JP5390511B2 - 吸水性樹脂の表面処理方法および吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

吸水性樹脂の表面処理方法および吸水性樹脂の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5390511B2
JP5390511B2 JP2010507289A JP2010507289A JP5390511B2 JP 5390511 B2 JP5390511 B2 JP 5390511B2 JP 2010507289 A JP2010507289 A JP 2010507289A JP 2010507289 A JP2010507289 A JP 2010507289A JP 5390511 B2 JP5390511 B2 JP 5390511B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
absorbent resin
temperature
product
dew point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010507289A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2009125849A1 (ja
Inventor
厚司 本山
誠司 加藤
誠 松本
貴昭 河野
好夫 入江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2010507289A priority Critical patent/JP5390511B2/ja
Publication of JPWO2009125849A1 publication Critical patent/JPWO2009125849A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5390511B2 publication Critical patent/JP5390511B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J3/00Processes of treating or compounding macromolecular substances
    • C08J3/12Powdering or granulating
    • C08J3/128Polymer particles coated by inorganic and non-macromolecular organic compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J3/00Processes of treating or compounding macromolecular substances
    • C08J3/24Crosslinking, e.g. vulcanising, of macromolecules
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L33/00Compositions of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical, or of salts, anhydrides, esters, amides, imides or nitriles thereof; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L33/02Homopolymers or copolymers of acids; Metal or ammonium salts thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F220/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F220/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
    • C08F220/04Acids; Metal salts or ammonium salts thereof
    • C08F220/06Acrylic acid; Methacrylic acid; Metal salts or ammonium salts thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2300/00Characterised by the use of unspecified polymers
    • C08J2300/14Water soluble or water swellable polymers, e.g. aqueous gels
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2333/00Characterised by the use of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical, or of salts, anhydrides, esters, amides, imides, or nitriles thereof; Derivatives of such polymers
    • C08J2333/02Homopolymers or copolymers of acids; Metal or ammonium salts thereof

Description

本発明は、吸水性樹脂製造工程中の、表面処理方法及び吸水性樹脂の製造方法に関するものである。更に詳しくは、物性が安定して優れた表面架橋された吸水性樹脂を製造することができる吸水性樹脂の表面処理方法に関するものである。
吸水性樹脂は、自重の数倍から数百倍という多量の水性液を吸収する性質から紙オムツや生理用ナプキン、成人用失禁製品等の衛生用品、土壌用保水剤等の各種用途に幅広く利用され、大量に生産及び消費されている。このような吸水性樹脂(高吸水性樹脂、あるいは吸水性ポリマーとも呼ばれる。)は、日本工業規格(JIS)K7223−1996に記載されており、また、市販されている多くの参考図書でも紹介されている。
近年、特に紙オムツや生理用ナプキン、成人用失禁製品等の衛生用品用途では、製品の薄型化のため、吸水性樹脂の使用量を増やし、パルプ繊維の使用量を減らす傾向にある。これにより、吸収体内において従来パルプが行っていた液体の通液性や拡散性の機能を、吸水性樹脂が一部担う必要性が生じる。このような機能の優劣を評価する公知の指標として、吸水性樹脂の加圧下における吸収倍率や液透過性が提唱されており、その値の大きいものが望まれている。更に、この薄型化の傾向は衛生用品1枚当りの吸水性樹脂の使用量増加にもつながり、従って、低コストの吸水性樹脂に対する要望が高まっている。
一般に、吸水性樹脂は、親水性不飽和単量体を水溶液重合することにより含水重合体を得て、これを乾燥・粉砕・分級して得られる。これを本願では、ベースポリマーと称する。衛生用品用途向けの吸水性樹脂は、通常、ベースポリマーに表面処理を施したものが使用される。表面処理は、一般に、ベースポリマーに表面架橋剤溶液を混合し、これを熱処理して製造される。本発明者らは先の出願(特許文献1〜4を参照)において表面処理工程における問題点を解決する提案を行ったが、本願はこれを更に深化・発展させたものである。例えば、特許文献5には、表面架橋剤溶液を空円錐形状あるいは両凸レンズ状を示す楕円錐形状で噴霧し、露点が60℃以下で温度が90℃以上の雰囲気下で、吸水性樹脂を加熱処理する方法が開示されている。
米国特許出願公開第2007/0149760号明細書 米国特許第6906159号明細書 米国特許第6710141号明細書 米国特許第6143821号明細書 米国特許第6720389号明細書
Modern Superabsorbent Polymer Technology p.97,Fig3.9 WILEY−VCH
しかしながら、特許文献5による方法では、含水率が高い吸水性樹脂(例えば、含水率10重量%以上を有する吸水性樹脂粉体)を表面処理する際、目的とする物性が得られないのみならず加熱処理時、露点60℃以下で温度が90℃以上の雰囲気下とするには、多くのエネルギーが必要となり、好ましくない。
また、商業プラントで製造された吸水性樹脂をサンプリングし分析すると、必ずしも一定の物性の製品が安定的に得られているとは限らないことが見出され、その原因を探る中で、表面処理工程に着目した。
吸水性樹脂の表面処理は、通常、ベースポリマーと表面架橋剤溶液とを混合して「加湿物」を得る加湿混合工程と、該加湿物を熱処理して表面架橋された吸水性樹脂を得る熱処理工程の二つの工程からなる。この熱処理工程の初期段階の条件を検討する中で本発明は見出されたものである。
即ち、本発明の課題は、熱処理工程の初期段階(本願でいう前処理工程)の適切な条件を見出すことにより、物性(特にAAPやSFC)が優れた表面架橋された吸水性樹脂を安定的に製造することにある。
また、本発明の他の課題は、含水率の高いベースポリマーから、物性に優れた表面架橋された吸水性樹脂を低コストで製造することにある。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、熱処理工程の初期段階(本願でいう前処理工程)においてキーとなる要因を見出し、その要因を適切な範囲内にコントロールすることで課題解決できることを見出した。即ち、本発明にかかる吸水性樹脂の表面処理方法は、1)ベースポリマーと表面架橋剤溶液とを混合して、「加湿物」を得る加湿混合工程;2)該加湿物の温度を昇温して、「前処理物」を得る前処理工程;及び3)該前処理物を架橋反応して、表面架橋された「吸水性樹脂」を得る表面架橋反応工程、の3工程を含む、吸水性樹脂の表面処理方法であって、上記2)の前処理工程における雰囲気露点が50℃以上95℃以下であり、かつ、該加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温されることを特徴とする。
一般的な表面架橋された吸水性樹脂の断面図が非特許文献1に示されており(図1を参照)、図1によると、吸水性樹脂1は、粒子2の表面近傍3がくまなく二次架橋されている。しかし、現実にはベースポリマーと表面架橋剤水溶液とを混合して得られる加湿物の粒子表面に、表面架橋剤溶液は不均一に付着していると考えられる。この状態のまま熱処理して表面架橋反応すると、粒子表面に二次架橋のある部分とない部分が混在することになる。表面架橋剤がポリマーと反応する前に、粒子表面近傍に拡散させることにより均一化を図ることが望ましく、本出願でいう前処理工程がこの均一化を行う工程である。
本発明の吸水性樹脂の表面処理方法は、安定的に物性(特にAAPやSFC)に優れた吸水性樹脂を、低コストで高い生産性を確保しながら効率的に製造することができるという効果を奏する。
図1は、ベースポリマーと表面架橋された吸水性樹脂の概念図であり、非特許文献1:Modern Superabsorbent Polymer Technology p.97,Fig3.9 WILEY−VCHに記載されている。 図2は、本発明の方法の好ましい一形態を説明するための図である。
本発明は、1)ベースポリマーと表面架橋剤溶液とを混合して、「加湿物」を得る加湿混合工程;2)該加湿物の温度を昇温して、「前処理物」を得る前処理工程;及び3)該前処理物を架橋反応して、表面架橋された「吸水性樹脂」を得る表面架橋反応工程、の3工程を含む、吸水性樹脂の表面処理方法であって、上記2)の前処理工程における雰囲気露点が50℃以上95℃以下であり、かつ、該加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温されることを特徴とする、吸水性樹脂の表面処理方法である。
以下、本発明にかかる吸水性樹脂の表面処理方法および吸水性樹脂の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更、実施し得る。具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)用語の定義
(a)「吸水性樹脂」
本明細書において、「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味し、以下の物性を有するものをいう。即ち、無加圧下吸収倍率(CRC/ERT441.2−02(2002)で規定)が、必須に5g/g以上、より好ましくは10〜100g/g、更に好ましくは20〜80g/gであり、また、水可溶分(Extractables/ERT470.2−02(2002)で規定)が、必須に0〜50重量%、より好ましくは0〜30重量%、更に好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%である高分子ゲル化剤をいう。また、吸水性樹脂は、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜設定可能であるが、カルボキシル基を含有する親水性架橋重合体が好ましい。なお、該吸水性樹脂は、全量(100重量%)が重合体である形態に限定されず、上記性能を維持する範囲において、後述する添加剤等を含んでいてもよい。また、本明細書において、上記CRCは、後述するGV(無荷重下吸収倍率)と同義のものとして、取扱う。
(b)「ポリアクリル酸(塩)」
本明細書において、「ポリアクリル酸(塩)」とは、繰り返し単位として、アクリル酸(塩)を主成分とする重合体を意味する。具体的には、架橋剤を除く単量体として、アクリル酸(塩)を必須に50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは実質100モル%含む重合体を意味する。重合体としての塩は、必須に水溶液を含み、より好ましくは一価の塩、更に好ましくはアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩である。その中でもアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
(c)「EDATA」及び「ERT」
「EDATA」は、European Disposables and Nonwovens Associationの略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(ERT/EDATA Recomeded Test Methods)の略称である。本明細書においては、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献:2002年改定)を参照して、吸水性樹脂の物性を測定する。
(d)「粒子」
本明細書において、「粒子」とは、篩分級で規定される粒径が5mm以下の流動性を有する固体を意味する。固体であれば、含水率について特に制限されないが、通常、30重量%未満、より好ましくは20重量%以下である。また、粒径の下限値としては、例えば1nmである。更に、粉体として一定の流動性を有していればよく、例えば、Flow Rate(ERT450.2−02(2002)で規定)が測定可能な固体、あるいは篩分級(ERT420.2−02(2002)で規定)が可能な固体を意味する。固体の形状については、特に制限されず、不定形破砕状粒子、球状、略球状やそれらの造粒物(凝集物)が挙げられるが、好ましくは、不定形破砕状粒子が含まれる。
(e)「加湿物」
本明細書において、「加湿物」とは、吸水性樹脂(特に粒子状あるいは粉末状の吸水性樹脂)に対して表面架橋剤溶液を添加・混合し、該吸水性樹脂表面に該表面架橋剤溶液を吸収または被覆させた表面架橋反応前の混合物を意味する。
なお、本発明において「加湿」とは、水のみの添加や、表面架橋剤溶液の添加(狭義の加湿)に限定されない。このため、例えば、表面架橋剤溶液が水溶液である場合には、水溶液の添加(狭義の加湿)に限定されず、液状であれば、表面架橋剤単独、有機溶剤または(水以外の)無機溶媒の添加も、本発明の加湿に該当する。更に、その加湿方法としては、表面架橋剤溶液の気体や霧状での加湿(狭義の加湿)に限定されず、例えば、シャワーリング、滴下、浸漬等も本発明の加湿方法に該当する。
(f)「ベースポリマー」
本明細書において、「ベースポリマー」とは、表面架橋される前の吸水性樹脂(特に粒子状あるいは粉末状の吸水性樹脂)を意味する。
なお、一度表面架橋された吸水性樹脂を再度表面架橋する場合も、本明細書では、ベースポリマーと称することがある。
(g)その他
本願明細書において、「質量」と「重量」、「質量%」と「重量%」、及び「質量部」と「重量部」は同義語であり、物性等の測定に関しては特に断りがない場合は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%で測定する。重量の単位である「トン(t)」は、「メトリック・トン(Metoric ton)」を意味し、範囲を示す「X〜Y」は「X以上、Y以下」であることを示す。
(2)吸水性樹脂(ベースポリマー)の製造方法
本発明は、ベースポリマーと表面架橋剤溶液とを混合して「加湿物」を得、更に該加湿物を表面架橋処理することによって、目的の吸水性樹脂を得る。そこで、以下の記載において、本発明で使用することができるベースポリマーについて、詳細に説明する。
(a)重合工程
本発明において使用できるベースポリマーは、重合反応によりベースポリマーとなりうる単量体(以下、モノマーとも称することもある)を重合することにより得られる(重合ゲル)。好ましくは、エチレン性不飽和単量体を必須に含む単量体成分を用いて、従来公知の方法等を用いて重合反応により得られるものであれば、特に限定されず、特許文献1〜5等、当業者に知られた特許文献に記載の製造方法で得ることができる。
本発明において使用することができる、エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、末端に不飽和二重結合を有する単量体が好ましい。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等のアニオン性単量体やその塩;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド(例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド)、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のノニオン性親水基含有単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体やそれらの4級化物;等を挙げることができ、これらの群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらの塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物、(メタ)アクリルアミドが好ましく、アクリル酸及び/又はその塩が特に好ましい。なお、本発明で使用できるアクリル酸としては、特に制限されないが、従来公知のアクリル酸が好ましく用いられる。具体的には、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂として、米国特許出願公開第2001/0016668号明細書や米国特許第6596901号明細書に記載されたアクリル酸が用いられる。
本発明において、単量体としてアクリル酸塩を用いる場合には、得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の吸水性能の観点からアクリル酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩から選ばれるアクリル酸の1価塩が好ましい。より好ましくはアクリル酸アルカリ金属塩であり、更に好ましくは、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩から選ばれるアクリル酸塩であり、中でもコスト面からナトリウム塩が好ましい。
また、アクリル酸及び/又はその塩を主成分として使用する場合、アクリル酸及び/又はその塩の含有率は、特に制限されないが、全モノマー成分(後述する内部架橋剤は除く)に対して、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましく、95モル%以上が特に好ましい(上限は100モル%である)。
また、上記吸水性樹脂を製造する際には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記単量体以外の他の単量体成分を用いることができる。例えば、炭素数8〜30の芳香族エチレン性不飽和単量体、炭素数2〜20の脂肪族エチレン性不飽和単量体、炭素数5〜15の脂環式エチレン性不飽和単量体、アルキル基の炭素数4〜50の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の疎水性単量体を例示することができる。これら疎水性単量体の割合は、一般的に、上記エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0〜20重量部の範囲内である。疎水性単量体が20重量部を超えると、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下する場合がある。
また、本発明による重合工程においては、必要に応じて、内部架橋剤を用いることができる。本発明で得られる吸水性樹脂は、内部架橋の形成によって不溶性となる。このような内部架橋は、架橋剤を使用しない自己架橋型でもよいが、一分子内に2個以上の重合性不飽和基及び/又は2個以上の反応性官能基を有する内部架橋剤を使用して形成することができる。
このような内部架橋剤としては、特に限定されず、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、(メタ)アクリル酸多価金属塩、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン等を挙げることができる。これらの内部架橋剤は1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。中でも、得られる吸水性樹脂の吸水特性などから、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を内部架橋剤として必須に用いることが好ましい。
本発明において、上記内部架橋剤の使用量は、所望する吸水性樹脂の物性により適宜決定されればよいが、通常、内部架橋剤の使用量は、吸水性樹脂を製造する際に用いる単量体成分の全量(全単量体)に対して、0.0001〜1モル%が好ましく、0.001〜0.5モル%がより好ましく、0.005〜0.2モル%が更に好ましい。0.0001モル%を下回ると、内部架橋が吸水性樹脂中に導入されず、一方、1モル%を超えると、吸水性樹脂のゲル強度が高くなり、吸収倍率が低下するおそれがある。上記内部架橋剤を用いて架橋構造を重合体内部に導入する場合には、上記内部架橋剤を、上記単量体の重合前、重合途中、あるいは重合後、又は中和後に反応系に添加するようにすればよい。
上記重合工程において、必要に応じて、ラジカル重合開始剤を用いることができる。重合開始剤のラジカルの作用により、単量体成分の重合が促進される。このラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、重合させる単量体成分の種類、重合条件等に応じて、通常の吸水性樹脂の重合において利用されているものの中から1種又は2種以上を選択して使用すればよく、例えば、熱分解型開始剤(例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酢酸カリウム、過酢酸ナトリウム等の過酢酸塩;過炭酸カリウム、過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩;過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;アゾニトリル化合物、アゾアミジン化合物、環状アゾアミジン化合物、アゾアミド化合物、アルキルアゾ化合物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等のアゾ化合物等)や、光分解型開始剤(例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等)等を挙げることができる。これらの中でも、コスト面及び残存モノマー低減能から、熱分解型開始剤が好ましく、過硫酸塩が特に好ましい。また、還元剤との併用は、これらラジカル重合開始剤の分解を促進しうるので、両者を組み合わせてレドックス系開始剤とすることもできる。前記の還元剤としては、特に限定されないが、例えば、亜硫酸(塩)(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等)、亜硫酸水素(塩)(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム等)、ピロ亜硫酸(塩)、L−アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)、亜二チオン酸(塩)、三チオン酸(塩)、四チオン酸(塩)、チオ硫酸(塩)、ジメチルスルホキサイド、亜リン酸(塩)、亜硝酸(塩)、二酸化チオ尿素、アミノ酸、アミン類(エタノールアミン等)等が挙げられる。熱分解型開始剤及び光分解型開始剤を併用することがより好ましい。
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、単量体の使用量に対して、通常、0.001〜2重量%であることが好ましく、0.01〜0.15重量%であることがより好ましい。上記ラジカル重合開始剤の使用量が0.001重量%未満の場合、未反応のモノマーが多くなり得られる吸水性樹脂中の残存モノマー量が増加するため好ましくない。一方、該使用量が2重量%を超える場合、得られる吸水性樹脂の水可溶分が増加するため好ましくない。
上記重合工程において、前述のモノマーを水溶液とする場合、該水溶液(以下、「モノマー溶液」と称することもある)中のモノマーの濃度は、特に限定されるものではないが、15〜90重量%の範囲内が好ましく、35〜80重量%の範囲内がより好ましい。15重量%を下回ると、得られたヒドロゲルの水分量が多いため、乾燥のための熱量や時間を必要とし、不利である。
本発明の重合方法としては、特に限定されず、周知の方法、例えば、水溶液重合、逆相懸濁重合、沈殿重合、塊状重合等を採用することができる。これらの方法の中でも、重合反応の制御の容易さや、得られる吸水性樹脂の性能面から、単量体を水溶液に溶解して重合させる水溶液重合や、逆相懸濁重合が好ましい。この製造方法は、水溶液重合により得られる吸水性樹脂において、本発明の効果(物性の安定化)を充分に発揮しうる。この観点から、水溶液重合、特に連続水溶液重合が好ましく使用される。連続水溶液重合においては、連続ベルト重合ないし連続ニーダー重合が好適に使用できる。即ち、本発明においては、ベースポリマーが連続ベルト重合又は連続ニーダー重合で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂であることが好ましい。
上記重合反応は、前述した重合開始剤の使用によって開始する。あるいは、前述した重合開始剤の他に、紫外線、電子線、及びγ線等の活性エネルギー線を単独あるいは重合開始剤と併用しても、上記重合反応が開始する。
上記重合工程における重合開始時の温度及び重合温度は、特に限定されず、使用する重合開始剤の種類にもよるが、通常、15〜130℃の範囲が好ましく、20〜120℃の範囲がより好ましい。上記重合温度が上記範囲を外れると、得られる吸水性樹脂の残存モノマー量の増加や、過度の自己架橋反応が進行してしまい、吸水性樹脂の吸水性能が低下するおそれがあるので好ましくない。また、上記重合時間についても、特に限定されないが、モノマー及び重合開始剤の種類、重合温度等に応じて適宜決定されればよい。また、上記重合は、通常、操作の容易さ等の観点から常圧下で行われるが、重合温度を下げるために、減圧状態下で重合を行うのも好ましい態様である。
上記逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、例えば、米国特許第4093776号、同第4367323号、同第4446261号、同第4683274号、同第5244735号等の米国特許に記載されている。また、上記水溶液重合とは、分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であり、例えば、米国特許第4625001号、同第4873299号、同第4286082号、同第4973632号、同第4985518号、同第5124416号、同第5250640号、同第5264495号、同第5145906号、同第5380808号等の米国特許や、欧州特許第0811636号、同第0955086号,同第0922717号等の欧州特許に記載されている。これらの特許文献に記載された重合法に例示の単量体や開始剤等も、本発明では好ましく適用できる。
なお、水溶液重合を行う場合、アクリル酸等の部分中和物を重合したり、アクリル酸等の酸基含有単量体を重合した後に水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム等のアルカリ化合物により重合物を中和したりすることもできる。この場合、得られる吸水性樹脂の中和率(全酸基中の中和された酸基のモル%)は、25〜100モル%が好ましく、50〜90モル%がより好ましく、50〜75モル%が更に好ましく、60〜70モル%が特に好ましい。
また、上記水溶液重合又は逆相懸濁重合を行う際には、水以外の溶媒を、必要に応じて併用してもよい。なお、併用される溶媒の種類は、特に限定されるものではない。更に、これらのモノマーに、重合禁止剤や鉄分を含んでいてもよい。前記鉄分の含有量としては、5重量ppm以下が好ましく、1重量ppm以下がより好ましい。また、前記の重合禁止剤としては、特に制限されないが、例えば、メトキシフェノール類が好ましく使用することができる。この場合、重合禁止剤の使用量としては、160重量ppm以下であり、米国特許第7049366号に開示されている。
更に、本発明の重合工程においては、必要に応じて、反応系に、炭酸(水素)塩、二酸化炭素、アゾ化合物、不活性有機溶媒等の各種発泡剤;澱粉・セルロース、澱粉・セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子;各種界面活性剤;次亜燐酸(塩)等の連鎖移動剤;等が、本発明の効果を損なわない範囲(例えば、モノマー100重量部に対して、各種発泡剤は30重量部以下、親水性高分子は30重量部以下、連鎖移動剤は1重量部以下)で適宜添加されてもよい。
(b)乾燥工程
本発明における乾燥工程において、前述の重合工程で得られた含水率が15〜70重量%の重合ゲルが乾燥される。以下の記載に限定されるものではないが、上記重合工程で得られた重合ゲルは、通常、0.1〜5mm程度の粒子状態にして、乾燥工程に供されることが好ましい。このため、重合ゲルが上記の大きさより大きい場合には、乾燥工程前に予め解砕処理を施すことが好ましい。当該解砕手段は、特に制限されないが、例えば、カッターミル、ミートチョッパー、ローラー型カッター、ギロチンカッター、スライサー、ロールカッター、シュレッダー、ハサミ等の各種の切断手段を単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。
該乾燥工程における乾燥方法は、特に限定されないが、熱風乾燥、共沸脱水等、通常の乾燥機又は加熱炉を用いた方法が広く採用される。より具体的には、乾燥装置としては、伝導伝熱型乾燥機、輻射伝熱型乾燥機、熱風伝熱型乾燥機、誘電加熱乾燥機等が例示される。乾燥の速さの観点から、熱風伝熱型乾燥機(以下、熱風乾燥機と称することもある)が好ましい。この熱風乾燥機としては、通気バンド式、通気回路式、通気竪型式、平行流バンド式、通気トンネル式、通気溝型攪拌式、流動層式、気流式、噴霧式等の乾燥装置が挙げられる。これらの中でも、吸水性樹脂の物性制御が容易であるという観点から、通気バンド式が好ましい。なお、吸水性樹脂の生産スケールを上げると、前記の通気バンド式熱風乾燥機でも、得られる吸水性樹脂の物性低下が認められる傾向にあった。しかし、本発明を適用することで、通気バンド式熱風乾燥機による乾燥でもかかる問題を解決し、好ましく適用することができる。
上記乾燥工程における乾燥温度としては、比較的高い温度が設定されることが好ましい。具体的には、80〜300℃が好ましく、100〜220℃がより好ましく、120〜200℃が特に好ましい。なお、前記乾燥温度は、熱媒温度(例えば、熱風温度)で規定するが、マイクロ波等熱媒温度で規定できない場合には、材料温度で規定する。乾燥時間については、特に限定されないが、例えば、1秒〜10時間が好ましく、1分〜3時間がより好ましいが、得られる乾燥物の固形分率が所望の値となる乾燥時間が設定されればよい。当該乾燥工程において得られる乾燥物の固形分率(180℃で3時間加熱したときの乾燥減量から求まる値)が、90質量%以上であることが、粉砕のしやすさの観点から好ましい。一般的に、重合ゲルの粒子径、乾燥温度、風量等にもよるが、生産効率の点から、該乾燥時間は通常、2時間以内とすることが好ましい。
(c)粉砕工程
本発明における粉砕工程は、重合ゲル又はその乾燥物を粉砕する工程である。粉砕は通常、乾燥工程で得られた重合ゲルの乾燥物に対して行うが、乾燥前の、重合工程で得られた重合ゲルに対して行っても良い。この粉砕により、粉砕物としての吸水性樹脂(ベースポリマー)が得られる。当該粉砕は、所望の粒径(好ましくは、重量平均粒子径200〜800μm)の吸水性樹脂がより多く得られるように行うことが好ましい。粉砕方法については、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。この粉砕により微粉が発生するので、粉砕工程で得られる吸水性樹脂には微粉が含まれる。なお、乾燥工程で得られた吸水性樹脂の粒径が小さい場合、この粉砕工程は実施されなくてもよい。
上記粉砕工程を経て得られた吸水性樹脂(ベースポリマー)は、不定形粉砕物(不定形破砕状粒子)となるが、かかる形状では粉砕により被表面積が大きく、かつ、パルプへの固定も容易で好ましい。すなわち、吸水性樹脂(ベースポリマー)は、不定形粉砕物(不定形破砕状粒子)であることが好ましい。
上記粉砕方法としては、乾燥物は、粒径制御のため、粉砕、及び分級されうる。これらの方法については、例えば、米国特許出願公開第2006/024755号に開示される。また、前記の粉砕に用いることができる粉砕機としては、例えば、粉体工学便覧(粉体工学会編、初版)の表1.10で分類されている粉砕機種名のうちでも、剪断粗砕機、衝撃破砕機、高速回転式粉砕機に分類されて、切断、剪断、衝撃、摩擦といった粉砕機構の1つ以上の機構を有するものが好ましく使用でき、それら機種に該当する粉砕機の中でも切断、剪断機構が主機構である粉砕機が特に好ましく使用できる。例えば、粉砕機としては、ピンミル、ロールミル、ロールグラニュレーター等がある。これらの中でも、粒度制御の面から、ロールミル(ロール回転形粉砕機)又はロールグラニュレーターが好適に使用でき、1段好ましくは多段、更には2〜5段のロールミル又はロールグラニュレーターで粉砕され、適用できる。粉砕前の乾燥物の平均粒子径は0.5〜50mmであり、更には1m〜5mmであり、粉砕後に下記粒子径とされる。
次に、前述したように粉砕された乾燥物が分級される。
(d)分級工程
本発明における分級工程は、前述の粉砕工程で得られた粉砕物又は乾燥物を分級する工程である。分級工程において、粉砕物が篩い分けられる。該分級工程において、所望の粒径(好ましくは、重量平均粒子径200〜800μm)を有する粒子を選択して目的とする吸水性樹脂が得られる。分級方法については、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。
吸水性樹脂の分級方法は、特に制限されないが、米国特許第6164455号、WO 2006/074816号、WO 2008/037672号、WO 2008/037673号、WO 2008/037675号、WO 2008/123477号等に例示される。これらの中で、特に篩分級が適用され、篩の数は2〜5段程度で適宜決定される。
(e)ベースポリマー
上記製造方法により得られたベースポリマーは、粒子状あるいは粉末状であることが好ましい。また、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂であることが好ましい。前記ベースポリマーの大きさは、特に制限されないが、例えば、粒子状あるいは粉末状の場合には、重量平均粒子径(D50)が、10〜1000μmであることが好ましく、150〜850μmがより好ましく、200〜600μmが更に好ましく、250〜500μmが特に好ましく、350〜450μmが最も好ましい。重量平均粒径が10μmを下回ると、安全衛生上好ましくない。一方、1000μmを超えると、紙オムツ等の衛生用品等に用いることができない恐れがある。
また、850μmを超える粒子径を持つ吸水性樹脂を表面処理した後、紙オムツ等に用いると、肌触りが悪く、紙オムツのトップシートを破る場合がある。一方、150μmよりも小さい粒子が10重量%を超えると、微粉が飛散したり、使用時に目詰まりを生じたりして、表面処理された吸水性樹脂の吸水性能を低下させる場合もある。このため、150μm未満の粒子が少ないほどよく、150μm未満の粒子の含有量が、通常0〜5重量%であり、0〜3重量%が好ましく、0〜1重量%が特に好ましい。また、850μmを超える粒子が少ないほどよく、850μmを超える粒子の含有量が、通常0〜5重量%であり、0〜3重量%が好ましく、0〜1重量%が特に好ましい。また、重量平均粒子径(D50)が150〜850μm(ふるい分級で規定)である粒子の割合は、90〜100重量%が好ましく、95〜100重量%がより好ましく、98〜100重量%が特に好ましい。このような粒度に上下限を制御することにより、得られる吸水性樹脂の着色の問題が有意に抑制できる。
また、本発明で得られるベースポリマーの粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、0.2〜0.6が好ましく、0.2〜0.5がより好ましく、0.2〜0.4が更に好ましく、0.27〜0.4が特に好ましく、0.3〜0.4が最も好ましい。これらの測定方法については、標準篩を用いて、例えば、WO2004/069915号やEDANA−ERT420.2−02に記載されている。
上記のようにして得られたベースポリマー中に存在する未架橋ポリマー、即ち、可溶性分は30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下(いずれも下限は、0重量%)であることが更に好ましい。
また、得られたベースポリマーの無荷重下吸収倍率(GV/実施例で規定)は、20〜50g/gが好ましく、25〜50g/gがより好ましく、30〜50g/gが更に好ましい。
また、本発明のベースポリマーの含水率は、ベースポリマーが粒子状または粉末状であれば、特に制限はないが、2〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、10〜15重量%が更に好ましい。
なお、本明細書において、「含水率」は、以下の方法により算出する。即ち、サンプル(ベースポリマー)2gをシャーレに入れ、180℃対流式乾燥機中で3時間静置した後の乾燥減量から算出する。
(3)吸水性樹脂の表面処理方法
(a)表面架橋剤
本発明では、前述したベースポリマーと表面架橋剤溶液とを混合して、「加湿物」を得る。ここで、用いることができる表面架橋剤について説明する。該表面架橋剤としては、種々の有機架橋剤または無機架橋剤を例示することができるが、物性や取り扱い性の観点から、カルボキシル基と反応し得る架橋剤が好ましい。例えば、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、モノ,ジまたはポリオキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。
上記表面架橋剤として、具体的には、米国特許第6228930号、同第6071976号、同第6254990号等に例示されている従来公知のものが用いられる。より具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン等の多価アミン化合物やそれらの無機塩あるいは有機塩(アジリジニウム塩等);エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;上記多価アミン化合物と上記ハロエポキシ化合物との縮合物;2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン化合物(米国特許第6559239号に例示);エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート化合物;オキセタン化合物(米国特許出願公開第2002/72471号に例示);2−イミダゾリジノン等の環状尿素化合物等;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の水酸化物又は塩化物等の多価金属化合物等が挙げられる。
これらの表面架橋剤の内、表面架橋反応が実質的に160℃以上の高温を要する場合、前処理に十分な時間をかけ得るという観点から、高温反応型表面架橋剤が好ましい。一方、低温反応型架橋剤の場合は、表面架橋工程での表面架橋処理温度によって、表面架橋剤の均一化を行う前、あるいは途中で反応してしまうことがあるため、好ましくない。
前記高温反応型表面架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、多価アルコール化合物、オキサゾリジノン化合物、オキセタン化合物、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等の1種または2種以上が挙げられる。これらの中でも、多価アルコール化合物、オキセタン化合物が好ましく用いられ、炭素数2〜10の多価アルコール化合物、炭素数2〜10のオキセタン化合物から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。炭素数3〜8の多価アルコール化合物が特に好ましい。
上記表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、ベースポリマー100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲内が好ましく、0.01〜5重量部の範囲内がより好ましい。この範囲で表面架橋剤が用いられることにより、ベースポリマーの表面近傍の架橋密度を内部のそれよりも高くすることができる。表面架橋剤の使用量が10重量部を超える場合は、不経済であるばかりか、ベースポリマーに最適な架橋構造を形成する上で架橋剤の供給が過剰であるので、好ましくない。表面架橋剤の使用量が0.001重量部未満の場合は、ベースポリマーの加圧下吸収倍率(AAP)等の性能を向上させる上で、充分な改良効果が得られないので、好ましくない。
本発明においては、上記表面架橋剤は、適当な溶媒に混合・溶解されて、表面架橋剤溶液となる。ここで、溶媒としては、特に制限されないが、水や親水性有機溶媒などが好ましく使用される。親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。上記溶媒は、1種を単独で使用されてもあるいは2種以上を併用してもよい。好ましくは、水、水と親水性有機溶媒との混合液が好ましい。
本発明で使用される溶媒の量は、特に制限されず、ベースポリマーの含水率や粒径や表面架橋剤の種類や量等によって適宜選択される。例えば、親水性有機溶媒の使用量は、ベースポリマー100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。特に水を溶媒として使用する場合には、使用される水の量は、ベースポリマー100重量部に対し、0.5〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。また、水と親水性有機溶媒とを溶媒として併用する場合の、水の使用量は、上記した通りであり、また、併用される親水性有機溶媒の使用量も、上記した通りである。また、ベースポリマーへの架橋剤溶液の混合に際し、本発明の効果を妨げない範囲、例えば、0.001〜10重量%、好ましくは0.002〜5重量%、より好ましくは0.003〜1重量%で、水不溶性微粒子粉体や界面活性剤を共存させてもよい。
これらの表面架橋剤は単独で用いてもよく、反応性を考慮して2種類以上を併用してもよい。なお、表面架橋工程は、その効果を考慮して複数回実施してもよく、その場合、初回と同一の表面架橋剤が用いられてもよいし、異なる表面架橋剤が用いられてもよい。さらに、複数の表面架橋剤あるいは表面架橋剤と溶液を使用する場合、一括で混合してもよいし、多段階に分けて混合してもよいが、一括でベースポリマーに混合することが好ましい。
なお、本発明では、上記表面架橋剤に加えて、他の成分を添加してもよい。他の成分としては、界面活性剤、有機酸(乳酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸)又はその塩、無機酸(リン酸、硫酸、亜硫酸)等の酸物質又はその塩、苛性ソーダや炭酸ソーダ等の塩基物質、硫酸アルミニウム等の多価金属塩等が挙げられる。他の成分の量は、本発明の効果を妨げない範囲であれば特に制限されないが、吸水性樹脂に対して、0〜10重量%、更に好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0〜1重量%である。
また、本発明における表面架橋工程では、以下の特許文献に開示された方法が好ましく適用される。即ち、架橋剤を含むモノマーで表面架橋する方法(特許第2530668号)、ラジカル開始剤で表面架橋する方法(特開昭63−99211号公報)、ラジカル開始剤とモノマーで表面架橋する方法(米国特許出願公開第2005/0048221号)等が、好適に用いられうる。
(b)加湿混合工程
本発明における加湿混合工程は、上記の製造方法で得られたベースポリマーと前述した表面架橋剤溶液とを混合して、「加湿物」を得る工程である。つまり、本発明において「加湿物」とは、ベースポリマーと表面架橋剤溶液との混合物を指す。
上記ベースポリマーと、上記表面架橋剤溶液とを混合する際に用いられる混合装置としては、特に制限されないが、これらを均一に、かつ、確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。上記の混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型ニーダー、粉砕型ニーダー、回転式混合機、気流型混合機、タービュライザー、連続式レディゲミキサー、連続式プロシアミキサー等が好ましく使用することができる。
これらの混合装置は、ジャケット及び/又は回転軸へ熱媒を通じることにより加熱することが、装置へのポリマーの付着を防ぐために、好ましい。即ち、加熱された加湿混合装置内で適切な滞留時間をとることにより、加湿混合工程と前処理工程を1台で兼ねる(加湿混合工程と前処理工程とを同一の装置で行う)ことも好ましい実施態様の一つである。加湿混合工程に供するベースポリマーの温度は、通常、20〜90℃であり、30℃〜85℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましく、50℃〜70℃が更に好ましい。ベースポリマーの温度が90℃を上回る温度では、均一に混合することが困難になる傾向になり、ベースポリマーの温度が20℃を下回る温度では加湿物の凝集が強くなる傾向にある。
本発明において、ベースポリマーと表面架橋剤溶液との混合により得られる加湿物の含水率は、通常、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%である。このような含水率であれば、後の(d)表面架橋反応工程にて十分な表面架橋が行なわれ、所望の物性(例えば、AAPやSFC)が向上できる。
また、上記の方法以外に、例えば、スプレー等で表面架橋剤溶液をベースポリマーに噴霧又は滴下(好ましくは、噴霧)してもよい。この場合、噴霧される液滴の大きさとしては、平均粒子径で0.1〜300μmの範囲内が好ましく、0.1〜200μmの範囲がより好ましい。
(c)前処理工程
本発明における前処理工程は、上記加湿混合工程で得られた加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温する工程である。
したがって、前処理工程を行う装置と後に続く表面架橋反応工程を行う装置が、同一であるか否かに関らず、加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温する期間を、前処理工程という。
なお、本願明細書において、「雰囲気露点」とは、前処理用の反応容器(前処理装置)内の空間部分の露点を意味するが、実質的には、該前処理装置の排気管内の露点を「雰囲気露点」とする。
また、「加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温される」との表現は、加湿物を前処理装置に投入する時の加湿物の温度が雰囲気露点を下回る温度であり、かつ、加湿物の温度が雰囲気露点+10℃になるように、加湿物の温度を昇温することを意味する。
更に、「前処理物」とは、上記加湿物の温度を雰囲気露点+10℃まで昇温した後の、ベースポリマーと表面架橋剤との混合物を指す。
本発明によると、加湿混合工程と表面架橋処理工程(熱処理工程)との間に、特定条件の前処理工程を設けることによって、含水率の高い加湿物を表面架橋する場合であっても、得られた吸水性樹脂の物性(特にAAPやSFC)を向上することができる。このように吸水性樹脂の物性が向上するメカニズムは、以下のように推察される。なお、本発明は、下記推察に限定されるものではない。即ち、当該前処理工程で、加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温すると、加湿物表面に表面架橋剤が選択的に存在するように、表面架橋剤溶液の溶媒の加湿物からの蒸発を制御することができる。このため、本発明の方法によると、表面架橋剤による表面架橋処理(熱処理)が、加湿物表面近傍で優先して実施されるため、得られる吸水性樹脂は良好な表面架橋状態を有することが可能となる。なお、「表面近傍」とは、通常、数十μm以下の厚みの表層部分又は全体の1/10以下の厚みの表層部分を意味するが、この厚みは目的に応じて適宜決定される。本発明に係る吸水性樹脂はその表面近傍が表面架橋されていることにより、加圧下吸収倍率(AAP)、言い換えれば、圧力に対する吸収力、および食塩水流れ誘導性(SFC)、即ち、膨潤時の液透過性を高めることができる。更に詳述すると、本願において「表面架橋」とは、加湿物表面あるいは表面近傍の領域が、化学的あるいは物理的に修飾されて表面架橋がなされたことを意味する。例えば、部分中和架橋ポリアクリル酸の場合を例にとると、化学的な修飾とは粒子表面近傍に存在する官能基、特にカルボキシル基と反応しうる、例えば、多価アルコール化合物、多価グリシジル化合物、多価アミン化合物等、官能基を2個以上有する有機表面架橋剤により、表面架橋が施された状態を意味する。それ以外にも例えば、3価アルミニウムのような多価金属による、表面カルボキシル基のイオン結合による表面架橋をも含む。表面架橋における結合の形態は限定されない。
前処理装置としては、加熱機構を有するレディゲミキサー、プロシアミキサー、ニーダー、伝導伝熱型攪拌乾燥機(例えば、奈良機械製作所製のパドルドライヤー等)、流動層乾燥機、伝熱管付き流動層乾燥機、モルタルミキサー等が挙げられる。これらは連続式装置であることが好ましい。これらの装置には、雰囲気の露点を制御する機構を有することが好ましい。具体的には、加熱により発生する水蒸気等を追い出すための空気及び/又は不活性気体を定量的に供給する機構と排気ガスを放出する機構である。また必要により、露点調整のための水蒸気投入ラインを設置することも好ましい。表面処理剤溶液に揮発性有機溶剤を用いる場合は、前処理工程で発生する有機溶剤を系外に除去するために、空気及び/又は不活性気体を多量に供給することが必要な場合には、露点を維持するために水蒸気の投入が必要なことがある。
所定の露点に調整するのに、エネルギー的に有利な手法は、加湿物が加熱されて発生する水蒸気を利用することである。このため、加湿物の含水率が高い場合には、加湿物が加熱されて発生する水蒸気が多くなることから、露点を高めやすく、好ましい。
ベースポリマーと表面架橋剤溶液とを混合して得られる加湿物の粒子表面に表面架橋剤溶液は不均一に付着していると考えられる。この状態のまま、熱処理して表面架橋反応すると、粒子表面に二次架橋のある部分とない部分が混在することになる。表面架橋剤がポリマーと反応する前に粒子表面近傍に拡散させることにより均一化を図ることが望ましく、本出願でいう前処理工程がこの均一化を行う工程である。
本前処理工程で、特定の露点雰囲気下におくことで、加湿物の含水状態をある程度調節しながら材料温度を高め、それにより表面架橋剤の拡散の促進を行うことになる。加熱により水が一部蒸発して露点を高めることに貢献するとともに加湿物の固形分が上昇する。この場合にベースポリマーの含水率が高いと、水が本前処理工程で粒子内部から粒子表面側に移行することも、表面架橋剤を粒子表面に均一に配置することに寄与しているものと推測される。
本前処理工程では、攪拌機構を有するものが好ましく用いられる。攪拌により、材料を攪拌し伝熱を促進し、昇温しやすくなるとともに、一部生成する凝集物を解すことにも役立つ。さらに、粒子表面に存在する表面架橋剤が他の粒子と接触を繰り返すことで、転写され、この面でも表面架橋剤を粒子表面に均一に配置することに寄与しているものと推測される。こうした効果は、あまりに攪拌がゆるいと発揮されず、攪拌翼端の周速が10m/分以上が好ましく、より好ましくは20m/分以上、最も好ましくは30m/分以上である。ここで、攪拌翼端の周速の上限は、特に制限されないが、通常、1000m/分であり、好ましくは500m/分である。
本前処理工程では、加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃になるまで昇温させて「前処理物」を得ることが必要である。例えば、雰囲気露点が70℃で、加湿物の温度が50℃の場合、加熱により70℃+10℃=80℃になるまで昇温させることが必要である。
本願発明の実施形態にかかる加湿物の温度は、該前処理工程において、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃になるまで必須に昇温させ、雰囲気露点+20℃になるまで昇温させるのがより好ましい。
また、雰囲気露点については、50〜95℃が必須であり、60〜90℃が好ましい。この露点範囲を外れると、多大なエネルギーが必要となるため、好ましくない。
前処理工程では、加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃になるまで昇温させるが、より具体的には、加湿物の温度を、雰囲気露点を1〜40℃下回る温度から、雰囲気露点より10〜180℃高い温度まで、昇温させることが好ましい。より好ましくは、加湿物の温度を、雰囲気露点を1〜20℃下回る温度から、雰囲気露点より10〜150℃高い温度まで、昇温させる。
本前処理工程に要する時間は、特に制限されないが、通常、10秒〜10分が好ましく、20秒〜5分がより好ましい。
なお、雰囲気露点の計測は、前処理工程内部に露点計を挿入することで行うことが出来る。攪拌翼が障害となる場合は、排気管部分に露点計を挿入すればよい。
(d)表面架橋反応工程
本発明における表面架橋反応工程は、通常、熱処理工程であり、上記前処理工程で得られた前処理物を更に昇温し、好ましくは150〜250℃に保持して、より好ましくは170〜230℃に保持して、前記吸水性樹脂の官能基(特にカルボキシル基)と前記表面架橋剤との架橋反応、特に脱水架橋反応を行い、表面架橋された「吸水性樹脂」を得る工程である。
本工程で使用される表面架橋装置としては、通常の乾燥機または加熱炉が用いられる。例えば、伝導伝熱型、輻射伝熱型、熱風伝熱型、誘電加熱型の乾燥機又は加熱炉が好適である。より具体的には、溝型乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、および赤外線乾燥機が例示される。このうち、溝型乾燥機、中でも伝導伝熱型攪拌乾燥機(例;奈良機械製作所・パドルドライヤー)、流動層乾燥機、中でも伝熱管併用型流動層乾燥機(例;大川原製作所・コンダクションフロー乾燥機)や流動層乾燥機(ヤマト科学(株)製Pulbis−GB22)が好ましく用いられる。また、上記表面架橋装置は、均一な表面処理などを考慮すると、回転軸を有することが好ましく、回転軸を有する加熱処理装置が特に好ましく使用される。
本工程において表面架橋反応条件は、特に制限されず、前処理物、表面架橋剤、溶媒の種類や量等によって異なる。例えば、表面架橋反応に要する温度・時間は、表面架橋剤の反応性によるが、通常、90〜250℃、より好ましくは120〜200℃の温度で、10〜100分間、より好ましくは20〜60分間、前処理物を表面架橋反応する。特に、高温反応型表面架橋剤の場合は、通常、150℃〜250℃で10分〜120分程度、表面架橋反応を行うことが好ましい。
本発明において、上記加湿混合工程、前処理工程、表面架橋反応工程は、それぞれ別個の装置で行われてもよいが、これらの工程の1または2以上の工程を一つの装置で行われてもよい。例えば、加湿混合工程及び前処理工程を一つの装置で、あるいは前処理工程及び表面架橋反応工程を一つの装置で、あるいは加湿混合工程、前処理工程及び表面架橋反応工程の3つの工程を一つの装置で行うことができる。また、上記3つの工程を二つの装置を用いて連続的に行うこともできる。この場合、一つの装置内の前半部と後半部で異なる役割、即ち、異なる工程として使用する。
また、前処理工程及び表面架橋反応工程を同一の装置(好ましくは加熱処理装置)で行う場合には、前処理工程及び表面架橋反応工程は、少なくとも第一の帯域及び第二の帯域を含むことが好ましい。ここで、第一の帯域は、雰囲気露点が50℃以上95℃以下で、かつ、上記加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温して「前処理物」を得る帯域でありうる。第一の帯域は、本発明に係る前処理工程に対応する。また、第二の帯域は、前処理物を更に昇温して前処理物と表面架橋剤とを反応する帯域であり、第二の帯域において、前処理物と表面架橋剤との反応を150℃以上250℃以下の温度に保持して、表面架橋された「吸水性樹脂」を得る。これにより、吸水性樹脂の物性(特にAAPやSFC)の安定性をさらに向上できる。また、このような物性安定性に優れた吸水性樹脂を、より低コストで高い生産性を確保しながら効率的に製造することができる。
なお、上記前処理工程及び表面架橋反応工程の時間は、特に制限されず、得られる吸水性樹脂の物性に基づいて適宜決定することができるが、各々1〜120分が好ましく、各々5〜50分がより好ましい。
また、上記したようにして表面架橋された吸水性樹脂は、表面架橋反応工程後、必要であれば冷却されてもよい。この冷却工程に用いられる冷却装置としては、特に制限はないが、冷却機は、米国特許第6378453号などに例示され、例えば、内壁その他の伝熱面の内部に50℃以下、好ましくは20℃〜35℃の冷却水が通水されている2軸撹拌乾燥機等が用いられうる。また、冷却工程において、吸水性樹脂は、50〜70℃にまで冷却されることが好ましい。なお、表面架橋反応工程は室温で実施される場合があるが、この場合には、表面架橋された吸水性樹脂は加熱されないので、この冷却工程は実施されなくてもよい。
上述したように、本発明の方法は、加湿混合工程で得られた加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温する前処理工程、及び上記前処理工程で得られた前処理物を更に昇温し、150〜250℃に保持して、表面架橋された「吸水性樹脂」を得る表面架橋反応工程を必須に有すればよい。このため、当該前処理工程及び表面架橋反応工程は、連続的に行われても、あるいは他の工程を介して行われてもよい。ここで、前処理工程及び表面架橋反応工程が他の工程を介して行われる場合としては、例えば、前処理工程終了時に、加湿物の温度は雰囲気露点+10℃であるが、この温度が表面架橋反応工程開始温度に満たない場合がありうる。当該形態を、図2を参照しながらより具体的に説明する。なお、下記説明は、本発明をより詳しく説明することを目的とするものであり、本発明は、下記説明によって限定されるものではない。図2に示されるように、本発明の方法では、前処理工程で、加湿物を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温して、「前処理物」を得る。次に、他の熱処理工程において、前処理物を、所定の表面架橋反応開始温度(150〜250℃)にまで昇温して、「熱処理物」を得る。さらに、表面架橋反応工程で、熱処理物と表面架橋剤とを反応させて、表面架橋された「吸水性樹脂」を得る。なお、図2では、表面架橋反応を、徐々に反応温度を昇温しながら行っているが、本発明は、当該形態に限定されず、150〜250℃内の一定温度で保持して、熱処理物と表面架橋剤との反応を行ってもよい。また、本明細書では、前処理工程及び表面架橋反応工程が他の工程を介して行われる場合の、両工程間の工程を「他の熱処理工程」とも称する。
(e)更に好ましい工程
本発明の効果をより発揮するために、上記加湿混合工程、前処理工程及び表面架橋反応工程が連結された連続工程であることが好ましい。連続工程とすることで、目的とする物性の吸水性樹脂がより安定的に得ることができる。
また、上記各工程間の輸送については、短期間で行うことが好ましく、5分以内がより好ましく、1分以内が更に好ましく、0.2分以内が特に好ましい。そのためには、上記各工程で使用される装置が配管等で直結される。
また、本発明において、上記加湿混合工程、前処理工程及び表面架橋反応工程への供給量は、特に制限されないが、10kg/hr以上が好ましく、100kg/hr以上がより好ましく、1t/hr以上が特に好ましい。この供給量とすることで、連続生産時により効果を発揮する。
また、本発明の表面処理において、各工程の圧力は特に制限されず、加圧、常圧、減圧のいずれでもよいが、本発明の効果をより発揮するためには、上記加湿混合工程、前処理工程及び表面架橋反応工程から選ばれる1以上の工程が、更には2以上の工程が、特に全ての工程が減圧状態であることが好ましく、微減圧下であることがより好ましい。該減圧度としては、特に制限されないが、減圧状態である工程内における大気圧に対する減圧度が、微減圧、例えば、0kPaを超えて10kPa以下であることが好ましい。工程内の減圧度を前記範囲とすることで、目的とする物性の吸水性樹脂が安定的に得られる他、得られる吸水性樹脂の物性向上、微粉量低減や耐ブロック性の向上等の効果が発揮される。
本発明において、上記各工程を減圧下で行う場合、減圧状態が達成でき得る限り、減圧装置については特に制限されない。当該減圧装置としては、単に排気を行う排気装置であってもよいし、吸引した気体をフィルターに通過させた後に、この気体を排気する吸引排気装置であってもよい。この排気により、工程内の湿気が効果的に除去され得る。
本発明において、「減圧状態」とは、大気圧よりも気圧が低い状態を指す。また、「大気圧に対する減圧度」とは、大気圧との圧力差を意味し、気圧が大気圧よりも低い場合に正(プラス)の値として表現される。例えば、大気圧が標準大気圧(101.3kPa)である場合、「減圧度が10kPa」とは、気圧が91.3kPaであることを意味する。
また、本願明細書において、「大気圧に対する減圧度」とは、単に「減圧度」とも称される。
本発明において、減圧度の下限値は、減圧に起因する上記効果を高める観点から、0kPaを超えることが好ましく、0.01kPa以上がより好ましく、0.05kPa以上が更に好ましい。また、減圧度の上限値は、上記各工程内での微粉の吊り上り防止、及び排気装置コストの抑制といった観点から、10kPa以下が好ましく、8kPa以下がより好ましく、5kPa以下が更に好ましく、2kPa以下が特に好ましい。なお、減圧度の好ましい数値範囲は、上記下限値と上記上限値との間で任意に選択することができる。
(f)表面処理された吸水性樹脂
本発明の方法によって表面処理された吸水性樹脂は、ベースポリマー表面に均一に表面架橋構造が形成される。このため、本発明の方法によって表面処理された吸水性樹脂は、諸物性、特に4.8kPa荷重下での生理食塩水の加圧下吸収倍率(AAP:Absorbency against Presure)及び食塩水流れ誘導性(SFC)が向上しうる。このため、本発明はまた、本発明の表面処理方法を含む、吸水性樹脂の製造方法もまた提供する。
本発明に係る吸水性樹脂の、4.8kPa荷重下での生理食塩水の加圧下吸収倍率(AAP:Absorbency against Presure)が、好ましくは23.5g/g以上である。このような吸水性樹脂が用いられたオムツ等の吸収性物品は、体液などをよく吸収する。本発明に係る吸水性樹脂のAAPは、より好ましくは24.0g/g以上、更に好ましくは24.5g/g以上である。なお、加圧下吸収倍率が高いほど吸収性物品は高物性が得られるので特にその上限は制限はされないが、製造が困難となる上にコストが高騰するという観点からこの加圧下吸収倍率の上限は40.0g/g程度であると考えられる。この4.8kPa荷重下での生理食塩水の加圧下吸収倍率は、本願においてAAP(4.8kPa)又は単にAAPとも称される。なお、「4.8kPa荷重下での生理食塩水の加圧下吸収倍率(AAP:Absorbency against Presure)」は、下記実施例に記載の方法に従って測定された値である。
また、本発明に係る吸水性樹脂の、食塩水流れ誘導性(SFC)は、好ましくは45(×10−7・cm・s・g−1)以上である。なお、「食塩水流れ誘導性(SFC)」は、吸水性樹脂の膨潤時の液透過性を示す値である。この食塩水流れ誘導性は、通液性とも称される。この食塩水流れ誘導性(SFC)の値が大きいほど、吸水性樹脂は高い液透過性を有することを示している。本発明に係る吸水性樹脂が用いられたオムツ等の吸収性物品は、体液などをよく吸収する。SFCは、より好ましくは50(×10−7・cm・s・g−1)以上であり、更に好ましくは55(×10−7・cm・s・g−1)以上である。このような吸水性樹脂を含む吸収性物品では、その物品に含まれる吸水性樹脂の濃度が30質量%以上、より具体的には50質量%以上である場合においても、尿の吸収速度が適切に維持され、漏れの発生も抑制される。なお、「食塩水流れ誘導性(SFC)」は、下記実施例に記載の方法に従って測定された値である。
従来、AAPやSFCを一定以上向上させるためには、過度の表面架橋が必要であった。そのため、無荷重下吸収倍率(GV)の低下が大きくなり、結果的に、高物性の吸水性樹脂を得ることが出来なかった。しかし、本明細書に開示された表面処理方法の採用よって、過度のGV低下等他の物性を犠牲することなく、AAP23.5g/g以上、及び/又は、SFC45(×10−7・cm・s・g−1)以上といった、高AAP/高SFCの吸水性樹脂を得ることができるようになり、かかる吸水性樹脂の製造に好適に適用される。
以下に、製造例、実施例、比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。異なる実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例についても、本発明の範囲に含まれる。
なお、実施例において使用される電気機器は、特に指定がない場合、すべて200Vまたは100Vで使用した。さらに、吸水性樹脂は、特に指定がない場合、25±2℃、相対湿度50%RHの条件下で使用した。下記測定法や製造例、実施例、比較例で例示された試薬や器具は適宜相当品で代替されてよい。
また、以下の実施例及び比較例に示された加湿混合工程、前処理工程、及び表面架橋反応工程は、各工程時間が1分以内で実質的に連続的に行われ、かつ、微減圧(減圧度0.01〜2kPa)で表面処理が行われる。
〔物性の測定方法〕
<無荷重下吸収倍率(GV)>
吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋(60mm×60mm)に均一に入れ、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離器を用いて250×9.81m/s(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W(g)を測定した。また、同様の操作を、吸水性樹脂を用いないで行い、そのときの質量W(g)を測定した。そして、これら質量W、Wから、下式に従ってGV(無荷重下吸収倍率)を算出した。
Figure 0005390511
<加圧下吸収倍率(AAP)>
4.83kPa(0.7Psi)の圧力になるように調製した荷重を準備した。そして、底に400メッシュ(目開き38μm)の金網を貼着した直径60mmのプラスチック円筒の金網上に、吸水性樹脂0.90gを均一に散布した。その上に、上記荷重を載せて、この測定装置一式の質量W(g)を測定した。
次に、直径150mmのペトリ皿の内側に、直径90mmのガラスフィルター(株式会社相互理化学硝子製作所製、細孔直径100〜120μm)を置き、0.90重量%の塩化ナトリウム水溶液(20〜25℃)を、ガラスフィルターの上面と同じレベルになるように加えた。
その上に、直径90mmの濾紙(商品名:「JIS P 3801 No.2」、ADVANTEC東洋株式会社製、厚さ0.26mm、保留粒径5μm)を1枚載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
上記測定装置一式を、上記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で吸収させた。1時間(60分)後、測定装置一式を持ち上げ、その質量W(g)を測定した。そして、これら質量W、Wから、下式に従って、加圧下吸収倍率(g/g)を算出した。
Figure 0005390511
なお、4.83kPa(0.7Psi)の圧力下(荷重下)での加圧下吸収倍率を用いたのは、乳幼児の寝ている状態及び座った状態で、吸収体または紙おむつ等の吸収性物品が使用される状況を想定したものである。
<生理食塩水流れ誘導性(SFC)>
生理食塩水流れ誘導性(SFC)は、米国特許出願公開第2004−0106745号公報、特表平9−509591号公報に記載の生理食塩水流れ誘導性(SFC)試験に準じて行った。
具体的には、セルに均一に入れた吸水性樹脂0.90gを、人工尿中で0.3psi(2.07kPa)の加圧下、60分間膨潤させ、ゲル層の高さを記録した。次に、0.3psi(2.07kPa)の加圧下、0.69重量%塩化ナトリウム水溶液を、一定の静水圧でタンクから膨潤したゲル層に通液させた。
タンクには、ガラス管が挿入されている。ガラス管は、セル中の0.69重量%塩化ナトリウム水溶液の液面が、膨潤ゲルの底部から5cm上の高さに維持されるように、下端の位置を調整して配置されている。タンク中の0.69重量%塩化ナトリウム水溶液は、コック付きL字管を通じてセルへ供給される。セルの下には、通過した液を捕集する捕集容器が配置されており、捕集容器は上皿天秤の上に設置されている。セルの内径は6cmであり、下部の底面にはNo.400ステンレス製金網(目開き38μm)が設置されている。ピストンの下部には、液が通過するのに十分な穴があり、底部には粒子状吸水性樹脂またはその膨潤ゲルが、穴に入り込まないように、透過性のよいガラスフィルターが取り付けてある。セルは、セルを載せるための台の上に置かれ、この台は、液の透過を妨げないように、ステンレス製の金網の上に設置されている。
上記人工尿は、塩化カルシウム2水和物0.25g、塩化カリウム2.0g、塩化マグネシウム6水和物0.50g、硫酸ナトリウム2.0g、リン酸2水素アンモニウム0.85g、リン酸水素2アンモニウム0.15g、及び、純水994.25gを加えたものを用いた。
なお、SFC試験は、室温(20〜25℃)で行った。コンピュータと天秤とを用いて、時間の関数として20秒間隔でゲル層を通過する液体量を10分間記録した。膨潤したゲル(主に粒子間)を通過する流速Fs(t)は、増加質量(g)を増加時間(s)で割ることによりg/sの単位で決定した。一定の静水圧と安定した流速が得られた時間をtsとし、tsから10分間に得た流速を使用して、Fs(t=0)の値、つまりゲル層を通る最初の流速を計算した。Fs(t=0)は、Fs(t)の対時間の最小2乗法の結果をt=0に外挿することにより計算した。そして、下式を用いて生理食塩水流れ誘導性SFC(加圧下通液速度)を求めた。なお、加圧下通液速度の単位は、(10−7×cm×s×g−1)である。
Figure 0005390511
<製造例1>
48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を9.7g/秒、アクリル酸を12.1g/秒、30重量%ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量522)水溶液(流量0.0513g/秒)と46重量%ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム水溶液(流量0.0016g/秒)との混合溶液を0.0529g/秒、及び水を5.286g/秒の流量になるように設定して連続的にミキサーに供給することによって、単量体水溶液を調整した。このとき、単量体水溶液の温度は103℃であった。
この調整された単量体水溶液に、更に、1.0重量%過硫酸ナトリウム水溶液を流量0.589g/秒で加えた後、約100℃に保温された230cm/分の速度で走行するエンドレスベルトに、単量体水溶液を連続的に供給した。ベルト上に連続的に供給された単量体水溶液は速やかに重合を開始し、帯状の含水ゲルシートが得られた。
この含水ゲルシートを孔径8mmのスクリーンを有するカッターミル(商品名:「U−280」、株式会社ホーライ製)を用いて連続的に解砕(細分化)した。そして、温度が約35℃で約2〜5mmの大きさの重合ゲル(粒子状含水架橋重合体)を得た。このとき、重合ゲルの含水率は29重量%であった。
得られた重合ゲルを74kg/hの量で、熱風温度を180℃、風速2.4m/秒に設定されたコンダクションフロー乾燥機(商品名:「FCA−2」、株式会社大川原製作所製、流動床長さ850mm、流動床幅240mm)に連続的に投入して乾燥を行った。なお、流動層内は、3枚の仕切り板で長さ方向をほぼ等分に4分割して4室構成とした。乾燥中の流動層高は約300mmであり、乾燥開始から55分後の層内温度が安定したところで乾燥機出口から排出された乾燥物のサンプリングを行い、含水率を測定したところ、10.5重量%であった。
乾燥物を粉砕・分級し、150μm〜710μmが大半で重量平均粒子径(D50)が370μmで含水率10重量%のベースポリマー(B1)を得た。
<実施例1>
〔加湿混合工程〕
製造例1で得られたベースポリマー(B1)100重量部に対して、1,4−ブタンジオール(以下、「1,4−BD」ともいう)0.34質量部、プロピレングリコール(以下「PG」ともいう)0.56質量部、純水3質量部からなる表面架橋剤含有水性溶液3.9質量部を、連続式高速攪拌混合機(ホソカワミクロン株式会社タービュライザー)にて混合し、加湿物を得た。加湿物の温度は60℃であり、含水率は12.5重量%であった。
〔前処理工程〕
予めジャケットに熱媒を通すことにより、ジャケット温度を約150℃にしておいたプロシアミキサー(太平洋機工(株)製WA−75)に上記加湿混合工程で得られた加湿物を1.7kg/分で連続投入しながら平均で3.5分間滞留させ、排出口より前処理物(f1)を得た。
平衡状態に達した時点でのプロシアミキサーの攪拌羽根の回転数は200rpm(周速188m/分)、プロシアミキサー排気管内の露点(雰囲気露点)は71℃、プロシアミキサー出口の材料温度は123℃、前処理物(f1)の含水率は10重量%であった。本実施例1において、加湿物の温度は60℃から123℃まで昇温しているが、加湿物の温度が、雰囲気露点71℃+10℃=81℃となる時点までが前処理工程に対応する。
なお、露点測定は、ハンディタイプ多機能温湿度計(rotoronic HYDROPALM2,ROTRONIC AG,Swiss made)にセンサーとして、HygroClip HK40を用いて行った。
〔表面架橋反応工程〕
このようにして得られた前処理物(f1)500gを設定温度200℃のマントルヒーターで反応機部分を保温された流動層乾燥機(ヤマト科学(株)製Pulbis−GB22)に投入し、熱風温度180℃、風量0.2m/分で計90分間流動させ、表面架橋反応を行い、冷却後、得られた表面架橋吸水性樹脂の物性測定を行った。その結果を下記表1に示す。
<比較例1>
実施例1の前処理工程において、プロシアミキサーのジャケット温度を60℃にし、滞留時間を6.8分にした以外は実施例1と同じ操作を行い、前処理物(f2)を得た。平衡状態到達時のプロシアミキサーの露点は47℃、プロシアミキサー出口の材料温度は60℃、前処理物(f2)の含水率は12重量%であった。すなわち、本前処理工程では、加湿物の温度は、60℃で維持した。
このようにして得られた前処理物(f2)を実施例1と同様に表面架橋反応を行い、冷却後、得られた表面架橋吸水性樹脂の物性測定を行った。その結果を下記表1に示す。
<比較例2>
実施例1の加湿混合工程および前処理工程において、プロシアミキサーに通風を行うことによりプロシアミキサー排気管内の露点を40℃にした以外は、実施例1と同じ操作を行い、前処理物(f3)を得た。平衡状態到達時のプロシアミキサー出口の材料温度は113℃、前処理物(f3)の含水率は9重量%であった。すなわち、本前処理工程では、加湿物の温度は、雰囲気露点より20℃高い60℃から昇温した。
このようにして得られた前処理物(f3)を実施例1と同様に表面架橋反応を行い、冷却後、得られた表面架橋吸水性樹脂の物性測定を行った。その結果を下記表1に示す。
<製造例2>
2本のシグマ型ブレードを備えたニーダーに、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸及び水からなるモノマー濃度38質量%、中和率70mol%のモノマー水溶液を調製し、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(平均エチレングリコールユニット数:9)0.03mol%(対モノマー)となるよう溶解して、モノマー水溶液を調製した。
次いで、該モノマー水溶液に窒素ガスを吹き込み、モノマー水溶液中の溶存酸素を低減するとともに反応容器内全体を窒素置換した。引き続き、2本のシグマ型ブレードを回転させながら、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.12g/mol(対モノマー)、L−アスコルビン酸0.005g/mol(対モノマー)となるように添加して、該ニーダー内で攪拌下重合を行い、約40分後に平均粒子径約2mmの重合ゲル(親水性架橋重合体)を得た。
得られた重合ゲルを、下記の実施例2及び比較例3で用いる場合は、170℃で55分間、熱風乾燥機にて乾燥した。乾燥物をロールミル粉砕機にて粉砕し、目開き850μmと105μmの篩で分級し、含水量5重量%、重量平均粒度478μm、粒子径150μm未満の重量百分率が0.8重量%の吸水性樹脂ベースポリマー(B2)を得た。
<実施例2>
製造例で得られたベースポリマー(B2)100重量部に対して、1,4−ブタンジオール(以下、「1,4−BD」ともいう)0.34質量部、プロピレングリコール(以下「PG」ともいう)0.56質量部、純水3質量部からなる表面架橋剤含有水性溶液3.9質量部を、連続式高速攪拌混合機(ホソカワミクロン株式会社タービュライザー)にて噴霧混合し加湿物とした。加湿物の温度は57℃であった。
当該加湿物を、伝導伝熱型溝型攪拌乾燥機(奈良機械製作所、パドルドライヤー;NPD−1.6W型、熱媒体は、松村石油製バーレルサーム400を使用し、上記攪拌乾燥機のパドル内部に循環させた。熱媒体温度205℃)にて、処理量40kg/hで連続的に表面架橋処理した。1時間程度の連続運転により、ほぼ平衡状態に達したので、温度、露点を計測したところ、加湿物の温度は59℃、パドルドライヤー排気管部分での露点(雰囲気露点)は76℃、パドルドライヤー出口での材料温度は193℃であった。パドルドライヤーから排出された表面架橋吸水性樹脂の物性測定を行った。その結果を下記表1に示す。
なお、本実施例では、前処理工程は、パドルドライヤーの前の方の一部分で行われており、他の一部分で表面架橋反応工程が行なわれ、前処理工程及び表面架橋反応工程がパドルドライヤーの同一装置内で行なわれた。この際、加湿物がパドルドライヤーに入ってから昇温され、加湿物の温度が59℃から雰囲気露点76℃+10℃=86℃に到達するまでの間の工程が前処理工程に、86℃を超えた温度を超えて150℃未満までの工程が他の熱処理工程に、150℃に到達した以降の工程が表面架橋反応工程に、それぞれ、対応する。
<比較例3>
実施例2において、パドルドライヤーへ空気を導入することにより排気管内の露点を47℃に調整し、熱媒体温度210℃とした以外は、同様の操作を行った。平衡状態での加湿物の温度は59℃、露点(雰囲気露点)44℃、パドルドライヤー出口での材料温度は192℃であった。すなわち、加湿物の温度の昇温開始温度が、59℃であり、雰囲気露点より15℃高い温度であった。パドルドライヤーから排出された表面架橋吸水性樹脂の物性測定を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005390511
上記表1から明らかであるように、実施例1及び2の吸水性樹脂は、ほぼ同じGVを有する比較例1〜3の吸水性樹脂よりも、AAP(g/g)及びSFC(×10−7・cm・s・g−1)いずれにおいても高い値を示す。即ち、比較例1〜3に開示された方法で更に吸水性樹脂のSFCを向上させようとする場合、製造コストの増大や過度のGV低下を招くことが推定される。この結果から、実施例の優位性は明らかである。特に、製品の吸収特性(例えば、加圧下吸収倍率や通液性)の向上は、大人用紙オムツ、子供用オムツ、生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料用吸収剤の分野においては非常に有効な利点である。
以上のように、本発明の吸水性樹脂の表面処理方法は、熱処理工程の初期段階の条件を適正化ことにより物性が安定して優れた表面架橋された吸水性樹脂を製造する方法を提供するものである。本方法により得られる表面架橋された吸水性樹脂は、例えば、近年成長の著しい大人用紙オムツ、子供用オムツ、生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料用吸収剤として、あるいは農園芸用分野、土木業分野において保水剤、脱水剤等として広く利用することが可能である。

Claims (13)

  1. 1)ベースポリマーと表面架橋剤溶液とを混合して、「加湿物」を得る加湿混合工程、
    2)該加湿物の温度を昇温して、「前処理物」を得る前処理工程、及び
    3)該前処理物を架橋反応して、表面架橋された「吸水性樹脂」を得る表面架橋反応工程、
    の3工程を含む、吸水性樹脂の表面処理方法であって、
    上記2)の前処理工程における雰囲気露点が60℃を超えて95℃以下であり、かつ、該加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温されることを特徴とする、吸水性樹脂の表面処理方法。
  2. 上記表面架橋剤が、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物、ハロエポキシ化合物、上記多価アミン化合物と上記ハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリジノン化合物、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物からなる群より選ばれる1又は2以上の化合物である、請求項1に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  3. 上記加湿混合工程、前処理工程および表面架橋反応工程から選ばれる1または2以上の工程を同一装置で行う、請求項1または2に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  4. 上記前処理工程及び表面架橋反応工程が同一の装置で行われ、該加湿物の温度が雰囲気露点+10℃まで昇温され、更に、加湿物を昇温することで表面架橋反応される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  5. 上記前処理工程及び表面架橋反応工程は、少なくとも第一の帯域及び第二の帯域を含む、回転軸を有する同一の加熱処理装置で行われ、該第一の帯域は、雰囲気露点が50℃以上95℃以下で、かつ、上記加湿物の温度を、雰囲気露点を下回る温度から雰囲気露点+10℃まで昇温して「前処理物」を得る帯域であり、該第二の帯域は、該前処理物を更に昇温して該前処理物と表面架橋剤とを反応する帯域であり、該第二の帯域において、該前処理物と表面架橋剤との反応を150℃以上250℃以下の温度に保持して、表面架橋された「吸水性樹脂」を得る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  6. 上記加湿混合工程、前処理工程及び表面架橋反応工程から選ばれる一つ以上の工程が微減圧である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  7. 上記加湿混合工程、前処理工程及び表面架橋反応工程が連結された連続工程である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  8. 上記表面架橋反応工程が150〜250℃の加熱処理で行われる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  9. 上記表面架橋反応工程の後に冷却工程を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  10. 上記減圧状態である工程内における大気圧に対する減圧度が、0kPaを超えて10kPa以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  11. 上記吸水性樹脂の加圧下吸収倍率(AAP)が23.5g/g以上、及び/又は、生理食塩水流れ誘導性(SFC)が45(×10−7・cm・s・g−1)以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  12. 上記ベースポリマーが、連続ベルト重合または連続ニーダー重合で得られたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の表面処理方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の表面処理方法を含む、吸水性樹脂の製造方法。
JP2010507289A 2008-04-11 2009-04-10 吸水性樹脂の表面処理方法および吸水性樹脂の製造方法 Active JP5390511B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010507289A JP5390511B2 (ja) 2008-04-11 2009-04-10 吸水性樹脂の表面処理方法および吸水性樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008103891 2008-04-11
JP2008103891 2008-04-11
PCT/JP2009/057391 WO2009125849A1 (ja) 2008-04-11 2009-04-10 吸水性樹脂の表面処理方法および吸水性樹脂の製造方法
JP2010507289A JP5390511B2 (ja) 2008-04-11 2009-04-10 吸水性樹脂の表面処理方法および吸水性樹脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2009125849A1 JPWO2009125849A1 (ja) 2011-08-04
JP5390511B2 true JP5390511B2 (ja) 2014-01-15

Family

ID=41161980

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010507289A Active JP5390511B2 (ja) 2008-04-11 2009-04-10 吸水性樹脂の表面処理方法および吸水性樹脂の製造方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US8546492B2 (ja)
EP (1) EP2270074B1 (ja)
JP (1) JP5390511B2 (ja)
CN (1) CN102007170B (ja)
WO (1) WO2009125849A1 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2614841B1 (en) * 2012-01-12 2014-09-10 Evonik Industries AG Process for the continuous preparation of water-absorbent polymers
EP2620465B2 (en) 2012-01-27 2018-03-28 Evonik Degussa GmbH Heat-treatment of water-absorbing polymeric particles in a fluidized bed at a fast heat-up rate
KR102124670B1 (ko) 2012-09-11 2020-06-18 가부시키가이샤 닛폰 쇼쿠바이 폴리아크릴산(염)계 흡수제의 제조 방법 및 그 흡수제
JP6002773B2 (ja) 2012-09-11 2016-10-05 株式会社日本触媒 ポリアクリル酸(塩)系吸水剤の製造方法及びその吸水剤
US20150307667A1 (en) * 2012-12-03 2015-10-29 Nippon Shokubai Co., Ltd. Polyacrylic acid (salt)-based water absorbent resin, and method for producing polyacrylic acid (salt)-based water absorbent resin
WO2014162843A1 (ja) * 2013-04-05 2014-10-09 株式会社日本触媒 吸水剤の製造方法及び吸水剤
US10662300B2 (en) 2013-05-10 2020-05-26 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for producing polyacrylic acid (salt)-based water-absorbent resin
CN103450388B (zh) * 2013-09-12 2016-04-20 浙江卫星石化股份有限公司 一种吸收快的高吸水性树脂的制备方法
KR101495845B1 (ko) * 2013-09-30 2015-02-25 주식회사 엘지화학 고흡수성 수지 및 이의 제조 방법
EP4252728A3 (en) 2013-12-20 2024-01-10 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water absorbing agent based on polyacrylic acid and/or a salt thereof
CN106062058B (zh) * 2014-03-19 2019-04-23 长濑化成株式会社 吸水性树脂交联剂
EP3135700B1 (en) 2014-04-25 2021-06-09 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for producing polyacrylic acid (salt)-based water-absorbent resin
US9780347B2 (en) 2015-03-09 2017-10-03 Johns Manville Acid resistant glass mats that include binders with hydrophilic agents
KR102528087B1 (ko) 2015-07-01 2023-05-03 가부시키가이샤 닛폰 쇼쿠바이 입자상 흡수제

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002121291A (ja) * 2000-02-29 2002-04-23 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂粉末およびその製造方法
JP2002201290A (ja) * 2000-09-20 2002-07-19 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂およびその製造方法
JP2002212204A (ja) * 2000-08-03 2002-07-31 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂、含水重合体、その製造方法および用途
JP2003082107A (ja) * 2001-07-03 2003-03-19 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂粉末の連続製造方法およびこれに用いる粉面検知器
JP2008038128A (ja) * 2005-12-22 2008-02-21 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂の表面架橋方法および吸水性樹脂の製造方法

Family Cites Families (48)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US272471A (en) 1883-02-20 Gaebett d
JPS5346389A (en) 1976-10-07 1978-04-25 Kao Corp Preparation of self-crosslinking polymer of acrylic alkali metal salt
US4286082A (en) 1979-04-06 1981-08-25 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo & Co., Ltd. Absorbent resin composition and process for producing same
GB2088392B (en) 1980-12-03 1984-05-02 Sumitomo Chemical Co Production of hydrogels
JPS57158209A (en) 1981-03-25 1982-09-30 Kao Corp Production of bead-form highly water-absorbing polymer
US4985518A (en) 1981-10-26 1991-01-15 American Colloid Company Process for preparing water-absorbing resins
US4625001A (en) 1984-09-25 1986-11-25 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co., Ltd. Method for continuous production of cross-linked polymer
JPS6187702A (ja) 1984-10-05 1986-05-06 Seitetsu Kagaku Co Ltd 吸水性樹脂の製造方法
DE3609545A1 (de) 1986-03-21 1987-09-24 Basf Ag Verfahren zur diskontinuierlichen herstellung von vernetzten, feinteiligen polymerisaten
JPH078883B2 (ja) 1986-06-04 1995-02-01 大洋漁業株式会社 改質吸水性樹脂の製造方法
JP2530668B2 (ja) 1987-11-12 1996-09-04 株式会社日本触媒 改良された吸水性樹脂の製造法
CA1333439C (en) 1988-05-23 1994-12-06 Akito Yano Method for production of hydrophilic polymer
KR930007272B1 (ko) 1988-06-28 1993-08-04 닙본 쇼쿠바이 가브시기 가이샤 흡수성 수지 및 그 제법
US5244735A (en) 1988-06-28 1993-09-14 Nippon Shokubai Kagaku Kabushiki Kaisha Water-absorbent resin and production process
US5145906A (en) 1989-09-28 1992-09-08 Hoechst Celanese Corporation Super-absorbent polymer having improved absorbency properties
US5264495A (en) 1990-04-27 1993-11-23 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co., Ltd. Method for production of salt-resistant absorbent resin
DE69108804T2 (de) 1990-07-17 1995-08-24 Sanyo Chemical Ind Ltd Verfahren zur Herstellung von Wasser absorbierenden Harzen.
US5250640A (en) 1991-04-10 1993-10-05 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for production of particulate hydrogel polymer and absorbent resin
DE4333056C2 (de) 1993-09-29 1998-07-02 Stockhausen Chem Fab Gmbh Pulverförmige, wäßrige Flüssigkeiten absorbierende Polymere, Verfahren zu ihrer Herstellung und ihre Verwendung als Absorptionsmittel
WO1995022356A1 (en) 1994-02-17 1995-08-24 The Procter & Gamble Company Absorbent materials having improved absorbent property and methods for making the same
DE19543368C2 (de) 1995-11-21 1998-11-26 Stockhausen Chem Fab Gmbh Wasserabsorbierende Polymere mit verbesserten Eigenschaften, Verfahren zu deren Herstellung und deren Verwendung
EP0812873B2 (en) 1995-12-27 2018-10-24 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water absorbent and process and equipment for the production thereof
US6194531B1 (en) 1996-06-05 2001-02-27 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for production of cross-linked polymer
DE19627847A1 (de) 1996-07-10 1998-01-15 Basf Ag Verfahren zur Herstellung von Acrylsäure
JP3875757B2 (ja) 1997-01-27 2007-01-31 株式会社日本触媒 粒子状親水性重合体の分級方法およびふるい分け装置
US6228930B1 (en) 1997-06-18 2001-05-08 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water-absorbent resin granule-containing composition and production process for water-absorbent resin granule
TW473485B (en) 1997-12-10 2002-01-21 Nippon Catalytic Chem Ind The production process of a water-absorbent resin
US6254990B1 (en) 1998-02-18 2001-07-03 Nippon Shokubai Co., Ltd. Surface-crosslinking process for water-absorbent resin
KR100476170B1 (ko) 1998-04-28 2005-03-10 니폰 쇼쿠바이 컴파니 리미티드 흡수성수지 함수겔상물의 제조방법
DE19854574A1 (de) 1998-11-26 2000-05-31 Basf Ag Verfahren zur Nachvernetzung von Hydrogelen mit N-Acyl-2-Oxazolidinonen
US6514625B1 (en) 1999-01-21 2003-02-04 Applied Extrusion Technologies, Inc. Polyolefin films based on blends of polypropylene and olefin heteropolymers
DE19955861A1 (de) 1999-11-20 2001-05-23 Basf Ag Verfahren zur kontinuierlichen Herstellung von vernetzten feinteiligen gelförmigen Polymerisaten
JP2001213839A (ja) 2000-02-03 2001-08-07 Nippon Shokubai Co Ltd (メタ)アクリル酸の製造方法
US6378453B1 (en) 2000-03-14 2002-04-30 Eugene Conway Foldable flexible vehicle locator
US6906159B2 (en) 2000-08-03 2005-06-14 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water-absorbent resin, hydropolymer, process for producing them, and uses of them
US6720389B2 (en) * 2000-09-20 2004-04-13 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water-absorbent resin and production process therefor
US20020160417A1 (en) 2001-04-30 2002-10-31 George Jackowski Biopolymer marker indicative of disease state having a molecular weight of 1424 daltons
WO2002100451A2 (en) 2001-06-08 2002-12-19 Nippon Shokubai Co., Ltd. Water-absorbing agent, its production and sanitary material
US6727345B2 (en) * 2001-07-03 2004-04-27 Nippon Shokubai Co., Ltd. Continuous production process for water-absorbent resin powder and powder surface detector used therefor
WO2003051940A1 (en) 2001-12-19 2003-06-26 Nippon Shokubai Co., Ltd. Acrylic acid composition and its production process, and process for producing water-absorbent resin using this acrylic acid composition, and water-absorbent resin
TWI306864B (en) 2003-02-10 2009-03-01 Nippon Catalytic Chem Ind Water-absorbing agent
EP2156850A1 (en) 2003-08-27 2010-02-24 Nippon Shokubai Co., Ltd. Process for production of surface-treated particulate water-absorbent resin
DE102005001789A1 (de) 2005-01-13 2006-07-27 Basf Ag Verfahren zum Klassieren eines teilchenförmigen wasserabsorbierenden Harzes
TWI377222B (en) * 2005-12-22 2012-11-21 Nippon Catalytic Chem Ind Method for surface crosslinking water-absorbing resin and method for manufacturing water-absorbing resin
US20090261023A1 (en) 2006-09-25 2009-10-22 Basf Se Method for the Classification of Water Absorbent Polymer Particles
JP5888836B2 (ja) 2006-09-25 2016-03-22 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 吸水性ポリマー粒子の分級法
US7967148B2 (en) 2006-09-25 2011-06-28 Basf Se Method for grading water-absorbent polymer particles
JP5308344B2 (ja) 2007-03-26 2013-10-09 株式会社日本触媒 粒子状吸水性樹脂の分級方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002121291A (ja) * 2000-02-29 2002-04-23 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂粉末およびその製造方法
JP2002212204A (ja) * 2000-08-03 2002-07-31 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂、含水重合体、その製造方法および用途
JP2002201290A (ja) * 2000-09-20 2002-07-19 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂およびその製造方法
JP2003082107A (ja) * 2001-07-03 2003-03-19 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂粉末の連続製造方法およびこれに用いる粉面検知器
JP2008038128A (ja) * 2005-12-22 2008-02-21 Nippon Shokubai Co Ltd 吸水性樹脂の表面架橋方法および吸水性樹脂の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20110040044A1 (en) 2011-02-17
CN102007170A (zh) 2011-04-06
EP2270074A1 (en) 2011-01-05
JPWO2009125849A1 (ja) 2011-08-04
CN102007170B (zh) 2014-06-25
EP2270074B1 (en) 2021-05-26
EP2270074A4 (en) 2017-06-07
WO2009125849A1 (ja) 2009-10-15
US8546492B2 (en) 2013-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5390511B2 (ja) 吸水性樹脂の表面処理方法および吸水性樹脂の製造方法
JP6025953B2 (ja) 吸水剤、吸収性物品及び吸水剤の製造方法
JP5847260B2 (ja) 吸水性樹脂の製造方法
JP5128098B2 (ja) 粒子状吸水剤の製造方法および粒子状吸水剤
JP6441894B2 (ja) ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系粒子状吸水剤及び製造方法
JP7083020B2 (ja) 吸水性樹脂粉末、及びその製造方法
JP6385993B2 (ja) ポリアクリル酸(塩)系吸水剤
JP4965865B2 (ja) 吸水剤、吸収性物品及び吸水剤の製造方法
JP4920183B2 (ja) 吸水剤
JP5558345B2 (ja) 吸水性樹脂の表面処理方法
US20160375171A1 (en) Polyacrylic acid (salt) water absorbent, and method for producing same
KR102629476B1 (ko) 흡수성 수지 입자의 제조 방법
JP2010521537A (ja) 吸水性樹脂の製造方法および吸水性樹脂並びにそれらの利用
JP2010053296A (ja) 吸水性樹脂の製造方法
WO2021140905A1 (ja) 吸収体、吸水性樹脂、及び吸収性物品
JPWO2019124536A1 (ja) 発熱体組成物用吸水性樹脂粉末、及び発熱体組成物
JP5390509B2 (ja) 吸水性樹脂の表面処理方法
JP2006169267A (ja) 改質された吸水性樹脂の製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130702

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130815

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130917

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131010

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5390511

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150