含有率が65質量%以上である飽和脂肪族炭化水素化合物を含有する請求項2に記載のグリース。
- 基油の40℃における動粘度が25〜250mm2/sである請求項1〜3のいずれかに記載のグリース。
- 増粘剤、潤滑性向上剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、清浄分散剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれかに記載のグリース。
- 混和ちょう度が175〜340である請求項1〜5のいずれかに記載のグリース。
- 転がり軸受又は直動軸受に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載のグリース。
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